雪身の魚の鍋

    作者:泰月

    ●いいから鱈鍋食おうぜ
     暦が師走になり、寒い日が増えてきた。
     そうなると、食卓に鍋が乗る日も増えてくるが、一口に鍋と言っても、様々な鍋があるのもので。
    「今日は鍋にするか……何鍋にするか、迷うな」
    「ふっ……冬の鍋と言えば、鱈鍋。他の鍋など、あり得ない」
     小樽市内のとある和食レストラン。鍋を迷う客に、そう語りだした怪人がいた。
     怪人の頭は、鍋だ。
     外からは判らないが、中身は鱈がメイン。鱈鍋の怪人である。
    「注文は鱈鍋で決まりだな。さあ、鱈鍋を作るのだ」
    「ちょっと! 勝手に決めないでくださいよ」
    「あのー……当店、メニューに鱈鍋はご用意してないのですが……」
    「ふっ。鱈なら……ある!」
     食って掛かる客と店員に、鱈鍋は流れるような手つきでスッと鱈を取り出す。
    「さあ、この鱈で鱈鍋を注文し、作るのだ。なんなら、私が鱈鍋を作ったって良いぞ? さあ、さあ、さあ!」
     どうしよう。鱈鍋注文しないと、この鱈鍋出て行ってくれそうにない。

    ●鱈の骨にはご用心
    「……鱈鍋です。旬の食材が暴れないか心配でしたが……当たってしまいました」
     その日、そう話を切り出したのは、大きな段ボール――の中に隠れた、ミリア・シェルテッド(中学生キジトラ猫・d01735)だった。
    「あとはお願いします、アベルさん」
     そう言い残し、僅かに浮かせていた段ボールをすっぽりと被りなおす。
    「はい。ミリアさんが言うので鱈鍋を作ってみたら、聞こえました」
     そう説明を始めた西園寺・アベル(高校生エクスブレイン・dn0191)の前には、ぐつぐつ煮込まれる鱈鍋があった。
    「小樽に、鱈鍋怪人がいるのです」
     鱈(たら)。
     鍋に良し、焼いて良し、揚げても良しの、脂肪の少ない柔らかな白身魚だ。
     雪の様に白い身を持つ事から、漢字では魚偏に雪と書く。
     国内の鱈の水揚げは、8割以上が北海道だ。
    「怪人は、鱈鍋を無理矢理注文させて回ってます。鱈鍋を冬の鍋の頂点に押し上げて世界征服を企んでいるようなのです」
     鱈鍋怪人にとって、冬は勝負の季節。つまり、ちょっと遠慮ない。
     鱈がなかったり、そもそもメニューに鱈鍋がない店では、鱈を無理矢理押し付けてでも鱈鍋を注文させる。
     それがどう世界征服に繋がるのかさっぱりだが、止められるのは灼滅者だけだ。
    「鱈鍋怪人が現れるのは、小樽にあるレストランです」
     客として入って、自分達が怪人に鱈鍋を注文させられる事になるように仕向けても良いし、外で待ち伏せて、鱈鍋を注文させて怪人が満足して出てきた所を狙う手もある。
    「どちらにせよ、外の戦いに持ち込む事は難しくないと、鱈が言っています」
     鱈鍋を食べる場所と食べる人を傷つける気は、怪人もないと言うわけだ。
     但し、レストランが営業中に見えなくなるような準備をしてしまうと、怪人は他の店に行ってしまう点は注意が必要だろう。
    「戦闘能力は、高温のビームに、雪を降らせる力と敵の体力を吸い取る力。あとはご当地ヒーローの方と同じ、足技と投げ技です」
     高温のビームは、ぐつぐつ煮えた鍋。雪は鱈の字で、体力を吸い取るのは鱈が貪欲な肉食性である事からきている力の様だ。
    「怪人の鱈鍋に負けないよう、ここで鱈鍋をたっぷり食べて行ってください。丁度、お鍋も程よく煮えた頃ですよ」
     そう言って、アベルは人数分の器に鱈鍋を取り分けるのだった。


    参加者
    六乃宮・静香(黄昏のロザリオ・d00103)
    東当・悟(の身長はプラス拾壱センチ・d00662)
    若宮・想希(希望を想う・d01722)
    ミリア・シェルテッド(中学生キジトラ猫・d01735)
    黒咬・翼(裁断の黒曜石・d02688)
    ディアナ・ロードライト(暁に輝く紅玉・d05023)
    若林・ひなこ(夢見るピンキーヒロイン・d21761)
    壱風・アリア(光差す場所へ・d25976)

    ■リプレイ


    「うぅ……やっぱり小樽は寒いですね」
     身を縮み込ませた若宮・想希(希望を想う・d01722)が、レストランの扉を開ける。
    「いらっしゃいませ、7名様ですか?」
    「8人や。俺の妹やけど、人見知りやねん」
     東当・悟(の身長はプラス拾壱センチ・d00662)の背中から、ミリア・シェルテッド(中学生キジトラ猫・d01735)は恐る恐る顔を出し――店内に鍋頭を見つけた。
    (「はぅ、ほんとにいたんですね、鱈鍋の都市伝説……じゃなくて怪人」)
     鱈鍋怪人がいる。という事は。
    「ほんとにパスポート持ってこなくても北海道に来れた……通訳もいらないんですね」
     飛行機に乗る=海外、と思っているミリアの呟きに、仲間達も苦笑を浮かべる。
     さておき、店内は空いており、灼滅者達は怪人のいる席に近いコの字型のボックス席を指定する事が出来た。
    「私はテーブルの下に隠……」
    「待て待て。隠れるのは、俺らの陰にしとき」
     隠れようとしたミリアを悟が半ば強引に角に座らせ、両脇を想希と2人で固める。
    「何だか家族みたい。悟はお父さんかな……微笑ましくなっちゃった」
     その様子にディアナ・ロードライト(暁に輝く紅玉・d05023)が笑みをこぼす。
    「俺らが親子? ほなママは……」
    「え、ママはもちろん……」
    「ちょ。親子は一寸嬉しいけど」
     ディアナと悟に視線を向けられ、想希の顔が赤くなる。
     そんな家族コントをしつつ、それぞれ席についてメニューを開く灼滅者達。
    「温かいお鍋が食べたいですー! 今の旬って何でしたっけ?」
    「そうね。外は寒かったし、お鍋いいわね。……何の鍋にしましょうか」
     若林・ひなこ(夢見るピンキーヒロイン・d21761)と六乃宮・静香(黄昏のロザリオ・d00103)が、鍋を迷う素振りの声を周囲に聞こえるように上げた。
    「鱈鍋だ。鱈鍋にしろ。注文は鱈鍋で決まりだな」
     灼滅者達の思惑通り、釣られた怪人が横から鱈鍋を猛プッシュ。
    「この店のメニューにはないが、問題ない。俺が作る!」
     メニューにない程度、怪人にとって大した障害ではないようだ。
    「この寒い中の鱈鍋、魚好きとしては実にありがたいが」
     怪人に鋭い視線を向けて、黒咬・翼(裁断の黒曜石・d02688)が口を開いた。
    「余程自信があるようだが、それ相応の鱈鍋を出すのだろうな?」
    「ほう……。俺にそんな挑戦的な目を向けて鱈鍋を頼むのは、お前が始めてだ! 良かろう。至高の鱈鍋を食わせてやる!」
     翼と怪人、2人の視線が火花を散らす。
    「味付けは豆乳とキムチと出汁と想希鍋とー」
    「ちょ、どんな鍋ですか」
    「よし、鱈鍋3つで良いのだな」
    「あ、この札幌の紫カブも使って欲しいんだけど良いですかー?」
    「カブは鱈の邪魔にはならないな。良かろう!」
     悟達のボケはスルーしつつ注文を再確認し、ひなこから紫カブを受け取って。
    (「毎度毎度思うのですが、好きなものが好き過ぎてご当地怪人も大変ですよね」)
     その律儀な姿に、静香は思わず胸中で苦笑を浮かべたのだった。


    「まだこけらが残っているぞ! やり直……いや、後は俺がやる!」
    「今更だけど、怪人に作らせて良かったのかしらね?」
     厨房の外にまで響いてくる怪人の声に、隅に座った壱風・アリア(光差す場所へ・d25976)が思わず呟く。
    「確かに、ダークネスであれば私が斬るべき対象ですが……鱈に罪はありませんので、まずは美味しく食べさせて頂きましょう」
     静香は穏やかな笑みを浮かべて、しれっと告げる。
    「小樽で旬の鱈鍋、絶対おいしいですよ! テンション超あがります☆」
     ひなこも、力強く頷く。
     だって、丁度夕飯時だし。外、寒かったし。
     それに、破壊音とか悲鳴とか物騒な物音は一切聞こえないから、多分大丈夫。
     そして待つ事しばし。
    「待たせたな!」
     お腹を空かせた灼滅者達の前に、怪人作の3つの鍋が並んだ。
     メインは勿論、鱈。主な野菜は白菜とネギとエノキ茸。
     更に豆乳鍋は紫カブのおろしで雪見鍋風に、キムチ鍋には葛きり、出汁鍋には豆腐と、それぞれ少しずつ趣向の違う鱈鍋だ。
    「お手並み拝見、と……うん、白子も肝も入っているな」
    「白子の味は知ってるけど、肝は初めてなのよね」
    「この時期の鱈鍋なら、白子と肝を食べないのは絶対に損だ」
    「ふふ、判ったわ。翼の分もよそってあげるから、待ってて」
     早速鍋をチェックする翼に、隣に座ったディアナが鍋から取り分ける。
    「あ。悟、鱈しか取ってないじゃないですか」
    「野菜は食いもんちゃうで!」
     その向かいで、偏った取り方をする悟を想希がたしなめる。
    「は、はぅ……」
     2人の間で、箸を伸ばすタイミングが掴めないミリア。
    「鱈鍋、初めてなのですが、美味しい食べ方はあるのでしょうか?」
    「あ、私も聞きたい。お鍋、食べた事ないし……作法とか」
     鱈鍋は初めてな静香と、鍋自体が初めてなアリアは、中々タイミングが掴めない事もあって、怪人に鍋奉行をさせて気を引こうとする。
    「ない! 強いて言うなら、残さず食え!」
     あ、ダメだこの怪人、奉行しない。
    「おいしいです☆ 鱈とカブの組み合わせ、サイコー!」
    「うむ。鱈鍋に合う、良いカブだったぞ」
     ひなこの食べっぷりに、満足げに頷く怪人。
    「皮に包丁を入れて小骨は取ってあるのに、背骨はそのままか」
    「敢えてだ! 背骨は残した方が、鱈の出汁が出る!」
    「タラコを煮て食べるのは初めてだったけど、これも美味しいわよ、」
     翼も怪人と鱈鍋の批評を交す事で気を引いて、ディアナは彼の分もタラコをよそう。
    「ミリア~食うとるか」
    「おいしいからミリアさんも一杯食べて」
     出遅れたミリアも、両脇の2人がせっせと取り分けてくれるのを、無言ではふはふと食べ続けていた。
    「って、想希何やそれ?」
    「白子です。俺、身しか食べた事なかったんですが、白子も濃厚でおいしいですよ」
     最初は白子に恐々としていた想希も、すっかりその味に慣れたようだ。
     あーんと開いた悟の口に、冷ました白子を入れてあげる。
    「うまっ! とろっとろや!」
    「悟そっちも……俺も食べたい」
     ねだった想希の口に、葛きりを巻いた鱈が入れられて。
     そんな2人の間で、やっぱり黙々と食べているミリア。
    「流石ですっ。美味しいですね鱈鍋。魚は焼くものだと思ってましたが、虜ですよっ」
     恐る恐る箸をつけていた静香も、本音の混ざった演技で鱈鍋を褒めちぎる。
    「その言葉は、まだ早い! まだ締めの雑炊が残っているぞ!」
     パチンと怪人が指を鳴らし、運ばれてくる炊き立て御飯。
     それが鍋に投入され、鱈の出汁が出たスープを吸ってぐつぐつと煮えたぎる。
    「最後に御飯を入れるのが、お鍋のスタイルですか。……美味しい」
     感心した様子で、雑炊を口に運ぶアリア。
     お鍋の締めの雑炊は、簡単だが他にはない味わいがある。
    「ディアナ、定番だが鱈鍋はこれも美味しいぞ。ほら、あーん」
    「え、あ……はいあーん」
     翼に雑炊を差し出されたディアナの頬が僅かに赤かったのは、鍋の熱気に当てられたのか、それとも――。
     ともあれ、締めの雑炊の米の一粒まで、綺麗に灼滅者達のお腹に収まったのだった。
    「良い食べっぷりだった! これでまた世界征服に一歩近づいたな……」
     なんだか満足げに踵を返して店を出て行こうとする怪人に、吹っ飛ぶ食後の余韻。
     ここで逃がしたら、ただ、お鍋食べただけになってしまう。
     それは色々とだめだ。
    「ちょっと待って。まだ向こうに鱈鍋の魅力を知りたいという人が居て……」
    「こんなにおいしいんです! もっとたくさんの人に食べて貰いましょうよ!」
     慌ててディアナとひなこが放った言葉に、怪人の足がピタリと止まった。


    「みらくるピンキー☆めいくあっぷ!」
     寒風吹き荒ぶ駐車場に、ひなこの明るい声が響く。
    「ぽかぽかフルチャージ☆」
     戦国風にアレンジされた雛菊の可愛いピンクのメイド服姿になったひなこは、そのままバベルの鎖を瞳に集める。
    「お前達、灼滅者だったのか! よくも騙したな!」
     知り合いにも勧めたいから外で鍋をしよう。
     そんな灼滅者達の言葉を信じきっていた怪人は、憤然となる。
    「鱈鍋を美味そうに食っていたのも、演技だったのか!」
    「いや、鱈鍋は美味かった。それは認めるさ……だが、押し付けるのは許されないな。三枚におろしてやる」
     怒りで頭の鍋を煮えたぎらせる怪人に毅然と返し、翼は構えた槍を螺旋に回す。
    「折角美味しい鱈鍋、食べさせてもらったのに申し訳ないのだけれど、世界征服を見過ごすわけにはいかなくて……」
     槍に貫かれた怪人に、ディアナは申し訳なさそうな表情を浮かべながら、縛霊手の拳を叩き付けた。
     霊力の網が絡んだ怪人の背後に、想希と悟が高速で回り込む。
    「すみません。俺、実は鍋だったら蟹の方が遥かに好きで。でも鱈おいしかったです……ね、悟」
    「ああ、鱈美味かったで。淡白やけど、色んな味に染まっておもろいしな。けど無理にはあかんで」
     左右から振るわれた2つの刃が、怪人の手足を斬り裂いた。
    「ふ……ふふっ! ふはーっはっは! そうかそうか!」
     騙され囲まれたこの状況で、怪人の口から漏れたのは、笑い。
    「鱈鍋は美味かった……それはつまり、鱈鍋で世界は征服出来ると言う事だ!」
     怪人、すげえポジティブ。
    「鱈鍋で世界征服……簡単に言うけれど、どういう状況なのかしら?」
    「毎日鱈鍋になりそうですね……適度に薦める程度でしたら、本当によいのに」
     表情は変えず呟いたアリアに、静香が此方も変わらぬ笑みを浮かべて相槌を打つ。
    「勿論、毎日3食鱈鍋だ! 喰らえ、鱈鍋ビーム!」
     怪人の頭の鍋の蓋が開いて、放たれる熱々のビーム。
    「3食お鍋なんて食費が……鱈鍋も、庶民の敵です」
     畳んだ段ボールの陰で庶民の敵と認定し、ミリアは静香に護りの符を飛ばす。
    「美味しかったのは事実ですけれど……残念ですね。白い身と言うには、アナタは闇に墜ちている」
     混ざった毒舌はビームの熱さのお返しか。
     静香は笑顔のままどす黒い殺気を放って、怪人を覆い尽くす。
    「たまに食べる分にはおいしいでしょうけれど、毎日鱈では困るわね……」
     小さな溜息と共に、螺旋に回るアリアの槍が怪人を貫いた。


    「鱈鍋は熱いだけではない! 鱈鍋スノウ!」
     怪人の力が降らせた雪が、アリアの体を凍らせる。
    「寒いだろう。すぐに溶かしてやる!」
     間髪いれずに飛びかかった怪人の前に、ライドキャリバーが割り込んだ。
    「ちっ。ならコイツから、鍋の具にしてやる!」
     ライドキャリバーを両手で抱えて、飛び上がる怪人。
     その足元に、巨大な鍋の幻影が現れる。
     そして鍋の中にライドキャリバーを投げ落とし――ぐつぐつぐつ、どーんっ。
    「これぞ鱈鍋ダイナミック!」
    「フリューゲルを勝手に鍋の具にしないで貰いたいわね」
     無表情の中に僅かに嫌悪の色を浮かべ、アリアの放った漆黒の弾丸が怪人を撃ち抜いてその体を蝕む。
     その背中にミリアの放った符が張り付いて、氷を溶かしていく。
    「刃、お願い」
     まだ氷が溶けきってないのを見て、ディアナは黒い狼の様な霊犬に呼びかけながら、自身は煌きと重力を纏った蹴りを怪人に叩き込む。
     ミリアが回復に専念し、足りない分をディアナとアリアが補う事で、灼滅者達はダメージの蓄積を最小限に抑えていた。
    「さあ、その鍋の中にある雪のような身を捌きましょうか」
     静香の振り下ろした魔性の刃は、たとえ血に染まらずとも切れ味鋭く、怪人の鍋頭に亀裂を刻み込む。
    「ば、馬鹿な!? 俺の鍋が負ける筈が!」
    「鍋は確かにこの時期美味いが、その押し付けは時に命に係わる。それを理解できなかったのがお前の敗因だったな」
     亀裂に愕然とする怪人に淡々と告げて、翼はロッドを鍋頭に軽く当てる。
     内側で暴れた魔力は、鍋の中身を激しく沸騰させて亀裂を広げる。
    「お代はこれで。釣りはいらん、ごっそさーん!」
    「ごちそうさまでした。おいしい食べ方伝えますから、安心してください」
     悟と想希が、タイミングを合わせ怪人の左右に躍り出る。
     オーラを纏った2人の拳が両側から挟み込むように連続で怪人に叩き込まれ、鍋頭に更なる亀裂が走る。
    「おいしかったけれど、その愛、押し付けちゃあダメです!」
     跳び上がったひなこが足に込めるは、チャージしたこの地の力。
    「さあ、お覚悟っ! 小樽鱈鍋キーック!」
     ご当地の力の込められた蹴りが、怪人の鍋に叩き込まれる。
    「お、おのれ……だが、この世に冬が来る限り、いつか鱈鍋が世界を――」
     バリーンッ!
     最後の台詞を言いきる前に怪人は爆散し、辺りに鱈鍋の香りが広がった。

    「貴方が振る舞ってくれた鱈鍋の味、決して忘れません!」
     消え行く鍋の残骸に手を合わせ、祈りを捧げるひなこ。
    「はぅ……鱈鍋ごと消えてしまいました。奪……預かって供養したかったのに」
     一方、何も残さず消え去った怪人に、ミリアが落胆を浮かべる。
    「もう少し暖かければ、フリューゲルで走りたかったけれど……今は冬だものね。少し観光……の前に、洗った方がいいかしら」
     怪人の攻撃の光景を思い出し、アリアは愛機のチェックを始める。
     こうして、鱈鍋怪人の野望は潰えたのだった。

    作者:泰月 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年12月19日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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