「もうすぐクリスマスだよね」
ふと、ぽつり。教室で榛原・七月(廃墟と悪戯・dn0228)がそう漏らせば、
「そうそう、そうですよねー! クリスマスパーティー楽しみです!」
と、桜田・美葉(桜花のエクスブレイン・dn0148)が目を輝かせてその話に食いつく。
「うんうん。でさ、クリスマスといえばケーキじゃん」
「ですです!」
「だよね。だから、クリスマスには皆で体育館に集まってケーキを」
「ケーキを!」
「投げよう」
「投げ……えぇえええええええ!?」
以上、ナナメ上のクリパ開催のお知らせだった。
「まぁ要するに、パイ投げのケーキバージョンだよ。クリスマスらしくね」
黒板にでっかく『ケーキ投げ』と書いた七月が淡々と説明する。いつものような無表情のまんまだが、内心面白がっていることは間違いない。
「やることは簡単、パイの代わりに力いっぱい、ケーキ投げ合うだけ……。あ、どうしてもパイ投げたい人はパイ投げても別にいいよ」
そこらへんはこだわらないらしい。ケーキもしくはパイを投げる、それ以外のルールはなし。点数とかも特になし。チーム分けなども基本的にはないが、個人的にチーム組みたい人たちは組んで出場しても構わない。もちろん、ソロ参加も大歓迎……とそこまでルール(あってないようなものだが)を説明した後、七月は皆の方に向き直った。
「何か質問ある?」
「はい」
美葉が真っ先に手を挙げた。
「そもそもなんでクリスマスにケーキ投げるんですか?」
「楽しいから?」
何が不思議なんだと言いたそうに七月は首を傾げた。
「そもそもパイ投げ……今回はケーキ投げだけど、に理由を求めちゃダメだよ」
「……はぁ。そういうもんなんですか」
美葉はこめかみを押さえた。
「……あの、てっきり『リア充爆発しろー!』って人達がカップルの人達に向かってケーキを投げつけるイベントなのかと思って」
「ああ、そういうのも面白そうだね? もちろん、そういうのもアリだよ」
「アリなんだ!? ……でも、それじゃ、カップルの人達は参加を控えた方がいいんじゃ……狙い撃ちにされそう……」
一人リア充の身を案じる美葉(優しい)だが、七月はこともなげに
「いや、カップル参加もいいと思うよ」
と付け加える。
「いいんだ!? ケーキまみれになりそうなのに!?」
「それならそれで、合法的に『も~、ほっぺにクリームついてるよ☆(ぺろっ)』ができる」
「いや合法的にも何もそれそもそも違法じゃないから!!」
美葉渾身のツッコミを軽くいなし、七月は表情だけは真面目に続けた。
「それに、相手の口に向かってケーキを投げる、名付けて『ダイナミックケーキあ~ん』で二人の絆が深まるかもしれない」
「失敗したら大惨事ですけど!?」
尤もなツッコミは華麗に無視。表情だけは真面目に(以下略)。
「あとは、飛び交うケーキから恋人なり意中の人なりを守れば好感度上がるかもだし。逆に意中の人に向かって『私の愛を受け取りやがれー!』とか言ってケーキぶん投げるのもいいんじゃないかなぁ」
「いや告白なら他にもっといい方法あるでしょ!?」
突っ込むのも疲れたと美葉は頭を抱える。ダメだ、この人ただ面白がってるだけだ! 顔だけは真顔なのに!
「もう、普通にクリスマスパーティー楽しみたいだけなのにー!」
嘆く美葉に、七月は優しく手を差し伸べる。
「そう、普通に楽しめばいい。色々言っちゃったけど、楽しみ方は人それぞれだからね。友達同士で騒ぐもよし、無料ケーキ食べ放題感覚で食べまくるもよし。年に一度のクリスマスだもの。たまにはこんなお馬鹿なイベントに乗っかってみるのもいいんじゃない?」
「…………そっか」
ふっと、美葉の顔から力が抜けた。笑ってるように。でも、これだけは譲れない。
「……ところでお風呂はありますか?」
「……ないから各自汚れてもいい格好で来てね」
全力で楽しむために。
「りんごお姉様を倒しましょう。魔王討伐すればあとは平和ですし」
緋頼の言葉を引金に、【花園】メンバーはりんごを集中砲火。
「り、りんごさん、お覚悟を! えーい!」
璃耶も意を決して投げ始め、躊躇していたセカイも、青いアオザイのスリットの隙間からスティックケーキを取り出し、苦無のように投げ放った。
「えいえいえいっ! ケーキバイキングならぬケーキマシンガンだよっ!」
由希奈はミニケーキを次々と投げつつ、りんごと遊べる喜びを噛締める。
「うふふ、白いどろどろ塗れにしてあげるわ♪」
水着姿のタシェは妖艶な笑みを浮かべつつ、りんごの胸狙いで投げ、スミレもりんごのりんご(胸部)に生クリームのケーキをホール単位でぶちまけては舐め取るコンボ。
「ふふふ。この食感、久方ぶりですわ……♪」
「皆さん集中攻撃しすぎじゃないですかね?!」
身を捩るりんご。そこに青いミニスカメイド姿の一美が突撃し、トドメの一撃!
「ついに花園の魔王様を討ち取りましたっ」
真っ白になって倒れるりんごの写真を撮った後、緋頼はお姉様を独占するため、他の人にも攻撃を仕掛ける。その緋頼狙いで一美はケーキ投げ。
「緋頼さん、覚悟~」
そして交戦中、背後から鋭い殺気が。咄嗟に身を翻そうとし、ケーキで滑って仰向けに転ぶ。そこには魔王様の姿。
「……よくもやってくれましたね?」
黒い笑みを浮かべ、りんごは緋頼を皮切りに反撃開始。タシェまで一緒になって攻撃に加わる。
「あうー、いっぱい飛んできてクリームベタベタなの、甘くて美味しいけど」
あむりとエステルが掬って食べれば、雛が頬のクリームをぺろり。
「うふ、エステルったら甘くて美味しいわv」
「みゃう、くすぐったいの、あまあまー」
「ふふ、もっと頂いちゃおうかしら……って、きゃっ!」
いちゃつく二人に、りんごのケーキが直撃。
「うふ、うふふ……人の恋路を邪魔したらどうなるか、分かっておりますわよね?」
雛がいきり立つ。しかし逆襲は止まらない。次は璃耶の胸にクリームべったり叩きつけ。
「きゃあ!? ど、どこを攻撃しているんですか!?」
「璃耶ちゃん大丈夫? って、こっちにも攻撃来た~!?」
「もちろん皆さん逃がしませんよ?」
「……あ、やっぱり私も狙うの? ええい死なば諸共っ」
タシェが抱き着き、皆仲良くクリーム塗れ。
「順番に舐めとってあげましょうねー?」
「そうね、手と口で綺麗にしてあげる♪」
最後にはりんごとタシェが美味しく頂きました。
「あ、あの……りんごさん、そんな所舐められてはくすぐった……ひゃうん!」
「行きますわよ! 『どちらが多く、いちごさんにケーキを直撃させられるか』勝負!」
桐香とアリカが、いちごに向かってケーキを振り翳す。
「ちょ?! 何で私を狙うんですか?!」
逃げるいちごに追う二人。かなり本気で投げつけてくる。
「大丈夫、どんな姿のいちごさんでも、私愛せますから!」
二人の集中砲火にいちごはクリーム塗れ。目が見えなくなってふらふらと、「どうやら勝負は引き分け……」と汗を拭う桐香を巻き込んで倒れる。
「って、ちょっといちごさーん!?」
「す、すみませんー?!」
藍凛と菖蒲、そして七月。皆で兵隊の恰好全身フル装備。
「……8時方向に標的確認」
藍凛の声にはハンドサインで応え、
「行くぞ雪下隊員!」
などと隊員呼びしながら、淡々と連携して無慈悲真顔にケーキを投げまくる、中二全開のゲリラ兵チーム。
しかし菖蒲が偵察に行った時、藍凛が七月に囁いた。
「……菖蒲の顔に巨大ケーキぶち当てる裏切りプレイしたいんだ。七月君力を貸してくれ」
「オフコース」
輝く瞳で親指立てる七月。菖蒲の隙を突き突如、二人でケーキの乗ったトレーの端と端を持ち、駆け抜け顔面パァン!
「くっそ、やっぱ最後こうなるのかよ!!」
お返しに、菖蒲も藍凛の顔面に思い切りケーキをぶつけた。
「……まさか投げ合うなんて……まぁいいのかなぁ……?」
神影は飛び交うケーキを走り回って避けながら食べ、時には反撃していく。しかし床のケーキに足を取られて転び、流れケーキ直撃。したらしたで、誰彼構わずにケーキを投げ始めた。
「こんな楽しいイベントは浮かれてしまいますね! メリークリスマス!」
チーム【物置】。赤い八雲サンタが笑顔で、「良い子にプレゼント!」と、全力で生クリームがたっぷりと乗ったケーキを投げ、
「メリークリスマス! 悪い子には炭ケーキをプレゼントですよー!」
と黒い実季サンタが特製の炭クリームケーキを正確に投擲していく。隙を見て、八雲サンタにもぶつけた。
「サンタ同士仲良く遊びましょう!」
麒麟は司に守ってもらいながら、色んなケーキを頂く。
「……こっちのケーキも美味しいよ、司くんもたべる?」
あーん、と差し出す麒麟に、ちょっと照れながら口を開けたその時。
「ぺふっ?!」
流れケーキが顔に直撃。
「……油断した……」
座り込む司に、麒麟は
「……ん、司くん、ほっぺにクリームついてる」
と、頬をぺろっ。
「って、きりんさん何して?!」
動揺する司。でもきっと合法。
「ん、空気が甘いのはケーキのせい、かな」
「きっとそうだね」
ケーキのせいだとしても嬉しいかもしれない。
「七月さーん、メリクリですー!」
挨拶がてら、陽桜は七月に生クリームたっぷりのホールケーキを投げ、柚理も、
「メリークリスマス!」
とケーキを思いっきり投げる。受け止めた七月も、
「メリクリー」
と投げ返し。クリーム払ってきゃっきゃと笑い、陽桜と柚理はケーキに舌鼓を打つ。
「おいしいです♪ これ、かなりテンション上がっちゃいますね!」
「うんうん。やっぱりケーキはおいしく頂いてこそだよね!」
「ですよね、投げなくても……」
ちゃっかり話に入ってきた美葉に、陽桜は満面の笑みを浮かべて。
「あ♪ 美葉ちゃんー! 今年もお世話になりました! てことでぇ、あたしからのあいじょーですよ☆」
と桜色のホイップされたホールケーキを投げる。直撃でちょっと涙目になりつつも、
「わ、私もお世話になりました!」
と美葉は苺ショートを差し出した。
「逃げんな大人しくしろ!」
【ガード下】の仲間である漣香に、銀は思い切りケーキを振り被る。
「なんでさ! 眼鏡狙わないで! つかお前なんで一緒になって振りかぶってんの!」
楽しそうなビハインドにツッコミ入れつつ、全力で逃げる漣香。
「くっそ応戦だオラァってぶっ!」
投げ返そうとした矢先、顔面にケーキ直撃。そこに迫る千巻の椀子ケーキ。
「漣香くーん……まだ入るでしょ? ね……?」
「いやまだ口に入って……うぐ」
「口直しにミートパイどうぞ」
笑顔でねじ込んでくる貫。
「あっつぅ!! らいもんちゃん助けて、この人達オレをいじめるの」
しかし貫は皆に、つまりらいもんにもねじ込んでた。
「らいもんも頑張れ、煎餅好きだが甘いのもいけるだろ」
そんな貫に、銀は個人的な報復として、ひたすらケーキを切り分けて皿に盛っていく。リア充な銀に貫は砂糖菓子サンタたっぷり盛ってお返し。
「サンタ多っ! 降ろせ降ろせ」
いっぱい馬鹿やって、食べて、笑って。千巻は漣香に微笑む。
「おかえりなさい」
「……うん。戻れて、よかった」
「うふふ、この時が来たわネ……! メリーデストロイ!」
ジャージ姿のつぐみが、フルーツ系のかわいいケーキで女子力上げつつ、【アルニカ】の皆を全力攻撃する。
めいこもサンタの格好で華麗なケーキ爆撃。皆が好きそうなケーキを選び、名前を呼んで振り返った一瞬で狙い入れる。
「ケーキのプレゼントです! どうぞ!」
「さあ皆さん、お覚悟!」
トナカイの格好をした敬厳も、全員に違うケーキを用意してくる徹底ぶり。男性陣には全力、女性陣にはふんわりと投げていく。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、ってね!」
ブラックサンタで参戦した千鶴も、小さめプリンタルトをぽいぽい投げる。
ジャージ姿の律は皆からのケーキを頂きつつ、今後の参考に落ちたケーキも少しずつ味見。合間に用意されたケーキを投げ、油断させた隙に(いつも妹に辛いと言われる料理に使う調味料混ぜた)特製ケーキ狙撃。
「どーぞ、っす」
皆のケーキを全力で頂きに行っていた千鶴だが、これには。
「あれ、ケーキを食べてたはずなのに口がひりひりする……?」
と首を傾げる。
「どのケーキも美味しいですが、律さんのだけ……辛いですね!」
敬厳も被害に。先輩達のケーキはキャッチできるように頑張っていためいこも、兄のケーキは回避を試みる。しかし、つぐみは全員のケーキを敢えて避けない。
「ま、まあガッツ見せてやるわヨ。かかってきなさい!」
「いくですよー! 小ケーキの連続投げなのですーっ!」
【夢の里】の皆と一緒に、聖也はケーキ投げに興じる。彼から投げられたケーキを、カーリーは顔面キャッチしてそのまま食べた。
「ボクも負けないように投げつけるよー! 覚悟しろー♪」
彼女も楽しげにケーキを投げ、千歌も
「雪合戦ならぬケーキ合戦っす! おりゃーお覚悟ーっす!」
と、痛くないようにクリーム多めな奴を投げていく。標的は同クラブの皆とナノ山さん。
「ぶわっ! いっぱいケーキを投げられたのです! ここは一度落ち着いてケーキを食べるです……美味しいのです!」
皆からケーキくらった聖也は、一旦手を止めてケーキ食べ。カーリーからのケーキを顔面キャッチした後、二発続けて顔にもらった千歌もまた美味しく頂く。ナノ山さんも然り。
「終わったら皆でケーキバイキング行こうよ♪」
ケーキを綺麗に片付けつつ、カーリーは笑顔で誘う。
星空芸能館VS糸括のクラブ対抗連合戦! なお糸括メンツはほぼ正装のウサミミメイド姿です☆
「オーライ、糸括じょしりょく隊、全力発進でっす!」
ミカエラが突撃し、杏子も、
「ご注文のケーキ、お待たせ……、きゃああっ! あっ、これ、飾りのデコチョコ!」
とケーキとチョコぶん投げ。
「向こうに特別恨みはないけど覚悟!」
渚緒は人参をトッピングした特製カレーケーキを投げる! 対する星空チーム、流希は彼特製脳が甘さを理解するまで数秒掛かる激甘クリームをパイに混ぜ込んで投げた。人体に優しい激辛ハバネロクリームも。
「流希ちんのそのパイはスゲー味がしそうだな?」
思わず二度見しつつ、マサムネは苺ショートを投げる。
「甘い物ばかりだと飽きちゃうよね」
柚澄は塩コショウとコンソメで味付けしたキャロットケーキやパンプキンケーキを欲しい人に投げる、つもりが変な所に飛んでいく。
「ウサミミ揺らしてぇぇ♪ スカートの中は見ちゃノンノン♪ 女の子のヒ・ミ・ツな、のぉぉぉぉぉぉ!!」
明莉は可愛く歌いながら、主にマサムネにケーキを投げる!
「そのメイドウサミミ姿はなんスか!? てか男のスカートの中身見て誰得なんッスか!」
避けつつマサムネはツッコミと投げ返し。
「マサムネ、気にしたら奴の術中だぞ♪」
徒はそう言いつつ、くらえーっ!! と力一杯明莉に向かってケーキを投げた。その徒に向かって、千尋がイチゴ&ブルーベリーソース仕立てのレアチーズケーキを振り被る!
「いらっしゃいませ、ご主人サマ!」
それに心桜も続く。メイド部隊のコンビネーション! さらにくるみが用意してきた大量のカップケーキのうち一つが徒に命中。頭が真っ赤に。
「あ、苺ジャムはいってましたね。それ当たりですよ~♪」
千尋とくるみのケーキで顔面スプラッター。負けじと糸括女子に美味しそうなところを見繕って叩きつける徒。千尋は鍋蓋でガードするが、ミカエラは
「じょしりょく(ケーキ)、バンザーイ! チーズケーキもチョコケーキもイチゴショートも美味し~っ♪」
と、当たるを幸い、食い尽くす勢い。
「女子力の本気、お見せしますヨ!」
和奏は生クリームで覆ったすりおろし人参たっぷりのケーキで反撃! ついでに何故か渚緒の方にも飛んでくる。
「……って、投げる相手が違くないかな――うひゃー!」
「だって糸括の人を狙うなとは言われてないですしね☆」
味方すら狙われる白熱バトルを尻目に、心桜は落ちたケーキと女の子達を集めてお茶会。輝乃が色んな飲み物用意し、柚澄もスープとヨウルトルットゥ持参で参加。
「あの……ボクもお邪魔していいですか……?」
おずおずと尋ねるくるみを、
「もちろん大歓迎だよっ。えへへ、こうしてお話出来るって、いいねえっ」
と杏子は笑顔で迎え入れ。暫し、女の子達の話に花が咲く。
「こんなに美味しいケーキなのにどうして投げなければならんのかのう……のう、キョン嬢……」
「そうだねぇ」
「てか何でお茶会開いてんの?」
首傾げつつ明莉はぶんっとケーキ提供。飛び交うケーキをファルケは片っ端から皿でキャッチ&女子会にリリース。そんな彼に徒は容赦なく流希の特製クリームを叩きつけるが、それも受け止める。
「ふ、今日の俺はすーぱーぐれいとゴールキーパーだ。何人たりとも、俺の後ろにケーキは通させねぇ」
「……え、全部受け止めるの?」
柚澄は目をパチクリ。
「枕投げ王者舐めんなよ!」
そこに飛んでくる脇差の正確な一撃。
「その恨み晴らさでおくべきか!」
すかさず心桜が正々堂々、彼の顔面からケーキをぶつける。さらに明莉も、
「あ、ごめん鈍、手が滑った」
脇差の後頭部にケーキべしっ。便乗した渚緒も投げてくる。咄嗟に庇った千尋、直撃。
「まさかの味方からの攻撃……これは……想定外……」
「お前ら絶対わざとだろ!!」
脇差はケーキに砂糖を山程かけて、明莉の顔面にカウンターアタック!
「ふははは、わらわ、刺客なのじゃー!」
そこに裏切りの心桜が口にケーキを押し込んできた。杏子までそれに続く。
「よーし、負けないよ!」
黄緑のマイクロビキニ姿のジヴェアも、凝ったケーキで集中攻撃。甘いの苦手な明莉、キモチ悪くなってリタイア。後、脇差も徒からの人参ケーキに敢え無く撃沈。
一方、落ちたケーキも食べていたジヴェアも、友人のカーリーから襲撃を受ける。「きゃっ! やったなー」とおどける彼女を、流れケーキから身を挺して護りに行く静穂。終いには青のぴっちりした競泳水着が真っ白になるほどケーキ塗れに。でも嬉しそう。ドMだから。
「あはは、べとべとぉ……でも、こんな姿になってる私も……良い♪」
(「これ、クラブ対抗戦じゃなくてバトルロイヤルじゃないかな?」)
輝乃はそう思いつつ、隅の方で目立たぬ様、こっそり持ってきた紅茶を片手にケーキを食べてた流希に、紫色の何かが蠢く知り合い特製ケーキ投げ!
「えっ、なんですか? これは……」
「何だろうね?」
輝乃も首を傾げた。一先ずクリーニングを施す流希を見つつ、
「やはりケーキを投げるのはよくない、うん」
ファルケは真っ当なことを呟いたのだった。
「くらえ嶌森。ナッツたっぷりキャラメルケーキ!」
【沈黙】の一員、円理の一撃を、イコは構えと視線から事前に察知。ぱくっともぐっと3Dキャッチ!
「あっさりクリアだと。くっ、次はさめっちだ!」
今度は成海に向かい、プチケーキ三連星を流麗なフォームで……。
「甘いわね……プチシューなんて朝飯前です」
成海、高速反復横跳びで連続キャッチ。特大ブッシュドノエルを円理の口に植え込む!
「ぐっ、後はヒヒヒの人を撃墜するしか!」
なんとか飲み込みつつ、円理は雪兎のようなドームケーキ(直径30cm)を円蔵に全力投擲!
「そのケーキは大きすぎですよぉ!」
円蔵は紙皿で勢い殺しつつきっちりキャッチ。お返しにイコが、9号のミルフイユをご賞味あれと豪速球。円理、円蔵に倣い紙皿で受け止め一口で4分の1吸引、完食。直後、円蔵から飛んでくる手刀カットケーキ。出る、鼻からはみ出る。哀れ大喰らいの名は返上。
「ふふ、未だ未だですね?」
笑うイコ、お次は成海に放物線描く爽やかシトロンタルト。お返しに成海はフルーツとクリーム挟んだミルクレープを、アンダースローでお口にお届け。
一方の円蔵は、イコといちゃらぶするため、成海にも刀削麺スタイルでしゅしゅっと放り込む。成海は重量感たっぷりバナナブレッドで対抗。
「円蔵さん、はいあーん♪」
その隙を突き、イコは愛を籠めて人参ケーキを1ダースほど連続投擲。息つく暇が欲しくとも、円蔵は無条件で若干いちゃいちゃ気味に食べる。それが彼の心意気。
(「舞依とサキぴょんに大きなケーキをぶつけて二人の服を汚し、予め用意していた自作の巫女服を渡して着替えてもらうのが今回のミッションだ」)
失敗は許されない。いざ。【いも部】の熾は舞依にはチョコタルト、サキには苺のショートケーキをホールでぶつけようとする。それをサキはケーキをぶつけて叩き落とし、舞依は大きなお皿を盾代わりにしつつ、
「お兄様はか弱い女の子にケーキぶつけるつもりね。ひどいわ……」
と噓泣き。熾がおろおろした隙に、手作りミニパウンドケーキ(個包装)をぴこぴこ投げる。顔面で受け止め吹っ飛ぶ熾。
「んー……熾、一回だけ、投げてみても良い……?」
周りを見てやりたくなったサキが尋ねる。熾はよろよろと立ち上がり、両手を広げた。
「投げたまえ、サキぴょんの愛を受け止めようではないか」
結構本気でぶつけるサキ。熾はまたしても顔面で受け止め奥まで吹っ飛ぶ。
「失敗は許されな……い……がくっ」
サキはちょっぴり満足げになって、舞依と隅っこでケーキを美味しく頂いた。
「ズバリ、たくさんケーキをぶつけ、かつ、たくさんケーキを食べられた者の勝利だよ! ちなみに誰かをケーキにして打ち上げたら50点だよ」
人が決めたルールに、早速乗っかるチーム【夢幻回廊】。刑と木菟に何故か白羽の矢が立った。打ち上げられ役の。
「嫌だァァァァ!! 星になるなんて嫌だァァァ!!」
刑は必死に逃げようとするがあっさり捕まり。アイスバーンは二人に生クリームやフルーツをぺたぺた塗りつけていく。
「わたしの高得点のために華々しく散っていただけるとうれしいかな? って……」
「迷惑にならないように天井に打ち上げるから大丈夫ですですよね!」
フェリスも手伝い、
「これが緩衝材になって命を救う事になるかもしれない。そんな俺の慈悲の気持ち! 受け取って下さい! そしてしね!」
紫廉は打ち上げられる野郎どもの脳天にケーキを叩きつけまくる。そして力を合わせて打ち上げ。木菟は天井の染みになった。スイーツ!
「うおおおおおおおおお!? 体がケーキ塗れにされた上に打ち上げ花火の様に天井に叩き付けられたみたいに痛いいいいいいいいい!?」
その後、木菟は壁歩きを駆使して天井に残ったケーキを食べつつ、宙を舞うケーキを捕食する。その姿は台所の悪魔の様。だがテンション上がった彼は気にしない。
一方、天井に頭からぶっ刺ささった刑は、頭より下がぷ~らぷら揺れて暫く後、これまた頭から落下した。……合掌。
まだまだ続くケーキ投げ。フェリスは霊犬のリオと協力して流れケーキを(マテロで)叩き落とす!
「背中は任せるね、リオ!」
そして人は落ちたケーキを食べることで点数を稼ぐ!
「アヒィ! ケーキ……ケーキ美味しい! ……オイシイ! ペーロペロ! ケーキペーロペロペロ!!」
……彼のことはさて置き。アヅマは大きめの皿を盾に逃げ回る。避けて防いでケーキを食す、そんな彼を紫廉がつけ狙う。同学年で4cmも身長高いとか許せなくて。隙を突き、アヅマの脳天目掛けてダンクシューッ!
「アヅマンマン! 新しい帽子よ!」
「いやアヅマンマンてなnぎゃあ!」
すっかりケーキ塗れになったアヅマは、通りがかった美葉を見、死んだ目で部員達を指差す。
「ごらん桜田さん……これが【夢幻回廊】ってクラブだよ」
「あ、はい、えっとあの……とにかくすごいってことは分かりました」
惨状に戸惑いつつ、美葉は確りと頷いたのだった。
作者:ライ麦 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2016年12月24日
難度:簡単
参加:64人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 11
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