運動会2017~思い輝く応援合戦

    作者:陵かなめ

    ●もうすぐ運動会!
     6月11日は、武蔵坂学園の運動会だ!
     組連合ごとに力を合わせて優勝を目指す戦いが今、はじまろうとしていた!

    ●応援合戦♪
    「ふむふむ、応援合戦ね♪」
     配られたプリントに目を通した空色・紺子(大学生魔法使い・dn0105)がにっこりと微笑んだ。
     プリントには、応援合戦はれっきとした運動会の競技であること。
     所属する組に限らず、誰でも好きな者を応援してよいこと。誰とでもグループになってもいいし、一人で舞台に立っても良いこと。
     ただし、MVPもきちんと一人選ばれることなどが説明されている。
     1グループに与えられた時間は3分間。
     その中で、観客の目を引き、一番楽しく盛り上げた者がMVPとなるのだ。
     そして、得点は参加者の組に加算される。応援の対象に加算されるのではないので、そこは注意だ。
    「応援する思いはきっと力になるよね♪ うんうん。いろんな応援で運動会を盛り上げたら、きっと楽しいよね!」
     運動会の楽しい雰囲気を想像して、紺子は期待に瞳を輝かせた。
     一言に応援といっても、その方法は様々である。歌、踊り、掛け声、独自のパフォーマンスなどなど。きっときっと、いろいろな応援が見れるに違いない。
     さあ、一緒に運動会を盛り上げよう!


    ■リプレイ

    ●がんばれ がんばる 武蔵坂!
     武蔵坂学園の生徒たちは、めいっぱい運動会を楽しんでいた。
     さてここは応援合戦会場、派手やかに装飾されたグラウンドのステージだ。
    「イェー! 元気かお前ら!」
     グランドからご機嫌な声が響いてきた。
     加持・陽司(炎の中学生・d36254)、いや、DJ.YOJIのマイクパフォーマンスだ。
    「せっかくの運動会なんだ! 勝っても負けても恨みっこなし! いくぜお前ら、全力で今を楽しめよ!」
     そう言って、紅白それぞれの組に声をかける。
     各組からは、威勢の良い返答の叫びが聞こえてきた。応援合戦の始まりを知り、いよいよ会場が盛り上がってくる。
    「これからのキミたちを応援して、盛り上げようとしてるナイスな奴らの登場だ!」
     DJ.YOJIが指差すと同時に、ぱっとスポットライトが切り替わった。
     その先に、体操服を改造したと思われる、豪華なステージ衣装に身を包んだ星野・えりな(スターライトエンジェル・d02158)の姿がある。
    「皆さん、今年も私たち星空芸能館から、学園の皆へ……、皆へ、応援のプレゼントです」
     まだまだ熱い戦いはこれから。悔いなく一生懸命頑張ろうと激励した。
    「それでは皆さん、ご一緒に……『がんばれ がんばる 武蔵坂』」
     えりなが両手を頭上に大きく掲げ、手拍子を始める。
     さあ、だんだんと客席からも手拍子が聞こえてきた。
     野村・さやか(天奏音楽・d00162)も観客席からユーフォニアムの演奏を始める。
    「他のみんなの『縁の下の力持ち』として、ユーフォを演奏するんだっ」
     そう言っていたさやかの軽快な演奏に乗せ、えりなが歌う。
     もちろん、さやかのユーフォの音色は、運動会に参加している皆のための音だ。
     他にも、観客席からいくつも楽しげな音が聞こえてきた。
    「がんばれ がんばる 武蔵坂~♪」
     タンバリンでリズムを取りながら、榊・くるみ(がんばる女の子・d02009)は踊る。周辺の生徒を促しながら、楽しげに盛り上げた。観客席の生徒たちも、だんだんリズムに乗って、あわせて歌い始めている。
    「小学生も」
    『がんばれ!』
    「中学生も」
    『がんばれ!』
     歌に合わせて観客席から合いの手を入れているのは椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)だ。
     楽しげなチアダンスで、一気に周囲を巻き込んでいく。
     ステージ上のえりなの歌声と、観客席から盛り上げる星空芸能館の皆で、会場に手拍子や歌声があふれ出した。
     ♪ がんばれ がんばる 武蔵坂!
     ♪ がんばれ がんばる 武蔵坂!
     ツインネックギターで演奏しているのは紅羽・流希(挑戦者・d10975)。
     観客が乗りやすいよう、主旋律とメロディーラインを演奏し分けながら、周囲を見る。
    「歌詞が分からない? そうですねぇ、それでは、これをどうぞ」
     準備をしていた歌詞カードを見せ、一緒に歌えるよう促した。
     えりなの歌と客席からの声は徐々に大きな波となり、会場全体を包み込んでいく。
    「がんばれ♪ がんばれ♪」
     ジヴェア・スレイ(ローリングエッジス・d19052)が観客席で、くるりと可憐なターンを決めた。
     目の前にはグロッケン。
     楽器を演奏し、更に音楽の存在感を高めていく。
     そのジヴェアの姿がステージ上の大スクリーンに映し出された。
     師走崎・徒(流星ランナー・d25006)がハンディカムで撮影して回っているのだ。
    「みんな がーんーばーれー!!」
     徒は客席を走り、楽しげな様子の仲間達を次々にスクリーンに映していく。
     さやかがユーフォを抱え立ち上がった。
     持っていたタンバリンを隣の観客にプレゼントし、ステージに向かって駆け出すくるみ。
     紗里亜もチアダンスのステップを踏みながらステージを目指した。
    「紺子さんもご一緒に~♪ 恥ずかしがっちゃダメですよ♪」
    「ええ?! うん。歌うよー♪」
     ステージから指名されて、紺子が慌てたように手を振る。
    「いやはや、やはり、全員で揃ってこその、この盛り上がりですねぇ……」
     ステージに集まってきた皆を見て流希が言う。
     観客席で盛り上げていた星空芸能館のメンバーが、ステージに集合した。
    「がんばれ がんばる 武蔵坂!」
     ジヴェアがステージ上で華麗に回転ジャンプを披露する。
     皆も、歌に合わせて踊り、歌い、更に熱く盛り上げた。
    「ファイト ファイト ファイトオー!」
     スクリーンに、皆の笑顔が映る。
     徒がハンディカムを手に走り、観客達の笑顔も映し出した。
    「「「「ファイト ファイトオー!」」」」
     最後は全員で。
     歌声が重なり、応援歌が終了した。
     客席から沸きあがる拍手の渦。
     星空芸能館のメンバーが揃って一礼し、ステージは終了した。

    ●炎と女神と
    「盛り上がってきたな! それじゃあ、次はこの猛者だ!!」
     再び、マイクが陽司の手に渡る。
     紹介の声と共に、東当・悟(の身長はプラス三センチ・d00662)が舞台に立った。
    「うおおお!」
     はっと、客席の生徒たちが悟の持つバトンに注目する。
     バトンには赤々と炎が灯っていた。
     悟が手拍子を求めると、客席から拍手が沸き起こる。
     雄雄しい太鼓の音をバックに、悟が叫び始めた。
    「フレーフレー想希!」
     大きくゆっくりと回していたバトンのスピードが徐々に早まっていく。
     絶対勝つのだと、正面左右にバトンを回し、炎を躍らせた。野生を解き放つがごとくの激しい炎の舞に、客席も息を呑む。
    「うおおお絶対勝つでぇふぁぁいっ!」
     太鼓の音と共に雄雄しく吼えると、客席から割れんばかりの拍手が巻き起こった。
    「ひゅー! 最後は棒術の一字構え! こりゃすげえぞ!」
     司会進行を乗っ取った陽司も大きく拍手し声を張り上げる。
    「そして、次は――、ああっと美しい女神たちか!! さあ、みんな、拍手で迎えようじゃないか!」
     陽司が次に紹介したのは『スリースターズ』の三人だ。
     ピンク、黄色、青とそれぞれのイメージカラーのレオタードを身に纏い、美波・奏音(エルフェンリッターカノン・d07244)、卯月・あるな(ファーストフェアリー・d15875)、陸・舞音(胸に秘めし蒼き激情・d35449)が舞台に登場した。
    「奏音さん、あるなさん、よろしくお願いします!」
     舞音が二人を見た。今年は、新しくクラスに入った舞音を加え三人ユニットとして舞台に立っている。
    「頑張ろうね、舞音ちゃん!」
     あるなは答えて奏音を見た。
    「Are you ready?」
     奏音が頷き、合図を出す。
     それぞれがリボンを構え滑り出すように踊り始めた。
     奏音はしなやかに体のラインを強調するように踊り観客を魅了する。
     元気いっぱいに飛んだり跳ねたりしているのはあるなだ。
     恥ずかしさで動きのぎこちなかった舞音も、スイッチが入ったのか、大胆な動きでリボンを繰った。
     誰かが気づいて指をさす。
     三人がリボンで描いているのは、☆だ。
    「「「Let's go! Ready go! 4・D・椿!」」」
     声が重なる。
     4D椿の組み連合を応援する、三つの星が可憐に舞う。
    「「「Let's go! Ready go! 4・D・椿!」」」
     観客席からは、踊りに合わせた手拍子。
     奏音が大きく身体を回し、あるなが近くで跳ねる。
     舞音は二人を包み込むような動作でリボンを大きく揺らした。
    「「「Let's go! Ready go! 4・D・椿!」」」
     ぴったりと息の合った演技に、会場の拍手も大きくなっていく。
     最後に各々がポーズを決め、ダンスが終わった。
    「すばらしいリボン捌き!! あらためて、三人に拍手を!」
     陽司が再びマイクを握り呼びかけると、会場から一段と大きな拍手が沸き起こった。

    ●行くぞ、光画部戦隊!!
    「お前ら、温まってきたよな! それじゃあ、次は光画部の出番だ!」
     陽司の紹介の声が会場に響く。
    「さあ、みんな! 運動会、がんばっていきましょう!!」
     待っていましたと、保戸島・まぐろ(無敵艦隊・d06091)が合図の掛け声を上げた。
    「「「おーっ!」」」
     メンバーがポンポンを持つ手を突き上げて返事をする。
     同時に、爆発とカラフルな煙が舞い上がった。
     いきなりの派手な演出に、会場からも歓声が上がる。
     さあ、煙の中からチアガール風の戦隊員たちが姿を現した。
    「みんなに気合を入れる!! 光画部レッド!!」
     スカートをひらめかせ、まぐろがびしりとポーズを決める。
     続けて、やや煙に燻されながら日野森・翠(緩瀬の守り巫女・d03366)が飛び出した。
    「目に優しい、癒やしの緑。光画部グリーン!」
     チアガールお約束のポンポンを振りながらポーズを決め、満面の笑みを浮かべた。
    「せっかくのお祭りだ。派手に行くぜ!」
     椎葉・武流(ファイアフォージャー・d08137)は、学ラン姿で登場し正拳突きのアクションを披露する。
    「みんなの勇気を呼び起こす! 光画部ブラック!」
     その後、仲間に合わせてポーズを決める。
     さて、再びチアガール衣装の隊員が登場した。
    「皆にキラキラ太陽笑顔!! 光画部イエロー!!」
     月影・木乃葉(人狼生まれ人育ち・d34599)はズボンを用いた男性用チア衣装だ。
     キラリ笑顔が輝いて、ポンポンを持ちポーズを決める。
    「優しく照らす青い空!! 光画部ブルー!!」
     黒岩・いちご(ないしょのアーティスト・d10643)が華麗にポーズをとった。
     なお、チアガール衣装はミニスカであるが、ローアングルの撮影などは禁止となっている。ミニスカートは鉄壁です♪ とのことだ。
     続いて墨沢・由希奈(墨染直路・d01252)が飛び出してきた。
    「天翔ける花びら! 光画部ピンク!!」
     足を高く掲げた後、みんなに合わせてポーズをとる。中にはショートパンツをはいているから安心しました。
     レッド、グリーン、ブラック、イエロー、ブルーにピンクと、全員が出揃った。
    「ああーっと、何事か! あの謎の戦闘員たちは一体?!」
     と、陽司がマイクを握り締めステージの端から現れた戦闘員を指差す。全身黒ずくめの戦闘員たちを見て、光画部のメンバーが向かっていった。
     ポンポンで? ポンポンで! それぞれの戦闘員と対峙し、戦闘を開始する。
    「やっ、とうっ!!」
     木乃葉が戦闘員の攻撃を受け流し、可憐なポンポンパンチで敵を打ち倒した。
    「行きますよ! ピンク♪」
    「は、はいっ」
     いちごと由希奈は二人揃って技を繰り出し、敵を撃破する。
     由希奈にとっては若干の躊躇いがあった。けれど、隣でチアガール衣装の裾をひらり揺らして頑張るいちごを見て思う。
    (「いちごくんも頑張ってるし、私も頑張るっ」)
     撃破した謎の戦闘員たちが、スペースの都合上すごすご退場して行った。
    「えーい、いきますですよ!」
     翠が仲間の支えで飛び上がり、敵を蹴飛ばして……勢いあまってバランスを崩した。
     おっとっとと身を起こす。
     翠の復活を待って止まっていた謎の戦闘員が、あらためてやられたと地面に伏した。
     これもお茶目のうちなのです。
     ポンポンで自分の頭を叩く翠へ、会場から拍手が贈られた。
    「はあっ」
    「せいっ」
     まぐろと武流も順当に敵を撃破した。
    「あーっと、ついに謎の戦闘員さんたちを撃破した! すげー強いぞ、こいつらよ!」
     場を盛り上げるように陽司が解説を入れると、光画部のメンバーたちが決めポーズをとった。
    「花のひとひらは、空からずっと見ているよっ! がんばれっ、がんばれっ!」
    「これからの皆さんの活躍、青い空と一緒に見ていますよっ! がんばれっ、がんばれっ!」
     由希奈といちごが会場に向かって激励を飛ばす。
    「これからの戦いのエネルギーを、みなさまに注入、なのですー♪」
     翠はぴょんぴょん跳ねて皆を応援した。
    「あなたたちの弱気という敵を倒したわ!! さあ、全力で運動会を盛り上げましょう!!」
     まぐろがそう言うと、会場からわっと声が上がる。
    「お前達の勇気、取り戻したぜ! 最後の最後まであきらめるなよ!」
     きりりと勇敢に、武流も生徒たちを励ました。
    「皆のキラキラ笑顔も取り戻したよ! 後の競技も頑張ってくださいね!」
     輝くような笑顔で、木乃葉は皆に手を振ってみせる。
     光画部の面々が笑顔と共にステージを去ると、会場から大きな拍手が起こった。
    「オッケー! これで応援合戦を終了するぜ! 紅組も白組も、頑張れよ!!」
     最後に陽司が締め、今年の応援合戦が終了した。
     なお、MVPは熱いマイクパフォーマンスと自主的な司会で場の盛り上げに活躍した陽司に贈られることとなった。

    作者:陵かなめ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年6月11日
    難度:簡単
    参加:18人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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