きのう助けて頂けなかった西瓜です

    作者:牧瀬花奈女

    「もう海開きしてる所も多いよね」
     ミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125)はそう言って、明るいひまわりのようににぱっと笑った。小脇には、丸く大きなスイカを抱えている。
     気温も高くなり、抜けるような空に真っ白な雲が眩しいこの頃。海水浴場も多くが遊泳期間に入って、季節は正に夏本番といった趣だ。
     灼滅者達が今いるのは、まだ遊泳期間に入っていない海水浴場だ。監視員の姿は無く、一般人の海水浴客も大人しく海開きを待っている状態だった。
     海と言えば、まず思い浮かぶのはやはり海水浴。砂浜でのビーチバレーを思い浮かべる人も多いだろう。
     しかし、忘れてはいけない事がもう一つ。
     スイカ割りである。
     夏の砂浜で、スイカは割られる。それはもう割られる。一箇所だけ欠けたり、まっぷたつになったり、はたまた粉々に砕け散ったり。状態は様々だが、とにかく割られる。
    「それで、おかしな噂を聞いちゃったんだよねー……」
     むう、と眉を寄せたミカエラが語った内容をまとめると、以下のようになる。
     ミカエラに案内されてやって来た、この海水浴場。ここでは毎年、スイカ割り大会が催されるのだという。
     スイカ割りに使われるスイカは、前日に近くの畑から収穫される。
     大会はそれなりの歴史があり、長きに渡ってスイカはぽこぽこ割られて来た。
     ある時、誰かが言い出した。大会の最中にこんな声を聞いたと。
     ――きのう助けて頂けなかった西瓜です。
     それは長年に渡り収穫されかち割られ続けたスイカ達の怨念が集まり、復讐として大会参加者の頭をかち割るべく巨大スイカとなったものの声であるという。巨大スイカは人知れず大会参加者に近付き、白木の棒で頭をかち割ってしまうのだ。
     何がどうしてそうなった、と言いたくなるような都市伝説だが、恐らく小さな噂に尾ひれや背びれが付いて両生類辺りまで進化してしまったに違いない。
     このまま放っておくと、今年の大会が開催された際に、都市伝説が現れてしまいそうだ。そこでミカエラは考えた。
    「みんなでスイカ割りをしたら、都市伝説も出てくるんじゃないかなって」
     スイカ割り大会に現れる都市伝説ならば、スイカ割りにつられて出て来る可能性は高い。大会の時のように、灼滅者達が楽しげな声を上げていれば確実だろう。
     エクスブレインの予知が無いため、巨大スイカがどのような能力を持っているのか、正確なところは分からない。だが、噂の内容からして、白木の棒で頭をかち割りに来るのは間違い無いだろう。その時、ついでに武器が損傷するかもしれない。
    「棒はまっすぐみたいだし、日本刀に似た攻撃をしてくるんじゃないかな?」
     今ミカエラに予想出来るのはここまで。後は実際に戦ってみて判断するしかないだろう。
    「無事に倒せたら、みんなで海で遊ばない?」
     都市伝説をおびき寄せるために割ったスイカを皆で食べるもよし、砂浜でお城を作るもよし、もちろん海で泳ぐもよしだ。
     ミカエラは満面に笑みを浮かべて、抱えたスイカを砂浜へ転がした。


    参加者
    羽柴・陽桜(ねがいうた・d01490)
    ミリア・シェルテッド(キジトラ猫・d01735)
    椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)
    ミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125)
    神凪・燐(伊邪那美・d06868)
    マサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・d21200)
    琶咲・輝乃(紡ぎし絆を想い守護を誓う者・d24803)
    冠木・ゆい(ポルトボヌール・d25508)

    ■リプレイ


     ミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125)は、クーラーボックスいっぱいに詰めたスイカの中から一玉を選ぶと、砂浜に置いた。隣の畑から貰ってこようか、という考えが脳裏を掠めなかった訳ではないのだけど、畑のスイカはやはり他人のもの。それに、スイカは冷えている方が断然美味しい。
     皆がスイカ割りの準備を進める中、神凪・燐(伊邪那美・d06868)は周囲に鋭い殺気を放った。ESPの発動を察して、羽柴・陽桜(ねがいうた・d01490)もサウンドシャッターを展開する。
     知らない人が多い。ミリア・シェルテッド(キジトラ猫・d01735)はおろおろと周囲に目をやった末、近くの岩場にそっと身を潜ませた。
    「えと……どなたから挑戦されますか……?」
     顔だけを出して尋ねるミリアの声に、ミカエラがあたい一番ねと元気良く手を挙げる。
     にぱっと笑みを浮かべる様子につられて笑顔になりながら、椎那・紗里亜(言の葉の森・d02051)はまな板とナイフ、大きなスプーンをシートに並べて行く。
    「皆様、張り切ってますね」
    「せっかくなら、楽しんだ方がいいですからね」
     用意の良さに感心する燐にそう言って、紗里亜は保冷ボトルを置いた。
    「それじゃあ、目隠しするね」
     冠木・ゆい(ポルトボヌール・d25508)がタオルを折り畳み、ミカエラの目を塞ぐ。次いで棒が渡される間に、マサムネ・ディケンズ(乙女座ラプソディ・d21200)は砂を掘り、スイカの隣に頭を並べた。
    「スイカか……」
     燐にくるくる回されるミカエラを見ながら呟いたのは、琶咲・輝乃(紡ぎし絆を想い守護を誓う者・d24803)。いつかの臨海学校を思い出して、ふっと視線が遠くなる。
     ミカエラの足が砂浜を踏む。目隠しされた頭を動かす彼女へ、周囲から声が飛び始めた。
    「右……あれ、私から見てです……?」
     いつの間にかダンボールに身を隠していたミリアの声が、頼りなげに消えて行く。
    「もうちょっと右……うん、そのまままっすぐだよ!」
     元気に声を張り上げながらも、輝乃は周囲に対する警戒を怠らない。
    「少し逸れちゃいましたね。もう少し左です!」
     陽桜が横合いから修正を呼び掛ける。ふらふらと行き過ぎてしまった足取りに、ゆいは思わず笑みを零した。
    「ちょっと行き過ぎちゃったね。右に寄ってみて!」
     皆と笑い合いながら過ごせる時間。都市伝説の灼滅という目的があると分かっていても、ゆいはその時間を幸せに思う。
    「もっと左かもしれませんよー」
     こそりとそんな事を言うのは紗里亜。たまの惑わしはお約束だ。
     何度か進路を変えつつも、ミカエラがたどり着いたのはマサムネの前。
    「この辺かな?」
    「あっ! ちょい待ち! オレの頭はかち割らないで!」
     棒を振り上げたミカエラに叫び、マサムネは砂浜から脱出を図る。その様子に、仲間達から笑い声が弾けた。
     更に位置を調整し、ミカエラはスイカに棒を振り下ろす。スイカの一部が割れ、砂浜に飛び散った。その破片を、紗里亜が回収し、カットして保冷ボトルに入れる。
    「スイカって、なかなか真っ二つにならないんだね」
     輝乃は紫の瞳を瞬かせてスイカを見下ろした。ミカエラが目隠しを外そうとした、その刹那。
     ――きのう助けて頂けなかった西瓜です。
     何処から発しているのか分からない声と共に、彼女の背後へ巨大スイカが現れた。真ん丸な体に付いた小さな手が、握り締めた白木の棒を振り上げる。
     それが振り下ろされた瞬間、陽桜はあまおとと共に巨大スイカとミカエラの間に割り込んだ。一撃を、桜の枝に抱かれた石の十字が受け止める。殺し切れなかった衝撃が、腕と十字の両方にかかった。
    「スイカさん、いくら恨みがあっても、こっそり襲撃はよくないのですよ?!」
     頭をかち割られると思えば、確かにスイカにしてみればたまったものではないかもしれない。けれど。
    「後で皆でおいしく食べるのでご容赦ください、なのです!」
     陽桜の声を合図にして、灼滅者達は一斉に封印を解除した。


     陽桜を癒すべく、ミリアは符を1枚取り出した。治癒の力を乗せて飛ばせば、過たず陽桜の腕へぴたりと貼り付く。ミリアはほっと息を吐いて、ダンボールの端を握り締めた。ミリアは巻き付けるようにダンボールをまとっている。傍目には何だか不自然なダンボールのオブジェに見えた。
     紗里亜から、法術で強化された髪結いリボンが伸びる。きらめきながら宙を舞ったそれは、真横から巨大スイカを貫いた。薄赤い汁が飛び散る。
     巨大スイカとの距離を詰めたミカエラが、半獣化させた右腕で皮を抉った。ぼこんと皮に穴が開く。
     響いたのは燐のエアシューズの駆動音。大口径のウィールに描かれた可憐な花が勢い良く回転して、摩擦熱が炎を呼ぶ。紅蓮の蹴りに鋭く打たれ、巨大スイカの全身が燃え上がった。
    「にしても、でっけースイカだな?」
     ローランダーが六文銭をばちばち当てるのに合わせ、マサムネは縛霊手の祭壇を展開する。188cm強と長身のマサムネから見ても、このスイカは十分に巨大だ。
     なんだか、もったいないお化けみたいだと輝乃は巨大スイカを見て思う。小さな手の中で紅く色付いた紅葉の標識が黄色にスタイルチェンジする。
    「嫌なバッドステータスを持ってるかもしれないからね」
     前衛に耐性の加護を与え、輝乃は呟く。用心に越した事は無い。
     長年に渡って、種子を実らせる事も許されず、ぽこぽこ割られて来た。そんな西瓜達の気持ちを考えると、ゆいは何だか切なくなる。
    「でも、白木の棒で頭をかち割るなんて、危な過ぎるよ」
     ゆいは茶色の瞳をすっと巨大スイカに向けると、砂浜を蹴ってその巨体に接近した。エアシューズの軌跡が星のきらめきを描き、巨大スイカが燃えながら一回転する。
     何とかその場に踏み止まった巨大スイカは、白木の棒を横に振り抜いた。衝撃波が前衛を襲う。
     しかし、減衰が発生して大した威力ではない。ミリアがそっと手を前衛へ差し伸べ、彼らを夜霧で包むと、受けたダメージの大半は癒されてしまった。
     あまおとが斬魔刀を閃かせ、陽桜が石の十字の銃口を巨大スイカに向ける。冷たく冴えた光が砲弾となり、あまおとの付けた切り口にぶつかって、凍て付いた音を奏でた。
     同じくクロスグレイブを構えた紗里亜は、接敵して氷を打ち砕かんばかりの勢いで十字の平面や角で巨大スイカを打ち据える。
     すっと後衛に下がった紗里亜と入れ違いに、ミカエラが前に出る。繰り出すは妖の槍。捻りを帯びた穂先が傷付いた体表を抉る。彼女の頭へ降り注いだのは、返り血ならぬ返り汁だ。思わず頓狂な声を上げてしまう。
     マサムネのエアシューズが駆動音を立てて、流星のきらめきを宿す蹴りが巨大スイカを襲う。更なる汁気が滴った。
     エナジーで七色に輝く帯が、輝乃の腰から射出され、巨大スイカを刺し貫く。ごろん、と巨体が後ろへ傾いだ。ゆいの手の中でサイキックソードが強く輝き、光刃が幾つも突き立つ。
     黄金色に輝くバトルオーラを掌に集め、燐は手を手刀の形に構える。巨大スイカの死角に回り込み、天辺から下までまっすぐに振り下ろした。
     巨大スイカはぼふんと音を立てて、盛大に汁気をまき散らしながら真っ二つになって消えて行った。


    「お仕事終了! さあ海開きだー!」
     ザリガニ形にデコレーションしたイルカボートを手にするミカエラの水着は、セパレートに黒い上着と帽子を着けた海賊風味。周囲を見渡せば、マサムネ以外は女性というメンバー構成もあってか、視界がとても華やかだ。
     陽桜は水鉄砲が似合いそうな、緑と水色のタンキニ風。ミリアは一見ドレスと見間違えてしまいそうな、ロングパレオを着けた浅い緑のワンピースタイプ。
     紗里亜はひまわりの花を連想させる、葉っぱのようなパレオが眩しいグリーンのビキニ。長い髪はアップにまとめてあり、いつもより大人っぽい。燐はパレオ付きの紫のビキニ。露出が増えたせいで、すらりとしたスポーツマン体型がよく分かる。羽織ったレースのパーカーが涼しげだ。
     輝乃は桜地に小花を散らした紫のフリル付きセパレートで、その上から梅地を染め抜いた桜色の羽織を肩に掛けている。ゆいは明るいハイビスカスカラーのビキニ。胸元にはフリルがふんだんに使われており、彼女の可愛らしさを引き立てていた。
     マサムネは黒のボックスタイプ。足首のアンクレットが明るい陽射しを反射している。
    「一緒にイルカボートで競争する人~!」
     ミカエラの呼び掛けに、進むのなら負けねーぞと真っ先に応じたのはマサムネ。イルカボートを抱える腕がたくましい。
     陽桜は電動式のイルカボートを片手に、あたしも参加したいですと空いた方の手を挙げる。紗里亜がそれに続いた。
    「じゃ、あそこのブイまで、最初にボートで行った人が優勝!」
     優勝者にはスイカ一玉が与えられまっす、とミカエラはクーラーボックスを指す。
    「割ったスイカのカットをお願いできますか?」
     紗里亜に頼まれ、燐は快く頷く。お任せくださいと請け負えば、アイテムポケットから取り出した保冷容器を渡される。いい感じにスムージーになっていると思います、という一言と共に。
     それぞれのイルカボートを抱えた4人が波打ち際に立つと、燐は大きく息を吸い込んだ。
    「では、スタート!」
     燐の合図で、4人は一斉にイルカボートを波に乗せた。
     元気な彼らの様子を眺めつつ、砂浜でお城を作ろうとしているのはミリアだ。海水がかからないように注意しながら、少しずつ砂をかき集めて行く。
    「お城を作ってるの?」
     不意に声を掛けられ顔を上げれば、ゆいの笑顔と目が合った。傍らには輝乃の姿もある。
     頷いた後で、ミリアははっとダンボールの端を握り締める。
    「お、泳げないわけじゃ、ないですよ……?」
     プールならばミリアも泳ぐ事が出来る。ただ、それ以上に人目が気になるのだ。
    「えと、その……そ、そう、猫さんだから水場が苦手、なんです……」
     キジトラ猫の称号を持つ者として、そう言ってみる。
    「猫さんじゃしょうがないね」
     ゆいと顔を見合わせて、輝乃が笑む。
    「一緒に作ってもいいかな?」
     ゆいに問われてミリアは返事に窮した。人見知りの心が顔を出しそうになるけれど、一緒にお城を作りたいという気持ちを無碍には出来ない。
     声を途切れさせながらも、よろしくお願いしますとミリアは答え、輝乃とゆいがお礼を言って砂浜に座る。
    「飲み物とアイス持って来たから、良かったらどうぞ」
    「わ。お腹空いてたから、嬉しいな」
     ゆいの置いたクーラーボックスに、輝乃が手を伸ばす。サイキックを使った後は、どうにもお腹が空いてしまう。
     水を入れたスプレーボトルを使いながら、ゆいは少しずつ砂を固めて行く。ミリアの集めた砂は厚みを増し、丈夫な土台が出来上がった。
    「お城の地下にトンネルもあると楽しいよね」
     ゆいは土台の下の方の砂を慎重に掘り始める。少し遅れてミリアも反対側からトンネルを掘り出した。二人の手が、土台の中央付近で触れ合う。互いに、こんにちはと挨拶して、地下トンネルは無事の完成を見た。
     アイスを食べ終わった輝乃が、土台の上に城壁を築いて行く。時折海水で湿らせながら作業を進める輝乃の傍らで、片翼の人形が動く音がした。
    「スイカが切れましたよ。いかがですか?」
     綺麗にカットされたスイカを持って来た燐の言葉に、3人からわっと歓声が上がる。海ではイルカボートレースが続いていた。
    「皆、頑張れー」
     スイカを齧りつつ、輝乃は4人の選手へ声援を送る。
    「すごく速いね! みんなかっこいい!」
     ゆいは立ち上がって波打ち際に素足を浸しながら歩き、頑張ってと声を上げた。


     海を進むイルカボートの上で、陽桜は操作に苦戦していた。電動式なら動かしやすそうに思えたのだが、コントロールが意外に難しい。そうこうする内に手が滑り、体がイルカボートの上から転がり落ちた。
    「きゃー、パートナーシップ失敗なのですっ」
     どぼんと飛沫を上げて落水した陽桜に、足で水を掻いていた紗里亜が駆け付ける。
    「大丈夫ですか?」
    「はい、大丈夫です」
     イルカボートを掴んで海面から顔を出し、陽桜は照れ笑いを浮かべた。安堵した紗里亜は再び水を掻く動作に戻る。しかし、足でぱちゃぱちゃやっても、なかなか前進してくれない。どうしたものかと思案を巡らせると、ふと閃くものがあった。
     八卦方棍を取り出しオール代わりにし、水を掻く。なかなかの推進力を得る事が出来た。
    「ミカエラさん、マサムネさん、待って下さいー」
     名を呼ぶ二人は遥か先。かなりブイに近い所まで進んでいる。
    「オレの腕力舐めんな!」
     自負するだけはあり、マサムネの腕は力強く海面を割って、イルカボートをどんどん進めて行く。
    「あたいだって、引っ掛かるトコロが増えたから、扱いが楽に……」
     負けじと追いすがるミカエラの肌を、ザリガニの部品が刺す。イテテ、と顔をしかめる間に、マサムネはブイへ到達していた。
    「よっし! オレの勝ち!」
    「あー、負けちゃったかー」
     言いつつも、ミカエラの顔は笑っている。遅れて追い付いた紗里亜と陽桜も、笑顔でマサムネの優勝を祝った。
     イルカボートを反転させ、4人は砂浜へ戻る。海から上がった4人を迎えた燐は、カットしたスイカを彼らにも振る舞った。
     小気味良い音を立ててスイカを食べるマサムネの手に塩の容器があるのを見て、陽桜はスイカを手に首を傾げる。
    「スイカに塩ふったら甘くなるのです?」
    「おう! 塩かけるとうんめーんだぜスイカは!」
     陽桜っちも試してみな、と塩の容器を渡され、陽桜もスイカに塩を振りかける。種を飲まないよう、もくもくと齧ってみると、塩の味がスイカの甘さを引き立てている気がした。美味しいです、と笑んで、食べ進める。
     食べ終えると陽桜は、砂のお城作りに合流した。既にほぼ出来上がっていたが、外壁の模様付けに、あまおと共に参加する。
    「あ、お城できたんだ~」
    「は……はい……一緒に、作ったので……立派に……」
     スイカの皮を持ってやって来たミカエラに、ミリアがダンボールの中から頷く。
    「波に浚われないように、スイカで城壁作ろっか?」
     そう言ってミカエラはスイカの皮を砂浜にさくりと立てた。皮のしましまが可愛いねと、輝乃も自分が食べ終えたスイカの皮を並べて立てる。
    「わ、すごいお城が出来ましたね!」
     紗里亜がコップに入れたスイカスムージーを持って、お城を見学にやって来る。
     それじゃ、皆でスイカスムージー、食べましょうか。差し出されたコップは、喜びの声と共に受け取られた。
     スムージーを一口飲み、ゆいは仲間達を見渡す。みんな、笑顔だ。
     あなた達のおかげで、皆がこんなにも笑顔なんだよ。ありがとう、と胸の内で西瓜に呼び掛ける。
     スイカの城壁が陽光を反射して、きらりと輝いた。

    作者:牧瀬花奈女 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2017年7月26日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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