海が俺達を呼んでいるぜ!

    ●静岡県某所
     海難事故が多発していた海岸があった。
     この海岸はとても景色が美しく、交通の便も良かったため、海水浴客が訪れていたらしい。
     だが、この場所が遠浅の海岸であり、海水浴客がよく溺れていたため、数年ほど前から立ち入り禁止になっているようだ。
     しかし、『そんな事など、知った事じゃねえ! それに人が全然いねーから、泳ぐにはサイコー!』と言った感じで警告を無視し、海に飛び込んで命を失ってしまうケースが多かったようである。
     その上、被害者達の遺族が『私達の家族が海で命を落としたのは、あなた達がきちんと見回りをしていなかったせい』とブチ切れ、市を相手取って裁判を起こした事もあるようだ。
     そのため、バリケードなどを張って、完全に立ち入りを禁止したのだが、それでも警告を無視して海に入り、命を失う者達が後を絶たなかったようである。
     それから、しばらくして……。
     この場所で都市伝説が確認された。
    「サイキックアブソーバーが俺を呼んでいる……時が、来たようだな!」
     依頼の語り手は、神崎・ヤマト。
     彼の口から語られたのは、今回関わる事になる依頼の詳細であった。

     都市伝説が確認されたのは、立ち入り禁止になっている海岸。
     この海岸は駅から近く、高速を降りてすぐだった事もあり、頻繁に海水浴客が訪れていたようだ。
     しかし、遠浅だったせいで事故が後を絶たず、今では立ち入り禁止になっている。
     それでも、泳ぐ奴がいたらしく、いつの頃からか、こんな都市伝絶が囁かれ始めた。
     ここで泳いだ奴は、必ず死ぬってな。
     まあ、そんな噂が流れても、泳ぐ奴はいるんだが……。
     ちなみに、都市伝説が出現するのは、必要な条件が揃った時のみ。
     おそらく、お前達が行く頃には、誰かが襲われている可能性が高い。
     とりあえず、今回の目的は、そいつらの救出だ。
     都市伝説は髪の毛が異常に長い女性の姿をしており、相手の体に髪の毛を絡ませて、海の底へと引きずり込む。
     だから、一般人を救出して安全な場所まで避難する奴らと、都市伝説と戦う奴らに分かれて行動するといい。
     それじゃ、みんな頑張ってくれよっ!


    参加者
    土御門・璃理(真剣狩る☆土星♪・d01097)
    星詠・雪風(姫蛍・d01172)
    乾・舞斗(街角御祓人・d01483)
    水島・ユーキ(ゲイルスライダー・d01566)
    霈町・刑一(本日の隔離枠 存在が論外・d02621)
    東堂・汐(あだ名はうっしー・d04000)
    井国・地アミ(中学生ダンピール・d04341)
    三日尻・ローランド(王剣の鞘・d04391)

    ■リプレイ

    ●海は危険がいっぱい
    「……海難事故とは、まぁ……。立ち入りしちゃいけない場所に行く方が悪いんですけどね~。まぁ今は都市伝説とやらが結構な原因ですし、とっとと倒しますかね~」
     自分自身に気合を入れながら、霈町・刑一(本日の隔離枠 存在が論外・d02621)が都市伝説の確認された海岸に向かう。
     都市伝説が確認された海岸は遠浅だったため、立ち入り禁止になっていたが、それでも警告を無視して事故に遭う海水浴客が後を絶たなかったようである。
    「別にこれ、現代の都市伝説じゃなくて十分に妖怪なんかで昔から居そうな相手ですね?」
     事件に関する資料を読みながら、井国・地アミ(中学生ダンピール・d04341)が口を開く。
     都市伝説は髪の毛が異常に長い女性の姿をしており、この海岸で溺れた女性の亡霊だと言われていが、実際には何の関係もないようである。
     しかし、海水浴客の間では、この場所で亡くなった女性の亡霊だと勝手に思い込まれていたため、都市伝説が力をつけてしまったのかも知れない。
    「なんとか助けてあげないと、ですね」
     妙にビクビクとした様子で、星詠・雪風(姫蛍・d01172)が地アミの背中に隠れた。
     海岸に人が多いとビクビクして、すぐ人に酔ってしまうため、想像するだけで顔が青ざめ、気分が悪くなっているようだ。
    「それじゃ、まずは人命救助だな!」
     水の中でも平気なように、ばっちりスクール水着を着込み、東堂・汐(あだ名はうっしー・d04000)が警戒した様子で辺りを見回した。
     その途端、海岸の方から『うわああああ、助けてくれぇ!』と言う声が響き、友達と思しき男性が仲間達を見捨てて、汐達の横を通り過ぎていく。
    「さぁ~ってと、初出撃だね♪ 全力全壊でいっちゃうZO☆」
     男性が逃げてきた咆哮に視線を送り、土御門・璃理(真剣狩る☆土星♪・d01097)が走りだす。
     そこには都市伝説と逃げ遅れた男性がおり、溢れんばかりの涙を浮かべて『助けてくれ!』と叫んでいた。
    「戦況をこれ以上、悪化させないためにも、何とかして助けないと……」
     険しい表情を浮かべながら、乾・舞斗(街角御祓人・d01483)が男性に視線を送る。
     男性の体には無数の髪の毛が絡まっており、このままでは助ける事が出来ない。
     だからと言って容易に近づけば、都市伝説がどんな行動に出るか分からなかった。
    「ボクと愛しのえくすかりばーとの初依頼だね。みんなと力を合わせてがんばろうね、ボクの姫君」
     少しずつ間合いを取りながら、三日尻・ローランド(王剣の鞘・d04391)がクスリと笑う。
     その間に璃理が岩場の上に立ち、都市伝説と目を合わせた。
    「天が地が人が許そうが……、土星が貴方を許さない! 魔砲少女・真剣狩☆土星♪ここに降臨!!」」
     銃をバトンの如く華麗に回し、璃理がビシッとポーズを決める。
     それに気づいた都市伝説が威嚇するようにして、『シャーッ!』と鳴き声を響かせた。
    「よほど、死にたい、様子……」
     都市伝説を迎えうつようにして身構え、水島・ユーキ(ゲイルスライダー・d01566)がジロリと睨む。
     その間も男性の体には都市伝説の髪が絡みつき、時折『グエッ! グエッ!』と声が漏れていた。

    ●避難
    「毘沙丸、ボクと一緒に戦って」
     霊犬の毘沙丸に声をかけ、雪風が男性を助けに向かう。
     それと同時に毘沙丸がワンワンと吠え、都市伝説を牽制。
     最初は全く相手にしなかった都市伝説も、だんだんイライラしてきたのか、毘沙丸めがけて長い髪を伸ばしてきた。
    「えくすかりばー、ボクたちは彼の安全の為に、盾となってここで守ろう」
     ナノナノのえくすかりばーに声を掛け、ローランドが都市伝説の死角に回り込む。
     それらに気づいた都市伝説が髪を四方八方に伸ばし、ローランド達に攻撃を仕掛ける。
     だが、肝心の男性は『た、助けてぇ!』と叫び声を響かせ、ローランド達から逃げるようにして海に飛び込み、溺れそうな勢いで逃げていく。
    「……なんで、そっちに!」
     唖然とした表情を浮かべ、舞斗が男性を追って海に飛び込んだ。
     おそらく、パニックに陥っているせいで、舞斗達が恐ろしい存在に見えているのだろう。
     『ば、化け物!』と叫びながら、男性がブクブクと海の底に沈んでいった。
    「……自殺、志願、者……?」
     男性の突拍子のない行動に驚きつつ、ユーキが海の底へと潜っていく。
     どうやら、男性は自分の体に大量の髪が絡みついている事をすっかり忘れ、それでも泳ごうとしたため溺れてしまったようだった。
     しかし、意識の戻った男性は『死にたくない!』と叫び、助けに来たユーキに対して狂ったように拳を振り回す。
     そのせいで、ユーキがパッと手を放してしまい、男性がブクブクと泡を吐きながら、再び海の底へと沈んでいった。
    「一体……、何が、したいの、やら……」
     半ば呆れた様子で肩を貸し、ユーキが男性と一緒に水面に浮上する。
     その途端、男性が『ケホッ、ケホッ』と咳き込んだが、だいぶ体力を消耗しているせいで、ユーキに抵抗するだけの気力もないようだ。
    「何とか、救出に成功しましたが……。このまま放っておくわけにもいきませんね」
     ユーキによって砂浜に寝かされた男性を眺め、舞斗が疲れた様子で溜息をもらす。
     このまま都市伝説を倒しに行く事も出来るが、男性が目を覚ました途端パニックに陥って再び訳の分からない事をしそうな予感である。
    「それじゃ、落ち着くまで一緒にいようか。ありがと。助かったよ、毘沙丸。いい子いい子」
     傍に控えていた毘沙丸に抱きつき、雪風がヨシヨシと頭を撫でた。
     それに都市伝説がどういった行動に出るか分からない以上、男性を守っていた方がいいかも知れない。
    「おいおい、えくすかりばー、照れてるからってボクを足蹴にしないでくれ。みんな吃驚しているだろう? こーゆーのは二人きりの時にね?」
     そんな中、ローランドがえくすかりばーに踏まれつつ、ニコッと微笑んだ。
     その表情はどこか晴れやかで、幸せそうに見えた。

    ●都市伝説
     一方、その頃。
    「高速演算開始……目標、ベクトル、磁場、重力、風速、波、コリオリ……計算完了♪軌跡は読めたよ」
     都市伝説と戦闘状態に入っていた璃理は、高速演算モードで命中力を上げて、バスタービームを放つタイミングを窺っていた。
     それに対する都市伝説も璃理達を牽制しつつ、再び男性を襲うために隙を窺っているようだった。
    「その長い髪をナゴヤ巻きにして差し上げます! 引きずり込むなら、こちらになさい!」
     都市伝説を挑発しながら、地アミがなるべく海から離れる。
     陸地で戦うのならまだしも、海中で戦うのは、圧倒的に不利。
     それは例え、どんなに泳ぎが上手くとも、同じ事が言えるだろう。
    「うっ……、気持ち悪い……」
     都市伝説の髪が腕に絡まり、刑一が鳥肌を立てて後ろに下がる。
     まるで納豆とスライムが混ざったようなものが腕に絡まった感覚。
     あまり気にしていると、気持ちが悪くなりそうである。
    「どちらにしても、急がないと駄目そうだな」
     背後で男性の悲鳴が聞こえたため、汐が頭を抱えて都市伝説を睨む。
     都市伝説は男性の悲鳴に反応しているのか、汐達の間をすり抜けて行くつもりで突っ込んできた。
    「今こそ、都市伝説触手プレイ!」
     都市伝説の死角に回り込み、刑一が影縛りを仕掛けた。
     次の瞬間、『ギギギッ……』と耳障りな歯軋りが聞こえ、都市伝説の動きが封じ込まれる。
    「マジカル☆クルエル・ロックオン♪ 逝くよ必殺! バスタァァァァビィィィィィィッム!!」
     腰だめに構えたバスターライフルの光線で放ち、璃理が都市伝説の髪をぶち抜いて焼き切った。
     それと同時に、都市伝説が狂ったように悲鳴をあげ、残った髪で璃理の首を絞めようとする。
    「海なので伊勢湾ビーム」
     都市伝説の背後に回り込み、地アミがご当地ビームを放つ。
     その一撃を喰らって都市伝説が断末魔を響かせ、地アミを恨めしそうに睨んで跡形もなく消滅した。
    「お、終わったか。一時はどうなるかと思ったが、一般人も無事……か?」
     都市伝説が消滅した事を確認し、汐が気まずい様子で汗を流す。
     男性は未だにローランド達を信用する事が出来ず、『来るな、来るなァ!』と叫んで逃げ回っていた。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年9月3日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 3/感動した 1/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 11
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