修学旅行2014~トロピカル・ビーチパーティー!


     武蔵坂学園の修学旅行は、毎年6月に行われます。
     今年の修学旅行は、6月24日から6月27日までの4日間。
     この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。
     また、大学に進学したばかりの大学1年生が、同じ学部の仲間などと親睦を深める為の親睦旅行も、同じ日程・スケジュールで行われます。

     修学旅行の行き先は沖縄です。
     沖縄そばを食べたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載です。
     さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
     

    「修学旅行……やっぱ俺様たち学生にとっちゃ、青春の花形だよな」
     何やら酔い痴れているような少年の声が、廊下の一角から聴こえてくる。
     振り返ってみれば、そこには白椛・花深(高校生エクスブレイン・dn0173)がひとり、窓を眺めて黄昏れていた。
     よく見ると、今日の授業で配られたばかりの『修学旅行のしおり』を大事そうに抱きかかえている。
     どうやらやっと、自分に向けられた視線に気づいたようだ。花深は普段通りの活き活きとした笑みを顔いっぱいに満たして、こちらへ近づいてきた。
    「おっす! そのしおり……ってこたぁ、お前さん達も修学旅行に行くんだな! 自由行動の予定はもう決まってっか?」
     訊ねるや否や、手元のしおりをパラパラと捲りだした。詳細が知らされて間もないというのに、流石に気が早過ぎる。
     しかし、よほど修学旅行が待ち遠しいのだろう。いま彼の脳内では、既に当日のスケジュールが事細かく定まっているに違いない。
    「出来うる限り、色んな場所を網羅してーとこだけど……。やっぱ一番は、3日目の自由行動で『ぎのわんトロピカルビーチ』に行ってみてーな!」
     或るページで花深は手を止め、ビシッと指をさして示してみせる。
     トロピカルビーチ。そこは沖縄県宜野湾市の西海岸に位置する、都市型リゾートビーチだ。
     敷地内は広々としており、まさに快適。
     何処までも続く蒼い海、眩しいほどに真っ白な砂浜――。
     遊泳以外にも、浜辺ではビーチバレーなどのスポーツに興じることも可能だという。
    「そんでさ、昼になったらバーベキューパーティーを開くみたいだぜ。
     道具も食材もぜーんぶ手配してもらえっから、焼いて食って楽しむだけでオッケーなんだとよ」
     肉は勿論、お野菜から海鮮などなど、食材は様々!
     バーベキューパーティーが開かれるテーブルとベンチには屋根やテントが張られているため、炎天下でも安心だ。
     めいっぱいに遊び明かした後に味わう、焼きたての串焼きは何とも格別であろう。
    「くーっ……! 想像しただけで食欲がそそるな! 俺様は肉を焼くぜ、超焼くぜ! それに沖縄の海を泳いで、浜辺でビーチバレーもしてみてーし、売店で売られてるトロピカルジュースでも片手にのんびり日光浴もいいよなあ……!」
     まだ見ぬ沖縄へと想いを馳せながら、花深は年甲斐もなく瞳を輝かせた。
     さながら、待ちに待った遠足前夜に目が冴えて眠れない子供のようだ。自由行動当日には、浜辺で元気に走り回る文学系エクスブレインの姿が見えることだろう。

     ふと。花深は正気に戻り、しおりのページをさらに捲ってみせた。
     記されていたのは、修学旅行とはまた違う――『親睦旅行』についての項目だ。
    「今回は小6、中2、高2の生徒の他に、大学1年生の先輩たちも一緒に行くんだよなあ。……せっかくだしよ、皆でめいっぱい楽しめたら良いよな!」
     歯を覗かせ、朗らかに笑む花深。
     まだ6月だけれど、真夏をちょっぴり先取って。
     この時ばかりは、ごく普通の生徒として修学旅行を、または親睦旅行を満喫しよう。

     ――陽気で賑やかな、トロピカル・ビーチパーティーが君たちを待っている!

    「さあ、親愛なる学友諸君! 共に往こうぜ……沖縄の海へ!」


    ■リプレイ


     大勢の観光客で賑わうビーチに、燦々と日差しが照りつけている。
     陽の光を孕んできらきらと揺蕩う水面。深い深い青の海と、輝かんばかりの白い砂浜。
     視界いっぱいに広がるそれらを眺めながら、
    「……ときたら、埋めるしかねえな!」
     【三鷹北2-3】の涼は唐突にイキイキとした笑顔で言い放ち、盟友たる仁に向けてビシッと指を差した。
     持ち掛けたのはジャンケン勝負。敗れた者はこの砂浜に縦埋めの刑!
     両者とも一斉に、手を繰り出す! はたして、結果は――。
    「って、負けたぁ!?」
    「……ふ、それみたことか」
     勝ち誇った不敵な笑みを浮かべ、シャベルで涼を埋め始める仁。
    「……え、砂に埋まるんですか!? なんでここにまで来て苦行を」
     依沙が慌ててシークワーサーソーダと日傘を差し入れれば、「流石依沙ちゃん! 俺の天使!」と涼の声。
     彼らの様子を見守る紗綾は、メロンソーダで喉を潤しながら頬を緩ませる。
    「臨海学校は九州でしたが、沖縄の海も素敵です」
     昨年に訪れた博多湾のビーチとはまた違った光景。皆との新たな思い出をこの目に焼き付けて。
     つばの広い麦わら帽子から顔を覗かせ、依沙もほう、とうっとりとした溜め息を漏らす。
    「見るのと体感するのとはやっぱり違いますね……綺麗」

     これから【八幡町キャンパス高校2年5組】のクラスメイト同士で、ビーチバレー対決を始めるのだという。
    「オッケー、審判は俺様に任せとけって! 皆、全力で挑んでこいッ」
    「ああ、助かるぜ。ここは楽しまねえと損だからな」
     面白そうだからと審判役を快諾した花深へ向けて、へらりと笑ってみせる犬釘。
     ――自分のような人造灼滅者でも、いまこの瞬間は学生生活を謳歌できる大きなチャンスなのだから。
    「かおり、負けないよー? ブロックしてあげるんだからー!」
     遊ぶ気まんまんな犬釘に対し、かおりも負けじと反対のコートでぴょんこぴょんこと飛び跳ねる。
     精一杯に飛んで跳ねてはいるものの、やはり身長が足りないのか掌すら見えない。
    (「避けられるかはわかんないけど、当たったら痛そうだよね……」)
     無意識に自分の手をちらりと見つめながら、三義はふと思う。
     常に傍らに寄り添う『ひとつ』は今日はお留守番。大切な霊犬を撫でてやる手が腫れてしまわぬよう、気をつけねば、と。
     ――俺はこう見えて、結構執念深いんだよ。うん。
     さっそく試合開始! ボールが天高く飛び、コートへ落ちる前にすかさずエルが手を伸ばす。
    「落下地点の座標:X250,Y340,Z20、レシーブ致します」
     彼女らしい精密な計算の後に、ボールを打ち返した。
     彼らの勝負はまだまだ、始まったばかり。

     遊泳を満喫したのち、疲れを癒やすべく浜辺で隣合う二人。
     冷たいトロピカルジュースを喉に通しながら、共に見つめ合い、静かに会話を交わす。
    「統弥さんとこうして、修学旅行でも一緒に遊べるなんて本当に夢のようです」
     愛する人と、大切な思い出を育める幸せ。藍は素直な気持ちを彼に伝えた。
    「僕は幸せ者です。こんなに素敵な女の子が、僕の事を想ってくれるのだから」
     その言葉に、統弥も心からの笑顔を返す。
    「――私の我侭に付き合ってくれてありがとう。統弥さん」
     嬉しげに、再び笑う藍。紺碧の海に映える彼女の美しい髪が、さらりと薫風に泳いだ。

     真っ白な氷と、青いブルーハワイのシロップ。目の前に広がる砂浜や海と、お揃いの色。
     溶けてしまわぬよう、柚羽は早めのペースで口に運ぶ。すると途端に、キーンと頭痛が襲い掛かる。
    (「うう、忘れていました……」)
     久々に思い起こした、夏によくある風物詩。

     ――うう、私はどうしてビキニで来たのか……。
     呉羽にパーカーを剥ぎ取られた紗夕は、ぐすんと涙目。
     その原因は、自分の慎ましすぎる胸にあった。海で泳ぎたいけれど、周囲の視線が気になってしまう。
     そんな義姉に対し、呉羽はぐっと親指を立てて、
    「大丈夫、需要はある」
    「そんな問題じゃなーいっ!!」
     けれどビーチは待ってても、時間は待ってくれないのだ。
     先へ行こうとするものの――一向に進む気配のない紗夕を見やって。
    「紗夕姉、早く行きましょう」
    「ま、まだ心の準備がー!!」
     腕を掴み、呉羽はずるずると彼女を引っ張っていく。いざ、姉妹そろって沖縄の海へ。

     スタートラインが引かれた砂浜に、【現代格闘技学部1年】の面々が集う。
     これから開幕するのは、ビーチフラッグ対決だ。
     すると突然、八九三は身につけているつなぎを脱ぎ始めた。その下にはやはり、水着を着ていたようだ。
     動きやすく、体のラインがよく映える全身スニーキングスーツもどき。
     しかし、肝心の胸部は……ぺったんぺったんつるぺったん。
    「全力でやるぜ! 恥ずかしい!? ンなもんは後だ!!」
     今にも沸騰しそうな程に顔を染め上げている八九三。だが、ここで試合を放棄するわけにはいかない。
     なにせ、最下位となった者にはいささか奇妙な罰ゲームが待ち受けているのだから。
     それはなんと――、

    『最下位はウサギ耳を付けて、さらに語尾に「ぽよ☆」を付ける!』

    「罰ゲームも嫌っちゃ嫌だが、そもそも負けるつもりはねぇな」
     勝負に挑む月影は不敵な笑みを浮かべ、気合十分の様子。
     一方、新羅は密かに足元の砂を少し掘り、スターティングブロックを作り始めていた。
    (「地形を利用するのも、現代格闘技の技法の一つだろう」)
    「やっぱり競争は燃えますわよね! 今日は全力で行かせて頂きますわ!」 
     準備運動として入念に屈伸しているのは、ビキニ姿の桜花だ。その意思の強い赤茶の瞳は、燃えるようにぎらぎらと輝いている。
     そして皆がうつ伏せになり、準備が整ったところでスタートの合図!
     フラッグめがけて、猛ダッシュする一同。
    「もぅ、走りにくいったら……!」
     その中で、声を漏らしながら砂浜を駆ける晴香。
     身に付けた水着は非常に大胆で、たゆん、たゆんと前の方が揺れる。
     周囲の観光客(特に男性)も、晴香の引き締まった美しい身体に釘付けだ。
     そんな彼女の脇を過ぎ去り、一直線に宥氣が駆け抜ける。
     自分自身が発揮できる、死ぬ気の全力疾走。全員を抜けてトップとなり、後もう少し、もう少しでフラッグが見え――、
    「ふははははははははっ、取ったぞーーーっ!!」
     たところで、高笑いを響かせながら銀虎がヘッドスライディング!
    (「あ、あれ……」)
     死ぬ気の力を出し切り過ぎた宥氣は、その場でぐったりと倒れ込んでしまった。
    (「どうせなら、女の子に罰ゲームに受けて貰いたいんだがなあ……」)
     ゴールへ辿り着きながら、高明の脳裏に過るのは女好きゆえの煩悩。
     しかし、勝敗はどうであれ女性陣にジュースを奢ってやろう。
     ウサギ耳を装着された宥氣を見やりながら、そう思うのだった。
    「……なっ、なんで俺がビリなんだぽよ☆!」

     維弥子は一人で海と触れ合いながらも、浜辺で本を読みながら寛ぐ八重華へ「八重ちゃん八重ちゃん!」と名を呼び続けた。
     応える代わりにやえちゃんはやめろ、と言う前に、
    「いっしょにあそぼ!」
     維弥子が大きく手招き。誘われた八重華はふらふらと近寄り、ひんやり冷たい海に両足を沈めてみる。
     吸い込まれそうな程に深い海底を、じっと覗き込んだ。
     ――刹那、ばしゃっと顔に振りかかったのは海水だ。
     少々驚きながらも平静になって振り返ってみれば、維弥子の堂々としたドヤ顔が。
     不意打ちの水かけ。それからもばしゃばしゃ、と騒がしくも楽しげな音が静かに響いた。


     沖縄の太陽が天辺へ昇りきった頃、そこかしこから食欲を唆る香りが漂い始めた。
    「折角ですし、BBQの前に乾杯しませんか?」
     バーベキューを始める直前、橙迦が皆へそう訊ねた。
    「ああ、そうだな。イイ4日間になることを願って……」
    「ええ。クラスの皆と、こうして一緒に楽しめることに」
     ――乾杯!
     そうして煌希が音頭をとれば、【八幡2‐4】のルージュ達も揃ってグラスを掲げていく。
    「フハハハ! 狼たるこの私に、ハンティングで敵うとでも!?」
    「HAHAHA! そんなんじゃあ週末のステイツでは生き残れないゼー!」
     さっそくカイとファニーの間で肉争奪戦が勃発しているようだ。
     しかし、その被害はタロスにまで及んでいるようで……。
    「おい待て、俺の食い分まで取るんじゃない!」
     一方で桃弥も野菜だけでなく、何気に肉を多めに食していた。
    (「争奪戦は、あの中に入れる気が流石にしないのでね……まあ、元気なものだ」)
     線の細い容貌とは裏腹に、実はよく食べる方なのである。
    「桃弥と遙も、遠慮無く喰え喰え!」
    「美味しく頂きますよ? 炭にしたら勿体ないですよ、ね?」
     煌希が二人に勧めてやれば、遙は緩やかに微笑みながらもこっそり……しかし確実に食べ進めていた。
    「とりあえず、こっちは野菜と海の幸を満喫するでありますよ~♪」
     激しさを増していく肉争奪戦を眺めたのち、トルッパーはじゅーじゅーと材料を焼き、皆の元へ置いていく。
     時折、だぼだぼの袖で口許を隠してむしゃむしゃお肉を堪能して。影人間ゆえに表情は分かりづらいが、非常に楽しそうだ。
    「ぶっ!? これが、アメリカンドリーム……無念…です……」
     突如、ロイが降参の声をか細く上げた。どうやら肉争奪戦に敗北したようである。
    「ヴィクトリー!」
     ルージュが構えるカメラに映るのは、勝利を示すVサイン!
     いつの間にやらファニーは上着を脱ぎ、魅惑的な水着姿を晒しているではないか。
     アメリカンドリーム、おそろしや。
    「おー、此処も楽しそうにやってんなあ」
    「お、お、花深じゃないか。ここらの美味く焼けた所をやるからよ、シャッター頼むわ」
    「マジで!? いいのか……!」
     野菜に海鮮に、豚や山羊など様々な肉、肉、肉!
     大量のご馳走に思わず心を奪われそうになりながらも、花深は「任せとけ!」とカメラを預かった。
     沖縄の海とバーベキュー、そして9人の笑顔を切り取ったのち。
     活き活きとした笑顔でルージュが立ち上がった。
    「さぁて、心の準備はよろしくて!」
    「……ほわっ! ビックリするやん!」
     不意打ちで海水をかけられ、橙迦は油断して声を上げる。
     けれど、その楽しさにすぐさま笑みを零して。皆は再び海へと駆け出していった。

     沖縄の暑さは、朝を終えても未だ衰えることはない。
     アリスがクーラーボックスから取り出したのは、たくさんの紅茶だ。
     持参した紙コップにそれぞれ注ぎ、修学旅行に参加する皆へ配っていく。
    「花深さんもどうぞ。どちらにする?」
    「おー……! 俺様はアールグレイ、頂くかな。ありがとよっ」
     一口啜り、美味いと花深が笑えば、「お代わり自由だから気軽に声をかけてね」と微笑み返し、アリスは給仕を再開した。

    「うむ、いい景色を見ながらの飯は最高だな!」
     目の前に広がる海を仰ぎ見て、不破は深々と頷いた。
     【千川2-2】のクラスメイト達も、次々と材料を焼いている。ジェノバイドも肉と野菜を遠慮無く、がっつり食べ始めていた。
    「肉ばかり食うなよ、野菜もちゃんと食えよ」
    「おいユージーン! いくら俺がピーマン好きだからってピーマンばっかり乗せてんじゃねぇ!」
     トウモロコシとかくれよ! と、ジェノバイドは次々と鉄串に材料を刺して焼くユージーンヘ反論する。
     しかし、肉と一緒にピーマンも、辛口のタレでぺろりと平らげる。
     セルージュはユージンが材料を焼いてくれている間に、ジュースを用意していた。
     パッションフルーツと、アセロラの二種類。暑いこの海を楽しむには、喉の潤いも必要だ。
     バーベキューを終える前、つぐみが作り始めたのは特製焼きそばだ。
     残った肉や野菜、海の幸を贅沢に混ぜており、まさに締めに相応しい逸品だ。
    「ソースと塩があるから、好きな方食べてネ!」
     つぐみが振る舞う焼きそばを、次々と食べ始める一行。
    (「バーベキューはあまり食べられなかったが、櫻庭さんの焼きそばはちゃんと食べれた」)
     もぐもぐと咀嚼し、美味しいと思わず頷くセルージュ。
    「……頼む、俺の分も残しておいてくれ。ソースも塩も両方だ」
    「おっと、スミス、すまんな! この皿のを食うといい!」
     特に食いっぷりが良い不破に焦りを感じたのか。ユージーンが肉を焼きながら頼めば、不破は快く皿を差し出した。
    「あぁ、ホントに……来てよかった……」
     皆の笑顔の背景に映るのは、何処までも蒼い蒼い沖縄の海。
     ――なんて、きれい。初めての皆とのお出かけに、硝子は心からの幸せを感じた。

     見覚えのある少年の姿を見つけたクリスは、「お久しぶり!」と声を掛けた。
     少年――花深は、彼女の顔を見てさらに笑みを深めて、
    「おおっ、いつぞやの肉焼き少女か! 今回も頼りにしてるぜ」
    「ありがと! みんなのお肉をじゃんじゃん焼きましょうか!」
     ある種の友情が芽生えているようだ。二人は握手を交わした後、協力しあっててきぱきと肉を並べ始めた。

    「莉都! 肉食え! 肉! お前ほそっこいから、もっと食って体力つけなきゃ!」
    「体力無くはないし、ちゃんと食べてるし」
     幾つも肉を頬張りながら、爽太は莉都に肉を勧める。
     さらに、陽の光を浴びようと莉都をパラソルの外に引っ張りだそうとする。
    「さらーに! 何その暑そうな格好! 服脱げ!」
     せっかく下に水着をきているのだからと、莉都が羽織るパーカーを脱がすべく強引に――。
    「「あっ」」
     ざばん、と水が弾ける音。勢い余って、莉都が海へ投げ込まれてしまった。
     ずぶ濡れになりながらも、莉都は逃げる爽太を追いかけていく。
     ――この身体に消えぬ傷はあれど、大切な親友ができて自分も変われたのだと莉都は感じていた。

    「ジンギスカンが食べたいです」
     唐突に、由乃はそう告げた。
     彼女の言葉に、常の笑顔は崩さぬままエルメンガルトは首をかしげて訊ねる。
    「ジンギスカンって羊肉じゃない? 沖縄にモコモコ毛深い羊は居るのか――」
     と、材料を見て回れば……あった。どうやら羊肉も置いてあるらしい。
     さっそく、焼き始める二人。丁度よく焼けた肉を由乃の元へ配っていくエルメンガルト。
     折角なのだから、バランスよく、美味しく頂こう。エルさんが焼いてくれたお肉なのだから。
     肉を見つめたのち、由乃はちらと彼の方へ視線を向けて。
    「……エルさん、食べたいですか? はい。あーん」
    「あっ アリガト! 食べる食べる、あーん!」
     差し出された肉を頬張るエルメンガルト。焼きたての肉の香りは、今もなお浜辺に散る。

    作者:貴志まほろば 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年6月26日
    難度:簡単
    参加:44人
    結果:成功!
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