赤炎の獅子

    作者:叶エイジャ

     その建物は、使われなくなってだいぶ経つのだろう。
     薄汚れた外壁に、割れた窓。敷地内のアスファルトははがれて砕け散り、伸びた緑の中にまぎれていた。
     それは建物の中も同じだった。
     ただ一点、不気味な肉塊がなければ。
     いつからあったのかは分からない。確実なのは、今この時が「目覚め」の時ということ。
     肉塊が突然、燃え上がる。前触れもなく発火した肉塊は、勢いを増す炎に飲み込まれ溶け崩れ――それと同時に炎に明瞭な形を与えていく。
     ほどなくして顕現したのは、全身から赤き炎を噴き上げる獅子の巨体であった。
    『――!』
     獅子の咆哮が、炎の奔流を生み出す。獅子の前方にあったシャッターは赤の激流に大穴をあけ、外の景色をのぞかせた。
     流美な動きで建物の中から出てきた獅子の額には、「智」の文字を戴く宝玉。
     その周囲にはいつの間にか、光り輝く光輪がいくつも浮かんでいた。


    「暑くなってきたね……」
     天野川・カノン(中学生エクスブレイン・dn0180)は、手をパタパタと振って苦笑した。炎の幻獣種を予知したせいかもしれない。
    「でも、今回はただのイフリートじゃなくて、犬士の霊玉から生まれたスキュラダークネスだよ――強いから、気を付けて」
     スキュラの仕掛けによって生まれるに至ったこのダークネスは、戦うにあたり注意事項がある。
     誕生後、時間経過によって徐々に予備の八犬士としてふさわしい力を持つようになる。肉塊時に倒しても核となる犬士の霊玉は飛んで離脱してしまう。そのため、誕生後すぐの僅かな時間で倒す、短期決戦の方針が良いだろう。
    「制限時間は十五分。それ以上長引くと、闇堕ちしなきゃ太刀打ちできないくらい強くなるから」
     ダークネスの現れる場所は、元は工場だった場所。打ち捨てられてかなり経つのか、完全に廃墟となっている。人里離れた場所で、戦闘時も人気はない。日中なので、視界も良好だ。
    「ちょうど、工場の扉を破壊して出てきたところで戦闘は始まると思うよ。咆哮や腕を振るうことでバニシングフレアと同じ……うん、ファイアブラッドと、あとリングスラッシャーのサイキックを使う」
     更に、生まれた直後でも相当な強さを持つ。戦いでは終始注意が必要だ。
     スキュラが八犬士の空位を埋めるべく創った存在。野放しにすればその脅威はさらに増大するだろう。
    「それを阻止できるかは、みんなの戦いにかかってる」
     真剣な表情で、カノンはそう締めくくった。


    参加者
    緋神・討真(黒翼咆哮・d03253)
    丹生・蓮二(エングロウスエッジ・d03879)
    ヴェイグ・アインザッツ(幾千彩色・d10837)
    桜井・夕月(もふもふ信者の暴走黒獣・d13800)
    火伏・狩羅(砂糖菓子の弾丸・d17424)
    高辻・優貴(ピンクローズ・d18282)
    猫乃目・ブレイブ(灼熱ブレイブ・d19380)
    木場・幸谷(純情賛火・d22599)

    ■リプレイ

    ●九〇〇
     建物は、巨大な虫の抜け殻にも見えた。青い空に比べ、あまりに色褪せくすんだ廃工場だ。
     突如、建屋の錆びついた鉄扉が赤熱色を帯び、溶け崩れる。熱波を伴って出てきたのは獅子――犬士の霊玉により現れたイフリートだ。
     その一部始終を、火伏・狩羅(砂糖菓子の弾丸・d17424)はぱっちりとした眼で見ていた。灼滅者たちを認めて止まった獅子に、口を開く。
    「いつもなら、なんか軽口でも叩くところですけどねー」
     調子の良い口調とは裏腹に、彼女の眼光はすでに狩人のそれだ。隣では、愛用する神父服に身を包む緋神・討真(黒翼咆哮・d03253)が、瞳を静かに細めた。敵はスキュラが残した負の遺産。大事になる前に倒さねばならない。
    「さあ、絢爛舞踏を始めようか」
     その言葉に呼応するかのように、巨体の四足獣が吼えた。全身から赤い炎を吹き上げるダークネス。その瞳は既に、灼滅者を敵と見なしている。刺すような視線に、高辻・優貴(ピンクローズ・d18282)は真っ向から見返し、告げた。
    「生まれたばっかでわりーけど、退場してもらうぜ」
    「ま、悪さするっていうなら止めるしかないじゃん?」
     丹生・蓮二(エングロウスエッジ・d03879)が軽い声音で続ける。彼も、そして優貴も、『生まれたばかりの存在に対する襲撃』に思うところはある――それでも、見逃した末の犠牲を看過するわけにはいかないと、各々の武器を構えていく。
     その眼前で、赤が舞い踊った。後退した彼らを追う炎が、一瞬前にいた空間を焦がしていく。
    (これは強敵――望むところに御座る!)
     猫乃目・ブレイブ(灼熱ブレイブ・d19380)は、咄嗟に剣を抜き放った。炎を突き抜けてきた幻獣の爪と、聖剣の横薙ぎが火花を散らす。突進の勢いに跳ね飛ばされた彼女の腕を、覆いかぶさった獅子の足が踏みしめた。鋭い牙が並ぶ口腔が、彼女の首筋へと迫る。
    「させるかよ!」
     寸前、木場・幸谷(純情賛火・d22599)の快活な声が響いた。その影から闇が膨れ上がり、波濤となってイフリートを襲い、吹き飛ばす。倒れた巨躯をすかさず影は包みこんでいった。完璧な技の成功。しかし幸谷は顔を僅かに硬くする。
     影に包まれたイフリートの身から、莫大なサイキックエナジーが立ち昇っていた。とても生まれたばかりとは思えない、強大で攻撃的な波動。押し包む影を相殺し強引に破ろうとする敵に、桜井・夕月(もふもふ信者の暴走黒獣・d13800)は、困ったような微苦笑を浮かべた。誕生後一分と経たず、その力量は常なるダークネスの域を越えつつある。
    「またもう、厄介なものを」
     これが、さらに脅威を増していく――だからこそ冷静に、そして冷徹に進める必要があった。限られた時間を無駄にしない為に、夕月は構えた槍に氷凍の霊力を集めていく。
    「もふもふ、好きなんですけどねー――敵ならしゃあない、消えて貰おうか」
     放たれた氷柱は、影を破って溢れた炎を凍らせ、爆轟を引き起こした。
     その煙のただ中へと、ヴェイグ・アインザッツ(幾千彩色・d10837)が突き進む。
    「強さを謳う、千の鍵――」
     解放の詞をもって顕現せしめた魔杖。その先端に集った魔力が白煙を散らす。
     目前には、炎の獅子がいた。妖冷弾による霜をまとい、その動きは鈍い。
    「今から殴るから歯ぁ食いしばれ、クソにゃんこ」
     ヴェイグにとって、敵がどんな相手だろうと関係ない。大事なのは全員の帰還で、そのためには勝ちに行くまでだ。
     手応えあり。叩きつけた魔力の爆発に、イフリートの苦鳴が重なった。

    ●八四八
     炯々と怒りを瞳に宿したダークネスが着地した時には、その眼前に討真が縛霊手を構えている。獅子の額に輝く『智』の宝玉を見据えた。
    「智を司る犬士、というところか」
     はたしてその知性はどうか。獣以上のものがあるのか。疑問を抱いたまさにその瞬間、強烈な光が視界の端を掠めた。繰り出した巨腕の縛鎖を切り裂いたその光は、討真とイフリートの間に割り込み、縛霊撃を受け止める。討真はリング状の光を砕き散らすも、一瞬の停滞に炎の獅子は飛び退き、ダメージを減衰していた。
     地面を踏みしめた四足獣の周囲で新たな光が生まれ、複数の輪を形作っていった。蓮二が氷の弾丸を撃ち込みながら、光の正体を口にする。
    「リングスラッシャー、か」
     妖冷弾を、反応したサイキックの光輪が動き、切り裂いた。光輪はそのままイフリートから離れると、分裂しながら灼滅者たちに襲いかかる。宙を飛来する光の輪は合計七つ。零からトップスピードまで、わずかな時間もない。
     真っ先に反応したのは、峻烈な心を宿すモノたちだ。
     蓮二の霊犬、つん様が軽やかに跳んだ。咥えた刀を閃かせ、光輪を断ち切る。夕月の霊犬ティンと、優貴の霊犬モモが首を振り、勢いよく飛び出した六文銭が残る光輪を撃ち落としていく。
     狩羅の霊犬、倶利伽羅がのっそりと主の背から降り立った。よっこいしょーという感じで身震いすると、突如、爆発的な脚力で地を駆けた。べちん、と勢いに任せて前脚で光輪のひとつを叩き割ると、斬魔の刀でリングの守護をこじ開ける。
    「倶利伽羅はですねー、やるときはやるんですよ」
     光輪をかいくぐるようにして抜けた狩羅が獅子へと加速する。彼女自身もディフェンスで負傷しているが、むしろその傷から出る炎を宿したように、エアシューズのローラーが業炎を纏う。
     炎を宿した蹴撃はイフリートの炎を打ち破り、その身体へと突き刺さった。蹴り抜いた足を引き戻すと、狩羅の身体が回転、反対側の足が回し蹴りの連撃となって獣を打ちすえた。
    「回復はもう少し我慢してくれよ」
     優貴がギターを構えた。序盤はできうる限り攻撃に専念することになっている。弦をはじく指が踊るように動けば、激しい旋律が音の波を紡ぎ出す。
    「俺のリサイタルへようこそ。心ゆくまで聞いてきな!」
     生じた音の魔力がダークネスの襲い、獅子はよろめく――『智』の宝玉が光り出したのは、その時だった。
     イフリートの体躯から更なる熱量が立ち昇った。巻き起こった熱風が灼滅者たちの顔や肌をあぶり、掲げた袖や裾がはためく。高密度の熱は炎へと転じ、獅子の口腔へと集まっていく。
     眩い光があふれ、咆哮と共に白色の炎が視界を覆った。

    ●三〇五
     吹き上がった黒煙が、澄み渡った空を汚していく。周囲一帯に着弾した高温の炎は、地面を溶かしながら燃えていた。ブレイブが炎から下がりつつ、蓮二に言う。
    「蓮二殿、すまない」
    「気にしなくていいぜ」
     前衛を狙ったバニシングフレアに巻き込まれ、味方を庇ったつん様が連続する爆裂に巻き込まれ、消滅していた。残る霊犬たちも先ほどの攻撃に続く光輪の攻撃に、負傷が重なってきている。蓮二は瞬間硬くなっていた表情をすぐ元に戻した。動揺してミスでもしたら、それこそ体を張ってくれた彼女に申し訳がない。
     炎の壁が切り裂かれる。
     飛来した二つの光輪を、ブレイブが叩き斬った。その刃が振り抜かれた瞬間を狙って、新たな光輪が背後から殺到する。より速度を増した攻撃に肩口を裂かれるも、ブレイブの腕が跳ね上がり、光輪は剣に両断されて消滅する。
    「これしきでは、負けぬ!」
     剣風が炎を散らした。その奥から、切っ先を逃れたスキュラダークネスが垣間見えた。その動きは、戦闘開始時より速くなっている。優貴と幸谷が負傷の蓄積してきた前衛へと癒しのサイキックを放ち、霊犬達もダメージを散らしながら負傷者の傷を癒していく。
    「その先に、救いを信じます――もう一頑張りだな……っと!」
     イフリートが生みだした光輪の乱舞を、幸谷が際どく避ける。イフリート本体とは別に、戦場を物理法則を無視した動きで飛び回る光輪も、時の経過とともに精度と脅威を増していた。
     アラームが、鳴る。
    「あと五分だ」
     優貴が良く通る声で告げ、灼滅者たちの表情が険しくなった。手数の攻めと氷や炎を始めとする搦め手でダメージは重ねているが、攻撃型のダークネスに対して、耐久力に難のあるサーヴァントとその主は常に戦闘離脱の危険が伴う。戦線を保つにも一定以上の攻撃はしたいし、とはいえ誰かが倒れてしまえば手数と搦め手の利点が減る。この塩梅に明確な正解はなく、キャスターの幸谷はめまぐるしい状況に半ば目を回している。
     一方、時間と共に脅威を増す敵……攻撃の失敗、相殺の可能性を考えれば、現状のまま残り五分戦うのは分が悪かった。
     だから当初の決定通り、ギリギリまで踏み込んで押し切る――攻撃偏重だ。
    「先陣、任されたでござる!」
     軽やかな踏み込みで、ブレイブが魔杖を手に駆けた。咆哮と共に吐き出された炎に耐えながら、ファースブレイクの爆発が巨体を吹き飛ばす。態勢の揺らいだ隙をついて優貴が影の刃を放とうとするが、幻獣は衝撃を緩和しながら降り立ち、すかさず大木のような前脚を振う。咄嗟に影を変形し炎を遮る壁とした優貴が、歌声を紡ぐため息を吸い込んだ。
     その背に、衝撃が走る。
     倒れながら振り返った優貴を、モモが突き飛ばしていた。その身に光輪が突き立ち、霊犬は消滅を迎える――本命は、死角からの攻撃だったのだ。
    「――――」
     優貴の胸腔が、ありったけの空気を吸って膨らんだ。
     爆発的な発声は絶唱となって、音の斬撃を刻んだ。天上の歌声は敵には容赦なく、仰け反ったダークネスの身に裂傷が走っていく。
    『ア、ア……』
     その時、不明瞭な音が獅子の口から発せられた。
    『アアアアアアア!』
     咆哮とも言語ともつかぬそれは、赤き怒りに染まっていた。炎は嵐の如く荒れ狂い、カバーリングに入ったティンと倶利伽羅が炎に飲み込まれ力尽きる。
     普通の人間なら近寄るだけで肺がやられ死に至るだろう、一面の火の海。触れれば燃える火の紗幕を突き破って、蓮二とヴェイグが突貫する!
    (どうして、そんな……)
     杭打ち機の噴射機能で進みながら、悲鳴のような怒りの声を上げるイフリートを見て、蓮二は思う。忠実な僕として生まれたあの存在に、意思はあるのか。その意思は自らを何者とするのか、と。
    「逃がすとヤバそうな敵――それだけだな」
     心の声が聞こえたようなタイミングで、ヴェイグが呟く。時を同じくしてイフリートから炎色の光輪が放たれた。それに蓮二は静かに頷いて、武器を構える。
     互いの死角を補う様に進む二人のバベルブレイカーが、光の輪のことごとくを打ち払った。獅子の後退を許さぬ速度で二つの杭打ち機は耳障りな音を発する。
    「突き刺せ、闇鹿」
     尖烈の杭を、さらに蓮二が死の中心点への突きが幻獣を穿った。
    「目覚めたところ悪いけれど、消えて貰うね」
     夕月の細腕が、急激な膨張をはじめ、鬼神のそれへと変貌する。パーカーをひるがえし走りだした彼女を炎と光輪が追尾するが、夕月は巨腕を盾にするように構え、一振りで火炎を散らし、リングを弾く。腕をたゆませて放った一撃は、分裂しながら盾のように広がった光輪の積層を打ち砕いた。拳はイフリートと交差し、双方の血潮を舞わせる。
     それでもまだ追いすがろうとする光輪の群れを、討真が迎え撃った。
     光輪が次々と身体を裂いていくが、致命打のみ打ち払い突き進む彼の瞳は、命のやり取りに慣れた光を宿している――戦いの日々で得た経験を、たかが数分で覆されてたまるものか。
    「俺を止めたきゃ地獄の番犬でも連れてくるんだな」
     討真の影が伸び、退避しようとした獅子を拘束する。機動力を削がれた幻獣に止めを刺すべく槍を手にした討真は、しかし次の瞬間体勢を崩していた。その足に尻尾が巻き付いていると認識した時には、上空へと投げ上げられている。
     イフリートの口が開き、再び超高熱の炎をその内に灯す。
    「させませんよ!」
     狩羅の闘気が紅蓮に染まった。渦巻く炎を携えて、狩羅の拳が閃光を発する。拳打は獅子の顎を捉え、白色の炎は明後日の方向へと吐き出された。さらにレーヴァテインの闘気は、その熱でダークネスを蝕んでいく。
     その時には、討真も空中で体勢を立て直していた。
    「お前の炎と俺の氷、純粋に強いのはどちらか試させてもらおうか」
     手にした槍を、投擲。一直線に突き進んだ氷獄の槍はダークネスの脚を貫き、突き立った場所から瞬時に氷が浸食していく。
    「行くぜデブ猫、燃焼系新米祓魔師による地獄ダイエット講座、始まり始まりッ!」
     自らの炎で氷に抗おうとするイフリートに向かって、幸谷がレーヴァテインを展開。闘気を炎獄色に染め両腕に凝縮させ、渾身の力で叩きつける。
    「拒否権は、なしだぜ?」
     不敵に笑った幸谷の炎を、イフリートがかき消さんと纏う熱波の出力を上げる。闘気を削られ身を焦がされながらも、幸谷は不敵さを崩さない。恐怖と震えを拳にのせ、炎で包み、勇気に変われと前へ進む。記憶の面影に背を押されるように。
     ――神よ、どうかご加護を。
     異なる炎の拮抗が、スパークを生み出し互いを傷つける――時計のアラームが鳴ったのは、その時だった。
     ハッとして夕月が見れば、腕時計は十五分の経過を告げている。
     同時に、エナジー切れで幸谷の炎が消失。
     消えた炎の向こうから、獅子の峻烈な瞳が現れる。
     額にある『智』の宝玉が、光り輝いていた。

     時を告げる音は、灼滅者たちの心に突き立つように響いていた。

    ●零
     ダークネスが動く。動けぬ幸谷へと向かってゆっくりと巨躯をしならせる。
     そのまま炎を消し――獅子は倒れた。
     額の宝玉が光を失い、砕け散る。
    「――だああ!」
     思わず脱力する幸谷の言葉に、ようやく張り詰めていた空気が動き出す。
     その時だった。
    「――ッ! まだです、まだ生きてます――なんて展開はないですよね?」
     そんな台詞を狩羅が言ったので、場の空気は完全に乱れた。
    「冗談きついぜ」
    「まったくだ」
     優貴と討真が深い息を吐いた。最後の最後で緊張とその崩壊が立て続けに起り、一気に疲労がきたようだ。
     あの瞬間、闇堕ちまで考慮していた者たちにとっては、特にそうだろう。
     十五分――制限時間きっかり。際どい戦いだった。蓮二とヴェイグはどちらともなく笑い、互いの拳を打ち合わせる。
     それにしても――
    「モフ成分、一つもなかった」
    「そうでござるな……」
     夕月の言葉に、ブレイブが頷く。
     いつの間にか獅子は消えていた。霊犬たちも消滅したままだ。
     功労者である彼らが復活するまで、約十分。改めて全員で勝利を分かち合うまで、しばし灼滅者たちは休息するのだった。

    作者:叶エイジャ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年6月15日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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