武蔵坂学園の修学旅行は、毎年6月に行われます。
今年の修学旅行は、6月24日から6月27日までの4日間。
この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。
また、大学に進学したばかりの大学1年生が、同じ学部の仲間などと親睦を深める為の親睦旅行も、同じ日程・スケジュールで行われます。
修学旅行の行き先は沖縄です。
沖縄そばを食べたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載です。
さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
●琉球ガラスを作ろう
楽しい修学旅行もとうとう最終日。でも、帰る前に最後の自由時間があります。
そこで、少しだけ足を伸ばして、琉球ガラス村で自分だけのガラス製品を作りませんか?
廃材の再利用から始まった琉球ガラスは、近年、沖縄を代表する伝統工芸品として認定されました。
基本として用いられるのは、オレンジ・茶・緑・水色・青・紫。その他、赤い色も人気があります。
窯から取り出されたばかりのあつあつのガラスにふーっと息を込めて膨らませたり、ぐるぐる回しながら形を整えたり。
オリジナルのグラスや、海の色をしたお皿、とんぼ玉を使ったストラップやネックレスなどを自分の手で仕上げて持ち帰るのは、修学旅行のいい記念になりますよ。
もちろん、ちゃんと1人1人に職人さんが付き添って教えてくれるので安心です。
この施設で体験できる琉球ガラス作りは、3種類あります。
1・オリジナルグラス作り
用意されている7色(赤・オレンジ・茶・緑・水色・青・紫)の見本の中から1色を選び、でこぼこな形のグラスを作ります。
『ガラスを吹いて膨らませる』『回しながらグラスの口を整える』の2工程を体験できます。一見、簡単に思えますが、どちらもなかなかの重労働ですよ。
また、作ったガラス製品は、時間を掛けてゆっくりと冷やさなければいけません。
そのため、完成品は後日発送になります。手元に届くのが楽しみですね♪
2・海の色のお皿作り
美ら海をイメージした、青い『海の色』のお皿を作ります。
『ガラスを吹いて膨らませる』『お皿の表側を広げる』『回しながら形を整える』の3工程を体験できます。ちょっとした職人さんの気分を味わえそうです。
こちらも、完成品は後日発送になります。
届いたお皿は、ぜひ太陽の光に当ててみてください。きらきら光ってとても綺麗ですよ。
3・とんぼ玉作り
用意された見本の中から好きな色と形を選び、丸いとんぼ玉を作ります。
まずは棒ガラスをバーナーで溶かし、金属の棒で巻き取ります。くるくると形を整えたら、同じくバーナーで溶かした白いガラスで流線型の模様を付けて。再び形を整え、最後に1時間ほど冷やせば完成です。全工程を、職人さんと一緒に体験することになります。
完成したとんぼ玉は、用意されたビーズや紐と組み合わせて、ストラップやネックレスにして持ち帰ることもできます。
●武蔵坂学園にて
「最終日の自由行動、柊さんはどこに行くんだい?」
修学旅行のしおりを片手に、宮乃・戒(高校生エクスブレイン・dn0178)は廊下で偶然に出会った柊・久遠(小学生ダンピール・dn0185)へそう尋ねた。
すると、久遠は胸の前で抱えた沖縄の観光ガイドブックを開き、ここ、と1枚の写真を指差す。
「……琉球ガラス、作ってみたい」
そこに写っていたのは、深い青色のお皿。まるで、沖縄の海を溶かし込んだような。
他にも、鮮やかな緑や、落ち着いた薄茶のガラスで作られた、でこぼこな形のグラスが写っている。
どれも、日の光を反射して、きらきらと光っていた。
「へえ、これは綺麗だね」
戒は柔らかな笑みを浮かべ、差し出されたガイドブックに詳しく目を通す。
「他に、とんぼ玉も作れるんだね。……ほら、ストラップやネックレスにも加工できるって」
「……ほんとだ」
写真の中、丸いとんぼ玉は夕焼けのような濃いオレンジに、白い流線型の模様。
こっちもきれい、と。久遠はじっと写真を見つめたまま呟く。
――と。
通りかかったあなたに、戒と久遠、2人が揃って声を掛けた。
「やあ。最終日の自由行動、予定はもう決まったかい?」
「もし、決まってない、なら……」
と、久遠は仄かに頬を染め、恥ずかしそうな様子であなたを見つめて。
「……琉球ガラス、一緒に作ろう?」
●グラスに閉じ込めて
快晴の空の下、琉球ガラス村の工房には汗が噴き出すほどの熱気が立ち込めていた。
何人もの職人さん達が忙しなく行き交う中、あちこちに設置された作業用の窯。中でも原料を溶かす熔解窯の内部は1400度もあるというのだから、気温上昇、推して知るべし。
1色だけを悩みに悩んで、鏡のグラスはオレンジ色。大好きな青よりもあの子を想う心を込める。
ガラスへふぅっと息を吹き込むのは、額から汗が滴るくらい暑くて苦しくて。
(「むむ……じっちゃんの修行と同じくらいかも」)
改めて、職人さんの凄さを実感する。
紫を選んだリオンに何故、と問えば。
「貴女の美しい髪と同じ色があれば、会えずとも温もりを思い出せるでしょうから……」
柔らかな視線に緋世子はぽっと頬を染めて。
「じゃ、じゃあ俺は赤だな! 俺とリオン……2人で同じ目の色だろ!」
嬉しそうに笑う彼女が愛しくて、リオンも笑みを返す。
不器用な手つきで作業を進める緋世子。
作業の熱さに滴る汗へ、そっとタオルを差し出すのはリオン。
「お、タオルありがとうな!」
――久方ぶりの、2人の時間。
思ったよりも力が要りそうだ、と。
緑色のガラスを炉から巻き取り、ギルドールは息を詰める。
ゆっくりと型の中で吹き、飲み口を回し整え。
繊細な作業の連続だったが、満足のいく出来栄えだ。
「さて、零桜奈の方はどうだろう?」
後で様子を見に行くとしよう。
不器用ながらも飲み口を整える戒のグラスはオレンジ。
周囲の作業を熱心に眺め、里桜も早速実践へ。
「……これはこれで良い修行になりそうだ」」
予想以上の重労働に職人気分を実感する。
完成品に、折角だからと名前を付けた。
カンパニュラ。思い付きではあるけれど――大切な人へ、想いを込めて。
『daily report』もグラス作りに挑戦中。
溶けたガラスを窯から取り出せば、肌を焦がしそうな程の熱気を感じる。
桔平は夕暮れ色のオレンジ。おそるおそるガラスへ息を吹き込むその額に汗が滲む。コツはすぐに掴んだが、思った以上の重労働だ。
仲間達には負けられない、と意気込む梗鼓は沖縄の空と同じ青。
職人さんに教わりながら少しずつ金属の棒でグラスの飲み口を整えていく。
くるくる、くるくると慎重に進める作業。
その時、名前と同じ紫のグラスを丁寧に作る紫信が横を見て、ぽつり。
「大輔さんが怖いです」
桔平と梗鼓が振り向けば、そこには作業に四苦八苦する大輔の姿。
「大輔、超必死すぎ!」
「ていうか、必死すぎて顔が怖いよ……」
大輔は言葉を返す余裕もない。気を抜けば、ガラスが歪む。
それでもどうにか完成して。
「届くのが楽しみだな」
大輔の言葉に頷く紫信。
充分に冷やされてから、それぞれの下に届くグラス。
完成した作品を見るたび、きっと修学旅行を思い出す。
●輝く海の色
初めての沖縄。初めての海。
「青色おもちかえりしたいのですよ、お皿いちまいおねがいできるですか!」
元気のいい鼓に、職人さん達はにっこり笑って手ほどきしてくれる。
ゆっくり広がる海の色の青。完成したら――あの人に見せたい。
重労働の苦手な明野は、自信なさげにガラスへ息を吹き込んでから。
「確実にやり遂げてみせるのじゃ」
改めて気合いを入れ、説明と共に挑む作業は次第に鼻歌交じり。
転入早々の3泊4日。思い出を、ガラスの中に閉じ込める。
土産物店で目にした琉球ガラスを作れると聞き、足を運んだ『銀月』3人。
「ふむ、初めてやるから楽しみだ」
ムウの言葉に、意外そうに顔を見合わせる律とゆま。
とはいえ、始めてみれば全員初心者……のはずなのだが。
「てか、コレって結構肺活量いるじゃん!」
苦労する律の横、ゆまは声楽で鍛えた肺活量で軽々ガラスを膨らませる。
想像するのは、海の中に光が差し込む風景。
ムウもすぐにコツを掴み、手際よくガラスを広げ、皿の形を整えて。
3人分を並べれば、誰が不器用かは一目瞭然。
「水瀬はうまいな」
「りっちゃんは……ほら、味があるって言うし!」
ゆまのフォローもどこ吹く風、律は完成度の高い1枚をじっと見つめ。
「……先輩のとすり替え……いえいえ、しませんてば!」
熱い炉の中で溶けたガラスを巻き取り、型に入れ。詩音は息を吹き込み膨らませる。
肺活量があってよかった、と思った矢先、形を整えるのは中々の重労働。
額に汗を流しつつ、詩音は近くに久遠を見つけ。
「……作ったお皿は、どうされますか?」
「……ん、考え中。詩音先輩、は?」
「……私は普通に使う予定です。この時期なら、素麺を入れると綺麗かもしれませんね」
きっと、涼しげな色彩になる。
残り僅かな旅行の思い出に、と意気込んだはいいけれど。
膨らんだガラスが歪んだ気がして慌てる煉。とはいえ、すぐに職人さんが助けてくれる。
横目で見つめ、嵐は意地悪く笑む。
――でも、なんだかんだと2人で来れたのは嬉しい。
汗びっしょりの作業。広がるガラスの向こう側、どんな海が見えるだろう?
できるなら、2人で見た今日の日の、最後の海の色になればいいと。
願い、想って。丁寧に形を整える。
綺麗で優しい思い出が、手元に届きますように。
「久遠! 良かったら一緒に皿作ろうぜ! クラスメイトだし?」
笑うアガサに久遠が嬉しそうに頷き。
燈人と3人、早速お皿作りを開始。
溶けたガラスはアガサの目と同じ赤色。
「固まると海の青色になるのか……不思議だ」
お皿をくるくる広げながら、燈人は思わず呟いて。
「燈人は親父にあげるんだろ? うまく出来たら俺の皿もやるよ」
お揃いになるだろ! と笑うアガサ。
「いいのか? ……ありがとう、嬉しい」
驚きながらも、燈人は小さく笑みを零した。
水華が丁寧に作業を進めるのは、恋人に贈るため。
「これはなかなか重労働だ」
そう言いつつも着実に作業をこなし。
やがて綺麗に完成したのは、青い海の色を閉じ込めたようなお皿。
「喜んでくれるだろうか……」
大切な人を思い浮かべ、口元には嬉しそうな微笑。
帰ったらきっと、届くのを指折り待つ。
●とんぼ玉へ溶かし込む
職人さんの説明を真面目に聞いて、砌はいざバーナーの前へ。
吹き出す汗を拭いつつ、慎重に手元を見つめる。
大切な人を想って溶かすガラスの色。ストラップの組み紐は、紫と緑。それぞれの髪の色を選ぼう。
たくさん用意された見本の中から恭太朗が選んだ色は青。彼女の瞳と同じ色。
初めて出会った日から今日まで、目を瞑れば様々な……おはようからおやすみまで、本当に様々な思い出が浮かぶ。
このプレゼントは、想い。魂を込めて、とんぼ玉を彼女に贈ろう。
兵吾は水色のガラスを溶かし、少しずつ丸く形作る。
とはいえ、細かい作業は少し苦手。
「うぉ、あちちっ!? ガラス加工ってのも難しいもんだな」
苦戦しつつも作業続行。さて、どんな出来具合になるやら。
郁は紫、羽衣は水色。
溶けたガラスはまるで水飴。簡単そうに見えた作業は、実は中々難しい。
眉間にしわ寄せ集中する羽衣を横目に、郁は優しい微笑を浮かべ。
出来上がったとんぼ玉で作るストラップは、薄紫や金のピーズ。小さな花結びの紐と鈴。
達成感に微笑む羽衣へ、郁からそっと差し出される贈り物。
「あげる。よかったら受け取って」
「ありがとう……! わたしからも、今日の記念に」
大切な親友同士、ひとつ増えた思い出。
「また、何処か遊びに行こう」
「飴みたいだよね!ついぱくってしちゃいそう!」
ローレンスとしづこは揃って目を輝かせつつ、作業を始める頃には難しい顔。
やがて、完成した作品はお互い交換。
桃色の珠に咲く白は、ビーズと合わせて紐へ編み込み。
雪兎みたいなとんぼ玉は、赤い紐を通して髪紐に。
「サキちゃんの凄い! 可愛い!」
はしゃいで腕を通すしづこは幸せそうな笑顔。
――少しだけいびつな形が、却って優しい命を秘めるようで。
ローレンスも、小さな雪兎を手のひらでそっと包み込む。
誰に贈るの? と問われ、優志は微かな苦笑。
そっちこそ、と見透かされ、ましろも悪戯っぽく笑う。
大切な人の色は、赤。バーナーでガラスを溶かし、優志はゆっくりと丸くして。
ましろの選んだ澄んだ青は、一緒に見た海の色。模様はまるで白く花咲く。
「みてみて、優志くん」
完成品を嬉しそうに見せるましろへ、優志は小さく笑って。
「喜んでくれるといいな……?」
相手へ贈る言葉は、そのまま自分の胸にも響く。
華月が作るのは大切な人へのお土産。
折角の沖縄だし、と青を選び、丸くまぁるく形作る。
出来上がりを陽にかざして。
――何時だってその身を張って闘う人が無事であります様に、と。
想いを満たした、青い海。
久しぶりのガラス工芸、初めてのとんぼ玉。
細かな作業は得意だから、零桜奈は無言で作業を進める。
色とりどりに白色流し、冷めたらビーズと組み合わせてネックレスを作ろう。
ふと目を閉じて想う。――あの人は、喜んでくれるだろうか。
柊さん、と声を掛けられ久遠が近付けば、迎えるリュシールは嬉しそうな顔。
初対面の希紗は久遠とがっちり握手を交わし。
「希紗って呼んでね! わたしも、名前で呼びたいし!」
「あ、なら私も名前で呼びたいな!」
「ん……リュシールと、希紗、先輩」
緊張しつつも嬉しそうに微笑み、久遠は丁寧に一礼。
作業の間、リュシールは無言。芸術となると集中する性質で。
負けられない、と希紗も丁寧に、慎重にガラスを操る。
選んだのはそれぞれの瞳の色。
出来上がったネックレスへ、今日の思い出を閉じ込めよう。
わからないことは逐一尋ね、悪戦苦闘しつつもケネスは緑色のとんぼ玉を完成させる。
ふ、と一息。そのとき、同じく作業を終えたシグマが近付いて。
淡々と交わされる幾ばくかのやり取り。
やがて、話を終えたケネスが売店の方へと歩き出す。
「……俺は他のガラスの伝統工芸を見に行きますが、あなたはどうします?」
シグマは、沈黙。
「ククク、これぞ我が魔力の結晶『災厄のオーブ』……って、久遠ちゃん!」
久遠を見つけ、大きく手を振る優子。
「見て見て! あたしが作ったとんぼ玉!」
と、陽に透かして。少し形はいびつだけれど、キラキラ輝くとんぼ玉。
同じくらい、久遠の目も輝く。
「えへへー、すっごくキレイだよね!」
嬉しそうに優子も笑って。なんだか幸せなひととき。
「で、できましたっ……!」
途中パニックに陥りつつも、桃花は薄水色のとんぼ玉を完成させて。
充分に冷やしたら、用意されたビーズや組み紐と合わせて、ストラップ作りに挑戦。
鞄に付けられるようデザインを考えて。再び、作業に没頭していく。
とんぼ玉作りへ足を運んだ【MM】の4人。
初めての体験。イローナの選んだ色はユァトムと揃いの緑。
楽しそうに笑う後輩達の様子を、年長の皆無は優しく見守る。
まずはオレンジの棒ガラスを丸く、それから模様を流して。どんな模様にしようか、だんだん真剣な表情へ変わるユァトム。
仲間達の作業を興味深く見つめ、時に優しく助けつつ。詩乃も細心の注意を払い、水色に白を溶かし込む。それはまるで、空に浮かぶ雲のよう。
やがて、完成したとんぼ玉。皆無はオレンジと青をネックレスに加工して。
「さて、皆、火傷せずに作れましたか?」
「キレーにできたデスヨ!」
イローナは白い紐でストラップに。詩乃は丁寧なブレスレット、ユァトムは緑とオレンジが鮮やかなネックレス。
互いに見せ合うそれぞれの顔には、満面の笑み。
――かけがえのない友達と、一緒だから。
並んで作業するギーゼルベルトとフローズヴィトニル。
とんぼ玉はそれぞれ、青と赤。お互いの瞳と同じ色。
色とりどり、たくさんのビーズと組み合わせて、ストラップに。
「……もう少しビーズを増やしても良かったかな?」
「い、いびつじゃないかなぁ……?」
それぞれ不安を見せるのは、きっとお互いを想う気持ちから。
秋乃の手の上、ちょこんと乗るとんぼ玉のブレスレットは桃色。
横目で見れば、灯の作ったブレスレットは紫のとんぼ玉で。
きっと、それは互いの瞳を重ねた色。大好きで、大事な気持ちを込めるように。
「灯ちゃん、ボクのと交換しよう?」
差し出されたそれと自分の出来栄えを比べ、灯は少し躊躇ったけれど。
嬉しくて。そっとお互い、手首に嵌める。
「ありがとう、今年もいい思い出になったよ」
「はいこれ。……あげる」
オレンジ色のとんぼ玉は、彼女の仕事の邪魔にならないようにネックレスに。
啓太郎が差し出せば、悠理は驚き、それからふわりと微笑む。
「では、わたしからも」
そっと差し出されたストラップには、緑に白を流したとんぼ玉。
めっちゃ嬉しい、と啓太郎は頬を赤くして。
「へへ、同じこと考えてたんやなー」
手のひらの上に乗せたネックレスを見つめ――身に着けるのが勿体ないな、と悠理も微笑む。
新は完成したネックレスをドロシーの首にそっとかけて。
「今度は僕のと同じ緑色。……まぁ、不恰好だけど」
恥ずかしくて視線を逸らせば、視界の端、彼女の頬もふわりと染まる。
ドロシーから手渡されたのは、赤いとんぼ玉のネックレス。
「上手にできてマスカネ……?」
不安そうな彼女へ、新は嬉しそうに微笑する。
あっという間の3泊4日、楽しかった日々に想いを馳せて。
「また来れたらいいよね。……今度は2人で、なんて」
「……うん、2人っきりで」
思わず標準語に戻り、ドロシーもこくんと頷く。
出来上がったら交換しよう! と意見が一致して。
羊、蘭、音。相手を想いながら色を選び、作業を終える。
羊から、真面目でしっかりした蘭へ『奥深い山々のような濃緑色』。
蘭からは、音の綺麗な心を想像して『晴れた空を思わせるような水色』。
音から羊へは『夕焼けの暖かさ思わせるオレンジ』。優しい感じの色。少しだけ、いびつな形になったけれど。
ストラップにして交換すれば、自然と笑みが零れる。
終わったら3人並んで帰ろう。作ってる時のこととか、たくさん話しながら。
ひとつひとつ、大切な思い出になるから。
熱気漂う工房を出れば、照りつける外の日差しもさほど気にならない。
この暑さにも随分と慣れたものだけれど――もうすぐ、それもお別れ。
修学旅行、最後の1日。
それぞれの胸の内、色鮮やかなガラスが余韻のように光を残す。
作者:悠久 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年6月27日
難度:簡単
参加:52人
結果:成功!
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