●修学旅行2014
武蔵坂学園の修学旅行は、毎年6月に行われます。
今年の修学旅行は、6月24日から6月27日までの4日間。
この日程で、小学6年生・中学2年生・高校2年生の生徒達が、一斉に旅立つのです。
また、大学に進学したばかりの大学1年生が、同じ学部の仲間などと親睦を深める為の親睦旅行も、同じ日程・スケジュールで行われます。
修学旅行の行き先は沖縄です。
沖縄そばを食べたり、美ら海水族館を観光したり、マリンスポーツや沖縄離島巡りなど、沖縄ならではの楽しみが満載です。
さあ、あなたも、修学旅行で楽しい思い出を作りましょう!
●水族館巡り
修学旅行2日目の午前中は、沖縄美ら海水族館を楽しもう。
沖縄の海を体感できる館内は、個性豊かな海の生き物が育まれる、命の揺りかご。
世界有数の規模と設備を誇る施設は、訪れる者を海への旅路に導いてくれる。
3階から始まる見学エリアは、『サンゴ礁への旅』、『黒潮への旅』、『深海への旅』の3階層に分けられ、1つ階を下るごとに海の底へと潜っていくような作りになっている。
館内では、周りの人の迷惑にならなければフラッシュ有りの記念撮影も可能だ。お気に入りの水槽や魚を写真に収めるのも、良い思い出作りになるだろう。
3階のコーラルロビーを抜けると、そこは『サンゴ礁への旅』の入り口。
まず目に飛び込んでくるのが、沖縄の方言でイノーと呼ばれる浅瀬を表現したタッチプール。そこではヒトデやナマコなど、ちょっと不思議な海の生物と触れ合うことができる。
続いて迎えてくれるのは、サンゴの海と呼ばれる、天蓋のない大きな水槽だ。沖縄の日差しが天から降り注ぎ、光の柱となって水中を揺らめくその水槽には、大小様々なサンゴが群生。サンゴの周りを小魚が泳ぎ回る様子は、正に南の海の代表的な光景と言えるだろう。
順路に沿って歩いて行くと、次に姿を表すのは、熱帯魚の海と名付けられた大水槽だ。
岩場から砂地、魚が隠れ住むのに適した洞窟など、水槽の中に海中の様々な地形が再現され、そこに棲むカラフルな魚が泳ぎ回る。こちらの水槽にも屋根がなく、光の柱が水中を照らす幻想的な光景を楽しめる。代表的な魚は、カクレクマノミやコバルトブルーのルリスズメダイ。他にも沢山のユニークな魚と出会うことができるだろう。
3階と2階を繋ぐ廊下は、個水槽が続くエリア。壁際に並ぶ水槽には、イセエビやハリセンボン、タツノオトシゴの仲間であるクロウミウマ、砂地から体を出してゆらゆらと揺れるニシキアナゴなどが棲み、訪れる者を楽しげに迎えてくれる。
2階に至ると、そこは『黒潮への旅』と名付けられたエリアだ。
大型の回遊魚が泳ぐ巨大水槽が有名なフロアだが、ここでは同じ階にある『サメ博士の部屋』にスポットを当てることにしよう。
部屋の名前が書かれたプレートを潜ると、そこは正にサメの博物館。絶滅した古代ザメ・メガロドンのアゴの骨格や歯の復元模型があり、巨大なアゴと一緒に記念撮影をすることも可能となっている。他にも様々なサメの標本や、サメ肌に直接触れられるコーナーなどがあり、豊富な資料は見る者を飽きさせない。
特に圧巻なのは、一方の壁いっぱいに取られた、実物のサメが泳ぎまわる大水槽だ。
サメ好きもそうでない人も、標本や実物を前にしながら、その独特な生態に触れてみてはどうだろうか。
2階から1階へと降りて行くと、そこは『深海への旅』と銘打たれた深き海の世界。
ここでは、静寂の海底に棲む、様々な生き物を観ることができる。
順路に沿って並ぶ個水槽には、装飾品としても珍重されるアカサンゴやモモイロサンゴ。僅かな光を捉えるために目を大きくした稀少種のハマダイや、生きた化石とも言われるオオウミユリなども観察可能となっている。ハマダイなどは美味な魚としても有名なので、美食家の目で深海魚を眺めても面白いかもしれない。
小さな個水槽には、宇宙生物のようなフクロウニやオオグソクムシ。
かの有名なダイオウイカの標本が展示されているのも、このエリアだ。
深層の海と呼ばれる中規模の水槽では、タカアシガニや、ナワキリの異名を持つナガタチカマス、深海ザメである稀少なヒゲツノザメなど、多様な深海魚を観ることができる。
彼等が何故、深海を棲家にしたのか――思いを馳せてみるのも一興だろう。
館内でも終端に位置する、海のプラネタリウムと呼ばれる一室では、暗い深海でも光り輝くサンゴやマツカサウオ、ヒカリキンメダイが、幻想的な光景を見せてくれる。
深海巡りを終えると、その先に待つのは、ショップ『ブルーマンタ』。
縫い包みや文具、お菓子など、旅の記念になる品物がきっと見つかる筈だ。
●美しき海の世界へ
「美ら海水族館、一度行ってみたいと思っていたの」
水族館のリーフレットをひとしきり眺め終えてから、橘・レティシア(大学生サウンドソルジャー・dn0014)は期待と感嘆の入り混じった声で皆に言った。
彼女が心を躍らせているのは、世界有数の水族館に行けるから、だけではない。
「これだけの水族館だもの。皆で行けばきっといい思い出になると思うわ」
修学旅行、親睦旅行の一環として、皆で良い思い出を作りたい。
それがレティシアの想いなのだ。
「良かったら、一緒に行ってみない?」
それはさながら、光注ぐ浅瀬から静かな海の底までを巡る、海中旅行。
沖縄の美しい海に棲む個性豊かな生き物達が、訪れる人々を待っている。
●サンゴ礁への旅
ロビーを抜け、浅瀬の生き物を楽しんだ後は、光差す大水槽へ。
光が揺らめく海の世界を、紅子と奏夢は手を繋ぎながら眺める。
(「こういう時間ってええよね」)
そう思い、終始楽しげな紅子に、奏夢も笑みが溢れる。
「クマノミって何か紅子っぽいよな。色とか、可愛さも含めて」
さらっと言ってのける奏夢。
「え、と……あ、他にも色んな生き物おんねんね~」
紅子は照れ隠しでパンフレットに目を落とした。
水槽を見上げたユエファの目の前を、熱帯魚の群れが横切る。
「幻想的ですね……」
隣で感嘆の声を上げるアルヴァレス。普段より浮かれたその様子を、ユエファは携帯を構えてパシャリ。驚いた彼にユエファは慌てて、
「お魚さん取るしただけ……よ?」
アルヴァレスは表情を笑みに変えて、
「折角ですし、水槽の前で写真撮りましょうか」
通行客を呼び止めて撮影を依頼。思い出が一枚の写真に収まった。
「ニコルさん見て下さい。サンゴに隠れて、魚が居りますよぅ」
ニコルと手を繋いだ壱が、空いた手で水槽を指した。
「わ、あっちにもオレンジ色の……!」
目を輝かせるニコルの前を鮮やかな熱帯魚が泳いでいく。
「竜宮城にでも来ちまった気分ですねぇ」
澄んだ海の世界を前に、壱は一言。
「乙姫さんもいることですしね」
「えへへ、『おもてなし』……しなきゃ、かな?」
照れたようにニコルが笑い、踊るようにくるりと舞った。
●サメ博士の部屋
壁一面に設けられた透明なパネル越しに、数種のサメが悠然と泳ぎ回る。
「うぅ……ぐるるるぅ……っ!」
人狼としてのプライドからか、目の前を横切るサメを睨み果敢に威嚇するユァトム。が、その両脚、実は若干震えていたりする。
五日市街道キャンパス高校2年2組の面々も、わいわいと大水槽を観察していた。
「おお! でっかいサメが沢山おるのう!」
耳をぴこぴこさせながらはしゃぐ神威の後ろで、
「……めっちゃ喜んでるな」
とパラケルスス。
「でっけえなあおい。何食ったらあんなにでかくなるんだ?」
泳ぐ魚影はウェインが思わず笑い声を上げる程。
「あれはなんという奴じゃ?」
「イタチザメですわね」
展示中のサメは五種。リズロットはそのうちの一種を解説して、
「でも私はホオジロザメが好きですわ……ぜひ何かを喰い散らかしているところが見てみたいですわねぇ……クク、想像したらテンションあがっちま、いえ……気分が高揚しますわ」
……何やら本性が覗いたような気がするのは気のせいだろうか。
「しかしジンベエザメってよ、ホオジロより怖い気がしねぇか?」
同じ階の巨大なサメを思い出して要心が言う。
あのデカイ口なら丸呑みだぜ、と続ける彼に、
「でも、ジンベエザメは人間を食べないそうですわよ。プランクトンが主食なので、歯がない……とかだったと思いますわ」
香撫が先程取り入れた知識を披露する。
「ヒヒヒ……いくら吐き出すとはいえ、飲みこまれたら堪ったものじゃないけどねぇ」
そう言う朔太郎は何やら楽しげだ。
「サメといや、縄文時代の遺跡の食事の跡からサメの骨が出てきた、と聞いたことがありやすねえ。フカヒレはよく聞きやすが」
さらっと薀蓄を語る名雲。
「うむ、サメといえばやはりフカヒレじゃな」
「いや、お前らもうちょい情緒というものをだな……」
雄大なサメを感慨深げに見ていた郎が、聞こえてきた会話に苦笑い。
「そう言えばかまぼことかもサメの身が使われてるんじゃなかったかしら? ……このサメも死んだらかまぼこになるのかしらっ」
霊子の弾んだ声が聞こえたのか、目の前を泳いでいたオオメジロザメが何やら慌てたように泳ぎ去った。
「俺様、頭いてェ」
頭を抱える郎。談笑は尚続く。
「いい思い出にはなったかな」
水槽の前で広がるやり取りを眺めつつ、パラケルススは小さく呟いた。
「他の展示も見に行こうぜ」
要心が香撫に声を掛けて歩き出したその横で、
「地上でなら……ま、負けないから……っ」
メガロドンの模型にも圧倒されたユァトムが、ふらふらと捨て台詞を告げた。
●深海への旅
浅瀬から始まり、雄大な海を巡り終えた人々が、続々と深海に足を踏み入れる。
深海には深海の魅力がある。そこは宇宙にも似た神秘の領域だ。
(「だから深海を棲家にしたんじゃねえか?」)
展示を巡りながらジョーは思う。
「深海で、生きるお魚って……不思議な感じのが、多いんだね?」
個水槽を順に眺める円。同行する純也は観察者の目で見回りながら、
「其方は不思議と表現するか。確かに浅瀬や陸の生き物に比べれば――」
「わ……! これ、見たかったんだよね」
足を止めて覗き込む円の視線の先には、ダイオウグソクムシの近縁のオオグソクムシ。
「白星の目当てはこれか。叶ったようで何より」
「純也君は、見たかった魚、いる?」
不意の問いに純也は瞬きしてから、
「俺の狙いはこの施設を訪れる者の方であり……先程から興味深い反応を多く観る事が叶っている」
と、不意に、ダイオウイカの標本の前で興奮気味の声が上った。徒だ。
その様子が面白くてゆるりが笑い、やがて二人が足を向けたのは、
「えと、ここは……海のプラネタリウム」
深海を表した小部屋。光る魚をなかなか見つけられないゆるりに、
「ゆるり、ほら! あそこあそこ」
水槽の中、岩の陰に見え隠れするマツカサウオを発見した徒は、肩越しに手を伸ばして視線を誘導。
「あ、わかった!」
慌てて振り返ったゆるりが「わ」と小声で驚く。
距離が近い。ゆるりと徒は共に鼓動の高鳴りを覚えた。
入れ替わりにその場を訪れたのは烏芥だった。
浅瀬のさざ波、青い海を経て、いま静かな深海へ。海の底へ行ってみたい――そんな願いが叶えられたかのようなプラネタリウム。
「確かに、深海は宇宙に似ているか……」
漂う光をガラス越しに撫でて、
「……いい色を御持ちですね、貴方達は」
次は脚でなく、己も漂ってみたいと烏芥は思う。
浅瀬から深海までを観てきた柚羽もまた、光漂う小部屋へ。
(「深海の生き物――とても興味深いです」)
目を凝らすと、サンゴが光っているのだと分かる。
そのうち、ヒカリキンメダイがひらりと目の前を横切った。
「金目鯛……食べられるのでしょうかね」
真っ暗に思えた深海も実はそうではないのかも、と柚羽は感慨に浸る。
続いて訪れたのは叶世と夜奈だ。
「ヤナちゃん、手を繋がない?」
理由は後で話すと言った叶世の真意を、白手袋をした夜奈は程なく本人から聞かされることになる。海のプラネタリウム。瞬きながら泳ぐ魚。
「暗がりは深すぎて……一人じゃ来れなかったな」
展示に心躍らせる夜奈に、叶世は呟くようにそう話した。
「暗いのこわいのに、いっしょにきてくれたのね」
自然と微笑み、感謝の言葉を。
人の手を取るのも苦手な筈の夜奈が、両手で叶世の手を握り返した。
ダイオウイカの標本前でひとしきり(灼滅しなきゃとか焼いて喰おうとか)楽しんだ絲絵と千佳は、プラネタリウムに入ると、それぞれに感嘆の声を上げた。
「絲絵さん、ソウルボードのせかいと海のせかいはなんだかにていますね。誰も、自分すらも判らないようなふしぎなもので溢れている」
そうだね、と同意する絲絵。
「これは東京に帰ったら合作をつくらねばなりませんね!」
「うふふ、きっとどでかいカンバスに沢山の海色の絵の具も必要だろうね?」
湧き上がるインスピレーション。絲絵は頷き、千佳に言った。
「東京に帰ったら買い出しにも行こうぜ、千佳くん!」
やがて幾つかの団体も、深海への旅に至る。
「流空はドんな魚が好きだ?」
七狼に問われて、うーんと考える流空。ハマダイの赤を目にした陸が隣で、
「るくのメッシュの赤みたいでとても綺麗だぞ」
「そう言われると何か親近感湧いちゃうな」
ハマダイ釣りの話を始める兄達を、流空が手招きした。
海のプラネタリウムだ。
三人並んで光る魚やサンゴを眺める。七狼が少し考え、
「……タノ、シイ。よ、二人共……アリガトウ」
二人はきっと言葉にしなくても分かってくれる。それでも、敢えて。
陸が目を細めて感謝を返し、流空が笑みを溢して二人の腕を抱いた。
Chaserの面々も深海を巡り、プラネタリウムに足を運んだ。
「暗いけどきらきらしてて、綺麗やねー」
溜息するように瑠美が言う。
光るサンゴや魚に目を向ける想希の隣で、陽桜が彼の真似をして水槽を覗く。
「ひおねー、このお魚さんが好き!」
想希は微笑んで、
「面白いですね。海の中の宇宙ってところでしょうか」
「……皆地球の生き物で、皆宇宙の生き物なんだよね」
なんか感動した、と壮大さに感情移入する要。瑠美が横目で、
「由比先輩はもう壮大に大らかに生きとるような気ぃするけど、宇宙目指すん?」
その隣で、陽桜が光を眺めながら楽しそうに言った。
「みんな違う子だけど、集まるとすっごい綺麗で面白いの」
「えへへ、この子達も皆一緒で楽しかったらいいねぇ」
俺達みたいにね。続けた要に、想希は頷き、
「こうして皆で旅行に来れて、嬉しいです。ね」
ごく自然に隣に同意を求める。
が、彼の姿はここにはなく――察した瑠美が、想希に言った。
「いーっぱいお土産買うて帰ろうね!」
「こちらのサンゴも美しいぞ」
二階までを巡り、深海の旅に至ったキースが、同行する鬼縁の面々に声を掛ける。
余り水族館に行く機会がなかった瑠々も、広がる深海の世界に興味深げだ。
「部屋に飾ってみたいものですねぇ」
アカサンゴを見たロジオンがそう言って、
「綺麗な色だな。あれなんか、形も可愛い」
ヴィルクスもまた顔を綻ばせる。
ダイオウイカを前にしたチェーロはふと、不思議な響きを耳にして瞑目した。
それは鯨の歌と呼ばれる、鯨の奏でるエコー音だ。
やがて一行は海のプラネタリウムに入る。
「うむ、良いものが見れそうな予感がするのう」
瑠々に続いたヴィルクスは幻想的な風景に目を細めて、
「こんな暗いところにも、綺麗なものはあるんだな」
ロジオンは言葉を忘れてただ見入る。
「空に浮かぶ星とは違うが……この魚たちは生きているからこそ光る」
キースの言葉にチェーロは頷き、言った。
「だからこそ、美しいのかもしれません」
総勢十二人にも及ぶ団体は、旧・井の頭キャンパス高校3年1組の面々だ。
「ほらこれ見るッスよ! ダイオウイカ!」
勇人が展示に声を上げる。
彼等にとっては初の修学旅行。心躍るのも自然なことだ。
「やっぱり本州……東京では見れない珍しい生き物ばっかりだね」
総護もまた楽しげに感想を述べる。二階で観てきた巨大鮫も雄大だったが――流石に深海は不思議な生き物が多い。
個水槽の並びを歩きながら、煉夜はふと同行する元級友達に目を向けて、
「卒業して数ヶ月とたったが……懐かしいって思っちまうな、このメンバーは」
「言われてみれば久し振りだよな……このメンバーで過ごすのも」
ダイオウイカを見てきた優志が同意する。
「皆元気そうで何よりだ。まだ半年も経ってねぇけど」
はしゃいでいた清十郎も感慨深げに皆に目を向けた。
「こうやって皆で集まると高校生に戻ったみたいよね」
個水槽の生き物達を眺めていた姫恋も、懐かしむように呟いた。
似た感慨を、同じフロアを巡る誰歌、修斗、蒼香達も抱いている。
燐も思い出に浸りつつ、退魔の一族である祖先や綿津見に思いを馳せながら、展示を眺めていく。
「っとと、お店行くんスか? 置いてかないでほしいッス!」
勇人に手招きされて、時間を掛けて展示を堪能した晴香が後に続いた。
●ショップ『ブルーマンタ』
誰歌達がショップに赴いた時、店内は多くの客で賑わいを見せていた。
「こういうところのおみやげって何が良いんだろうか?」
と言いつつ、誰歌はふと目にしたカメの縫い包みを何度もチラ見。
「カメの縫い包みですか、可愛らしいですね」
微笑ましげに言う修斗。
優志は恋人への贈り物にマナティの縫い包みを手にし、煉夜や姫恋達の隣で、燐が魚の形をしたガラスの置物を手に取った。
「深海の生き物が沢山いて楽しかったですねー」
展示の感想を語ったりしながら、翔がイルカのキーホルダーに目を付け、
「音楽活動のいい刺激になったよ」
と総護が言う。
「やはり食べ物系がいいでしょうか。ストラップも良さそうです」
クラブへの土産を物色しながら、蒼香が元級友達にアドバイス。
「定番よね。記念にもなるし」
と、晴香も同意する。
清十郎は3人の妹用に深海生物が描かれたTシャツを。
翔はイルカの縫い包みも手に取った。
彼女へのお土産を探していた桜太郎は、傍にいたレティシアに声をかけて、
「女子って縫い包み好きっすよね?」
桜太郎にレティシアは微笑を返して、
「そうね。真心が伝わるものなら、尚更」
それにしても、と棚に目をやる桜太郎。
(「つぶらな瞳の縫い包み達がみんなこっちを見てる気がする……!」)
響とショップに赴いた奏一郎は、妹のためにジンベエザメの縫い包みを手に取った。響も下の妹に向けての縫い包みを選びつつ、ぼそりと、
「あのマグロ、美味そうだったよな」
「おい、それを言っちゃ」
奏一郎が苦笑するが、彼もカニが美味そうだったと話に乗る。
そんな彼等が手にしたのは可愛い大きな縫い包みで、
「良く似合ってるよ、響。マンタのぬいぐるみが」
「奏一郎も似合うぞ、ジンベエザメ」
開き直って笑う男子二人だった。
鬼縁の皆と見て回るヴィルクスはお揃いの星の砂のキーホルダーを。
烏芥は魚の飴が入った小瓶を。
壱は白いサンゴのブレスレットを手に取った。
三階からの海の旅を巡って来たかおりも、色々と品物を見て回る。ChaserやMSCの面々を始め、海の旅を巡ってきた皆が、思い思いに品物を選んでいた。
ジョーは去年の修学旅行でお土産をくれた後輩の女子に、マンタの縫い包みを購入。
海の旅を堪能した後、土産を選んでいた喬市は、レティシアを見かけて声を掛けた。
喬市の買い物かごにはお菓子が入っている。
「散々強請られてな」
「妹さんに?」
会話を交わす中、一つ頼みたいことが、と喬市。
可愛いもの好きな家主への土産について、
「女性の意見を参考にしたい」
「そうね……置いたとき思わず笑いが溢れてしまいそうなものとか。あとは直感、かしら」
「む」
喬市の目がジンベエザメの縫い包みを捉えた。
悠理が胸に抱えるのは、お目当てだったナンヨウマンタの縫い包み。買ったばかりのそれを持って、空を飛ばすように動かして遊んだり。
ちょっと浮かれているかなと思うものの、
「旅行中ですし、少しくらいは良いですよね」
兄弟と共に買い物を楽しみ、鮫のストラップを手にした陸は思う。
(「今日は充実した楽しい旅だった」)
美ら海を巡る旅は、ここがひとまずの終点。
旅の思い出は、きっと何よりの土産となるに違いない。
作者:飛角龍馬 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年6月25日
難度:簡単
参加:58人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 8/キャラが大事にされていた 3
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