小さな魔女は玩具を求めて

    作者:佐和

     かつて殲術病院の1つがあった場所のほど近く。
     老朽化し打ち捨てられた古い設備が錆びつく、寂れたその場所に。
    『……玩具……アリツィアの、玩具……』
     幼い少女の声が小さく響く。
    『苦痛も、悲鳴も、絶望も……全部、アリツィアのもの……』
     しかしそれは肉声ではなく。
     誰にも聞こえず、聞くものもないはずの残留思念の執念。
    『アリツィアが堕とす……誰にも、渡さない……誰にも……』
    「貴女の執着の声は届きました。灼滅されて尚、残留思念が囚われているのですね」
     だが、誰にも届かないはずの声に、応える声が現れる。
    「プレスター・ジョン、聞こえますか?
     この哀れな小さき魔女を、あなたの国にかくまってください」
     
    「慈愛の、コルネリウス。動き、見つけた」
     教室に集まった灼滅者達を前に、八鳩・秋羽(小学生エクスブレイン・dn0089)がまず口にしたのはそのダークネスの名だった。
     灼滅者に倒されたダークネスの残留思念に力を与えて復活させる、という予想外の行動を起こし、さらに、復活させた相手をどこかへ送ろうとしているシャドウ。
     その動きを聞き及んでいる灼滅者達は、表情を険しくする。
     秋羽は無言のまま地図を広げ、その1点を指さした。
     そこは、病院が武蔵坂学園の仲間となるきっかけとなった戦いの1つがあった場所。
    「力、与えられる、相手……ソロモンの悪魔。アリツィア」
     配下を率いて病院を襲った、髪の長い幼い少女の姿をした悪魔の名を、秋羽は呟く。
     かつての戦いに、病院の持つ技術へ興味を示して参戦したものの、デモノイドへの異様なまでの執着が裏目に出て、灼滅されたダークネス。
     どうやらその執着にコルネリウスが応えたようだ。
     乱入できるのはその場面。コルネリウスがアリツィアに呼びかけを行う頃からとなる。
    「アリツィア、復活しても、すぐに事件、起こすわけじゃない。
     でも、事件起こすまで、放置しておくわけにも、いかない」
     抱えたお菓子の袋を開けることすらせず、秋羽はじっと灼滅者達を見据えた。
     アリツィアが使うのは、魔法使いのものの他、以前と同じ契約の指輪とリングスラッシャーのサイキック。
     デモノイドへの執着や、新しい玩具への興味はそのまま残っているようだが、それが原因で灼滅されている以上、さすがにそう簡単に同じ轍は踏まないと思われる。
     簡単な挑発で我を忘れることはないだろう。
     そういった意味では、以前より手強い相手と考えた方がいい。
     それと、と秋羽は付け加える。
    「コルネリウス、幻、みたい? すぐ消える、し、話とか、できないから……」
     今回の相手はあくまでもアリツィアだけである、と繰り返して。
     秋羽はお菓子の袋をぎゅっと握りしめた。


    参加者
    殿宮・千早(陰翳礼讃・d00895)
    由津里・好弥(ギフテッド・d01879)
    穂之宮・紗月(セレネの蕾・d02399)
    イシュテム・ロード(天星爛漫・d07189)
    アデーレ・クライバー(地下の住人・d16871)
    山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)
    霄花・メル(識の螺旋・d27107)

    ■リプレイ

    ●慈愛
     誰も訪れることのない、古びた設備が放置された場所。
     そこに1人の少女の姿があった。
     ファンシーな衣装に身を包み、杖を手に、ふわりと長い髪を揺らして。
     少女は何もない虚空を見つめている。
    「慈愛に幸福、そして救済……」
     その場に辿り着いた山田・透流(自称雷神の生まれ変わり・d17836)は、そんな少女を見据えて、ぽつりと呟く。
    「字面だけはいいけど、人間さん達やダークネスさん達を救おうとして私達を救ってくれようとしないところはちょっとだけ嫉妬しちゃうかな」
     どこか拗ねているようにも聞こえるその声に、ラピスティリア・ジュエルディライト(夜色少年・d15728)は小さく微笑みながら、ベルトにつけたランタンの灯りを点けた。
     倣うように殿宮・千早(陰翳礼讃・d00895)も腰に固定したランプを点ければ、さらに1つ、また1つと周囲に灯りが増える。
     光源が増え、はっきり見えるようになったその場所で、それまでいた少女の姿は次第に薄れていき。
     入れ替わるように、もっと幼い少女が姿を見せる。
     長い髪をふんわりと揺らし、ドレスのような可愛らしい服を纏った、見覚えのある姿。
    「アリツィア……」
     以前に対峙したアデーレ・クライバー(地下の住人・d16871)が、左腕をぎゅっと抱えるようにして、その再臨を睨みつける。
     今にも飛び出しそうなその右肩に、穂之宮・紗月(セレネの蕾・d02399)はそっと手を乗せて、
    「かつて灼滅した相手が再び、と言うのは、相対したボク達の恐れを具現化した都市伝説のようですね」
     振り向いた先にあったのは、紗月の笑顔。
     アデーレは一度力を抜くように息を吐いて見せた。
    「そもそも元のコルネリウスさんを絶たなきゃいけなのですが」
     こちらは元凶たるダークネスが気になる由津里・好弥(ギフテッド・d01879)。
     コルネリウスは何を考えているのだろう? と疑問を独り言ちる。
    「どう考えても手駒には使いづらい奴ばっかりですし……
     そもそも残留思念ってなんですか? 略すと残念ですよ」
     そんな言葉にイシュテム・ロード(天星爛漫・d07189)は面白がるように笑った。
    「今は分からないことを考えても仕方ないですの」
     あっさりと返したイシュテムに、紗月も帽子を片手で抑えながら微笑んで。
    「まずは目の前の脅威を払わねば、ですね」
     仲間の笑顔に、好弥も分かっていると苦笑を見せる。
     その傍らで、霄花・メル(識の螺旋・d27107)は1人、木々の向こうへと視線を送る。
    (「かつて共に過ごした病院の皆」)
     人造灼滅者のメルは、今はもう跡地となった殲術病院の方向へと想いを向けて。
    「二度と同じ事、繰り返させない為に魔女を止める」
     決意と共に振り向いた先で。
     アリツィアが俯いていた顔を上げると、その周囲に光輪の盾が生まれた。

    ●再戦
    「Twins flower of azure in full glory at night」
     ラピスティリアがスレイヤーカードを解放すると同時に、片腕を紫水晶のごとく輝かせながら巨大化させる。
    「さて、きっちり灼滅させて頂きましょう」
     その動きに合わせて千早も巨腕を振りかぶった。
    「死んでまで執着に囚われたままとは哀れだな」
     クラッシャー2人の膂力で光の盾は砕かれ、小さな身体が吹き飛んで。
     だがアリツィアはふわりと着地すると、灼滅者達を無表情に見やる。
    「お前の居るべき場所はもうここじゃない。
     黄泉の国に戻るんだな、送ってやるから」
     それを見返して言う千早の隣で、ラピスティリアが首にかけていた白いヘッドフォンを装着した。
     その脇を駆け抜けた透流は、展開したシールドでアリツィアへと殴りかかる。
    (「コルネリウスさんが呼びかけた残留思念と戦うのも、これで5回目……
     少しは慣れて戦えるといいんだけど」)
     十人十色な残留思念を思い出す透流の姿に隠れて接近した好弥が、続けて繰り出した斬撃でアリツィアのスカートを切り裂いて。
     そこに文字通り飛び込んだ紗月が、流星のごとき蹴りを放つ。
    「ソロモンの悪魔、魔法使いの端くれとしてもあなたの復活は見過ごせません。
     ……その想念を抱くことの無い眠りへと、お戻りいただきましょう」
    「復活したてのところ残念ですけれど、もう1度灼滅されて下さい!」
     イシュテムも手にした盾ごと殴りつけながら叫ぶように言う。
     そんな仲間の背を押すように、メルは静かに構えたナイフから夜霧を生み出した。
     続く攻撃に、アリツィアは灼滅者達を見渡して。
     そこへ横手から不意に何かが投げつけられた。
     それはかつてアリツィアが捨てた、酸に腐食され、雨風にさらされ汚れたウサギのぬいぐるみ。
    「古い玩具も、大切に遊ばないと、ね」
     そして、かつてアリツィアが言った言葉。
     とっさに受け止めたアリツィアの腕の中で、さらに飛び来た青い強酸性の液体が、ぬいぐるみをさらに腐食させる。
    「お久しぶりです、いまいましい悪魔さん」
     アリツィアの視線を受け止めて、アデーレはサングラスを外しながら、かつて自身が言った言葉をもう一度繰り返した。
    「あなた達に作られた存在が、あなたを消しに来ましたよ」
    「お前……あの時の?」
     デモノイドヒューマンであり、かつて自らを灼滅したアデーレを認め、アリツィアの表情が初めて変わる。
     無表情からかすかな驚き。そして凄惨な笑みへ。
     再びぬいぐるみを投げ捨てたアリツィアを見て、灼滅者達の間に、作戦成功への歓喜とアデーレに向かうであろう集中攻撃への緊張とが走り。
     アリツィアは周囲に無数の魔法の矢を生み出すと。
     アデーレの後ろを指さした。
    「霄花君!?」
     予想外の攻撃の流れに、紗月が声と共に駆け寄り、清めの風をメルへ向ける。
     メル自身も護符を自らへと向けて、慌てる仲間達へ大丈夫と頷いて見せた。
    「わたしを堕とすと言っていたのは嘘?」
     アリツィアの意識を引き付けようとアデーレがさらに言葉を重ねるも、
    「弱い者から狙うのは、当然でしょう?」
     嘲るように、魔女は笑って見せる。
     そして、くいっと顎でメルを示して。
    「それに、あれ、病院の者、ね?」
     愉しそうに笑みを深くした。
    「守れなかったと、嘆いて、見せて?」
     かつてアリツィアが灼滅された際の戦いは、殲術病院を狙って起こされたもの。
     アデーレ達がそれを助けるために向かっていたことを理解しての言動だ。
     そんなダークネスの姿に、メルはあの日の怒りと恐怖を思い出し、知恵の輪をぎゅっと握りしめる。
    「今は、我の役割、果たすのみ」
     飛び来た石化の呪いを受けながら、メディックの自分が狙われれば前衛陣は被弾することなく攻撃できると、メルは1秒でも長く立っていようと護符を構えて。
     紗月が、そして好弥が、メルを支えるべく回復の手を向ける。
     透流もその一助をと思うが、前衛の者は誰も後衛を回復する手段を持たず。
     届かぬ守りに、ぎりっと歯を噛む。
     だが、ラピスティリアの影は迷うことなくアリツィアへと襲い掛かり。
     それを追いかけるように、千早がバベルブレイカーを突き刺さんと振りかぶる。
    「人で遊ぶなんて、趣味が悪いですよぅ」
     イシュテムも殺人注射器を向けながら、怒りを買えるようにと言葉も投げつけた。
     そんな仲間達の姿を眺めて、透流は、ぱんっと自らの両頬を叩いてから。
    (「私は1人だけで戦っているわけじゃない。私は私にできることをしなきゃ……!」)
     キッと前を見据えるとその手のシールドを広げ、メルが前衛陣の助けにと付与しようとしていたBS耐性を、代わりに付けていく。
     その動きに、ふっとアリツィアの目が向いて。
    「……何か、お前、邪魔」
     メルを示していた指が、不意に透流へと向きを変え、魔法の矢が降り注ぐ。
     だが、ディフェンダーの透流はメルほどの負傷にはならない。
    (「そう。頑丈さだったら、私だって誰にも負けない!」)
     回復をと振り向いた紗月に首を振ると、透流のシールドが再び広がった。
     メルから気を反らそうと、挑発と攻撃とを続けていく前衛陣。
     そして、狙われるメルを懸命に支える紗月と好弥。
     負傷を重ねながら、メルはそんな仲間の背を見て思う。
     武蔵坂学園に来て得たものを。
     自らが成長して得た力ももちろんだが、それ以上に。
    (「共に戦う、同志……」)
     そんな自分達が、ただ1人で孤高に戦う悪魔になど負けるはずがないと信じて。
    「気持ちは託す……後は、任せた……」
     魔法の矢を受けたメルは、苦痛の中で小さく微笑んで、地に倒れた。

    ●終焉
     仲間の名を呼ぶアデーレを愉しそうに眺めたアリツィアは、さらに手をメルへと翳す。
    「させません!」
     倒れ伏したその周囲に生まれた冷気にいち早く気づいたイシュテムがメルを庇い、その氷の魔法を受け止めた。
     凍える身体を奮い起こして、イシュテムは盾を展開した手でアリツィアに殴り掛かる。
    「玩具で遊んで良いのは、玩具を大事に出来る人だけですの」
     嫌悪感に満ちた声に、アリツィアは煩わしそうにわずかに眉を潜めて。
    「お前も、煩い」
     その周囲に生まれた7つの光輪が、イシュテムを中心に襲い掛かった。
     すぐさま透流がシールドを広げたのを見て、回復に回ろうとしていた紗月は、お返しとばかりに魔法の矢を生み出し。
     それを回避したアリツィアの死角を狙い、好弥はブリッツシュトースを振り抜いた。
    「やーい灼滅者にやられる半端ダークネス」
     そしてアリツィアの横を駆け抜けたついでに言葉も投げかける。
    「……って、こんなしょぼい挑発じゃ、逆にこちらが恥ずかしいですよ」
     少し頬を赤くしてちらりとアリツィアを見た好弥だが、アリツィアの暗い笑顔と予想外にも正面からぶつかりあって。
    「なら、次はお前。半端灼滅者に、してあげる」
     好弥に向けられた少女の指から呪いが放たれた。
     そしてまた、アリツィアはアデーレを横目で見て。
    「何人、失うかしら、ね」
     にやりと歪められた口元に、アデーレがぎりっと奥歯を噛む。
    「そう簡単にはやられません」
     自ら石化の呪いを解いた好弥が、鋭く睨み返すのを見ても。
     アリツィアは、再び周囲に光の盾を展開しながら、ふわりと好弥へ微笑み返す。
    「ボク達は玩具ではないのですから!」
     その笑顔へと怒気を向けた紗月が、魔導書から魔法の光を撃ち放ち、透流も非物質化した剣で斬撃を繰り出した。
     ラピスティリアは逆に淡い笑みを浮かべて、銀の歯車と紫水晶が輝く大杖を振りかざし。
    「しかし、他者をご自分の都合の良い玩具にしか思えないのでしたら、こちらも貴女の気持ちを慮る必要はありませんね」
     ヘッドホンから小さめに聞こえるアップテンポな曲に合わせて、リズムを刻むように軽やかに間を詰めると、魔力と共に叩き込む。
    「そういう意味では気が楽な相手です」
    「そういう考え方もあるか」
     感心するような千早の声と斬撃とが続き。
     でしょう? と言うように笑うラピスティリアの隣に、苦笑が並ぶ。
    「俺は、完全にお前の気持ちを無視する気はないが」
     遠くを眺めるようにアリツィアを見た千早は、横目でラピスティリアの影の蠢きを確認してから1つ頷いて。
     その影の刃が伸びるのに合わせて地を蹴った。
    「真に慈愛深い俺達が、きっちり終止符を打ってやる」
    「誰にも迷惑のかからない眠りの果てで、1人で黙々とお遊びなさい」
     紗月も炎を纏った蹴りで、アリツィアの髪を焦がす。
     そんな千早と紗月を順に見てから、アリツィアは首を横に振り、
    「それじゃ、駄目。つまらない」
     両手を広げ、灼滅者達全員を包むかのように冷気を広げた。
    「だから、堕ちて。アリツィアの、ところまで」
     好弥を狙いつつも、他の者への牽制も忘れず、時折回復も混ぜるアリツィアはなかなか崩れず。
     灼滅者達もメディックを欠きつつも庇い合い、支え合って。
     互いに傷を刻み合う戦いは長く続いていく。
    「……ほら、2人目」
     そしてついに好弥が膝をつき。
     先刻の流れを思い出した透流がその前に盾となるように立ち塞がる。
     好弥へと掲げようとした手を途中で止めたアリツィアは、にいっと笑みを浮かべると、次の相手を選ぶように残る6人を見回して。
     そこに飛び来た紗月の魔法の矢が、ラピスティリアの影がアリツィアを刻み、ふらりとその姿がよろめく。
     アリツィアも、ENを打ち消され、BSが積み重なって、その笑顔とは裏腹にかなりのダメージを負っていたのだ。
     これが最後のがんばりどころと、イシュテムの殺人注射器が閃き。
     透流と千早が繰り出した剣撃で、アリツィアの小さな姿が地に伏せる。
     そして、人間の手でネームタグを掲げたアデーレが、デモノイドの腕に槍を取り込んで、
    「何度生き返ってもわたしが倒す! Adlerの名を地獄でも忘れるな!」
     鷹の爪のようにも見える青い刃を突き出したその瞬間。
     初めて見せるとてもとても嬉しそうな笑顔を浮かべて、アリツィアは消えた。

    ●黙祷
     アリツィアが消え去った場所から、ふいと顔を反らし、アデーレは外していたサングラスを再びつけて。
     ラピスティリアは音楽を止めてヘッドホンを外し、元通りに首にかける。
     武器を手放した千早が倒れた仲間に駆け寄ると、他の皆も回復へと動き出した。
     その最中、イシュテムはふと、改めて辺りを見渡す。
    「寂しいですね……この場所も、あの悪魔も」
     呟いた言葉に、紗月に抱き起された好弥も周囲へと視線を走らせて。
    「ここはこのままなんですかね? 別にいいのですが」
     物悲しいですね、と物憂げに周囲を見回す。
    「コルネリウスの狙いも、結局なんだったのでしょうか……」
     誰にも使われない、錆びついた古い設備を眺めながらこぼれたイシュテムの問いに、答えられる者は誰もいなかったけれども。
    「何を企んでいても、私達は絶対に負けない」
     ぐっと拳を握りしめて言った透流の思いは皆同じようだった。
     そうして、どこかしんみりした雰囲気の中、ある程度の手当てが終わった頃。
    「少し探索してみませんか?」
     ひょこんと飛び上がるように立ち上がって、落ちかけた帽子を両手で押さえながら、紗月が明るく提案する。
    「思念が残っていたのなら都市伝説のようなきっかけが有るかもしれないですし」
    「コルネリウスさんは痕跡を残してないでしょうか?」
     可能性は薄いだろうけど、と好弥が動き出したのを見て、他の面々も立ち上がった。
     千早も腰を上げかけて、ふと、メルがある方向を向いて目を伏せたのに気付く。
     それは戦いの前に眺めていたのと同じ方向。
     千早も倣うように、病院の跡地へと黙祷を捧げた。
     ラピスティリアはその祈りを横目に、足元に落ちていたウサギのぬいぐるみを手に取る。
     それはアリツィアが捨てた玩具。
    『Für liebste Alicia』
     その首に巻かれたリボンには、色あせた糸でそんな刺繍が施されていた。
     

    作者:佐和 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年7月5日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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