地面に咲く赤い味噌ラーメン

    作者:柿茸

    ●山形県南陽市
     赤湯駅周辺。
     道端を歩いていた通行人は、いきなり路地から出てきた変な物体に質問をされた。
    「ラーメンと言えば!」
    「ほぁっ!? え、あ、と、豚骨?」
     無言で顔面にアツアツラーメンを丼ごと叩き付けられて地面にぶっ倒れる通行人。地面にラーメン臭が凄くする赤い液体が広がった。どう見てもラーメンスープ。
     そして曲がり角を曲がる変な物体。
    「ラーメンと言えば!」
    「醤油でしょ!」
     曲がり角の向こうから先程と同じ質問、そして今度はノリノリの返答と、それに続いて先程と同じくアツアツラーメンを丼ごと叩き付けられる音がする。
     しばらくして路地裏に戻ってきた変な物体、もとい傘部分がラーメン丼になっている唐辛子に人間の手足が生えた何か。その身体は味噌色に染まっている。
    「はぁ……赤湯ラーメン、美味いのだが何故流行らないんだ……」
     そして壁にもたれ掛れながら、そう独り言ちた。
     周囲の道路には、顔面に丼を叩きつけられた通行人達が死屍累々の如く転がっていた。
     
    ●教室
    「これが山形赤湯の辛味噌ラーメン」
    「あ、美味しい」
     水瀬・瑞樹(マリクの娘・d02532)に勧められるがままに啜った辛味噌ラーメンのカップ麺に対し、そう率直に感想を漏らす田中・翔(普通のエクスブレイン・dn0109)。
     全部食べ終えたところで、灼滅者達が集まってきてるのを確認した翔は、咳払い1つ置いて説明を開始した。
    「山形の南陽市にご当地怪人が現れた」
    「赤湯辛味噌ラーメン怪人、だよね」
    「うん」
     久しぶりに麺類か。はい、久しぶりに麺類です。
    「うろついている場所は南陽市の赤湯駅周辺。大通りから路地裏までをうろうろしていて、出会う人物に『ラーメンと言えば?』って問いかけてくる」
    「赤湯ラーメンって答えなかったら?」
    「顔面に赤湯ラーメンぶつけられる」
    「……」
     何となくそんな気はしていたけど、とため息をつく瑞樹。
    「ちなみに姿は人間大の唐辛子をベースに手足を生やして身体を味噌色にして、傘をラーメン丼にした姿をしている」
    「まともな姿じゃないとは思っていたけど、考えるだけで頭痛くなりそうな姿だね……」
     こめかみを片手で押さえる瑞樹。
    「それじゃあ、そいつが使ってくる技について説明するよ」
     1つ目、近くの1人に赤湯ラーメンが入ったラーメン丼を叩きつけてくる技。熱い、燃える。
     2つ目、遠くまで一直線に唐辛子ファイヤーを放ってくる技。熱い、燃える。
     3つ目、付近の地面一帯を味噌化させる技。熱い、燃える。
    「待て、唐辛子ファイヤーは取りあえず置いといて、味噌が熱くて燃えるってどういうことなんだ?」
    「辛味噌だから?」
     理由になってない。
    「ご当地怪人だし」
     理由にならざるを得ない。
     ちなみに、この赤湯ラーメン怪人は駅周辺をうろうろしているので、駅近くの通りで立っていても、こちらもうろうろしていても出会えるだろう。
     もちろん出会ったら、『ラーメンと言えば?』と問いかけられることは間違いない。君は答えても良いし、答えなくても良い。
    「それじゃ、僕の説明はここまで。まぁ久しぶりの麺類依頼だけど」
     皆頑張ってきてね、あとお土産よろしくね。という翔と。
    「赤湯ラーメン。お勧めだよ」
     そう販促する瑞樹だった。


    参加者
    水瀬・瑞樹(マリクの娘・d02532)
    村瀬・一樹(ユニオの花守・d04275)
    一色・朝恵(オレンジアネモネ・d10752)
    備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)
    中島・優子(飯テロ魔王・d21054)
    ユメ・リントヴルム(竜胆の夢・d23700)
    宍戸・源治(羅刹鬼・d23770)
    山泉・桧(翠の小太刀・d25785)

    ■リプレイ

    ●ご当地怪人さんってすごくいいおともだちになれそうっていつも思うのよね!
    「おいしいものタクサンしってるし、ご当地大好きたのしそうなの!」
     などと言っている一色・朝恵(オレンジアネモネ・d10752)に思わず真顔を向ける宍戸・源治(羅刹鬼・d23770)。
    「……もちょっとゴーインじゃなければなんだけど」
     続いたその言葉に安心したように深く息を吐いた。良かった。
    「上手いモンだろうと怪人の振る舞いは許せねえ」
     と、息を吸い直して怒りを表す源治。
    「食ったらボコしてやるぜえ覚悟しとけよ」
     あ、でもまず食べるんですね。
    「そうそう。毎度の事だけど、美味しいくてもそれを押しつけるのは頂けないなあ」
     村瀬・一樹(ユニオの花守・d04275)も頷いて同意。しっかり倒さないとですね。
    「でもまぁ、ラーメンは話に聞くだけでも美味しそうだし、楽しみかな」
    「そうだねぇ、暑い日に辛いラーメンって、暑気払いにいいよね。多分だけど」
    「辛味噌でラーメンだっけ? この国のクヌーデルはバリエーション豊かだねえ」
     備傘・鎗輔(極楽本屋・d12663)とユメ・リントヴルム(竜胆の夢・d23700)も思ったことを素直に口にして、そして始まる赤湯ラーメンについての談義。
    「スープも赤いのかな?」
    「ネットの画像を見る限りはそう言う感じかも」
    「あ、エプロンもってくるんだったなぁ。白い軍服だとスープの跳ねが気になるんだよねー」
     ユメの白い軍服。ワイシャツとカレーうどんの関係みたいなアレ。
     と、鎗輔がここで何やら緊張な面持ちの山泉・桧(翠の小太刀・d25785)に気が付いた。大丈夫かい? と声をかければ、だ、大丈夫ですと返答がある。
    「そ、その……ただ、私が一番後輩みたいですし……。あと、ラーメンの辛さに耐えられるかどうか、ちょっと不安です」
     苦手ではないですが、と付け加えるその姿に、朝恵がそれだけしっかりしてれば大丈夫だよと笑って言葉をかけた。
     そこに何やら聞こえてくる言葉。
    「これも『豊麗なる麺の黄昏(フリーメンソン)』の『計画』の一端であろう……」
    「山形がラーメン消費多いって話、幼少期のころは理解できなかったんだよね」
    「『計画』によりラーメン中毒を引き起こし、新たなるラーメンを作り出させる……」
    「だってさ、ラーメンがとくに有名でないこの山形で、こんだけ食べてるって事は、喜多方とか博多とか札幌はもっともっと食べてると思ってたのよね」
    「それは全てブラフということ。『計画』を悟られないために、あえてご当地感を押さえ有名にさせないようにし、水面下で動くための……」
     中島・優子(飯テロ魔王・d21054)と、水瀬・瑞樹(マリクの娘・d02532)だった。いや、正確には近くにいた一樹や源治に話しているだけなのだが、その隣にいる優子が先ほどから目を閉じ、片手でこめかみを押さえてブツブツとアレな事を言っている。
    「でも実際のところ、そうでもなかったりするからさ。今でも何でだろうって思ったりはする」
    「魔王『狂華』の魔眼は全てお見通しなのだ!」
     カッと目を見開いた優子をじっと見るユメ。隣にいた朝恵に尋ねる。
    「ねぇ、何を言ってるの」
    「中二病かしら?」
    「ああ、盗んだダンプカーで走り出してチキンレースで力に覚醒するような?」
    「ごめん、例えが全然わからないのよね!」
     ユメの例えがぶっ飛びすぎていて分かることができない。
    「すいません、少し黙ってもらえますか」
    「……それはそうと赤湯ラーメン楽しみなんだよ」
     瑞樹がたまらず制止をかけたら、この雰囲気台無しのほわわ感である。可愛い。

    ●赤湯ラーメンと答える
     珍しく怪人を煽らないルートを選択した灼滅者達。いないねー、どこにいるのかな? とか言いながら辺りを散策していたら、曲がり角から突如赤いのが飛び出して来た。
    「ラーメンと言えば!」
     唐辛子じみた何かである。
     朝恵が隣を見て首を傾げた。
    「夏のアツいのふっとばせちゃうみたいな、オススメのラーメンってなぁに?」
    「赤湯ラーメンかな」
     瑞樹の言葉にピタリ、と唐辛子もとい怪人の動きが止まる。
    「辛味噌が好きです。赤湯にもおいしいラーメンがあるそうですね」
    「そう、それが赤湯ラーメン。辛味噌、最低でも味噌で。辛党としては初っ端から辛味噌溶かしちゃう方だね」
     寒い時はもちろんあったまるし、暑い時期は汗をかいてさっぱりと。勿論スタミナもあるから好きだなー。
     桧の問いかけに頷き、瑞樹の舌は回り続ける。
    「分かる分かる。暑い時期だからこそ、辛くて熱い物をじっくりと食べたいんだよねぇ」
    「お腹が空いたなー。美味しい赤湯ラーメン食べたいなー」
     うんうんと頷く一樹と優子。チラッチラッと怪人をみる優子。
     むふぉぉぉ……とか泣きそうな声を出しながら震えている怪人。
    「あー赤湯ラーメン食いてえなーでもうまい赤湯ラーメンどこかわかんねえなー」
     源治もそれに乗っかってチラチラと怪人を見る。
    「赤湯ラーメン食べたいなー」
    「食いてえなー」
     チラッチラッ。
    「ここにあるぞ!!」
     残像を残す速度で、唐辛子のどこからか8人前のラーメンが差し出された。赤い味噌が乗ったその見た目。
    「まさに赤湯辛味噌ラーメンと見たよ!」
    「いただきまーす!」
    「食べていいのなら遠慮なく」
     次々と取って食べていく灼滅者達。感動でむせび泣いてるような声をだして天を仰いでいる(と思うが顔がどこか分からない)怪人。そんな奇怪な光景が、赤湯駅近くの道端で繰り広げられている。バベルの鎖がなかったら間違いなく警察案件物である。
     さて、怪人の上に向けていた顔を前に戻した視界には、パピヨンっぽい犬の様な何かの姿があった。
    「あ、わんこすけ。怪人と意見を交わしてきてね。僕、食べてるから」
     主人の言葉に、えっ、と振り向く鎗輔の霊犬のわんこすけ。
    「矢面に立たないのかって? 急いで食べると体に悪いよ。無理ない範囲で僕も合いの手入れるからガンバ♪」
     いやガンバとか言われても。仕方がないなぁと言った感じに正面に向き直ると、目の前にはいつの間に用意したのか、さらに2つの赤湯ラーメンが置かれていた。どうみてもわんこすけの分と……あと1つは?
     と疑問に思ったところで、横合いから小さな翼が伸ばされて来た。朝恵のナノナノのなー様だ。軽く冷や汗を流しつつもキリッとした表情で見つめるその姿はまさにフードファイトに臨む漢。
    「んん、辛い……けどやっぱこれが良いや」
    「イヤー、ラーメンのカオリはお腹空いちゃうぐらいに良い匂いだけど、食べるとスッゴク美味しいのね!」
    「美味しい、け、けど、か、辛いのです……」
    「一気に辛味噌溶かし過ぎなのよ!」
    「確かにこの辛みとコクのある美味さ……うめぇな」
    「この辛さ……我が活力を更に増幅させる、漲ってくるぞ、実に漲ってくるのが分かるぞ……!」
    「美味しいねぇ、辛いけど」
     感想を口々に出す灼滅者達。感動でバイブレーダーになりっぱなしの怪人。
    「どうだ、美味いだろう? 美味いだろう!?」
    「うん、美味しいよー。美味しいよねぇ」
     怪人の押しに乗っかる鎗輔。
    「でも子供にはちょっと辛すぎるかなー」
    「そうだね、辛すぎるかもしれないねぇ」
     ユメの言葉に乗っかりながら、涙目になってる桧を見る鎗輔。
    「これぐらいの辛さがいいのだろう!」
    「そうだそうだー、これぐらいがいいよねー」
     怪人の反論に乗る鎗輔。源治が突き刺すような目を向けるのも分かるぐらいのコウモリっぷりである。
    「ん、御馳走様」
    「美味しかったよ!」
     瑞樹と一樹が食べ終わって丼を返すその隣で、サーヴァント勢が辛さに四苦八苦しながら食べている。それを同類を見る目で見ながら、涙目で一生懸命食べる桧。味は美味しいもんね?
     続けて御馳走様でした! と丼を返したユメが、人差し指を顎に置いてふと考える。
    「美味しいけど、このクヌーデル、足りないものがあるよ!」
    「えっスッゴク美味しいのに!?」
    「足りないものあるよねー」
    「鎗輔は適当に乗っかってんじゃねえ」
    「急いで食べると体に悪いんだ」
    「関係ねえよ」
     足りないもの、という言葉にざわつく場。怪人がほう? と若干威圧気味に返してくる。
    「この魔王には分かるぞ、そう、それはまさしく飯テロ率―――」
    「勧める者の、心さ!」
    「あ、そっち?」
     優子さん素に戻らないでください。あ、いや、素に戻ったままでお願いしますはい。
    「勧める者の心?」
    「そう、心!」
    「ならば俺は足りまくっているな!!」
     仁王立ちポーズで全力でドヤる怪人。
     その顔面に、源治の全力の飛び蹴りが突き刺さった。
     体重×重力×加速力=クリティカル。

    ●食って皆の準備が良さそうなら戦闘な、出来れば一発目は不意打ちしてえ
     と、有言実行した源治さんのお言葉をどうぞ。
    「オイ、満足行かねえ回答にラーメン叩きつけて流行ると思ってんのか、ああ?」
    「は、流行らないのが悪い!」
     地面に倒れて顔面を押さえたまま反論する怪人。源治の額に新たな青筋が浮かび上がる。まるで鬼のように角も……マジで角生えてる!
    「それで何故流行らないじゃねえだろ! テメエの頭は伸びきったラーメンか!」
    「丼だ!」
    「そう言うこと聞いてんじゃねえよ!! 誠意が足りねえんだよ、分かるか? 誠意」
     執拗にヤクザキックとかまさに見た目通りの鬼の所業。ほら、桧ちゃん怖がってる、一生懸命一樹と瑞樹が目と耳を塞いでいるけど怖がってる!!
     何とかヤクザキックを払いのけて立ち上がる怪人。そこに、空になった丼を携えて優子が踏み込んでくる。
    「ラーメンごちそう様でした。でもみんなに迷惑かける怪人は許さないんだよ」
     キリッとした表情で腕に雷を溜め、顔に熱々のラーメンが入った丼が叩きつけられた。燃え上がろうとする炎を、腕に溜めた雷が抑え込むおかしな図。
     そして叩き付けられた時に飛び跳ねたラーメンの汁が、飛び込むタイミングを伺っていたユメの白い軍服にかかった。
    「あ、赤いスープの染みが! ……絶対に許さないから!」
     ユメ、怒りの炎に燃えたキック。怪人君吹っ飛んだー! その先には体ぽかぽかで動くのきもちー! と若干ハイになっている朝恵がいる。
    「……はっ! じゃないの!」
     我に返った。
    「そうなの! ムリヤリはよくないと思うのよ!」
     言いながら斬影刃。刃となって伸びる影を見て、そういえば斬ったら中から何が出てくるの、とふと思う。
     答え、真っ赤なスープ。斬られた勢いで唐辛子が大回転するものだから辺りに凄い勢いで撒き散らされる。
    「なんだか危ない現場みたいなの!! コワイ!」
    「これはスプラッタだね……」
     一樹も思わずエンジェリックボイスを歌う声が震える。けどその、クルセイドソードをタクト替わりにするのは危ないと思います。
    「食べ終わったし、始めよっか。怪人もご馳走さまでした」
     ようやく食べ終わった丼を置いて鎗輔が走り出す。飛びあがり、激しく大回転しているその唐辛子を掴み、お礼に古書を上げようと告げる。
    「古書は古書でも古書ダイナミックだけどねぇ」
     頭から地面に落ちた怪人、大爆発。そういえば唐辛子のカプサイシンって脂肪燃焼効果があるんだよね? とそっとお腹を撫でる鎗輔だった。
     とりあえず地面に赤いものは撒き散らされているけど、R制限かかるような見た目の物はなくなったので自由になる桧。まずは鏖殺領域を展開してドス黒い霧で辺りを満たす。
     視界が効かないその霧に、起き上がった怪人が警戒しながら辺りを見回していると聞こえてくる声。
    「強制はいけないと思うよ。それで嫌いになったら最悪じゃん」
     黒い霧の向こう側に、2つの炎が灯る。その炎は一瞬にして巨大になり。
    「少しずつ、食べなれさせて好きにさせる」
     それがわからんのかね?
     その言葉と共に、瑞樹が霧を裂いて襲い掛かった。咄嗟に動こうとするが、先程ヤクザキックされていた時に良い感じに入ってしまった足がプルプル震えて動けず、凄く致命的な感じに斬り燃やされる怪人。あの、皆さんアサルト以上連発とか止めてくださいそこまで体力高くないんですよ!?
    「ぐっ……だけど俺は布教を諦めない!」
     それでも頑張ってラーメンを取り出す唐辛子。振り上げたところで霧の中から伸びてきた手が、叩き付けようとした瑞樹の身体を突き飛ばした。代わりに割って入る優子。
    「フハハ! 馬鹿め、灼滅者に同じ攻撃は通じぬじゅふぃ!?」
     容赦なく顔面に叩き付けられる熱いの。完璧に攻撃が通じてるわけですがこれは。サーヴァントと一樹の回復もで癒せる分は一気に癒せましたが、クリティカルしたのでラーメンの器が顔面に張り付いて取れません。
    「だからその布教は間違ってるってんだろうが!!」
     一度頭冷やしやがれ! と妖冷弾で全身どころかラーメンごと氷漬けにする源治。朝恵のガトリングガンが銃口の奥に炎をチラつかせながら、その冷凍唐辛子へと狙いを定めていた。
    「今度生まれ変わったら、すごくいいおともだちになりたいわね!」
     笑顔と共に大量に発射された炎の弾丸。それは、容赦なく冷凍唐辛子を砕き、消滅させていった。

    ●ふう、仕事完了だね
    「……でも動いたらまたお腹空いちゃったや」
     お腹を空かせた一樹が、ねえ水瀬さん、良かったら他にも山形グルメ、案内してくれるかな? と瑞樹に聞いてくる。
    「今の時期だと冷たいラーメン? 発祥のお店は山形市になっちゃうけどたぶん大概のお店にあると思うよ」
    「へぇ、そうなんだ」
    「わわ、今度は冷たいの? 食べたいの!!」
    「冷たいラーメンか、そりゃいいな」
    「暑くて辛いの食べたし、食べ直しにはちょうどいいかもねぇ」
    「あとはお蕎麦!」
     山形のお蕎麦屋さんはほとんどはずれが無いよ。と付け加える言葉に、へぇ、と仲間から感嘆の声が漏れる。
    「そうそう、お蕎麦屋さんのラーメンも鰹出汁で美味しいよ」
     今度は疑問の声が漏れた。蕎麦屋に……ラーメン……?
    「何かおかしい? 山形では蕎麦屋にラーメンあるのは普通だけど」
     逆はないんだけどね、というその言葉にも、ご当地感が滲み出ているのをひしひしと感じ取る灼滅者達だった。
    「蕎麦かー、確かにつめたーい蕎麦、って気分かなー」
     冷たい肉蕎麦って山形で食べられるんだっけ? とはユメの言葉。
    「あー、そうだね。それじゃ蕎麦屋行っちゃう?」
    「異論ナーシ!」
    「良いと思います」
     ということで移動を開始した一行。
    (びっくりするぐらい超激辛の赤湯ラーメンをお土産に買って行こうかな。知り合いに食べさせて派手なリアクションを貰おう)
     その最後尾を歩きながら、鎗輔はそんなあくどい事を考えていた。その前では。
    「この飯テロ魔王の口に合うかどうか……試させてもらおう」
    「とりあえず顔面から丼外さない?」
    「外れないんだよねこれが」
     優子の顔面が酷いままになっていた。

    作者:柿茸 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年6月30日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 7
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