●ユイやん後ろ後ろ!
「あの日からずっと扁桃腺頭痛~♪ 昇降機前で一人待機中~♪ トゥナイト~」
「トゥ~~~ナ~~イト!」
絶妙のタイミングで入るファンの掛け声。大きく体を使ったパフォーマンスで人数の少なさをカバーする、熱の入った応援だ。
「今日は三人も聞いてくれて嬉しい~~ユイやん超カンドーだよー!」
仮設の小さなステージの上で、ぴょんと飛び跳ねる小柄な少女、ユイやん。白と赤の衣装がおめでたい、ちょい地味顔の少女だが、その正体は淫魔だ。憧れのラブリンスター様に近づけるよう、バベルの鎖にもめげずに日々ゲリラライブをこなす、(自称)今一番アツいアイドル。地道な活動が実を結び、ようやく合いの手を入れてくれるファンを確保したユイやんは気分も上々、絶好調だ。
「それじゃあ、次は新曲だよぉ! 聞いて下さい!」
「ヒューヒュー!」
ドッドッドッドッ……。
掛け声をかき消す勢いのアイドリング音。ロードローラー(痛)だっ!
突然に現れた輝くピンクのロードローラーがゴロゴロメリメリと威圧的な音を立て、巨体でもって罪のない一般人を蹴散らす。
「ちょっとぉ、ユイやんの大事なファンになにすんの?!」
「そうは言いましても、拙者もユイやんのファンですしおすし、最前列独占でござるデュフフ」
「な、なによ、キミもアタシのファンなの……ってダメダメ! さっきからエンジン音うるさいし! これじゃ歌っても聞こえないし!」
ぎりりとロードローラーを睨みつけたユイやんだったが、明らかに敵いそうもない相手である。ため息一つついて、ステージを降りた。
「おっおっ? 新曲お披露目はどうしたござるか? しーんきょく! しーんきょく!」
「はぁ?! キミが居るから無理だし! 今日はもう帰るの!」
すっかりヘソを曲げたユイやんは、ロードローラーにプイと背を向け仮設ステージを片づけ始めた。
「ふむ……」
じり、と近づき始めた巨大なローラー、しかしユイやんは気づかない。
「歌わぬなら……殺してしまえ、アイドル淫魔!」
●アイドルは振り返らない
「哀れ、伸しアイドルの誕生、というわけだ」
神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)が痛むこめかみを押さえつつ、重々しく言った。伸しアイドルは煮ても焼いても食べられそうにない。
さて、『???(トリプルクエスチョン)』によって生み出された『分裂』する六六六人衆、序列二八八位『ロードローラー』。その正体は特異な才能を持った灼滅者である『外法院ウツロギ』が闇堕ちした姿だ。
「今回はその内の一体が起こした事件、のようだが……今までとはかなり違うようだ」
今回のロードローラーは、ピンク色の車体にラブリンスターぽいイラストが描かれたいわゆる痛車仕様だ。この痛ロードローラーが、ラブリンスター配下のアイドル淫魔のライブに突入して、集まった聴衆を追い払った上で、アイドル淫魔にライブを続けさせようとするらしい。怒ったアイドル淫魔が帰ろうとすると、ペチャンと轢き殺してしまうらしい。ロードローラーが現れ、一般人が逃げ出し居なくなった後に接触することが出来る。もともと人通りの少ない場所であるため、人払いにはさほど気を使わずともよさそうだ。
「ロードローラーは最初に淫魔を狙うので、淫魔と共闘すればかなり有利に戦う事ができるだろうな。……ただし、その場合はアイドル淫魔は殺されてしまう可能性がかなり高いが」
若干可哀相な気もするがまぁ仕方ない、とヤマトは軽く肩をすくめた。
「また、戦闘中にアイドル淫魔が歌い続けてくれた場合は、どうやらロードローラーは一定の確率で攻撃を行わずに、アイドル淫魔に声援を送るようだ。これも有利に戦うことができる」
ただし、と真面目な顔をしたヤマトが続けた。
「アイドル淫魔は、お前たちが到着すると後を任せて逃げ出そうとするぞ。共闘するにも歌ってもらうにも、淫魔を説得する必要があるからな」
とはいえ相手はファンに飢えている地下アイドル。上手く持ち上げることができれば逃亡を阻止できるし、ライブを盛り上げればさらに戦闘が有利になるかもしれない。
戦闘になるとロードローラーは殺人鬼のサイキックと影業のサイキックで攻撃してくるだろう。またアイドル淫魔ユイやんはサウンドソルジャーのサイキックを使う。
「ウツロギの目的は不明だが、あー、まあおそらく趣味的な要素が絡んでいるのだろうな。そんな気がする。だが強敵なことは間違いないから油断は禁物だ」
ウンザリした顔のエクスブレインが、おまけのようにに付け加えた。
「そうそう、アイドル淫魔は放置してもいいし、ロードローラーのついでに灼滅しても勿論かまわない。灼滅するならロードローラーがやったように見せかけておくと、より良いかもしれないな」
期待しているぞ、と締めくくり、灼滅者達を送り出した。
参加者 | |
---|---|
石弓・矧(狂刃・d00299) |
クロノ・ランフォード(白兎・d01888) |
ルーパス・ヒラリエス(アスピリンショット・d02159) |
素破・隼(忍者探偵の白隼・d04291) |
深海・るるいえ(深海の秘姫・d15564) |
セシル・レイナード(ブラッドブリード・d24556) |
白臼・早苗(静寂なるアコースティック・d27160) |
黒乃・夜霧(求愛・d28037) |
●1
今まさに押しつぶされんとしているか弱きアイドル淫魔の元へ、間一髪、武蔵坂学園の灼滅者たちが到着した。
「そこな痛車! 待ていっ!」
「むむ、何奴!」
現れたのは素破・隼(忍者探偵の白隼・d04291)と黒乃・夜霧(求愛・d28037)、それにクロノ・ランフォード(白兎・d01888)だ。
「ユイやんのファン、颯爽登場!」
「ボクらのアイドルのピンチに黒乃☆夜霧ちゃん参上!」
「折角のライブの邪魔してんじゃねーよ!」
ロードローラーの動線上に割り込み、背にユイやんを庇う。目を白黒させたユイやんに向かって夜霧が振り向きざまにウインクした。
「ユイやん、愛してるよ☆」
突然行く手に立ちふさがった邪魔者に、ロードローラー(痛)は大変憤慨した。ゴロゴロ回るローラーをウィリーさながら振り上げて、駄々をこねるようにドスドス地面をたたく。
「ちょっといきなり何なんでござるか! 拙者とユイやんの間に割って入るなど実に許しがたき行為!」
セシル・レイナード(ブラッドブリード・d24556)の瞳が氷よりも冷たくピンクの車体に刺さる。
「噂にゃ聞いてたが、痛車っつーかキモ車だなありゃ」
「……なんでバリエーションが増えているんですかね?」
今まで結構な数の分身を倒したのに、と予想外の新しいロードローラーに思わず苦笑する石弓・矧(狂刃・d00299)にセシルは無言で肩を竦めて見せた。ロードローラー絡みの依頼は二回目のセシルだが、直接『殺り合う』のはこれが初めてだ。
「……ま、ボヤいてもしゃーない」
皆が淫魔を説得する間にロードローラーを抑えておくため、セシルは一人ロードローラーへと向き合う。
「なんでござるか! ハッさては拙者のドルヲタ活動を邪魔する気ですなっ」
「うるっせぇよ、ケツ顎痛車。お前の相手はしばらくこっちだぜ! ちぃっとばかし踊ってくれや!」
「ムキ――! ケツ顎最高!」
セシルの挑発にローラーを何度も地面に叩き付けるロードローラー。そのたびにコンクリがひび割れ、飛び散ってゆく。展開について行けずにポカンとしていたユイやんは、灼滅者たちが来なければ自分はあの凶悪そうなローラーにひき潰されていたのだと思い至って盛大に顔を引きつらせた。何だかわからないが灼滅者も居ることだし、今のうちに逃げよう。ユイやんはそうっと後ずさりしはじめた。
●2
「待って、ユイやん」
「え……」
深海・るるいえ(深海の秘姫・d15564)が眠たそうな目をさらに細めてジタバタするロードローラーを見やり、それから逃げようと不自然な体制のまま固まっているアイドル淫魔を見た。
「あの悪質なファンからは守るから、今ここで新曲を聴かせて欲しい」
「は、何言ってるの……無理無理、ユイやん今そんなコンディションじゃないし……」
「さっきの歌声を聴いてファンになった」
「!」
ファン、と聞いた途端にユイやんの顔色が変わった。ルーパス・ヒラリエス(アスピリンショット・d02159)も手にした紅白のサイリウムを軽く振って見せる。
「アレは黙らせたげるから、代わりに歌って頂戴。何、これもファンとか親衛隊のお仕事よ」
「し、親衛隊……」
ダンディズム溢れるルーパスの口から出た親衛隊という言葉に、ユイやんがのぼせたような顔になった。
「ユイやんのファンとして、悪質なファンは許せないよ!」
「こんな質の悪いファンは俺たちが何とかするから、ちょっと待っててくれよ。あ、その時に歌っててくれたら絶対に負けない気がする!」
「え、うそ、そんな……」
いきなり現れたまさかの新規ファンに即効でグラつくユイやん。ダメ押しとばかりに白臼・早苗(静寂なるアコースティック・d27160)が真摯な目でユイやんの手を握る。
「あなたの歌、凄く良かった。あなたを守るためにも、私達を歌って応援してほしい……」
「応援……」
矧も柔和な笑みでユイやんを説得する。
「私たちはあなたと戦いに来たんじゃない、ロードローラーからあなたを救うために来たんです」
「ここに来る途中に聞いた歌声に惚れたぜ! 一目見てファンになったんだ」
「流石はアイドルだな。良い声にティンときたよ」
「あなたの歌が私達の力になります、どうか歌っていただけませんか?」
「ユイやん、新曲を歌って! キミの歌声がボクらの力になるんだ!」
「わ、あわわわ」
雨あられと降りそそぐ、自分を求める声。どうやら駆け出しのアイドル淫魔には刺激が強すぎたようだ。顔を真っ赤にして涙目になったユイやんが、なんとか返事をしようと口を開くが上手く言葉にならない。さりげなく自分で壊した地面を整地していたロードローラーが、大きくローラーを振り上げた。
「塩対応な歌わぬアイドルは平面化やむなし! 邪魔する奴も同罪でござるよ!」
ピンクの車体から舞い上がるのは黒い蝶の形をした影。ロードローラーを抑えようとしていたセシルに向かって次々と襲いかかった。
「くっ! 確かにこれは、油断できねぇ相手だな」
鋭い切っ先に引き裂かれながらも、素早く身をひるがえす。ドーピングニトロの効果でどうにか事無きを得たが、冷や汗がうっすらとにじんだ。他の灼滅者たちも次々とスレイヤーカードを構えてロードローラーに向き直る。自分を守ろうと立つ背中に、ユイやんは心の底から感動した。気分は最高潮、もうロードローラーなんか怖くない。
「あ、アタシの歌が力になるなら……歌います! アタシ、歌いますっ!」
こんなの初めてっ! と嬉しい悲鳴を上げたユイやんは、片づけかけていたステージへ走る。早苗がすかさずユイやんと似たテイストの衣装に身を包む。ちょっとだけ恥ずかしそうに頬を赤らめた早苗だったが、気を取り直してギターを抱える。
「即興だけど、伴奏ならまかせて」
かき鳴らしたギターの音色に、ユイやんが大きくうなづく。飛び入りのセッションはいつでも大歓迎だ。
「それじゃあ皆、聞いて下さい、ユイやんの新曲です。『アイドルは振り向かない』!!」
クロノがパチリと懐中時計を開く。隼が、頭のバンダナを腕章の様に左腕へと手早く巻きつけた。
「では悪質なファンには退場してもらいますかね!」
流れるリズムに合わせて斬撃が放たれた。
●3
「♪ 振り向かな~い振り向かない~前方不注意厳禁なの~♪」
「ユイや~ん☆」
ロードローラーの激しいヘドバンでツインテールがプロペラのように回る。
「ハッ歌が始まるとオタ芸を打たずにはいられないっ! これもドルヲタのサガでござるっ」
「そうやって踊ってろ!」
言うが早いか、一瞬で肉薄したクロノがロードローラーを鋭く切り裂いた。
「生憎テメーには容赦もないし、元々加減が下手くそだからよ。全力で、ぶちのめす!」
セシルの放つ殲術執刀法がロードローラーを正確な斬撃で切断する。ダークネスへの果て無き憎悪が凝縮した一撃を受け、綺麗に寸断されたピンクの車体の一部がスローモーションのように飛んでいった。息つく暇もなくルーパス、そしてるるいえの構えた槍が捻じ込まれ、矧の除霊結界によってロードローラーの動きが強制停止させられる。
「♪ ずっとめざしてるよ~あなただけの死兆星~♪」
「かわいいよユイやん~」
「ユイやん愛してるー!」
「みんなっありがとーっ!」
歌の合間に手を振りぴょんぴょんと跳ねるユイやん。それに気を取られているロードローラーの車体が見る間にガリガリと削られてゆく。即興でもそつなく合わせる早苗のギターサウンドが、アイドルソングにまた一味違う響きを産み出す。まるで初めからグループだったようにすっかりなじんでいるのは、衣装のせいだけではないだろう。歌に合わせながら器用にリバイブメロディを響かせて、味方のサポートも忘れない。
「それにしても本当に四方八方に喧嘩売ってるなぁロードローラー」
クロノが呆れを滲ませた声をだす。こうなるといずれ不利益がないとも限らない、ここはしっかり止めないと。胸中でそう考えたクロノは【荒神】の柄を握りなおす。
「……少ないながらもファンはちゃんといたんだ。そんな努力の邪魔をしてやるなよ」
「そうだな。がんばってるヤツを見ると応援したくなる。ユイやん! ユイやん!」
強烈なご当地キックを繰り出す合間にも声を張り上げて声援をおくる。るるいえもかつて地元で当地アイドルをしてた時期がある。邪教徒(ファン)との儀式(ライブ)には高揚したものだ。そうこうしている間もるるいえのサーヴァント【てけり・り】が、ふわふわと飛び回り傷ついた者を癒す。
「♪ 前だけ見てるの~いつでも前向きアイドル~♪」
「ユイやん! ユイやん!」
絶妙に音を合わせてコールする隼が手にしたクルセイドソードに影を宿す。手の内でクルリと柄を回して刃を返し、リズムに合わせて強烈な峰打ちを叩き込んだ。
「ダメだぜ、好きだからって相手を縛ろうなんて考えちゃぁ……そうら、束縛される苦痛ってヤツを教えてやるぜ!」
セシルが向けたサーペンタインリングから放たれた一撃が、ロードローラーを襲う。
「それにしても二次元にクラスチェンジするアイドルとかシュールね」
結局クラスチェンジは免れたようだが、とルーパスが内心で思う。オタ芸のつもりなのだろうか、ローラーを軸にしてグルングルンとまわる危険なロードローラーに向かって、両手に集中させたオーラを放出した。
(「ああ、これが新感覚な筋肉系アイドル(男)とかなら……餃子と違って食べるとこさえないのが残念だわ)」
しかしそんな胸の内などわずかにも見せず、歌うユイやんに愛想よく手を振る。ルーパスのすぐ脇を弾丸のごとく飛び出した夜霧が、誰にも聞こえないような小さな声でぽつりと呟いた。
「彼女のファンになれば、私を愛してくれるでしょうか……?」
ひっくりかえった痛車を高速で切り裂いて、そのままの勢いで夜霧が身体を捻り、くるりとステージに向き直る。真っ直ぐ見るのは歌うアイドル。
「♪ できたらなってね恋奴隷~頭数増やしたい~から~♪」
「ユイやんラブ!」
「フグォッ! ヒューヒュー!」
倒れながらも掛け声は忘れないロードローラーの涙ぐましい努力に、ルーパスはため息をついた。
「ねえロードローラー、その体じゃ写真も撮影できないし、ショップにも入れないでしょう。アイドルの写真とかポスター送ったげるから本体の居場所教えなさい」
「何を言うでござるか。ショップは整地ついでに入るでござるよ♪ それに写真よりもローラーで伸した現物のほうが……グフフ☆」
「あー、駄目ね、これは」
一応聞いてはみたがやはり、まともな答えは返ってこなかった。手にしたサイリウムを曲に合わせて振り、そのままリズムに乗ってフォースブレイクを叩き込む。矧も自らの身体から舞い上がった炎を手の中の得物に宿し、一気に間合いを詰めてロードローラーへ叩きつける。
「♪ 事務所も推奨オールオッケー~放送コードが宿敵~♪」
「ユイやん愛してるー!」
「グフッ、ユ、ユイやん~!」
ロードローラーの車体が、ベコッと音を立ててへこんだ。
●4
「ぐぉお無念……ら、ラブリンフォーエバー!」
曲が終わるのにぴったり合わせて、ロードローラーは盛大に爆発した。クロノが手の中の懐中時計にチラリと目を落とし、矧が柔らかな笑みでユイやんに拍手を送った。
「皆さん、大きな怪我は無いようですね。何よりです」
作戦が上手く行ったおかげだろう。ステージに視線を向けると、相変わらず小さな体が飛び跳ねている。
「みんな、みんなありがとー!」
気分が盛り上がりすぎて号泣するユイやんだった。ぐすぐすと鼻をすする姿に矧がやさしく微笑む。
「夢に向かって懸命に努力する姿は誰であろうと美しいものです。これからも頑張ってくださいね」
「はい……はい!」
「ユイやんのお陰でいつも以上の力が出たよ! サイン下さい!」
「目指せトップアイドル! ってな」
夜霧に続き、隼が身に付けていたバンダナにサインを貰おうと外して渡す。大きく書かれたサインがちょっぴり涙で滲んでいるのはご愛嬌だ。
「さて、今のうちに私は帰るわ……カマボコが乗ったおそばでも食べにいこうかしら」
どうも紅白衣装にカマボコを連想してしまうルーパス。セシルも回りの空気を壊さないように、そっと輪から離れた。
「……認めねーぞ、オレは。反吐が出る」
苦痛が滲むような声で小さくこぼす。胸の内に渦巻く様々な感情を抑えて歯噛みするセシルの肩を、ルーパスが優しく叩いた。
「……ねえユイやん、ボクのこと、愛してくれるかな?」
夜霧の赤い色の瞳がまっすぐにユイやんを見た。ユイやんは涙と鼻水で前が見えているのかいないのか、ぶんぶんと頭を縦に振った。
「もちろん、もちろんですうう」
「嬉しいなっ私も愛して愛して愛してあげる!」
心からの笑顔をうかべた夜霧は、ユイやんに力いっぱい抱きついた。ぎゅうぎゅう締められているユイやんに、今日のライブパートナーを見事こなした早苗も声を掛けた。
「あなたのような淫魔が多ければ、共存も可能だとは思う。これからも頑張ってほしい」
「応援してるよ! 頑張ってね☆」
「私も応援している」
そう言ってるるいえが渡すのは、ラブリンスターに渡した実績があるタコっぽい邪神像だ。
「ご利益は抜群、かもしれない」
「ううう、ありがとうございますうう」
感極まり過ぎて頭が回っているのか怪しいアイドル淫魔は、何度も手を振りながら帰って行った。
「また改めてゆっくり聞いて、いい歌だったら本当にファンになるのも考えようかな?」
クロノが大きく手を振って、その小さくなる後ろ姿を見送る。
「そうだな。まあ、機会があれば、な」
ぎゅっとサイン入りバンダナを巻き直して、隼がうなづいた。
作者:さめ子 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年6月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 6
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