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「みんなー、今日は来てくれて、ありがとー!」
「「うおおおお、ユカちゃあああああんん!!」」
「「かわいいよおおおおお!!」」
駅前の一角を簡単にテープで囲った自作の路上ライブ用の特設ステージに、アイドル淫魔ユカが通行人達を魅了して即席の観客にしていた。
バベルの鎖のせいでライブが終わってしまうと一般人達の記憶に残らないため、入口で使い捨てサイリウムを配り、帰りは手渡しでCDを物販する。
それでもユカはラブリンスター様の方針だし、固定ファンはできなくてもステージ上でアイドルとしてチヤホヤされることを気に入っていた。
「それじゃ、次の曲いっくよー……って、あれ?」
「オウフ、拙者としたことが、ユカたんの路上ライブに遅れてしまったでござる」
そこへ囲ったテープを無視して突き破り、歩道にガラゴロと乗り入れるショッキングピンクのロードローラー、後ろから轢かれそうになった一般人達が散り散りに逃げ惑う。
「ちょ、ちょっとあなた何やってるのよ?! お客さん逃げちゃったじゃない!」
「デュフフ、拙者ラブリンスター様のファンであるからに、プロダクションのアイドルをチェックするのは当然でござる、コポォ」
最前列の目と鼻の先に停まり、自由にならない手足の代わりにヘドバンを始める痛ロードローラー。
分裂していればアイドル淫魔が多くても追っかけに苦労はなさそうである。
「やめやめ、あなただけに聴かせても仕方ないから、今日はもう帰る」
「ドプフォ、異なことを申される。ニワカ一般人達烏合の衆に聴かせるより、拙者のような真のファンに聴いてもらえる方が有意義ではござらぬか、ンン?」
「好きでやってることなんだから、私が楽しくなくちゃ意味ないでしょ!」
こんなロードローラーだけのために歌ってやる意味はないと、ユカはロードローラーを無視して機材を片づけ始める。
「オウフ、これは何たる仕打ち。我々の業界ではご褒美だったりするでござるが、フヒ、歌わないのであれば拙者にも考えがあるでござるよ、デュクシ」
「……えっ?」
ロードローラーに背を向けていたユカが振り返ると、ステージ上に乗り上げて来たロードローラーの前輪がユカの目の前に迫っていた。
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「ふふ、皆さん揃ってますね? では説明を始めます」
灼滅者達が教室に集まったことを確認して五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)が口を開く。
「謎に包まれた六六六人衆『???(トリプルクエスチョン)』の手によって、特異な才能を持った灼滅者『外法院ウツロギ』が闇堕ちさせられ、分裂という稀有な特性を持つ六六六人衆、その名も序列二八八位『ロードローラー』が生まれてしまったことは、皆さんもご存知でしょうか?」
二八八位の序列は『クリスマス爆破男』が灼滅された後、空席となっていたのだが、特異な才能を持つ六六六人衆『ロードローラー』の誕生により、その空席が埋まったのだろう。
「序列二八八位『ロードローラー』は、分裂により日本各地に散り、次々に事件を起こそうとしています。今回皆さんに解決してほしい事件は、ロードローラーがアイドル淫魔を轢き殺そうとしているというものです」
今回のロードローラーは、ピンク色の車体にラブリンスターぽいイラストが描かれており、起こす事件も、今までとかなり違うようだ。
ラブリンスター配下のアイドル淫魔のライブに突入して、集まった聴衆を追い払った上で、アイドル淫魔にライブを続けさせようとするらしい。
怒ったアイドル淫魔が帰ろうとすると、淫魔が満足するまで歌を歌えば大丈夫だが、そうしないと、淫魔をペチャンと轢き殺してしまうらしい。
「皆さんは、ロードローラーがライブ会場に現れ、一般人が逃げ出した後に接触することができます」
ロードローラーは最初に淫魔を狙うので、淫魔と共闘すれば、かなり有利に戦うことができるだろう。
ただし、ロードローラーは集中的に淫魔を狙うため、高確率で淫魔は殺されてしまう。
また、戦闘中に淫魔が歌い続けてくれた場合、ロードローラーは一定の確率で攻撃を行わずに、アイドル淫魔に声援を送るため、やはり有利に戦うことができる。
「でも淫魔は基本的に皆さんが戦闘を始めると、後を任せて逃げ出そうとするので、共闘するにしても歌ってもらうにしても、淫魔と上手く交渉する必要があるでしょうね」
ロードローラーは見た目はアレでも強力なダークネスなので、普通に正面から戦闘した場合に苦戦は否めないだろう。
「ロードローラーの目的はわかりませんが、ロードローラーの車体を見る限り、今回はなんらかの趣味的な要素が絡んでいるのかもしれません。ロードローラー灼滅後に、アイドル淫魔を灼滅するかどうかは、現場の皆さんの判断におまかせします。もし灼滅する場合は、アイドル淫魔は一応ラブリンスターの配下なので、ロードローラーがやったように見せかけておくといいかもしれませんね。それでは、皆さんの無事を祈っています」
参加者 | |
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本山・葵(緑色の香辛料・d02310) |
四月一日・いろは(剣豪将軍・d03805) |
リュシール・オーギュスト(お姉ちゃんだから・d04213) |
織元・麗音(ブラッディローズ・d05636) |
上名木・敦真(高校生シャドウハンター・d10188) |
異叢・流人(白烏・d13451) |
十六夜・深月紅(哀しみの復讐者・d14170) |
セレスティ・クリスフィード(闇を祓う白き刃・d17444) |
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「ウツロギはへヴィメタ好きだった気がするんだよね……」
四月一日・いろは(剣豪将軍・d03805)にとっては相棒である外法院ウツロギが困った事件を引き起こしているのに加えて、今回はアイドルオタク化していて、さすがに気が滅入っていた。
「だいぶ、前に、ウツロギと、依頼、一緒した、こと、あるけど、随分と、変わり果てた、ね」
十六夜・深月紅(哀しみの復讐者・d14170)が淡々とした口調で言葉を紡ぐ。
ロードローラーはウツロギの内なるダークネスであり、別人格であることは、ウツロギの名誉のために理解してあげてほしい。
「それにしてもロードローラーさんは何体いるでしょうか……早く本体を見つけてあげないといけませんね」
セレスティ・クリスフィード(闇を祓う白き刃・d17444)は仲間達と一緒に、アイドル淫魔ユカのライブをすぐ踏み込めるていどの距離から、遠巻きに眺めていた。
「現状ではラブリンスターと敵対しているわけではないですから、ダークネスであっても助けたいですね」
バベルの鎖のせいでハーレム化することもないので、アイドル淫魔達の活動は一般人達への被害がほぼないと言っていい。
「今回淫魔の方は別に大きな被害を出すような事をしていない……寧ろ、コツコツと努力してきたようだし、此処はその努力を無駄にせぬ為にも頑張らせて頂くとしよう」
即席の観客達とはいえ、ライブは楽しく煌びやかな様子で、異叢・流人(白烏・d13451)は眩しそうに目を細めながら、温かい視線をライブ会場に送っていた。
「出来ればこの機会にユカさんもどさくさで殺したかったのですが……まあ、仕方ないですね。態度に出ないよう頑張りましょう」
今は無害な行動をしているとしてもダークネスは灼滅者達の宿敵である。
織元・麗音(ブラッディローズ・d05636)の考えもまた灼滅者としての正しさを持っている。
「ま、今回はロードローラーさんとのお遊びを楽しませて頂きましょうか」
そう言いながら麗音は、ライドキャリバーのアリオンのシートを撫でた。
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ。
その時調度、舗装道路を進めば嫌でも大きな音を立ててしまうロードローラーが、灼滅者達の前を通り過ぎてライブ会場に向かって行った。
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「フヒ、歌わないのであれば拙者にも考えがあるでござるよ、デュクシ」
ロードローラーが最前列から急発進、ステージの上に登ろうとする。
「さあ、殺し愛を愉しみましょう?」
麗音はアリオンをアクセル全開でロードローラーの前面に回り込ませて体当りさせた。
「止まれぇぇぇ!」
ロードローラーの前輪と、アリオンの車輪が起こす摩擦で、アリオンが炎に包まれていたところに、本山・葵(緑色の香辛料・d02310)がサイリウムを握り込んだ拳でロードローラーに殴りかかる。
それに気づいたロードローラーが、咄嗟にその車体からはあり得ない横滑りで葵の奇襲を大きく回避した。
しかしそのお陰で今にも押し潰されそうになっていたアリオンが反転して主人の許に戻る。
「わわ、アイドルさんですか! 私初めて見ました! サイン貰っても良いでしょうか?」
「もうライブは終わっちゃったの?」
「えっ、お客さんまだ残ってたの……?」
セレスティといろはがステージと観客席を隔てる簡易なテープの囲いにかじりつくようにして声をかけると、ユカは振り返り、その視界にガリガリと再び前輪を回転させながらユカに向かって突進しようとするロードローラーの気持ち悪い笑みが入る。
「こいつから逃げちゃダメよ、何度でも現れて全部のライブを今日みたいにぶち壊すから。本当よ、貴女のプロダクションの他のライブも沢山被害を受けてる」
ドン引きして撤収作業もほっぽいて今にも逃げ出そうとするユカに、リュシール・オーギュスト(お姉ちゃんだから・d04213)が釘を刺すように忠告した。
「よく見たらあなた達、武蔵坂の灼滅者だったのね」
「逃げればコレに追い掛け回されますよ。それよりここで倒してしまったほうがいいと思いませんか?」
まだ状況に追いつき切れていないユカに上名木・敦真(高校生シャドウハンター・d10188)が提案する。
「今ならあたしたちであのストーカー野郎を灼滅できる、ユカの歌唱力が必要なんだ!」
「貴女の、歌が、必要、その綺麗な、声で、歌って欲しい」
「どういうこと? 詳しく説明して」
葵と深月紅の言葉にユカは前向きな態度で問い返す。
ユカとしても、ロードローラーに追い回されてアイドル活動を邪魔されるのは腹立たしいと思っているようだ。
「というわけで確実に倒す為にも、君の協力が必要だ。頼めないだろうか?」
「あなた達がなんでそんなことを知っているかわからないけど、とりあえず私が歌えばアレの動きを止められるのね?」
未来予測について伏せられた流人の説明に完全に納得はしていないようだが、どうやらユカは灼滅者達の提案に乗ってくれるようである。
「私達が必ず守りますし、ユカさんが歌ってくれた方が私達も力が出ると思いますので!」
「アイドルとしては、そう言われて断るわけにはいかないわね」
もし劣勢になったら逃げればいいという打算があるにしても、セレスティの言葉にユカはアイドルとして歌う準備を始める。
「私ね、淫魔なんて大っ嫌いだけど……それでも、精一杯芸を追う貴女達を憎み切れないのよ! 私、歌が大好きなんだもの! だから、絶対手は出させないから、そこで歌っててよ! それだけでいい!」
宿敵であるダークネスのユカを前に、リュシールは視線を合わせないように背を向け拳を震わせながら乱暴に決意を叫んだ。
「別にいいわよ。ラブリンスター様はあなた達に一目置いてるみたいだけど、私は灼滅者に好かれようが嫌われようが気にしないから」
リュシールの言葉に特に気分を害することもなく、ユカは片づけかけていた機材を元に戻していく。
「アイドルの魅力に期待させてもらいますよ」
今にも砲弾のように射出されて向かってきそうなロードローラーに立ち向かいながら敦真は言った。
「そういえば灼滅者はバベルの鎖で忘れないんだっけ。あなた達を私のファンにしちゃうから、覚悟して記憶に焼きつけてよね」
そう言ってCDラジカセの再生ボタンを押して立ち上がると、スイッチが入ったようにユカの声音と雰囲気が変わる。
CDラジカセからはイントロが流れ始めアイドルのライブが始まる。
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「キタコレ、最初から鉄板の激熱ナンバー! これは早速スマホでセトリを実況せねばなりませぬぞ……オウフ、拙者手が使えないのでスマホが操作できないのでござった、コポォ」
ユカが歌い始めると、ロードローラーの前輪の動きは止まり、頭をブンブンと振り回し、サイリウムの代わりに二つに括ったツインテールを使ってオタ芸を始める。
「上名木さん、織元さんのライドキャリバーさんの回復をお願いします」
アリオンの損傷状態を一目で判断したセレスティは、敦真に声をかけると、足を止めたロードローラーの背後に容易に回り込み、クルセイドソードでロードローラーの後輪に鋭く斬撃を加える。
「分裂体のキミに言っても仕方がないけど、あまりおいたが過ぎると……滅だよ?」
いろはは高く跳躍した勢いを乗せて、ヘドバンするロードローラーの首に釘を打ち込むように、鬼神変した拳を打ち下ろした。
「遠慮なく討たせてもらおうか」
雷を纏った流人の拳が打撃音と共にロードローラーを大きく傾かせる。
「何がファンよ! 好きなつもりの相手の事を思いやってもあげない癖に!」
「デュフフ、それは違いますぞ。アイドルはファンの声援に応えるもの。拙者を先に裏切ったのはユカたんではござらぬか、ンン?」
「うるさいっ!」
「デュクシ」
リュシールのエアシューズで助走をつけた飛び蹴りが、ロードローラーの顔面に炸裂すると、グルリとロードローラーの首が一回転した。
「作戦とはいえ、木偶を殺るのは少々面白味に欠けますね」
仲間達がユカを説得している間ロードローラーを牽制していた麗音が遠心力を乗せた無敵斬艦刀を横薙ぎに叩き込む。
深々とロードローラーに突き刺さった無敵斬艦刀を追うように、麗音の長い髪とスカートの裾がフワリと優雅に翻った。
「四肢を、掲げて、息、絶え、眠れ」
深月紅はスレイヤーカードから殲術道具を解き放ちつつ片腕を突き出し、装着された契約の指輪からそのまま魔力弾を放ち、ロードローラーを撃ち抜く。
「痛車タイプの目的は最終的にラブリンスター本人ということですか?」
敦真は祭霊光でアリオンを癒しながら、駄目元でロードローラーに問いかけるが、ロードローラーは灼滅者達から集中攻撃を受けているにもかかわらず、ニマニマと笑いながらユカの歌に耳を傾けるばかりで、基本的に灼滅者達の存在を意に介していないようである。
「これはこれで不気味ですね」
作戦通りロードローラーは動きを止め、ユカの歌声を背に舞うような気持ちで戦闘ができ、何もかもが順調である。
ロードローラーを殴った縛霊手を通して、確かにロードローラーの命を削っている手応えを感じながら、セレスティは少し薄ら寒さを感じていた。
攻撃が効いていないなら理解できるが、ロードローラーの車体は見た目にも破壊されていっているのに、ロードローラー自身が一切それを気にしている様子がない。
「痛くはないのか?」
「ライブの最前列で鍛えられた拙者にとって、ライブ中にこのていどのダメージ日常茶飯事、ドプフォ、それに女子からの攻撃は我々の業界ではご褒美でござる、キリッ」
流人がロードローラーの後部に回り込んでティアーズリッパーで車体を深く斬りつけながら問うと、ロードローラーはイラッとするドヤ顔でキメながらそう答えた。
どうでもいい質問に限って反応するあたりも余計にムカつく。
「ロードローラー、全部あなたのせいよ……この最低最悪の気分は!」
「フォカヌポォ、ライブ中にサイリウムを投げるとは、はしたないでござるよ、レディ?」
ただでさえ淫魔と共闘しなくてはならず気が立っているリュシールが、ロードローラーを飛び越えるように宙返りしながら、爆撃するように投擲した光の刃を額に刺しつつロードローラーは、更にリュシールの神経を逆撫でするように煽る。
「サンドバッグだと思えば、これはこれで殺しがいがあるのでしょうか?」
「フヒヒ、ありがとうございます!」
麗音の豪快な回し蹴りに車体がヘコむが、ロードローラーはむしろ笑い声を上げた。
「燃えて、灰に、なれ」
手にしたナイフに七色に変わる炎を纏わせながら深月紅が連撃し、色鮮やかな炎に着火されたロードローラーが夜の闇の中で、申し訳ていどにライブの舞台装置のように会場を彩る。
「あなたはどこで本体と分裂したか覚えてますか?」
「……………」
「あ、やっぱり答えてくれませんよね」
攻撃して来ないので、もう回復する仲間がいなくなって敦真も斬影刃で斬りつけるが、こういう時に限ってロードローラーはヘドバンに集中していて聞く耳を持たない。
「外法院のやつ、どんどん変わり果ててくな。いったい、どこを目指してやがんだ……」
殴る手は止めないままで、葵は痛ロードローラーなだけではなく、ボーナスステージの車みたいに一方的にボコボコになっていくロードローラーの姿に茫然とする。
「いい加減見苦しいよ……斬!」
いろはが閃光のように抜刀し、再び鞘に納刀すると、ロードローラーの車体に横一文字の線が入り、ゆっくりとロードローラーの上半分が首ごと滑り落ち、そのままロードローラーは、CDラジカセから響く後奏をバックに消滅した。
●
「皆、お疲れ様だ。ユカも協力して頂き感謝。御陰様で優位に戦う事が出来た」
「ありがとう。貴女の、歌、凄かった」
「ううん、みんなのおかげだよ。ユカのこと守ってくれて、こちらこそありがとう♪」
「ん?」
流人が仲間達を労い、深月紅が微笑みながらユカにお礼を言うと、なんかユカのキャラとか口調が変わっていた。
というかアイドルとして営業モードに入っていた。
「さて、次は淫魔、なんてことはしないわよ……自分に胸を張れなくなる位なら、死んだ方が余程ましよ」
そう言いながらリュシールは、ユカに近づいて取り出した花束を渡す。
「私、他のダークネスへの気持ちを貴女にぶつけちゃったわ。フェアじゃなかった、分かってる……ごめんなさい。……ライブなら、これからも頑張ってね」
「ううん、ユカの方こそ、人間とか灼滅者とかでファンのみんなを差別したりしちゃいけないよね。さっきはヒドイこと言って、ごめんねっ!」
にこやかに手を握るようにして花束を受け取るアイドル淫魔ユカ。
アイドル淫魔だって、アイドル活動で充実感を得るために固定ファンは欲しい。
「もし、まだCDが残っているのなら一つ良いだろうか? 次もライブを頑張ってくれ。応援してるぞ」
「あ、私にも1枚お願いしてもいいですか?」
「本当ですか? ありがとうございます! 特別にサインつけちゃいますね♪」
CDの購入を求めた流人と敦真の目の前で、ユカはCDジャケットのリーフレットにサインをすると、手渡しで販売した。
熱烈な握手つきである。
「そろそろ武蔵坂も学園祭の時期なんだよ。もしも暇だったら武蔵坂の学園祭にでも来たらどうかな?」
「学園祭ですか? 楽しそうですね! あとで事務所に聞いてみます」
「最近ラブリンスターはどうしてるの?」
「ラブリンスター様ですか? ごめんなさい。ユカもラブリンスター様のスケジュールは把握してなくって」
いろはのお誘いや質問に対してもユカは和やかに受け答えしてくれる。
そこに今は灼滅者達を見下すような様子は見られない。
「みんな、ありがとう! よければまたライブに来てね♪」
その後で灼滅者達もステージの片づけを手伝い終えると、ユカは月にとけるように夜空へと飛び去って行った。
「アイドル淫魔も大変なんだな……」
最後にぽつりとそうこぼしてしまったのは誰だったろうか。
作者:刀道信三 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年7月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 11
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