天空の七夕~空への階段と煌きの天の川

    作者:志稲愛海

     初夏の風を感じ景色を眺めながら、約600段ある煌く青い星の階段を昇って。
     天の川に一番近い展望台で――短冊に馳せた願い事を、星に伝えてみませんか?


    「ねぇ、空へ続く青い星の階段を上ってさ、天空にある七夕飾りに願い事しに行かない?」
     そう教室にいる皆に声を掛けた、飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)に。
    「空へ続く星の階段に、天空にある七夕飾り?」
    「そういえば、もうすぐ七夕か」
     その場に居合わせた伊勢谷・カイザ(紫紺のあんちゃん・dn0189)と綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)は、それぞれふと首を傾けて。
     ねーこれ見て見てーと、遥河は情報雑誌を机の上に広げた。
     そこに組まれていたのは、七夕イベントの特集。
     その中で、遥河が指差したのは。
    「今、東京タワーが七夕仕様になっているのか」
    「そーそー。東京タワーってね、150m上にある大展望台まで、景色が見える約600段ある外階段で上れる時があるって知ってた? 七夕の時期はね、その外階段が、明滅するたくさんの青色LEDの電灯で飾られるんだって!」
     なんかそれってまるで、天の川を上っていくみたいじゃない? と。
     そう笑む遥河に、カイザと紗矢もうんうんと頷いて。
    「600段か、ちょっとした運動になりそうだな! んじゃ、上まで競争するか?」
    「競争もいいが、風を感じつつ景色を見ながら上るのもいいな」
    「まぁ、階段が辛いって人は、普通にエレベーターで上がってもいいしねー。あ、ちなみに階段を上りきったら、『公認昇り階段認定証』が貰えるんだって」
     興味を示し始めた皆の様子に、さらに遥河は続ける。
    「それでね、イルミネーションが飾られてるのは、外階段だけじゃないんだ。階段を上った地上150mの大展望台1階も、ぐるりと天の川が架かった夏の夜空に見立てられたイルミネーションが施されてるんだって! それで勿論、大展望台には七夕飾りもあってね、色とりどりの短冊に願い事を飾れるよ。七夕期間が終わったら、その短冊はちゃんとタワーの傍の増上寺に奉納されるんだって」
     なんか願い事も叶いそうだよねー! とにこにこ笑む遥河に。
     紗矢は雑誌を指差し、ふと付け加える。
    「さらに期間限定で、ゆかたや甚平着用で、大展望台の料金割引に加えて、好きなスイーツが貰える特典があるらしいぞ……!」
    「おーじゃあ折角だから、俺もビシッと和装していくか!」
     スイーツに目を輝かせる食いしん坊幼女が見つけたそんなお得情報に即座に乗る、特典とか大好きな主夫属性のカイザ。
     そしてそんなカイザに、ふと遥河は尋ねる。
    「それでカイザは、どんな願い事書くのー?」
    「ん? そうだなぁ。やっぱり、弟や妹たち家族の健康か?」
    「家族の健康……からの~?」
    「えっ?」
     遥河のそんな返しに、カイザは思わずきょとんとするも。
    「いや、なんかもうひと捻りあるかなーって」
    「そんなのねーし! あとはそうだな、大怪我せず過ごしたいな」
    「大怪我せず過ごしたい……からの~?」
    「え、ちょ、紗矢まで!?」
    「いや、そんな流れかなと思ってな」
     何でだか流れに乗った幼女にまで何気に弄られて。
     そんなおまえらは何て書くんだよ!? と必死に反撃するも。
    「オレ? 勿論、数え切れないくらいいっぱい願い事書いちゃうよ!」
    「わたしは、絶品な美味しさのプリンアラモードを食べたい、かな」
    「てか……願い事って、そんないっぱい書いていいのか? それに美味しいプリンアラモードなら、この俺が作ってやるぜ……」
     カイザはそんな二人にツッコミつつ、はあっと大きく溜め息をついた後。
     今度は貴方へと向けて、こう微笑むのだった。
    「おまえは天空の七夕飾りに、なんて願い事書く? あ、やっぱり秘密……か?」

     貴方も、2014年の七夕を。
     キラキラ輝く天の川に一番近い場所で、楽しみませんか?


    ■リプレイ


     ――さあ、目指すは星の頂ね!
     夜色の袖揺らす狭霧はそう自信満々なイコと並んで。
     笑顔の向こうの夜景を眺め、ふと、星に手を伸ばす。
     天の川を上る心地は、何だか故郷を目指すみたいで。
     願い事を明かすのは……甘い故郷に辿り着いてから。
     草灯に甘いお星様をお裾分けして。アスルは煌く階段できょろきょろ。
     でも……少し怖くなって。両手で確りと彼の手を握る。
     そして展望台で、ただ笹飾りを眺める草灯は。
     アスルの短冊を天に近い位置に結んだ後。その頭を、撫で撫で。
    「ロロちゃん、そんなんじゃ上まで上がれないわよ?」
     隣から向けられる、可愛いけれど不穏な心愛凜の笑み。
     刹那――ロジェの身体が、ふわり浮いて。
     お姫さま抱っこのまま、煌く展望台に到着。
     そして帰りは勿論、歩いて下ります!
    「と、とーきょータワー……っ」
     地上と空の星を見比べて。
     楽し気に尻尾パタパタ、短冊を飾りに天へ上るユァトム。
     ――っくし!
     階段を上る悟のくしゃみの原因は、きっと。
     幸せにする力が欲しいと……破いた短冊に馳せた、大切な人。
     流希は、もし本当に天の川が階段だったら、なんて考えつつも。
     ゆっくり景色を楽しみながら、青の天の川を上って。
     階段から下の景色を見、また天を見上げて。
    「流石にこの高さだと見えますね……」
     こっちの方が綺麗だと、独り言ちるにあ。
     史雄も、夜風吹く外階段の煌いた風景を眺め、思う。
     普段勉強ばかりだから、たまには体を動かすのもいいものだと。
     休憩しつつ階段を上る水花は、カイザと会話しながら到着した展望台で。
     短冊に願いを――叶えてくれると、信じて。
     最初こそ、景色を楽しんでいた理利だが。
     何とか杏子に元気を貰いつつ、煌く星の中で素直に休憩。
     そんな彼の願いは杏子に負けない体力、そして杏子の願いは。
    「もっとお星様に近付きたいの」
     あたし、がんばってるよって、伝えたいから。

     一緒に買った浴衣で、葵は淼とデート!
     でも下駄で階段はハード……だけど。 
    「無理するなよ? 一緒に上るんだろ?」
     嬉し気に、彼と手を繋いだ。
     そして天空カフェで、してみたい気持ちと礼に。
     葵は淼に――はい、あーん。
     下駄を鳴らす紫も、殊亜と楽しく階段上り!
     でも暫くして足元フラフラ……助けて欲しそうな表情と視線を、彼へ。
     そして両手を広げ、彼女に選択肢を提示した殊亜は。
    「神様に嫉妬されても知らないよ」
     赤面する紫を、優しく抱っこ。
     久々のデートに昂って転びそうになる千尋を、何とかゲイルは支えて。
     微笑みを浮かべるも……よぎるのは織姫と彦星の伝説。
    「……千尋さんは、離れませんよね」
     そんな呟きに、そっと彼へ身を預ける千尋。
     ボクは傍にいるよ――と。

     幻想的な星の階段で彦星を探して。
    「……みとわさんは彦星さま来てないの?」
    「ボクの彦星さまは、今日はお留守番、かなー」
     にやにや言った和佳奈に、みとわは照れ笑い。
     そして【小箱】の皆に、競争を提案する紗月! ですが。
    「あら……誰が一番先に彦星を見つけるかの勝負にも聞こえますね?」
     そう笑む恵理の声に。紗月はつい理想を巡らせ、思わず躓いてしまうも。
    「あぁっ、皆さん先に行くなんてひどいっ」
     みんなの笑顔零れる、負けられない競争の始まりです!

     眼前の景色に心震わせて。
     鉄次は【ダンボールハウス【白兎】】の皆を振り返るも――いない!?
     その理由は。
    「一つ競争しようではないか。どちらが先に登れるかを!」
     運動会の決着をと姫月に言い放つ仁王と。
    「ボーっと歩いているでない!! そら、行くのじゃ!」
    「あれ? 何で手を掴むのかな? あれぇ……!?」
     何故か道連れのミーシャ。
     でも……誰よりもずば抜けた脚力で。
    「こら待て貴様等ぁぁぁあ!!」
     鬼気迫る鉄次の姿は、まさに一見少女達を追う悪漢!?

     お揃いの認定証と特典スイーツの為に。
     【吉祥寺1年D組】の皆もいざ、星の階段へ!
    「ゆっくり登りながら見える景色綺麗です」
     最初は、休憩しつつ真琴の言う様にのんびりと。
     でも……ゴールが見えた瞬間始まる、ジャンケン競争!
     ですが。
    「チャーシューメン! これで8段ですよぅ!」
    「チグリス・ユーフラテス川!」
    「ぐれーとぶりてんおよびなんたら――しまった思い出せねェ!?」
    「あ、アドリブで上るなんて聞いてないのですー!」
     シンは皆を心配しつつも、ヒオや潤子や昂輝、級友達の単語のフリーダムさに声を上げて。
     真琴はこっそり皆のあいこを数えつつも、接戦な勝負を応援!

     【Cc】の皆も、和装姿でバッチリ!?
     いえ……これを登るのかと、げんなり顔のアイナーが。
     でも、エレベーターが苦手なサズヤの言葉を理由に、覚悟完了!
     そして飛び出す、メロの一番乗り宣言!
    「あ、ズルイ! いちごも一番乗りするのーっ」
     メロは、そんな壱子と一緒にジャンプ、天へと続く階段へいざ!
     そんな元気な背中に、アイナーは声を掛けつつも笑んで。
     煌く青に、自然とシェリーの歩調が緩むも。
    「……モンブランがいいなぁ」
     頂上にはスイーツが!
    「気張らんとお前さんの分まで喰っちまうぞー」
     その声に、食いしん坊か、とのんびり応えるも。
     心なしか歩みを早めた紋次郎に笑んだ後、篠介は殿の依子をちらり。
     そんな彼に手を振って。
    「……少しずつ空に近付いているようで、不思議」
     ふと振り返るサズヤに依子は和みつつ、昭子にも声を掛けて。
     星が歌うような賑やかしい皆の声に、昇りきってしまう事を惜しむ昭子だが。
    「……チーズケーキもいいなぁ」
    「あと少し、がんばります。ね」
     食いしん坊仲間の呟きを聞いて。頂上を楽しみに、頑張ります!
     心地良い風に煌く景色、そして皆でわいわい昇れば。
     600段なんて、すぐだろうから。


     この日は煌き溢れる七夕、そして。
    「今日はクロノの誕生日でもあったな。おめでとうなのじゃ」
     天の川も祝福しておるようじゃのう、と。
     そう手を添える久遠に、クロノは礼を言いそっと微笑んで。
     お互い内緒の願い事を、短冊に。
     猫目は兎も角、ミカに浴衣を着付して大満足な智之。
     そして星の下、智之の短冊をミカが覗けば。
    「先輩想いでしょ?」
     少しズレた突っ込みとニヤニヤの笑み。
     そしてミカの厚意のお返しは智之には読めないけれど……何となく、嬉しい。
     白に咲く撫子と浅葱に煌くお星様。
     見上げる天は思ったよりずっと近くて。友達と見下ろす景色は凄く綺麗。
     そして。
    「ふふ、莫原さんは誰に会いたいの?」
     巳桜と想々の願い事は偶然にも同じ。
     でも誰の事かは……内緒のおあいこ。
     フードは脱ぎません、浴衣でも!
     そんな七緒は玲仁の予想通りの願いに、やっぱりちょろいと笑うも。
     でも、そこが好き。
    「七緒の願いは身長か?」
     そんな七緒の願いもお見通しで。
     彼とつり合う様にと、七緒は短冊をより高い所へ。
     途中、学園の皆と会話しながら、階段をマイペースに上った陽太は。
     展望台で考え直した願いを、黄色い短冊へ託す。
     展望台で偶然会った紗矢に話した優里の願い事は――幼馴染との再会。
     きっと……大切な人だったはずだから。
     展望台から景色を眺めるのは、大和撫子二人と黒猫さん。
     そんな浴衣着た牡丹と霊子は。
    「今年こそ彼氏が欲しいって書いたわっ」
    「……来年も皆と一緒に居れますように……って」
     短冊に願い事を書いて。ゆっくり一緒に、七夕の夜を。
     強がんなくて良いと言ったのは、颯人が二番目。
     でも成海はやはり、乱れる息を隠し平静を装って。
     その横顔は凛と、でも柔和になった気も。
     そんな彼女の頑なさを溶かすのは、颯人の根拠の無い確信。
     そして二人が願うのは――3人で笑い合う未来。

     天空と地上の天の川を眺めながら、美味しいものを食べられる贅沢。
     浴衣や甚平を着た【宵空】の皆で十分ケーキを堪能した後。
    「凄く綺麗だね♪ 星の中にいるみたい」
    「星の中に居るのなら、ここは織姫彦星のすぐ近くかな」
     カーティスに頷き、願い事も叶いやすそうな気がしてこない? と、皆と短冊をしたためる葵。
     むしろ織姫と彦星? いいえ!
    「……ん? 陰条路天使か!」
    「ならば七ちゃん……貴方が神だ!」
     そう笑い合う朔之助や七や皆に、ふとマナはぱたぱた駆け寄って。
    「みなさまの願い事が叶いますよーに!」
     大きな声で、届け空へー! お星様に、そうお願いを。

     今日は脚で空へ上って。
     煌介の手を引く陽桜が目指すのは、やはりケーキ!?
     でも、おいしいはセイギ!
     陽桜は煌介に『あーん』するも、それは旦那さん用だと言う彼に目をぱちくり。
     そして書いた短冊は……天の川に一番近い笹に。
     紅緋も紗矢と浴衣で和気藹々、夜景を眺めつつケーキを食べながら。
     楽しく一緒に、東京タワー談義を。
     初美と真咲も浴衣でカフェへ。
    「そっちも美味しそうだな。交換しない?」
     そうモンブランを差し出された初美は、あーんはその、だね、と言うも。
     落ちそうなケーキを慌ててぱくり!
     そしてその味と相手の天然さに、ふっと微笑みを。
     七葉は短冊を書いた後、紗矢達と4人でカフェへ。
     そして、ふと窓越しの星へと手を。
    「お星さま、つかめそうだね」
     割引の為にビシッと浴衣着て。
    「……そんな悩むなら、俺のも食えば?」
     天の川よりケーキな恋羽にそう持ちかける豹。
     そして星の様に瞳を輝かせ喜ぶ姿に、頬を掻きつつも話を逸らして。
     二人が天に馳せるのは、お互いらしい願い事。
    「うーんどっちにしようかな」
     千代も真剣にケーキを選んで。
     星瞬く中、カイザや紗矢と、お菓子やプリンの話を。
     そしてご機嫌でケーキを食べた悠は。
    「ぐぬぬ……年下とは思わなかったのじゃ……」
     ナンパした紗矢と、悔し気に背比べ。
     斬夜も、お嬢様っぽい浴衣姿のシェリカと天空カフェへ。
     そして煌く景色を眺めつつ。
    「実はですねー、やっぱり何でもないです♪」
     ケーキを摘むシェリカは口を噤むも。
     誕生日おめでとう――斬夜はちゃんと彼女に、お祝いの言葉を。

    「本当に天の川みたい……♪」
    「天ノ川星歌隊の私たちにピッタリですよね?」
     くるみの声に、えりなも頷いて。
     浴衣着た【星空芸能館】の皆と、煌く七夕飾りに短冊を。
    「願いって、ちゃんと考えようとすると案外まとまらないものですね……」
     紗里亜は悩みつつ、智恵理に願い事を訊ねるも。
    「秘密のある女ってミステリアスやろ、ふふ」
     小悪魔スマイルで、それは秘・密!
     そして皆と合流したのは――600段を制したファルケ!
    「ほい、それじゃいいとこ1枚頂こう」
     労いの言葉や甘味に笑んだ後、自然体な天ノ川星歌隊を写真に収めてから。
     帰りも、一人でとことん階段に挑みます!?

     確り手を握る皐臣が不機嫌なのは。
     浴衣のきすいに、他の人も目を奪われているから。
     でも……きみの為だけに着たんだよ、と紡ぐ声に。ヤキモチを、優しいキスに変えて。
     ぎゅっと抱き締める――彼女の願いを、思いを、受け取って。
     手を引かれ、一歩ずつ。
     景色を見下ろし誠士郎と昇るのは、天の川へ続く空の道。
     そして煌く展望台でかしこが綴った願いは、彼には内緒。
     いや、互いに照れ臭いから、手早く短冊を結んで。
     手を繋ぎ直して……次は甘い物を一緒に。
     下駄を鳴らし一緒に天の川を上って。
     ケーキを堪能しつつ浴衣な桃香を激写した遊が、真っ先に浮かべた願い。
     それは短冊に書かなくても、叶えられるもの。
     そして桃香の内緒の短冊には……我が儘かなと思いつつも、強く願う思いが。
     同じ空でも、一緒に見た冬の空とはまた違って。
     季節を跨ぎ、結理と此処に居る幸せに安堵を覚える錠。
     そして浴衣姿で甘い時間を過ごして。
    「君の願い事を僕にも一緒に願わせて?」
     錠の願いに結理は紡ぐ。皆で頑張れば、きっと叶う事だからと。
     牡丹の浴衣に、幸福の蒼色星。
     願いを形に残すのは苦手な樹だけど、今日は特別。
     そして形にし実現させるものという拓馬の願いは勿論。
     肩を抱いた伴侶と――添い遂げる事。
     それから樹も再び願いを。一緒に、幸せになれる様にと。
     雪が天に掲げる、階段を昇った証。
     そんな雪を感心の瞳で優しく見る恢は七夕談義の後、揺れる笹を眺める。
     短冊に書くには重い願いと、願い叶った礼を、各々思いながら。
     そして雪の唇の形が恢に礼を――ありがとうございます、と。
     互いに選んだ浴衣を着て。
    「……ん。美人サン、良く似合ってる」
     星の闇をくるり泳ぐ夜深に――ご一緒してくれる? と。芥汰は、織姫様へ手を。
     そして短冊の願い事は。
    「……あ、わ。駄目ヨ!」
     叶えたいから……お星様との秘密。

     選んだ浴衣を着たエアンと手を繋ぎ、髪に椿咲く百花は。
    「もも、天の川だって、泳いで渡るから!」
    「俺も飛び込んで迎えに行くよ。浮輪を持ってね」
     泳げない織姫に微笑むエアン。
     でも泳げなくても……彼の腕には絶対辿り着くから。
     逸る下駄に誘われ、踊る袖を捕まえた奞は、差し出された掌を取って。
     天の川で迷子にならない特典をゲット。
     そして糸維の目当てはスイーツ? 願い事も腹ペコキャラ!
     奞の願いは……内緒、だけど。二人で特典ケーキの分けっこを。
     筋肉痛は心配だが、千代子は咲月と階段を上りきって。
     頑張ったご褒美の景色を眺め、星に願いを……ずっと一緒に居たい、と。
     でも大分恥ずかしくなって。
     密かに同じ願いの短冊を高く結んだ咲月は、仄かに顔が赤い千代子を覗き込む。
     一歩ずつ階段を上る様に。知りたいのは、相手の事。
     美冬の沢山の質問に、乙彦は今度は逆に。どんな奴が好きかと、訊ねてみれば。
    「浴衣の似合う男の人が、好きよ」
     浴衣着た彼に、返す美冬。
     そして互いにそっと……星空に願いを。
     お揃いの浴衣に思い出のピアス。
     手を繋ぎ訪れた展望台で、黒曜と短冊を書く藍晶だが。
     なんて書いたのー♪ と抱きつく黒曜に。
    「……そ、その、黒曜と何時までも一緒に居たい、って……」
     誤魔化す様にすぐに、今度は彼の願いを訊ねるのだった。
     七夕は二人の大切な日だから。
     今日こそはと、菊乃と向き合う光。
     だが、ええいままよと与えたのは――不意打ちのキス。
    「……改めて、これからもよろしくな」
     そんな顔が赤い彼に抱きつき甘える菊乃。
     これからも、ずっと……そう頷いて。

     浴衣姿の奈那にサムズアップして。
     カフェでケーキを食べつつ優輝が真剣に語るのは――短冊の願い。
     奈那はそれを応援しかできないと寂し気に笑うも。
     大切に想うその心は同じだから。
     撫でられ笑みつつ、願いが叶うよう、誓いを。
     浴衣姿の流は、違う人の様で格好良くて。
     見つめられたスヴェンニーナは逆に、照れて顔をふいっ。
     そして天空カフェで。
    「……はんぶっこ、だめ?」
     流は彼女と、ケーキを半分こ!
     でも訊かれた願い事は……悪戯気に、内緒だ、と。
     伶とにょろも、浴衣でケーキの食べさせ合いこ!
     伶は、彼女へモンブランをあーんした後。
    「ちょっと動かないでくださいね……?」
     そう顔を近づけた瞬間。
    「って伶さん!?」
     舌でペロッと舐め取るのは、恋人の頬の甘ーいクリーム。
     一緒に行きたいからと、階段でナイと手を繋いで。
     白姫は着いた展望台でスイーツとお茶を。
    「……二人で、こういう所も……いいものですよね……」
     それから、しどろもどろになる白姫。
     ナイから差し出された、感謝の『あーん』に。
     ケーキよりも巧が気になるのは……浴衣姿のライラ。
     星を眺めつつも瞳を見つめられ、内心動揺を。
     そしてライラは彦星の思考に疑問を抱きながらも。
    「……巧は彦星タイプ? いつまでも待つの?」
     甘味と巧の反応を楽しむのだった。

     夜の七夕Wデート!
     あーんし合う美夜とましろの様子を、優志は微笑まし気に見つめて。
     倭はましろへ、自分のケーキも。
     そして視線に気付いた恋人の耳元で。
    「今日の美夜も可愛いな、って思ってさ」
     足を心配しつつ囁く優志に、反論を飲み込む美夜。
     過保護なんだから……と。
     そしてましろに帰りのおんぶをねだられて。
    「お前なぁ、人を背負って降りるのは結構……」
     言葉とは裏腹な口調で。倭は、まぁ、良いか、と。
     エレベーターの存在は、知っているけれど。

     浴衣の糸子は別人の様で。ケーキに悩む姿は微笑ましい。
     アゲハはそんな彼女に自分のケーキを勧めるも。
    「あーん、して?」
     ぶんぶん首振る糸子から、お返しの甘い味見を。
     そして帰りに繋いだ手は――天の川で逸れてしまわぬ様に。
     ……あら、見惚れてる?
     階段を上り終え、そう聞かれ、素直に頷いた後。
     照れて俯く優奈に、暁があーんするのは甘いケーキ。
     それをあたふた、ぱくりと口にし、顔が真っ赤な優奈。
     そして暁は、ひとつずつ。彼女との約束を現実に。
     新鮮な浴衣姿に、炎や桜の様なスカーフ。
     そんな律希は正流に先手必勝!
    「相棒、あーんしてください」
     正流も、彼女へあーんのお返しと。口元のケーキも、指で掬って一口。
     そして星に願う事は同じ――会えぬ時間が、辛かったから。
     天の川を一緒に上れば、クリスの大好きなスイーツが!
     でも今日、桃夜が一番言いたかったのは。
    「クリス、誕生日おめでとう」
     愛しい人への、誕生祝いの言葉。
     そして胸いっぱいな想いを瞳から零したクリスは、煌く天の川の下でトウヤに微笑む。
     ありがとう、僕はとても、とてもしあわせだよ――と。

    作者:志稲愛海 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年7月18日
    難度:簡単
    参加:127人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 18/キャラが大事にされていた 2
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