朝比奈・俊(高校生ご当地ヒーロー・d20101)は、こんな噂を耳にした。
『小学生男子の下着を盗む女性下着泥棒が出現した』と……。
この泥棒は都市伝説で、小学生男子の下着を奪う事に関しては、プロ級。
下着を奪われた本人ですら気づかないうちに、穿いていない状態。
だからと言って、都市伝説は別に下着が好きという訳ではない。
ただ、そこに小学生男子がいるから、下着を身に着けているから、奪うだけ。
そこに、これといった理由はなく、ただ生きるために、自らが存在するために、奪っているのだから……。
しかし、小学生男子にとっては、恐怖そのもの。
都市伝説がいつ現れるのか分からないため、集団で登校・下校をしているものの、油断すればあっという間に穿いていない!
学校側も不審者(都市伝説)に警戒して、見回りをしているようだが、そういう時に限って現れないため、被害者は増えていくばかり。
こういった負の連鎖を断ち切る事が、今回の目的である。
参加者 | |
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百瀬・莉奈(ローズドロップ・d00286) |
黒咬・昴(叢雲・d02294) |
三日尻・ローランド(尻・d04391) |
宿木・青士郎(ティーンズグラフティ・d12903) |
蓬栄・智優利(スターライトプリンセス・d17615) |
睦城・耀(小学生人狼・d27535) |
日輪・朔太郎(汝は人狼なりや・d27538) |
美馬坂・楓(幻日・d28084) |
●狙われたパンツ!
「ちいさな生き物のパンツを欲しがるなんて、イケナイ都市伝説くんだねえ。愛する人のパンツが欲しくなる気持はよく解るけれど、パンツは合法的に入手しないとねえ! ボクのえくすかりばーは残念だけど、思い切りのいい全裸だよ。そこが、とってもキュートなんだけどねえ」
三日尻・ローランド(尻・d04391)はウットリしながら、ナノナノのローランドを眺めつつ、都市伝説が確認された小学校の通学路に向かっていた。
都市伝説は小学生男子のパンツが、大好き!
それを手に入れるためには、どんな危険も何のその。
逆に『障害がある方が燃えるわん』とばかりに、パンツを奪って奪って、奪いまくっているようである。
そのため、小学生男子達は、ガタブル状態!
大人の女性を見るだけで、『ひぃっ!』と悲鳴をあげてしまうほど。
中には『もうパンツは穿かない』と心に誓う小学生男子までいるようだ。
「しょ、小学生の下着を盗むとか、変態じゃないですか……!? 狙う相手の年齢が高ければいいとは言いませんが、何というか、道徳的にとか倫理的にと言うか……あうう、もういいです、どうせ言っても通じないでしょうから……。最近、灼滅者になったばかりで、都市伝説と戦うのも初めてなのですが……。もしかして、とんでもない世界に紛れ込んでしまったのでしょうか……」
美馬坂・楓(幻日・d28084)が、気まずい様子で汗を流す。
箱入り娘で真面目な性格のため、今まで生きてきた世界とのギャップに、かなり怯えている様子。
何とか理解しようと頑張っているものの、脳裏に浮かぶには小学生男子の恥じらう姿。
そんな事を考えながら、冷静でいられる訳がない。
別に、いやらしい気持ちはないのだが、何故か恥ずかしくなってきた。
「今時は女の子だけじゃなく、男の子も狙われちゃうんだね。穿いてない状態にするなら、小学生じゃなくても、全然良さそうなのに不思議。何かとわーわーと騒いじゃうからかな?」
百瀬・莉奈(ローズドロップ・d00286)が、不思議そうに首を傾げる。
都市伝説がどうして小学生男子を狙っているのか分からないが、この様子だとショタ好きのお姉さまが出没していた時期があったのだろう。
それが噂となって広まっていき、都市伝説が生まれた可能性が高かった。
「でも、こいつが男子のパンツ盗むのって、俺が女子のスカートめくったり、ハーパン脱がしたりするのと一緒なのかも。だったら、やり方参考にして、女子のパンツを素早く下ろせる様になりてーな♪」
睦城・耀(小学生人狼・d27535)が囮役として、無防備に歩く。
もしかすると、都市伝説との戦いで、新たなテクニックを体得するかも知れない。
「ヒヒヒ……都市伝説ってこんなのばっかりなのかい?」
日輪・朔太郎(汝は人狼なりや・d27538)が、含みのある笑みを浮かべた。
だが、内心はすっかり呆れ果てており、やれやれ状態。
マトモに考える事すら、馬鹿らしくなっているようである。
「えーと、毎度の事ながらコメントしづらいのだけど……、取りあえずボコボコにすればいい。それで、解決ですな!」
黒咬・昴(叢雲・d02294)が、キッパリと断言をした。
色々と思う事はあるのだが、考えるだけ時間の無駄。
それが分かっているため、何も考えない事にした。
「ならば人払いをして、サクッと片付けてしまうか」
そう言って宿木・青士郎(ティーンズグラフティ・d12903)が、楓に合図を送る。
それに合わせて、楓が殺界形成を発動させて、小学生男子が近づかないようにした。
その間、莉奈は電柱の陰に隠れて、おろおろドキドキ。
まるで陰ながら男の子を見守る、お姉さん的なキュンとする構図。
そして、都市伝説が現れた。
囮役である耀のパンツを狙って、風のように!
「お待ちなさい!」
それに気づいた蓬栄・智優利(スターライトプリンセス・d17615)が、スターゲイザーキックを放ったが、そこにあったのは残像。
既に都市伝説はパンツを奪った後だった。
●一瞬の神技
「ま、まさか、あの一瞬で……!」
電柱の陰からその様子を窺っていた莉奈は唖然とした。
都市伝説の手には、耀のパンツ。
どういった方法を使ったのか分からないが、ズボンを下す事無くパンツを奪い取ったようである。
おそらく、それは都市伝説であるが故。
人並み外れた都市伝説だけが使えるテクニックなのだろう。
「う、動く事さえ出来なかったよぅ……」
朔太郎が苦笑いを浮かべる。
先程までナノナノの恭次郎と物陰に隠れて様子を窺っていたのだが、都市伝説の存在に気づいた時には手遅れだった。
「ふふっ……、パンツさえもらえば、あとは用なし。じゃあね」
都市伝説が大きな胸をたゆんと揺らして手を振った。
「……やるじゃん。姉ちゃんパンツだけで満足なの? これもやるよ♪」
耀が服を脱ぎ捨て、都市伝説に放り投げる。
「こ、こら! やめてよ! パンツ以外はいらないから!」
都市伝説が不機嫌な表情を浮かべて、耀の服をポーンと投げ返す。
「ほらほら、象さんだぜ♪」
だが、耀は怯まない。
楽しそうに腰を振って、都市伝説にアピール。
「何だか気分が悪いわ」
それを目の当たりにした都市伝説が、口元を押さえて背を向ける。
「ドーモ。変態=サン。RB……じゃなく灼滅者です。変態死すべし。慈悲はない」
すぐさま、昴が都市伝説の行く手を阻む。
「な、何よっ!」
それでも、都市伝説が逃げようとしたが、既に逃げ道は塞がれた後。
「これ以上、被害を出すわけにはいきませんしね」
楓が都市伝説の前に立ち塞がる。
「私が欲しいのは、パンツだけ。その子を傷つける気持ちなんてないんだから、このまま返してよっ!」
都市伝説が不機嫌そうに、頬を膨らませた。
「悪いけど、そういう訳にはいかないんだよねえ。やっぱり、パンツは合法的に入手しないと。この広い世界なら、合法的なパンツ入手ルートくらいあるかも知れないし」
ローランドがさらりと答える。
その間も、ナノナノのえくすかりばーは、ゴミを見るような目でローランドを眺めていた。
「だから、合法とか非合法とか、そんな事はどうでもいいの! あたしが欲しいのは、小学生男子が穿いているパンツだけ。別に穿いていたパンツが、欲しい訳じゃないの!」
都市伝説が逆切れ気味にイラついた。
「……悲しき存在だ。己の欲望すら持つ事が出来ず、ただ存在に課せられた運命をたどるだけの儚き幻……。崇高な使命も沸き立つ情熱も、突き立てる憎しみも持たずにただそこにあるだけ……。我が下してやろう。貴様の終末を」
青士郎が厨ニモード全開で、都市伝説に冷たい視線を送る。
「天が許しても、ショタのパンツは私が渡さない☆」
それと同時に智優利がブロック塀の上に立ち、ビシィッと格好良く言い放った後、スレイヤーカードを解除した。
●恥じらいの一瞬
(「うわ、ヤバイな、これ。思ったより恥ずかしいぞ」)
智優利は後悔しつつ、その場に蹲っていた。
思ったよりも、恥ずかしい。
気のせいか、仲間達の視線も痛々しい。
正直、穴があったら、入りたい状態。
その場にスコップがあれば、大きな穴を掘りたいほど。
「ふっ、これだから都市伝説はワケガワカラナイヨ。……っていうか、盗むならもっと中学高校生みたいな、こう青臭いの盗みなさいよ! まったく……っていうか、パンツより、もっと中身に興味を持とう!?」
智優利がイラついた様子で、都市伝説に説教をし始める。
「いや、別に……。中身には興味がないから!」
すぐさま、都市伝説が反論。
都市伝説なりにこだわりがいるのか、何やらムッとしている様子。
「貴様が女子の下着を狙う都市伝説であれば、もう少し気分も盛り上がったのだが……、あいにくと我は男児愛好者ではない。一瞬で終わらせてやる」
青士郎が一気に間合いを詰めて、ティアーズリッパーを放つ。
「えっ、何! 何が起こったの!」
それに驚いた都市伝説が、尻餅。
一瞬、何をされたのか分からず、あたふた。
どちらにしても、こいつらはマトモじゃない。
それだけは確実、間違いない。
「そんなに驚かれると、困るけどね。でも、パンツに懸ける情熱だけは凄いと思うよ。まあ、ボクとえくすかりばーには負けるけどね」
ローランドがえっへんと胸を張る。
その途端、えくすかりばーの視線がさらに冷たくなったが、ローランドは気にしない。
「……って、意味が分からないから!」
都市伝説が涙目になった。
この状況は間違いなく、ヤバイ。
どうやら、関わってはいけない相手と、関わってしまった様子。
とにかく、逃げねば、全速力で!
「プロ級のテクニック……、他に活かす所なかったの?」
莉奈が都市伝説に語り掛けながら、鬼神変!
「あたしが欲しいのは、パンツだけ。そのためにテクニックを使って、何が悪いの!」
都市伝説が納得のいかない様子で反論をした。
おそらく、都市伝説は自らのテクニックを最大限に利用して、小学生男子のパンツを奪っているのだろう。
「己の存在理由が下着とか、言ってて自分で情けなくないんですか!? ……いや、いいです。答えは聞きたくありません、聞いた私が馬鹿でした!」
楓が自己嫌悪に陥り、視線を逸らす。
ある意味、自爆。
自分自身にクリティカル。
なんで、こんな事を聞いてしまったのか。
どんな答えを期待していたのか。
その事を考えるだけで、恥ずかしい気持ちが、楓の心を支配した。
「一体、何なのよ、本当に……」
都市伝説がパニクった。
こんな事なら、早々に立ち去るべきだった。
なんで、ここまで嫌な思いをしなければいけないのか。
パンツさえ奪えば、そこで任務完了。
新たな獲物を求めて、通学路を彷徨うだけなのに……。
今日に限って、どうして、こんな目に!
「俺は全部脱いだんだから、姉ちゃんも脱ごうぜ♪」
耀がイヤラシイ笑みを浮かべ、ズタズタラッシュで、都市伝説の服を剥ぎ取った。
「ちょっ、ちょっと、あたしは別に、そういうつもりじゃ」
都市伝説が困った様子で胸元を隠す。
もう動けない。
恥ずかしさのあまり顔は真っ赤で、ぺたんこ座り。
「お前が! 倒れるまで! ボコるのを! やめない!」
次の瞬間、昴が都市伝説の上に乗り、問答無用で閃光百裂拳を叩き込む。
それでも、都市伝説はパンツを離そうとしなかったが、最後は力尽きて跡形もなく消滅した。
「これで一段落だね!」
都市伝説が消滅した後、莉奈が足元に落ちていたパンツを拾う。
最後まで都市伝説が小学生男子のパンツにこだわっていたのか謎のままだが、おそらく本人ですら、その理由を理解していない。
「しかし……なんで、こんな都市伝説が生まれるんだろうねぇ……」
そう言って朔太郎が乾いた笑いを響かせた。
そもそも、都市伝説は噂によって生まれた存在。
しかも、噂が広まるにつれて歪んでいき、原型を留めていないのだから、マトモな都市伝説を求めるだけ無駄な事なのかも知れない。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年7月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 1
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