原始人マンション!?

     とあるマンションの201号室。
     いつも通り、一家団欒の休日になるはずだったのだが……・

    「ウッホ!! ウッホ!!」
     タオルケットを体に巻きつけた子供達が寝室のベッドの上で飛び跳ねている。
     ドアがバターンと勢いよく開いて、ずかずかと入って来たのは父親。
     ふざけている子供達を叱りに来た……訳ではなさそうだ。
     それどころか、物干しざおを棍棒のように振り回して勇ましさをアピール。
    「「ウオオオオオ!!」」
     雄叫びを上げ、親子の間に芽生える謎の連帯感。
     一方キッチンでは、引き裂いたカーテンを体に巻きつけた母親が、丸焼きにした塊肉を食いちぎっていた。

    ●教室にて
    「謎のイフリートが現れたんだ! いつものイフリートと違って恐竜みたいな姿なんだよ。このイフリートは知性を嫌い、人化出来ないけど、かわりに戦闘力が高くて特殊な能力を持っているんだ」
     まりんの言う特殊な能力とは、自分の周囲の気温を上昇させ、内部の一般人を原始人化する力の事だ。
     最初は、このマンションの一室内だけが原始人化する範囲なのだが、その範囲は徐々に広がっていき、最終的には都市一つが原始時代のようになってしまうだろう。
     そんな恐ろしい事になってしまう前に、灼滅者の皆にイフリートを倒して貰いたい。
    「ちょっとやっかいなんだけど、原始人化した家族が強化一般人になって、効果の中心地点にいるイフリートを守っているみたいだね」
     
     イフリートは、玄関から入って一番奥の部屋であるリビングに居り、
     そこへ辿り着くまでに、父、母、子供2人(小学生の兄と妹)が戦闘を仕掛けてくる。
    「うまく交渉すれば戦闘しないで済むかもしれない。でも、原始人化しちゃって言葉が通じないんだ。だから、原始人が気に入りそうな物をプレゼントするのはどうかな? とにかく現代文明は敵! って思っているみたいだから、現代っぽくない物をあげると良さそうだね」
     201号室に踏み込むと、各部屋から家族達が飛び出して来るようだ。
     玄関ドアを開けて、右手の部屋(寝室)には2人の子供、左手の部屋(洋室)には父親が居る。
     廊下を進み、一番奥の部屋はリビングとダイニングとキッチンが一体になっている。
     キッチン部分には母親、リビングではイフリートが睨みをきかせる。

     戦闘能力については、イフリートはファイアブラッドの攻撃と、睨みつけてペトロカースと同等の攻撃を仕掛けてくる。
     家族は棒状の物を振り回して螺穿槍のような攻撃をしたり、
     踊り狂ってパッショネイトダンスのような攻撃をしてくるだろう。
    「イフリートを灼滅すれば、原始人化していた家族は徐々に知性を取り戻す事が出来るよ。もしかしたら多少の混乱などがあるかもしれないから、それなりのフォローしてあげて欲しいな」
     そしてまりんは、灼滅者の背中を見送ったのだった。


    参加者
    風雅・晶(陰陽交叉・d00066)
    九条・茨(白銀の棘・d00435)
    峰・清香(高校生ファイアブラッド・d01705)
    戒道・蔵乃祐(グリーディロアー・d06549)
    千凪・志命(灰に帰す紅焔・d09306)
    桜井・かごめ(つめたいよる・d12900)
    武藤・雪緒(道化の舞・d24557)
    芦原・花梨(中学生ファイアブラッド・d28033)

    ■リプレイ

    ●原始人一家大暴れ
     うだるような暑さは、夏のせいなのか、マンション内にいる竜種イフリートのせいなのか。
    「ぇぇー……本当にマンションの一室に居るんですか……?」
     戒道・蔵乃祐(グリーディロアー・d06549)は201号室を見上げた。あんな狭そうな部屋の中で巨大な竜種イフリートが待ち構えているとは。おまけに、原始人化した家族も暴れまわっているというのだ。
    「……厄介、この上ないな」
     カオスな状況になっているのが容易に想像できる。
     千凪・志命(灰に帰す紅焔・d09306)の嘆きももっともだった。

     201号室の前に辿り着くのは簡単だった。
     風雅・晶(陰陽交叉・d00066)は、近隣の様子を注意深く観察し、
    「情報通り隣近所の方達は出かけていますね。しかし、万が一という事もありますからーー」
     殺界形成で周囲の人々を遠ざけておいた。
    「ではさっそく、準備を始めましょうか」
     晶がドアノブに手を掛けると、鍵は掛っておらず、ゆっくりと扉が開いた。
     各自、家族が興味を持ちそうな物を奥の部屋から玄関へ向かうように置いていく。
    「あ、人間形態になっておかなきゃ。スライム骸骨に興味持たれても困るからね」
     原始人家族と遭遇する前に、武藤・雪緒(道化の舞・d24557)は人間形態になった。
     灼滅者達が準備していると、洋室で気ままに暴れていた父親の鼻先に、肉の焼ける良い匂いが漂ってきた。
    「ウホホー!」
     父親はハイテンションで洋室のドアをバーンッと開け放ち、現代人とは思えぬ跳躍力で玄関先にざっと乗り込んできた。
     目に飛び込んできたのは網の上で焼かれている肉! 視線をずらすと、うちわで匂いを送り込んでいた志命と、肉を焼いている雪緒と目があった。
    「丁度こんがりと肉が焼けた所なんです。はい、どうぞ」
     雪緒に差し出された肉を躊躇なく受け取り、ひとしきりキレッキレのダンスをした後、父親は肉をガツガツ頬張った。
     一方、子供部屋からは、
    「がううううっ!」
     物干し竿を振り回しながら、男の子が飛び出して来た。侵入者の灼滅者達を睨んでいたが、足元に転がっている骨やら石やらに気づいて、ひとつひとつかき集めはじめた。
    「これあげるから玄関か外にいておいて」
     九条・茨(白銀の棘・d00435)は目の前に蝉の抜け殻をチラつかせる。言葉が解らない男の子は奪い取る気満々で、ブンブン竿を振り回す。
    「おっと、危ないなぁ」 
     茨は手の平で制止して胡散臭い笑顔を浮かべ、
    「これ、あげる、あっち、行く。オーケー?」
     ジェスチャーを交えて説得。男の子は蝉の抜け殻を手に入れて、小躍りしながら玄関先へ行った。茨はいい人オーラを出しつつ、手を振ってバイバーイと後ろ姿を見送った。
     じっ……と、女の子が扉の陰から様子を伺っている。
    (「わ、警戒してる。すごく恥ずかしいけれど仕方ないかな。試してみよう」)
     芦原・花梨(中学生ファイアブラッド・d28033)は意を決して、
    「ウッホウッホ」
     原始人っぽさを出しながら接近すると女の子は目を見開き、
    「ウッホ! ウッホ!」
     シンパシーを感じたのか、ハイテンションになってうほうほし始めた。
    (「よかった、やった甲斐がありました!」)
     ホッとした花梨の後ろで、ふわーっと漂うシャボン玉。
    「うきゃあー!」
     女の子は目を輝かせ、シャボン玉を作りながら玄関へ向かう蔵乃祐の背中を追いかけた。
    「これをこう、バケツの液につけて……」
     蔵乃祐は、輪に曲げたハンガーや穴の開いた金魚すくいのポイを使ったり、吹いたりして、シャボン玉をつくれる事をレクチャー。
    「全部あげる。シャボン液は絶対のんじゃダメ!」
     女の子はこくこく頷いている。いや、絶対話理解してないだろ。とはいえ大いに気にいった様子で、しばらく外で遊んでいてくれるだろう。
    「母親はなかなか出て来ないな。これでどうだ?」
      峰・清香(高校生ファイアブラッド・d01705)は、ビー玉をそっと居間の中に転がした。 
     コロコロコロ……
     ビー玉は、居間で一心不乱に肉塊を貪る母親の目の前に転がって来た。
     それをむんずと掴んで、左手には肉塊を持ったまま、母親はゆっくりドアを開けた。
    (「ああ、やっぱり旨そうだな」)
     その瞬間茨は、塊肉――所謂マンガ肉にくぎ付けになった。
    (「昔アニメで見たことある気がするんだよね。こう、原始人がでかい肉の丸焼きをこんがりと焼いてて、それを小さいオレが美味しそうだなー、と思いながら空腹のお腹をさするんだ」)
     ふと、幼少期の思い出が蘇っていた。
    「あの、良かったらこれ、どうぞ」
     桜井・かごめ(つめたいよる・d12900)は、玄関先で集めてきた貝殻や石を恭しく差し出した。
    「ウホホ?」
     イントネーション的に、くれるの? と言ったようだ。可愛い貝殻に手を伸ばし、代わりに食べかけの肉を差し出してきた。
    「えっ! 物々交換なの!? えっと……け、結構です。あの、しばらく外に居て下さい」
     やはり、言葉は通じない。かごめは必死に身振り手振りで、母親を玄関先へ連れて行く。
    「……奥さんが持ってる丸焼きは一体何の肉なんだろう……」
     じっと肉を見つめる花梨。きっと牛ブロック肉。ローストビーフでも作るつもりで買っておいたのだろうか。
     ともあれ、家族が皆玄関先に出て行った事を確認し、灼滅者達は室内に入った。
     ガチャリ。
     蔵乃祐は玄関の内鍵を閉めて、手際よくサウンドシャッターを展開した。
    「なかなかパワフルな方達だからね、バリケードで塞いどこう」
     雪緒は部屋から拝借した椅子やらなんやらでバリケードを作り終え、スライム骸骨姿に変身してふよふよと居間へ向かった。

    ●暑い! 熱い! バトル!
     居間に一歩足を踏み入れると、炎の熱気が部屋中に充満していた。
     仲間達の後ろから、おずおずと室内に入った花梨は、
    「ひっ……!」
     ギロリと睨みを利かせる竜と目が合ってしまった。
    (「前回の初依頼で相手したイフリートより大きいです。うう、怖いなぁ……」)
     その尖った牙も、炎に包まれた厳つい巨体も、立派な尻尾も、獣のイフリートとは全く異なる姿だ。
    (「本来は獣のイフリートが爬虫類……恐竜……竜か? 他のイフリートとの違いが一般人への影響だけではないだろう……もっと根本的に違うところがあるはず」)
     清香の切なる思い。それは、戦いを通して、少しでもイフリートの情報を得る事だ。
    「よくもまぁこんな……、狭苦しい処に入り込みましたね……」
     リビングとダイニングとキッチンが一体となった広めの部屋なのに、イフリートのデカさと暑苦しさで開放感が台無しだ。
    「住めば都とは言いますけどね……さすがにこれは、あからさまに不自然すぎますよ……」
     天井に頭がつっかえそうになっている。狭い所が好きな奴なのだろうか。
    「じゃ、早速いくよ!」
     かごめはイフリートの目の前に滑り込み、炎を纏った強烈な蹴り技を決めた。
    「自分以外の炎の味はどう?」
    「グアアアア!」
     仰け反って呻き声を上げるが、呼びかけに反応している訳ではなさそうだ。
    「うーん、言葉は通じてないみたい」
    「知性を嫌うとは聞いていたが、これでは情報を聞き出す事は無理か」
     険しい表情をつくる清香の目の前で、イフリートは口から激しい炎の奔流を吐き出した。たちまち前衛陣は火の海に飲み込まれる。
    「すさまじい威力だな……すぐに手当てしよう。『狩ったり狩られたりしようか』」
     スレイヤーカードを解放し、清香はセイクリッドソードを構えた。癒しの効果を持つ風が、仲間の元へそよぐ。
     前衛の回復を待つ間に、敵へ立ち向かったのは蔵乃祐。トカゲのような硬い表皮に鋭い銀爪を突き立て、力任せに引き裂いた。茨の放った大量の手裏剣も、トストストスと突き刺さっていくが、イフリートは顔色一つ変えない。
    「やたら丈夫な皮膚だな」
     知性が低いからと言って侮れる相手では無かった。少しずつダメージを与えて行く他無いだろう。
     相変わらず威圧的な存在感を放つ竜種イフリートの顔面へ、晶は雷迸るアッパーカットを見舞い、志命は慣れた手つきで納刀し、流れるような動作で敵を切り捨てた。
     そんな中、浮遊するスライム骸骨――雪緒の眼孔が突如光り出した。こう見えて彼は今、とても集中している。
     ぐいっと体をもたげて、イフリートは灼滅者達にぐいぐい接近しようとしていたが、
    「鳥海、おねがい!」
     花梨の声に反応して、ライドキャリバーの鳥海は足元を撃ちまくった。
    「私だって、灼滅者になったんだから頑張らなきゃ……! うん、大丈夫!」
     巨大な化け物と対峙して、花梨は恐怖を感じていた。それでも己を奮い立たせ、硝煙がたちこめる敵の懐へ飛び込んで行く。
    「ガァアア……」
     流星の煌めきを纏った飛び蹴りが腹に決まり、竜は苦しげに顔を歪めた。
     ズウウン……と地響きをあげて竜は一歩踏み出し、目の前に立っていたかごめを睨みつけた。
    「うっ……」
     ぞくりと背筋を駆け抜けて行くような殺気を受けながらも、拳にオーラを纏い、勇ましく立ち向かうが……どうしても足が竦んでしまう。
    「厄介な能力だな」
     清香はかごめの元へ、介抱に向かった。その様子をじっと睨みつけているイフリートへ、晶は呼びかけた。
    「私がお相手致しましょう」
     振り向くと目の前が真っ暗になり、慌てふためくイフリート。晶の足元から伸びた影に飲み込まれたのだ。
     やっと解放されたかと思えば、ワルギリアスの霊障波を浴び、茨の炎を纏った蹴りが入った。
    「……まだ物足りないのか?」
     ならばと、志命は破邪の聖剣を抜き、非物質化した剣でイフリートを斬り抜いた。目には見えなまいが、霊魂と霊的防護だけが確実に破壊されていく。
     イフリートはぴたりと動きを止め、表皮を覆う炎が弱まった。何が始まるのかと、灼滅者達が注意深く見守る中、ばさぁっと、背中に炎の翼が顕現したではないか。
     ただでさえ狭苦しい部屋が、より狭く感じられる。
    「くそっ……回復しやがった!」
    「一瞬倒したかと思ったけど、残念。ちゃっちゃと倒しちゃおう!」
     気を取り直して、かごめは勢いをつけてイフリートへ向かった。エアシューズは火花を散らして、敵の尻尾の先から背中へ駆けあがっていく。
    「うりゃあ!」
     後頭部へ、激しい炎を纏った蹴りを炸裂させた。
     さらに槍を構えた花梨が螺穿の捻り突きを穿ち、鳥海のタックルがダメ押しして、イフリートはぐらりとよろけた。
    「ろっくおーん!」
     雪緒のスライム体からにょっと銃口が伸びてきて、激しい銃声と共に火薬の匂いが充満した。いくら丈夫な竜種イフリートとはいえ、ひとたまりもない。
     煙の中を掻い潜って、蔵乃祐は敵の頬を、フォースブレイクで殴りつけた。
    「おっ、効いてる感じ。だいぶ弱って来たんでしょうかね」
     うなだれていたイフリートだったが、再び戦意を取戻し、炎の渦を吹き矢のように吐き出した。それは晶の頭上に襲い掛かったが、
    「任せたよ! 鳥海!」 
     鳥海はギュルルンとエンジン音をうならせて、晶の前に飛び出し、身代りに炎の渦を浴びた。
    「ありがとうございます。さて……」
     晶はイフリートの方へ向き直り、二本の小太刀をスラリと構えた。敵に気づかれるよりも早く、死角へ回り込む。右手の『肉喰』と、左手の『魂結』が振り下ろされて、腱を断ち切った。
     もう息絶え絶えのイフリート。足を引きずりながらも戦意は失っていない様だが、雪緒のスライム体からにゅるりと伸びた影が、竜の体をがんじがらめに縛りつけた。
    「そんなに暴れないで、大人しくしてようよ」
     口調は軽いが、暴れもがくイフリートを必死に押さえつける雪緒。
     とどめを刺す、絶好のチャンスだ。
    「行こうか、ワルギリアス。反文明のイフリートとか見てる分には楽しいんだけど」
     ワルギリアスがひらりと敵へ接近し霊劇を放つ傍ら、茨は手元に魔法を詠唱圧縮させてく。
    「知的文明もそんなに悪いものじゃ、ないよ……っと!」
     射ち放たれた魔法の矢は額にずぶりと突き刺さった。
    「ガアアァ!!」
     絞り出すような呻き声を上げ、竜種イフリートは失神してしまった。
     体を覆っていた炎が一層激しく燃え上がり、己自身を焼き尽くしていく。
    「流石にこの子と分かり合うのは……無理だよなぁ」
     消滅して行く様を眺めながら、苦笑する茨だった。
    「竜種イフリート……知性を嫌うあまり一般人を原始人化させたのか。こんな事を考えるイフリートがいたとはな」
     獣イフリートとは姿形も違えば、目的も違う竜種イフリート。新たな種の登場は、清香のイフリートの知識に、新たな一ページを加えたのではないだろうか。

    ●そして家族は、正気に戻りーー
     部屋の中は散らかり放題の荒れ放題。家族が暴れまわったあげく、ここで戦いがあった事を如実に物語っている。
    「これは……やりがいがありそうですね」
     晶は腕まくりして、早速片づけに取り掛かった。
     家族はどうなっているだろうかと、バリケードを解いて玄関を開けると、相変わらず好き放題に暴れていた。体に巻きつけたカーテンやタオルケットはボロボロに、体も薄汚れている。
    「正気に戻った時に可哀想だからな……」
     志命は家族の一人一人にクリーニングを施してあげた。
     イフリートが消滅した事で、室温が徐々に下がりつつある。それに伴い家族も正気に戻っていった。
    「なんかすごい音が聞こえて……ガス爆発か何かですか?」
    「あなた達は?」
     母親は状況が解らず、きょとんとしている。
    「通りすがりに騒音聞いてきました」
    「事故ですか? 部屋の中が酷いことになってますけど……救急車呼びます? 警察に通報した方が良いです?」
     プラチナチケットを使って近隣住民を装うかごめに、人間形態に戻った雪緒。蔵乃祐も心配そうに声を掛ける。
    「何があったのか全然思い出せないわ……きゃっ、私どうしてこんな格好してるの!? 」
     カーテンを巻きつけただけの格好だから無理もない。
    「俺も変な格好をしているぞ!? いや、お恥ずかしい」
     父親も慌てて、変な汗をかいている。
    「ショックで混乱されてるんですね、事故にはよくあるみたい」
     おかしな状況だが、事故が起こったのだと両親は納得しかけている。
    「怪我はないですか、ありませんね。最近暑いですか色々気を付けてくださいね」
     笑顔で微妙にゴリ押しする雪緒。色々不審に思われる前に、さっさと帰ってしまおう。
    「よかったらこれ、どうぞ」
     花梨は、子供達に塩飴を手渡した。暴れて疲れただろうし、イフリートが居なくとも暑い季節なのを気遣って。
    「飴だ! ありがとう!」
     ぴょんぴょん飛び跳ねる子供達。原始人化していなくても元気いっぱいだ。
    「ストレス溜まってるなら皆でどこか遊びに行けば」
     去り際にひらひら手を振る茨。
     家族にとっておかしな休日になってしまったが、願わくば、今からでも一家団欒のひと時を過ごして欲しいものである。

    作者:koguma 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年8月9日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 0
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