臨海学校2014~海に叫びし最後の一つ

    作者:幾夜緋琉

    ●臨海学校2014~海に叫びし最後の一つ
     北海道は興部町……その海岸線に立つ男。
     彼の背中から漂う覇気は……威圧の力。
     そんな力を伴う男の腕、足はまるで丸太の様に太く、筋骨隆々というのが一番しっくりくる姿。
     ……そして、その背中に、黒塗りのバンから降りてくる男。
     そっと手を指し示す……其処には、臨海学校に来たと思しき、わいわいきゃいきゃいしている学生達の姿。
    『あいつらが……俺の対戦相手か』
     呟いた一言に、こくりと頷くバンの男。
     そして彼は腕を組み、ぽきり、と音を鳴らして。
    「……あの騒ぎは何だ? ……余裕のつもりか? ……ならば、叩きつぶしてやる」
     並々ならぬ覇気を纏い、そして……彼は、海岸で騒ぐ者達へ向かうのであった。
     
    「皆さん、今年の修学旅行ですが……急遽ではありますが、北海道は興部町で行う事になったそうです」
     五十嵐・姫子は、集まった灼滅者達を眺めると、唐突に話始める臨海学校。
     ……いや、武蔵坂学園の臨海学校と言えば……顔を曇らせる学生達もちらほらと。それに姫子はああ……と苦笑して。
    「皆さん……もう判っていらっしゃる様ですね……そう、今回突然決まったのには理由があるんです。 武神大戦天覧儀が、遂に次の段階に進もうとしている様なのです」
    「それを予測している人も多く居ましたが……天覧儀を勝ち抜く最後の座を賭けたバトルロイヤルが、業大老が沈むオホーツク海の沿岸の海岸にて行われるようです」
    「そして、日本各地から天覧儀を勝ち抜いた猛者が、北海道は興部町の海岸に集まろうとしています。なので皆さんには、興部町の海水浴場、沙留海水浴場周辺でキャンプを行い、やってくるダークネスを迎え撃って欲しいのです」
    「敵がいつ来るかは判りません……ですが、海岸で騒いでいれば、向こうの方から襲撃してくる事になると思います。つまり、臨海学校を楽しみつつ、警戒も怠らない様にして欲しいのです」
    「勿論、大集団となると怪しまれるかも知れません。なので、少人数に別れてキャンプを行うことで、ダークネスには警戒させる事無く戦闘を仕掛けさせることが出来ると思います」
    「勿論、敵は強敵です。ただ、トドメを刺した灼滅者が闇墜ちする……という事は無い様なので、その点は安心して下さい」
    「また、この臨海学校で敵を待ち受けるのとは別に、戦闘支援するチームも今回は編成されます。戦闘開始後、ある程度持ちこたえれば、支援チームが駆けつけてくれる筈です。そうすれば、今回のダークネス……恐らく、裏方・クロエ(ディオムニブスドゥビタンドム・d02109)の言う、レスラーのアンブレイカブルの様です。ダークネスの力を乗せた、プロレス技を次々と仕掛けてくる事と思いますので、注意して下さいね」
     そして姫子は。
    「なんだか毎年……という気持ちがあるかもしれませんが……天覧儀をこのまま進ませる訳にもいきません。しっかりとダークネスを倒しつつ、出来る限り臨海学校も楽しんで貰えれば……と思います」
     と、皆を送り出すのであった。


    参加者
    護宮・マッキ(輝速・d00180)
    新城・七葉(蒼弦の巫舞・d01835)
    裏方・クロエ(こくてつ博士・d02109)
    フィズィ・デュール(麺道四段・d02661)
    久条・統弥(槍天鬼牙・d20758)
    二重・牡丹(ぼたもち・d25269)
    アリス・ハイリヒカイト(小学生神薙使い・d28023)
    阿礼谷・千波(一殺多生・d28212)

    ■リプレイ

    ●夏の声
     姫子に話を聞いた灼滅者達。
     北海道は興部町に次々現れるという、多数のアンブレイカブル。
    「うむ? しかしのぅ……これは毎年恒例なのかえ?」
    「そうね……これこそが、武蔵坂学園の臨海学校だね……」
     アリス・ハイリヒカイト(小学生神薙使い・d28023)に、新城・七葉(蒼弦の巫舞・d01835)がこくこく、と頷く。
     単純な討伐依頼、という訳ではない。
     そんなアンブレイカブル達を討伐しようと、武蔵坂学園はこの地で臨海学校をする事となった訳である。
    「まぁ、普通は臨海学校を普通に楽しみたいと、誰でも思うよなぁ……だからってほっておくわけにはいかないし、被害を出すわけにもいかないしな」
    「はいなー。さてさて第三ラウンド、ってとこですかねー。ま、がんばりますかー」
     久条・統弥(槍天鬼牙・d20758)とフィズィ・デュール(麺道四段・d02661)が言うと、七葉、二重・牡丹(ぼたもち・d25269)、そして裏方・クロエ(こくてつ博士・d02109)
    「ええ……襲撃以外の所はめいっぱい遊んじゃおっかな?」
    「そうですたい。敵が来るまでに楽しんでおかんとねー」
    「ええ。しっかりと遊びますですよー。ああ、もっちー君」
    『ナノ?』
    「もっちー君は、ちょっと隠れておいて下さいですよ」
    『ナノー?』
    「いや、別にボールとか西瓜とかと間違えて叩くかも知れないから……な訳ではなく、少しでも普通っぽく見せるためなのだぜ?」
    『ナノナノー』
     最後はじとーっ、と見つめるナノナノのもっちー君。でも、おとなしく身を隠すと、護宮・マッキ(輝速・d00180)、阿礼谷・千波(一殺多生・d28212)も。
    「まぁプロレス野郎という事で、ちゃんと観客に見せられるような戦い方をしてくれるんだろうか? ま、僕たちは関係なく、ぶっ飛ばすだけだけどね!」
    「そうだねぇ……しかし夏に来る北海道は最高よねぇ……お土産は何にしようかな」
    「確かに。何だっけな、この辺りの名物……」
    「マキマキさん、知らないのです? ここの名物って、乳製品らしいですよ?」
    「へー、そうなんだ。乳製品……チーズとか牛乳とかかな? 面白そうだね」
     マッキに笑うクロエ。そして統弥が。
    「ま、何にせよ臨海学校を始めるとしようか。と言う訳で何する? 西瓜割りとか、砂の城を作ったり……ああ、食べ物もいいよね?」
     と提案すると、マッキ、七葉、フィズィが。
    「そうだね。せっかく海に来たんだし、みんなで磯焼きとかいいかも! エビとかウニとかさ。北海道だし、海産物もいいでしょ?」
    「そうだね……でもバーベキューをするなら、焼きそばとか、焼きトウモロコシとかの定番アイテムもいいかも……」
    「はいなー。それでは特製焼きそば作るですよー。クラブからたーくさん中華食材を持ってきたから、たっぷり作って食べるですよー♪」
     と、海岸にバーベキューテーブルを出して、セッティング。
     炭を入れて、火種をつけて……炎が立てば、暖まるのを待つ……そして暖まれば、上にエビ、イカ、うに、さざえにトウモロコシなどを置いて、まずは磯焼き開始。
     もう一つのバーベキューテーブルでは、鉄板を敷いて、油を引いて……焼きそばを。
     フィズィの持ってきたクラブの中華食材を豪勢にバーンと入れて、豪華な中華焼きそばを作る。
     ……バーベキューテーブルを囲みながら、美味しく食事する。
     そして食事が終わったら、やっぱり食べたくなるのはデザート。
    「ふふふ……やっぱり海と言えば西瓜割り! スイカ、持ってきたぜー♪」
     統弥が2個のスイカを持ってきてくる。
     そのスイカを一つ、ブルーシートの上に置いたら。
    「西瓜割りですねー。面白そうです。そうそう、精一杯遊ぶのも灼滅者の役目ですし、皆さんーがんばろうぜー」
     クロエの言葉に頷き、そして西瓜割りを楽しむ。
     そして西瓜割りを楽しんだ後は……今度は砂浜で砂の城作り。
     それぞれが砂の城を全力で作るのだが……。
    「……これ、何なのです?」
    「う……やっぱり、苦手だな……」
     クロエが統弥の作った砂の城を見て……統弥は頭を抱えてため息。
     砂の城だけど、何なのかがちょっとよく分からない砂の城だったりして……まぁ、誰にも得意・不得意はある訳で。
     ……何にせよ、海岸線での臨海学校の一時を暫し楽しみつつ、時は過ぎていくのであった。

    ●叫びし者の来訪
     そして……空が次第に夕焼け空になりつつある頃。
     キャンプファイヤーの炎が上がり、薄暗闇が視界を朱に染め始める頃。
    「……うーん、中々来ないね。マキマキー、花火持ってきた?」
    「ああ、ちゃーんと一杯持ってきたぜ!」
     クロエににやりと笑みを浮かべ、花火を取り出し並べるマッキ……それにアリスが。
    「むぅ……これはなんじゃ?」
    「ん……アリスさんは、これ知らないのかな?」
    「うむ。知らぬのじゃ」
     七葉はアリスにくすりと笑うと、マッキから花火を一つ取り出して……先端に火を付ける。
     パチパチっ、と火花が散って……そのまま、火柱が吹き出す。
    「ほう……ほう、ほう! これはすごいの!!」
     興奮気味に言葉を紡ぐアリス……そして他の仲間達も、線香花火、打ち上げ花火と等を打ち上げようと……した、その時。
    『……さぁて、始めさせて貰うか!』
     遠くからの声……筋骨隆々の男が、灼滅者達の所へと近づいてくる。
    「……ん?」
     その接近に気づいた統弥、それに。
    『お前等が、俺の対戦相手……さぁ、戦おうぜぇ?』
     アンブレイカブルは、ニヤリと笑い、拳を握りしめる。
     その腕は、かなりの盛り上がり……強力な敵であるのは、間違いないだろう。
    「戦う? ……あの時のプロレスラーアンブレイカブルだね?」
    『ん……なんだ? ああ……あの時のか。ちょうどいいじゃないか。さぁ、お前達を殺して、力を見せつけてやろうじゃないか!』
    「……なんだか、力を見せつけないといけない理由でもあるのかな?」
    「まぁ……ひたすらに強さを求める思想は嫌いじゃないんだけどね」
     クロエと千波の言葉、でも、それにフィズィが。
    「はいな。でも、ここで戦うのですかねー?」
    『どうした? 怖じ気づいたのか?』
    「そうではないですねー。ここ、砂浜ですし、ここで戦うのは、おすすめしませんですよー」
    「そうだね。ここは全力が、お互い出せないと思うよ? それでもいいの?」
     フィズィと七葉に、ほんの僅か考えた後、アンブレイカブルは。
    『確かに……そうだな』
    「はいなー。それでは公道まで向かいましょうですねー」
     フィズィの先導の下、公道へ向かった。

     そして……灼滅者達とダークネスは砂浜から公道沿いまで移動。
    「……うん、ここならいいね……」
    「そうだね。それじゃ、試合開始と行きますか」
    「ああ。かかってこいプロレス野郎!」
     マッキに統弥が頷き、そして……。
    「はいなー、そうでございますね。それでは……」
     フィズィが振り返り、すぐに。
    「ワタシも拳法家やってましてね、まぁそれらしくたたかいましょ?」
     と、不意打ち気味のガトリングをぶっ放す。
    『チッ! てめぇ、卑怯だろ!!』
     その攻撃を咄嗟に躱しながら叫ぶアンブレイカブルだが、フィズィは。
    「使えるもん使って何が悪いですか?」
     と言い放つ。そして更に牡丹も、千波も。
    「さぁ、行くばい!」
    「それじゃ全力で死合いましょう!」
     と、連続し、ワイドガードに鏖殺領域の攻撃を叩き込んでいく。
     ……だが、それら攻撃をも、アンブレイカブルは躱す、もしくは受け止める。
     そして、その攻撃をかいくぐりつつ、彼は。
    「ならば、やってやろうじゃねえか……よぉ!』
     と、一気に灼滅者達に接近。目標は、不意打ちしてきたフィズィだが。
    「させないよ!」
     間に割り込むはクロエ……そのまま取っ組み合う。
     クロエは縛霊撃での反撃をしようとするが……アンブレイカブルの勢いは止まらない。
     そのまま、クロエの体を掴みかかり、そして……力一杯に彼女を投げ飛ばす。
     力一杯、彼女の体が地面へたたきつけられる……その衝撃に。
    「か、はっ……!」
     もはや呼吸するのも精一杯……七葉がすぐに。
    「響いて……」
     と、エンジェリックボイスを使用するも、動く事も出来ない……もっちー君も。
    『ナノ、ナノナノー!!』
     と、ひたすら回復するが……動けないのは代わらない。
    「やっぱり、中々強いか……仕方ない!」
     即座にマッキが救援要請の打ち上げ花火を打ち上げる。
    「大丈夫だ、少しの間、耐えるよ!」
     マッキの言葉にみんな頷き、そして、クロエを護るように、牡丹、牡丹のビハインド、菊、千波がディフェンダーにて、仲間を護る体勢へ。
     そして護る中、マッキ、アリスの二人鋼鉄拳、フォースブレイクを放ち、統弥もブラックフォームで攻撃。
     ……そして、第二ターン。
    「それではいきますですよー!」
     フィズィが今度はブレイジングバーストをたたき込み、統弥もDMWセイバーで斬りかかる。
     ……灼滅者達の連続攻撃は、少しずつではあるが、アンブレイカブルの体力を削る。
     が……そうであっても、全然効いている雰囲気ではない。
     むしろ、先手を取られ、不意打ちを取られたという怒りもあってか……その攻撃はかなり熾烈。
     とはいえ、さっきのクロエの状況を見ているからこそ、その攻撃力はかなり危険なものであると認識。
    『さぁ死ねぇえ!!』
     と、またも接近……。
     今度は真っ正面から取っ組みかからないようにしつつ、攻撃を受ける……そして。
    「命の力よ、ここに集え……」
     と、七葉がすぐ集気法で、攻撃を受けた仲間を回復する。
    「っ……これは、中々強敵だね」
    「そうね。ただどうにか救援が来るまで、耐えきらないと……」
     クロエが倒れ、かなり厳しい状況……統弥と牡丹が呟いた瞬間。
    「……今だ!」
     脇から突如仕掛けてきたのは暦。
     ライドキャリバーに牽引されてきた、救援班の暦がバベルブレイカーで特攻。
    『っ……!?』
     不意を打たれたアンブレイカブル……が、その攻撃を、がしっ、と受け止めると。
    『おいよぉ……不意打ちたぁ、ちょっと卑怯なんじゃねぇかぁ!?』
     と、勢いをそのまま反対に返す。
     暦はその反撃をバックステップにて回避、そしてフィズィ達、仲間の陣容に加われば、程なくして他の救援班の仲間達も到着。
    「すまない、待たせた」
    「やっと来てくれたか! 助かる!」
     法権の言葉に、マッキが嬉しそうに声を上げる。だが法権はまっすぐにアンブレイカブルを見つめて。
    「ああ……しかし、中々強力な相手の様だな。不意打ちのバベルブレイカーを、事も無く受け止めるとは……」
    「うむ、そうじゃな……しかし、救援の皆が来てくれたからには、力強いのじゃ!」
    「そうね。さぁ……その護り、撃ち抜かせて貰うわ!」
     法権に頷きながらアリスと千波が動く。
     千波が鋼鉄拳、アリスがフォースブレイクを嗾けて、一気にバッドステータスを蓄積する攻撃開始。
     マッキも地獄投げ、牡丹はスターゲイザー、そして菊も霊撃で次々攻撃する一方、統弥、フィズィも。
    「仲間がいるから、集中して戦えるん!」
    「はいなー。心強い所でございますよー」
     と、トラウナックル、閃光百裂拳を次々叩き込んでいく。
     ……救援班を含めれば、16対1という、圧倒的戦力差。しかしアンブレイカブルは、そんな灼滅者達の数的差をものともせずに、熾烈に反撃……ターゲットは、クロエに続き、ディフェンダーの牡丹へ集中。
    「っ……!」
     どうにかディフェンダーのポジションでのダメージ軽減を試みるが、それをかなり上回るアンブレイカブルの攻撃。
     合わせてもっちー君と、七葉の集気法で多重に回復を試みるものの……ジリジリと体力が削れていく。
    「回復しているだけではジリ貧になります。フィズィ、俺達は攻撃に傾注しましょう」
    「はいな!」
     統弥にフィズィが頷き、クラッシャー二人が連携し、攻撃。
     こちらの体力が尽きるのが先か、アンブレイカブルの体力が尽きるのが先か……綱渡りの戦い。
    「あんた強いな! すごくわくわくするぞ!」
    『ふははは。ああ、俺も愉しいぜ……なぁ!』
     笑いつつも、熾烈な攻撃。
     そしてマッキとアリスのスナイパー陣も抗雷撃、鬼神変でのバッドステータスを重ね叩き込んで息、千波も。
    「どうしたの、隙だらけよ」
     とティアーズリッパー。
     ……そんな、気の抜けない戦いは、数ターン続いていく。
     ダークネスの体力も減少する一方、集中攻撃を受ける牡丹も……。
    「はぁ……はぁ……」
    『はぁ……っ……中々、おもしれえじゃねえか。こんな血湧き肉躍る戦い、久しぶりだぜぇ?』
     ニヤリと笑みを浮かべる彼……。
     勿論、16対1という圧倒的な戦力差は、そう簡単にひっくり返すことはできない。
     とは言え、できる限り、力は振るう……そして。
    『これでもくらえやぁあああ!!』
     渾身の、左ステップに続き、牡丹の脚をがしっ、とつかんで、脳天からのバックドロップの一撃。
    「っ!!」
     牡丹の動きが、鈍る……しかし、バックドロップの一撃は、当然……彼にも大きな隙を作り出す。
    「今ですわよ!」
     華乃がそのチャンスを皆に叫び、指示。その隙に、フィズィが。
    「はいなー!」
     逆にアンブレイカブルをつかんで、そのまま上空へジャンプ……そして、地獄投げ。
     そのまま空高くから、頭を下にしての一撃を叩き込むと……アンブレイカブルは、声にならない断末魔の叫びを上げるのであった。

    ●一抹
    「……終わった? ……終わったのよね? ほ、ほんとに大丈夫なんでしょうね、これ? 闇堕ちしないんでしょうね?」
     不安げに千波が皆を見渡す。
     ……天覧儀では、トドメを刺した者が闇堕ちしていた。
     でも……周り、仲間を見渡す限り、重傷を負った仲間こそはいるが、闇堕ちはしていない様だ。
    「ん……これで、片付いたかな?」
    「そうね……片付いた様ね」
     七葉に千波がこくりと頷く……そしてフィズィが。
    「やー、ぶっ倒しても闇堕ちしないのはいいですねー。出来れば二度としたくはないので」
    「……そういえば、フィズィは昔、天覧儀で闇堕ちしたんだったよな? ……まぁ、無事なのは何よりさ」
    「だね……クロエも、牡丹も一命はとりとめたみたいだし、ね」
    「ええ……辛いですけど、なんとか大丈夫なのですよ」
     マッキに肩を抱えられながら、立ち上がるクロエ、そして牡丹も、七葉に抱えられて、立ち上がる。
    「ともあれ、救援サンキュ。助かったぜ」
    「……いや、問題無い。無事な様で何よりだ……と、俺達は次の救援に向かうので、失礼する」
    「ああ。がんばれよ」
     救援班の法権に、マッキはその肩をぽんっ、と叩き……そして救援班はその場を離脱。
     ……そして残るは、灼滅者達。
    「はぁ……しかし、プロレスて怖かねぇ……」
    「そうだね……出来れば天覧儀の事も、もっと教えて欲しかったけど……ね」
     牡丹に七葉の言葉、そしてそれに千波が。
    「……初めての臨海学校だったけど、このガッコはなかなかハードね」
    「うむ、そうじゃな全く……まぁ、とは言えこんなスリリングな臨海学校を楽しめるのは、他には無いと思うのじゃよ」
    「まぁ……そうね」
     アリスに苦笑する千波。
    「ま、後は救援班が無事に他の仲間達を救ってくれる事を祈るとしようか」
    「はいなー、そうでございますねー。無事でいてくれるといいですねー」
     統弥にフィズィが頷きつつ……灼滅者達は、身を休めるのであった。
     

    作者:幾夜緋琉 重傷:裏方・クロエ(雨晴らす青・d02109) 二重・牡丹(セーブルサイズ・d25269) 
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年8月12日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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