広い世界へと向かうため、蒼の巨人は顕現した

    作者:飛翔優

    ●壊したくはない日常、あるいは枷
     朝起きて、自分と弟達の朝ごはんとお弁当を作成。
     学校から帰ってきた後、炊事洗濯お風呂掃除。休みには家の掃除も行って、余った時間には勉強する。
     中学3年生15歳の少女江藤鈴菜は、共働きの両親が心配しないように弟達の世話を含めた家の仕事を一手に引き受けてきた。辛く無いと言ったら嘘になるけれど、それでも弟達の笑顔を見るたびに吹っ飛んだ。これからも面倒を見続け、やがては地元たる山口県で道を切り開いていくのだと、そう思っていた。
    「……もっと上の学校へ、か」
     一軒家の庭で洗濯物を干すさなか、夏休み前に担任に言われた言葉が心を乱す。
     ――お前の成績なら、もっと上の学校を目指せる。いや、むしろそうしたほうがお前のためになる。一度、両親と相談しなさい。
    「そんな気はなかったんだけど……なぁ」
     確かに、両親が苦しい生活の中で自分のためのお金を溜めておいてくれている事は知っている。しかし、弟達の世話もあるのだから、進学は地元の公立校にしようと思っていた。
     決意していたはずなのに、心乱されるのは何故だろう? 惹かれてしまうのは何故だろう?
     悩みながら次の洗濯物を手に取った時、ふと視線に気がついた。顔を向ければ小学生の弟たち2人がいた。
    「……ん? どうしたの?」
    「ねーちぇんねーちゃん、俺も手伝うよ。やり方教えてー」
    「僕もー」
     鈴菜はしばし首をひねった後、頷いた。
    「分かった、いいよ。それじゃ、こっちにおいで」
    「うん!」
    「わーい!」
     はしゃいだ調子で近づいてくる2人を眺め、鈴菜は優しい笑みを浮かべ――。
    「っ! 危ない!」
     ――片方が石に躓いた。
     即座に鈴菜は踏み込んで、弟を抱きとめていく。が、勢いに負けて物干し台に激突した。
    「あぅ……」
     頭を打ったか、鈴菜は意識を手放し――。

     ――変貌した。
     片や立ったまま、片や振り向いく弟たちが泣きそうな眼で見つめる中。
     腕が、足が、体が頭が、蒼く醜く肥大化した蒼の巨人、デモノイドに。
     デモノイドは白い息を吐きながら、呆然と佇む二人の少年を見下ろして……。

    ●夕暮れ時の教室にて
     集まった灼滅者たちと挨拶を交わした倉科・葉月(高校生エクスブレイン・dn0020)は、真剣な面持ちのまま口を開いた。
    「江藤鈴菜さんという名前の中学3年生女子がデモノイドと化し、殺戮を行ってしまう……そんな事件が発生しようとしています」
     デモノイドとなった彼女は、理性もなく暴れ回り多くの被害を出してしまう。しかし、今ならばデモノイドが事件を起こす直前に現場へと突入することができるのだ。
     また、今回の場合、デモノイドになったばかりの状態ならば、多少の人間の心が残っている可能性がある。人間の心に訴えかける事ができれば、灼滅した後に、デモノイドヒューマンとして助け出すことができるかもしれない。
    「救出できるかどうかは、デモノイドとなった彼女が、どれだけ強く人間に戻りたいと願うかどうかにかかっていまう。そのため、デモノイドとなった後に人を殺してしまった場合、人間に戻りたいという願いが弱くなる可能性が非常に高く……救出は困難になってしまうでしょう。今回の場合は特に、ですが」
     というのも……と、地図を広げながら続けていく。
    「時間帯はお昼前。場所は、住宅地の一角にある一軒家ですね」
     江藤鈴菜はその時間、庭で洗濯物を干している。さなかに2人の弟が手伝うとやって来た。が、その片方が石につまづき転んでしまい、慌てて抱きとめたが勢いを殺しきれず、物干し台に頭を強打。気を失い、デモノイドと化してしまう……というのが当日の流れ。
    「特に……といったのは、何もしなけれれば最初に殺されるのが弟さんになってしまうからですね。ですので、なんとか彼女がデモノイドになった直後に割り込んで、弟達を救出して下さい」
     その上で、戦いに挑むことになる。戦いに勝利した上で、鈴菜に人間の心が、人間に戻りたいという願いが強く残っていた場合、デモノイドヒューマンとして生きることができるようになるのだから。
     敵戦力はデモノイドと化した鈴菜のみ。攻撃面に秀でており、拳で押しつぶし威圧する、掴んで投げる、体中に穴を開け蒼き弾丸を乱射する、と言った行動を取ってくる。
    「以上で説明を終了します」
     地図などを手渡し、葉月は続けていく。
    「進学の時期、鈴菜さんにも色々と悩むことはあったみたいです。ですが、決して破壊衝動に繋がるような悩みではありませんし。ですから……」
     頭を下げ、締めくくる。
    「どうか、全力での救済を。何よりも無事に帰ってきてくださいね? 約束ですよ?」


    参加者
    月詠・千尋(ソウルダイバー・d04249)
    月原・煌介(白砂月炎・d07908)
    蓬栄・智優利(龍に堕ちた天使・d17615)
    藍川・瑠美(青より藍く・d19193)
    白樺・純人(ダートバニッシャー・d23496)
    音森・静瑠(翠音・d23807)
    杠・狐狗狸子(銀の刃の背に乗って・d28066)
    一世・真宵(高校生神薙使い・d28891)

    ■リプレイ

    ●少女の想い、秘められて
     太陽が燦々と輝くお昼前、平和な静寂に包まれていた住宅街。波紋をもたらすかのごとく、蒼の巨人が一軒家の庭先にて立ち上がった。
    「……誰も、悪くないのに。なんで、こんなことになるの……?」
     やりきれない思いを抱きながら、白樺・純人(ダートバニッシャー・d23496)が駆け出していく。
     藍川・瑠美(青より藍く・d19193)もまた、左手薬指にはめた指輪を触り、決意を抱きながら蒼の巨人……デモノイドと化した江藤鈴菜の下へと向かっていく。
     彼女たちがデモノイドと対峙していく中、杠・狐狗狸子(銀の刃の背に乗って・d28066)は月原・煌介(白砂月炎・d07908)と共に戸惑いの視線をデモノイドに向けていた鈴菜の弟たち二人を抱え、かけ抜けた。
    「まいったわね。――心配しないで。どうにかしてみせるから、絶対にね」
     後を追うように弟達を眠らせる風を放った一世・真宵(高校生神薙使い・d28891)は、デモノイドへと向き直り盾に力を込めていく。
     デモノイドを見つめていく。
    「変わった自分を恐れないで。今までとはちょっと違うかもしれない。だけど貴方を受け入れてくれる場所がちゃんとあるから。変わってるけど、みんないい人たちばかりよ」
     静かな声音で呼びかけながら、領域を広げ後衛陣を包み込んだ。
     視線をそらし弟達の方へ向かおうとしたデモノイドを、月詠・千尋(ソウルダイバー・d04249)が槍を棒高跳びの棒のように使って飛び越えた。さなか、腕に鋼糸を巻きつけて、動きの自由を奪っていく。
    「弟達の下へは行かせないッ!」
     強い力で鋼糸を引き、注意を引きつけた。
     邪魔されていると感じたか、逃げられないと感じたか……デモノイドは立ち止まり、千尋へと体を向けていく。
     千尋は瞳を細め、言い放った。
    「その力は必ず制御できる、自分をしっかり保て!」
     返答の代わりに、デモノイドは腕を持ち上げた。
     空いた懐にすかさず純人が飛び込んで、脇腹の辺りに刃を突き立てていく。
    「いっぱい、いっぱい頑張ってきたんだよね」
     想いと共に力を込めて。
    「弟くんたちが可愛くて、仕方がなかったのかな。僕、一人っ子だからちょっと羨ましいよ!」
     言葉と共に切り裂いて。
    「……そんな素敵な日々を、手放しちゃダメ。弟くんたちもね、きっと江藤さんのこと、心配してるよ。少しだけ……少しだけ世界は変わるかもしれないけど、一緒に僕たちと、大事な人たちのところへ、帰ろう……?」
     手首を返し、体を捻り、振り向きざまにもう一斬。
     僅かに動きを鈍らせたデモノイドの眉間に、音森・静瑠(翠音・d23807)が弾丸を撃ちこんでいく。
    「このような事をして申し訳ございません……ですが……貴方の望みはこんな事だったのですか? そうではないでしょう? どうかそうではないと仰って下さい……!」
     返事はない。
     代わりに、デモノイドは立ち止まり、体中に穴を生み出した。
     無数の穴から蒼き弾丸を解き放ち、前衛陣をなぎ払う……!

     玄関へと到達し、煌介は幼い方の弟を抱えたまま箒から飛び降りた。
    「今は、安心して眠っていて。俺達が、救うから」
    「驚かせてごめんね。あなたたちのお姉ちゃんは私たちが助けるから」
     狐狗狸子も静かな言葉を投げかけながら、弟を優しく寝かせていく。安らかに眠る瞳に浮かんでいた涙を拭いながら、煌介と頷き合い外へと飛び出していく。
     戦場へと戻るため。
     少しでも早く、優しいお姉さんを取り戻すために。
    「……家族、か……」
     静かな呟きを、向かい風に紛れさせながら……。

    ●蒼き巨人に導かれ
     時間に直せば数分ほど。手間取ることなく戦場に戻った煌介は、デモノイドを見上げ静かな言葉を投げかけた。
    「頭、痛くない? 大丈夫…?」
     返答はなくても、続けていく。
    「俺達も君と同じ力持つ者で、ある学校に集ってる。一緒に来て欲しい。でないと、君や俺達は、己の大切なモノ全て、壊してしまうんだ」
     鈴菜が戻ってこられるよう。
    「大丈夫、君の今迄と、少し変わっちゃうけど、少し前、学園祭をしたよ、修学旅行も、運動会も……十年孤独だった俺に仲間と未来をくれた、素敵な学校だ」
     居場所はあるのだと伝えるため、選ぶことのできる未来を伝えるため。
    「一緒に行こう、新しい、未来に」
     選ぶ機会を与えるため、踏み込み銀粉散らす炎を纏わせた槍を突き出した。
     脇腹を貫かれ炎上していく光景を横目に、狐狗狸子は横を軽い足取りで駆け抜けていく。
    「――泣いてたわよ、弟くん」
     後方へと到達すると共に爪先立ち。片足を軸に振り返った。
    「あなたは、弟くんたちを守りたかったんでしょう。自分の未来と天秤にかけるくらいに!」
     精一杯の言葉を投げかけながらナイフを振るい、右の踵を切り裂いていく。
    「もう一度、笑顔を見せてあげたいでしょう……!?」
     返事の代わりに、デモノイドは腕を振り上げた。
     千尋が受け止めていく光景を横目に、静瑠は杭を突き出し左わき腹を引き裂いていく。
    「どれほど暴れられても、諦めません。最良の結果に結び付けられるよう、手を伸ばし続けましょう」
    「今は攻撃を続けよう、言葉が届くまで!」
     右脇腹は蓬栄・智優利(龍に堕ちた天使・d17615)の双輪で二度、切り裂いた。
     僅かに姿勢を鈍らせた隙に、千尋は一時飛び退いていく。
     そんな千尋を治療するため、真宵が歌声にやさしい力を込めた。
    「大丈夫、私が支えるわ」
     主に従い、霊犬も千尋の治療を開始する。鈴菜を取り戻すその時まで、戦い続けることができるように……。

     デモノイドの放つ一撃は、酷く思い。防衛役が受け止めてなお、治療がなければ次はないかもしれないと思わせるほどに。
     故に、真宵は歌い続ける。
    「まいったわね。――私は、治療を続けるよ。攻撃をお願いね」
     誰かが倒れることなど内容に。霊犬とともに、ただただ治療し続けた。
     歌声の余波によって痛みが和らいでいくのを感じながら、智優利は正面へと回り込んだ。顔を上げ、デモノイドの瞳を見つめながら飛び上がり、胸元に向かって拳を放つ。
    「暴れちゃダメだよ!! いいたいこと言えない気持ち、頑張って、我慢して、つぶれそうになる瞬間、私、わかる! 凄くわかるけど! でも、ダメだよ!」
     拳より弾けし光の塊が、デモノイドを打ち据えた。
    「それでも言葉にしなきゃ辛くなるんだよ! だってわからないもん! わかるけど、いってくれなきゃわかんないもん!」
     全ては、デモノイドの内側で眠っているだろう鈴菜に届くよう。
    「キミには家族いるじゃん! 手の届く場所に。だから、一緒に考えてもらおうよ! 私だったらそんな我慢続けるの、嬉しくないと思うから、一緒に考えてもらいにいこう? 悩んだなら、ね?」
     十発目を打ち込んだ後、自由落下に任せて着地。
     即座に飛び上がり、双輪握る両手を広げ、回転。
     デモノイドを縦横無尽に切り裂いていく。
     よろめきながらも、デモノイドは彼女に右手を伸ばした。
     阻むため、純人が氷の塊を撃ちだし伸ばした右手を凍てつかせた。
     戸惑ったように手を見つめたデモノイドに……眠る鈴菜に、瑠美もまた語りかけていく。
    「弟さん方は貴女の頑張りを見てきていたから、幼いながらに貴女の力になろうとしてくれているのね」
     さなかには、千尋に優しい光を浴びせて。
    「御家族は自分の枷だと思う? それは違うわ。そうでしょう? 貴女の背を押してくれる追い風だと思うの」
     ただただ、静かな調子で。
    「今、自分自身を明け渡したら、その風を掴めなくなってしまうわ。戻って来て。弟さん方が貴女の力になりたがっているわ」
     鈴菜が戻ってくることができるよう……。
    「……」
     重ね続けた言葉が届いたか、デモノイドが動きを止めていく。
     すかさず瑠美のナノナノ・ナノナノちゃんが千尋にハートを飛ばし、万全の体制を整えた。
     すべての傷が、痛みが消えた状態で、千尋は微笑み糸を放つ。
    「あと少しの辛抱だ……、家族が、皆が待ってる!」
     体中に巻きつけ、締め付け、動くことを禁じていく。
     デモノイドは動けない、身動ぎする様子すらもない。心も体も縛られて、ただただ瞳に宿す光だけを彷徨わせ……。

     真宵と共に、前線を全力で支え続けてきた瑠美。鈴菜のためにも誰一人として倒れさせたりなどしないと誓い、霊犬に光を浴びせていく。
    「大丈夫、この調子なら……」
     従うように、ナノナノちゃんもハートを放った。真宵も同様に言葉を風に載せ、細かな傷を消していく。
     決して倒れぬ万全の体制を整えた上で、狐狗狸子は焔走るナイフを振り上げ跳躍。
    「さ、終わらせましょう。ううん、始めましょう。あなたの未来を」
     左腕へと突き刺して、更に激しく炎上させた。
     ただ一人拒絶するかのごとく、デモノイドが腕が右腕を振り上げる。
     させぬと、静瑠がデモノイドを指輪で示し魔力の弾丸を撃ち出した。
    「その弟さんを救おうとしたその手で今度は人を傷つける、そんな事をして頂きたくないのです。貴方が本当に心で望んでいる事は一体何なのでしょうか?」
     デモノイドの動きを封じるため。
    「自分を抑えすぎないで下さい。貴方の周りには素敵な方々がいらっしゃるでしょう……?」
     想いが、願いが通じたか、デモノイドは右腕を振り上げたまま動きを止めた。
     すかさず智優利が高く、高く飛び上がり、デモノイドの額に彗星の如きキックを突き刺し、飛び越えた。
    「さあさあ、一気に畳み掛けて助けだすよ☆」
    「君は鈴菜だ。それは、変わらない」
     間髪入れずに、煌介が無数の魔力の矢を降り注がせる。
     打ち据え動けぬデモノイドの腹部を、純人の槍が切り裂いた。
    「……さあ、帰ろう」
     デモノイドは仰け反り、咆哮した。
     暴れることはなく光に包まれ、破裂。消え行く蒼の中心で一人の少女が……鈴菜が、膝を抱えて眠っていた。
     灼滅者たちは安堵の息を吐きだして、鈴菜の下に駆け寄っていく。安らかな寝息を、救出できた事を知るために……。

    ●少女は迷い、そして選ぶ
     縁側にて、鈴菜は目覚めた。
     最初に漏れ出たのは弟達の事。
     眠っていると聞かされ安堵の息を吐いた後、生まれたのは戸惑い、未知への恐怖。打ち消すため、灼滅者たちは説明を行った。
     世界のこと、闇のこと、灼滅者のこと、学園のこと……。一つ一つ説明するたびに、鈴菜はなるほど……なんとなく聞いていたかも……と声を漏らす。
     すべてを説明し終えた後、千尋が手を差し伸べた。
    「もしキミが良ければ……だけど、一緒に行かない? 学園に入れば学費を含め手厚い支援が受けられる。勿論、灼滅者としてのハードな役目はあるけど、ボクらと一緒ならきっとやれるさ」
    「……でも、私は」
     鈴菜は目をそらす。
     家の中を見たまま固まった。
     視線を辿れば、気づかぬうちに目覚めた弟達が立っていた。
    「あんたたち、怪我は……」
    「行きなよ、ねーちゃん」
    「え……」
     戸惑う鈴菜に、弟達は辿々しいながらも伝えていく。
     お姉ちゃんがいなくても頑張ると、お兄さんたちと一緒に行った方がいいと。お父さんたちも賛成してくれるはずだから……と。
     鈴菜は瞳に戸惑いの色を浮かべたまま、再び千尋に向き直る。
     手を差し伸べたまま、千尋は優しく微笑んだ。
    「……」
    「……えっと……うん、そうだね。行ってくるよ、ねーちゃん。頑張ってくる。だから……その……よろしく頼むよ」
     迷う様子を見せながらも、鈴菜は差し伸べられた手を力強く握り返した。
     姉が見せた新たな未来への出発を、誰よりも弟達が喜んでいた。
     全ては、灼滅者たちが幸いなる結末を目指したから。導き出すことができたから。
     燦々と輝く太陽の下、一人の少女を、光ある未来へと……。

    作者:飛翔優 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年8月9日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 9/キャラが大事にされていた 0
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