時にはプールでのんびりと

    作者:飛翔優

    ●波に流れるウォータースライダー!!
     夏!
     強い日差しが降り注ぎ、湿気溢れる日本の大気を熱していく。時には熱さで仕事も勉強もままならない日もある季節!
     だからこそ必要となる。冷たい水に満たされし、体を冷やし心を踊らせてくれる、気楽に赴くことができるプールが!

     電車を乗り継いだ果てにたどり着く、野外大型プール施設。燦々と輝く太陽の下、心ゆくまで泳ぐことができる場所!
     波のプール!
     寄せては返す青い小波が優しい音色を響かせて、心にも涼を与えてくれる。波打ち際のプールサイドには椰子の木が立ち並び、南国気分が味わえる。
     流れるプール!
     右へ、左へと揺られながら、ゆるやかな速度で前へ、前へと運んでくれる。流れに身を任せ、ぷかぷかぷかぷか浮かぶ優しく和やかなひとときを。
     競泳プール!
     説明不要! 友人たちと速度を、距離を競い合いたい時、ニュートラルなこの施設がオススメだ。
     ウォータースライダー!
     遥かな上方からの滑り台、滑り台状のものから蛇行するなど複雑な姿をしたものなど種類複数! 登る度、新たな体験があなたに!
     その他、ウォータースライダーに隣接するファミリープール。小腹が空いた人のための食事施設も併設された、まさに水のテーマパーク!
     ひと夏の楽しき思い出を、海では体験できないアトラクションとともに、さあ、水着片手に赴こう!


    ■リプレイ

     灼熱の太陽、紺碧の空、涼に満ちるプールの数々!
     人々が集うこの場所で、新たな思い出が紡がれる!

    ●波
     水着がもっとよく見たかったと言われ、香撫は頬を赤らめた。照れ隠しに泳がないの? と尋ねれば、要心はのんびりできれば良いと返していく。
     二人は波音と喧騒を聴きながら、デッキチェアに腰掛けゆったりとした時間を過ごしていく。

     ロザリーが狭いニホンの広いプールに感動し、にあが礼儀正しく挨拶した後、ギィが言った。
    「まずは皆さんを味合わせて下さいね」
     凛は笑いながら拒否した。
    「人前でそういうのはイケないんだよっ! そういうのは帰ってからたっぷりと、ね?」
     一方、応じようとした睦月を明日等が遮り叱りつける。
    「仲良くするのはいいけれど公序良俗反する行為は禁止なんだからね!」
     結果、健全に波のプールで遊ぶ事となった。
     仲間を見守り泳ぐ明日等。恐る恐る水に慣れていく凛。波に乗れずあたふたし、ちょくちょくギィに抱きついてしまう睦月。楽しげに抱きとめ、囁き心を通わせていくギィ。
     にあは縁に掴まりながらゆっくり歩く。邪魔してくる波に腹を立て押し返そうと試みて、高波に逆襲されていく。
     一方、ロザリーは浮き輪を頼りにぷかぷかと。疲れたら、プールサイドで食事を。その時は、ギィにあーん、でもしてあげようか。

     浮き輪を頼りに浮かぶフィアッセを軽く支え語らう水華。流れてきたビーチボールを拾い上げ、フィアッセに中継を頼み放り投げる。
    「あの二人も、中々楽しんでいるようで何よりだな」
    「っと……はい、いかにも夏、でございますわね……」
    「ありがとうございます……っとと」
     受け取り手たる扶桑は波に脚を取られながらもトスを上げていく。
     想々は冷静にトスを返していく。
    「大丈夫です、焦らず、ゆっくりと……」
    「……?」
     そんな光景を浮き輪に乗り眺めていた天狼は、新たな気配を感じて振り向き絶句。
     レーネが水面に頭を出した状態で浮かんでいた。問われ語り始めた。
    「これは古式泳法という……」
     何かと便利だったとの締めに、天狼は奮起する。
     レーネに、スピードが乗る普通の泳法を教えるのだ!

     クラスメイト初めてのお出かけと、碧はぷかぷか浮かんでいた。
     傍らではメグが、はしゃいだ調子で波を楽しんでいる。
    「うふふ、波が来ると足がつかなくなるわね! 楽しー!」
    「……うん、楽しい」
     静と動が会話する中、泳げぬ愛流は鞠音の指導を受けていた。
    「うぷっ……力を抜いて、息して……」
    「そう、その調子。焦らず、ゆっくりと……」
     真剣な愛流を、鞠音が優しくエスコート。
     一段落ついた頃、仲間内でビーチバレーを行う運びとなった。
     最中はボールを落としたり顔に当てたり。良い所がないけれど、無理に見せる必要はない、お友達なんだからと笑顔ではしゃぐ。
     ビーチバレー前はクラゲの様に漂っていたシンシアも、のんびり楽しみ打ち上げながら一句。
     水くらげ、群れて空の、入道雲。

     秀憲が浮き輪に乗った彼女を押しスピードを競う勝負を提案。
     スタートダッシュを決めたのは大文字。
    「ふふっ、その調子、その調子ですわ」
     花色が落ち着いた調子で応援しつつ、ライバルに水をかけていく。
     マキナは負けじと横線。さなかにもパートナー秀憲は進み、時折ライバルの姿も確認し――。
    「あれ、キョン太郎がシバかれているようにみえる……?」
    「あらほんと。スピードも結構出てるみたい」
     視線の先、夏樹がパレオを鞭替わりにして恭太朗を叩いていた。
    「頑張ってキョタローくん! 痛いのは私も同じよ無理に……」
     ――あ、駒瀬先輩の肩紐が!
    「うおおぉぉぉ……へ?」
     囁きに騙され止まる恭太朗。
     爆走する蓮次たちが追い抜いた。
    「今のうちにスピードアップだ」
    「きゃー! はっやーい! ……あ、ちょっと蓮次さん待って結構……」
     しかし夏蓮の身がもたない。
     連携なくして勝利はない。
     結果、妨害競争のバランスが良かった大文字、花色ペアの勝利。騙され足を止めた恭太郎、真樹が敗北しアイスを奢る事となった。

     少女二人が、波打ち際で水の掛け合い。交わす会話の種は互いの相手に関する事。
     水着は誰に選んでもらった? 樹は拓馬に、彩歌は悠一に。
     樹がちょっと恥ずかしいと告白すれば、彩歌も大胆かな……と頬染める。
     そんな光景を、悠一は荷物を護る傍ら眺めていた。
     家族連れの父親はこんな気分? と思考を巡らせていた時、拓馬が買い出しから戻ってきた。
     拓馬は悠一に袋を半分渡し、手を振っていく。
    「可愛いマイハニー樹ん、あーんどさいにゃん。お昼しよー!」

     シャチのボートに掴まり、漂う千李。ぼんやりとした眼差しを向ける先、劔が波にも負けず泳いでいた。
    「……なんで元気なんだろうなぁ」
    「――!」
     僕の泳ぎは波にも負けないと、元気に力強く猛進する。
     そんな光景を、浮き輪が転覆するままに潜水した空斗が眺めていた。
    「バベルの鎖ってすげーなぁ」
     苦しくとも死なない。そんな感覚を楽しんで……。

    「寝ちゃったら起こしてー」
     波に揺られる感覚が心地よく、浮き輪の上で船を漕ぎ始めた夕眞。寝顔を眺め、藍は眼を細めた。
     偶然か、和柄合わせだった二人の静かな時間。
    「……今日はナンパしなくてよかった」
     心から安らいで……。

    ●競泳用
     ひたすら泳ぎ、タイムを求めていく清香。
     低い背丈と大きな胸が邪魔をするが思いっきり、様々な泳法で猛進する!

     泳げない音愛を、翔は丁寧に指導する。
    「そうそう、上手だよ、音愛」
     厳しくなんてできないから、効率は悪い。
    「はわ? こう?」
     音愛は気にしない、一緒に過ごすのが楽しいから。
     だから今日を頑張って、次の機会に最初から……。

     同じ猫族のロジオンが、ロシアの寒中水泳で……とドヤ顔で泳ぎを披露。花恋は驚き慌てて後を追い、水に足を取られ溺れてしまう。
    「あばばばばば」
    「佐渡さんは……おや……!?」
     急いでロジオンが救出し、泳ぎを教える運びとなった。

    ●食事処
     泳ぎ飽きた三月が迷子に声をかけ、親を探しながら職員へと誘導した。
     感謝の笑顔が正義のヒーローへの報酬である。

     大きなグラスに注がれたトロピカルジュース。カップル用ストローに口をつけ、微笑み合う茜と雪花。
     楽しげな会話を交わし喉を潤していくうちに、雪花が茜を抱き寄せた。
     応じたか、茜が瞳を瞑っていく。
     ひと夏の想いを、唇に……。

    ●ウォータースライダー
     初挑戦のヘルマイは複雑なコースを選択。
     速度や蛇行などを楽しむ姿を眺め、知信はスピードコースに挑戦。風を想定以上の速度を感じている内にゴール。
     合流したヘルマイが心からの笑顔と共に、もう一度。
     二人は再び挑戦する……!

     スタート地点。
     戒士が抱きしめ、桃子に囁く。
     褒め言葉が恥ずかしいと身動ぎする桃子を感じながら、戒士は心の中で紳士的になれと唱えていく。
     滑る前も、途中も、後も、胸のドキドキは変わらない。大切な人と一緒にいるから……。

     持たざる者の特権。
     樹咲楽はうつ伏せのまま、ロボットが発進するかの如くスタート。
     綾も倣いスタートすれば、急カーブに一回転、振り回され楽しんでいる内に着水。
     笑いあいながら、別のコースも楽しもうと登り始めていく……。

     桃夜に導かれて来たクリス。二人用の浮き輪の前に腰掛け密着されながら……。
    「GO!」
     号令と共に飛び出して、滝を下ったりトンネルくぐったり。
     着水後、面白いでしょ? と笑う桃夜。
     もう一回。それが、面白かった証である。

     悲鳴も出ない行程をこなし、着水した晃平。吹っ飛んだ眼鏡を探していく様を、続いてゴールしたしづこが発見。
     滑るスリルで箍が外れていたか大爆笑。縁に体を預け、肩を震わせていく。
     最後に滑り落ちた壱はまず、涙を拭った。その上で眼鏡を探す相棒を、爆笑するお姫様を発見。
     気が抜けて、声を上げて笑い出す。楽しい時間を過ごしていく……。

     一度はやってみたかったから心から楽しみ着水。
     気づけば紐が外れていた。が、胸は隠せど弾んだ調子で直していく。

     道家に唆されるまま、滑り落ちた藍花。強がりを言いかけて、胸元が涼しい事に気がついた。
    「って、見ちゃダメですー」
     道家は微笑みながらも近づいて、藍花を正面から抱きしめた。
     周囲から見られず水着を探すことができるように。

     二人で乗ればスピード出る?
     是との結論を体感し、歩と朔和は楽しげな悲鳴を上げていく。
     風を感じなくなった直後に着水し、顔を見合わせ笑い始めた。
     楽しげに、朔和がねだるもう一回と。
     歩が快く受け入れた時、一緒に来ていた耕平と朔羅もゴールした。
    「ぷはー……勢いつきすぎたやって」
    「面白いっすねー! もう一回行きたいっす。ところで……」
     水着の上知らん? と朔羅が隠さず言った時、耕平は真っ赤になる。腕に絡まる布にも気が付き、更に混乱して……。
     一方、楽しげな仲間に惹かれたマッキと優希那は上にいた。
     思ったよりも高いと足を竦ませた優希那を、マッキが支えていく。
     密着する体を意識しながら滑りだす。
     わたわたしてても、風は心地よい。着水と共に浮かぶ表情は、きっと。

     怖がる桐香に抱きつかれ着水したいちご。大丈夫? と振り向いた時、布を失いし膨らみが輝いた。
     固まるいちごを前に事態を悟り、桐香は真っ赤になりながら潜っていく。
     布はいちごの手の中に。
     気まずい、甘酸っぱい時間が訪れる。

    「やっぱりスライダーはプールの醍醐味だよねー♪」
     速攻で登り、滑り始めていく信哉。
     着水時に端の方まで跳んでいく様を眺めながら、天摩はスタートにてバスローブを脱ぎ捨てた。
     即座に滑り始めていく自粛中スク水を纏う天摩を見送りながら、紗夜はユークレースに告げていく。
     ぼんやりしていたらあっという間に時間切れ。だからお先に!
     ユークレースは怖くないと言いつつも追いかけられず。
    「ひゃあああああぁー!?」
     背中を押されて無理やりスタート。
     犯人たる日照は、悠々たる調子で滑り出す。
     ゴール後エリカと遭遇した。
     エリカは背を向け、水着を隠し潜っていく。後を追いかけてくる気配を感じ、口元を持ち上げていく。
     最中、莉那がウォーターガン片手に動き出した。
     手始めに泳いでいたレイチェルを狙撃した。
    「くらえっ、ウォーターブラスター!」
    「わ~!! やめてくれ若紫さん!?」
     レイチェルは楽しげに距離を取り、莉那を観察し始める。
     続いて襲われた翔は改造水鉄砲を取り出した。
    「ぷはっ……撃ったな、なら俺の改造水鉄砲をくらえっ!」
    「わっ」
     流れ弾が焔迅に直撃。
     焔迅は笑いながら、楽しげにウォーターガンでの反撃を開始。皆を楽しげに眺めていた彩華を巻き込んだ。
    「ふわぁ!? いきなり後ろから攻撃なんて酷いよ!?」
     少女の様に怒りながらも、口元は楽しげに笑っている。
     そんな中、プールに漂いながら皆を観察している内に眠ってしまっていた菜々乃が目覚めた。
     眼をこすり、お腹に手を当て提案する。そろそろ食事にでも、シェアしながら食べ合いましょう、と。

    ●ファミリー
     初めて合う相手が多く、緊張していた葎。挨拶をしようとした時、後ろから襲われた。
     犯人りんごは揉みながら、来てくれて嬉しいと、今日は楽しもうと、緊張が解れるようにと伝えていく。
     確かに解れたと葎は礼を延べ、改めて自己紹介。
     挨拶を交わした後、タシュラフェルはスキンシップをして回っていく。時に激しく、こぼれ落ちることも気にせずに。
     一方、由希奈はりんごと共に水をかけて回っていた。
    「油断大敵だよ、それっ」
    「きゃっ……由希奈にアンブッシュされた!?」
     麻美が負けないぞと反撃していく中、浮き輪でのんびりしていた澪がりんごの襲撃を受けた。
     反撃だと動いた時、浮き輪がひっくり返り水中へ。
    「……ぶくぶく」
     折角だからと水中から参戦していく。
     しばしの時を経て彼女たちが落ち着いた頃、のんびりとした競争を行っていたソフィアと悠花が水に浮かび休憩していた。
     ソフィアがりんごに襲われた。
     悠花がずるいと乗っかった!
     瞬く間に乱れていくソフィアを横目に、浮き輪に寝そべりぷかぷか浮かぶ奏は水鉄砲でタシュラフェルを迎撃。
     それでなお禁断の扉を開けるべきだったか? と彼女が悩む中、真名巳がりんごからの誘いを受けていた。
     戸惑っている内に引っ張られ、身を委ねることに決めていく。
     お天道様が見守る場所で……。

     ――全ては、ナンパという単語から始まった。
     やってみれば、と登は問いかけた。
     無邪気な後輩たちのため、流希は煽てられながらも立ち上がった。
     登が凄いなぁ、と感心し、清美が冷たい視線を向ける中、流希は自分の行為を恥じたか誤魔化すように泳ぎ始めていく。
     心配気な眼差しを送っていた良太は安堵の息を吐きだして、僕も泳ぐと向かって行った。
     一方、遥香は代わりに逆ナンしに行くと奮起。清美がその格好(もぐらに似た布地大量の水着)で? と止めるのも聞かずに小学生男子の群れへと突入した。
     結果、蹴り落とされ溺れる事となり、登らが救出に向かっていく……。

    ●流れるプール
     浮き輪に乗り、悠花は浮かぶ。ぷかぷか何も考えず、ただただ水の流れるまま。
     明日の日焼けすらも気にしない。

     格差社会と嘆くピアノは葉月と共に、ゆっくりゆったり流される。
     海とプールどっち派かとも問いかけた。
    「両方好きですよー」
    「あ、私も! 同じだね♪」
     微笑み合い語らい合い時を過ごす。スライダーへも想いをはせながら……。

     浪漫だと、隆生と千総は逆走していた。
     半ばで隆生が力尽きた。
    「お、俺は先に行くから……お前は立派に……っ」
    「分かった、待っててや隆ちゃん!」
     途切れた後半部分も胸に、千総は泳ぐ。監視員に叱られ叶わぬのだけれども……。

     浮き輪に掴まり、ぷかぷか流され恋を語らう女子三人。
     紗里亜は語る、普通だと。デートなどする位で基本何もないと。
     銀河は? と問われ銀河は赤面。普通の付き合いとしどろもどろ。慌てて真夜へと水を向けた。
     真夜は恋人いないから何もない。ところで普通の恋人って何をやるのかと問い返した。
     二人の顔は真っ赤っ赤。何を思い浮かべたのだろう?

    「ほらこうすればもちっと早いよ」
     浮き輪を装着した千波耶はチハヤ号と、鈴は掴まり語らいながらぶつからないように漂流する。
     一周後には立場を入れ替え、千波耶はリン号を混み合わない方へと向け始めた。
    「心地よく揺蕩いなさーい」

     月子が寝そべるボートをドキドキしながら舵取りし、湊は問う。次はどこに?
     海がいい、二人っきりでイチャイチャしたい。
     ならば休みを利用し……と考え始めた湊の顔に、月子は頬染め触れていく。
     見つめ合い、心を通わせて……。

     夏は終わらない。
     プールで過ごす時間を終えても、新たなイベントがやって来る。かけがえのない思い出を刻んで行くのだから。

    作者:飛翔優 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年8月14日
    難度:簡単
    参加:106人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 7
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