「貴方は悪くないわ。甘言でその気にさせ、お金を貸すほうが悪いの。勿論、借りたお金は返さなくても良いのよ。無理な取立てには、力で対抗すればいいわ」
「ああ……! 銀山吹(ぎんやまぶき)様、本当ですか?! 良かった。どこに相談に行っても、お金は返したほうがいいと言われるばかりで……っ」
相談者の男性は、銀山吹と呼ばれた女性の手を取った。
この男、金を借りて好きなものを買ったは良いけれど、給料が入っても金を返したくないと相談に訪れたのだ。
「大丈夫よ。貴方のお仲間も沢山居るの。債権者を、みんなでやっつけましょう? ただし、貴方も他の相談者の取立人をやっつけるのを手伝って?」
「は、はい……! それはもう、僕でよければいくらでも!!」
相談者は銀山吹に何度も頭を下げ、笑顔で退出していった。
●ザ・ワンド
「くすくすくす。借りた金は絶対返さない、か。随分面白い企みじゃないか」
「ワンド様。いらっしゃいませ」
夕日のさす部屋に、全身黒ずくめ、顔を仮面で隠した男が現れた。ソロモンの悪魔、ザ・ワンドである。
「けど……、そうだなぁ。借金の取立人を攻撃するだけじゃあ、あんまり面白くない印象だな」
首を傾げるワンドに、銀山吹が目を伏せる。
「やはりそうですわね。もう一押し、何か策があれば良いと思っておりましたの。ワンド様、どうぞこの銀山吹にお知恵をお貸しください」
「あっはっは。貸し借りの怖さを知っている君が、そう言うのなら」
ワンドはおかしそうに笑うと、1つ提案をした。
「借金を抱える相談者のうち、1人だけ借金を綺麗さっぱり無くしてあげると言うのはどうだろう?」
くすくすくす。
ワンドは楽しげに笑い続けた。
●依頼
「ザ・ワンドの動向が分かったんだよ。ギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)さんが懸念した通り、借金に困った人達を強化一般人にしようとしているんだ」
千歳緑・太郎(中学生エクスブレイン・dn0146)がくまのぬいぐるみを抱え、話し始めた。
強化一般人候補は、借金返済を渋っている一般人だということ。彼らの相談に乗っているのが、ザ・ワンドの配下であり、幹部クラスの強化一般人、銀山吹だということが説明された。
「銀山吹は『借金救済の救いの手綱』と言う会を主催して、洋館を借り上げているんだ。そこに一般人が集められるんだよ。そして、互いに戦い、勝ち残った1人だけ、銀山吹が代わりに借金を返済すると言うんだ」
それぞれの借金返済額はたいした事が無い。ただ、借りたお金を返したくないと言う者たちの集まりなのだ。その上、戦って勝てればラッキーと考えている節もある。その先に、自分がどうなるのか、勝てば強化一般人に負ければ死などと、深く考える者は居ないということだ。
「ここから、良く聞いてみんなで考えて欲しいんだけど」
太郎は表情を引き締め、皆を見た。
「洋館には、ザ・ワンドも居るよ。借金返済バトル参加者とは違う部屋にね。もし、もし一般人達が戦うのを無視して、ワンドの部屋に急ぐのなら、ワンドと戦えるよ」
この場合、一般人たちの戦いの熱気に紛れ、奇襲することが出来る。最初の一撃を叩き込むことが出来るのだ。
勿論、その後の戦いは至難。
戦っている一般人は互いに傷つけ合い、あるいは命を落とす者も居るだろう。
「一般人たちの戦いに介入するなら、その気配を察したワンドは逃げていくよ。その場合、銀山吹と一般人たちを相手にすることになるんだ」
もしまだザ・ワンドの情報が足りないと感じた場合には、無理をせず銀山吹を相手にするほうが良いだろう。
「どちらを選ぶのかは、みんなに任せるよ。十分話し合ってね。どうか、気をつけて」
太郎は皆を見て、ぺこりと頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
ギィ・ラフィット(カラブラン・d01039) |
一之瀬・祇鶴(リードオアダイ・d02609) |
識守・理央(メイガスブラッド・d04029) |
風見・孤影(夜霧に溶けし虚影・d04902) |
清浄院・謳歌(アストライア・d07892) |
銃沢・翼冷(ワァルドオヴアンダァソウル・d10746) |
ジリアス・レスアート(水底の薄氷・d21597) |
シュクレーム・エルテール(スケープゴート・d21624) |
●
屋敷内では一般人達の戦いが始まっていた。怒号と殴り合う音を遠くに聞きながら、灼滅者達はその扉の前に立った。
先陣を切って突入したのはシュクレーム・エルテール(スケープゴート・d21624)だ。
扉を開け、一気に部屋へ踏み込む。
目の端に黒のマントが見えた。
相手の反応を待たず、黒死斬を叩き込む。
「窓の数が、多いのであるな」
ざっと部屋を見回し、扉や窓を確認した。入り口以外に扉は無い。しかし大きな窓が3つもある。敵と窓の位置を慎重に考えながら、立ち位置を取った。
続けて風見・孤影(夜霧に溶けし虚影・d04902)と識守・理央(メイガスブラッド・d04029)が飛び込んできた。
「ようこそ私の領域へ! 殺人鬼の恐怖、たっぷり味わせてやる」
孤影のどす黒い殺気が敵を包み込む。
(「そう、助けられる一般人を見捨てた」)
よろめいて首を振る相手を見ながら、静かに孤影は決意を固めた。
(「だからこそ、全力を振ってザ・ワンドを倒さなければいけない」)
エアシューズを煌かせ、理央が跳躍する。
仮面の男は、あの時見た姿そのままだった。
鶴見岳の戦いで灼滅していたならば、今日この日はなかったはずだ。
理央は自分の思いを乗せて、敵を蹴り上げた。
(「この犠牲は僕の責任だ。だから、何があろうと……奴は、殺す」)
輝くような飛び蹴りが、敵を吹き飛ばす。
黒の衣装を纏った姿を追い続けていたギィ・ラフィット(カラブラン・d01039)も、完全な灼滅を誓い走り込んで来た。
「因縁とも言えない悪縁っすけど、ここで終わらせる」
力いっぱい、戦艦斬りを叩きつける。
続けて、清浄院・謳歌(アストライア・d07892)と銃沢・翼冷(ワァルドオヴアンダァソウル・d10746)が並んで部屋へ飛び込んできた。
これ以上ザ・ワンドの犠牲になる人が出ないように、今やれることを全力で。
謳歌がシールドで敵を殴りつけ、翼冷は螺穿槍を繰り出す。
2人は仲間の位置を確認し、敵を逃がさぬような場所に立った。
「逃げさせやしないよ。俺にだって譲れないものぐらいはあるんだ」
「あなたの思い通りにはさせないっ!」
翼冷、謳歌の言葉に、敵が顔を上げた。
最後に、一之瀬・祇鶴(リードオアダイ・d02609)とジリアス・レスアート(水底の薄氷・d21597)が部屋へ身体を滑り込ませる。
「その仮面の下には一体どんな卑しい顔があるのでしょうね。割って見てみようかしら」
祇鶴がシールドで殴りつけ、続けてジリアスが影を伸ばした。
仲間のESPが、戦場の音を遮断している。
同じ屋敷に居ても、この戦いの音は聞こえていないはずだ。
ジリアスの影が敵を飲み込んだ。
同時に、入り口の扉を閉め内鍵をかける。
引き際を見極められる、そして隙を突くのが上手いソロモンの悪魔は厄介だ。だからこそ、彼等と戦う時は、何があっても絶対に灼滅すると決めている。
「だから今回も……、例え一般人1000人の命を人質に取られても、僕はその1000の命を見捨てて、お前を倒すよ」
ジリアスが言うと、今まで沈黙していた敵が笑い声を漏らした。
「くすくすくす。ああ、そうか。もしかしてキミ達、僕と戦いに来たの?」
黒いマントが揺れ、敵が身を起こす。
杖にはめ込まれた宝玉が妖しく輝いた。まさしくその姿はソロモンの悪魔、ザ・ワンド。
奇襲は成功し、先制してダメージを与えた。だが、それだけで敵が深刻な傷を負っている様子は無い。
互いの敵を認め、灼滅者とザ・ワンドの戦いが始まった。
●
「ところで君達、誰だった? 僕、知らない人に狙われる覚えなんて全然ないんだけどなあ」
くすくすくす。人を小馬鹿にしたような、嫌な笑い声だ。
ねっとりとしたオーラがワンドの身体を包み込み、傷を癒している様子が見える。
「お前が覚えていなくとも、僕は忘れたことはない」
エアシューズを走らせ、理央が距離を詰めた。
「僕らは互いに討ち損ないだ。……あの時の続きをしよう、ワンド」
今日で決着をつける。
ローラーの摩擦熱が炎となり燃え上がった。
理央が鋭く蹴り込む。
畳み掛けるように、謳歌とシュクレームもグラインドファイアを放った。
次にギィが黒炎を纏った刀を振るう。
ワンドが杖でその一撃を受け止めるのを確かめ、身体の全てを乗せて炎をぶつけた。
「杖よ、折れろ」
強い思いで敵を押す。
灼滅者達が巻き起こした炎が渦となり、ワンドに纏わり付く。
「くすくすくす。僕の杖が気になるのかい? 良い杖だろう? 僕も、とても気に入っているのさ」
しかし、ワンドは炎など気にしないという風に笑い、杖を掲げた。
瞬間、周囲が凍り付く。
前衛の仲間から、急速に体温が奪われていった。
予想通り激しい攻撃だ。その上、纏わり付く氷が否が応でも気にかかる。
すぐさまジリアスが癒しの風を招いた。
「氷は厄介だからね」
言いながら、仲間を回復させる。
だが負った傷全てを癒すことが出来ない。メディックは自分1人だ。仲間を癒し最後まで支えることが出来るだろうか? 一抹の不安を消すよう首を振り、ジリアスは次の攻撃にそなえた。
「舞台の裏で、操り糸を手繰るのも飽きた頃合でしょう?」
祇鶴は巨大なオーラの法陣を展開させる。
「この辺りであなた自身の終わりの舞台を始めましょうか」
灼滅者に天魔が宿る様を眺め、ワンドがまた笑った。
「何だか強引な人たちだなあ。おお、怖い怖い」
だがそれ以上敵に時間を与えまいと、孤影がギルティクロスを翼冷が妖冷弾を放つ。
「あっはっは。どこ狙ってるの?」
ワンドは2人の攻撃をひらりと回避した。
「なるほど、奇襲のようにはいかないか」
空打った階紫の長槍を構え直し、翼冷が走る。出来るだけ平常通りに努めているつもりだが、内心穏やかではいられないのだ。
ワンドの声を聞きながら、再び仲間達が攻撃を仕掛ける。
とにかく、嫌味ったらしくて戦い辛い敵だった。
バッドステータスを付けてもある程度のところでキュアされる。敵の放つ魔法弾は強力で、列攻撃も確実に命中させてくる。
攻撃を回避される頻度も高いので、決定的なダメージを与えることが出来なかった。
何より――。
「ほらほら、逃げないと黒焦げだよ」
激しい雷が孤影を撃った。
高度な魔法の矢もさることながら、ワンドの放つ轟雷の威力は凄まじい。それが容赦無く中衛や後衛の仲間を襲うのだ。
「ああ、そうだ。僕は攻撃されて怒っているんだったね? 勿論、君たちのことも忘れていないよ」
続けてワンドがそう言うと、前衛の仲間達の周辺が凍りついた。
「思い通りにはさせぬのであるよ」
敵の動きを止めようと、シュクレームがグラインドファイアを放つ。
スナイパーである彼女の攻撃は他の仲間に比べ命中率が高い。
纏わり付く炎を振り払うように、ワンドが一歩下がった。
「わたしは前衛の仲間を回復するから、そっちはお願い」
その間に、謳歌が集気法で近くの仲間を回復させる。一度に複数を回復させることは出来ないので、今や謳歌は前衛の仲間を回復させることに専念していた。
「わかった。さあ、孤影くん、回復するよ」
ジリアスは頷き、小光輪を飛ばす。
今はまだ何とか敵を包囲する陣形を保っている。
だが、このまま決定的なダメージを敵に与えることが出来なければ長期戦になる。果たして、それに耐えうることが出来るだろうか?
「くすくすくす」
ワンドの嫌な笑い声が部屋に響いた。
●
「悪魔が見せる醜い黄金の夢をぶち壊し、お前をこの世から退場させやしょう」
ギィが戦艦斬りを繰り出した。並の相手なら、一撃で粉砕できるような強力な攻撃だ。
だが、ワンドはそれを杖で受け止めた。
幾度も撃ち合い確かに手応えを感じるのだが、やはり一撃で決定的なダメージを与えることは難しい。
「まあせいぜい頑張ってね?」
ワンドが近距離から魔法の矢を放つ。
矢がギィの身体を貫いた。
衝撃で身体が弾き飛ばされる。
「喰われろ」
それを見て、孤影が影を伸ばした。敵を飲み込もうと、影が走る。
だがワンドはその攻撃をさらりとかわした。
「っ、外れた……!」
孤影が舌打ちをする。
「ワンドぉっ」
横から理央が飛び出した。
流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りが、ワンドの身体を薙ぎ払う。
「くすくすくす。やるじゃないか! ほら、もう一息かもしれないよ? 頑張れば、悪魔に復讐出来るかもしれないよね」
囁くようなワンドの声に理央の顔が歪んだ。
「お前は――」
次の言葉の前に、孤影と理央の周辺が凍りついた。急激に体温が奪われ、知らずうめき声が漏れる。
「いけない。回復を。そちらを頼む」
ジリアスが即座に清めの風で2人を回復させる。纏わり付く氷は消し去ったが、受けた傷を癒しきる事は出来なかった。
「了解だよ」
「俺も手伝うよ」
謳歌と翼冷は2人でギィを回復させる。こちらは、回復できるダメージは全て回復させた。もっとも、どうしても癒せないダメージは蓄積されていくのだが。
それでも、中衛、後衛の仲間に比べれば、前衛の仲間にはまだ余裕がある。
「口数は多いけれど、もしかしてそれは、己の傷を誤魔化す為かしら?」
祇鶴がシールドでワンドを殴りつけた。
中衛、後衛の仲間を癒す手は、ジリアスだけだ。しかし、彼1人で全ての傷を癒すのはほぼ不可能だった。
せめて遠くの仲間を癒せる回復の手があと少しあったのなら、状況は変わっていたかもしれない。けれど、今はそんな事を言っても仕方が無い。
仲間を守るためにも、何とか自分に攻撃のターゲットを移さなければと、祇鶴はシールドバッシュを繰り出した。
それに、自分達の攻撃だって、敵に届いている。
庇っていた腕を下ろし、ワンドが笑った。
「そうだよねえ? もしかしたら、もう1撃で僕は倒れちゃうかもしれないよねえ!」
「本当に、口の減らぬヤツであるな」
シュクレームはやや冷ややかに戦いのあり方を見ていた。皆、今回払った犠牲について、思うところがあるのだろう。しかしシュクレームは考える。今までだって多少なり見殺しにはしてたと。
上手い具合にワンドの背後を取り、死角から斬り付けた。その斬撃が、確実に敵の足を鈍らせる。
小さくだが、ワンドがよろめくのが見えた。
●
「やはりね。平気な振りをしても、堪えているようね」
祇鶴は真っ直ぐワンドを見据え、飛び出した。
もう何度目か、シールドバッシュを繰り出す。
「くすくすくす。良いのかな? ほら、彼の傷。もう致命傷じゃない?」
ワンドは祇鶴の盾を捌き、激しい雷を理央に叩き付けた。
「く……、っ、ぁ」
吹き飛ばされた理央の身体から力が抜けていく。
みんな……、みんな救いたかった。だけど、また、誰かが死ぬ。
必要な犠牲なんて、あるはずがないのに!
理央の叫びは、すでに言葉にならない。
誰かの声が自分を呼んだ気がした。信頼を寄せる事は出来なかったけれど、協力はできたはずだ。
回復は届かず、理央の意識は暗転した。
「まだ、まだっすよ!」
倒れる仲間の姿を、今はただ見ることしか出来ないけれど。
ギィが己に纏わり付く氷を振り払うように声を張り上げた。
「ああ、まだだよ! 絶対に逃がさない」
翼冷はワンドを狙い冷気のつららを撃ち出した。
ワンドは灼滅者達の様子を見て、さも愉快だと言わんばかりに肩を揺らす。
杖が煌き、打ち出された魔法の矢が翼冷の妖冷弾を相殺した。
「ほら、次はキミだ」
続けてワンドが魔法の矢を放つと、それは前衛の仲間をすり抜け、シュクレームの身体を貫いた。
「な――」
積み重なった傷と癒せなかった痛みが、此処にきてずしりと響く。
何とか繋いでいた意識が薄れていくのが分かった。
「いけないのである。私が抜けたら……」
窓が――。
シュクレームの身体が崩れ落ちる。
誰も、回復を促す声を上げなかった。今回復しても、最早2人は戦えないだろう。
「すべてを解決するほど、私たちは強くない……なら、自分の選択を信じ、最善の結果を出すしかない」
孤影のギルティクロスがワンドを捉えた。
「くっ。次から次に、鬱陶しいっ!!」
ワンドの身体が大きく傾ぐ。
あと、もう少し。もう少しで届く。
多大な犠牲を払って、此処まできたのだ。
「ほら、キミも沈んじゃえよ!!」
ワンドが再び雷を撃ち出した。
激しい攻撃に、ついに孤影も意識を飛ばす。
だが、まだ前衛の仲間達には戦うだけの余裕が残されている。
3人の抜けた穴を互いにカバーし、灼滅者達はワンドを包囲した。
「絶対に灼滅する、絶対にだ」
あと本当に少しだ。
ジリアスは影を刃に変え、別の方向から斬る。
「ああ、もう、本当に煩い、羽虫どもが……っ」
苦し紛れか。ワンドが飛ばした魔法弾はそれでも鋭くジリアスに襲い掛かった。
「あ、あとを……頼む」
身体を壁に打ち付けられ、ジリアスも意識を失った。
「ぐ――」
だが、ワンドも、苦しげに膝を突いた。
それを見て、謳歌がナイフを構え、走り込む。器用に刃を繰り、敵の身体を斬り刻んでいった。
「ギィさん、お願いっ」
「了解っす」
ギィが無敵斬艦刀を大きく振りかぶった。
「完全なる灼滅を、ワンド。終わりっす」
刀を振り下ろし、炎をぶつける。
最後に、道化の仮面が灼滅者達を見た気がした。
その肉体が滅んだことを確認し、ギィはワンドの杖を踏みつけた。
倒れた仲間を庇いながら、灼滅者達は一般人の居る場所へと足を向けた。
彼らが見たモノは、無残に転がっている死体だけ。銀山吹の姿は無かった。
祇鶴は思う。
果たして自分達の選択は正しかったのだろうか。
だが、ワンドをあのまま放っておけば、さらなる犠牲を呼んだに違いない。
頭では理解できているけれど、強敵を見事倒した灼滅者達の顔が晴れる事は無かった。
作者:陵かなめ |
重傷:識守・理央(オズ・d04029) 風見・孤影(夜霧に溶けし虚影・d04902) ジリアス・レスアート(水底の薄氷・d21597) シュクレーム・エルテール(スケープゴート・d21624) 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年8月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 21/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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