夏より暑く

    作者:大田一人

     とある河川敷、の端の方。
     水面には太陽の光が映り、熱気を帯びた風がそれを散らす。どこにでもある、のどかな風景。
     だが風に乗って聞こえてきたのは、情景にそぐわぬ雄雄しい叫び。
    「ウオォォオオオオ!」
    「ウホホー!」
    「ウキョキョキョキョッ」
     ほんの少し前までのどかだったその場所は、いまや異様な熱気に包まれていた。
     川縁をうろうろと動き回るのは、破れたシャツに身を包む若者たち。
     太陽を背に両手を振り上げ、あらん限りの力をこめて声を上げる。手には斧や鉄串を持ち、中にはそのまま川へと飛び込んで漁に挑戦するものまでいる。
     理性のタガなど飛んだかのように、自由に、そして野生的に振舞うその姿は、原始人そのものだった。
     傍らには無残に破壊されたバーベキューグリルが、悲しげに転がっていた。
     
    「謎のイフリートが現れたぜ!普通のとは違って、恐竜みたいな外見だ」
     すっかり気温の上がった教室の窓を開けながら、神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)は言った。
     通常とは様子の異なるそのイフリートは、知性を嫌い人の姿をとらない。だが自分の周囲の気温を上昇させた上、周りにいる一般人を原始人化させてしまうらしい。
    「今回それに巻き込まれちまったのは、河川敷でバーベキューをしようとしていた大学生三人組だ。ちなみに女子はいない」
     夏休みに。男だけで。しかもたったの三人で。
     そっとしておいてあげるのが優しさかもしれないが、今回の場合はそういうわけにもいかない。
    「今のとこ影響が出ているのはこいつらだけだが、放っておくとどんどん広がっちまう」
     そうなる前にイフリートを倒して欲しい、とヤマトが告げる。
     
    「仮に岡田・西川・栗山としよう。三人は強化一般人になっちまってる」
     三人はそれぞれ好き勝手に行動しているが、何の対策もせずイフリートと接触した場合は、それを守ろうと襲ってくるだろう。
     岡田はダイナマイトな体型で、その体を生かした体当たりは高い攻撃力を持つ。
     西川は長身痩せ型、甲高い叫び声には回復効果がある。
     栗山は小さいがすばやく、投げてくる金串にはパラライズの効果がある。河原の石と木で作った手製の石斧から繰り出される打撃も侮れない攻撃力だ。
    「見通しがいいから気付かれずにやり過ごすのは難しいと思う。何かで興味を引いて交渉したり、隙をついて通り過ぎるのがいいんじゃねえかな」
     原始人となった三人は現代文明を敵視している。気を引くとしたらそれ以外の物がいいだろう。相手は元現代人、原始人への知識は大差ない。自分達が考える『原始人的なもの』で十分興味を示すはずだ。
     また、よほど疲れている人でもない限り、このイフリートの影響範囲には残りたがらない。三人以外の人払いを気にする必要はない。

    「肝心のイフリートだが、川の中州にいるぜ。そこへは飛び石状の岩や小島を渡って行けばいいから、移動方法に困ることはない」
     中洲は戦闘に支障ない広があり、茂る木も、イフリートがいる付近では戦闘に影響が出るほどに密集してはいない。木が目隠しになってちょうど三人がいる場所からは死角になるから、中州についてしまえばあとは気にせず戦闘に集中できる。
    「一旦三人の視界から外れちまえば、音とかも気にしなくていいぜ。あいつら自身の雄たけびで掻き消えちまうから」
     無事中州に着けば、イフリートは労なく見つかるだろう。相対すればすぐ戦闘になる。
    「イフリートは爪とブレスを使ってくる」
     炎を纏った爪は近場の敵を切り裂いて大きなダメージを与え、更には炎によるダメージまでも与えることがある。ブレスは遠くまで届き、追撃の効果を持つ。
     一体とは言え侮れない。十分な注意が必要だ、とヤマトは加えた。
     
    「イフリートさえ倒しちまえば、三人とも徐々に正気に戻るはずだ」
     その時、三人が用意していた肉が無事かどうかはわからないが。
     肉を思ってか女子がいないことを思ってか、どこか寂しげに目を伏せたヤマトだったが、再び顔を上げて言った。
    「打たれ強くて面倒な敵だが、お前たちなら大丈夫だよな!」
     無事帰ってきたらバーベキューにでも行こうぜと、灼滅者達を送り出した。


    参加者
    護宮・マッキ(輝速・d00180)
    伐龍院・黎嚇(龍を伐る者・d01695)
    水瀬・瑞樹(マリクの娘・d02532)
    天木・桜太郎(夏灯台・d10960)
    契葉・刹那(響震者・d15537)
    銀城・七星(銀月輝継・d23348)
    ユージーン・スミス(暁の騎士・d27018)
    アリス・ハイリヒカイト(小学生神薙使い・d28023)

    ■リプレイ


     それは悲しい……もとい、異様な光景だった。
     シャツをびりびりに破り、川縁をのそのそと歩き回る三人の若者たち。奇声を上げ武器を振り回す様は、まさに原始人そのもの。
     少し離れたところから周囲を確認した天木・桜太郎(夏灯台・d10960)が、思わず呟く。
    「三人に一夏の思い出として、この記憶が残らないことを祈る……」
     夏の思い出と聞くとどこか甘酸っぱいのに、この光景はその響きからあまりにもかけ離れている。追い討ちのように続くのは、水瀬・瑞樹(マリクの娘・d02532)の、もっとも過ぎる指摘。
    「彼女もいないんですね、わかります。彼女抜きで~とかならもっと人数いてもいいもんね、大学生なら」
     そんな二人の後ろでは、着々と原始人化した三人をおびき寄せる準備が進んでいた。
     中州から離れた場所に、持ち寄った食料をこれでもかと置いていく。
    「フライドチキンも置いとくか。……俺が食べたいわ!!」
     芳しい匂いに叫ぶ桜太郎。その後ろで伐龍院・黎嚇(龍を伐る者・d01695)が生肉や野菜を積み上げ、ユージーン・スミス(暁の騎士・d27018)が魚を並べる。
     もちろん食料だけではなく、見た目の準備も万端。それぞれ水着の上からぼろ布などを巻きつけて原始人らしい格好となっている。
    「女じゃねえから傷どうこうはないし、足は素足でいいか」
     靴を脱ぎ、銀城・七星(銀月輝継・d23348)が言う。
    「うっかり腕時計とかしているとやばいからね」
     そう言って皆の分まで服装のチェックをするのは護宮・マッキ(輝速・d00180)。機械的なものがあっては大変だ。自身の時計などは腰に下げた袋へとしまう。その袋は肉への食いつきがイマイチだった時のため、バナナも入っていた。
     これならきっと三人も警戒を緩めるだろう。特に彼らをおびき寄せる女性陣の軽装は、モテない大学生(推定)でなくても十分に興味を引きそうだった。
    「うん、いいね!僕が原始人なら大喜びするよ」
     着替えて肉を手に持った女子を見た、マッキの屈託ない一言。その言葉に契葉・刹那(響震者・d15537)は思わず頬を染める。これから行う作戦は男性恐怖症の彼女にとって、かなり難易度の高いものなのだ。
    「男の人相手にお誘い役をするなんて……で、でも作戦ですから頑張らないと……!」
     自分に言い聞かせるように気合を入れるが、頬に朱が上るのは止められない。
     瑞樹、刹那と共に原始人化してしまった三人を誘導するという重役を担い、心なしか緊張しているようにも見えるのはアリス・ハイリヒカイト(小学生神薙使い・d28023)。仕草などを合わせようと、二人の様子を必死に見ている。
    「それじゃ行こうか」
     軽い調子で瑞樹が言えば、緊張した面持ちでアリスと刹那が頷いた。三人へと向かって歩いて行く。

     近づく彼女らに最初に気づいたのは一番小さな原始人。恐らく栗山だろう彼は、不躾に三人を眺めた。それに呼応するように、岡田(ダイナマイト)と西川(痩身)もまた動きを止めた。訝しげにこちらの様子を伺っていたが、女性だとわかった途端、三人はもじもじと頭をかいたり俯いたり、落ち着きない様子を見せる。原始人の習性かモテない大学生(推定)の習性かはわからないが、おそらく後者だろう。多分。
     食べないか、とばかりに肉を差し出す瑞貴。同じく肉を差し出して刹那がことりと首を傾げれば、アリスもそれを真似て可愛らしく笑顔を作る。
     あちらにはもっと沢山の食べ物があるのじゃ、とアリスがジェスチャーを交えて示せば、三人は食料の山と匂いに気付いたようだった。嬉しげに歩き出す三人の後をついていく女性陣が哀れみの目を見せたのは、きっと気のせい。
     近づく三人に、マッキと桜太郎が咄嗟に原始人のしぐさを真似る。
    「ウホウホ」
    「ウホッ!!」
     通じているのかなんなのか、ともかく二人の声と動きに合わせて三人も声を上げた。「美味い!」と言わんばかりに食料を食べれば、三人もまた食料の山へと手を伸ばす。そうなればあとは早い。脇目も振らず食事に夢中になる三人。
     チキンを食べながら、桜太郎は仲間達に振り向いてサムズアップして見せた。


    「このまま気が付かずにいてねー」
     瑞樹がウィンクすれば、アリスがそれをぎこちなく真似た。その光景に思わず刹那が微笑み、もういいのですよと声をかけながらそっと立ち去る。
     三人を戦場から遠ざける作戦は大成功。彼らを背に暫く川沿いを行けば、それらしい中州が見つかった。飛石状になった島や岩を軽やかに渡れば、少し茂った木々の先に開けた場所が見える。
    「……竜種だ」
     黎嚇が足を止めて囁いた。恐竜のような外見を持つイフリート、その姿を認めた途端、口端を歪める。
     皆がそちらに目をやれば、確かに中央に大きな影が見える。影は動いていないようだ。休んでいるのだろうか。ユージーンはその様子を見てぽつりと漏らす。
    「炎のトカゲが川の中州にいるとは妙な光景だが、人の集まる場所でなかったのが不幸中の幸いか」
    「竜種かぁ…倒さなきゃいけないとはいえ、浪漫あるよなぁ。戦うの楽しみだぜ!」
     子供のようにテンションの上がる桜太郎の横では、七星は何処か感心したかのような素振りを見せていた。
    「ジンからドラゴンってファンタジー度上がってんなー。まあ、灼滅者がファンタジーっちゃそうだけど」
     カードに封じられていたサーヴァントを呼び出し布陣を整えたところで、イフリートの閉じていた瞼がピクリと震えた。ユージーンがすかさずスレイヤーカードを解除する。
    「古の英雄よ、我に邪悪を滅ぼす力を!」
     イフリートの低い唸りを聞いて、とっさに桜太郎と瑞樹が走り出た。体を起こした敵の前に立ち、そのまま攻撃へと移行する。
    「先手必勝、ってね」
     言葉と同時に瑞樹の振るうクルセイドソードから白光が走り、イフリートへと届いた。その攻撃は硬い表皮を浅く削った程度だったが、聖戦士の力を体に纏うには十分だった。桜太郎もまたドラゴンパワーによって己の守りを固める。
    「喜べ、貴様は我が刃に解体される四番目の竜種。我こそは龍殺しの伐龍院。貴様の全てをこの刃で征伐し解体してやろう」
     ティアーズリッパーの一撃と共に、黎嚇の口上が高らかに響く。それは普段の冷静な彼からは想像もつかない、竜種への特別な思い入れを感じさせるもの。
    「この身、一振りの凶器足れ」
     解除コードを静かに唱える七星。その周囲から、鏖殺領域の黒い影が溢れた。蠢くように伸びた影がイフリートを覆う。それに合わせ、アリスの生み出した風刃がイフリートの皮膚を裂いた。間髪いれずマッキが拳に宿した雷でイフリートを打ち、ブラックポメが斬魔刀を放つ。同時に食らった衝撃に、イフリートがたじろいだような声を上げた。
     その隙を逃さず、刹那とそのライドキャリバーが巨体を狙う。スターゲイザーの蹴りとキャリバー突撃を受け、流石のイフリートも一瞬動きが鈍った。苛立ちめいた咆哮に、ユージーンがレーヴァテインを叩きつける。
    「お前は何処から来た、何故此処に現れた、その怒りは、無理に目覚めさせられたゆえか?」
     しかし問いかけに答えはない。相手は言葉を理解しているかもあやしかった。ただその目だけがぎらぎらと光る。

     休息を邪魔されたことを怒るかのように首をもたげ、大きな唸りを上げたかと思うと、イフリートは勢いつけてその爪を振り下ろした。鋭い爪と炎が瑞樹の肩を裂き、衝撃が鈍く体全体を走る。肩を押さえる彼女に、ユージーンの防護符がもたらされる。
    「汚れを清め、受けた痛手を癒したまえ……」
     言葉と共に、みるみるうちに傷が癒えていく。
    「炎は全て解除してやる。憂いなく、存分に戦え」
     短く礼を言いながら、瑞樹は神霊剣をイフリートに向かって放った。確かに手強い相手だが、やすやすとはやられない。
    「女子を狙うとは、躾がなっておらぬのう」
     拳を唸らせたアリスの残像のような連打が、次々とイフリートへ決まる。強化一般人たちを誘導していたときとは違い、堂々とした戦いぶりだ。
    「ユウラ、ヤミ!竜を食らい尽くせ!!」
     七星の言葉と共に、影から猫と鴉が生まれた。その影は躍るように立ち上り、イフリートを飲み込んだ。影が晴れぬ間に桜太郎のグラインドファイアも打ち込まれる。苦しげに首を振るイフリートの様子を注意深く観察しながら、黎嚇がジグザグスラッシュで敵の身を削っていく。
    「お前は誰だ、何処から来て何の為に周囲を原始化する」
     何か行動に変化はないか、手掛かりはないか。少しでも情報がほしかった。しかしその望みは叶わない。イフリートに意思の疎通が図れるような様子はなく、ただ狂おしく身をよじるばかりだった。


     イフリートは忌々しげな様子で尾を振り回す。勢いがついたそれは、風を切ってマッキを捕らえた。
    「ポメ!」
     頭上に迫る影に、とっさにマッキが叫んだ。走り出たブラックポメに炎の尾が打ち付けられる。薙ぎ払われた体が衝撃で大きく跳ね、地面へと叩きつけられる。
     よろめくブラックポメの元へと、すかさず刹那の澄んだ歌声が届いた。声が染み込むように痛む体を癒していく。
    「ホント暑苦しい相手だね。まるで我慢大会だ」
     打たれた相棒の姿を見て、苦々しげにマッキが言った。黙ってやられなどしない。怒りをこめたグラインドファイアから、炎が盛る。
    「その動き、封じ込める!」
     巨体を少しでも押しとどめようと、七星のAtroposが伸びた。紅い糸が敵を絡めとり、捕縛する。鈍る動きを見逃さず、瑞樹の戒めの鎖が影を伸ばす。先についた円錐、角錐をじゃらりと揺らして敵を包んだ。影で出来た鎖は、苛むようにその巨体へと巻きついていく。イフリートが苛々と、もう一度尾を振った。打ち下ろすような一撃が炎と共にユージーンへと直撃する。
    「くっ……!」
     思わず膝をついたところへ、アリスの集気法がかけられる。癒しのオーラを浴びながら、彼は強く思った。
    (こんなところで負けはしない。炎の竜は己の心の中に住み着く恐れそのもの。己の弱さを払うため、なんとしても倒さねばならない)
     呼吸を整え、指輪を翳す。ペトロカースの呪いがイフリートへと降りかかる。がくり、と巨体が揺れた。ぎこちなくなった動きは、呪いの効果を示している。攻撃のチャンスは逃さない。桜太郎の神霊剣が動きを止めたイフリートを狙い、その肌を大きく切り裂いた。
     イフリートが一際大きな咆哮を上げる。儘ならぬ己の体に激しく苛立っているようだ。めちゃくちゃに爪や尾を振るうが、その半分も灼滅者達には当たらない。
     なんとしてでも削りきる。この好機を逃さぬため、灼滅者達は次々と畳み掛ける。七星が蹂躙のバベルインパクトで敵の懐に飛び込み、アリスが鬼神変でイフリートを殴打する。最初の頃よりも、攻撃は確実に効いていた。徐々にイフリートの動きは鈍り、体には傷が目立ち始めている。纏わりつく影が気に食わないのか、イフリートが激しく身をよじらせる。焦れるように振った尾は黎嚇の体を打ちつけたが、響く刹那の歌声がすぐに前列のダメージを癒した。イフリートの攻撃はもはや脅威ではなく、戦いが終わり近いことを告げている。
     黎嚇が剣を構えなおす。
    「この刃でその骨肉の一片までも捌き、裁断してくれる。竜殺しの剣、その身でとくと味わうがいい!」
     竜は己の獲物。決して逃がさぬ。気合と想いを込めた刃が、イフリートの体を貫いた。
    「グアアァァァオオォォォオオ!」
     イフリートの断末魔が響いた。耳を劈くような音に、葉が震え、地面が揺れる。重い衝撃と共に巨躯は倒れ、そして燃え尽きるように消えた。


    「いつかは真近でその鱗に斬撃を与えたいものだ」
     イフリートが消え去った辺りを見つめ、ユージーンが呟いた。黎嚇がそれに頷きで答える。そして何か見つからないかと竜種の倒れた辺りを探す彼を手伝うように、周囲に視線を巡らせる。だが特に変わったものは見つからなかった。
    「けが人はいない?」
     マッキが声をかければ、それに応えるように刹那のお腹が鳴った。可愛らしい音を立てた自らのお腹を慌てて押さえ、顔を赤らめる。
    「皆さんでバーベキューがしたいですね」
    「用意した食料が残っていたらそれもいいかもね」
    「それなら余も食べたいのじゃ!」
     笑う瑞樹に育ち盛りのアリスが真っ先に応じれば、他の面々も同意する。
     談笑しながら川縁へ戻れば、我に返ったらしい大学生たちが呆けていた。状況が掴めていないようだ。それもそうだろう。ユージーンが側まで行き、用意していたTシャツと飲料を差し出す。
    「君達はバーベキュー中、熱射病にかかったようだ」
    「暑かったし煙とかでラリったんじゃね?」
    「日差しが強いからな、ここは」
     七星と黎嚇もまたそう言って、たまたま発見した風を装う。
     Tシャツを受け取った岡田(ダイナマイト)がきょろきょろと辺りを見回した。側にはすっかり色の変わった肉と、壊れたバーベキューグリルが転がるのみ。とても悲しそうだ。
    「肉はー……あ、川なんだしここ魚いねえの?まだ暑いし、自分で獲れば気持ちいいと思うぜ?」
     視線に気付いて慰める七星の助言も、岡田の体型を見るとなかなか難しそうだ。だがきっと問題ない。なぜなら彼らのお腹は既に一杯だからだ。皆の用意した食料は、実に半分以上が消費されていた。
    「いやしかし。男子のみ3人って……」
     改めて三人を見て瑞樹がぽそりと漏らした言葉に、彼らの目から汗ではない何かが溢れたのは気のせいだろうか。

     ともかく。
     三人の無事な様子を見て、灼滅者達はほっと息をついた。マッキが腰袋に入れていたバナナを取り出して頬張る。
     現代に帰ってきたのだ。残されたバナナももういらない。

    作者:大田一人 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年9月1日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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