中洲コスプレ銭湯

    作者:本山創助

    ●着衣の湯女達が背中を流してくれるスーパー銭湯
     ここは湯気立ちこめるお色気銭湯。
     お客は、様々な衣装を着た湯女(ゆな)達に、体を洗ったりマッサージしてもらえる。
    「どう? きもちいい?」
     美少女戦士めいたセーラー服を着た少女が、泡に包まれた男の胸に両手を這わせていた。
    「ハァァ~、きもちよか~」
     少女の小さな手を感じながら、熊のような巨漢が、だらしなく鼻の下を伸ばす。
     床は全面ゴムマットである。柔らかいし温かいので、寝そべることが可能だ。
     男は、少女の太ももと太ももの間に頭を乗せつつ、大の字に寝そべっていた。男の目線は、セーラー服の隙間に注がれている。
    「いらっしゃいませ。こちらの腕は私がキレイにしますね」
     男の右腕を取ったのは、ナース服を着たお姉さん。肩から手首にかけて、丹念に泡をすり込んでいく。
    「じゃあ、ボクはこっちの腕♪」
     男の左腕を、体操服を着た少女が抱える。
     左脚は巫女姿のお姉さん、右脚はOLスーツのお姉さんがそれぞれ担当し、五人がかりで男の体に手を這わせた。
    「すみずみまでキレイにしましょうね~♪」
    「あっ、そんなっ、そんな所まで、うおおっ」
     湯女達の指先が、男の全身を隈無く洗っていく!
     ――数十分後。
     セーラー服の少女が、スッと立ち上がった。濡れた白生地に少女の素肌が透けて見える。ゴムマットには、カラッカラに干からびた熊男がうつぶせに横たわっていた。その背中には、鮭を咥えた熊の刺青が!
     少女の元へ、OLスーツのお姉さんが歩み寄った。
    「今日子さま、この男は……」
    「刺青マンだから、鹿児島行き!」
    「かしこまりました」
    「いい子いい子。こんどはスチュワーデスの制服、着せてあげるからね」
     お辞儀をするOLお姉さんの頭を、今日子は優しくなでてあげるのであった。
     
    ●教室
    「キミ達には、中洲に行ってもらいたい!」
     賢一が、ハリキッテ説明を始めた。

     博多の中洲地区で、HKT六六六の強化一般人が、刺青を持つ人たちを拉致してるんだ。この強化一般人はすごく人の心をつかむのが上手い少女でね、今日子って言うんだけど、自分のえっちな銭湯にお客を呼び込んでは、『刺青の調査』をしてるんだ。それに、この銭湯のお客は今日子に魅了されて、HKT六六六に協力するようになるみたいだから、それを防ぐ為にも、この店をなんとかしないといけないんだよね。
     やっかいな話だけど、今日子達は、邪魔者が来たらいつでも逃げ出せるように準備している。逃がさない為には工夫が必要になるね。やり方は二つあるよ。
     一つ目は囮作戦。
     これは、誰かが囮になって今日子を引きつけるっていう作戦。今日子に仕事をさせつつ、その隙に退路を断ってしまおう、という作戦だね。今日子の相手をした人は、アレやコレやの末にカラッカラに干からびてKOされて戦闘不能になるから注意してね。
     二つ目は籠絡作戦。
     他の湯女達は今日子のファンであると言う理由から絶対の忠誠を誓っている。今日子のためなら何でもするっていう強化一般人なんだ。でも、この忠誠心を揺さぶることができれば、今日子の撤退を阻止できるかもしれない。その為には、今日子の魅力を上回る何かを演出できればいけないんだ。湯女達は今日子のコスプレとマッサージスキルに心酔しているから、そっち方面で、より強い魅力を演出しないと、成功は厳しいかも。湯女のフリして今日子以上のコスプレとマッサージをしてあげれば、上手くいくかな?
     この二つの方法が難しい場合は、普通に戦闘するしかない。その場合、今日子は簡単に逃げてしまうだろうから、根本的な解決にはならない。
     四人の湯女を撃退してお店を潰せば作戦は成功だよ。
     これ以上犠牲者を増やすわけにはいかない!
     このいかがわしい銭湯を、皆でなんとかしよう!
     それじゃ、よろしくね♪


    参加者
    龍海・光理(きんいろこねこ・d00500)
    赤倉・明(月花繚乱・d01101)
    榎本・哲(狂い星・d01221)
    姫条・セカイ(黎明の響き・d03014)
    西明・叡(石蕗之媛・d08775)
    佐島・マギ(滑走路・d16793)
    日比谷・真咲(愛に全てを賭ける男・d22926)
    犬走・戒士(ブラッドバレット・d24427)

    ■リプレイ

    ●門前
     生ぬるい空気が漂う、夏の夜。
     いかがわしげな路地裏に、ネオンをビカビカ光らせた銭湯があった。レモン色の電飾看板には『弁天湯』の文字。入り口の張り紙には『コスプレ湯女さんが、あなたのコリをほぐします』『くんずほぐれつ!』と書かれていた。
     その脇で、静かに円陣を組む灼滅者達。
    「作戦を確認するぜ」
     榎本・哲(狂い星・d01221)が言った。
    「囮役は真咲と戒士な。叡は興味ねーの?」
     西明・叡(石蕗之媛・d08775)が、気品のある身のこなしで振り向いて、一言。
    「……ワタシこんな口調だけど心は紳士だし恋愛対象は女の子よ」
    「だったら」
    「淫 魔 は 趣 味 じ ゃ な い わ ! !」
     歌舞伎の女形として修行している叡である。女の色気に関しては、何こだわりがあるのかもしれない。あざといのは趣味ではないようだ。
    「わーった、わーった……籠絡役はセカイとマギな。お? 明もか」
     フリフリのアイドル衣装を着た赤倉・明(月花繚乱・d01101)が、頬を染めてうつむいた。
    (「依頼とはいえ、私がこんな……!」)
     教室では真面目で隙のない雰囲気だったが、今の明は(布面積的な意味で)隙だらけに見える。セパレートタイプの衣装かちらりと覗くおへそがかわいらしい。
    「で、マギはそれ、給食当番か?」
    「ちがいますよ、ウェイトレスです! お洒落カフェにいそうでございましょ?」
     ぷくーっと頬を膨らませた佐島・マギ(滑走路・d16793)が、すぐに機嫌を直してスカートの両端を摘んでみせた。薄ピンクのミニジャンスカに白ブラウスとフリフリエプロンだ。
    「日々パン生地をこねる過程で培ったテクを遺憾なく発揮するですよー!」
     目を輝かせながら両手の指をわきわき動かすマギに、哲は、お、おう、と頷いた。いろいろと突っ込みたいのを我慢しつつ、まとめに入る。
    「囮役がエロい事をして時間を稼いでいる間に、俺と叡と光理が退路をふさぐ。念のため、籠絡役もエロい事をしてエロいお姉さんを手込めにする。ああ、先に籠絡組が行った方がいいな。囮が先だと一対五になるかもしれねーし。で、まあ、適当に頃合いをみて、俺ら三人も大浴場に突入。今日子を灼滅する。これでいいな?」
    「エロい事って、なんです?」
    「わ、私はそんな……!」
     マギが首をコテリと傾げ、明が両手を激しく振った。
    「真咲さん。あなたの仇は必ずとってみせます!」
     龍海・光理(きんいろこねこ・d00500)が、両手をぐっと固めながら言った。
    「フッ。別に、お前等が来る前に全員骨抜きにしてしまっても構わんのだろう?」
     日比谷・真咲(愛に全てを賭ける男・d22926)が、おもむろに死亡フラグを立てる。
    「さ、わたくし達は勝手口から事務所に参りましょう。湯女になりたいと申し出れば、実地テストをしてくれるやもしれません」
     姫条・セカイ(黎明の響き・d03014)が、正面玄関の脇にある小さな扉に手をかけた。
    「はいはい!」
     勢いよく挙手する犬走・戒士(ブラッドバレット・d24427)。
    「もし服装指定できるなら、下着にワイシャツがいいです!」
    「あ、俺はバニーがいいな」
     戒士に続いて、哲もリクエストする。
    「ふふ、では、そのようにお伝えしておきますね」
     セカイが柔らかく微笑んだ。

    ●泡の世界
     それからしばらく後。
     更衣室で待機していた真咲と戒士が、スポポポーンと服を脱いでガラス戸を引いた。
     そこは、銀色のゴムマットが敷かれた、湯気と泡の世界。
     蛇口の並んだ縦長の島が三つあり、浴場を四分割している。奥に見えるのは、大きな湯船とサウナ室の入り口。
     女の子同士がきゃっきゃうふふと戯れる声が、浴場の両脇から聞こえてくる。島の陰になってよく見えないが、籠絡組がそれぞれ一人の湯女を相手に『くんずほぐれつ!』な事になっているのが容易に想像できる。
    「おお、これは、まさに混浴っす!」
     ガッツポーズしながらキョロキョロする戒士。男子更衣室のガラス戸のすぐ隣にある女子更衣室のガラス戸が開いた。
    「いらっしゃーい♪」
     駆け寄ってきたのは、だぼだぼワイシャツ姿の女の子だ! 
    「キミが戒士クン? セカイちゃんから聞いてるよ! ボクはユキ。これ、似合う?」
     両手を広げて一回転する女の子。太ももまで伸びていた裾がスッと上がり、水色しましまパンティーがチラりと見えた。
    「最高っす!」
    「えへへ♪ ね、あっちいこ、戒士クン」
     戒士はユキの手を引かれて、サウナ室へと消えていった。
    「あなたが真咲さん? 今日子です。よろしくねー♪」
     美少女戦士めいたセーラー服を着た少女が真咲に歩み寄る。一歩歩くたびに、たわわに実った胸が、たゆん、たゆん、と揺れた。
     何というボリューム! 思わずマイハニーと比較してしまい、慌てて首を振る真咲。
    「真咲さん、ここに仰向けになって。膝枕しながら、カラダ、洗ってあげる」
     今日子がニッコリ微笑んだ。
     一方その頃、籠絡組の三人は、四分割されたそれぞれのエリアで『くんずほぐれつ!』な事になっていた。
    「あいったたたた」
     バニー服を着たお姉さんが、ゴムマットにうつ伏せになりつつ、足をばたばたさせていた。その背中にまたがって本格的な指圧を施しているのは、アイドル姿の明である。
    「はじめは痛いでしょうが、徐々に気持ちよくなるはずです……!」
    「えーっ、もうずっと痛いよー。いたいいたいっ」
    「かなり凝ってますね……でも大丈夫。私は武の道を志すもの。人体のツボは、心得て、おります……!」
     ぐっぐっ、と力を入れる明。そのたびに、バニーお姉さんの肌に、親指がずぼぼっと埋まった。
    「ちがっ、こういうマッサージじゃなくて、もーっ!」
     あまりの痛さに耐えられず、バニーお姉さんは腕を伸ばして明の首を取り、えいっ、とブン投げた。一瞬の出来事である。不意打ちを食らった明はなんとか受け身をとったが、事態を把握する前に、マウントポジションを許してしまった。
    「あ、すごい。いま、肩がすごいところまで回った。これが明ちゃんのマッサージの効果なのね」
     明の腹にまたがったまま、両腕をぐるぐる回すバニーお姉さん。
    「よかった。肩こりがとれたようですね。では続きをしますので、そこをどいていただけますか?」
     嬉しそうに微笑む明に、バニーお姉さんが首を振った。
    「だーめ。明ちゃんのマッサージはすごかったけど、そういうマッサージじゃないもん。うちでやるのは、えっちなマッサージだもん。わかる?」
     明がふるふると首を振った。バニーお姉さんは、しゃべりながらも、テキパキと明をバンザイさせ、両手首をヒモで縛る。
    「じゃあ、えっちなマッサージ、教えてあげるね? こうやるんだよ」
    「え、ちょっと、まっ……だめです、あっ……!」
     バニーお姉さんは、両手にたっぷりと泡をつけると、明のおなかに指を這わせた。
     一方その頃、隣のマギ達はというと――。
    「あっはははははっ。ちょ、くすぐったい、やめてマギちゃん、あははっ」
     マギがナース服のお姉さんを爆笑させていた。
    「だめですよー、じっとしてくれないと、マッサージできないです」
     釣りたての魚みたいにビチビチ跳ねるお姉さんに、マギは四苦八苦していた。それでもなんとか神経を集中し、マッサージに励む。
     絶妙な力加減、アプローチの方向、筋肉と筋肉の関係性、対峙しているコリと対話するように、心を込めて……。
    「そう! 手先だけでは目の前のコリすら癒せません! 口先だけで愛が伝わらないのと同じですよ!」
     と、拳を握って力説していたら、いつの間にかナースお姉さんに後ろをとられていた。
    「甘いわね、マギちゃん。今度はお姉さんの番。この銭湯ですべきマッサージを、とくと味わえー!」
     ナースお姉さんのえっちな魔の手が、マギの未発達なカラダに襲いかかる!
    「あはっ! やめ……くすぐったいですよー!」
     お子さまな体つきだからだろうか。お姉さんの技は、マギにとってはコチョコチョ同然であった。
    「おかしいわ。こんなはずじゃ……!」
    「マギも負けて入られません。とりゃあーっ!」
     ひるんだお姉さんに、マギが襲いかかる!
     そんなこんなで、この二人のカラミはコチョコチョ合戦のような有様となった。
     一方、セカイは――。
    「殿方の体はともかく、その……女性の事ならば少しはわかるつもりです」
     内心あっぷあっぷしながらも、この銭湯にふさわしい技芸で、はだけたブラウス一枚のお姉さんをうっとりさせていた。
     アイドル姿のセカイが、マイク型のスポンジを、お姉さんの敏感なところへ這わせる。
    「やんっ」
     悶えるお姉さんに微笑みつつ、セカイは男子禁制の『花園』というクラブで目の当たりにした女性同士のスキンシップに思いを馳せていた。時には被害にあったりもした。あのときの経験が、こんなところで役に立つとは――自然と、クラブの皆に感謝の気持ちがわいてくる。
    「身も心もわたくしに委ねて戴ければ、貴女にも新しいコスプレの道を見せられると思いますよ」
    「セカイ様……お慕い申し上げます……」
     セカイはプリンセスモードで羽衣姿に変身しながら、ぐったりと横たわるお姉さんに覆い被さり、肌と肌を密着させるのだった。
     その頃、真咲は――。
    「うおっぷ!」
    「どう? きもちいい?」
     膝に真咲の頭を乗せた今日子が、前屈するかのように両手を真咲の腹筋に這わせた。自然と体が傾き、真咲の顔面に胸が押しつけられる。そのたびに、真咲は柔らかな感触に埋もれて窒息しそうになった。
    「そんな風に誘惑してくるってことはよぉ……こっちから仕掛けても文句は言わねえよなぁ!」
    「きゃっ」
     今日子の背中に腕を回すと、真咲はくるん、と一回転。今日子をゴムマットに押し倒した。
    「俺のマイハニー相手に鍛え上げたボディタッチテクで逆に骨抜きにしてやるぜ!」
    「わーい、楽しみ♪」
     今日子は、目をきらきらさせながら、真咲に身を預けた。
     その頃、サウナ室では――。
    「うんしょ、うんしょ」
     女の子が仰向けに寝そべる戒士にまたがり、一生懸命肩をもみほぐしていた。女の子が前かがみになるたびに、胸元の隙間から、控えめな胸が見える。
    「あはは。戒士クンはえっちだなあ。さっきからずーっとボクの胸ばっかり見て」
     女の子の白いワイシャツは、滴る汗で素肌に張り付いていた。ワイシャツの下のしましまのパンティーも、透けて見える。
    「戒士クンは、おっぱいが好きなの?」
    「大好きっす!」
     即答する戒士。
    「じゃあ、ボクよりも、他の子の方がよかったかな……ボク、胸小さいし」
     少し寂しげな表情で、女の子が自分の胸に手を当てた。
    「そんなことないっすよ! ユキさんのおかげで、おっぱいの新たな側面に気づきました。ユキさんは、とても色っぽいっすよ!」
    「えへ、ありがとう、戒士クン」
     女の子は、戒士の首に腕を回し、その顔を胸に抱いた。
     控えめなサイズとはいえ、頬に感じるその感触は、やはり柔らかいのであった。

    ●突入
    「そろそろ行くわよ」
    「はい!」
     叡の言葉に、光理が力強く頷く。
    「チーッス、灼滅者でーす」
     哲がガラス戸を開けて言った。
    「え、襲撃? ちょっと待って」
     素肌に泡だけ纏った今日子が、真咲から体を離し、立ち上がった。どういうわけか、真咲は、顔にパンティーをかぶったまま、カラッカラに干からびている。
    「もうさんざん待ったわよ。覚悟しなさい!」
     キッとにらむ叡。
    「ふーんだ、こんなこともあろうかと、この銭湯には逃げ道が仕込んであるんですぅー。ぽちっとな」
     どこからともなく取り出したリモコンのボタンを押す今日子。バン、とゴムマットが破裂し、床から隠し扉が現れた!
    「サヨナラ、おバカさんたち。しーゆー♪ って、あれ? これ、あかない」
     扉をガチャガチャやる今日子に、叡がドヤ顔で一言。
    「その逃げ道なら、とっくに塞いだわ」
    「く……! なら、こっちよ! ぽちっとな」
     別のボタンを押す今日子。壁に描かれた富士山のタイルがボロボロとはがれ、隠し扉が現れた! 駆け寄り、扉に手をかける。
    「ふふん。惜しかったね。バイバーイ♪ って、ここも開かないじゃん!」
    「そのドアノブは、わたくしが針金でぐるぐる巻きにしました。ついでに冷蔵庫で塞いであります。逃げられませんよ!」
     焦る今日子に、光理がウインクする。
    「他の隠し扉も全部塞いだぜ。観念しな」
     哲が笑った
    「ウソでしょ? 隠し扉、あと三つあるんだけど」
    「全部っつったろ?」
     哲が得意げに言った。内心、ヤッベあと三つもあったのかよ、とビックリしていたが、哲の態度があまりにも堂々としていたので、今日子はコロっと騙された。
    「こうなったら戦うしかないじゃん。みんな、敵がきたよっ!」
     だがしかし。
    「いま、取り込み中でふ」
     明の相手をしているお姉さんの声がした。
    「あは、あははは!」
     こちらはマギの相手をしているお姉さんの笑い声。
    「ちょっと、みんな……あ、ミサ!」
     ブラウス姿のお姉さんが、今日子に歩み寄った。だが、様子がおかしい。
    「今日子様、ごめんなさい。私、セカイ様についていきます」
     言うなり、今日子に襲いかかる。
    「この裏切りもの! ユキ、ユキはどこ?」
     ユキはサウナ室で戒士とお楽しみ中である。密閉がしっかりしているので、声は届かない。
    「それっ!」
     光理の跳び蹴りが炸裂! 今日子はふっとび、島に激突した。
    「痛いなあ、もう! せめて着替えるまで、待ってよ! さすがにこんな格好で戦うのはどうかと思うし!」
     確かにあられもない格好ではあるが、叡は首を振った。
    「泡がついてるから大丈夫。それにワタシ、さっさと終わらせて帰りたいの。いくわよ、菊!」
     霊犬『菊之助』が、叡の声に呼応して六文銭を射出。
    「俺たちに見つかったのが、運の尽きってな」
     哲はバトルオーラを両拳に集中させつつ、ダッシュ。
    「さよなら、今日子」
     叡は周囲に漂わせたリングスラッシャー『白蛇清姫』を、一斉に射出。
     光理もローラーダッシュで突撃。エアシューズが炎を纏った。
    「きゃああーっ!」
     光理のグラインドファイア、叡のリングスラッシャー、菊之助の六文銭、哲の閃光百裂拳が同時に炸裂!
     今日子は泡沫のように、はじけて消えた。

    「お湯をかけたら、きっと元に戻りますよ」
     わざわざヤカンにお湯を入れて、マギが真咲にかけた。
     カラッカラに干からびていた真咲が、水分と生気と意識を取り戻す。
    「こ、ここは」
    「さきほどは おたのしみでしたね」
     真咲に向かって生暖かい視線を送る叡。
    「そうか、俺は……ふう、ぱんつが無ければ危なかった……これが、愛の力だ!」
    「いえ、完全にやられてましたよ? でも約束通り、ちゃんと仇はとりました!」
     光理がニッコリほほえんだ。
     四人の湯女は、今日子の灼滅によって、無事、救出できた。
     こうして、いかがわしい銭湯は、灼滅者たちの活躍によって廃業となったのである。

    作者:本山創助 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年8月19日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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