「学校行きたくねぇ」
秋月茜は真顔で呟いた。時は8月後半。夏休みもそろそろ終わり、世の学生達が一斉に憂鬱になる季節である。茜とて例外ではなかった。好きな時間に寝て好きな時間に起きて、毎日ゲームやり放題の素敵生活が学校始まったら終わってしまう。そもそも彼女は宿題も終わっていなかった。夏休みの間遊びまくったツケである。手付かずの宿題は山ほど。今更こなすことは既に諦めていた。どうせ今からやったって終わらない。だったら残り少ない夏休み、勉強以外のことに全力傾けたい。元々勉強苦手だし。
「でも、学校始まったらどうせ勉強しなきゃだしなー。ほんと行きたくねぇ……いっそ学校燃えればいいのにな……」
そこまで呟いた茜は弾かれたように立ち上がった。そうだ、学校燃やそう。
新学期始まるのが憂鬱だからって学校燃やしちゃダメだろ、という良心の叫びは、知性を失いつつある彼女には届かない。
炎を纏う獣と化した茜は、勢いよく夕闇の中へと飛び出していった。
「一般人が闇堕ちしてイフリートになる事件が、起きようとしています……」
夏休みも終わりに近づいてきたある日。桜田・美葉(小学生エクスブレイン・dn0148)がおずおずと告げる。
「闇堕ちしかけているのは、秋月・茜さん。中学生の方ですね。元々、勉強が苦手で……夏休みの宿題がまだ終わっていないこともあり、もうすぐ新学期始まるのがとても憂鬱だったようです」
その憂鬱さが原因で闇堕ちした彼女は、「学校、燃えればいいのに」という思いに突き動かされ、それを現実にすべく夜の学校へとひた走るのだ。
「もちろん、茜さんも学校燃やしちゃダメなことぐらい、分かってるはずです。ですが、イフリートになりかかったことで知性が失われてしまい……正常な判断ができなくなってしまって」
ただ、幸いにも彼女はまだ人としての意識を残している。今なら間に合う。だから。
「どうか、茜さんを止めてください」
美葉はそう言うと、帽子を押さえて深々と頭を下げた。
灼滅者達が頷くのを確認し、美葉は詳しい説明を始める。
「闇堕ちした茜さんは、先ほども説明した通り、夜の学校へと向かいます。皆さんは夜の学校で彼女を待ち構えて、倒して欲しいんです」
闇堕ち一般人を闇堕ちから救う為には『戦闘してKO』する必要があるから。彼女に灼滅者の素質があれば、倒しても灼滅者として生き残れるだろう。
また、「夜の学校で待つ」以外の方法で彼女に接触しようとすると、バベルの鎖に引っ掛かってしまう。学校でおとなしく待っていた方が良い。
「茜さんは闇堕ちして、炎を纏う四足獣の姿になっていますから、見間違うことはないでしょう。それに、もうすぐ新学期が始まるとはいえ、まだ夏休み期間中ですし。夜の学校には誰もいません。人払いなどに関して、気にされることはないと思います」
戦闘になれば、彼女はファイアブラッドと同じサイキックに加え、シャウトも使ってくる。なりかけとはいえ灼滅者8人を一人で相手できるほど強いから、油断はできない。
「ただ、茜さんの人間の心に呼びかけることで、戦闘力を下げることができるかもしれません……理性失いかけなので、どのくらい届くかは分かりませんが。やってみる価値はあると思います」
なので物理的に説得(攻撃)しつつ、思うところのある人は思いのたけをぶつけてみれば良いだろう。
最後に美葉はポツリと呟いた。
「……夏休みの終わりにちょっとブルーな気持ちになっちゃうのは、ボクも、分からなくはない、……かも……。で、でもだからって学校燃やしちゃダメだよね! スッキリした気持ちで新学期を迎えるためにも、茜さんのこと、よろしくお願いするね」
そして再び頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
深火神・六花(火防女・d04775) |
或田・仲次郎(好物はササニシキ・d06741) |
キング・ミゼリア(焦げてる・d14144) |
鬼神楽・神羅(鬼祀りて鬼討つ・d14965) |
大和・蒼侍(炎を司る蒼き侍・d18704) |
フィーネ・シャルンホルスト(黄昏の調べ・d20186) |
フェリシタス・ロカ(ティータ・d21782) |
山田・霞(オッサン系マッチョファイター・d25173) |
●夏が終わる
――夏が終わる寂寥か。
目を閉じて、鬼神楽・神羅(鬼祀りて鬼討つ・d14965)は思う。わからぬでも無いと。それはフェリシタス・ロカ(ティータ・d21782)も同じ。
「学校が始まる事を思うとユーウツになるのもわからなくはありませんけど、ね……」
こてりと首を傾げて言う。それはたぶん、学生の多くが休み終わりに思うこと。小麦色の髪を夜風に靡かせ、フィーネ・シャルンホルスト(黄昏の調べ・d20186)もうんうんと頷いた。
「勉強ってめんどうだよねー。なんであんなにいっぱい学校で勉強しなくちゃなのかなぁ。夏休みだって宿題とか要らないと思うのー」
「しかし、それを人間としての生の終わりに繋げるわけには行くまい!」
瞳を開き、神羅は強く言う。
「そうね。自分の望む時間が永遠に続けばいいと思うけど、永遠に続く事なんてないというのが永遠の真理なのよね」
キング・ミゼリア(焦げてる・d14144)もしみじみと語る。その傍ら、深火神・六花(火防女・d04775)は胸をそっと押さえた。夏が終わる寂寥感、学校が始まる憂鬱。しかし、茜が感じているのはそれだけではないのではないか、と六花は思うのだ。
(「彼女の燻りを感じる……私が、私達が点す」)
決意を込め、サイコロチョコを一つかじる。そんな中、或田・仲次郎(好物はササニシキ・d06741)は一人マイペースに笑って言った。
「とりあえずー、説得出来ればいいですよねーうふふ」
彼の言う通りだ。灼滅者達は頷き合い、所定の位置に着く。仲次郎をはじめとした誘導組は正門前に、待機組は正門端に。フェリシタスはグラウンドまでの距離や明るさを確認し、大和・蒼侍(炎を司る蒼き侍・d18704)はグラウンドで待機する。いつでも戦闘に移れるように、呼吸を整えて精神を集中させながら。
やがて。煌々とした炎の光を纏い、獣が正門から飛び込んできた。見紛うはずもない、あれが闇堕ちした茜だろう。
「夜ですがー、おはようございますー、まずはお話をっ!」
まずは仲次郎が手加減攻撃を加え、
「先ずは話を聞かれよ!」
神羅も注意を惹くべく手加減攻撃で叩く。
「本当に価値がないのなら、わざわざ拘る必要もないだろうに」
呟く山田・霞(オッサン系マッチョファイター・d25173)もそこに加わった。目指すはグラウンドへの誘導。
「私が、貴方に火を点けてあげます!」
駆け込む六花が、手加減攻撃で一撃浴びせた。とりあえず気を惹くことはできたらしく、茜はちらと灼滅者達の方を見る。だが、手加減攻撃では大した脅威でもないと判断したのか。そのまま校舎の方に向かって走り出した。
「待って、茜ちゃん! こっち、こっちだよ!」
たまらずフィーネが声を上げる。六花も、続けて炎を纏う蹴りを放った。
「王焔、咬み砕け!」
「余所見する暇なんてないぞ? 君の相手は、我々だ」
霞がシールドバッシュで殴りつける。怒りを付与され、さすがに無視できなくなったのか、茜はこちらの方に顔を向けた。
「そう、それでいいんですよー」
仲次郎も魔導書から原罪の紋章を放ち、茜に刻み込む。神羅が茜の退路を塞ぎ、半ば包囲するような形で攻撃しながらグラウンドへと誘導していった。誘導が成功したと見て、キングは後を着ける様に移動していく。フェリシタス、フィーネもだ。グラウンドで待ち構えていた蒼侍も、敵を見据える。
「……来たな」
日本刀を構え、最前線に立つ。灯を用意してきた者がめいめい灯をつけ、それが戦闘開始の合図となった。
●それでも
唸る茜が、噴出させた炎を霞に叩きつける。ごつい体と、巨大で無骨な盾でもってその炎を受け止めるが、それでも片足が地面に沈む。人を捨てかけているゆえのこの力、早く人に戻さなければ、とキングは地を蹴って茜に肉薄した。そして。
「茜ちゃんのバカッ!」
手加減攻撃しながらビンタをお見舞いした。これには驚いたようで、目を丸くしながらキングの方を見ている。そんな茜に、神羅も手加減攻撃しながら問うた。
「学校には嫌な事もあろうが、嫌な事以外の要素もあるのではないか?」
フィーネも前衛に向かって夜霧を展開しながら、共感するように言葉を投げかける。
「学校、というか勉強って嫌だよねー。わたしも勉強苦手だから、学校で勉強することが辛いのって分かる気がするの」
でも。
「でも、わたしは学校自体は好きなの。だって友達とおしゃべりするのは楽しいし、体育とか美術とか勉強って感じのしない授業もあるから」
そうそう、と仲次郎は頷く。
「それなのに秋月君はー、仲のいい友達とかーどうでもいいんだねーみんな秋月君に会うの楽しみに二学期登校してくるのにー」
挑発も交えながら攻撃し、仮・轟天号も機銃掃射を撃ち込む。カードを開放したフェリシタスは戦闘前の清楚な雰囲気はどこへやら。月下に髪をなびかせ、いっそ荒々しいほどに武器を構えて茜に突っ込んだ。それでも初手に浴びせるのは手加減攻撃、かける言葉も普段の猫被り仕様のままだ。
「長いお休みが終わってしまうのはユーウツですよ、ね。勉強の日々が戻ってきてしまう、そんな気がするんですもの……でも、茜ちゃん。学校には、勉強しかなかったです?」
「勉強以外に楽しいことは無かったのか?」
問いかけながら、蒼侍も日本刀で手加減攻撃を繰り出す。
「本当に壊したいのか、何が大事なのか、何を守りたいのか。自分で考えろ」
優しく突き放しながら霞も手加減攻撃し、六花は想いと手加減攻撃をぶつける。
「同じ血を持つ私には分かる! 学校を燃やすより、勉強よりもっとやりたい事があるのでしょう!?」
ここまで手加減攻撃が続くのは、説得が終わる前に誤って灼滅することのないように、という配慮からだった。しかし、相手はなりかけとはいえダークネス。ここまでの攻撃で、茜に怯んだ様子はない。手加減攻撃では威力が劣る上、回復できない傷を負わせることもない。攻撃を受けても、どこか余裕があるように見えるのはそのせいだろう。茜の咆哮が空気を震わすと、傷は次々にふさがっていく。獣の姿では表情は読めず、言葉が届いているかも分からない。諦めずに振るわれる灼滅者達の手加減攻撃はものともせず、茜は炎の奔流をこちらに放ってきた。その威力は灼滅者のものとは比べ物にならないほど高く、フィーネのビハインド、「夢幻の公」がカバーリングに加わっても幾人かが膝を突く。
「大丈夫っ!?」
すかさずフィーネが天使を思わせる歌声を響かせ、
「狛焔、群れ集う……」
六花も白き炎を放出させる。
「わーお、凄い攻撃ですねー、こんな攻撃したら学校全壊しちゃいそうですよー」
挑発するように言いながら、仲次郎は死角からの斬撃で足取りを鈍らせた。しかし、完全に足を止められるわけではない。茜の目が再び校舎の方に向いた。
「待ってくださ、い!」
フェリシタスが校舎までの経路を塞ぐように位置を取り、
「『学校』という場があったからこそアナタが手に入れたモノもあるはずよ!」
キングも進行方向を塞ぐ様に立ち、雷を撃つ。雷に撃たれ、校舎に向かおうとしていた茜が足を止めた。やはり手加減攻撃よりも、攻撃サイキックの方が効くらしい。
「手加減攻撃では埒が明かぬか……」
「予定より早いが……」
神羅が呟き、蒼侍が日本刀を構えなおす。説得の効果が見えるまでは手加減攻撃を続けたかったが、仕方ない。灼滅者達は本格的な攻撃へと舵をきった。
(「場合によっては灼滅も止むなし、か」)
霞は茜を見据えて思う。しかしまだ、全員が言葉を出し切ったわけではない。想いが届くことを願いながら、戦いは続く。
●届きますように
茜が再び炎の奔流を放つ。ディフェンダーの面々が庇い、そのダメージをフィーネが回復させていく。
「嫌だったら勉強は適当でも良いと思うのっ。学校って勉強より大切なことが沢山学べるところなんだよー」
回復しながら彼女は懸命に訴えかけた。
「獣を取り押さえるのも仕事のうちか」
神羅は腕を異形化させ、掴むように振るう。さらに仲次郎がカオスペインを放った。仮・轟天号も突撃し、怒りを増幅させていく。続けて飛び込んだ霞が茜の「死の中心点」を貫いた。無骨な左手首に、三色のミサンガが揺れる。
「夏休みに遊んだお友達との出会いは何処だったのです? 学校だったのではないですか? 茜ちゃん、学校って勉強だけじゃないと思うなのです、よ?」
優しく声をかけながらも、好戦的で勝気な雰囲気は崩さず。フェリシタスはクルセイドスラッシュで茜を切り裂く。フェリシタスの言葉に、キングも頷いた。
「学校で会った友達や好きな人、経験した色んな行事……学校があったからこその「楽しい事」じゃなくて?」
言葉と共にフォースブレイクをぶつける。キングに続けるように、蒼侍も淡々と説得した。
「学校を燃やせばその楽しいことができなくなる上に取り返しのつかないことになるぞ」
寡黙な彼だが、自分の考えはきちんと伝えて、日本刀を閃かせる。死角からの一撃が茜の防護を破った。そこに六花は炎を纏わせた緋焔刀「初芽」をもって飛び掛る。
「時間を忘れて血を燃やせる、そんな事が欲しいのでしょう!」
想いと炎を思い切り叩きつける。言葉が届いているのかいないのか。体を震わせ、茜もレーヴァテインを放った。敢えて避けなかった六花の体が炎に包まれる。それでもこらえて立って。
「さぁどうしたの!? 叫びなさい! 腹の底から! 魂を震わせ! 思う存分叫びなさい!!」
六花は叫ぶ。その言葉を聞いて茜は口を開いた。その口から出てくるのは獣の咆哮ではない。何か言いたげに口を動かす。意味のある言葉が出てくるわけではないけれど、今までとは明らかに違う反応だ。
「説得が効いてるのかもしれませ、んね?」
それを見てフェリシタスは呟く。霞も頷いた。
「あと、もう一押しだ」
二人の言葉に仲間も改めて戦意を奮い立たせる。言葉は、届いているかもしれない。その認識を共有して、灼滅者達は再び茜に立ち向かった。
「学校が燃えて無くなっても、友達には会えるかもしれない。でも「学校での楽しい事」はもう体験できないの!」
キングが鬼神変で殴りつけ、
「何より学校を燃やしても解決にはならぬし、その事は秋月殿自身が気付いている筈!」
神羅も「宙天ヲ崩ス理」で殴りかかる。
「秋月君だってみんなを傷つけたい訳じゃないんですよねー、今なら遅くは有りません、戻ってきましょー」
穏やかな笑みを浮かべながら、仲次郎は魔導書から禁呪を放った。土埃が舞い、茜が炎に包まれる。仮・轟天号が機銃掃射で足止めしてくれたのを見て、霞は鈍色の、硬く重そうなオーラを自らの拳に収束させた。
「守る為には必要な物も、失う物もある。辛い事もある。だがその道を選ぶなら、手助けくらいは自分達がやってやる」
炎をものともせず、凄まじい連打を繰り出す。
「それでも学校がつまらないなら武蔵坂学園に来てみろ」
蒼侍がそう言いながら、黒死斬で急所を絶った。
「勉強だけじゃないたのしいこと、すっごいたくさんあるよっ」
ふわっと笑みを浮かべ、フィーネも言う。放った夜霧が、優しく仲間達を包み込んだ。夢幻の公も霊撃でサポートに加わる。続くフェリシタスの影が、茜を覆った。トラウマを呼び覚まされ、苦々しげに頭を振る茜が背中から炎の翼を顕現させる。
「させぬ!」
すかさず閃光百裂拳で飛び込んだ神羅が、茜の力を砕く。次々に振るわれる攻撃は痛いかもしれないが、全ては人に戻すため。万感の思いを込め、キングは「Go down on the King」という名のマテリアルロッドを握った。
「アナタが人でなくなれば寝るのも起きるのもゲームもできなくなるもの。宿題が終わらなければアタシが手伝ってあげるわ! だからアナタが燃やすのは学校じゃなく、人としてのココロよッ!」
ロッドから放たれた雷が茜を撃つ。苦悶の声を上げ、茜はどうと倒れこんだ。体を纏っていた炎が段々と小さくなっていく。完全に炎が尽きた時、そこには獣ではなく一人の少女が伸びていた。
●そして新たな季節が始まる
炎が消えたのはいいが、彼女の命まで消えてしまってはいないだろうか。灼滅者達はおそるおそる倒れている少女に近づく。
「えっと、茜……ちゃん? 大丈夫?」
心配そうに声をかけるフィーネ。その前で、少女はむっくり起き上がった。
「やー、なんか俺完全におかしくなってたわー」
う~ん、と伸びをして、灼滅者達の方を見て屈託なく笑う。
「なんかよく分かんないけどさ、あんた達が助けてくれたんだろ? ありがとな!」
その笑みにフェリシタスは胸を撫で下ろした。ちゃんと戻ってこれたのだ。
「お帰りなさい、茜ちゃん」
笑顔で返し、神羅も祝辞を述べる。
「御見事。よくぞ戻って来られた」
先の試練を抜けられたのであれば宿題も出来よう、と少し冗談めかした口調で言うと、茜はひらひらと掌を振った。
「いや、今からやったって終わらねーし」
その台詞はキッパリと。勉強嫌いと怠惰は相変わらずだ。そんな彼女の顔を、六花は正面から覗き込む。
「勉強嫌いは構いませんが、学問ばかりが勉強ではありませんよ?」
そう言いながら右手を差し出す。握手を求められたのに気づき、茜も六花の手を握った。キングも少々フォローを加える。
「アナタは闇を振り払い、人へ戻った強い心の持ち主。怖いことなんて何もない。不安になるならいつでも助けてあげる」
そしてついでに、武蔵坂学園へスカウト。
「アタシたちは『武蔵坂学園』にいるの。勉強も少しはあるけどそれ以外の楽しい事が満載の場所よ。来ない?」
「学園に来れば何か別の楽しみを見つけることができるぞ」
自分が学園にいるのも復讐相手を探しやすいという理由だから。蒼侍もそのように述べて誘った。
「良ければ私達と一緒に来ません、か……? 歓迎します、よ?」
フェリシタスがそう言って手を差し伸べた時、フィーネが不意に手を叩いた。
「あっ、そうだよー。茜ちゃんは転校したら夏休みの宿題は出せないからセーフ、なの! うんうんっ、名案な気がするの!」
にこにこ笑うフィーネに、茜も目を輝かせる。
「おお、そいつは名案だな! よーし、行ってみるか武蔵坂学園!」
動機はやや不純だが。霞は少しだけ苦笑した後、率直な歓迎の言葉を述べた。
「ようこそ、武蔵坂学園へ。私達は君を歓迎するよ」
「おう、こっちこそよろしくな! あんた達と一緒なら退屈しなさそうだしな」
茜はにかっと歯を見せて笑う。
「新しい灼滅者、秋月茜君の誕生に乾杯!」
仲次郎は杯を掲げるような仕草をし、
「これにて一件落着ね! オーッホッホッホ!」
素に戻ったキングが高笑いでその場を締める。涼しげな秋の夜風が、夜の学校を吹き抜けていった。
作者:ライ麦 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年9月1日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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