露出こそ正義!

     エリ・セブンスター(たぶんおこってないよ・d10366)は、こんな噂を耳にした。
     『無理やり露出の多い服を売りつける都市伝説が存在する』と……。
     都市伝説は都内某所にある繁華街のブティックを根城にしており、強力な催眠によって露出度の高い服を買わなければならないような気持ちにさせているようだ。
     それが原因でみんな露出度の高い服を着ており、視線のやり場に困ってしまうような状況。
     そのため、服を着ている方が『恥ずかしい』と笑われてしまうような状況になっており、色々な意味で価値観が逆転しているようである。
     中には『そんな厚着をしているなんて有り得ない。ある意味、冒涜。喧嘩を売っているようなもの』と決めつけ、襲い掛かってくる者までいる始末。
     そういった意味で繁華街はカオスな状況と化しており、『露出こそ正義!』であるようだ。
     そういった意味で、無駄な戦闘を避けるためには、露出度の高い恰好をしている必要があり、都市伝説に近づくためには、裸に近い恰好でなければならない。
     都市伝説自体は服を脱がせる事くらいしか出来ないため、近づく事さえ出来れば容易に倒す事が出来るだろう。


    参加者
    宗岡・初美(鎖のサリー・d00222)
    エリ・セブンスター(たぶんおこってないよ・d10366)
    ケイネス・ウィンチェスター(狂愛のトルッファトーレ・d19154)
    レイア・クロフォード(神無き神の信仰者・d22191)
    神楽坂・奏(ナインテイルトランサー・d22742)
    ルフィア・エリアル(廻り廻る・d23671)
    ユリアーネ・ツァールマン(夜天を駆ける凶鳥・d23999)
    黒乃・夜霧(求愛・d28037)

    ■リプレイ

    ●正義の露出
    「それにしても、何故こういうのが沸くのだろうか。やっぱり、夏だからかな?」
     宗岡・初美(鎖のサリー・d00222)は仲間達と共に、都市伝説が確認された繁華街に向かっていた。
     都市伝説は繁華街にあるブティックを根城にしており、催眠を使って露出度の高い服を売り捌いているようである。
     催眠状態に陥った女性達は『露出こそ正義!』という考えに至り、わざわざ露出度の高い服を好んで着るようになってしまうらしい。
     そのため、街はカオスと化しているものの、男性達にとっては、束の間のパラダイスになっているようだ。
    「まあ、暑いからな、それに夏だ。……大胆になるのも仕方があるまい。そう、夏だからな。露出が多くなるのも仕方がないさ。……ん? 仕方がないのか?」
     ルフィア・エリアル(廻り廻る・d23671)が、不思議そうに首を傾げた。
     暑さが悪いのか、それとも別の要因があるのか分からないが、どちらにしても何らかの形で、暑さと露出が絡んでいた事は間違いなさそうである。
     しかし、ルフィアはあえて冬服の制服にジャケットを着込んで依頼に参加した。
     もちろん、暑い。シャレにならないほどに!
     それでも、我慢、我慢である!
     これさえ着ておけば、間違いなく狙われる。
     催眠状態に陥った女性達の興味を引く事が出来る……はず。
    「アフリカンパンサー……、都市伝説の強さの源は『露出』であると私は考えた! 故にその神秘に近づけるかも知れない!」
     神楽坂・奏(ナインテイルトランサー・d22742)が、握り拳で叫び声を響かせた。
     間違いない、露出こそ正義。露出こそ、パワー!
     都市伝説は脱げば脱ぐほど強くなる流派を学んだ者か、その関係者!
     故に、都市伝説から学ぶものも多く、何か新しい必殺技を会得する事が出来るような錯覚を受けた。
    「それに、露出が多い方が、都市伝説に近づきやすい……。あえて露出を少なくしていけば、囮になれるかも知れないしね」
     ユリアーネ・ツァールマン(夜天を駆ける凶鳥・d23999)が、あえて普段の格好(フード付きの黒のロングコート)で気合を入れる。
     逆に考えれば露出を低くした方が、都市伝説に狙われやすい。
     場合によっては、取り巻き達の注意を自分に向ける事が出来るだろう。
    「ろ、露出の高い、服ですか。……とは言え、私には、これが限界、です……」
     レイア・クロフォード(神無き神の信仰者・d22191)は、シースルーのサマーニットにへその出るキャミソール、デニムのショートパンツ姿で頬を染めた。
     だが、これで安心は出来ない。むしろ、嫌な予感しかしない。
     都市伝説の催眠の影響によっては、もっと露出する事になるのだから……。
    (「ううっ……、女子ばっかで気まずいし、居心地悪い。……男子来い、男子」)
     ケイネス・ウィンチェスター(狂愛のトルッファトーレ・d19154)が水着姿で、祈るような表情を浮かべた。
     ……気まずい。実に気まずい。
     居心地が悪過ぎて、心が死にかけている。
    「……ま、まあ、必要なら幾らだって脱いであげるよ☆ ボクにお任せだよ♪」
     黒乃・夜霧(求愛・d28037)が、ニコッと笑う。
     だが、冷静になって、ドッキリ!
    (「わ、私は何を言って……! こ、これ以上の露出はちょっと嫌です……!」)
     もう嫌な予感しかしない。嫌な予感が団体で、吹雪の雪山を登っているようなものである。
     同じような台詞を都市伝説の前で吐けば、間違いなく露出。場合によっては全裸にされる!
     そう考えると、無理! そんな台詞……吐ける訳がない。
    「……あれ? この店、見覚えがあるような気が……。たしかコスプレ衣装を……うっ、頭が!」
     そんな中、エリ・セブンスター(たぶんおこってないよ・d10366)は、都市伝説が確認されたブティックの前に立ち、気まずい様子で汗を流した。
     最初は単なる気のせいだと思ったが、この店……間違いなく見覚えがある!
     もしかすると、都市伝説にあった事があるかも知れない、何となく。
     その途端、嫌な予感が団体様ご一行で火口に向かって、全力でダイブしている姿が脳裏に過ぎった。

    ●ブティック店内
    (「ううっ……、気まずい。シャレ抜きで居心地が悪い……!」)
     ブティックに足を踏み入れたケイネスは、そのまま回れ右をして帰りたい気持ちになった。
     どこを見ても、女性客しかいない。
     しかも、みんなほとんど裸。もしくは裸に近い恰好だった。
     これでケイネスがエロスの波動に目覚めし者であったのならば、喜びに身を震わせていたことだろう。
     だが、ケイネスは違っていた。
     とにかく、早く帰りたい。せめて服だけでも着てほしい、と……。
    「さあ来い、民衆共。厚着はここにいるぞー!」
     すぐさま、ルフィアが大声を上げる。
     途端にまわりにいた女性達が、瞳をキュピィーンと輝かせた。
    「何故、服を着ている……の。今は夏なのに……」
     女性達が何かに取り憑かれたような表情を浮かべて頭を揺らす。
    「だからどうした。間違っても脱がすなよ、どんな事があっても……」
     ルフィアが女性達に釘をさす。
     これはある意味、礼儀作法。
     脱がすな、と言いつつ、女性達の注意を引く作戦。
     案の定、女性達がフラフラと虚ろな表情を浮かべて、ルフィアの傍に近づいてきた。
    「……って、まさか、こっちにまで! ……いや、脱ぐのが嫌なわけじゃないけど……!」
     ユリアーネがハッとした表情を浮かべる。
     だが、女性達はおかまいなし。
     まるで血の飢えたケダモノの如く、黒のロングコートを剥ぎ取った。
    「ろ、露出……みんなですれば怖くない、かな」
     初美が苦笑いを浮かべる。
     念のため、影業で体の表面を覆うように薄く展開したのだが、気のせいか裸でいるよりも恥ずかしい。
    「ちょっ、ちょっと、待ってください!」
     夜霧が肌の露出が多めの戦闘服のようなスーツ姿で悲鳴を上げる。
     ただでさえ、露出が高いような恰好をしているにも関わらず、女性達に襲われているという事は間違いなく全裸ルート!
     それに気づいた夜霧が顔を真っ赤にして、涙目になった。
    「や、止めて、くださ……ひぃん! し、下着はっ! 下着は返してくださいっ!」
     レイアも内股になって悲鳴を上げる。
     それでも、女性達は下着を返さず、欲望の赴くまま。
     都市伝説と思しき女性は、それを眺めて満足げに笑みを浮かべていた。
    「服を着ている君らが悪いのだよ。……ここは犠牲になってもらう」
     それに気づいた奏が仲間達を飛び越え、都市伝説と思しき女性の前に立つ。
    「おお、やるじゃねえか。仲間達を囮にして、アタシの前に来るとはな! 嫌いじゃないぜ、そういうの」
     都市伝説と思しき女性がニヤリと笑う。
     明らかに他の女性とは異なる雰囲気と殺気。
     まるで首元に鋭利な刃物を当てられているような感覚。
     ……間違いない。目の前の相手が都市伝説。
    「やっぱり、押しつけは良くないよね? いや、胸の事じゃなくてね」
     エリもリングコスチューム姿で、都市伝説をジロリと睨む。
    「あれ? お前は……確か……」
     都市伝説が何かに気付く。
    「わーわーわー!」
     エリが慌てた様子で、都市伝説の言葉を遮った。
    「……たくっ! 面倒臭ぇな」
     都市伝説が溜息混じりに、指をパチンと鳴らす。
     それと同時に女性達がレイア達から離れ、今度はエリ達に群がってきた。
    「しっかりしてください!」
     すぐさま、レイアが女性達に声をかけ、清めの風を発動させた。。
     その影響で女性達は我に返り、自分の格好に気付くと、悲鳴を上げてその場から逃げ出した。

    ●連続脱衣
    「まさか、取り巻き達がこんなに呆気なくやられるとは……。なかなか、やるじゃねえか。でも、まだだ。まだ何も終わっちゃいねぇ!」
     都市伝説が含みのある笑みを浮かべて、間合いを詰める。
    「……って、ちょ、引っぺがすの、やめ……っ!」
     その途端、ユリアーネが青ざめた表情を浮かべた。
     ……間違いない。都市伝説は服を脱がす気だ。
     何の躊躇いもなく服を引き千切り、全裸にするつもりなのである。
     それに気づいたユリアーネが、文字通り最後の一枚を死守するため、必死になった。
    「おいおい、何を躊躇っているんだ? 脱いじまえよ、裸になれば楽だぜ、きっと!」
     だが、都市伝説は容赦なし。
     先程の女性達よりも乱暴に、ユリアーネの服を脱がそうとしていた。
    「そこまでだよっ! そんなに服を脱がしたいのなら、僕を……!」
     初美がそう言い終わる前に、都市伝説が迫ってきた。
     しかし、思うように脱がす事が出来なかったため、八つ当たり気味に奏の服を脱がそうとした。
    「見える! 見えるぞ! 私にも敵が見える!」
     奏が素早い身のこなしで、都市伝説の攻撃を避けていく。
     都市伝説の攻撃は当たらなければ、どうという事もなく、その動きも読みやすかった。
    「よし、これでバッチリ!」
     その間にエリがビキニアーマーを着込む。
    「な、なんで、ビキニアーマー!?」
     都市伝説が思わずツッコミ。
     どうして、この状況でエリがビキニアーマーを着たのか、まったく理解する事が出来ないようである。
    「今のブームは爆乳帝国よりもビキニアーマー。そう、乳に巨も貧もない! まあ、似合う、似合わないはあるけどね?」
     都市伝説に対して言い放ち、奏がホーミングバレットを撃ち込んだ。
     それに気づいた都市伝説が一気に間合いを詰め、再び奏の服を脱がそうとした。
     奏はあえてその攻撃を受けて脱衣する事で軽量化を図り、通常の三倍のスピード(気分的に)で動いて都市伝説を翻弄した。
    「いや、訳が分からねーし! 一体、何なんだよ、今日は……!」
     都市伝説がイラついた様子で愚痴をこぼす。
    「はよ終わらして、はよ服着る。……じゃから、さっさと消えろやボケ」
     すぐさま、ケイネスが都市伝説に戦艦斬りを叩き込む。
     それに合わせて、夜霧が自分の肌を隠しつつ、鏖殺領域を展開させた。
    「……まったく! お前のせいで、こんなに季節外れの格好をさせられたんだぞ?? 責任とって殴られろ。いや、殴らせろ!」
     ルフィアが全裸に近い恰好で、都市伝説に殲術執刀法を仕掛ける。
    「ちょっ、ちょっと、待っ……」
     都市伝説がそう言い終わる前に、奏が放ったご当地ビームを喰らい、何やらギャーギャーと喚きつつ、壁にめり込むようにして消滅した。
    「ちょ、ちょっと、焦っちゃいましたね、急な事でしたから! ふ、普段はバンバン脱げるんですからね!」
     都市伝説が消滅した事を確認した後、夜霧が慌てた様子でスーツを掴む。
     油断していたとは言え、まさかこんな目に遭うとは予想外。
     一応、ケイネスが気を使って視線を逸らしてくれているが、その理由を考えると逆に恥ずかしい気持ちになった。
    「あ、あの……服は……どうしましょうか……? ここに置いてあるのは、下着のような服ですし……」
     レイアが気まずい様子で汗を流す。
     まわりにある服はどれも露出に特化した奇抜なものばかり。
     そのため、紐のような服や、穴の開いた服しかなく、そのまま着て帰るには抵抗があった。
    「とりあえず、重ね着する事で、露出を最低限にするしかない……かな」
     エリが苦笑いを浮かべて頬を掻く。
     組み合わせ次第では、オシャレに見えなくもない。
     ある意味、罰ゲームのような気もするが、気にしたら負けである。
    「そのうち、空飛ぶビキニアーマーや、ビキニアーマーの女戦士の都市伝説が現れるかも知れない」
     そう思いつつ、奏がどこか遠くを見つめて、現実逃避をするのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年8月21日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
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