オレンジ色が美味しい証! 夕張メロン怪人のご馳走!

    作者:飛翔優

    ●夕張メロン怪人ハニービーメーロン
     黄緑色の皮に小さな包丁を差し入れれば、果汁がみずみずしくにじみ出る。オレンジ色の果肉が甘い香りと共に顔を出し、人の心を奪っていく。
     それが、夕張メロン。
     愛しすぎたが故か、北海道夕張市で一体のご当地怪人が活動を開始した!
    「ロロロロロロロロロ! さあさあ、夕張メロンを食べるんだメー! 全部全部美味しいんだメー!」
     名を、夕張メロン怪人ハニービーメーロン。
     夕張メロンの頭、おしりにミツバチの針と言った形状のご当地怪人は、配下に小学生をさらわせては夕張メロンをごちそうする。拒否した者に対しては、その口に無理やりねじ込んでいく。
     魅力を伝える、全ての道は子供から。ゆくゆくは世界征服へとつなげるため、地道な(ハニービーメーロン談)活動を続けるのだ!

     散歩の途中、公園のベンチに腰掛け小休止を取っていた八重沢・桜(泡沫ブロッサム・d17551)。ふと、噂を纏めたメモの事を思い出し、静かに目を通していく。
     夕張メロン怪人と記された項目で手を止めて、静かなため息を吐き出した。
    「確かに、メロンは食べたいです。ですが……」
     無理矢理は良くないと、小さく頷き立ち上がる。メモを荷物に仕舞いこみ、武蔵坂学園の方角へと足を向けていく。
     エクスブレインへと伝え、解決策を導くために……。

    ●夕暮れ時の教室にて
    「それでは葉月さん、後はよろしくお願いします」
    「はい、桜さんありがとうございました! それでは早速、説明を始めさせていただきますね」
     倉科・葉月(高校生エクスブレイン・dn0020)は桜に頭を下げた後、灼滅者たちへと向き直った。
    「北海道夕張市にご当地怪人、夕張メロン怪人ハニービーメーロンが出現しました」
     本来、ダークネスにはバベルの鎖による予知能力があるため、接触は困難。しかし、エクスブレインの導きに従えば、その予知をかいくぐり迫ることができるのだ。
    「とはいえ、ダークネスは強敵。色々とあるご当地怪人といえど、です。ですのでどうか、確実な行動をお願いします」
     葉月は地図を広げ、小学校近くの裏通りを指し示した。
    「皆さんが赴く日の夕刻頃、ハニービーメーロンはこの辺りで活動を開始します」
     ハニービーメーロンの目的、それは夕張メロンの魅力を広めること。ゆくゆくは世界征服を果たすこと。
     その足がかりとして、子供をターゲットに選んだ。ハニービーメーロンは、帰宅途中の子供を配下にさらわせて、どこかに設けてある拠点へと運ばせる。そこに用意しておいた夕張メロンを振る舞い、魅力を伝えようとしているのだ。
     ただし、拒否した子供に対しては無理やり……という形でだが。
    「ですので手段は二つ。一つは小学生、あるいは小学生に見える方が囮となり、配下にハニービーメーロンの居場所を案内させる方法。もう一つは、周囲を虱潰しに探しハニービーメーロンの拠点を探り当てる方法」
     前者の場合、ほぼ万全の状態で仕掛けることができるだろう。
     一方、後者の場合、時間をかけ過ぎた場合は無関係の子供が巻き込まれている恐れがある。そのため、子供を逃がす手段も構築しておく必要があるだろう。
    「そして、どちらの集団を選ぶにせよ戦いになりますね」
     敵戦力はハニービーメーロンの他、メロン帽子を被った配下が三名。
     ハニービーメーロン、姿はメロンの頭、おしりにはミツバチの針といった形状のご当地怪人。力量は、配下がいる状態ならば八人を相手取れる程度。
     役割は攻撃役。夕張メロンをまるごと投げて加護を砕く夕張メロンアタック。ミツバチの針でぶっさすハニービーニードル。己か配下たちの攻撃補助となる夕張メロン色のミツバチを作り出すメーロンハニービー、の三種の技を使い分けてくる。
     一方、配下は防衛役。夕張メロンの皮で構築された盾を掲げての攻防一体の攻撃、夕張メロン皮盾アタックを仕掛けてくる。
    「以上で説明を終了します」
     地図など必要な物を手渡し、続けていく。
    「夕張メロン。落ち着いた甘さとみずみずしさが何よりも魅力な、素敵なデザート。普通に食べれば美味しくて、きっと好きになる、そんな味」
     しかし、と締めくくりに移行する。
    「ハニービーメーロンのようなやり方では、きっと嫌いになってしまいます。ですのでどうか、全力での灼滅を。何よりも無事に帰ってきてくださいね? 約束ですよ?」


    参加者
    村山・一途(紅蓮破断・d04649)
    立花・銀二(黒沈む白・d08733)
    篁・アリス(梅園の国のアリス・d14432)
    八重沢・桜(泡沫ブロッサム・d17551)
    雨宮・栞(雨と紡ぐ物語・d23728)
    常儀・文具(バトル鉛筆・d25406)
    八神・結芽(断章より来たる子・d26640)
    二十世・紀梨(暴走梨ガール・d27369)

    ■リプレイ

    ●夕焼け色の果実
    「……はい、その通り。美味しいメロンが食べられますので、どうぞこちらへ……」
     子どもたちが帰路をたどり始める夕刻頃。メロン怪人ハニービーメーロンの配下たる、メロンの帽子を被りし三人の大人たちは、懇切丁寧な物腰で篁・アリス(梅園の国のアリス・d14432)、常儀・文具(バトル鉛筆・d25406)、八神・結芽(断章より来たる子・d26640)ら囮役を担う小学生三人の手をとった。
     概ね優しい、故に危険な光景を眺めながら、八重沢・桜(泡沫ブロッサム・d17551)は物陰に隠れて後を追う。
    「……なんだか悪のアジトを突き止める、ヒーローですね……かっこいいです……!」
     一人感動に浸る中、立花・銀二(黒沈む白・d08733)は好奇心に任せて近づいてきた子どもたちを追い払っていた。
    「あっちには怖い人がいるので、早くお家に帰りなさい」
    「えー」
     子どもたちはどこか不満げながらも、真剣味を感じ取ったのか唇を尖らせながら夕暮れの彼方へと向かっていく。
     さなかにも追跡は続き、徐々にひと気のない……代わりに甘い匂いが香ってくる通りへと到達した時、不意に二十世・紀梨(暴走梨ガール・d27369)が呟いた。
    「メロンっていやぁ果物の代表格。それも夕張メロンっていやぁ有名どころ中の有名どころ! だけどなぁ……無理やり食わせるメロンにゃあ負ける気なんて一つもなしだぜ! 梨だけにな!」
     キラリと歯を輝かせながらのドヤ顔を、果たして仲間たちはどんな風に受け取っただろうか?
     語らう暇もないままに、状況は次の段階へと移行する……。

     裏通りの奥、大きな塀に囲まれている行き止まり。
     小さなテーブルを指し示すメロン頭とお尻に生えたミツバチの針と言った姿を持つ、その名もメロン怪人ハニービーメーロン。
     ハニービーメーロンは机に載せたメロンを指し示し、元気な声を張り上げた。
    「ロロロロロロロロロ! さあさあ、夕張メロンを食べるんだメー! 全部全部美味しいんだメー!」
     配下たちがうんうんと頷いていく傍らで、文具は周囲の状況を伺っていく。幸い、他に攫われてきた子どもたちは居ないようだと、安堵の息を吐き出していく。
     一方、結芽は喜びの声を上げながら、アリスと文具の手を引き席についた。
     間を置かずに差し出されしは、緑色の皮に守られしオレンジ色の果肉。夕焼けを浴びて瑞々しく輝き出す、夕張名物夕張メロン!
     置かれていたスプーンを手にとって、結芽はひとさじすくって口へと運ぶ。
     口の中に広がる、汁気たっぷりの深い甘さ。
     遅れて伝わってくるメロンの香り!
     頬に手を当て、蕩けるような笑顔を浮かべていく。
    「ふぁぁぁぁぁ……♪ こんなに美味しい果物、初めて食べるんだよぅ……♪」
     実際に、初めて食べた夕張メロン。ご馳走だと言うのもうなずけると、更に食を進めていく。
     程なくして、アリスが最後の一口を食べ終えた。
    「んー、甘いのよー」
     ペコリと頭を下げながら、お皿を前へと押し出していく。
    「おかわりを所望するのよ!」
    「ロロロロロロロロ! もちろん、存分におかわりして言ってほしいんだメー!」
     首尾よくおかわりをゲットして、再び食べ始めていく。
     それも終わる頃、追いかけてきた仲間たちの準備が整った気配を感じた。
     二人へ視線を送り促せば、まずは結芽が立ち上がる。
    「メロン御馳走様なんだよぅ! でも、こんな広め方だと嫌いになっちゃう子だっているから……止めさせてもらうね!」
    「メー!?」
     さなかにはアリスも立ち上がり、グローブをぎりりと握りしめた。
    「変身!!」
     派手な蒼い戦闘服に武装して、赤いマフラーをたなびかせる。
     距離を取り、仲間たちと合流しながら、ビシッとハニービーメーロンを指し示す。
    「夕張メロン怪人ハニービーメーロン! きさまの好きにはさせないぞー!」
     総計八人とサーヴァントの姿を前に、ようやく状況を理解したのだろう。ハニービーメーロンは配下を呼び集め、机などを奥へ押しやった後、改めて灼滅者たちへと向き直る。
    「ロロロロロロロロ! 騙されたけどメロンを美味しいと言ってくれたから許すんだめー! だけど、敵とあらば仕方ないんだメー! このハニービーメーロン様が、夕張メロンの美味しさを思い知らせてやるんだメー!」
     メロンを巡る戦いが、夕焼け色に染まりゆくメロンの匂いが香りし行き止まりにて開幕する……!

    ●メロン軍団は黄昏に
     両陣営はにらみ合い、仕掛ける機会を伺っていく。
     風の訪れと共に、機先を制したのは灼滅者、村山・一途(紅蓮破断・d04649)。
    「残念ですけど、あなた達はここまでですよ。終わらせましょうか。愛がエゴとなる前に」
     敵陣に殺気を浴びせかけ、自らの力を高めていく。
     さなかに桜が飛び出した。
    「メロン……みずみずしくて甘くて……とろけるおいしさですよね……。そのまま食べてもおいしいですし、お菓子の添え物にもつかえますし……素晴らしいです……」
     ですが、と瞳を細め、螺旋状の回転を加えた槍を先頭に位置する配下に向かって突き出していく。
    「夕張メロンは夕張キングとも呼ばれる果物……そんな高貴なお方を無理矢理だなんて……失礼ですっ」
    「ロロロロロロロロ! 何を言うメー。高貴だからこそ、下々である我々が動くんだメー! それでは、そろそろ反撃」
    「させませんよ」
     動き出そうとしたハニービーメーロンの右腕を、雨宮・栞(雨と紡ぐ物語・d23728)の手刀が切り裂いていく。
     動きを鈍らせていくハニービーメーロンを横目に、配下がメロンの皮で構築されている盾を掲げて突撃してきた。
     攻防一体の一撃をいなしながら、灼滅者たちは攻撃の手を進めていく。
     ハニービーメーロンも配下に守られながら、夕張メロンをまるごと投げる夕張メロンアタックを、ミツバチの針でぶっさすハニービーニードルを仕掛けてくる。時には夕張メロン色のミツバチを作り出し、己や配下たちの攻撃力を高めていた。
     逐一ミツバチを潰してダメージを最小限に抑えられるよう務めてきたけれど、治療専任者がナノナノ一人だけでは流石に足りない。庇う者が複数人いて尚、全てをカバーするには至らない。
     代わりに攻撃特化の者が多い。結果、ノータイムの殴り合いというべき状態で戦いは推移していた。
     結果、加護を砕かれながらも、めげずに守りの力を高め続けていた配下の一人を撃破することに成功する!
     次へ向かう一手として敵陣に結界を張り巡らさせながら、銀二は声を上げていく。
    「メロンは高級で美味しいのです! ですが無理強いはいけませんから成敗します! それはそれとして、ナノナノは回復をしていくのです!」
     結界が配下たちの行動を制する中、ナノナノは文具の治療へと向かっていった。
     すれ違うように、アリスはやりのような見た目の紅の杖を構えていく。
    「夕張メロンもおいしかったけど、うちも負けてないのよー!」
     右側の配下を衝き上げて、制止。
    「ボルトッ! クラァァッシュ!!」
     爆発する魔力に踊らされ壁へと叩きつけられた配下が動きを止める中、ハニービーメーロンは夕張メロンを掲げていく。
    「よくも、よくもやってくれたメー! これはお返しなんだメー! 夕張メロンアタック!」
     アリスを狙い、勢い良く投げられた夕張メロン。文具が間に割り込んで、体の中心でキャッチ! 五歩分ほど押し返され、靴から煙を上げながらも、問題ない様子で立ち上がる。
    「糊、行くよ!」
     霊犬の糊に呼びかけながら、セロハンテープを模した手甲を起動。放つ力で、ハニービーメーロンたちをぐるぐる巻きにした。
    「ぐ……」
     呻くハニービーメーロンをよそに、糊は咥えているカッター型の斬魔刀で配下の盾を切り裂いていく。
     よろめいた先には紀梨がいた。
    「さあさあ、壁まで吹っ飛びやがれぇ!!」
     長い棒にでっかい梨がくっついているようなハンマーを振り回し、よってきた配下を打ち返す。
     配下は電柱へと叩きつけられて、メロン帽子をずり落としながら昏倒した。
     残るは怪人、ただ一人。
     結芽は素早く向き直り、逆十字を刻み始めていく。
    「それじゃ、覚悟するんだよぅ!」
    「ぐぬぬ……」
     悔しげな声を聞きながら、討伐に向かって動き出す……。

     配下を失いしハニービーメーロン。攻撃の勢いこそ変わらぬけれど、防御面はとても脆かった。
     みるみるうちに傷ついていくハニービーメーロンを前に、唯一輝き続けている針を眺め、桜は小首を傾げ尋ねていく。
    「蜂って、おしりの針を抜かれたらお亡くなりになると聞くのですが……ハニービーメーロンさん、あなたはどうなのでしょうね……? ちょっとした夏休みの自由研究に……試させてください……ねっ」
    「ロロロロロロロロ! わかったメー、それじゃあ受けてみるんだメー! ハニービーニードル!」
     調子よく対応し、仕掛けてきたハニービーニードル。腰を引いて刺されることなく受け止めて、押し返しながら足を上げた。
    「それじゃあ改めて、あなたのお顔に、網目をつけてあげますね……!」
    「うおおいメー!?」
     仰け反りながらの突っ込みも気にせずに、桜は夕張メロン、メロン、メロンパン……と、燃えるキックを頭に叩き込んでいく。
     体中を炎上させ、よろめきながらも体勢を整えようとしているハニービーメーロンの懐には、梨のようなハンマーを振るう紀梨が飛び込んだ。
    「夕張メロン? なんだそれ、聞かねぇ果物だな。美味いの? あ、美味くないよな、無理やり食わせるぐらいだもん。梨のが数十倍うめぇぜ!」
    「なんだとメー!!」
     土星を浴びながらもなんのその。ニヤリと口の端を持ち上げながら、梨の背中? から果汁が弾けだすかのごとくロケット噴射を放っていく。
    「それじゃぁ、スイカ割りならぬメロン割だぜぇっ!」
     ぐるんぐるんと振り回し、ハニービーメーロンの頭へとぶちかました。
     壁際までふっとばされ、尻もちをついていくハニービーメーロン。よろめきながらも立ち上がり、大地を蹴る!
    「まだまだだメー! ハニービーニードルを」
    「っと」
     半ばにて、一途は剣を振るいハニービーメーロンをたたき落とした。
    「メー!?」
    「そうやって押し付けたって、愛は育ちませんよ。あなただった、他のものを今から好きになれ、なんて言われたって困りますよね?」
     淡々と告げながら体を捻り、炎に包まれし脚で後ろ回し蹴りを放っていく。 
     さらなる炎に包まれていくハニービーメーロンを眺めながら、文具は告げた。
    「そろそろ観念して下さい! もう、逃げ場はありません! ……糊!」
     糊にも呼びかけながら駆け出して、そろばんのようなエアシューズローラーを回転させ速度を上げる。
     最高速まで至った時、糊が斬魔刀を振るうタイミングに合わせ、跳躍。
     時間差でジャンプキックを叩き込んだ。
    「ぐ、メー……」
     こらえきれず、よろめくハニービーメーロン。抗わんというのか、虚空に手をかざしエネルギーを集めて始めていく。
     が、半ばで霧散した。
     栞が、魔力の弾丸を撃ち込んだから。
    「……メロンは美味しいと思いますけど、無理矢理に勧めるのは駄目ではないでしょうか……?」
    「ぐぬぬメー……」
     動けぬからか、あるいは反論もできぬからか、ハニービーメーロンは苦しげなうめき声を上げていく。
     構わず栞は微笑んで、仲間たちに総攻撃を仕掛けるよう伝えていく。
     元よりそのつもりと、銀二は虚空に向かって蹴りを放った。
    「メロンの匂いをかぎすぎてメロン食べたくなったのです。だから早く倒れるのです!」
    「く、この……」
     生み出されし突風が、ハニービーメーロンの体を押し戻しよろめかせる。
     すかさず結芽が腕を砲塔化させ、酸の砲弾を発射した。
    「いっけぇぇぇ!」
    「三千の梅の力を借りて!」
     守りを暴いた時、アリスが高く、高く飛び上がる。
    「水戸六名木! 月影キィィィィィィィックッ!!」
     急角度のキックを放ち、ハニービーメーロンの首筋へと突き刺した!
     ハニービーメーロンは壁際まで吹っ飛んで、膝を崩しながら空を仰ぐ。
    「ぐ……だけど、夕張メロンが美味しい事に違いはないメー……どうかあの夕日のように鮮やかな夕張メロン、いっぱい、いーっぱい食べて欲しいんだメー……」
    「……成敗!!」
     ハニービーメーロンの言葉が途切れるとともに、アリスはポーズを決めた。
     直後、ハニービーメーロンは爆発し、甘い香りをまき散らしながら消滅する。

    ●美味しいことに違いはないのだから
     灼滅者たちは傷を癒やし、元配下たちを介抱して帰路を辿らせた。その頃には街灯も付き始め、帰還をしなければならない時間帯となっていた。
     しかし、まだやることがあると栞は向かう。
     最奥へ、ハニービーメーロンが夕張メロンを提供していた机の側に残された荷物の元へ。
    「どうやらメロン、頂けるみたいですね」
     それはクーラーボックス。
     中にはきれいに切り分けられた夕張メロンの数々が。
     全てを机に載せ、灼滅者たちは食べ始めた。
     一途は暫し眺めた後、瞳を細め口へと運んでいく。
     ――きっと、おいしくなあれも必要ない。
    「……ほら、だから言ったでしょう。普通に勧めればいいのにって」
     ため息を付きながら、美味しい……と軽く微笑んだ。
     深まっていく夜とは対照的に、夕張メロンはオレンジ色に輝き続けている。
     己の甘さを、美味しさを示すように。食べて欲しいと、精一杯主張しているかのように。

    作者:飛翔優 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年9月5日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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