●武蔵坂学園内掃討戦~闇の眷馬暴れ
8月の末に繰り広げられた、武蔵坂学園のサイキックアブソーバー強奪作戦。
無事に武蔵坂学園側の勝利に終わったその大戦に、息をつく暇は……無かった。
武蔵坂学園の中を駆けるは、黒き姿と、不気味な魔力を抱いた黒馬……ヴァンパイアの眷属、ペイルホース。
廊下を逃げ道を探して走り回るが……中々、その退路を見つける事が出来ない。
校舎の中を上に下に走り回り、そして……ペイルホースは、両足を上げて、威嚇するように扉をぶち破ったりして、暴れ回るが……次第に、動ける場所も限られてきて、ペイルホース達は……低いうなり声を上げて、威勢を付ける様に、蹄を振るわせるのであった。
「みんな、集まったね? まずは早速だけど、サイキックアブソーバー強奪作戦、みんなお疲れ様! 本当みんなの力のお陰で、サイキックアブソーバーが奪われずに済んだよ! ありがとうね!」
ニコリと微笑む須藤・まりん。
一時は、学園の危機が近づいたその事件……勝利を収められたことについては、まずはほっと一息といった所だろう。
「ヴァンパイア達の作戦が失敗した事で、爵位級吸血鬼と共に、多くの戦力は武蔵坂学園から撤退していったんだ。でも、敵全部が撤退出来たわけではなくて、撤退に取り残されたダークネス達は武蔵坂学園に取り残されてしまったんだよ」
「そして今、取り残されたダークネスは、校舎内や、校内の施設に籠城したり、潜伏したりしている状態なんだ。そこで皆には、学園内にいる、残った敵を掃討する作戦をお願いしたいんだ」
そしてまりんは、今回の相手の説明を加えていく。
「今回、みんなに退治してきて貰うのは、吸血鬼の眷属、ペイルホースという黒い馬が3体になるよ」
「このペイルホースは、死の馬とも称される、不気味な魔力に満ちた黒馬なんだ。頭部に浮かび上がった頭鎧は、その肉体に刻まれた青白い『死の刻印』と連動して、魔力と運動能力を高めているようなんだ」
「勿論、馬の姿をしているからこそ、動きは素早く、暴れ回る足から繰り出される蹴打はとても強力な一撃だろうね。この直撃を受ければ、即重傷……という可能性も充分にあり得る位に危険な攻撃だから注意して欲しいんだ」
「勿論素早いという事は、攻撃を躱す事も充分に考えられる。如何に動きを制限しつつ、敵を倒すか……というところがポイントになると想う」
そこまで言うと、まりんは。
「彼らは学園に取り残され、仲間ともはぐれた残敵になる。でも、戦闘能力は眷属に比べればかなり高い敵だから、決して油断出来ない敵なのは間違いない」
「でも、学園を守るには、皆の力でこの事態に決着を付けるほかにないんだ。皆の力、もうちょっと貸して欲しいんだ。宜しく頼むね!」
と、拳を振り上げるのであった。
参加者 | |
---|---|
海野・歩(ちびっこ拳士・d00124) |
アプリコット・ルター(甘色ドルチェ・d00579) |
浦波・梗香(フクロウの目を持つ女・d00839) |
若宮・想希(希望を想う・d01722) |
加賀谷・色(苛烈色・d02643) |
来海・柚季(手の中の刻・d14826) |
アデーレ・クライバー(地下の住人・d16871) |
雨宮・音(継接硝子・d25283) |
●闇より来たれり
まりんより依頼を受け、灼滅者達が向かうは武蔵坂学園の一角。
自分達の通い慣れた校舎に繰り広げられた激しい戦い……サイキックアブソーバー強奪作戦。その結果として、校舎の中に残った多数の残滓の掃討作戦がこうして繰り広げられている。
「しかし全く……立つ鳥跡を濁しまくりですよね。ちゃんとペットの後始末くらいして行って欲しいもんです。本当に……ヴァンパイアって奴は」
「全くだな。組織だって行動している様に見える吸血鬼も、頭が倒されればこの通り烏合の衆……人材不足に悩んでいると聞いていたが、確かにこのような状況から言うと、深刻らしいな」
若宮・想希(希望を想う・d01722)と浦波・梗香(フクロウの目を持つ女・d00839)の言葉……それにアプリコット・ルター(甘色ドルチェ・d00579)、アデーレ・クライバー(地下の住人・d16871)、加賀谷・色(苛烈色・d02643)も。
「本当……撤退するなら眷属さんもつれて帰ってくれればよかったのに、そう想います……でも、どうにもならないなら……たおさなきゃ、いけない、ですよね……?」
「そうですね。校舎内に残られても迷惑です。早々に倒してしまいましょう」
「ああ、そうだな。これ倒せば全部おわり。最後までやってこーぜー」
アプリコットが仲間達を見上げて、深く深呼吸しての決心。
それに来海・柚季(手の中の刻・d14826)、海野・歩(ちびっこ拳士・d00124)、雨宮・音(継接硝子・d25283)らも。
「そうですね……年末の大掃除とはもう少し遠いと想うのですが、まぁ、がんばりましょうか」
「わふ、そうだね~。逃げ遅れのお馬さん退治か~。戦ったり逃げたりで、まだまだ疲れている今の内にきっちり倒すんだよっ!」
「ああ……拠点に敵が残ってるだなんて、どうにも落ち着かねェや。校内壊されるのもイラつくし、さっさと片付けちまおうな」
と言葉を交わしていく。
……そして、決意新たに灼滅者達は、校舎内……まりんから聞いた残滓、ペイルホースの居る武蔵坂学園の一角へと、一応のヘッドライト等を装着し、準備完了。
「これで良し……と。では馬の居る元まで急ぐとしようか」
「ん……うん……ああ、このクッキーおいひい……」
……準備完了と同時に、柚季はなぜかクッキーをもぐもぐ、と食べる。
「……それ、は?」
とアプリコットが小首を傾げると、柚季は。
「こんなにおいひいのに片付けとは、たいへんなのでふ……」
もぐもぐと、チョコレートクッキーを食べている……それにえーっと、と回答に困っている。
「……ま、気にしない気にしない。それではペイルホースの痕跡を探しながら進むとしましょう」
想希がアプリコットの肩を叩き、そして灼滅者達は校舎の中に侵入。
……ペイルホースの痕跡を探し、歩き始めるのであった。
●暴馬
そして灼滅者達が校舎の中を歩き回り、暫し。
……所々に穴が空いていたり、窓が蹴破られていたり……そんな被害が所々に見えていて……何というか、自分達の学校が怪我されたような、やるせなさを感じざるを得ない。
「ほんと……派手にやってくれてるよなー……この後片付け、誰がすんだろ……」
「わふ、ほんとうだねー……」
ぽつりと色のつぶやきにうんうん、と歩も頷く。
……まぁ、その原因を作った者を倒すことこそが、今回の依頼。
その為にも、原因を作り出しているペイルホースを探し出し、倒さなければならない……見知ったはずの校舎の中を歩き回りながら、耳を澄ましてペイルホースの気配を探していく。
そして、中に入って数分後……ガタン、と大きな衝撃音が、灼滅者達の耳に響き渡る。
「……!」
その音に鋭く反応し、柚季がその音の鳴った方に視線。
……そちらには階段があり、蹄の後のようなものが、足下にくっきりと残っている。
「こちらの方に逃げたのは、間違いなさそうですね……確かこの先は……」
「ああ……階段はあっちのほうにあるが、それ以外に道はない。間ににいくつか教室はある筈だ」
「そうですね……できれば通路では戦いたくありませんし……できれば教室の中に追い込んで戦いたいものですね」
「そうだねェ……まぁ、どうにか引き込めれる様にやろうとするかねェ」
柚季、梗香、想希に音が次々告げて……そして灼滅者達は二手に分かれて、両側の階段から上のフロアへ上がる。
……すると。
「……見つけましたよ」
「うわ、でけー」
想希が言うとおり、そこに居たのは、三匹のペイルホース……それも、人よりも一回り以上大きな体躯に、素直に感嘆の言葉を紡ぐ。
そして、めがねを外そうとする想希……ただめがねがないのに気づくと。
「……と、悟に預けてきたんだった」
と苦笑、そして胸に駆けた首飾りを握りしめ。
「俺のお守りが、代わりに君を護りますように」
と小さく願いを告げてから、スレイヤーカードを解放。
他の仲間達も、次々とスレイヤーカードを解放し、戦闘準備。
……そんな灼滅者達の動きに、ペイルホースは蹄をカッ、と足元にたたきつけ、威嚇する。
「さ~て、強い相手との勝負、楽しもうねっ♪」「わうっ!」
そんなペイルホースに対して、歩は霊犬のぽちの背中を叩き、呼吸を合わせて犬型をしたバトルオーラで、ぽちと一緒に突撃していく。
……そして初撃を、前に立ち塞がるペイルホースへ一撃。
更に続けて、想希とアデーレが。
「これ以上校舎を壊させるわけにはいきませんから……夏休みの延長とかないんでしょうしね」
「そうね……まずは押し込んで、教室の中へと押し込むわよ」
想希とアデーレが頷き合い、左右両面から、ちょうどペイルホースが居る所の横にある教室へと押し込む作戦を開始。
「うなれ力の暴風! 巻き込み、粉砕しろ!」
と、アデーレがブレイドサイクロンで押し込んでいけば、想希が黒死斬で攻撃。
「単調な動きだ。いくら速くても、先を読みさえすれば……」
「ここは、手前らみたいのが居ていい場所じゃァ、ねェんだよ……さっさと消えろ、クソ馬ッ!」
更に梗香がスナイパーライフルからの狙撃し、音もボロボロのギターから繰り出すオルタナティブクラッシュ。
……ジリジリと、ペイルホースは推されていき……そして、両面作戦で、教室の中へと一気に押し込む。
勿論押し込んだ後は、ペイルホースがそのまま窓から逃げられないよう、窓と入口のドアの間に身をねじ込み、彼らの退路をどうにかふさぐようにする。
……勿論、ペイルホースは逃げ道を作ろうと、強力な蹄の攻撃を嗾けたり、肉体に刻まれた青白い死の刻印と連動した頭鎧を鈍く光らせながら、暴れ回る。
暴れ回るペイルホースの一撃……しかし、その攻撃を。
「セディ、ディフェンス!」
「お兄さま……お願い、護ってください」
梗香とアプリコットが、それぞれのサーバント、霊犬とビハインドを前へと立ち塞がらせて、そして……その攻撃を庇う。
……流石に、体重を乗せたその一撃を真っ正面から受けるとなると、ガッツリと体力を削られていく。
が。
「……皆さん、頑張って、ください!」
アプリコットが先陣切ってヴァンパイアミストを展開、柚季も続けて天魔降臨陣で回復する。
そして受けた一撃の半分近くまでは、どうにか回復する。
一方、梗香と音のスナイパー二人は。
「オラ、動き回ってんじゃねェよッ!」
音が殲術執刀法、梗香がデッドブラスター……そして想希とアデーレも。
「捉えられないなら感じれば良い……」
「そうだな……感じて、そこを打ち砕けばいいのよ」
と、サイキック斬りと、スターゲイザー。
……流石にクリーンヒットとはいかないが、その攻撃を一匹に一極集中させれば、被害は大きい。
そして、歩とぽちのふたりも。
「わんわん影さん、ぱっくんなんだよっ♪」
「わうっ!!!」
強い絆と共に二人は連携、影喰らいに斬魔刀の攻撃を叩き込み……足を一本、切り倒す。
『!!』
ペイルホースの足が、痛みを訴えかけるように空を掻く……そして、他の二匹が、そんなペイルホースの痛みを逆に、灼滅者達に向けて蹴撃で反撃。
……教室内にある机椅子をどんどんとなぎ倒しながら暴れ回るペイルホースを……灼滅者達は力を合わせ、どうにか逃がさないように立ち回る、
そして五ターン程で、まずは一匹にとどめを刺し、更に七ターン程をかけて二匹目もたたき伏せる。
……残るペイルホースは、後一匹……今までのペイルホースに比べて、一回り大きな馬の体。
「結構効くなぁ……ともあれ、あとはこいつだけか……っと!」
と色が、ペイルホースの蹴撃を、真っ正面から幻狼銀爪撃で相殺しながら言い放つ。
……バッドステータスにより、その動きはもはや素早い馬ではなく、重く鈍い馬となっていた……だからこそ、こうして相殺する程度まで弱っていて……青白い死の刻印も、もはや鈍い輝きに変わり始めていた。
「よ~っし、びりびりっ、いっけ~っ!!」
と歩が元気よく抗雷撃を叩き込み、梗香と音も。
「今切り込む、狙撃だけだと想うな」
「とっとと消えろ! このクソ馬が!!」
螺旋槍に五星結界符を、その体真っ正面から叩き込み……その攻撃の勢いと共に、ペイルホースの体は横倒し。
「……これでトドメだ!」
アデーレが撃ち抜いた、ブレイドサイクロンが……最後のペイルホースを灼滅するのであった。
「……ふぅ……終わりましたね……?」
「ええ、終わりましたね……とはいえ、ペイルホース……いろいろなモノを壊してしまいましたね……」
目の前を見渡す……机椅子は、もう殆ど壊れてしまっていて……散々たる光景。
「……テストの前に、おそうじの必要がありますかね?」
「そうだな……まぁ、学園も不可抗力だし、おとがめはないだろうさ」
アデーレに梗香が頷き、そして壊れた机椅子を一カ所に集積しておく。
そして床の攻撃の爪痕とかを応急処置して……まぁ、授業できる程度には復旧させておく。
……一通り完了して。
「……ん、これでいいだろう。それじゃ帰るか。皆、お疲れさん」
「あ、うん。お疲れ様~!」
と色の言葉に歩がニコニコ手を上げる。
……そんな仲間達の横で、想希が。
「しかし……やっとヴァンパイアと戦えると想ったら、倒せたのは絞首卿一人。後にこんな土産を残されて、まだまだ……俺達は、弱いな……」
苦笑し……そして、先の指輪をぎゅっと握りしめる。
そして……。
「……でも、だからと言って、こんな所に立ち止まる訳にはいかないんだ。もっと……強くなる。一緒に、約束したから。今も……別の場所で戦って居いる。だから俺も、攻め抜き勝って帰るんだ、君の元へ」
と、強くなる、新たなる決意を心に紡ぐのであった。
作者:幾夜緋琉 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年9月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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