魔人生徒会~武蔵坂大食い王決定戦!

    作者:カンナミユ

    ●食欲の秋です!
    「スポーツの秋に、マラソン大会。芸術の秋に、芸術祭。だというのに、食欲の秋にはなぜ何も無いんでしょう?」
     昼下がりの教室の片隅で、魔人生徒会のメンバーである彼女はそう話しだした。
     模範通りに着こなした高校制服に白い靴下、白い上履き。その姿はちょっと小柄な、学園のどこにでもいそうな女子高生だ。
     ただ一つ、ちょっと違うのは肩より上辺りに影が差して顔が良く見えない事か。
    「うーん、言われてみると……そうかも」
    「そう思いませんか思いますよねはい思いました」
     話を聞く三国・マコト(正義のファイター・dn0160)は首をかしげて言いかけると、彼女は一気に言い、そして、
    「皆さんの、素敵な思い出づくりを手助けできたらなって、私はそう思うんです」
     言いながら、顔が影で隠れるように立ち位置を調整した。
     丁寧な口調ながら楽しそうに朗らかな声色で話す彼女だが、それはどこか胡散臭く、本音を隠していそうにも聞こえる。
    「素敵な思い出作り、ですか?」
     それにしても、この人なんで顔を隠すんだろう。ちょっと不思議かも。
     気になったマコトは顔を見ようと、そーっと近づくと、
    「というわけで、私はこの秋、大食い大会を開催することを提案しまーす」
     それに気付いた彼女は、慌てて教室から逃げ出した。
    「……大食い大会?」
     ぱたぱたと遠ざかる足音を耳に、教室に残されたマコトはぽかーんと立ち尽くすのだった。
      
    ●大食い大会だよ!
    「で、大食い大会か」
     話を聞いた結城・相馬(超真面目なエクスブレイン・dn0179)はそう言うと、食堂の掲示板に貼ってある一枚のポスターに目を向けた。
     
    『秋の味覚を食べつくせ! 武蔵坂大食い王決定戦!!』
     
     掲示板の隅っこに貼ってあるそれは、マコトが魔人生徒会のメンバーから頼まれて貼ったものだ。
    「食欲の秋だから、で大食い大会なんだそうですよ?」
    「へえ、面白そうだな」
     後輩の言葉に興味を持ったのか、頷きながら相馬はポスターの内容に目を通す。
     武蔵坂学園の食堂を一日貸切にして行う大食い大会。
     3人1組のチーム戦だが、1~2人での参加もOK! との事。
     ちなみに勝敗を決めるのは食べた数ではなく、食べた量――つまり、重量だ。
    「面白そうですよね! 先輩も一緒に参加しませんか?」
    「……料理担当も募集してるのか」
     にこりと言うマコトを尻目に、相馬はぽつりと口にする。
     募集要項が書いてある下の方に大食い大会の参加者とは別に、参加者が食べる料理を作る人の募集も書いてあった。
     料理の腕前は不問で、作る料理もお任せらしい。配膳お手伝いも募集するそうだ。
    「って事は、全員が同じものを食べる大食い大会じゃないんですね」
    「みたいだな」
     どんな料理が出てくるのかな? デザートとか最初から出てきたり? あ、苦手な料理が出てきたらどうしよう。先輩に食べてもらっちゃおうかな?
     そんな事を考えるマコトだが、
    「よし、作るか!」
    「え?! 先輩、料理できるんですか?!」
     その言葉に思わず相馬に尋ねてしまった。
    「腕前は不問だろ?」
     不安そうなマコトに相馬はにやりと意味深な笑みを浮かべる。
    「お前、大食い大会に参加するんだよな? 俺がとっておきの料理を作ってやろう……楽しみに待ってろよ?」
     ……嫌な予感しかしないんですが。
     
     そんなこんなで食欲の秋は大食い大会!
     皆さんも大食い王を目指してみませんか?
     お手伝さんも大募集です♪


    ■リプレイ

    ●静かなる幕開け
     その日の武蔵坂学園の厨房はいつもと違う雰囲気を醸し出していた。
    「うん、いい感じ」
     発祥は東祖地方という徳島の郷土料理『そば米雑炊』の味を確認し、天水は満足気に頷いた。
     ぷちぷちとした歯ざわりのそばの実に鶏肉、人参、椎茸等の具材に火も通り、とても美味しく出来上がっている。
     徳島のスダチを添えるサンマもこれから焼きはじめる所だ。
     料理を提供しつつ、ご当地アピールを忘れる訳にはいかない。考えながら準備をしていると、八重香も沢山の米俵と塩を用意し、おにぎり作りの準備に取り掛かる。
     おにぎりと相性の良い新潟産の米に、塩も海草エキスしがしみこんだ新潟産のもの。
     しっかりと保たれた形に、咥えた瞬間に崩れる絶妙な握りに満足すると、光影も仕込みに時間のかかる煮込みハンバーグとコンソメスープ作りに取り掛かっていた。
     仕込みを済ませて大会がはじまってから作るものの材料を確認していると、食堂からは人々の声が聞こえてきた。
     時間を見れば大会まであと少し。
    「……この大会、大食い同士の戦いであると同時に、わしら料理人と彼奴等の胃袋の戦いでもあるのじゃから!」
     八重香の言葉。そして厨房内は慌しくなる。
     時間と共に食堂には挑戦者達は揃い、武蔵坂大食い王の座を賭けた戦いの幕が開ける。
     
    ●2時間の激闘
    「大食いのお友達だけとのお食事って、実は初めてな気がします。今日は楽しくいっぱい頂きましょうね♪」
    「いつもなら大食い仲間は、食い物を巡るライバルでもあるのだが……今日は特別だな」
     菊乃の言葉にふ、と微笑み直人は皿を手にした。
    「ん、これは香草焼きかな? 中々いける。二人ともちょっと食べてみると良い」
     好きな物を好きなだけ食べ、分担はしないスタイルであるが、『お裾分け』は積極的に。
    「ん……、香草焼き? 美味そうだな。いただこう」
    「あっ、それも美味しそうですねえ……ひとくち頂いていいですか?」
     ちょうど良い味付けの香草焼きにエリスフィールに勧められ、直人と菊乃も香草焼きに舌鼓を打つ。
     大食い大会だが、ガツガツと食べる事をせず食事の所作は美しく、ペースを守る事を忘れない。
    「……ふむ。これはなんという料理だ?」
     料理の説明を聞き、直人はしっかり味わい黙々と食べ、隣の菊乃は大好物のたい焼き。清々と折り目正しくい所作で不自然に早く、幸せそうに食べる。
    「この子は渡さぬ。命が惜しくば諦めよ!」
     好きな物は最後に取っておくエリスフィールは好物を死守しつつイベントを存分に楽しむ中、自分のペースを崩さずに愛美も並ぶ料理を食べていた。
     ご飯がたくさん食べられると聞き参加したが、特に勝ち負けに拘るつもりはない。
     食べられるだけ食べる。それが目標だ。
     冷奴を黙々と食べていると新しい料理が目の前に並ぶ。確認すると煮込みハンバーグと煮魚で、どちらも味付けが濃い物だ。
    「水をもらえます?」
     味が極端に変わる場合は水を少し飲むと、たくさん食べられるらしい。少しだけ飲み、ハンバーグを口にする。
    「いやいや、安くてたくさん食べられるとは有り難いことさぁ」
     テーブルに並ぶ沢山の料理を前に、幽は手近な皿から引き寄せ食べていた。
     カレーに肉まん、塩おにぎり。とにかく食いだめをする勢いで、バクバクと勢いよく食べる。
     食べ終えた皿が積み上がり、続々と料理が運ばれてくる中、
    「ぶ、部長として付き合ってはみましたが、そこまで大食いでもないんですのよね、私……!」
     百合水仙チームとして3人で参加した部長のリィザの前にはどーんとそびえ立つ巨大天丼。人並みよりは食べる程度ではあるが、これはきつい。
     とはいえ、せっかくの祭りである。出来るだけ頑張ろうとするが……。
    「あとは、お任せします……げふっ」
    「いやいや、まだまだこれからでさぁ」
     リィザと同じ巨大天丼を手に、勝つ事を考えていないのかメンバーに声をかけながら幽は勢いよく平らげた。
     
    「へへへ、この大会の為に下宿先の若女将の目を盗んで朝飯抜いてきたんだぜ」
     お腹を鳴らしつつ優勝を目指す誠だが、
    「よーっす、オレも誠ってんだ、よろしくな!」
    「よろしく願いします、真月先輩」
     同じ名前のマコトとも個人バトルだ。
    「しかしうめーなこれ!」
     誠の前に並ぶのは、あまりよく噛まずに流し込んでいく戦法に合わせたかのような物ばかり。
     もりそばを平らげる誠の隣ではマコトが激辛たこ焼きで悶絶していた。
    「トマトのサンドイッチはあるか? 好物なんだ」
     胸を張ってたくさん食べられる機会をずっと待っていたマルチナは、にこにこと嬉しそうに天丼を食べていたが、
    「ここにあるだよ!」
     パクパクと平らげ、タロスへとサンドイッチが乗る皿を手渡した。
     オムライスの皿を手に取り勝負を忘れてひたすら食べ続けるマルチナとは対照的に、タロスは制限時間に食べる物を種類、比率を配分して食べる作戦を取っていた。
    「ちゃんこ鍋、締めに飯かうどんが欲しいな」
     タロスの前にはちゃんこ鍋が用意され、希望通りに締めのうどん。
    「苦手なものはあるか? 困っているなら回して貰おう」
     本心としては克服して欲しいタロスだが、声をかけると寛子が差し出す煮魚を受け取った。
     コネを利用し、プロの大食い選手に色々と鍛えてもらった寛子であるが、さすがに苦手克服までは難しい。
     とはいえ、この日の為に準備を整えた寛子はバランスよく食べていく。
    「お肉とスイーツ!」
    「ステーキにケーキもあるだよ!」
     目の前にはどーんと分厚いお肉に、どーんと分厚いスイーツ達。
    「無理はするなよ!」
     タロスの言葉に二人は頷き、美味しそうに食べていく。
     
     燃費の悪い木葉に敵を食べようと言い出した事がある翼、そして辛い物が苦手という里桜の3人は己の限界を知るべく戦いに身を投じていた。
     もちろん狙うは優勝と言いたいところだが、出された物は全部食べるのが目的である。
    「あ、木葉のそれ美味そう!」
    「んー、おいしいよカツ丼。たまごとろとろで。食べる?」
     木葉が持ってきた丼をいくつか翼は喜んで受け取り食べていると、里桜の大好物が視界に入った。
    「里桜ー、オライスあるってさー」
    「オムライス、だと……! 翼、何処にある!?」
    「オムライスならカレーの隣に……俺カレー持ってこよ。鍋ごとでいっか」
     カツ丼を平らげ、里桜がオムライスと共に大皿ごと持ってきた磯辺餅を目に木葉は中辛カレーを鍋ごと持って来る。
    「カレーいいな! あ、なら俺からあげ持ってこよ!」
     苦しそうな様子すら見せず、翼は美味しそうに笑顔で完食するとから揚げを取りに行った。
    「制限時間2時間しか食べられねーのか……」
     焼きサンマを食べ終え、嵐は呟き次の皿を手に取った。
     勝負する気は全くなかった嵐だが、美味しそうな料理を前に輝く目と意識が鋭くなり、一種類でも多く料理を食べようと並ぶ皿へと向けられた。
     細い体のどこに入っているのか、分かるヒトにしか分からない喜びの無表情で甘味を食べていく。デザートは別腹だ。
     ふと、楽しんで食べる壱琉と目が合った。
     負けねーぞ? ニヤリと送る目線に壱琉は美味しい物が沢山食べられる期待を胸に、料理の匂いにつられて思わず息を沢山吸ってしまっていた。
     周りをキョロキョロ見渡せばスイーツから美味しそうなご飯、そして不思議な見た目の食べ物……。
    「んむーおいしい!!」
     時には飲み物で流し込み、沢山並ぶ料理を一皿一皿、確実に壱琉は口の中へ詰めていく。
     やっぱり美味しい物を食べてる時が一番幸せだ。
     
    ●再び厨房
     料理は恐ろしい勢いで駆逐されていく。
     作った料理があらかた消えてしまい、光影は焼きそばとチンジャオロースを作りはじめる。蒸篭を用意し、それと平行して肉まんも用意し、蒸かす。
     大量の料理が完成し、これなら大丈夫だろうと並べると、舟護はたこ焼きを作っている。
     外はカリカリ、中はトロっとしたたこ焼きがいくつも出来上がり、皿に乗せられていく。
     が、それだけだと面白くないので、デスソースが入ったロシアンたこ焼きも作っていた。ちなみに割合は5個に1個である。
    「そこそこうまいと思うぜ」
     手渡す舟護だが、うまいのは8割方だ。そんなたこ焼きを運んでもらう中、文音はこっそり味見中だ。
    (「本当は食べる側で参加したかったんですよね」)
     自分の体型と相談し、参加を断念した文音はひたすら米を炊き、レトルト食品を鍋で温めては出来上がった料理を大量に提供し続ける。
     そして、味見とつまみ食い。
     沢山並ぶ料理を味見という名目で少しずつ味わいつつも、作る事は忘れない。
     これ以上太らない為に参加を断念したのに体重が増えそうな予感の中、
    「この子たちが輝くときが、やってきましたっ……!」
     茉莉は趣味で作っている自作の創作漬物、その中でも誰も食べてくれない漬物を嬉々として開封する。
     甘味と酸味と味噌味のバランスが絶妙に酷いズッキーニのマンゴー味噌漬けに、とにかくだだ甘い素揚げ蜂の子のメープルシロップ漬け等々。
     ごく稀に、当たりも含まれていているようだが、それをにこにこと振舞う隣で流希も料理を作っていた。
     食べるスピードが上か、作るスピードが上かの密かな勝負である。
     とはいえ、手を抜く事だけはしない。味も良いものを作り続けねばと流希は作り続ける。
    「しかしまぁ、これだけの勢いで作り続ければ食べ切れはしないはず……。この勝負、負けませんよ……。うふふふふ……」
     はたしてこの勝負、勝つのはどちらか。
     
    ●目指せ大食い王
    「いいですかっ! 敵は目の前にある全てです! 全部喰らって全てに勝ちましょう! いただいますっ!!」
    「さあどんどん持ってこーい!!」
     ゴムのスカートで準備万端のひらりに白い前掛け、両手にナイフとフォークのくるりは気合十分だ。
     しっかりいただきますをし、運ばれてくる肉との戦闘開始である。
     骨付き肉には豪快に齧り付き、ステーキは大きめに切って口の中へ。くるりの勢いに負けじとひらりとストレリチアも続く。
     股旅館大食い戦士の中では一番の小者だが、肉となれば底なしというストレリチアは白のワンピース姿で肉を駆逐していく。
    「これうまー! ひらりんひらりん、これうまー!」
    「あ、すにちゃんそれ美味しそうですね? 私にもくださいな」
    「ああっ! それは最後に取っておいた美味しい所!?」
     肉と肉。カレーと肉、肉から和スイーツ。様々な料理と肉が運ばれてくる。
    「とらじさんは安定したどっしりした料理作りますよねー、まさにおかーさん!」
    「すにこの肉うまそう! とらじー! 父にもこれ!」
    「お、お母さーん、おかわり! 同じのおかわりですのー!」
     あっという間に食べ終えた皿が積み上がる。
    「うわぁ……知ってたけど吸引力の変わらない胃袋だわぁ……」
     そんな様子を厨房から目にし、式夜は言いつつも圧されず和スイーツを作る中、虎次郎もカレーを盛り付ける。
     定番処のカレーはスパイシーな香りと程よい辛さ。そして口直しにはさっぱりとした物を。
    「やっぱ美味しく沢山食べてもらうのが一番っすからねー」
     次々と盛り付ける虎次郎の隣で式夜が用意するのはとにかく量を増やせる物。
     熱々のお汁粉にはアイスを乗せて温度調整をできるようにし、種類豊富な季節のねりきりをどっさりと。
     そしてトドメにしょっぱい醤油煎餅。
    「その調子っすよー! 優勝したら夕飯好きな物作るっすよー!」
    「あぁん、もう、猫の手も借りたい! マジで!」
     虎次郎の言葉に3人のペースはヒートアップ! そして式夜のスイーツ永久機関コンボが火を噴いた。
     
    「伊達に日頃から大食漢の食事やスイーツを作ってませんの。腕のみせどころですわ!」
     ベリザリオは参加メンバー専属シェフとして料理の腕を振るっていた。
     作るのは炭水化物控えめの、秋の味覚を使った和食寄りのフルコース。
     唐辛子を入れた鮭のマリネに茸の香りを楽しむサッパリ風味のサラダとスープ等々。
    「できあがりましたわ」
     冷めない内にとヘキサと透はそれらを仲間達の元へと運んでいく。
    「ヘキサ先輩、マジで似合いすぎ……違和感が仕事しないー!」
     ミニスカートのウサミミメイド服のヘキサに執事服の透。料理を運ぶ二人の姿に翔は思わず言葉が出てしまう。
    「颯兄さん、オレこういうのも似合うだろ?」
    「透とヘキサ君……着てる服、逆じゃない? いや、二人とも似合ってるけどさ」
    「高梨さんとティリテスさんは服装も凝りましたね」
     言いながらサラダをテーブルに置く透を目に颯と織久も言葉を交わしてマイペースに食べる。
     一品ずつ運ばれてくる料理はどれも美味しそうで量の多い物ばかりだ。
    「しっかし、ヘキサのメイド服は可愛いよなァ。良く似合ってるぜ?」
    「にひひ、元気出るだろ? だからもっと食えるよなッ!」
     透の言葉ににっこり微笑み、両手にはベリザリオの料理。
    「もっと食え! たんと食え! 死ぬまで食えオラァー!」
     ヘキサはミニスカートを翻し、料理を並べた。
    「色んな食材食べれて良いんだけど……何でフルコースになってるのかな?」
    「兄ちゃん、細かいなー。美味しく沢山食べられれば、それで良いじゃん!」
     颯と翔は言い合いながらもそれぞれ食べていると執事とメイドが新たな料理を運んでくる。
    「透おせーぞ! もっと速く運べよ、ってか執事服ハマリ過ぎ!」
    「お待たせしました。次はメインの肉料理になります……なんてな?」
     言葉を交わす二人が並べるのは魚料理に栗、里芋、茸をつめた鳥肉料理。
    「作ってるの、確かベリザリオ君だよね? 色々作れるって凄いよね」
    「流石ベリザリオ先輩♪」
     颯と翔の言葉に織久も兄の手料理を口にする。
     大食漢の織久だが、実は兄の方が食べる量は多い。その兄が今回、料理作りに参加するという事なので食い散らかす事をせず、マイペースに食べていく。
    「翔さんと颯さんは嫌いなものありますか。あったら俺に回してください」
     次々とフルコースは並び、最後はデザートだ。
    「うゥ、オレも食いてェかも……」
     栗と柿と林檎のパイを目に、ちょっぴり食べたくなったウサミミメイドであった。
     
    「それじゃ、教祖さん、クーガーさん、マイペースで楽しみましょうねぇ」
     シス・テマ教団チームの亜綾はマーペースで過去に300束をクリアーしたという素麺を食べていた。
     メンバーは事前に消化のいいものを食べ、胃を活性化させた上での参戦である。
     食べる際は空気を含まないよう留意し、大口でかぶりつかずにちょこちょこと小刻みに素早く食べるが――絵面が地味すぎる。
     優勝は狙うが当然楽しみたい。なので、
    「ぐふっ?!」
     クーガーの隣で小刻みに素早くうどんを食べていたワルゼーだが、突然の衝撃に咽そうになる。きっと隣を睨みつけ、
    「な、何をする!」
     わき腹を押さえながら言うが当のクーガーはそ知らぬ顔でお好み焼きを食べ、亜綾もハンバーグを美味しそうに完食した。
    「大食い王決定戦の優勝は、我がシス・テマ教団が頂く!」
     3人が食べ終えると目の前には新たな料理。
    「大食いとはいえぇ、美味しく食べてこそ作った方への感謝の気持ちを示すのですよぉ」
    「了解、亜綾」
     時間は残すところあとわずか。3人は基本方針を守りつつ、マイペースで食べ続ける。水分の多い料理は極力避け、料理を食べていく中、
    「どの様な料理が来るかわからないと言うのも、面白いものだな」
     昼食を食べに来ただけだったが、流されるままに参加する事になってしまった蒼華は安く大量に食べられるという事で、隅の席で大食い大会を楽しんでいた。
     好き嫌いは得にないという事もあり、破壊的な料理でも問題ない蒼華は出される料理を黙々と食べる。
    「これは……メロンパン?」
     親子丼を食べ終え、目の前にはメロンパンとあんぱん。
    「美味しそうなあんぱんですね~♪」
     白玉ちゃんと共に参加している空子は皿に乗る沢山のあんぱんをこにこと手に取った。
    「あんぱんおいしーです♪」
     優勝は目指したいが、それより美味しい料理を食べられれば、それだけで幸せだ。
     カウントダウンの声にラストスパートとばかりに食べ終えた皿の山を築いていく。
     そして――、
    「タイムアーップ!」
     歓声と拍手、そして司会の声。
    「ごちそうさまでした~! すっごく美味しかったのですよ~♪」
     美味しい料理を食べる事ができ、空子は作ってくれた人やスタッフに礼を言うと蒼華も感謝を口にし、のんびりと茶を啜った。
     
    ●結果発表!
     激闘は終わり、スタッフ達が集計に動く。
     なお結果は物凄い食べっぷりで増えた体重を知られるのが恥ずかしいという事で、名前のみの発表となった。
     
     技能賞:菊乃、直人、エリスフィールチーム、シス・テマ教団、寛子
     敢闘賞:マルチナ、壱琉、ひらり
     料理賞:ベリザリオ、天水
     特別賞:ヘキサ、透
     個人(男女)、及びチーム
     3位:タロス、ワルゼー、欠食児童s
     2位:誠、蒼華、シス・テマ教団
     1位:直人、嵐、股旅館
     
     こうして武蔵坂大食い王決定戦は幕を閉じた。
     あっという間の2時間に打ち上げに向かい者もいれば、残った料理のテイクアウトを嬉しそうに持ち帰る者もいる。
     明日からはダークネスやらダイエットとの戦いが待ち受けているだろうが、今日という日が楽しく美味しい一日であったに違いない。
     ごちそうさまでした。

    作者:カンナミユ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年9月24日
    難度:簡単
    参加:40人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 12
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