琵琶湖大橋の戦い~笑うは負けか

    作者:来野

     歩くと硬く乾いた音が弾ける。秋だ。木々の枝からどんぐりが落ち始めていた。
     琵琶湖大橋の西側、刺青羅刹・天海大僧正陣営。
     若い尼僧が、配下の僧兵を集めて指示を与えている。慌てた様子はないが、柳眉の根元は薄っすらと曇っている。強化一般人であるところの兵たちが持ち場に散ると、横顔を引き締めた。
    「風向きはどちらでしょう」
     空を仰ぐ。してやられたもの。武蔵坂といっただろうか。学生たちがやってきて、組してみたり阻んでみたり。結果、戦況は膠着している。
     橋の向こう側、ご当地怪人・安土城怪人の陣にて同じ空を見上げているのは、セイメイ配下のアンデッドだった。鈴懸に結袈裟という姿。しかし袖からのぞく腕は白骨である。涼しい響きで錫杖を突き、真っ黒な虚と化した眼窩を正面へと降ろす。
     屍独特の空気は冷え切っているが、橋の向こうを睨む気迫は青白い炎を思わせた。配下のスケルトンたちが、カチカチと歯を鳴らしている。
     制するべきは、あの大橋。
     相容れることのない空気が、今、冷たい火花を発し始めていた。
     
     なぜだろう。家庭不和に見舞われた子供のような気分だ。
     教室では、石切・峻(高校生エクスブレイン・dn0153)が難しい顔をしていた。語った戦況が、そも難しい。
     これまでの介入によって琵琶湖の戦いは睨み合いとなり、今、橋を真ん中に挟んで膠着状態となっている。一触即発の空気がぴりぴりと痛い。
    「で、天海大僧正と安土城怪人の二勢力だけれども、他軍勢も加わって戦力は互いに伍して引けを取らない。ぶつかり合えば琵琶湖近辺は焦土と化し、人の住む場ではなくなるはずだ」
     膠着の膠はニカワ。何からできているかを考えると少し怖いもので、墨にも入っている。粘る。くっつく。始末に悪い。その上、今回は激突するという。
     頭が痛いが、では、どうしようか。こめかみ辺りを、ぎゅっと押す。
    「被害を減らすために、ざっと3つの方法が考えられる。双方を叩いて制圧するか、安土城怪人側を集中攻撃するか、天海大僧正側を集中攻撃するか」
     それぞれに特徴、そしてメリットとデメリットがある。詳細を記した文書を配り、峻は続ける。
    「見ての通りの一長一短だ。この戦いにおいて、どの選択が正しくてどの選択が間違っているということはない。だから、どういった戦法を取るかは、皆に託したい」
     一貫した流れは、この度も変わらないようだ。
    「どうか手を貸して欲しい。お願いします」
     峻は、頭を下げた。
     また、これも詳細は文書にあるが、天海大僧正側は魔導書相当の経典を手にした慈眼衆の女と、断罪輪相当の円月輪を手にした強化一般人二体、安土城怪人側はマテリアルロッド相当の錫杖を手にした強力なアンデッドと、日本刀相当の小太刀を手にした配下二体。それぞれ、神薙使いとエクソシストに相当する能力を持っている。
     連戦に関する注意事項もあるので、ぜひ、ご覧いただきたい。
    「大掛かりな戦いとなるけれども、どうか無事に戦い抜いて帰ってきてくれ」
     最後にそう告げて、皆を見送る峻だった。


    参加者
    巨勢・冬崖(蠁蛆・d01647)
    葛木・一(適応概念・d01791)
    刀狩・刃兵衛(剣客少女・d04445)
    百舟・煉火(イミテーションパレット・d08468)
    狗崎・誠(猩血の盾・d12271)
    海北・景明(死亡星遊戯・d13902)
    烏丸・鈴音(カゼノネ・d14635)
    リステアリス・エールブランシェ(今は幼き金色オオカミ・d17506)

    ■リプレイ

    ●カバネとカタナ
     琵琶湖大橋東方。橋げたの合間を風が渡ると、湖面が静かにさざなみ立つ。
     駆けつけた灼滅者たちを出迎えたのは、肌を薄く削ぐかのような一触即発の気配だった。ふわりと煙る金の髪を背に払い、リステアリス・エールブランシェ(今は幼き金色オオカミ・d17506)が目を凝らす。
     二つの勢力がぶつかり合うこの戦い、彼らは全体の戦力バランスを保つ策を採った。
    「安土城怪人……の、勢力。セイメイ配下……アンデッドを殲滅」
     探すのは、冷たい土の中から起き上がった連中の気配。いくつもの隊がひしめく中、それらはまるでそこだけ薄暗い夕闇を纏ったかのように沈み込んで見えた。
     まっすぐに指差すと、仲間たちがそちらへと注意を集める。
     ちりりん、と涼やかな音が鳴った。風鈴だ。烏丸・鈴音(カゼノネ・d14635)の番傘の陰に、ナノナノのちりころがその姿を現す。
     傍らに霊犬の鉄を呼び出し、黒く小柄な相棒と共に葛木・一(適応概念・d01791)が踏み出す。皆を振り返り、
    「お前ら、無理せず無茶して気張れよ!」
     腕を振って突撃を示す先、骸骨どもが抜く小太刀の銀の反射が見えた。
     限界まで張り詰めた糸が一気に切れ、橋の東西で闘気が逆巻く。味方側で秋の日差しを弾くのは、刀狩・刃兵衛(剣客少女・d04445)の白刃。
    「――いざ、推して参る!」
     先頭を切って突っ込んできたスケルトンの初太刀をかわして、身を入れ替えざまに刀身を落とす。切っ先を跳ね上げると、肉なき骨の足許から鮮血のごとき緋の花が舞い散った。骨がたたらを踏む音は、カラリと乾いて秋風に似る。
    (「怪人側にセイメイが」)
     地を蹴って脇に退けながら、瞳に思案の色を浮かべる。何を企むか底知れない。どうしても気になった。
     その背後で、カチリという音が鳴る。振り返ると、もう一体の骨が握った柄を落として迫っていた。
    「……!」
     抜く手と同時に切り込んでくる一閃は、しかし甲高い音に受け止められて跳ねのけられる。輝くことなき巨大な杭が、刃兵衛の肩先すれすれでそれをなした。バベルブレイカーBrightness:0を構えているのは、百舟・煉火(イミテーションパレット・d08468)だ。
     スケルトンが一歩下がった。そこにすかさず斬り込むのは、狗崎・誠(猩血の盾・d12271)。
    (「生ける廃墟が本物の廃墟になるのは余りにも気の毒だからな」)
     何せそう遠くない。骨片が散り、白く放たれた光が誠の身を包む。
     もう一体のスケルトンが、崩れていく仲間の腕へと片手を突き出した。黄ばんだ指骨の間に薄黒い気が生じ、じわりと漂い出す。
     回復手と見た瞬間、海北・景明(死亡星遊戯・d13902)が、エアシューズをそちらへと切り返す。仲間の間を縫って走り、地を削り、火炎を纏う半回転の蹴りを突っ込んだ。
    「まずは、アナタからね」
    「ガ……ッ、ア!」
     先の黒死斬の影響か。逃げ遅れたスケルトンは、顎を跳ね上げて真後ろへと吹っ飛ぶ。ガランという音が立ち、一つ、その上にまた一つと骨が散る。
     吹き付ける塵に顔を背けた景明のすぐ脇で、太刀風が巻いた。
    「ギィ、ッ!」
     傷の癒えたもう一体が、切っ先を振り抜こうとする。そこに飛び込んでくるのは、異形の巨腕。
    「……っ」
     縛霊撃を放った巨勢・冬崖(蠁蛆・d01647)が手首で小太刀の峰を振り落とし、逆の手で自らのこめかみを押さえる。頭蓋の内を走る痛みを、息を噛む事で耐えていた。
     そこかしこから聞こえて来る剣戟の響き。むせるほどの熱気と血の気配。その隙間から、ひやりとした風がやって来る。
     鼻腔の奥が痛むほどの土埃を巻き上げ、竜巻が地を舐めて迫る。触れるものを見境なく削る屍の一撃が、スケルトンともつれ合っていた灼滅者たちを呑み込んだ。
     アスファルトに、赤黒い点が斜めに散る。他の二体とは比べ物にならない一撃。真正面に、鈴懸姿の屍が立ちはだかっている。
     身を低めることでなんとか立っていたリステアリスが顔の前にかざした腕を降ろすと、つい鼻先に迫るスケルトンの小太刀。鈴音から放たれた光の輪を幾つも纏い、一の元から吹く癒しの風に頷いて、その場に足を留めた。
     セイメイが嫌いだった。
    (「争いを……扇動する、だけで……高みの見物……。今回も、様子見……してるんじゃ……ないかな」)
     突き出すマテリアルロッドは、スケルトンの肋骨の間へ。ゴツンという手応えが返ってくるが引きはしない。
    (「今は……被害を抑える……そのために……戦う……!」)
     轟音と爆風に目を眇めながら、思い切り振り抜く。
    「キ、ィッ……!」
     歯軋りの音が途中で絶え、飛び散る骨の欠片が頬を打った。敵配下、二体を撃破。
     灼滅者たちの足が、橋の上を一歩進む。

    ●逝けずの枷
     一体残ったアンデッドの眼窩が、敵対する彼らを見つめていた。ただの穴である暗がりに底はない。身なりは行者のようだ。
    「オ……」
     低く唸って錫杖を掲げると、遊環の音に呼ばれて、煙色の鉱石に似た塊が虚空に生じる。
    「……っああ!」
     仲間たちの間から苦痛の声が上がった。目の眩むほど重たい衝撃が落ちてくる。混戦となり皆が前に出ていた中、浅手は回復主体で立ち回っていた一のみ。
    「誰一人だって欠けさせねぇ、オレが絶対支えてやっからさ」
     指先に点した光を、最も傷の深いリステアリスへと放つ。
     ちりころの助けを借りて当座の傷を癒した鈴音が、全身に風を纏う。そよがせるのは清めの風。風鈴の短冊がひらりとなびく。
     だが、その間にアンデッドの気配が至近まで来ていた。肘を突いて起き上がろうとした誠の頬をかすめて、錫杖が地に突き立つ。
    「く……っ」
     とっさに差し出した掌で拳三つ分上を押し返し、一度背けた視線を振り上げる。逆の肘は敵に踏まれて動かせない。脳裏をよぎる記憶があった。
    (「……彼らも、あの時みたいに眠りを穢された死者なのかな」)
     眼球を失った虚の中から、光ならぬ黒い染みが溢れ出てくるのが見える。それは蛇が這い出すように頬を伝い、ぐっと鎌首をもたげると自らを見る者の目に狙いをつけた。
    「いや、今は不要な思考だ」
     首を横に振った彼女の指から一条の光線が迸り、押さえた錫杖を這い上がってアンデッドの動きを制する。
    「ゥ……オ」
     景明は、その隙を見逃さない。クルセイドソードを抜き払い、下段から敵の足許に斬を放つ。
    「お退けなさいな」
     絶えぬ笑みで不安を打ち消し、口調はたおやかながら一気に間合いへと。軌跡は白い光を孕み、骨ばかりの足が踏んでいた肘を逃した。
    「ギ……ッ」
     景明の頭上で、ジャラ、と遊環が鳴る。錫杖が振り上げられたのを見て、突っ込んだのは冬崖だった。
    「そうは、っ」
     上段へと跳ね上げた蹴りは重く、敵の肩先に灼熱の火の粉が散る。錫杖の動きが狂い、諸共に脇へと倒れ込む者達を追えない。
    「さ……、っ」
     額を押さえる冬崖を景明が背で押して敵の間合いから引き、そこに駆けつけた鉄が代わって杖に叩き伏せられた。
     得物を切り返すダークネスの肩口から、白煙が上がっている。全身を薄暗い靄で覆い始めた。針の穴に糸を通すようなチャンスに、煉火が踏み込む。
    「貴様らの思惑に振り回されてきたが」
     重たい重たい杭打ち機だ。それを一点見据えて構え、噴射の勢いに乗る。
    「……人の世を侵す戦いなら全て潰してやる!」
    「グァアアッ!!」
     ドッと打ち出された杭が、黄泉から引きずり起こされた者の死の中心点に食い込んだ。
    「それがヒーローの勤めだ!」
     六つの遊環が弾け飛び、アンデッドの手から錫杖が滑り落ちる。カツン、カツン、カツン、という音が煉火の足許で響き、それらが黒煙と化して消えると同時、杭を飲み込んだ不死者の全身が粉々に崩れた。
     ざらりとした感触。赤縁の眼鏡の前を塵が滑り落ちると、その向こうに見えるものは高く青い空だった。
    「やったぜ!」
     一が小さな体を駆使して、倒れていた者たちを助け起こす。ざっと見渡して辛うじて意識を失った者はいない。
     まだ、行けそうだ。
     その判断は降りたが、敵味方がもつれ合い刃のぶつかり合う音と絶叫とが交錯する中、彼らには立ち止まっている猶予すらなかった。
    「次は……」
     景明が周囲を見回し、ある一点に視線を止める。
    「あいつらだろうか?」
     刃兵衛が上げた切っ先の向こう、敵を探すペナント頭が見え隠れしていた。目がどこにあるのかわからない頭だ。
     だが、確かに意識がぶつかり合った。こちらを指差している。
    「きぃさぁまぁらぁ」
    「喰らえ、いま、怒りの!」
     両手を前へと突き出す二体のペナント怪人。散り乱れた不死者の残骸が、サ、と舞い上がった。
    「来る!」
     ビームは二条。それはまるで触れるもの全てを焼くレールのように。

    ●断ち斬りの刃
    「ちりころ」
     鈴音と瞳を見交わし位置を入れ替えたナノナノが、ビームを喰らった。役目を果たした相棒を見送り、彼は後ろへと下がる。一もまた同じ動きだ。
     まだ戦える。だから眼差しを逸らしてはならない。冬崖がリステアリスと、誠が景明と位置を入れ替える。前半のダメージが色濃い今、息が上がりそうな全身を叱咤するしかない。
     駆け込んで来たペナント怪人にクルセイドソードを抜いたリステアリスだったが、こめかみに蹴りを受けて地に倒れ伏した。その相手に一撃を突っ込んだ景明も、もう一体の蹴りを避け損ねて背から倒れる。
     序盤を戦い抜いて、それでもきつい役目を果たした。二人を抱え上げるのは、冬崖と鈴音だった。
    「やられるわけにはいきませんねぇ」
     少しでも安全なところへ。負傷者を運ぶ二人の視界に、もう一つの影が見えていた。巨大な刀剣を頭に頂いた着流し姿の刀剣怪人が、配下たちの背後にいる。
     頷く一の足許から伸びる影が、鋭さを帯び始めた。
    「仲間はやらせねぇよ」
     アスファルトの上をぐんっと伸びた影が、ビームの構えのペナント怪人の胸元に入る。盛大な血煙が上がり、三角頭の下端が弾け跳んだ。その腹を煉火のエアシューズが蹴り払う。
    「グォ、アアアッ!」
    「あと……っ」
     二体。飛び散る火の粉を避け、片手を突いて体勢を立て直す。その背に鋭い蹴りが飛んできた。
    「……っっ!」
    「やられてばかりは、グッ?!」
     ぐっと拳を握ったペナント怪人だったが、そこで全身を硬直させる。
    「いないか?」
     対峙する位置に立つ誠の手から、一条の光が放たれていた。指輪の背が陽光を弾く。その手が降ろされた時、ペナント怪人の膝は地へと崩れ落ち始める。
     あと一押し。運んだ仲間を背に立ち上がった鈴音の元で、風鈴の短冊がひるがえる。地を這うようにして飛来した風の刃が、ペナント頭の喉首を切裂いた。
    「ヌ、ァ、ガッ!!」
     細切れになって塵舞うものは、もう絵柄も認められない。
     あと、一体。その一体、刀剣怪人が静かに足を踏み出した。手にした太刀を脇から振り上げる。
     ヴンッ!
     虫の羽音に似た異音が聞こえたと思った次の瞬間、前に出ていた者たちの足許から鮮血が迸った。靴底がぬるりと滑る。
    「この橋はやらぬよ」
     真っ直ぐな線を辿るかのような足取りが、見る間に近付いて来る。騒ぐこともなく、足音を荒立てもせず、研ぎ澄ました殺気そのものが灼滅者たちに襲い掛かる。
     刃兵衛の手がぬるつく血の中を探り、風桜の柄を掴む。しかし、切裂かれた脛に力が入らない。黒く長い影が落ちて来る。
     正眼だ。この期に及んで、それが影の形からわかるだなどまるで冗談。
    「まだだぜ」
     どこからか声が聞こえた。影の動きが止まっている。
     一の縛霊手に祭壇が形作られ、そこから張り巡らされた無数の結界の筋道が刀剣怪人の両肘の動きを制していた。刀身が赤く光っている。それがゆっくりと切っ先に集まり、やがて伝い落ちる。鮮血だ。
    「ズババーッ! と、ぶった切れ!!」
    「小僧」
     震えながら柄から離れた刀剣怪人の片手が、白熱の一条を放つ。それに吹っ飛ばされた一を、冬崖が受け止めた。がっしりとした腕が癒しのオーラを放つ。
    「手が」
     離れている。
     ハッと注意を引き戻した刀剣怪人の足許へ、煉火が炎の蹴りを見舞った。敵がぐらつくその間に、ちりん、と風鈴の音が鳴る。
     柔らかな風に髪の裾を煽られながら、刃兵衛が立ち上がった。
    「そう、」
     彼女の声へと、刀剣怪人の利き手がひるがえる。首の高さに来た斬が毛筋の先を斬り飛ばし、赤い数滴が互いの頬に飛ぶ。ぐるり、と位置が入れ替わり、
    「思い通りにさせはしない」
     相手を見失った刀剣怪人の脇腹を刃兵衛の風桜が貫いた。じわりと広がる赤黒い染み。それをよそに散り舞う花の色。
    「クッ、ッア――!!」
     刀の落ちる音が高く響き渡り、灼滅者たちの鼻の奥を金気の濃い気配がツンと襲った。
     勢い良く四散する刀剣怪人であったものは、銀色に輝き、やがて、薄黒く曇って降り積もる。
     そして、最期はただ、風にさらわれるばかり。

    ●LIBRA&LIBRE
     冬崖に担ぎ上げられて、リステアリスが微かに目蓋を持ち上げた。紫の瞳が小さく動いている。
    「うん?」
    「……」
     セイメイの干渉があるのではないかと、苦痛の中でも気にかけていた。耳に届くのは戦場のあちらこちらの怒号。懸念したものは、この場には見られないようだ。
     彼らは手を尽くし、力の及ぶ限りの敵を排除した。思いの外激戦だったが、東側の二隊を撃破した。
     煉火が、鈴音に支えられて立つ景明へと肩を貸す。柔らかに笑むオネエ男子は、気丈にもしっかりと立った。
    「これで暫くは安全か。今後何と戦うかはボクらの決めるところでは無いだろうが、均衡を崩す者が現れねばいいのだがな」
     煉火の一言に、皆が息を落とした。
     まだ、この混乱の中を抜けて離脱しなくてはならない。それぞれの傷を庇い合いながら、歩を踏みしめる。
     一歩、一歩。
     行く先は、湖面も空も涼やかに青かった。
     

    作者:来野 重傷:海北・景明(ナイトメアビフォアニューデイ・d13902) リステアリス・エールブランシェ(金色オオカミ・d17506) 
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年10月1日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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