琵琶湖大橋の戦い~選択という分岐点

     琵琶湖は、今にも戦場となろうとしていた。
     以前から争い続けていた安土城怪人と天海大僧正の二つの勢力は、武蔵坂学園の灼滅者達の働きによって状況が激しく変化し、琵琶湖東西に集結して力を蓄えつつ全面戦争となるその時を待ち続けていた。
     そして長い膠着状態を終わりにするべく、両陣営共が琵琶湖大橋を確保するために軍勢を投入し、その機に乗じて一気に相手を攻め落とそうと画策していた。
     今にも弾けてしまいそうな緊張感の漂う長い橋を、大津市側の少し離れた場所から気怠げに見つめる存在がいた。
    「あっちもこっちもすごい数ねぇ。アタシって群れるの嫌いなんだけどなぁ……」
     首筋から頬にかけて茨の刺青が刻まれたその人物は、太ももにかけて深いスリットの入った真っ青のシルクのドレスを身に纏っていた。細身で背も高く、綺麗に整った顔立ちをしているが、発するその声は低く、男性のそれであった。
    「まあ天海大僧正を加勢しろってうずめ様の命令ですし、こっち側がやばくなったらそのときは逃げ出せばいいだけだから、目一杯楽しんじゃいましょう」
     自らを抱きしめて身もだえすると、膨らみのない胸元から棘だらけの鞭を取り出し、右腕の筋肉を膨らませて一振りすると、アスファルトの地面が爆ぜるように砕けて裂けた。
     ほぼ同じ時間。橋の反対側の彦根市から赤、青、黄色などの鮮やかな刺繍の入った三角の布地をはためかせて3人の怪人が走っていた。ペナント怪人は走り続け、琵琶湖大橋の近くにある古びた神社の境内にたどり着く。その奥で座禅を組んでいた刀の刀身がそのまま着物姿の体から生えているような人物のそばに駆け寄ると、片膝をついて頭を垂れる。
     すると、何の言葉も発することもなく刀剣怪人が立ち上がる。銀に目映く輝く刀身には、剣に絡まる荒ぶる龍の彫り物が刻まれていた。
    「はっ!」
     3人のペナント怪人は無言の主に御意を示し、一斉に立ち上がる。そして刀剣怪人を先頭に、不退転の決意で戦いの場に向けて歩き出した。
     東西の地に力をつけた陣営と、それぞれを支援するダークネス達が集まっていた。
     琵琶湖一体のこの地が凄惨な戦争によって焼かれ、荒らされるのは、もう時間の問題だった。
    「このままだと琵琶湖で天海大僧正と安土城怪人の軍勢の全面戦争が起きてしまいます」
     真剣な面持ちで、神立・ひさめ(小学生エクスブレイン・dn0135)は語り出した。
     以前学園は天海大僧正側に味方し、その後に展開の計画を阻止するという経緯を得て、この2つの勢力は膠着状態になっていた。
     しかしそれも限界がやってきて、琵琶湖大橋を占拠する戦いを皮切りに、互いに互いを滅ぼす戦争へと発展していくのだ。
    「もしそんなことになったらたくさんの被害が出て、琵琶湖周辺は人の住むこともできないほどに荒れ果てしまうと思います。それを阻止するために、皆さんに集まってもらったんです」
     方法は3つあると、ひさめは言った。
    「ひとつは戦争が始まる前にわたしたち学園の灼滅者達で琵琶湖に集まった両方の勢力に攻め込み、制圧してしまうことです。そうすればどっちの軍勢も戦争どころではなくなって、休戦させるところまで追い込むことも不可能じゃ無いと思います。……ただ、両方と戦うことはとても困難だと思うし、勝てても負けてもいろいろと問題が出てくると思います」
     もし思惑が成功しても休戦したダークネスの2つの勢力に学園のことを強く印象づけることになるだろう。
    「後の2つの方法は相手が違うだけで同じことです。つまり、天海側か安土城怪人側のどちらかを集中的に攻撃することです。そうすれば戦争は短期で終わるし、ある程度は周辺に被害は出ると思いますが、全面戦争に比べたら最低限に抑えられると思います」
     それからひさめは、未来予測で見た範囲で相手になるであろうダークネスのことを説明した。
     そして、小さく息を整えると靴元を引き締めて集まってくれた仲間達の顔を見つめていった。
    「この戦いは大きくて、学園の未来にも大きく関わってくると思います。参戦する学園の他の人達もいろんな選択をすると思うけど、でもどれが正しくてどれが間違っているなんてことはありません。皆さんの選んだことが、そのまま未来へとつながるんです。だから、どうか皆さんのいいと思う方法を選んでください」


    参加者
    龍海・光理(きんいろこねこ・d00500)
    沢崎・虎次郎(衝天突破・d01361)
    裏方・クロエ(アエグルン・d02109)
    折原・神音(鬼神演舞・d09287)
    アデーレ・クライバー(地下の住人・d16871)
    時雨・翔(ウソツキ・d20588)
    黒影・瑠威(過去を見詰めし氷影・d23216)
    榎木津・貴一(絵のない絵本・d24487)

    ■リプレイ


    「灼滅者……と、お見受けする」
     自然体を崩さずに右手に日本刀の鞘を持ったままの刀剣怪人倶利伽羅は、戦が始まり、宿敵天海大僧正の軍勢へと立ち向かう途中で8人の人間に遭遇した。
    「我らに組みする、という様子ではない。つまり、我らと敵対すると言うことでよろしいな」
     倶利伽羅の背後に3人のペナント怪人が立ち、身構えた。倶利伽羅は、隙の無い動きで刀を左手に持ち替え、鯉口を切る。
    「このままならこの辺りは人が住めなくなってしまうし、それはあまり歓迎しないね」
     スレイヤーカードを構えていた時雨・翔(ウソツキ・d20588)は、解除コードを口にして、キリングルールを開放した。
     サングラスを外したアデーレ・クライバー(地下の住人・d16871)は身構え、ネームタグに刻まれた文字と同じ、『Adler』と呼ぶバトルオーラを発した。
    「ダークネス同士の争い……一体なにが……」
    「やっかいな状況になってきましたね……まあ、自分にできることを一つずつしていきましょう」
     最前列に進み出ながらそう答える折原・神音(鬼神演舞・d09287)。手には鉄塊のような巨大な刀を持ち、振り上げて上段に構える。
    「さあ、いくっすよ」
     沢崎・虎次郎(衝天突破・d01361)も戦いに備えて後方に立ち、回復役としていつでも動けるように意識を集中しながら、自らのライドキャリバー『流星号』をぽんと叩いた。
    「私達がお相手します」
     龍海・光理(きんいろこねこ・d00500)も、開放したエアシューズ『Donnerschlag』のつま先で数回地面を蹴るといつでも飛び出せるようにホイールの回転速度を上げる。
     榎木津・貴一(絵のない絵本・d24487)は攻撃の支援役として後方に下がり、開放したバベルブレイカーを腕に固定する。
    「全力で挑ませてもらうよ」
    「私もです」
     そのそばに立つと黒影・瑠威(過去を見詰めし氷影・d23216)は頷き、マテリアルロッド『月屑』を突き出すように構えて左手を添え、サイキックを集約していった。
     その時、かすかな音を立てて日本刀を抜いた倶利伽羅は斜め上段に構えた。
    「我が名は刀剣怪人、字は倶利伽羅。大願に仇なすものとして、主らを切り捨てる……御免!」
     そう言うが早いか、一気に間合いを詰めた倶利伽羅は、斜めに構えた刃を一気に振り下ろした。
     その動きに反応した裏方・クロエ(アエグルン・d02109)は、斬撃の前に立ちはだかり、仲間の代わりに鋭い刃を受け止めた。
    「戦闘開始ですね……がんばりましょうですよ」


     すっと目を細めた光理は倶利伽羅のまわりに集まっているペナント怪人のいる場に向けて意識を集中すると、体を巡るサイキックが冷気を帯びてゆく。
     同じように冷気を呼び起こしたアデーレは高らかに声を発した。
    「不可視の雪崩よ、我が敵を呑み込み凍てつかせろ!」
     2人のフリージングデスが同時に放たれてペナント怪人のまわりの空間を凍りつかせた。熱を奪い、パキパキと音を立てて氷が体を覆ってゆく。
     ナノナノの『もっちー君』の放ったハートを受けて傷を回復しながら、クロエは拳を振り上げた。鬼化した巨大な腕が唸りを上げて凍りついたペナント怪人の1人に振り下ろされ、ズドンという鈍い音を響かせてその体にめり込んだ。
    「ぐうっ!?」
     事前に話し合っていたとおりに、確実に敵の数を減らしていくために攻撃対象を集中する。
     翔は白光煌めくクルセイドソードを傷の深いペナント怪人に向けて突き出した。刃が敵を斬り裂いた瞬間に翔の体に輝きが集まって、身を守る聖戦士の肉体へと変化させていった。
     苦痛にペナントを歪ませている怪人は、3人が息を合わせて中に飛び、空中で一回転した。
    「漁港キーーーック!」
     叫び声と共に蹴り足が襲いかかる。間に入ろうととっさに動いたが、間に合ったのはライドキャリバーの流星号だけで、2人分の蹴り技がアデーレに命中した。
     痛みを噛み殺して耐えている仲間に、虎次郎はかざした指先に癒しの霊力を集約し、光線のように撃ち出した。
     光を受けたアデーレの体から痛みが和らぎ、傷が癒えてゆく。
     ペナント怪人達に再び冷気が襲った。瑠威の放ったフリージングデスが空間を急冷し、怪人達の体内を凍らせてゆく。
    「さあ、この刃を見切れるか!」
     神音の腕に風が集まり、空を斬るように一振りすると風の刃がペナント怪人の肩口を斬り裂いた。
     続けて動いた貴一のエアシューズが甲高い音を響かせて地面を削ると摩擦熱で炎が上がる。そして弾かれたように飛び出し、燃え上がる蹴りを放とうとした。
     その時、狙っていたペナント怪人がこの一撃で灼滅されてしまうと察し、命を狩ることへの嫌悪感が沸き上がり、つい目標を変えて別のペナント怪人に蹴りを放ち、めり込ませた。
    「南無三!」
     チカラを貯めた倶利伽羅の刀が月光のような輝きを放ちながら空間を斬り裂いた。
     衝撃波の刃が前方に立つ4人を斬り裂こうとしたが、今度は間に合った翔とクロエが身替わりとなって受け止めた。
     虎次郎ともっちー君が癒しのサイキックで仲間の傷を癒してゆく。それでも完全には治らないダメージが少しずつ蓄積されはじめていた。
     アデーレのデモノイド寄生体が活性化し、手に持った妖の槍『Lawine』を飲み込むように包んでゆき、巨大な刃の形となった。
    「受けろ、Adlerの凶爪!」
     叫びながら傷ついたペナント怪人へと突進し、渾身の力で振り下ろした。
    「……っ!?」
     真上から斬り裂かれたペナント怪人は、声にならない叫びを上げ、ゆっくりと前のめりに地面に倒れ、動かなくなると闇の粒子となって霧散して消えた。
     その様を見届けた倶利伽羅は一瞬の黙祷を捧げ、刀を構えて襲いかかってくる。
     光理達も気をゆるめずに戦いに集中する。琵琶湖周辺では至る所で戦いが起きており、この場にもいつ新たな敵がやってくるかもわからない状況で、少しでも早く目の前の敵を灼滅しないといけなかった。
     

     瑠威の『月屑』がペナント怪人打ち込まれた瞬間、サイキックが爆発して怪人の体を破壊した。
     怪人はふらふらと体をゆらして立ち尽くし、瑠威が後ろに下がると音を立てて倒れ込み、霧散する。
     倶利伽羅達は、回復役の虎次郎に対して攻撃を集中しはじめていた。翔達が身を挺して守っていたが、完全に守り切ることはできず、翔やクロエだけでなく後方の3人も攻撃によって傷ついており、同じく後方にいたもっちー君は重なるダメージに耐えきれずに消えており、しばらくの間は復活することはできなかった。
     それでも作戦通り攻撃を積み重ね、2体目のペナント怪人を倒し、残った怪人ももう少しで倒すことができると見て取れた。
     倶利伽羅の放つ幾度目かの衝撃波の刃が後方の3人に襲いかかった。
    「くっ……っそ、強ぇ……っすなぁ」
     庇いきることができずに斬り裂かれ、血を流す虎次郎が痛みに耐えなが言葉を絞り出した。そのそばでは貴一の身替わりに攻撃を受けた流星号が限界を超え、とうとう動かなくなっている。
     それでも虎次郎は手にしたクルセイドソードを高く掲げ、刀身に刻まれた聖なる言葉を癒しの風へと昇華して仲間達の傷をできる限り回復させていった。
     神音が力をふりしぼり、腕を鬼化する。その腕は筋肉で肥大化し、あふれる膂力で震えている。
    「全力全壊、本気の拳で殴り潰す……!」
     唸りを上げる剛腕が最後のペナント怪人の顔にめり込み、弾かれた怪人は地面に2度跳ねるとごろごろ事転がり、そのまま身動きもせず闇の粒子となって消えていった。
     これで残る敵は倶利伽羅のみとなり、8人は油断なく気を引き締めてダークネスと対峙した。
    「配下共をすべて倒すとは、主らを見損なっていたこと、詫びよう」
     倶利伽羅は刀を鞘に戻し、わずかに頭を下げる。そして、前のめりに腰を落として右手は納刀した刀の柄にぎりぎり触れない形で身構えた。
    「かくなる上は、我が全身全霊をもってお相手願おう、灼滅者達」
     そう言い切ったその時、倶利伽羅の鞘から刃が飛び出し、一瞬閃いた次の瞬間には再び鞘に収まっていた。
     光理に襲いかかった居合いの一撃は、とっさに動いた翔の胸部を深く切り裂いていた。
     盾役として代わりに攻撃を受け続けていた翔は、とうとう戦い続けることができなくなって、血を流しながら倒れ込んでしまった。
     わずかの間眉宇をひそめた光理はエナジーを吸った『Donnerschlag』で高く跳躍し、流星のように輝く蹴り技を倶利伽羅に打ち込んだ。。巨大な刀の刃の形をした頭部に命中し、輝く刀身に傷が入る。
     続けざまにアデーレのフォースブレイクの爆発や、貴一の殲術執刀法による急所への一撃が倶利伽羅の体を砕いてゆく。
     神音がもう一度鬼神変の唸る拳を叩きつける。避けずに受けたその攻撃に、甲高い金属音が響くと共に倶利伽羅の体に大きくひびが入った。
     倶利伽羅は、今度は納刀したままの刀から手を放し、胸の前で腕を交差して力を貯めた。そしてその力が集約仕切ると、吠えた。
    「怪人びーーーむっ!」
     輝く頭部から発した光線が、まっすぐに虎次郎の体を貫いた。
     虎次郎は限界を超えた攻撃に痛みを感じる事もなく意識を失い、膝をつき、そのまま崩れ落ちた。
    「守りきれなくてすみませんですっ」
     身替わりに割って入ることができなくて悔しそうにそう言いながら、クロエのエアシューズのホイールが超高速で回転し、再び燃え上がった。
     回転の勢いのまま弾丸のように飛び出したクロエの蹴り足が倶利伽羅の頭部に激突した。
     ガラスの割れるような音がすると同時に刀の姿をした倶利伽羅の頭部が砕け散り、のこった体も炎に包まれ、激しく燃え始めた。
     倶利伽羅は、頭のない体でしばらく立ち尽くしていると、灼滅者達に向けて一礼し、そのまま燃え尽きていった。
     傷つきながらも立っている6人は油断なくその様を見守り、炎にあおられて闇の粒子が飛ばされてゆくと完全に灼滅しきったと確信した。
     その時だった。
    「おい、お前ら! こんなところに人間共がいやがったぜ」
     荒っぽい口調のその言葉に一斉に振り返ると、そこには別の刀剣怪人と、その手下達が姿を現していた。


    「こいつら灼滅者ですね、蛾切様!」
    「そんなことはわかってる。問題は、こうなってしまったらこいつらを片づけないと雄琴温泉でむふふする時間がなくなるってことだぞ、わかってんのか?」
     3人のペナント怪人に荒っぽく言い放つ刀剣怪人。『蜥切』とは、恐らくこの怪人の名前だろう。天海大僧正側との戦いのために西側に攻め入る途中でこの場に遭遇してしまったようだった。
     貴一は戦闘に備えた立ち位置に移動する。他の5人も小さく頷いて意識を奮い立たせた。
     こういう状況があると聞いたときから事前にその時の対応を話し合っていた。戦うためにこの場に来ているので、今はまだ撤退する状況ではないと判断する。
     回復のために力を集中すると、清めの風で神音、アデーレ、クロエの傷を癒してゆく。
    「おっと蛾切様、こいつらやる気のようですよ……無理しないで逃げ出せば手間が省けるのに」
    「ふん、ここで誰と戦ってたのかは知らないが、やるって言うなら相手してやるぜ」
     蛾切が日本刀を抜くとペナント怪人達が主を守るように前に出て、身構えた。
     アデーレはサイキックを集約してペナント怪人達に対し放出する。倶利伽羅達の時と同じ作戦でフリージングデスの冷気がペナント怪人を凍りつかせていった。
     続けて光理もフリージングデスでペナント怪人に攻撃し、氷でじわじわと体力を削ってゆく。
     蛾切が刀を大きく振り上げ、斜め袈裟にアデーレに斬りかかった。ぎらつく刃が深々と斬り裂いたのは、しかし、盾となるために間に入ったクロエの体だった。
     まだ戦える、そう思ったクロエに、今度はペナント怪人達の攻撃が一斉に集中した。
     回復のサイキックを使える瑠威達がすぐに癒していったが、倶利伽羅達との戦いで攻撃を受け続けすぎ、回復しきれないダメージがかなり蓄積されていた。
     神薙刃で傷ついたペナント怪人に攻撃を重ねる神音。アデーレも攻撃に専念してペナント怪人に攻撃する。
     だが、再びクロエに敵の攻撃が集中して、とうとう耐えることのできる限界を超え、倒れ込んだままクロエは意識を失ってしまった。
     光理は守りの穴を埋めるためにみんなの前に立ち位置を変えたが、今度は瑠威に対してご当地怪人ビームで集中攻撃をする。
     そういった攻撃のほとんどを盾として受け止めつづけ、その間にどうにかペナント怪人の1人は倒すことができたが、ついに光理も立ち上がれなくなり、次いで瑠威が耐えられなくなって倒れてしまった。
    「もう無理ですね……撤退しましょう」
     神音が残ったアデーレと貴一にそう言った。
    「……そうね」
    「それしかないかな」
     2人も頷くと、敵の攻撃に備えながら倒れた仲間達の体を抱え、少しずつ後退してゆく。そしてダークネス達が追いかけてこないのを確認すると、急いでその場から離れ、全員の意識が戻るまで待ってから学園へと帰っていった。
    「蜥切様、いいんですか?」
     逃げだしていった灼滅者達の方を顎で指しながら、ペナント怪人の1人が問いかけた。
    「だからいってるだろ、俺様の目的は雄琴温泉に行くことだってな。まあ温泉というか、あそこにあるいろぉんな楽しいお遊びを……うひひ」
     自分がよだれを垂らしていることに気がついた蜥蜴は、慌てて腕で拭うと自らの顔の刃で腕を切ってしまう。
    「いててっ!? まあとにかく、こんなところで無駄な戦いをしてる暇はないんだよ。さあ、坂本のやつらをやっつけに行くぜ!」
     琵琶湖大橋のまわりではあちこちで苛烈な戦いが繰り広げられていく。この戦いがどういう結果を導くのか、このときはまだわからなかったが、それでもこの大戦で未来への道が一つ選択された。

    作者:ヤナガマコト 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年10月1日
    難度:やや難
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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