牛丼屋襲撃事件

    作者:池田コント


     クマのような大男が土手に座っていた。
     浮浪者だろうか、身なりに気を配っている様子はない。
     髪は伸び放題。ひげも生え放題。
     肌もよく日に焼けて、本当にクマのような印象である。
     唐突に。
     プガォオオオアオウゥ……!
     おぞましい轟音が鳴り響き、近くの電信柱に止まっていた鳥たちが一斉に羽ばたいた。
     大砲のように大きくはあるが、どこか間の抜けた感じがする。
     おならだった。
    「うむ」
     大男は合点がいったというようにうなずく。
    「今のはぜいたくを言っているときの音だな……俺の腹が、牛肉が食いたいと言っている!」
     近くには動物の骨らしきものが積み重なっている。おそらくこの男が食べたのだろう。 
     とはいえ、彼は財布を持っていない。どころか、財産と呼べるものといったら、身に着けたジーンズと『クマ出没注意』と書かれたTシャツしかなかった。
     ということは、当然お金を払うことはできず……。
    「奪いにいくか」
     そうつぶやくと、大男は町の中心に向かって歩き始めた。
     一歩進むたび、地面が揺れるような錯覚さえ起こす、強烈な存在感を放っていた。
     プゴォオオオウゥ、プ、プ、プゴアアオォアウゥウゥ!
    「……我ながらうるせぇな」
     

     灼滅者たちが教室へ足を踏み入れると、背を向けていたヤマトはバッと振り返り、芝居がかった仕草で手をのばしてきた。
    「待っていたぞ、お前たち! ダークネスだ!」
     エクスブレインの未来予測が、ダークネスが起こす事件の一つを察知した。
     バベルの鎖の力によって、ダークネスは灼滅者の動向を予知してしまう。
     しかし、エクスブレインが導き出した行動をとれば、その予知を逃れてダークネスに接近できる。
     予知されずとも、ダークネスは強大である。
     厳しい戦いになるだろうが、ダークネスに対抗できるのは灼滅者しかいない!
     

     とあるアンブレイカブルが牛丼屋を襲撃しようとしている。
     知っての通り、アンブレイカブルは強さを求めるダークネスだ。いたずらに人を傷つけたりはしないが、強い敵との戦いやそれによって自分を更に高めることを求め、それ以外のことにはとんちゃくしない性質を持つことが多い。
     このアンブレイカブルもそういうやつである。
     目的は食糧のようだが、金銭は一切持っていない。人の命など虫ほどにも思っていないのがダークネスだ。必ず大騒ぎになることだろう。
     場所は、某駅前にある牛丼屋だ。カラオケ店とゲームショップに挟まれ、向かい側には銀行と駐車場がある。
     現場には先回りできる。ある程度時間の猶予もある。
     被害を最低限に食い止める手立てを考えて欲しい。
    「腹ごなしに暴れまわったり、運動と称して破壊活動を行たりする可能性は十分にある。というか、かなり高い……頼むぜ、お前たち!」


    参加者
    神鳥谷・千聖(灼熱・d00070)
    高代・奏耶(中学生ストリートファイター・d00382)
    柳・真夜(自覚なき逸般人・d00798)
    八重樫・貫(疑惑の後頭部・d01100)
    白瀬・修(白き祈り・d01157)
    苑・バサラ(金剛夜叉・d02157)
    紫空・暁(紫鏡の絵空事・d03770)
    九頭竜・切奈(暴食魔人・d07704)

    ■リプレイ


     残暑厳しい九月のこと。
    「めしが食いたいとかで、無茶するのはなんつーか……めちゃくちゃだよな」
     神鳥谷・千聖(灼熱・d00070)の言葉を聞きつけて、
    「ダークネスそのものがたいがいだけどな」
     と高代・奏耶(中学生ストリートファイター・d00382)。
    「でも、目的が食べ物というあたりが、むしろ他のダークネスより可愛げがあるよね」
     白瀬・修(白き祈り・d01157)たちは間もなく降りる駅に到着。
     総武線のホームに降り立つ。
    「さ、行こうか」


     工事関係者のような作業着を着た八重樫・貫(疑惑の後頭部・d01100)と紫空・暁(紫鏡の絵空事・d03770)が駐車場の入り口前に立っている。
    「申し訳ありませんがしばらく立ち入り禁止でーす」
     貫がほいっとチケットを見せると、運転手はしぶしぶ従った。
    「強さを求めるのはいいけど人に迷惑かけちゃダメだよなぁ」
    「今、中の点検中で立ち入り禁止なのよ、調査も兼ねてるから暫くゴメンナサイね?」
     暁はぴっとチケットを見せると、たまり場にしようとした若者たちは文句を言いながら従った。
    「そうねぇ。なにより、力ずくってのが好まないわねぇ」
     貫と暁が人払いをしているうちに、戦場となる場所の用意も進める。
    「さ、て、と……さっさとかたしちまうか」
     千聖は作業着の腕をまくって、駐車中のセダンに近づく。車体の端に手をかけて、
    「ふん! ふぬぬううううぅうう!」
     一台だけある車をどうにか動かせないか努力しているが、これがなかなか難しい。
     タイヤが駐車設備にはまっているし、クラッチペダルを踏んでもいない車はびくとも動かない。
     ものすごい怪力を発揮できるESPでもあれば楽なのだろうが。
    「任せとけ」
     九頭竜・切奈(暴食魔人・d07704) が車に向かって、鬼神変。
     切奈の腕が、鋭い爪を持つ異形のものとなり巨大化しかけたところで慌てて止める。
    「ダメダメ、切奈ちゃん。壊しちゃうから。壊しちゃうから」
    「え、でもこの車ジャマだろ?」
    「いっそ壊すのも一つの手だな!」
    「いや、ダメだろ!?」
     貫は思わずツッコんだ。
     その後、たまたま車の持ち主が帰ってきたので、強権発動して早々に立ち去ってもらった。
     修は闇纏いを使って堂々と牛丼屋ののぼりをとったが、やってみたらあまり意味はなさそうなので元に戻した。


     予約しておいた牛丼を受け取る組。
    「しっかし、多イな。二十杯くらいか?」
     苑・バサラ(金剛夜叉・d02157)は両手で大量の牛丼を抱えている。
    「いいえ、三十杯です!」
     柳・真夜(自覚なき逸般人・d00798)は答えた。
     こんな注文をするのは、依頼とはいえ、なかなか楽しい。楽しんでばかりもいられない状況なのも確かなのだが。
     時間的にはもうそろそろ目標が来るころである。
     持ち運びに困っている振りをして待っていると、通りの向こうから大男がやってきた。
     遠くからでもわかる威圧感。見た目は人間と変わらないが、人離れした雰囲気を放っている。
    (「……牛丼食イに来ただけだってノに、なんて気配だ」)
     身震いする。恐怖か、武者震いか。
     初見から気持ちで負けないように、バサラは気安く話しかけた。
    「よぉ兄さん、見テの通り俺の手にゃ余るんだが、喰うかい?」
    「数間違えて余ってしまって困ってたんですよー」
     真夜がそう誘いかける。
     大男はジロリとこちらを見た。
    「兄ちゃん、嬢ちゃん。自力で手に入れたもんは自分で食いな。どんな手段だったとしても、それが自然なことだ」
     ヤクザのような迫力。
    (「く……!」)
    (「この人……」)
     並の人間ならおしっこちびっちゃいそうな眼力で……。
     ぷぅうぅうおおおあうう!
     おならをしたのだった。
    (「笑っちゃだめです笑っちゃだめです笑っちゃだめです……!」)
     真剣な雰囲気、真剣なセリフ、真剣な顔を間近に突きつけつけられて、おならをされた。へをこかれた。
     噴き出しそうになるのを必死にこらえる。
    「あん、なにがおかしい」
     プァ、プ、ププゥアゥアウアゥ!
    (「だって、おなら……!」)
    「なにがおかしい」
     プ、プガゥオゥオゥオゥ!
     こいつわざとやってんじゃないだろうか。
    「まぁまぁ、怒らないで。一緒に来てくれれば、食後の運動もできるよ?」
    「ほーう?」
     修のその言葉で大男の表情が変わった。嬉しそうな笑みを浮かべている。
    「その運動ってのはどこでできるんだ?」
    「ほら、そこで」
     駐車場を指さす。
    「ふむ。まぁ、近くていいやな」
    「……だよね」
     修の後ろを大男はついてくる。案外すんなりいきそうだ。
     けれど、うなじの辺りがチリチリと焼けるような気がする。
     正直いつ暴れ出すか、緊張感がそんな錯覚を引き起こしているのだろう。
     今この瞬間、背後から襲われたら……。
    (「……ただでは済まないな」)
     だが、同時にこちらもただではやられたりしない。
     袖の中に忍ばせたナイフと鋼糸の具合を確かめる。
     が、結局何事もなく、大男は駐車場の車止めに腰かけると、真夜が一個ずつ器をよいしょよいしょと置いていく。
    「生憎だが……」
     大男はパッチンと割り箸を割った。
    「施しは受けねえぜ……ガツガツガツ!」
    「いや、食っテるだろうガ」
    「ほれはそーんじゃあく」
    「食イながらしゃべんなよ。汚ねぇナ」
     ガツガツ……モリモリ……。
    「早っ! 食うの早っ!」
    「かまないで飲み込むと消化に悪い……」
     ムシャムシャムシャ……!
    「……ちゃんとかんでるね。高速で」
     修はもうため息をつくしかなかった。
     暁と貫が一般人を近づかせないために封鎖用のロープなどを設置する。
     切奈は大男がそちらに気づないように話しかけた。
    「その牛丼美味しいだろ? 何なら今度テイクアウトして土産に持っていくぜ!」
     そうすればわざわざ店までやってきて騒動を起こすこともなくなるのでこちらとしても好都合。
     と、切奈が考えたのかといえば、それはちょっとだけ怪しいが、ともかくそんな提案をしてみると、
    「いらねえ。お前は俺の舎弟か」
    「舎弟? そんなんじゃないけどさ」
    「俺は飼うのも飼われんのもまっぴらだ。めんどくせえ」
     そこへ、千聖がやってきた。
    「うお! マジでくまさんだな! うっすごきげん麗しゅう!」
     千聖の軽い調子の挨拶にも気を悪くした様子はなく、大男は牛丼を食べ続ける。
     次々と空になって積み重なる器と消えゆくその中身を、切奈は物欲しそうに見つめている。
     あんまりうまそうに食うので、切奈のお腹も減ってきた。
     暁たちは人払いの仕上げをして、現場の確認。
     一般人の避難よし。寄せ付けない工作よし。貴重品の退避なんとかよし。
     暁と貫も合流する頃には、あれだけあった牛丼がすべて大男の腹の中に収まっていた。
    「さて、お腹いっぱいになったことですし、このまま帰って……」
    「折角だし食後の運動も必要だろ? 折角だし楽しもうぜ」
     折角だし、と千聖が誘うと、一も二もなく承諾された。敵も味方も完全にバトルムード。
    「……帰っていただくわけにはいかないのですね。仕方ないのです……いざ、参ります」
     真夜は観念して力を解放した。戦いは避けられない。わかっていたけれども。
    「私は一般人なのに」
    「いや、一般人ではないよな?」
     いけしゃあしゃあと言うので、貫はついツッコんでしまった。
    「名前、なんつーの? 僕は神鳥谷千聖、お前をぶっ倒す男だ」
     体を半身に開き、重心を落として、拳を突き出し、見栄を切る。見栄えもするが、同時に戦闘的な構えだ。
    「威勢がいいねぇ! 嫌いじゃねぇぜ、そういうの」
     対して、大男は両腕をたらした自然体。完全にこちらを軽く見ている。
    「構えないのです?」
     という真夜も自然体に見えるが、実のところ隙のない、忍びの修行に裏付けされた立ち姿だ。
    「必要ねぇな……俺の名前も名乗らねぇから拳で聞け」
     まずは勝負。
     なにをするにもそこからか。
     わかりやすくていい。ダークネスではあるが、性格的にはわかるところもあって切奈は斬艦刀を構えた。
    「押忍! お互い愉しい戦いにしような!」
     切奈の腕が異形と化し、大男目がけてそれを振り下ろした。
     ゴン!
     あっけなく、巨大な腕の下に大男の姿が消える。
    「一発で……! ……なわけないか」
     重量挙げのように、切奈の拳を持ち上げる大男を見て、貫はニット帽を深めにかぶり直す。
     高速で距離を詰めた真夜の拳が大男のみぞおちにめり込む。胸部には奏耶の盾が叩きつけられ、反対側からはバサラの妖の槍が突き刺さっていた。
    「うぉおおお!」
     飛び退いた真夜と代わるように貫が縛霊撃。
     白と黒の、巨大な岩のような腕。
     命中した瞬間に、網状の霊力も放射し、大男を縛り上げる。
    「どっけー!」
     千聖の手のひらから放たれた炎の奔流が男の巨体を飲み込んだ。
     だが、男は平然と炎の中から歩み出た。
    「効いてない?」
     いや、確実にダメージは与えている。この男がタフすぎるだけだ。
     修はフリージングデスを撃ち続ける
     凍結、凍結、氷、氷氷氷。
     だが、大男の歩みは止まらない。
    「お前ら、その程度か?」
     そう言った大男の全身を影が飲みこんだ。
    「手は抜かないわよ、それがお好みでしょ?」
     暁は微笑みを浮かべ、中でもがく大男を逃がさぬよう影を操る。
    「影は本職だもの、貴方に何を見せるかしらね」
     次の瞬間。大男は影を突きぬけてきた。手には大きな刀が握られている。
    「久々に嫌なもん見ちまったぜ……」
     影によるトラウマのことだろう。
    「いいか。俺は与えられるのが好きじゃねぇ与プ、プゥアアウィウゥウゥ!」
    (「なんか言おうとしたら自分のおならに遮られてる!?」)
    「……」
    「……てわけだ」
    「全然わかんねぇ!」
    「全然わかんネェな……」
    「あの、もう一回お願いできますか?」
    「んーと、まぁ、俺は家畜にならねぇために欲しいもんは全部奪うことにしてんだって話だ」
     大男は刀を構え、
    「だから、お前らからも奪うぜ」
    「……! 来ル!」
     一閃。空間を裂くような一撃が去った後、距離を詰めていた前衛は全員倒れていた。
     いや、斬撃なんてものじゃない。
     もっと強引で、粗野な、武器の体当たりのような攻撃だった。
    「く、くそ……」
    「めっちゃくちゃ、痛いな! めっちゃくちゃだな!」
     切奈たちが苦痛に顔をゆがめる中、いやなぜか嬉しそうな顔をしている者もいるが、ともかく貫は何事もなかったかのように立ち上がりニット帽についたゴミを叩いて払う。
    「痛くないのか?」
     奏耶の問いに貫は無言で顔を向け、
    「やっぱ痛ぇー!」
     騒ぎ始めた。我慢したけどダメだった! 痛いもんは痛い!
    「なにしてるですか!」
    「……どした? 終わりじゃないよなぁ! もっときっついのをくれよ!」
     大男の好戦的な笑み。
    「当たり前だ! 百万倍にして返してやるよ!」
     目の端に涙を浮かべて貫は立ち向かっていった。
    「回復は任せて! 皆は攻撃を!」
     修は叫んでジャッジメントレイ。
    「闇を払いし審判の光よ、主の子らに祝福を与えたまえ!」
     支援を受けながらの戦いは長く続いた。
     貫が地獄投げをしかけ地面に頭から落とすと体をつかまれ逆に同じ形に投げられ、バサラは突き刺した槍を振り回されて千聖に激突。真夜の閃光百列拳は全部体で受けられ裏拳で一蹴。戦神となった切奈の拳は真っ向から拳を叩きつけられ、奏耶の抗雷撃は腕をつかまれて折られ、暁の影は強引に引っぺがされた。
     次々と絶え間なく攻撃を続けるも、大男は衰えを見せず、無尽蔵と思える体力で受け続ける。
    「僕の炎はそんじょそこらの熱さじゃねぇぜ! 喰らえ! 大戦艦斬り!」
     全身に紅蓮の業火をまとった千聖が斬艦刀を振り下ろした。強烈な一撃が大男の肉を裂き鎖骨を叩き折る。人によれば絶命しかねない渾身の一撃を、大男は嬉しそうにくらった。
     反撃で千聖は吹っ飛び、地面をえぐりながら壁にぶつかって止まった。
    「これがこのダークネスとアタシたち灼滅者の実力差……」
     見る者を射殺しそうな、冷たい瞳。暁の口元はつらい戦いに際してむしろ一層の笑みを深めていた。
    「……勝てるのか? これ、勝てるようになるのかよ」
     貫たちの疲労が積もる。絶望が染みのように、にじり寄ってくる。
    「さぁて、そろそろ終わりに……」
     不用意に近づいた大男の側頭部に、バサラが拳をぶちかます。
     男が衝撃によろけた。
     一瞬だが意識が遠くなったようだ。軽い脳震盪か。
     だが、さすがダークネスか数瞬で何事もなかったかのように持ち直した。
    「いいな!」
     鼻血を垂らしながら、にんまりとバサラを褒め、
    「へ、ありがとヨ……!?」
     顔面から地面に投げ落とした。
     真夜は自分の首を絞めつける手に抗雷撃を打つが、やがて力尽きる。
    「か、は……私は一般人なのに……」
     小柄な体は、先に両腕を折られた奏耶の上に落ちた。
     ゾブリ!
     大男が腹部を見ると、切奈の斬艦刀が深々と突き刺さっていた。
    「よし! いいぞ!」
     大男は破顔して切奈をぶちのめした。
     累々と屍をさらす仲間たちを見て、修は自分の弱さに打ち震えた。
    「もっと力があれば……彼をとめられるだけの力が……!」
     動悸が激しくなるのを感じる。魂のどこかでおぞましい声が……。
     ゴフゥ!
     大男に蹴られて修の体がくの字に曲がった。
    「簡単に諦めんじゃねぇよ。もっと強くなれ。つまらねえんだよ」
     貫の頭を右手で握りしめ、軽々と持ち上げる。
    「ぐ……痛ぇ……痛痛痛い痛いたいたい!」
    「いいか。雑魚にしてはやるようだが、めだかがコイになったって、クマには敵わねえんだよ。わかるか。せめてサメくらいになって俺を楽しませろ!」
     頭蓋の割れそうな激痛に襲われながら。
    「りゅ、りゅうだ……」
    「なに?」
    「龍になってやるつってんの!」
     頭をつかまれた状態から男の顔面を蹴りつけ、その隙に逃れた。
    「そーだ! ものすっげー強い龍になってクマでもなんでも焼き尽くす!」
    「兄さン、そのときは俺が『喰ってやる』からナ」
    「はっはっはっは」
     プ、ププ、ププッピドゥ!
    「いいねぇ! 嬉しくって屁が出ちまった! 嬉し屁だぁ! 俺は嬉しくなると止まんなくなるのよ! 俺の名はウバだ! お前らいいよ! 龍になれ。じゃなきゃ殺すぜぇ!」
     物騒な発言のわりに上機嫌で切奈の頭を叩くと、おならを出し続けながら去っていった。


    「かー! 負けたー!」
    「イヤア喰われた喰われた」
    「あぁ……完敗だな」
     バサラたちは牛丼屋にいた。やけ食いだ。
     負けたって紅しょうががたんまりのせる。卵だってのせちゃう。
    「うっはー! めちゃくちゃうめえ! マジで腹へってたんだよなあ!」
    「九頭竜先輩、すごい食べるなぁ……」
    「よくあんなに食べれるわねぇ……」
    「私はほどほどにしておくのです。一般人ですから」
     今日は負けたが次こそは。
     いつかの勝利を誓いながら、店員ら周りの驚嘆を受け続けるのだった。
    「やっぱり、仕事帰りの牛丼は美味しいな! いくらでも食えるな!」

    作者:池田コント 重傷:神鳥谷・千聖(灼熱・d00070) 八重樫・貫(疑惑の後頭部・d01100) 苑・バサラ(金剛夜叉・d02157) 九頭竜・切奈(暴食魔人・d07704) 
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2012年9月21日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 6/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 9
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