やり場のない殺意、感情。

    作者:のらむ

    ● 
     4日前、クソオヤジが事故で死んだ。
     酔っ払って車運転したあげく、木と衝突して身体がグシャグシャになったらしい。笑える話だ。
     そのグシャグシャを見ちまった奴には同情するぜ。可哀想に。
     今俺は、その事故現場の公園に立っている。誰が手向けたのかはしらないが、たくさんの花や、あのクズが好きだった缶コーヒーが置いてあった。
    「もらうぞ…………死人に断る必要もないか」
     そう言って俺は置いてあった缶コーヒーを手に取る。
     本当にクソだった。俺のオヤジは。
     仕事に出ている時はいい人ぶってたらしいが、家の中ではひどいもんだ。
     酒に溺れ、いつも俺と母さんに暴力を振るっていた。
    「その所為で母さんは死んだ」
     そして母さんが死んでからは、その暴力の対象は俺のみに向けられた。死にかけたこともあったな。
     まあこれだけ聞いたら、どこにでもある陳腐な話だと他人は思うだろう。俺も同じような話を聞いたら、きっとそう思う。
     だが、他人にとっては下らなくとも、俺にとっては大事な話だ。人生を左右するほどの。
     オヤジの振るう拳はとても痛かった。だがそれより何より、たまにあのクズがポロッと口に出す、死んだ母さんの悪口が何よりも痛かった。
     殺意が沸いた。殺してやろうと思った。でもあの拳が怖かった。でもそれより殺意が沸いた。でも怖い。殺したい。怖い。殺したい。怖い。殺したい。
     そして決断出来ぬまま、オヤジは死んだ。けれど、俺の中に生まれた殺意の炎は、今も消えていない。むしろその勢いは日に日に増している気がする。
    「このまま俺は、バケモノになっちまうのかな」
     缶コーヒーを飲み干すと、公園を見回す。
     無邪気に遊ぶ子どもたちやその親達が、ただの血袋に見えてしまうのが何よりも怖かった。


    「……彼が今抱いている感情の中で、一番大きい物は何なのでしょうか。私には分かりませんでした」
     神埼・ウィラ(インドア派エクスブレイン・dn0206)はそう言って資料を開き、、説明を始めた。
    「とある男子学生が六六六人衆に闇堕ちしかけ、ダークネスになる寸前の状態で留まっています。ですが、このまま放っておけば完全に闇堕ちしてしまいます」
     その男の名は、坂城・章吾。16歳。
    「章吾が完全なダークネスになる前に彼を殺すか、上手い事やって彼を灼滅者として生かすか。そのどちらかを行って下さい」
     章吾自身に灼滅者としての素質はあるのか。それは誰にも分からない。
    「もし章吾が完全なダークネスになってしまうようなら、その時は容赦なく灼滅して下さい。そうしなければ、必ず多くの人間が殺されます」
     章吾は、とある公園の一角に佇んでいるらしい。灼滅者達は、その際に章吾と接触、戦闘する事になる。
    「その場所は、数日前に章吾のお父さんが事故で亡くなった場所です。彼がどんな思いでそこに立っているのか。それは分かりません」
     そしてその公園には、子供を含めた一般人が20人ほどいるらしい。
    「章吾はあえて一般人を殺すことはしませんが、あまり気に留めてもいないので、ある程度気をつけたほうがいいかもしれません。当日には、一応誠という灼滅者が一般人の避難誘導に当たる手筈になっています」
     章吾との戦闘は避けられないが、適切な言葉、行動で彼の人間としての心に呼びかければ、章吾の戦闘力を下げることが可能らしい。
    「説得の内容は皆さんにお任せします。どうか、悔いのないよう」
     そう言って、ウィラは資料を静かにめくる。
    「章吾の戦闘能力は、素の状態なら序列六百番台後半といった所でしょう。戦闘の際はガンナイフの様な武器を生み出し、戦う様です」
     そこまでの説明を終えると資料をパタンと閉じ、ウィラは灼滅者達を見据える。
    「……さて、説明は以上です。新たな六六六人衆の誕生を阻止し、皆さんの納得の行く戦果が得られることを願っています。お気をつけて」


    参加者
    風雅・晶(陰陽交叉・d00066)
    柳・真夜(自覚なき逸般人・d00798)
    天雲・戒(紅の守護者・d04253)
    ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティガー・d15114)
    内山・弥太郎(覇山への道・d15775)
    マルテン・サイト(心の刃は砕けない・d23200)
    風間・小次郎(超鋼戦忍・d25192)
    天城・カナデ(中学生人狼・d27883)

    ■リプレイ


    「…………」
     章吾が木に寄りかかりながら、無言で缶コーヒーを啜っている。
     彼の父親が車で衝突した木だ。
     その場所に、8人の灼滅者達が現れた。
     花が手向けられている場所に手を合わせている彼らを、章吾は横目で眺めていた。 
    「……おい、あんたら。ここで死んだ野郎と知り合いなのか?」
     章吾が顔だけを灼滅者達に向け、話しかける。
    「イイエ、面識は無いデス」
     ローゼマリー・ランケ(ヴァイスティガー・d15114)がそう答える。
    「だったら手なんか合わせない方がいいぜ。お前らの時間が勿体無い」
     そう吐き捨てて、章吾はまた一口缶コーヒーを啜った。
    「亡くなった方のタメに祈るのに理由は必要デスカ? 故人を悼む感情は、万国共通だと思いマスヨ」
    「………………祈らない理由ならあるぜ」
     章吾はローゼマリーの言葉にそう応え、灼滅者達の方に身体を向ける。
    「そこで死んだ奴は真性のクズ野郎だったんだよ。妻を自殺に追い込んだあげく、自分が殺した妻に死んでもなお罵詈雑言を言い続ける程のな。だから、祈る価値なんか無い」
     内山・弥太郎(覇山への道・d15775)は手向けられた花に目を向けた。
    「確かにご家族の方は故人に良い印象は持っていなかったかもしれません。ですが、ここに手向けられている花の数々は、たくさんの人からの感謝のはずです」
    「何が言いたい?」
     章吾は弥太郎を睨みつけ、弥太郎はその章吾を見つめ返した。
    「本当に悪い人と言うのはいなくて、ただ、噛み合わせが悪かった。そういう事なんだと思います」
    「どうだか。俺にはここで死んだ野郎がそんな奴だったとは思えないな」
     章吾はバツの悪そうに目をそらし、またコーヒーを啜った。
    「……あなたはここで亡くなった方のご遺族ですよね? 坂城・章吾さん」
     柳・真夜(自覚なき逸般人・d00798)に突然自分の名前を呼ばれ、章吾は驚いたように目を見開いた。
    「私達は、章吾さんの事を助けに来たんです」
    「助け? お前らは一体……」
     真夜は更に言葉を続ける。
    「お父様の拳が怖かったからこそ、同じように己の感情だけで相手を傷つける様なことはしたくないと思っているはずです」
     真夜の言葉に、風間・小次郎(超鋼戦忍・d25192)が続く。
    「お前は、痛みと恐怖がどんなものかを誰よりも分かっているはずだ。それを他人に味合わせるのか?」
     小次郎と真夜の言葉を聞き終えた章吾が、自身の両拳を痛いほど硬く握りしめる。 
    「………………俺は、どうすればいい?」
     平気な風に話しているこの瞬間も、章吾は自身の殺戮衝動を無理やり押さえ込んでいた。
     苦しむ章吾に、マルテン・サイト(心の刃は砕けない・d23200)が語りかける。
    「私達に、本気でその殺意をぶつけて下さい。そうすれば、私達はその状態から救い出すことが出来る」
    「ぶつける? 本気で? でもそんなことしたら、お前らが……」
     僅かに怯えたように首を振る章吾に、マルテンが更に言葉を続ける。
    「私達なら大丈夫です。あなたは更に苦しくて辛い状態になると思います。だけど、私達を信じて下さい」
    「………………」
     黙りこむ章吾に、天城・カナデ(中学生人狼・d27883)が説得を続ける。
    「お前は、変わっていく自分が怖いんじゃねえのか? そしてその理由に、父親を使っている。違うか?」
    「それは……」
     図星だったのだろう。章吾は明らかに動揺している。
     カナデが、更に畳み掛ける。
    「変わっていく自分が怖いってんなら、俺らが力ずくで止めるの手伝うからよ。だからお前も人間的な感覚取り戻せるよう、気張れよ……!!」
    「…………分かった。やるよ。もう俺は、見ず知らずのお前らに頼るしか無い。じゃないと……」
     今にも誰かを殺しそうだ。
     章吾は何かを決意した表情で跳び、灼滅者達と距離を取る。そして懐から二挺のガンナイフを取り出し、構えた。
    「始める前に、もう一つ聞いておきたい事があります」
     風雅・晶(陰陽交叉・d00066)が、章吾に問いかける。
    「さっきまでの会話で、あなたは本音を全部出しましたか? もっと他に、言いたいことがあるのでは?」
     晶の言葉に、章吾は一瞬何かを考える素振りを見せた。
    「俺は……あのクソオヤジが嫌いだった。今でも嫌いだ。殺したくて殺したくてしょうがなかった」
    「でも、結局あなたは決断出来なかった。それはどうしてですか?」
     晶の問いかけに、章吾は応えられない。
     その問いは、章吾が自らに常に問いかけ、結局答えが出なかったものだからだ。
     父親を殺したかった。この思いは本物だった。確実に。しかし、出来なかった。何故?
    「お前、本当は父親に生きていて欲しかったんじゃないのか?」
    「…………は?」
     不意の天雲・戒(紅の守護者・d04253)の言葉に、章吾はポカンとした表情を浮かべる。それに構わず、戒は言葉を続ける。
    「確かに父親への殺意は本物だったかもしれないが、それとは別に『父親に生きていて欲しい』って思いもあったんじゃないか?」
    「そんな……そんなわけないだろ!!」
     章吾が初めて叫ぶ。あまり感情を出さずに会話していた章吾だが、この言葉でかなり心が揺さぶられたようだ。
    「お前の父親は酒に溺れて、暴力を振るった。じゃあその前は? 父親とのいい思い出は何も無いのか?」
    「………………」
     戒と章吾の視線がぶつかり合う。その一瞬で、章吾は何を考え、思い出していたのだろうか。
     フッと、章吾が軽く笑みを浮かべた。
    「悪いが、その事に関して俺はこれ以上何も言う気は無い…………だけど、ありがとう」
     そう言って、章吾は二挺のガンナイフを構え直す。
     もう、灼滅者達は出来るだけの説得はやった。
     後は、章吾の中の殺意に立ち向かうだけだ。


    「いくぞ!!」
     章吾は空中に飛び上がると、2つの銃口を灼滅者達に向ける。
    「これくらいで死ぬなよ!!」
     引き金を引く。凄まじい連射によって、大量の弾丸が前衛にばら撒かれた。
    「機甲装着!」
     スレイヤーカードを開放し、小次郎は横に跳ぶ。
     振りかかる銃弾の間をすり抜けた小次郎は刀を構え、跳ぶ。
    「俺の剣は少しばかり、熱いぞ!!」
     その刀身に業火を纏わせ、刀を真っ直ぐと振り下ろす。
     章吾の身体を焼き焦がし、斬り裂きながら、地面へと勢い良く叩きつけた。
    「まだだ!!」
     小次郎は更に右足に炎を纏わせ、落下する。
     そして、倒れこむ章吾の腹に、思いっきり蹴りを入れた。
    「グッ!!」
     章吾は小次郎の身体を押しのけ、すぐに身を起こすと、周りを見渡す。
    「行くぜ!!」
     全身から膨大なオーラを発しながら、カナデが章吾に接近する。
    「チッ!!」
     章吾は咄嗟に引き金を引くと、2つの弾丸がカナデに迫る。
    「…………ハッ!!」
     カナデが上体だけを横に逸らすと、さっきまで頭があった場所を、弾丸が通り抜けた。
    「少し痛いかもしれねえけど、我慢しろよ!!」
     全身のオーラを両拳に集束させ、章吾の身体に無数の打撃を打ち込む。
    「ウゴゴゴゴゴガッ!!」
     たまらず後ろに跳んだ章吾に、晶が追撃を仕掛ける。
     『肉喰』と『魂結』。二本の小太刀を構え、晶は章吾の背後に回りこむ。
    「自分の本心を理解して。闇に引っ張られる心を、律して下さい」
     素早い動作で小太刀を振るう。晶が放った2つの斬撃が、章吾の背を深く斬り裂いた。
    「クソッ……!!」
     振り向きざまに章吾がガンナイフで晶を斬りつける。
     しかし晶は後ろに下がらず、更に小太刀を振り下ろし、章吾の身体を正面から斬った。
    「グ……ウオオオオオ!!」
     痛みに章吾が吼え、膨大な殺気を周囲に撒き散らす。
    「抑えてクダサイ。もしあなたが闇に飲まれてしまえば、父親と同じ、暴力を振るう存在となってシマイマス!!」
     拳に雷を纏わせ、ローゼマリーはどす黒い殺気のど真ん中を突っ切り、章吾に一気に迫る。
     右拳を打ち出す。だが、章吾はそれを右腕で受け止める。
    「コッチが本命デス!!」
     その状態で、ローゼマリーは左拳で力強くアッパーを鳩尾に放った。
    「…………ガッ!!」
     章吾の身体が地面を転がる。
    「隙あり」
     その章吾を真夜がガッシリと掴み上げると、空高く飛び上がる。
     そして真夜は空中でクルリと身を一回転させ、章吾と真夜の頭が下を向く。
    「かなり痛いですけど、我慢して下さいね!!」
     そう言って、真夜は身体をきりもみ状に回転させて一気に地面まで落下する。
    「ウゴッ………………」
     頭から地面に落下し、章吾の首が変な方向に曲がった。
     ゴキゴキと首を無理矢理元の形に戻し、章吾が灼滅者達を睨みつける。
    「俺は自分の事をバケモノだと思ってたが、お前らも大概だな」
     その章吾の呟きに、真夜が答えた。
    「でも私は一般人ですよ」
    「嘘つけ」


    「公園から逃げて!! 早く!!」
     マルテンがパニックテレパスを使用し、公園にいた一般人に避難を呼びかけていく。
    「銃持った危ない奴がいるぞ!! 早く逃げろ!!」
     誠も、周囲の一般人達に避難を呼びかけていた。
    「今からお姉ちゃんと一緒に遊びましょうか? ちょうど近くにとっておきの秘密の場所があるのです!」
     ミルミ・エリンブルグ(焔狐・d04227)は、公園にいた子ども達を上手い事引き連れ、公園から避難させていく。
    「……終わったわね」
     公園にいた人間を全て無事に避難させることができた。それを確認したマルテンが、戦闘場所に走り、戻っていった。
     
    「まだだ!!」
     かなりの攻撃を一身に受けていた章吾だが、まだ倒れない。
     章吾は身体を回転させながら打ちまくり、銃弾を滅茶苦茶にばら撒いた。
    「……くっ!! サイゾー!!」
     弥太郎の呼びかけに応え、弥太郎の霊犬『サイゾー』が、弥太郎の傷を癒す。
     手に持った剣を上空高く放り投げ、弥太郎は右腕を狼化させる。
    「いきますよ!!」
     飛びかかり、弥太郎はその鋭い爪で章吾の胸を引き裂く。
     そしてすぐに後ろに飛んで右腕を元に戻すと、落下してきた剣をしっかりと掴み、構え直した。
    「耐えろよ、章吾!!」
     戒は足に炎を纏わせ、章吾を蹴り上げる。
    「……やられっぱなしじゃ終わらねえぞ!!」
     空中で体勢を整え、章吾がガンナイフの引き金を引く。
    「クッ……それはこっちもだ!!」
     放たれた弾丸をその身に受けながら、戒は飛び上がる。
     そして空中で剣を真横に振るい、章吾の身体を斬りつけた。
    「ああ、ゲホッ……やばいな、そろそろ限界かもしれない」
     傷口を押さえて何とか立ち上がった章吾の前に、避難誘導を終え、戦闘に合流したマルテンが立ち塞がる。
    「もうそろそろ、終わりです……いきますよ」
    「ああ……来い!!」
     待ち受ける章吾に、灼滅者達が一斉に攻撃する。
     戒が剣に炎を纏わせ、章吾の肩を斬る。
     弥太郎は掻き集めた畏れを纏わせた剣で、脇腹を切り裂く。
     真夜が拳に雷を纏わせ、正拳突きを腹に叩きこむ。
     ローゼマリーが盾を振りかぶり、顎先に強く打ち付けた。
     晶は二本の小太刀を素早く突き出し、章吾の身体を貫いた。
     カナデは魔術を詠唱し、足を凍りつかせた。
     小次郎は刀を非物質化させると力強く振り下ろし、章吾の魂を斬る。
    「グッ…………」
     小次郎の一撃を受け、章吾の身体がよろめく。
     その隙に、マルテンが剣を構えて接近する。
     斬り上げる。振り下ろす。薙ぎ払う。
     マルテンの放つ斬撃を、章吾はガンナイフで捌いていく。
     しかし、これまでに蓄積されたダメージは大きく、傷の痛みに章吾の動きが一瞬鈍る。
    「これでトドメよ!!」
     章吾が両手に持っていたガンナイフを剣で叩き落とし、章吾の胸を一気に刺し貫いた。
    「……俺の負けか……単純に、悔しいな」
     胸から剣を引き抜き、章吾は目を閉じてバタンと地面に倒れた。


    「あ……生きてた…………」
     数分後、灼滅者達が見守る中、章吾が意識を取り戻した。
    「おめでとう。あなたは、自分の闇に打ち勝ったんですよ」
    「そうか…………良かった、生きてて」
     晶が声をかけると、章吾はゆっくりと身を起こした。
    「まっ、全部を飲み込めた訳じゃあねえと思うけど、これからゆっくり自分の中で消化していけよ」
     そう言って、カナデは章吾の肩をポンと叩いた。
    「生還おめでとうございます章吾さん。これ、飲みますか?」
     弥太郎から缶コーヒーを受け取り、章吾はそれを一気に飲み干した。
    「ふーー、美味い……ありがとうな、色々と」
     頭を下げる章吾に、マルテンが声をかける。
    「こちらこそ、私達を信じてくれて、ありがとう」
    「ま、半信半疑だったけどな。未だにお前らが何なのか良く分からねえし」
     そう言って、章吾は軽く笑った。
    「それではようこそ、新たな灼滅者。武蔵坂は、お前を歓迎する」
    「え、何? スレイヤー? むさしざか? 何だそれ」
     小次郎の言葉に、章吾が軽く首をかしげる。
    「私達の様な奴らがゴロゴロいる学園があるんデスヨ。そこなら多分退屈しないデスヨ」
     こんな奴らが一杯いるのか、と、ローゼマリーの言葉に章吾は少し驚いているようだった。
    「それに、あなたと同じような衝動を抱える仲間が、それはたくさんいますよ」
    「……なるほどな」
     真夜がそう言うと、章吾は神妙な顔つきで頷いた。
    「武蔵坂学園なら、おまえのその力で人を救う方法を教えてくれる。どうだ、俺達と一緒に来ないか?」
     そう言って、戒は右手を差し出した。
     章吾は一瞬悩んだ末、右手を差し出した。
    「……分かった。俺もいくよ、武蔵坂学園に」
     答えを聞いて、戒はニコッと笑った。
    「ようこそ、未来のヒーロー!」

     こうして、新たな六六六人衆の誕生は阻止され、代わりに新たな灼滅者が誕生した。
     8人の灼滅者は、これから先章吾に殺されていたかもしれない数多くの一般人の命だけではなく、章吾自身の未来も救った。
     それは、誇るべき戦果だろう。

    作者:のらむ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年10月13日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 4
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