儀冶府・蘭(ラディカルガーリーマジシャン・d25120)は、こんな噂を耳にした。
『不真面目な学生を真面目に変える都市伝説が存在する』と……。
都市伝説が確認されたのは、茨城県某所にある某高校。
この高校は県内でも特に問題のある生徒達が集められており、特攻服を着てバイク通学は当たり前。
廊下の壁はカラースプレーで落書きがされ、授業中であっても教師の目の前で賭け事に興じるほど荒れた学校であったらしい。
だが、都市伝説が現れた事で、事態は一変!
まるで熱血教師ドラマの如く学園に現れ、生徒達を次々と更生させていったようである。
都市伝説は強烈なパンチを放つ事によって、相手を催眠状態にさせる事によって、自分が今までやってきた事を恥じ、生真面目に生きようという気持ちにさせているらしく、その効果は抜群。
みんな生まれ変わったように瞳をキラキラさせ、常に世界を平和にするためには、どんな事をすればいいのか考えてしまうほど、真面目になっているようである。
そのため、都市伝説を心の底から信頼しており、彼を守るためなら命を捨てる覚悟があるほど。
そういった意味で彼らの決意は固く、多少の事では怯まない。
場合によっては、命を捨てる覚悟で襲い掛かってくるため、こちらもそれなりの対応をする必要があるだろう。
ただし、相手が一般人である以上、命を奪う訳にもいかないため、その点は十分に注意しておかねばならない。
また都市伝説のパンチを食らうと、自分の考えが間違っているのではないかと不安になって、戦う事を躊躇ってしまうため、その事を踏まえた上で、都市伝説を倒す方法を考える必要がありそうだ。
参加者 | |
---|---|
上土棚・美玖(高校生デモノイドヒューマン・d17317) |
翠川・夜(神薙使いの夜・d25083) |
儀冶府・蘭(ラディカルガーリーマジシャン・d25120) |
神之遊・水海(うなぎパイ・d25147) |
五山・重五(掃き溜めの屑・d25178) |
スヴェトラーナ・モギーリナヤ(てんねん・d25210) |
ジェルトルーデ・カペッレッティ(サイバーブラストガード・d26659) |
日輪・白銀(汝は人狼なりや・d27689) |
●不良高校
「不良を、真面目にするだなんて、許せな……うん? 許せない?」
ジェルトルーデ・カペッレッティ(サイバーブラストガード・d26659)は、仲間達と共に都市伝説が確認された高校に向かいながら、不思議そうに首を傾げた。
何となく、このまま放っておいてもいいような気がする。
それ以前に、都市伝説は何も悪い事をしていないように思えた。
「……ええと、この都市伝説、放っておいても害はない気がするのですが……」
そんな空気を察したのか、日輪・白銀(汝は人狼なりや・d27689)が、気まずい様子で汗を流す。
いまのところ、洗脳された生徒達が、問題を起こしている様子はない。
むしろ、不良達が更生するように、全力を尽くしているだけで、何の問題もないようである。
そういった意味で、都市伝説は何ひとつ悪い事をしていない。
あえて、問題点を挙げるとすれば、都市伝説だという事だけである。
もちろん、都市伝説という性質上、噂が変化する事によって、狂暴化する可能性もあるため、放っておく事が出来なかった。
「確かに、この都市伝説は社会に迷惑をかけてるわけではないような気が……。別に灼滅しなくてもいいんじゃ……」
儀冶府・蘭(ラディカルガーリーマジシャン・d25120)も同じ考えに至ったらしく、申し訳なさそうに呟いた。
「……とは言え、見るからに不良高校って感じよね。その生徒が更正できたなら、一見良い事のようにも思うけれど、催眠って手法に問題がある気がするわ」
都市伝説が確認された高校に辿り着き、上土棚・美玖(高校生デモノイドヒューマン・d17317)が深い溜息をもらす。
だが、優等生化した生徒達が、他の生徒達に影響を与えて更生させているため、都市伝説がいなくても何とかなりそうである。
「真面目になるのはいいかもだけど……。無理やりは良くないですね」
スヴェトラーナ・モギーリナヤ(てんねん・d25210)が、納得した様子で答えを返す。
結果的に、生徒達が更生しているのだから、一概に悪いとも言い切れないが、自分の意思に反して更生している事は間違いない。
「うーん……実害はない……むしろいい影響とはいえ、洗脳はまずいですよね。倒さなければです!」
翠川・夜(神薙使いの夜・d25083)が、むりやり自分自身を納得させた。
色々な意味で引っかかる事はあるのだが、ここで考えたら負けである。
それ以前に勝ち負けで考える事ではないのだが、どちらにしても思考停止になる事は確実だろう。
「さっそく、お出迎えなの!」
それに気づいた神之遊・水海(うなぎパイ・d25147)が、警戒した様子で身構える。
都市伝説は更生した生徒達を引き連れ、水海達の行く手を阻むようにして陣取った。
「何やら嫌な予感がすると思ったら、テメエらのせいか。学校の秩序を乱すって言うなら、誰であろうと容赦はしねえぜ!」
いかにも昭和風と言わんばかりのノリで、都市伝説が熱血オーラを爆発させる。
その拳から放たれる情熱を浴びれば、例え水海達であっても、優等生になってしまう。
「だったら、どうする? 力ずくって訳か? 来るなら来いよっ! 問答無用で吹き飛ばしてやらァ!」
五山・重五(掃き溜めの屑・d25178)が、ムッとした様子で答えを返す。
それと同時に都市伝説が一気に間合いを詰め、重五の頭を地面に叩きつけるようにして殴り飛ばした。
●真面目一直線
「それにしても、この都市伝説さん、いい趣味してるわね。不良ってどっちが上だとか何とかいって殴り愛(あい)したり、先輩の命令には絶対に逆らえなかったり、インテリヤクザタイプと鉄砲玉タイプが良いコンビだったりするのよね。熱血は熱血で熱く語り明かしたり、すぐ感動して泣きながらハグしあったり、お前のためなら死ねる! なんて超アツい友情しちゃうのよね。……どっちもアリだと思うわ! 熱血も不良も妄想が捗って困っちゃう」
地面に突っ伏した重五をスルーしつつ、美玖が含みのある笑みを浮かべる。
熱血と男の熱い友情は紙一重。
おそらく、この中にも一線を越えた生徒の、一人や二人はいるはずである。
「……まあ、催眠という手段での無理矢理な更生ではどこかに歪みが出てしまうかも知れませんね……」
白銀が苦笑いを浮かべた。
よく見れば、ほんわかと漂う危険な香り。
男同士のラブとラブ。
彼らの体に纏わりつくようにして、アブノーマルな空気が漂っていた。
「まさか、わたし達の誰かが洗脳されたりなんてしないですよね……?」
夜が気まずい様子で汗を流す。
その途端、重五がムックリと起き上がる。
「君達は間違っている……争いは何も生まない。さあ武器を捨てるんだ」
重五が穢れのない瞳で、仲間達に訴えかけた。
それは普段の重五を知っている仲間達にとっては、ドン引きモノ。
何か悪いものを食べてしまったのではないか。
ひょっとして、大人の事情で中の人が変わったのではないかと思ってしまうほどだった。
「……凄い違和感なの! あんなの五山さんじゃないよ!」
水海が全身に鳥肌を立たせる。
あんなにキラキラとした重五は見た事がない。
例えるなら、綺麗な重五。
泉の精によって、生み出された偽りの存在的なモノ。
「野蛮人共め……! どうして暴力の愚かさに気が付かないんだ! 教育してやるッ!」
重五が歪んだ正義感を爆発させ、仲間達に殴り掛かっていく。
「一発だけなら誤射かもしれないって偉い人が言ってました」
蘭が重五を睨んで、覚悟を決めた。
それと同時に水海が、重五めがけて腹パン!
「目を覚ましてください」
すぐさま、スヴェトラーナが重五の頭にダンボールを被せた。
「よ、よくも、我らが同志を!」
途端にまわりにいた生徒達が殺気立つ。
「と、とにかく、その都市伝説から、離れて!」
ジェルトルーデが生徒達に警告しつつ、王者の風を発動させる。
それに合わせて、夜が魂鎮めの風を使い、生徒達を眠りの世界に誘った。
「ダンボールはあったかいです。これで風邪ひきません!」
スヴェトラーナが眠りについた生徒達にダンボールを被せ、ひきませんのポーズを決めた。
●伝説の教師
「一体、どんな手を使ったのか知らねーが、こんな事をやってただで済むと思うなよ。お前ら、全員……再教育だっ!」
都市伝説が叫び声を響かせ、右手に熱血オーラを集中させる。
「さすがに殴られたら……厄介ね。なるべく、距離が取って戦わないと……」
美玖が自分自身に言い聞かせ、少しずつ間合いを取っていく。
「ならば、こちらから行くぞ!」
それと同時に都市伝説が一気に迫り、傍にいた霊犬のシュトールを殴り飛ばした。
「……シュトール!」
すぐさま、白銀がシュトールに駆けつけ、慌てた様子で抱き起こす。
だが、意識を取り戻したシュトールは、『その手を放してくれませんか?』と言わんばかりに鋭い目つき。
「な、なんですか、その態度は……! ひょっとして、私の教育が間違っていたというのですか……? だから、グレてしまって……! むしろ今までがグレていた……」
白銀が呆然とした様子で膝をつく。
気のせいか、いつもと比べてシュトールが凛々しい。
まるで生真面目眼鏡を掛けているのではないかと錯覚するほど、シュトールがキリリッとしていた。
「はははっ! 安心しろ。ほんの少し……、真面目になっただけだ!」
都市伝説が全く悪びれた様子もなく答えを返す。
「あなたが悪いとは思いませんが、これも灼滅者としての務めです」
蘭が都市伝説と対峙するようにして身構えた。
「ほぉ……、面白れぇじゃねえか。俺は強いぜ、半端なくな!」
そう言って都市伝説が向かっていくが、それは一般人を相手にした場合の話。
都市伝説の予想に反して、攻撃がまったく当たらない。
「まさか、それで本気を出しているつもりですか? でしたら、わたし達を捉える事など……不可能です……!」
スヴェトラーナが素早い身のこなしで、都市伝説の攻撃を避けていく。
「な、何故だ! 何故、当たらねぇ!」
都市伝説が悔しそうに唇を噛む。
今まで会った事のないタイプ。
あり得ない動きをする者達。
そこで都市伝説が気付く。
彼らが『狩る者達』である事を……。
「それに、例え殴られたところで、普段から真面目なわたしには意味がありません」
夜が躊躇う事なく、攻撃を仕掛けていく。
「畜生っ! 畜生、畜生、畜生!」
都市伝説がイラついた様子で拳を振り回す。
当たる、当たらない、の問題ではない。
意地でも当てる……!
ただ、それだけ。
「喰らいなさい! メンチビームッ!」
その殺気立った視線に対抗すべく、水海がカッと両眼を見開き、都市伝説にオーラキャノンを撃ち込んだ。
その一撃を食らった都市伝説が血反吐を吐き、地面に倒れ込むとそのまま沈むようにして消滅した。
「これで、よかったのかな……」
ジェルトルーデが寂しげに呟いた。
その途端、シュトールが我に返って、両目をパチクリ。
「ごめんね、シュトール……」
それに気づいた白銀が、シュトールをギュッと抱きしめた。
シュトールは何が起こったのか分からないのか、不思議そうに首を傾げている。
「ううっ……、頭が……」
重五も頭を押さえて目を覚ます。
どうやら、誰かに腹を殴られた後に倒れて、頭を打った拍子に意識を失ってしまったようである。
そのため、誰に襲われたのか分からぬまま、痛む頭を押さえる事しか出来なかった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年10月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 5
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