鐘鳴り響く夜~サンタランドイルミション☆

    作者:那珂川未来

    「北海道に、ノルウェーのオスロ市から、国外初、日本で唯一サンタランドとして認定を受けた町があって。10月25日に一足早いクリスマスイルミネーションの点灯式があるんだけど……」 
     そうレキ・アヌン(冥府の髭・dn0073)はお誘いを。
     そこは、サンタさんが持つ愛や夢を崩さぬまま、港町の良さを融合したロマンの町。
     高台に建てられたサンタさんの家と、大きなメインツリー。サンタゲートにはクリスマスの妖精のオブジェがお出迎え。
     カウントダウンと共に、それらが光に彩られたあと、打ち上がるのは沢山の花火。
     澄んだ夜空に浮かぶ輝きの海は、きっと綺麗な思い出になるはず。
     そして、サンタランドは、恋人の聖地にも認定されていて、サンタの鐘を鳴らすと願いがかなうと言われている。
     そして、愛の鍵というものが販売されていて――金属製のツリーに、互いの名前を書いたハート型の南京錠をかけて永遠の愛を誓うというものも。
    「良かったら、一緒に行かない?」
     綺麗な夜を楽しみに。

     小さな銀貨一つ。
     それは幸せのプレゼントの始まり。
     世界中にサンタクロースの話が広がって、ロマンは尚も果てることなく。

     サンタクロースがいる夢が、今宵ひと時の現実となりますよう――。

      


    ■リプレイ

    ●光のプレゼント
     高台の向こうに見える、サンタさんのおうち。可愛い妖精のオブジェが笑顔を振りまきで迎えていて。
    「季節の移り変わりは速いものですねぇ……もうクリスマスが話題になる季節ですか……」
     流希は白く息を吐き出しながら、サンタの森を見上げて。

     点灯前に流れる聖歌の中、七狼とシェリーは寄り添いながら。息が白いのは、心も体も温かいから。
     流れる様に灯ってゆく輝き映し、
    「わたし、あれから好きな色が増えたよ」
     シェリーは綺麗な黄色の瞳、見つめて。
    「蒼が一番綺麗だ……」
     七狼も、蒼の瞳に微笑みかけて。
    「イトシイヒト、今年も君の傍に居らレて幸せだ」
    「ありがとう、わたしも幸せだよ」
     輝きの中、幸せの鐘、二人で鳴らそう。

     流れる地上の天の川を追いかけるのに、花織の瞳は大忙し。星を探すように、宗一は時折足を止めて。
    「綺麗なもんだ」
     思わず漏れた言葉に、気恥ずかし気に花織の様子を伺ったりして。
    「私もこんなに幻想的な灯りは初めて」
     素直に頷く花織は、普段見ない宗一の様子が微笑ましくて。
     逸れない様にと、花織が差出す手。繋げは、いつもと違う視点に宗一は嬉しくなって。
     ――ありがとう。
     お互いの表情も、空に咲く花の様に綻んだ。

     紫姫は人の多さにおろおろしながら必死に後ろを付いてきているけれど。あまりの危なっかしさに、継霧は躊躇いもなく手を取って。
     優しくて温かい手に包まれながら紫姫は、突如広がる光の洪水に目を奪われ。
    「継霧様! とても綺麗です!」
    「これが人工的に作られたものなのか、凄いな」
     星のような光の粒が一斉に輝き放つ光景は美しく。澄んだ夜空の花火もまた、繊細で。
    「また一緒にどこか行けたら良いですね」
    「……ああ、そうだな。まだまだ見たいものは沢山ある」
     花咲く中、笑顔向けあって。

     ぱっと輝く光に、思わずお菓子を食べていた手も止まるくらい。めるりは輝く森に目を奪われて。
    「キレイですー……」
     繊細な花と、光の川のコラボレーション。ほんとうはもこもこも連れてきたかったけど――だからパシャリとデジカメで。

     一年中クリスマスな国に、昴人は思わず言葉を漏らし、翠里もついついはしゃいじゃう。
    「イルミネーションだけじゃなく花火もなんて、贅沢な気分っすね。それにやっぱり……」
     大好きな人とだから、特別っす。なんて翠里はちょっと照れながら。
    「そういえば慌てんぼうのサンタクロースって歌があったよね。案外この街にいたりしてね」
     昴人はそんな冗談を言って照れを誤魔化して。
     天に流れる光と、咲き乱れる花。一足早いクリスマス。当日も楽しい日になりますように!

     イルミネーションの中を咲き誇る花火もまた幻想的。手を繋いで、一つ一つ思い出が増えてゆく嬉しい変化を喜ぶように、月人はふと、
    「好きだぜ、春陽。去年よりもずっと」
    「私も、好きよ? 今までも、これからも、ずっと……ほ、ほら、点灯式が終わったらクリスマス市に行きましょ」
    「童謡じゃねーんだからサンタが来るにはまだ早いって……ったく、ちゃんと手加減してくれよ?」
     慌てるように言った後、春陽は月人の腕を抱きしめて。月人は苦笑しつつも、輝きの中エスコートして。

     溢れる輝きを辿る様にして、マーテルーニェは美しさに溜息。
    「異国情緒溢れるというのは、こういうことを言うのでしょうね。普段無国籍多国籍な武蔵坂にいるせいでしょうか、新鮮さもひとしおです」
    「うちの学園、めちゃくちゃ広い上にいろんな生徒がいますしね」
     マーテルーニェの言葉に、花之介は小さく笑って。
     それを好ましく思っているのは、多分自分だけじゃない、と花之介は思ったりもして。
     お土産は、小さな鍵を。その意味をしらないマーテルーニェを、更に微笑ましく思いながら。

     1年前に此処を訪れたのが遠い昔のよう。かわりに近くなったと感じる距離、紡が覚えたのは別の緊張感と相反する安心感。
     比べりゃ気構えのほうはちったァマシになったか、と藍は自問して――重なった視線。笑いかみ殺す藍が指差す方向、点呼の声に時待てば。光に彩られる景色の中、
    「藍先輩、願い事、一つ教えて」
    「願うなら――同じほうへ歩いてこう」
     藍の言葉に、紡は頷いて。
    「必ず、叶えるわ、約束するの」

    ●丘の鐘
     愛を誓う木の下で。久々のデートに、足取り弾んで。
     一緒に南京錠に鍵を掛けて。願うは、永遠の愛と祝福。
    「大好きだよ。菜々」
     そっと、菜々にキスをする式。
    「これからもずっと一緒っすよ」
     そっと目を開ければ、祝福するように花火が綻んだ。

     愛の鍵、二つ。一つは一緒にツリーへと鍵を掛けて。
    「これでミヤコさんとの愛は永遠ですね」
    「ええ、この鍵に誓って二人の愛は永遠ということですね」
     微笑みあえば、花火のフィナーレが近づいてきて。
     眩い夜の奇跡の中、刹那はもう一つの鍵を、ミヤコの付けているチョーカーへと。
    「……これで、わたくしは刹那さんのモノというわけですね」
    「これからもずっと一緒ですよ」
     そして刹那は、ぎゅぅっとミヤコを抱きしめると、キスをして。

     愛の鍵を手に。金属のツリーの前で署名を。
    「名前を書くんだよな……? Giselbert……じゃ長いか」
     それならと、愛称の「Gill」を。フローズヴィトニルは隣に「Flynn」。
     イルミネーション輝く丘の上、二人ともドキドキしちゃって。気恥かしくって、なんとなくツリーの目立たない場所に。
    「ずっと、ずっと大好きだよ、ギル」
     そっとギーゼルベルトへとくっついて。
    「こんな風に誓わなくても、絶対にこの手を離したりしないけどな……」
     背の低い包み込むように、抱きしめた。

     がらんがら~ん♪
    「えっと……二礼二拍手一礼するですか?」
    「……だからここは神社ではないと」
     玲仁は、何故一緒に来る奴は同じ事をするのか疑問に思いつつ。横恋慕が実らんようにという願いは別の幸せとなって。隣に七緒がいたりする。
    「天地、こういうお願い事って人の為に使っちゃうもの。七夕もそうだったし」
    「む、ダメか? 俺は七緒が幸せならそれで十分幸せなのだが」
     ああやっぱり言った。そんな顔の七緒。
     けど。
    「……どの道一緒かもしれないね」
     相手が幸せなら自分も幸せ。愛の鍵かけて、願いを。

     実はファーのついた水色のワンピース。ケープにブーツの男の娘。いつもの男装と違い、ダッフルコートとミニスカートのアルレットと並んだら、女の子同士カップルみたいで。
    「ふふ。アタシの心、もう全部みのりに繋いじゃった……♪」
    「アルル、愛してます♪」
     二人で鍵を掛けて。きらきらイルミネーションの色を弾く瞳を見つめ合った後、相手の温かさを唇と、全身で感じたあと。
    「これからも、ずっと一緒に過ごしましょうね」
    「うん。死んでも一緒だよ……♪」

    「イルミネーションも素敵ですが、陽規君の輝く碧い瞳の方が万倍美しいですね」
    「あ、うん。そういう感想は別に求めてない」
     陽規は冷めた視線。しかし清輝はへこたれない。一緒に鳴らしましようと、優しくグイっとな。
    「でもメイジくんとのお願いは別にしないよ? しないか――って、愛の鍵って!」
    「……多少強引な流れになってしまいすみません」
     慌てて止めに入る陽規。一緒だと冷静でいられないんですと清輝がうるうるしちゃうものだから。
    「言っとくけど、今は一応付き合ってるんだし……だから仕方なくだからね?」
     なんだかんだと鍵をがちゃん♪

    「片手で十分やけど壊さん様にもちとうなったから」
     二人だけがわかる、この一年の出来事の中、悟は想希の腰に手回し。
    「そう簡単に壊れませんよ」
    「優しゅうな」
     木へ鍵をひっかけて。
    「今の俺はここに封印し――誓うで。想希を、皆を、連れてくで光の世界へ」
     付いてきてくれるかと君が言うから。想希は真面目な顔で、
    「行きます。君が来いって言うなら、どこへでも。俺も誓う。君をもっと知る為に、支える為に」
     大事に鍵かけ、手を重ね。鳴らそうか、2人の運命の鐘を。

     際立つ色彩の森の中、識とマイスは妖精のオブジェが出迎える御伽の国の様な場所に目を輝かせて。
    「マイス君、綺麗ですねー」
    「本当に綺麗だね……」
     互いの笑顔に、心ほっこり。丘の上目指して。
    「ふ、二人で鳴らしていいんですよね?」
    「うん。二人で鳴らしたいな」
     識の手に、マイスは手を重ねて。綺麗な音が二人の同じ願いを、届ける様に。ハートの南京錠をツリーに取りつけたあと、マイスはそっと識を抱き寄せて。
     この温もり、永久にありますよう。

    「あ!! ね、ね。あくたん! 愛の鍵、だテ! 我、やリたイ!!」
    「愛の鍵? もちろん協力しましょ」
     ハートの鍵は、芥汰にはちょっと気恥かしいけど。ふにゃりと愛らしい笑顔を見上げられたら、こっちも釣られて緩んじゃう。
    「そうだ。去年と同じように抱っこしたげよっか」
     軽々と高い位置まで抱え上げられて。夜深は頬染め、驚きしがみついて。高い位置へと鍵を。
    「来年モ、再来年モ……ずット」
     ――一緒、来らレまス、よウに!!
     ――隣で笑った顔が見られますように。

     サンタの鐘の前にて。プロポーズにふさわしい場所という言葉に、桐人は頭の中ぐるぐる。花夜子の声に落ち付いたらしい桐人。花夜子と一緒に手を取り合って、鐘を鳴らす。
     ツリーの前、ハートの鍵を一緒にかけて。
    「これで、絶対に外れない絆で結ばれた、ね」
    「うん、絶対に外れないね」
    「ずっとずっと、一緒だよ。好きだよ、花夜子」
    「ありがとう、アタシも大好きだよ」
     微笑みをかわしあって。ほんの一瞬だけのキス。

     正流と律希は一緒にサンタの鐘を鳴らして。
     一緒に強くなりたい、気付けば同じ願い事しているなと律希。律希が傍に居れば他に望むものが無いけど、でも家族は欲しい正流。
     愛の鍵には、互いのイメージを言葉にして。
    「律希……永遠の愛を……誓いますか?」
     笑顔で頷く律希へ、正流も穏やかに微笑み。木に繋がれたハートの鍵は、二人の絆の様に外れはしない。
    「夏は人魚、冬は光の精……だーれだ?」
     イルミネーションの海の中、ふわっと見上げながら尋ねるその姿こそ――。
    「俺の相棒……律希♪」

    ●クリスマス市
     ログハウス風の店内には、クリスマスグッズが所狭しと。
    「あ、これ……」
     スヴェンニーナが選んだものは、2個セットの雪の結晶のキャンドル。
     会計終えて。どこいってたのと聞く間もなく。流が顔の前に持っていた紙袋を上げ、
    「あげる」
     赤いアネモネの生け花を使って作られた、カッセルキャンドル。
    「アネモネの花言葉、「君を愛す」なんだってさ」
    「き、きみを、あい…?」
     照れながらも、手をとって、つないで。
    「……ね、一緒にいて、ね」
     雪の結晶のキャンドルみたいに。流は繋がれた手には笑みを浮かべ、
    「ああ……ずっと一緒だ」

     綾要と射干は、今回まちあわせごっこ。例え外出時間をずらしても、辿り着く時間も同じ。
    「「これからもずっと一緒にいようね」」
     同時に差し出し合うプレゼント。包装紙まで同じだから、射干と綾要は思わず顔見合せ笑っちゃう。
     白くて愛らしい子猫のペンダント。やっぱり同じと笑いながら、早速付けっこ。
     お互いの首に付けてあげながら、くすぐったそうに笑って。偶然揃った同じ服、同じペンダント。二人手を繋ぎ、同じ歩調で。

     リオンとイオはうきうきしながら、クラブの催しに使えそうなオーナメント、イオのアイデアを受けて、手作りアロマキャンドルの材料探し。
    「流石北海道。厚着してきたのにさみーな」
     店を出れば白い息。リオンからカイロ受け取りつつ。手には沢山の荷物抱え。
    「後でどっか寄って温かいものでも食べるかっ」
     にぱっと笑うイオ。さりげなく荷物持ちをしてくれる彼をカッコ良く感じながら、
    「そうですね。後で温かいもの食べに行ってほっこりしましょ♪」

     勇介と健は久し振りに会うレキとも挨拶かわして。
    「面白い品が沢山並んでるわね」
     サンタランド初めての曜灯は、雰囲気たっぷりの店内に興味深く。
    「この面子でなら茶会に活用出来る物探すか? 茶や菓子を入れる器重要だろうし」
     景色や雪の結晶の模様入りで、クリスマスカラーのマグカップやプレートなどを見繕っている健。提案に、勇介は頷きながら。
    「うん、折角だから研究会で使えそうな食器とか良さげだよね。あ、なんだかレトロで可愛い」
     勇介が選んだ花模様の菓子入れに、陽桜は目キラキラ。
    「ゆーちゃんあげてる食器、かわいー。……んと、あと、ティーコジーとポットマットもありだと思うな♪」
     当日招待するねと陽桜にお誘い受けて、レキは嬉しげ。
    「うんうん、みんなセンスいいわね。あたしも負けてられないわ」
     食器ばかりだとかぶっちうから。曜灯はクリスマス料理のレシピ本を探して。もてなす準備も万端に。
     夢いっぱいに膨らむカゴの中。クリスマスに向けての楽しみがまた一つ。

     部室に飾るツリー用に、桜子は様々なオーナメントを集めたけれど。
    「ねえ、レキちゃん。小さい方がいろいろお手頃なんだけど……」
     女の子とわんこのレースオーナメント。大きい方だと霊犬と似ているから迷ってしまう。
     季節ものだけど、心に留まったものがいいと思うのですとレキ。
     お財布カツンカツン音がしそうだけど。迷った末のツリーは、クリスマスを楽しく彩ってくれるはず――。

     雪は、きらきら輝くゲートを小走りに駆けあがって。今回もちゃんと帰って来ましたよって、文字で伝えたかったから。
    「お帰り」
     沙汰も自然と笑顔。
    『アドベントカレンダーが、欲しいんですが、仙景さん、お時間あるなら、一緒に見て貰ってもいいですか?』
     毎日、一つずつ窓を開けて、クリスマスまでの日々を一緒に大切に過ごしませんか?
    「いいよ。一緒に見ようか」
     出会うだろう明日へ、素敵な魔法をかけようか。

    「宜しければレキさんや沙汰さんもご一緒に手伝って頂けないでしょうか?」
    「神父様に頼まれたって……そうしたら子供達、寂しくて悲しくて泣かないかなって……」
     そう口火を切った飛良に続き、実はちょっと寂しそうな様子で笑って。
     沙汰もレキも、二つ返事で。
     飛良と沙汰は、シスターへアクセサリーを。実とレキは可愛い雑貨をプレゼントに。
    「差出人……「神父様に頼まれたサンタより」でいいかな」
     実が感じた気持。理解できない愛と、けれど子供に対する愛の尊さと。飛良は、実の言葉を静かに微笑んで聞きながら。
    「そうですね、どうせなら「サンタ達」の方が良いかと思いますよ」
     ――抱え込まないで良いんですよと、飛良の言葉は流れる聖歌に溶けた。

    「友人同士で賑やかにマーケットを見て回る楽しさは格別だね」
     夢いっぱいの店内、エアンは百花とクリスマスカードを選びながら、開けば飛び出す表情にはしゃいだり。大和は表情薄いながらも嬉しそうにしながら言葉返しながら、
    「妹にスノードーム買ってこいっつわれたんだよな」
    「スノードームなら……オルゴール付きも可愛いかも!」
     百花のチョイスに、大和は感心したように。紅太は何を買うか迷ったフリして、
    「沙汰、今年のトレンドは?」
    「なんかデジャヴ感じる台詞だな」
     苦笑しつつ、沙汰は流行りのチェック柄とか色をお勧め。
    「揃いのモンを買わなね? ガクセーらしく文房具とか、クリスマスカラーのペンケースとボールペンどうよ」
     すれ違った時目立つんじゃね? とニカッとしながら紅太。いいアイデアだねと沙汰。エアンもそれを手にとって、
    「皆で揃えるのか、高校時代の良い記念になりそうだ」
    「うん♪ みんなでお揃いって素敵!」
     百花も楽しそうに未来を頭に描いて。大和は派手だなと言いつつ、見るたびに今の時間を思い出すんだろうと笑って。
     そのときは、あの頃は、じゃなくってまた今年も、と思えたら。

    「こうすれば暖かいですわよ?」
    「少しくっつきすぎじゃないですか……?」
     桐香が腕を絡め、胸に押し当てくるもんだから。いちごは頬染めて視線逸らし。今日は桐香のクリスマスの買い物に付き合う感じで。
     綺麗なオルゴールの音色がとても素敵だから――桐香はいちごへ御礼のプレゼントしたくて。
     桐香から差し出された包みに、いちごはふわっと笑いながら、同じ包みを。桐香は思わず、
    「嬉しいですわ!」
    「……って、だから抱きつかないでいいですからぁ?!」

    「すげェな、まるで絵本から飛び出してきたみてェだ」
    「どうしようジョー、どれも欲しくなってくる……!」
     去年誓いの鐘を鳴らしてから、もう一年。今日も変わらず、結理と錠は隣り合っていて。
     ふらりと彷徨う視線が見つけたものは。
    「ん? 木の…コップ?」
    「確かククサって言うんだったか」
     北欧では大切な人へ贈るものだという錠の説明に、結理は表情綻ばせ。
    「ね、あとでこのコップで乾杯しない?」
    「あァ…そうだな、乾杯しようぜ!」

     雪だるまやサンタのぬいぐるみを抱きしめながらはしゃぐシャルロッテを、律は可愛いなーと思いつつ。
     初めて会ったのは、二年前のクリスマス頃。そこで出会わなければ、こうして両手にいっぱいの紙袋を抱えながら歩くなんて事もなかったなんて二人思いながら。
     賑やかになりそうなクリスマスを予感しつつ。
    「帰りには、たいやきを買っていきマショウ」
    「んじゃ、また半分ずっこして食べよう」
     二人で食べれば美味しい、なんて。
     輝く光の小路。冬の足跡と一緒に、お家に帰ろう。

    作者:那珂川未来 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年11月9日
    難度:簡単
    参加:62人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 11/キャラが大事にされていた 2
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