
「敵陣に残ってぷちゅんとか、ホントバカだよね~」
看護師の服を着たその女は更衣室から出る時、中に声をかけた。
「服ありがとねー」
血だまりに沈むいくつもの亡骸にそう言うと、赤い靴跡を残し女は通路を進む。突きあたりの手すりから吹き抜けの階下を覗き込んだ。
そこは病院のエントランスだった。朝も早くから通院で訪れた者や、売店へ歩く入院患者。せわしなく動く白衣や事務のスタッフ。廊下には検査待ちの者。車椅子の者。大勢の人間が蠢いている。
「あはは、いっぱいいるいる。私のアバターラを使うのにちょうどいいじゃない」
「貴女、なにをしてるの!」
はしゃいでいた女の背を鋭い声が刺す。見ればベテラン風の看護師が立っており、彼女をきつい目で睨んでいた。
女は視線を階下に戻す。その背後で下半身だけになった看護師の身体が倒れた。女の影に倒れた骸は不思議なことに、影に沈み込むようにして消えていく。
「――みんな、準備はいい?」
女の声とともに、近くの扉から、あるいは暗がりから現れる人影。強化一般人。いずれも血に濡れた白衣を着ていた。殺して奪い取ったものだ。
「さあ、見ていてあげるから楽しく殺してきちゃって!」
女――六六六人衆の鐘鳴・狂華(かねなり・きょうか)の指示に従い、強化一般人たちが動き出す。
数分後、病院のエントランスは惨劇の場と化した。
「みをきの読みを元に、ある病院で六六六人衆が大量虐殺を行うことがわかった」
「……」
神崎・ヤマト(中学生エクスブレイン・dn0002)の言葉に、勿忘・みをき(誓言の杭・d00125)は厳しい顔をする。
「説明を始めるぞ。六六六人衆序列四七〇位、鐘鳴・狂華というやつだ。厄介なことに、強化一般人を引き連れ事件を起こす」
これにより百人を超す者が犠牲となる。それを阻止してほしい。だがバベルの鎖により、灼滅者はあらかじめ院内に待機できず、強化一般人たちが襲撃を行うのと同時に突入するのが最も早いタイミングになる。
「幸い狂華は強化一般人たちの性能を確かめている節があって、最初は殺戮に積極的には関与していない。二階から高みの見物をしている」
それでも一分に一人のペースで殺人を行うようだ。
「強化一般人のほうは、六人。最初から殺しを行うから、まずこいつらから対処してくれ」
強化一般人と狂華の合計殺害数が二十人を超えると、狂華はその場を強化一般人に任せ去っていくだろう。出会った者を殺しながら。
強化一般人を全員倒し、かつ死者が二十人を超えていなければ、狂華は降りてきて灼滅者と戦うだろう。そうなれば死者はもう増えない。狂華をそのまま撤退に追い込めれば、だが。
狂華は影業の扱いに長けた六六六人衆だ。解体ナイフを持っているが、攻撃手段は影業によるものと殺人鬼近似のものがほとんどだ。
「やつがナハツェーラーと呼ぶ、影喰らい。アバターラと呼ぶ斬影刃は複数人用にアレンジされた技のようだ」
敵は体力が八割から七割程度にまで落ち込めば、頃合いと撤退にうつる。だが強化一般人たちから人々を守り、さらに強力な六六六人衆と戦うことがどれだけ厳しいことか、想像に難くはない。
「……犠牲者は二十人以内に抑えてくれ。状況的にもダークネスの灼滅は困難だろう。つらい戦いになると思うが、お前たちならやれると、俺は信じている」
| 参加者 | |
|---|---|
![]() 勿忘・みをき(誓言の杭・d00125) |
![]() 遊木月・瑪瑙(ストリキニーネ・d01468) |
![]() 橘・蒼朱(アンバランス・d02079) |
![]() フルール・ドゥリス(解語の花・d06006) |
![]() フランキスカ・ハルベルト(フラムシュヴァリエ・d07509) |
![]() 黒崎・白(黒白の花・d11436) |
![]() ユウ・シェルラトリア(冬送り・d19085) |
![]() 白石・作楽(櫻帰葬・d21566) |
●
「易々と殺させるものか」
病院のエントランス。
見上げた白い建物をにらみ、勿忘・みをき(誓言の杭・d00125)の声が軋んだ。
ほどなく、この場所で六六六人衆による虐殺が行われる。
今回鍵となるのは、強化一般人への対処。
「面倒ですね」
「悪趣味な事を考える輩がいたものです」
黒崎・白(黒白の花・d11436)の言葉に、フランキスカ・ハルベルト(フラムシュヴァリエ・d07509)が瞑目したまま呟いた。犠牲者が出るのは確実。全ての命は救えない。せめてこの手で救える者を、と拳を握る。
「分かっているのに待機しか出来ないなんて」
「百人もの犠牲を出すわけにはいかないから、ね……」
多くなくとも犠牲は確実に出る。悔しさをにじませる橘・蒼朱(アンバランス・d02079)に、ユウ・シェルラトリア(冬送り・d19085)は出来る限り早く撤退に追い込むしかないと思う。
但し相手は六六六人衆、油断はできない相手だ。
「救える機会が得られた、と思う方がいいよ」
淡々と告げる遊木月・瑪瑙(ストリキニーネ・d01468)。自らに言い聞かせた言葉ではない。既に彼の中で救え得ぬ命に対する答えは出ている。白石・作楽(櫻帰葬・d21566)は決意を持って告げた。
「全てが助けられない――なら、一人でも被害者を減らすべく粉骨砕身しよう」
「ええ。一秒でも早く倒しましょう」
頷くフルール・ドゥリス(解語の花・d06006)。無差別な殺人を許すわけにはいかなかった。すぐにでも手を差し伸べたい気持ちを堪え、戦いに備える。
悲鳴がエントランスから聞こえた。
それは、強化一般人たちが襲撃を始めた音。
同時に灼滅者たちが介入可能となった合図でもある。
「逃げろ!」
「暴漢が院内に侵入しました、急ぎ避難を!」
「あれ……灼滅者?」
殺戮劇を二階から観覧しようとしていた鐘鳴・狂華。その視線の先でみをきやフランキスカをはじめ、灼滅者の声が避難を促す。まだ強化一般人の襲撃に気付いてない者たちは、訳も分からず動きだした。
「集中攻撃よ、リアン!」
その中で、今にも凶器を振り下ろそうとしている男――強化一般人の一人にフルールがロッドを向けた。雷鳴が轟き、魔術の電撃が男を撃ち抜く。
その時には、ユウもまた槍を繰り出していた。穂先がナイフを弾き、老婆を殺し損ねた青年が金切り声を上げる。
「ンだよガキがっ、邪魔すんな殺す!」
憎悪と悪意の声で、青年が凶器を振るう。その持ち手を、ユウの螺穿槍が貫いた。仰け反った青年は怯えた眼で喚き散らす。
「痛ぇ! なんだよこっちくんなよぉ!」
「……なんだこいつらは」
作楽がビハインドの琥界と合わせて鬼神の腕を振るいながら、引き気味に敵を見やる。
「そいつらねー、人生に失敗して壊れた人たちだよ」
喧騒の中、階上の六六六人衆の声は楽しげで、不思議とよく聞こえた。
「もう頑張る気力もなくて、でも自分より弱い奴を苛めたい衝動がある、周りに不幸を撒き散らすだけの人種。だから最後に力を与えて、遊ばせてあげてるの♪」
「なんだよ、それ」
蒼朱が声を震わせる。強化一般人の選出基準と発想が最悪だった。「行こうか、相棒」
と、怒りとともに力を解放する。
「ノウン、俺達で少しでも多くの人を救おう!」
蒼朱はビハインドにそう声を掛け、気勢を上げる。
「適当にあいつらも殺しちゃいな。頑張った子はもう少し改造して使ってあげる」
強化一般人たちが奇声を上げた。
「ガキがっ死ねよォ!」
「……」
遊木月・瑪瑙(ストリキニーネ・d01468)は襲い来る相手に無言で首を振り、ため息を吐いた。瞳に嫌悪の光が浮かべ、瑪瑙は即座に鬼神変で殴り飛ばす。痛ぇと喚く男は吹き飛んだ末、壁に激突。ついに喚くのをやめた。
「若い子若い娘若い肌! 私だって若い肌があればやり直せるっ寄越せ!」
「クズですね」
白が走り迫る女にそう断ずる。みをきは目を瞬かせた。
「黒崎先輩、随分あけすけですね」
「顔頂戴よォ剥がさせなさいよォ!」
「アレに、他に言いようがありますか?」
白が女の手を見る。犠牲者の血に汚れていた。みをきが嘆息する。
「否定する言葉は出ないですね」
みをきの障壁が女を止め、白がライドキャリバーの機銃掃射に合わせ黒死斬を放つ。よろめく女にノウンが突進した。慌てて避ける強化一般人へ次の瞬間、一閃。ノウンを盾に、死角に回り込んでいた蒼朱の斬撃が女強化一般人の命脈を断つ。
敵の配下はこれで半数が壊滅。突入から既に二分以上が経過していた。倒れた一般人は五名を越す。
残る配下が殺気を放ち、悲鳴が起こる。倒れる者が増える。蒼朱が歯噛みした。
「悪趣味な」
フランキスカが斧を手に駆ける。斬撃がいま一人の強化一般人を薙ぎ、凶行を止める。
徐々にエントランスから人気が絶えていく。これ以上の犠牲者を出さないために、灼滅者たちのサイキックが集中砲火となって放たれた。
●
避難が終わった病院のエントランス。
広いその場所に命を奪われた七人と、命を奪った五つの強化一般人が横たわっていた。冷たい床に、最後の配下が倒れる。
突入から四分弱。攻撃手の多さやサーヴァントを加えた手数の多さ。なにより攻撃の通りが良かった。労うように拍手がこだまする。
それはしかし、六六六人衆のものだ。
「すごいね。もっと粘れると思ってたのに」
「……」
みをきが再び厳しい視線を狂華に向ける。悲鳴こそ聞こえないが、階上でも犠牲者が出ていたに違いないのだ。
「ショーも中断しちゃったし、少し遊んであげるよ」
狂華が手すりを乗り越え、宙に身を投げ出す。
直後、鋼同士の激突音が響いた。狂華のナイフと、瑪瑙の十字剣が空中で打ち合っていた。降りてくるのを悠長に待つ気はない。足場のない今が好機。
「イキがいいのは嫌いじゃないよ!」
狂華のナイフが閃き、剣が弾かれる――と見せかけ、瑪瑙はその反動を利用して回転。遠心力を乗せてマテリアルロッド『骸の器』を狂華に押しつけた。
爆轟の華が咲く。
「よっと」
狂華が降り立った。看護士の服を着ている。長い黒髪の下で、血色の瞳が笑っていた。その視線の先には、瑪瑙のフォースブレイクによる傷。一方瑪瑙も着地し――膝を突いた。足の腱が斬られ、血が滲んでいる。フルールが即座に符を投げ治療を開始、傷口を塞いでいく。
襲撃は有効。ただ互いの一撃に対し、耐久力の差で如実に出た。蒼朱が狂華を見据えた。
「狙うなら、俺達にしろよ……」
「うん? 闇堕ちゲームのこと? 興味が出たらしてあげるよ。今日は作った手駒の性能実験だったから、また今度ね」
「一つ、聞きたい」
みをきは確認したいことがあった。
「知り合いに、蛇腹剣使いはいたか」
「……灼滅されたアホのことなら、知ってるよ。相性が悪くて目の上のたんこぶだったし」
狂華が嘲弄の笑みを浮かべた。片足を上げる。
「言っとくけどあたしは技巧派――力任せの間抜けとは一味違うよ!」
足が床を踏み鳴らし、六六六人衆の影が爆発的に膨張する。影は広がると、エントランスの地面全体を覆ってしまった。
「ようこそ、あたしの領域へ」
そう言った狂華から膨大な魔力が立ち昇り、漆黒の地面は水面の如く波打つ。そしてナイフを手に灼滅者たちへと斬り込んできた。
「祓魔の騎士・ハルベルトの名に於いて汝を討つ。退け!」
先手必勝、フランキスカが瞬時に間合いを詰める。繰り出した斧の一撃は、ナイフに阻まれた。そして火花が盛大に散った時には、ナイフの光がフランキスカの首元に迫っている。
銀光を遮る、紅蓮の光。
ナイフを弾いた炎の蹴りはそのまま、狂華の胴を捉えた。体勢が崩れた六六六人衆へと、フランキスカは猛然と斧を振り下ろす。
刃は深々と食い込んだ。
「ざーんねん」
狂華が嗤う。斧の刃は目標の手前、地面から突き出た影の柱のようなものに止められていた。危険を感じて後退しようとしたフランキスカに、さらに現れた柱が強かに打ちつける。生えてきた柱は都合十本。それぞれが意志持つように折れ曲がり蠢く。
その蠢く物体の正体に、作楽が気付く。
「影の、手?」
「ご明答~」
果たして十本の柱は指だった。続けて手が、更に手首、腕と続けて伸びあがる。狂華が楽しそうに叫んだ。
「さあ、ナハツェーラーに食い殺されな!」
転瞬、吹き抜けの天井いっぱいに出現したのは影の巨人だった。地面から上半身を生やしたその巨人の両腕が振り下ろされ、拳が落石よろしく迫ってくる
ゴォッ、と空気が唸りを上げ、立て続けの衝撃が灼滅者たちを襲った。影の波濤は幾度も襲い、体力を削っていく。飛び退った白の目前で、影色の塊は地面に突き刺さる。次いで五指が開くと、影の手は彼女を追った。
「……めんどくさいです」
白は鋭い呼気を吐くと、彼女の胴ほどもある太い指へと蹴りを放つ。炎は五本の黒い指を吹き飛ばし爆散。そして爆煙から現れた影の手はすぐに修復し、白へと打ちつける。
「……!」
後衛を狙った影喰らいは作楽にも迫っている。後退する以上の速度で押し寄せてきた影に飲み込まれる寸前、その身体が琥界に突き飛ばされた。
「琥界!」
「あはは、捕まえた!」
狂華の声。影に飲み込まれた琥界がすさまじい重圧に耐えきれず消滅する。
「さあ、次は誰から潰れる?」
作楽が狂華に迫った。波打つ影が伸びあがるが、拘束しようとするそれらへと、鞘から刃が迸った。
斬――!
蒼薔薇の装飾を施した愛刀が、刃の煌めきを持って影の触手を斬断する。
そしてその切っ先は、狂華へと叩き込まれた。
●
「へえ、意外とやるね」
刃を受けた狂華の背後で影の巨人が崩壊、黒い地面に沈んでいく。見た目はともかくサイキックである以上、そう長くは維持できないようだった。
傷付いた者に白やフルールが回復サイキックを発動。ユウが障壁を展開し狂華を殴打する。強化一般人との戦いで得た効果が引き継がれているため、六六六人衆相手にも攻撃は通じていた。
だが、前哨戦での殺傷ダメージが残っているのも事実。高威力の六六六人衆の攻撃に対し、ポジションチェンジを利用してダメージの偏りは少ないのがせめての救いだ。
みをきの重力の蹴りが突き刺さる。顔をしかめた狂華がナイフを一閃、死角からの突きを放った。急所を穿とうとする鋭い一撃に慄然とするみをき。狂華がさらに刃を押し込んだ。
寸前でその背に、ノウンが突撃した。攻撃を中断した六六六人衆は身を捌き、獲物を変更し腕を振るう。
一閃。
ボディを薙がれたライドキャリバーが消滅を始める。
そこに蒼朱が影を放った。回避しようとした六六六人衆へキャリバーが最後にぶつかり、消滅するも体勢を崩した。蒼朱の影が狂華に喰らい付く。
「影業に得意だったよね。影にやられた気分はどう?」
「……やってくれるじゃない」
蒼朱の言葉にプライドを傷つけられ、狂華は影に包まれたまま魔力を迸らせる。油断なく敵を見据える蒼朱。
その背後から声が掛けられた。
「あたしのアバターラ、かわせるかな?」
反射的に身体を傾げた蒼朱の肩が、後ろから斬りつけられる。白刃の軌跡はくるりと翻り、背後から蒼朱の心臓へ刺突を放った。
瑪瑙の鬼の腕が、襲撃者を文字通り砕いた。黒い地面に落下し溶け沈んでいくのは、たしかに狂華と瓜二つの姿をした影だった。
「影業のオブジェってとこだね。燃費悪そう」
「ひどいね。技巧派にして芸術家のあたしにそんなこと!」
影喰らいを振りほどき、中から三人の狂華が出てくる。本物の狂華が嗤った。
「見分けがついても、この一斉攻撃をかわせる?」
黒い地面から幾人もの影像が生み出てくる。その幾つかが人の動作をしながら灼滅者たちに迫り、幾つかは正体――巨大な影の刃へと形状を変え、地面を滑り奔った。
「くっ!」
フランキスカが斧で前方の影刃を叩き割り、振り向きざま影狂華を両断する。しかし脇を駆け抜けた影狂華のナイフが足を切り裂き、そちらに気を取られた隙に滑走する影刃に斬られ、傷口から血が噴出する。ユウは左からの白刃を受け流し、右からの影刃を跳躍して回避するも、盛り上がった波濤がユウの身体に衝突し、弾き飛ばす。影は巨大な顔を形作ると、瑪瑙やみをきに覆いかぶさろうとする。
ナハツェーラーだ。
「どう? これがあたしの領域。あたしの力だよ!」
狂華の笑い声が響いた。
●
「ダサいですね。やる気あるんですか?」
影によるサイキックが吹き荒れる中、白が十字剣を媒介に治癒の風を呼び起こし、斬り捨てた。
「要するに、そこで突っ立ってるあなたを倒すだけですよね」
「なら、やってみなよ」
白の言葉を、六六六人衆は鼻で笑い飛ばした。
「今日はもう飽きてきたし。ちゃんとできたら消えてあげる」
転瞬、雷が轟き狂華の頭部を爆砕した。
「外してしまいましたね」
影像で防いだ敵にフルールがそう言い――すぐ飛び退けば、地面から飛び上がった影のデスマスクが彼女の居た空間を噛み砕いていく。
「あはは、あとちょっとだよ、頑張れ!」
「……舐めるな」
作楽の影が伸び、幾重にも渦巻く桜の花弁が咲く。立ち塞がる障害物を破壊していく桜帰葬に続き、瑪瑙とフランキスカが剣を叩きつける。
直後、地面から影の槍が、空中から影像が二人を襲う。残る護り手がそこへ割り入った。
「……っ」
上下からの攻撃に限界まで来ていたキャリバーやリアン消滅する。みをきが意識を手放し、ユウが凌駕しいま一つの影像を槍で打ち払う。残るビハインドやキャリバーとともに、蒼朱のバベルブレイカーが影の防壁を打ち破っていった。
「人を殺すのってさ、そんなに楽しいのかな」
剣を弾かれた瞬間マテリアルロッドに切り替え、狂華に突きつける瑪瑙。
「うん? あたしは楽しいというか比較が……」
「あ、やっぱいいやどうでもいいし」
爆発。魔力の衝撃に仰け反った相手に、金色の銃剣を突き立て、フランキスカが咆哮する。バスタービームの砲口に光が灯った。
「この距離、避けられるなら避けてみよ!」
極大の光線が、狂華の身体を突きぬけていく。
蠢いていた影が止まった。
「お見事」
胸に大穴の開いた狂華が嗤った。その表面が溶け崩れ、何者かが現れる。
「これは……」
倒した強化一般人だった。死したその男が灰となって消える。
「じゃあねバイバーイ、楽しかったよー!」
嘲るような言葉とともに影と、どこかに隠れた気配が消えていく。そして影が消えた時には、エントランスに静寂が戻っていた。
「とりあえず、終わりましたね」
フルールが言った。初戦を軽微で抜けたおかげもあり、後半のダメージはサーヴァントが受け持ち凌いだ形となった。
「釈然としない終わり方だけど、ね」
瑪瑙の呟きに、蒼朱も頷く。報いを受けさせたかった。
「でもせめて、手を合わせることぐらいはできるよね」
犠牲者たちへの言葉に、灼滅者たちはしばし瞑目した。
| 作者:叶エイジャ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
![]() 公開:2014年10月31日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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