人生は何事も思うようにはいかない。
苦労して進学校に入り、苦労して有名大学に入り、苦労して就職活動中だ。
このご時勢、大卒だって就職するのも楽じゃない。何社も面接を受けたけど、会社から届くメールはお決まりの文面ばかりだ。
『今後のご活躍をお祈り致します』だの、『今後のご健闘をお祈り致します』だの、そんなメールはもう、うんざりだ。
……でも、もう、うんざりする必要は、ない。
「ようやく内定が決まりそうです。ありがとうございます」
リクルートスーツ姿の男は明るい顔と声で担当の男に声をかけた。
「そうか、ようやく決まりそうか。おめでとう」
度重なる不採用で精神的に不安定になっていた事を心配していた年配の担当者は心から喜んだ。
「これで君のお母さんも喜ぶね」
「はい、これも須田さんのおかげです」
彼の家庭環境、今までの人生、その他諸々の話を聞いていた就職担当の須田は不自然すぎる程の男の表情を目に、これで彼の人生が明るく開けると信じた。
「あ、そうだ須田さん。この会社に入社するのに協力して欲しいんですが、お願いできますか?」
「ああ、いいよ。何か――」
穏やかな顔の担当者はその言葉を最後まで言いきることができなかった。
「ご協力ありがとうございます。須田さん」
引きつるほどの笑みを浮かべ、男ははねたばかりの須田の首を手に、就職センターを後にした。
「最近、就職活動に行き詰っている一般人が六六六人衆に闇堕ちする事件が発生しています」
集まった灼滅者達を前に五十嵐・姫子(高校生エクスブレイン・dn0001)は、そう話を切り出した。
姫子が言うには、就職活動に行き詰った彼らは身近な人の首を刎ね、その首を持ったまま市街を堂々と移動しているらしい。
「身近な人の首を?」
「なんでまたそんな事をするんだろうな」
灼滅者達が言葉を交わす中、姫子は机に置いていた資料を手に取ると説明を続ける。
「今回の件で闇堕ちした六六六人衆達は、無差別に人を殺そうとしていないようですが、自分の邪魔……そうですね、例えば『その首はどうしたんだ』などと詰問する者は、容赦なく殺してしまうようです」
これ以上の被害者が出る前に、この六六六人衆を灼滅して欲しい。頷く様子を目に、姫子は依頼の説明をはじめた。
闇堕ちした男は杉中・雄樹。控えめで心優しい性格の持ち主で、大学在籍中に就職先を見つける事ができず、卒業後も就職活動を続けていた男だ。
「祐樹さんは母親と二人暮らしで、高校、大学と苦労して進学したのですが、就職先を見つける事ができず、大変な思いをしていたようです」
度重なる不採用通知に心を病み、精神的に不安定になってしまった祐樹は親身になって就職の手助けをしてくれた担当者の首を刎ねた。
刎ねた首を手に祐樹が歩くのは繁華街から少し離れた通り。少し離れているとはいえ、昼間という時間もあって人通りは多い。
「返り血を浴び、刎ねた首を手にする祐樹さんを通行人は不気味がって避ける中、母親に手を引かれた幼い男の子が『その首、どうしたの?』と尋ねます」
手にする首を問われ、子供を母親と共に殺そうとする瞬間が接触できるタイミングだ。
「母子を守る事はできるのかしら」
「……ギリギリかもしれません」
灼滅者の問いに姫子はうつむき呟くように答えた。
全員で戦って互角か、それ以上の力を持つ祐樹はナイフを使い、基本的なサイキックに加え、殺人鬼の能力を持ち、戦う。
「祐樹さんは苦労ばかりの人生を歩んできたようですが、こうなってしまった以上、救う手段はひとつしかありません」
資料を閉じ、姫子は真摯な表情を灼滅者達へと向け、言葉を続けた。
「皆さんの手で彼の灼滅を、お願いします」
参加者 | |
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榛原・一哉(箱庭少年・d01239) |
ピアット・ベルティン(リトルバヨネット・d04427) |
天月・一葉(血染めの白薔薇・d06508) |
蓬莱・烏衣(スワロー・d07027) |
リステア・セリファ(デルフィニウム・d11201) |
天堂・リン(町はずれの神父さんと・d21382) |
佐倉・結希(ファントムブレイズ・d21733) |
韜狐・彩蝶(白銀の狐・d23555) |
●
「菓子折り持って面接官に頭下げたほうが100倍マシなんですけどねぇ……」
クラブ仲間の佐倉・結希(ファントムブレイズ・d21733)を隣に、天堂・リン(町はずれの神父さんと・d21382)はぽつりと呟いた。
今回、灼滅者達が受けた依頼は就職に悩んだ末に闇堕ちした男の灼滅だ。
「就職活動……まだまだ自分達には先の話のような気はしますが人事じゃないですよね」
まだ先の、だがいずれ直面するであろう問題を天月・一葉(血染めの白薔薇・d06508)が口にすると、足元で霊犬・三日月犬夜が心配そうな顔をする。
就職に悩み、苦しむ者が闇堕ちし、六六六人衆となる。ここ最近、類似の事件が頻発している事もあり、今回の件も裏に何者かの意図があることは確実だと考える榛原・一哉(箱庭少年・d01239)は周囲を見渡すと、
「人ごみとか、厄介な場所でことを起こしてくれるね」
言いながら幼い男の子が走る姿を目で追った。
エクスブレインの予測では闇堕ちした男――杉中・雄樹は繁華街から少し離れたこの場所で、手にする首を問う子供と、その母親を殺す事が分かっている。
人殺しの息子なんてものが、どれだけ母親を悲しませるものか。それが痛いほど分かるリステア・セリファ(デルフィニウム・d11201)は内面で不機嫌さを露にしていた。
「目の前で家族が死ぬなんて、悲しい事絶対に止めないといけないの!」
「そうだね! 六六六人衆が何考えてるかなんてわかんないけど人殺しは絶対させないんだよ!」
ピアット・ベルティン(リトルバヨネット・d04427)の言葉に韜狐・彩蝶(白銀の狐・d23555)も拳を握り締め、蓬莱・烏衣(スワロー・d07027)はいつ戦いが起きてもいいようにサウンドシャッターを展開させる。
闇堕ちした雄樹は母親と二人暮らしで、就職できずに悩み、苦しみ、そして就職をサポートしてくれた須田の首を刎ねたという。
「須田さん、杉中さん、それにお母さん、誰も幸せになる人がいなくて辛い依頼やけど、せめてまた罪を重ねてしまう前に……」
灼滅を。
決意を胸に結希はバベルの鎖に察知されない範囲を保ち、仲間達とその時を待つ。
「あー! なまくびー!」
離れていても聞こえる、大きな子供の声。それは一哉が目にした、あの子供だ。
ある者は異様な光景に視線を逸らし、ある者は悲鳴を上げる。その中心にはリクルートスーツを着た男がいた。
血塗れた手で男の頭を持ち、その顔は引きつるほどの笑み。
「かーさんみてみて! あのひと、くびもってるよー!」
見てはいけません、とでも母親は言っているのだろう。こちらからは聞こえない声で手を引き、離れようとするが、子供の興味はその首に向いていた。
なまくび、なまくび、と子供は連呼し続け、
「ねえ、そのくびどうしたの?」
無邪気に指を指す。
そして、灼滅者達は見た。
血が滴り落ちる首を手に、それまで何一つ反応を示さなかった男がすっとナイフを取り出したのを。
●
手にする首を問われ、子供を母親と共に殺そうとするこの瞬間。接触できるそのタイミングに灼滅者達は、駆ける。
「はいちょっとすみませーんっ!」
ぎいん!
割り入る結希が構えた盾が閃く刃を防ぎ、火花を散らす。
「邪魔をするな!」
「やらせないの!」
不快を露に再び振り下ろされる一撃。母親の悲鳴を背にピアットはそれを受け止めた。
痛みに耐えるピアットだが、それでも顔は逸らさない。盾を手に結希がちらりと見れば、突然の出来事に母親は腰を抜かし、子供は泣き出しそうな顔で立ち尽くしている。
「ここはピア達に任せて早く逃げるといいの!」
「ボクに任せて!」
親子を守れた事に安堵しつつも殺界形成を展開させるピアットの声に彩蝶は応え、親子を抱えて走り出す。その様子を目にした雄樹は追おうとするが、
「ところで、その首はどこへ持っていくつもり? むしろ首というより顔と言うべきかしら?」
リステアの言葉に足を止める。
「首でも顔でも、どっちだって良いだろ?」
返り血を浴び、頬に紅をこびりつかせるその顔は首を問うリステアへ。どうやら手に持つ首を問う者は容赦なく殺すというエクスブレインの説明通りのようだ。
「なぁ、その首どうしたんだよ?」
「そんなもの持ってどこへ行くつもり?」
その言葉が注意を逸らす事になると烏衣と一哉が問えば、
「何でそのような物を持ち歩いているのですか?」
「もうハロウィン終わりましたよ?」
一葉の言葉に三日月犬夜もわん、と鳴き、結希も言う。
ピアットも引きつけようと言葉をかけようとするが、
「君達には関係ないだろ?」
ナイフを手にした雄樹は灼滅者達へと向く。どうやらターゲットを親子から逸らす事ができたようだ。
戦闘態勢を整える灼滅者達を目に、ぎらりと光る刃を向ける雄樹だが、
「生首を手土産にすれば内定をやるとでも言われたわけ?」
「そうだよ」
無敵斬艦刀を手にする一哉の問いに、拍子抜けするほどあっさり答えた。
「やっと貰える内定だからね。だから、お世話になった須田さんに協力してもらう事にしたんだ」
「首を持って就職祝いなんて、親が見たら泣くわね」
にこやかに言う雄樹の言葉はありがとう、と続く。リステアの言葉を聞きもしない雄樹の言葉は首だけとなった須田に届かないだろう。
「内定は貰えないと思いますよ? だって僕らが邪魔しますから」
「邪魔……?」
シェオルの十字架を手に言うリンの言葉に雄樹はにこりと引きつる笑みを浮かべると、ナイフを手に灼滅者達へと襲い掛かった。
「やれるものなら、やってみるといいよ!」
●
狐耳と尻尾を揺らし、彩蝶は親子を抱え、走る。
烏衣とピアットの人払いの効果もあり、通りからはあっという間に人が消えていく。その様子を目に、戦いに巻き込まれない安全な場所へ。
「危ないからなるべく遠くに避難してね」
抱えていた親子を下ろすと仲間達の元へと戻るべく彩蝶は踵を返し、来た道を、戦いの場へと戻る。スレイヤーカードを手に、
「灼き尽くせ」
解除コードと共に七尾の獣人から白銀の九尾の大型狐へと姿を変えた。
「何があったの?」
視界の先のいる雄樹の様子が何やらおかしい。それに気付いた彩蝶の疑問に烏衣は話す。
『内定の為に人殺して、お母さん喜ぶと思いますか……?』
戦いの最中、そう問うた結希の言葉に雄樹は罪悪感に苛まれたのか、突如、攻撃の手を止めたというのだ。
「ああ……僕は何て事をしてしまったんだ……母さん……須田さん……僕は、僕は……!」
スーツのあちこちが裂けた雄樹は自分が刎ねた須田の首を両手に持ち、今にもその声は消えてしまいそうだ。
こぼれる嗚咽。その様子を灼滅者達は見守るが、一葉は気にもしなかった。エアシューズから放たれる攻撃は真正面を据え、がづん! と鈍い音が響くと、その一撃は苦悶する雄樹のナイフが受け止める。
「くく……最近のガキは優しくねえなあ。せっかく反応してやったのによお」
俯きながらの言葉は、先程のものとは違うものだった。ゆっくりと上がる顔にはにたりと不気味な笑みが張り付いている。
「今までのは演技か」
一哉の言葉にダークネスはわざとらしく肩をすくめ、首だけとなった須田を一瞥すると、
「ジジイの次は優しくねえガキの首でも刎ねてやるか!」
灼滅者達の攻撃を捌き、力任せに刃を振るった。
首を手にするダークネスとの戦いの中、リステアの清めの風に仲間達の傷は癒え傷がすっと消える。
「ありがとうなの」
痛みが消え、ピアットは礼を言い、
「さっきのお返しなの。どかーんといくの!」
クルセイドソードを振るうと白薔薇の花弁を纏う一葉も攻撃すれば、
「犬夜さん」
主の声に応え、小柄な体の三日月犬夜も刃を向けた。
「もらった!」
死角からの攻撃が一哉を捉え、避けようとするが間に合わない。ざくりと切りつけられた肩口からばっと血が舞う。
「大丈夫か?」
「ああ、何とか」
スターゲイザーを放つ烏衣に声をかけられた一哉はずれた眼鏡を直し、応えて視線を向ければ雄樹は彩蝶の攻撃を受けていた。
「ああもうチクショウ、面倒だなあこの人数は!」
続く戦いの中、裂かれた腕を押さえる雄樹は億劫そうな声を上げながらもひらりと攻撃を避ける。
灼滅者達の攻撃を雄樹は受け、払い、そして避け続けているが、8人と一匹を相手にする事が面倒になってきたらしい。
「さっさと死ねよ、もう!」
苛立ちと共に放たれる一撃はリンへと向くも、結希の愛刀、無敵斬艦刀・Close with Talesの刀身が受け止めた。
「神父! 今!」
「仔細承知です――よっと!!」
「……ガキが!」
先輩からの言葉に応え、目線で礼するリンは十字架を叩き付けると雄樹は不快を露にする。
痛みにしかめる様子を目にエアシューズで駆ける烏衣が一撃を放つと、
「貴様は倒す!」
「悪いけど、邪魔させて貰うよ」
彩蝶、一哉の攻撃も立て続けに受けた。
戦いは続き、回復を図るも受けるダメージがそれを上回る雄樹は少しずつ劣勢に追い込まれていく。
「あと少し我慢して続けていれば開けていた未来を、棒に振った自覚はあるんですか杉中雄樹ッ!」
ふと、よろけたその姿を目にリンは声を上げた。
就活生の不安感を利用する六六六人衆も許せないが、楽な方へ流されてしまった雄樹に腹を立てる感情と共に掴み掛かろうとするが、
「……あと少しだと?」
その言葉を跳ねのけるように払う雄樹は眉をひそめ、隙をついた結希の攻撃を受けた。そこへ黒槍を手にする烏衣が飛び掛る。
「色々上手くいかねぇことが重なりすぎて殺しに走るなんて笑えねぇ冗談だぜ、本当に!」
言葉と共に向く鋭い切先はざくりと腕を裂き、続く彩蝶と一哉の攻撃に堪えたのか、ごぶりと血を吐く雄樹は乱暴に口元をぬぐうと手が紅に染まった。
「くく……世の中は上手くいかねえ事ばかりさ」
仲間達の傷を癒す中、リステアが耳にするのは闇に堕ちた男の声。
「お前達にこの男がどれだけ苦労していたか分かるか?! 数え切れないほどのエントリーシートを書く日々が! 母親を楽にさせたいと願っても叶わない絶望が!」
額を切ったのか、流れる血はだらりと頬を伝い、就職活動の為に袖を通し続けたリクルートスーツに落ちる。
続く攻撃を受け、なおもダークネスは叫ぶ。
「ようやく見つけたこの内定こそが、この男の『あと少し』なんだよ! どれほどの思いでこの会社を選んだか! お前達に分かるか?! 分かる訳がない!」
それは雄樹の叫びなのだろう。
大学在籍中に就職を決める事ができず、卒業後もそれが叶わず苦悩し続けた男の心情は学生である灼滅者達の及ぶところではない。
蓄積されたダメージに荒い息を吐くダークネスを前に、灼滅者達の言葉が止まる中、
「それでも……人を殺すのはダメなの!」
ぎりっと柄を握り締め、ピアットが切りかかると穏やかな笑みを浮かべた一葉が三日月犬夜と共に雄樹へと攻撃を繰り出した。
ナイフを手に攻撃しようと動くが、限界が近いのだろう。リクルートスーツはぼろぼろになり、裂かれた体からはぼたぼたと血が流れる。
振るう刃を一葉はひらりとかわし、そこへリンと結希が攻撃すれば烏衣と彩蝶、一哉が畳み掛けるように追い討ちをかけ、そして――、
「せめて人としての心を取り戻してから……母親に謝ってから逝け!」
復讐の堕天使の名を持つ大鎌の刃が炎を纏わせ閃くと、雄樹の体を捉えた。
「……母、おや……ね……」
ぽつりと呟く男の身を裂く刃。
胸がばくりと裂けから血が噴きだすと、雄樹の手から今まで離す事のなかった内定の――須田の首がずるりと落ちた。
●
ばしゃり。
血溜まりの中に首が落ちる。
親身に就職の手助けをしてくれた男の首を持ち続けたダークネスは、自らが流した血の池に沈む事無くその姿は灰となり、消えた。
「恩人の遺体……この人にも家族がいるのにね……」
しゃがみ込み、リステアが手にする須田の首は灼滅者達の攻撃にさらされ傷だらけだ。さすがにこの状態では死因の加工は難しいが、それでも傷を加工する。
須田の最期を見ようと一葉は試みるが、ここは殺害された場所ではない為、見る事はできなかった。その結果を気遣うように三日月犬夜はそっと足元に添う。
「求人情報はよく見て考えんといけんのよ……」
「全く、ブラックどころじゃないね」
いくら追いつめられたとしても、堕ちてはいけないところはあるだろう。結希の言葉にそう思いながら一哉は何か情報となるものはないかと周囲を探すが、雄樹が手にしていたものは灼滅されたと同時に消滅してしまったようだ。
「……ん?」
ふと、血溜まりの中に何かが落ちている事に気付き、拾い上げる。それはお守りだった。肌身離さず持っていたのだろうそれは灼滅者達の刃を受け、下半分しかない。
血に染まる写真にはスーツ姿と女性と思われる着物姿の二人が並んでいたが、お守りと共に切られたそれは首から下しか残っていなかった。
「母さん悲しむだろうな」
闇堕ちし、須田の首を刎ねた雄樹は灼滅した。
一人残された母親の事を思うとやりきれない思いが灼滅者達の胸をよぎるが、被害を食い止める為には仕方の無い事だった。俯きがちに烏衣が言う中、突風が吹き写真は飛ばされ空へと消えてしまう。
「結局、オレ達はさ、殺すことも仕事なんだぜ……」
悲しいほどに澄んだ空を見上げて言葉を続けると、
「いつか必ず、灼滅してやるから首を洗ってまってるといいの!」
ピアットは憤りを露にぐっと拳を握り締めた。就職できない苦しみに付け込む六六六人衆のやり方を許せないその思いに元の姿に戻った彩蝶も力強く頷く。
「何もしてあげられないけど……ちゃんと家族のとこに帰れるといいですね……」
「……そうですね」
そっと道の隅に置かれた首へ視線を落とす結希とリンだが、遠くからのサイレンにピアットは思わずびくりとする。自分達ではどうしようもできない首を回収してもらう為に通報したパトカーや救急車がやってきたのだ。
戦いの痕跡を消せば、これ以上この場にとどまる理由は無い。
就職に苦労し、その末に闇堕ちした雄樹。彼の就職を手助けし、首を刎ねられた須田。そして、戻る事のない息子の待ち続けるだろう雄樹の母親。
様々な思いや願いが灼滅者達の胸をよぎる。
(「こんな胸糞悪い計画を立てたクズは絶対に許せない」)
須田の首が回収する様子を目にリステアはいつも以上に不機嫌な感情を内に秘め、仲間達と共にその場を後にした。
作者:カンナミユ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年11月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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