最強と言われし力、挫く時

    作者:幾夜緋琉

    ●最強と言われし力、挫く時
    「はーっはっは!! 弱い、弱いぞ、所詮はその程度の力なのか!! ぬるい、ぬるいぃぃー!!」
     東京は有明某所、良く格闘技のイベントが開かれる会場。
     会場のど真ん中にある、プロレスリングのリングサイドポールに立って、観客達にマイクパフォーマンスでアピールしているレスラー。
     余りプロレスラーっぽくない体つきだが……仮面の下には整った顔つき。
     対し、リングの上で倒れているのは、こちらこそプロレスラーと言わんばかりに筋骨隆々の男がぐ、うぐぐ、と倒れている。
     ……そしてリングポールの男は。
    「さまったくぬるいものだ。さぁ、これで勝負を決めてやろうではないか!!」
     ずびしっ、と指指し、ウィンクすると……それに。
    『キャー、王子様ー!!』
     そんな黄色い悲鳴が聞えてくる。
     そして、フライングボディプレスで、筋骨隆々の男の上に乗っかり、3フォールを取る……そしてまた、黄色い悲鳴。
     ……そう、彼らは真剣勝負のプロレス団体ではない。
     顔立ちの整った彼を客寄せに立たせて、彼が勝利する事で、顧客を喜ばせる……そんなプロレス団体。
     そしてリングゴングがカンカンカン、と鳴り響き、マスクを解いてキラン、と歯を輝かせる彼。
     ……と、そこに。
    『ふふ……確かに温い戦いだねぇ……そんなんじゃつまらないわよねぇ』
     突如、会場に響く言葉。
     その声の主は、かなり露出度の高い女子プロレスラーの様な者。
    「お前……誰だ? 見たこと無い奴だな」
    『格闘技の大会が開かれてるからきてみたのよね。でも……本当、貴方が最強なのかしら?』
    「あぁ!? あったりめーだ。オレが最強、ここで最強の男だ!」
    『ふぅん……そう。なら、まずはこいつと戦って貰おうかしら。こいつに勝てたら、相手してあ・げ・る♪』
     と指をパチンとならすと、彼女の背中に現れたのは、今既に倒れている筋骨隆々の男より、更にムキムキな男。
    「っ!?」
    『あら? なぁに、威勢の良い事言ってたくせに、怯んでるの?』
    「な、なわけ、なぁーい!! 勝負だ!!」
     大きな声で言い放つ彼に、彼女は……フフ、と笑い、そして配下の男を嗾けるのであった。
     
    「みんな、集まったね? それじゃ早速だけど、説明を始めるね!」
     須藤・まりんは、集まった灼滅者を見渡し、早速説明を始める。
    「今回はね、とあるプロレス団体を守ってきて欲しいんだ!」
     プロレス団体を守る……それにきょとんとしている皆を見て。
    「えっとね、つまり、都内で興業をしているプロレス団体に、ケツァールマスクと、その配下のレスラーアンブレイカブルが仕掛けるのが見えたんだ」
    「ケツァールマスクとその配下は、ギブアップすればそれを攻撃する事は無いから使者が出ることは無いんだけど、アンブレイカブルに倒されれば心折れて、今後の興業が失敗になっちゃうかもしれないんだ」
    「まぁ……ショー要素が大きなプロレス団体だから、それはそれで、というのはあるかもしれないけど、でも可哀想だから、ケツァールマスクの配下を倒してきて欲しいんだよ!」
    「みんなも知っての通りだけど、ケツァールマスクは手を出さず、彼女の配下であるアンブレイカブルレスラーが皆の相手になるよ。アンブレイカブルレスラーは、サマーソルトキックとか、ブレインバスターとかのプロレス技に似た攻撃をしてくるんだ」
    「勿論、それらプロレス技にはアンブレイカブルの力が込められているから、一撃一撃がかなり強力なダメージを叩き込むものだよ。下手すると、即重傷になりかねないから、絶対に油断はしないようにしてね?」
    「又、ケツァールマスク自体だけど、彼女は配下の戦闘を見守るのみで、手出しはしてこないんだ」
    「でも、観客に危害を与えるような行為や、ギブアップした者に攻撃を加えたりしたり、地味すぎて試合が面白くなくなったりすると、介入してくる事もあるみたい。だから、ケツァールマスクの興味を失わない様に、ある程度はショー的要素を入れ込んだ戦い方をすると良いと思うよ?」
    「アンブレイカブルレスラーを倒せば、ケツァールマスクは勝者を称えて去って行くし、アンブレイカブルレスラーも回収して帰るから、アンブレイカブルレスラーを倒せばいいからね?」
     そして、まりんは最後に皆をもう一度見渡して。
    「何はともあれ、ケツァールマスクとの勝負を見応えがある物にすれば、試合の勝敗はどちらでも関係無いんだ。つまり、プロレス的に試合を盛り上げる方法を踏まえた作戦を考えてみてね?」
     と、ニッコリ微笑むのであった。


    参加者
    桜庭・理彩(闇の奥に・d03959)
    廿楽・燈(花謡の旋律・d08173)
    八川・悟(人陰・d10373)
    戯・久遠(悠遠の求道者・d12214)
    クリミネル・イェーガー(迷える猟犬・d14977)
    龍川・八雲(高校生ストリートファイター・d22689)
    レオン・ヴァーミリオン(暁を望む者・d24267)
    涼月・蒼一郎(高校生人狼・d27966)

    ■リプレイ

    ●最強と言われし力、挫く時
     東京都は有明某所、格闘技イベントの開かれる、とある会場の入口までやって来た灼滅者達。
     まりんからの依頼に伴い、そのプロレス団体興業会場へと到着する。
     ……既に興業は始まっているようで、周りに興業を見に来たお客さんは居ないし、その他の一般人も、流石にこの時間にぶらぶらと歩いている人の数は少なめである。
    「しかしプロレスか……力と力の真剣勝負の中にダークネスの力を振るうとは、な」
    「そうだね。まぁまりんさんが言うにはシナリオベースの興業団体だって言うから、真の意味での力と力の真剣勝負、という訳ではないんだろうけれどね」
    「……そうなのか、そんなシナリオ有りの興業なんてあるのか?」
    「うん。まぁ……勿論、理彩さんの言う通りの本気の興業団体も居るし、逆に本気のとコラボしているのもあるみたいだけどね」
    「……少し、驚きだな」
     桜庭・理彩(闇の奥に・d03959)と、廿楽・燈(花謡の旋律・d08173)の会話。
     まぁ、そんなシナリオベースの団体であろうと、本気の団体であろうと……ダークネスが相手となれば全く以て話は別になる。
     だからこそ、守らなければならない……皆の平和を護る為。
    「しかしダークネスがプロレス団体に試合を申し込むだなんて、考えてみれば妙な話だよなぁ……まぁ、大虐殺やら闇堕ち誘発だとかに比べりゃ、平和でありがたい限りだけどよ」
    「確かにそうだな……まぁ、下手な戦いをしたらケツァールマスクと戦闘になって、大惨事と言った所にもなりかねないだろうし、気は抜けないな」
     と、涼月・蒼一郎(高校生人狼・d27966)、戯・久遠(悠遠の求道者・d12214)が言うと。
    「さぁてさて、プロレスか……初めてだけど、気合いいれていきますかぁ!」
    「うん、プロレス観戦大好きなの~。盛り上げられるよう頑張ろう!」
    「プロレス、か……古武術の心得はあるんだが、まぁ観て学ぶとしよう。良い経験になりそうだしな」
    「ああ、毎度熱い戦いをさせて貰てるけど……こりゃ滾るわな……楽しみや」
     レオン・ヴァーミリオン(暁を望む者・d24267)、龍川・八雲(高校生ストリートファイター・d22689)、八川・悟(人陰・d10373)、クリミネル・イェーガー(迷える猟犬・d14977)らも、気合いを込めて。
    「っしゃ、そんじゃ突撃や。皆、いくで!」
     クリミネルの声に改めて気合いを込めて、灼滅者達は会場へと乗り込んでいくのであった。

    ●リングネームの名の下に
     そして会場内。
     真ん中に据え付けられた、正方形のプロレスリングの上で、整った顔立ちの男が、倒れた筋骨隆々の男に言葉を投げかけていた。
    『フフ。確かに腕っ節は強いみたいだけど、所詮は自信過剰が産み出す慢心だね』
    『グ、グググ……』
    『まぁ、大丈夫さ。負けを認めれば、これで終わりにしてあげるよ? ボクはこれでも慈悲深いからね』
    『キャー、王子様ー♪』
     ……汗の染みこんだプロレスリングからすれば、似つかわしくない顔立ち……そして、黄色い声も、いつものプロレスリングには響かない声。
     そして、観客達に対して更にアピールするように両手を挙げる彼……そこに、やって来るケツァールマスクと、アンブレイカブルレスラー。
    『ふぅん……確かにこれは温い戦いだねぇ……そんなんじゃ、つまらないわよねぇ?』
    『む……お前は誰だ? 観たこと無い奴だな』
    『格闘技の大会が開かれていると言うから来てみたのよね。でも……本当に貴方がここで最強なのかしら?』
    『む……なんだと! 俺を貶しているのか?』
    『別に貶してなんかいないわよ? ただ、その体つき……最強とは思えなくてねぇ』
    『ぐぐぐ……』
     と……そんな会話に割り込むように……。
    「強い相手と戦いたいんやろ? なら、ウチらが相手になるで!!」
     場内に響き渡る、クリミネルの声。
     その声に誰だ、とリング上のレスラーも、そしてケツァールマスク達も見渡す。
     ……それと共に、リングサイドの花道に現れる灼滅者達。
     リングコスチュームに身を包んでいる理彩や、パーティー用の仮面で顔を描くしマントを羽織る燈、素肌に学ランの格好など、それぞれが思い思いのリングコスチュームに身を包んでいた。
    『誰だ、お前達は……お前達も観ない顔だな』
     と言うリング上のレスラー。
     それに対し、蒼一郎がパニックテレパスを使い、一般人達をパニックに陥れる……勿論、リング上のレスラー二人を含めて。
     次々と逃げていく一般人と観客……対し、アンブレイカブルレスラーとケツァールマスクは。
    『ふぅん……まぁ、何となく理解したよ。まぁ、あんな優男よりは楽しめそうね』
    「ああ」
     蒼一郎がニヤリと笑う……そして、リングに先鋒として上がるはレオン。
     上半身の衣服を脱ぎ捨てると共に、それを炎で燃やす。とはいえその顔はありふれたマスクで覆われていてのマスクマン。
     レオンが挑発するようにすると、アンブレイカブルレスラーもリング上にあがる……そして、不在になったリングアナウンス席に理彩が座ると。
    「フフフ、一戦目から変速タッグマッチで行くわよ! ……武蔵坂プロレスに遠慮など無いわ。さー、マスクレスラーと一緒に戦うのは白髪の餓狼イェーガー!!」
     声高らかにリングアナウンスする理彩……だが、その声に対して、動く影なし。
    『……?』
     きょろきょろと周りを見渡すアンブレイカブルレスラー……と、その時。
    「……何処観てるんや! ココやァ!!」
     と、アンブレイカブルに対し、顔めがけてボードをたたきつける。
    『っ!?』
     流石に突然の攻撃にアンブレイカブルレスラーは目を見開く……そこに戦化粧をしたクリミネルがいた。
     そして、レオンと隣同士になり、構える……それにケツァールマスクが。
    『……ちょっと、反則じゃないか?』
     と、ぴくり眉を顰める。
     とは言えアンブレイカブルレスラーには、そんなに被害は無い……そして。
    「さぁ、いくで!!」
    「ええ」
     大きな声を上げるクリミネルの半歩後ろにレオン。そしてクリミネルは、レオンと呼吸を合わせて、戦闘開始。
     レオンがスターゲイザーを込めたローキックで足元を狙い、ふらついた所にクリミネルの畏れ斬りの延髄蹴りで攻撃。
     更にレオンが縛霊撃チョップで、クリミネルが斬影刃による蹴り攻撃……等々、攻撃を多少プロレス技に似せた形で攻撃を嗾けていく。
     勿論、対するアンブレイカブルレスラーも……クリミネルに掴みかかってのブレーンバスターや、レオンの攻撃に対する形でのラリアットを喰らわせる。
     プロレス技が、灼滅者の技と相まって繰り広げられていく……が、アンブレイカブルレスラーは、流石に強力な相手。
     一撃、一撃は確実に二人の体力を削る。
    「っ……こりゃ、なかなかやな……!」
     しかし、そんな強力な相手だからこそ、燃え上がる心。
     十ターン程のバトルが続き……そして。
    『うりゃああああ……!!』
     エルボーアタックで、そのまま後方に倒れるレオン……そして、更にクリミネルに対して間合いを詰めてパワーボム。
     ……そして、ゴングの音が鳴り響く。
    「第一戦、アンブレイカブルレスラーの勝利!! さぁ、続けて行くわよ。次はウルフ蒼一郎!!」
     と理彩のリングアナウンスに、続けて蒼一郎がリングに上がる。そして……クリミネルとレオンがリングアウトする間に、狼の上着を脱ぎ捨て。
    「まぁ、あの二人は確かに強いが、それより俺の方が強い筈だぜ?」
     ニヤリと笑みを浮かべ、挑発する蒼一郎。
     そんな彼の言葉に、アンブレイカブルレスラーは無言で、攻撃開始。
     迎撃するように畏れ斬りのドロップキックを叩き込み、次にはソーサルガーダーでガードを堅める。
     が……アンブレイカブルレスラーの攻撃力は、思った以上に高い……一撃一撃で、ガッツリと体力を削っていく。
     妖冷弾の地獄突き等も更に叩き込み、バッドステータスを大量に叩き込む為に、動き回る。
     ……そして蒼一郎は、ある程度バッドステータスを与えた後に……アンブレイカブルレスラーの攻撃を派手に受けて、ギブアップ。
    「さぁ、続けては紺青の挑戦者、久遠!」
     理彩のリングアナウンスに久遠がリングイン。
    「さて、次は俺だ。良い戦いを心がけよう」
     と上着を脱ぎ捨て、対峙。
     今までの二人に対し、久遠は基本、アンブレイカブルレスラーの攻撃を受け止め、反撃の戦法。
     一撃一撃、かなり強烈なダメージ。それを……リングサイドから見つめる霊犬、風雪がじーーっ、と見つめて浄霊眼。
     ……とは言え、浄霊眼ではそのダメージを上回ることは出来ない。でも、敢えて。
    「どうした、その程度か? 次はお前の一番得意な技で仕掛けてこい」
     と、久遠は挑発を忘れずに行う。
     大ダメージと、小回復の繰り返し……確実にアンブレイカブルレスラーを削るものの、受けたダメージの方が多く、彼も十数ターンの内にノックダウン。
    「まだまだ武蔵坂プロレスは行くわよ! 次は男性不信な稲妻の龍と、相棒の雷王丸!!」
     リングネームコール……それに。
    (「……かっこいい」)
     と自己陶酔している八雲……ちなみに服装は、ミニ丈ウェディングドレスの下にジャージという出で立ち。
     ……立ち止まっているのに、燈が肩をぽん、と叩き、八雲ははっ、と気づき、慌ててリングに上がる。
    「もう……あたしの幸せを返して!!」
     と言いながらブーケを投げて、宣戦布告……そして抗雷撃や鋼鉄拳を、フロントスープレックスを合わせ込む形でバッドステータスと共に付与。
     ……アンブレイカブルレスラーは、今までの相手に対し、多少ではあるが、攻撃の手は弱めている。
     疲労か、それとも……彼女の言葉に、遠慮しているのかは解らないけれど……まぁ、女性というのもあるからだろう。
    『ほら、どうしたの? 手加減なんかしたらダメよ!』
     ……それに気づいたケツァールマスクが、声を張り上げる。
     それに仕方なく、と言わんばかりにアンブレイカブルレスラーは、ドラゴンスクリューなどの技で攻撃を継続……。
     数ターンの内でギブアップを誘い出し……四戦目、終了。
     勿論、休むことなく、更に続けての相手。
    「次は流浪の女レスラー、燈! やっちゃいなさい!!」
     と、燈コールされると共に。
    「ふふふー。真打ち登場! ……て言うには順番ビミョーだけど……まぁ、と、とにかく宜しくお願いしまーす。見た目で判断とかしたら、痛い目みちゃうんだからね!」
     その言葉と共に決めポーズ。
     ……そして、開始のゴングが鳴り響けば、最初から全力全開。
     マルチスイングや黒死斬、斬影刃を次々と叩き込んで、アンブレイカブルの体力を削りながら、疲労を誘う。
     ……流石にもう五連戦、1時間近く戦い続けているアンブレイカブルレスラーも、疲労困憊は否めない。
     とは言え、矜持もあるからこそ……疲れをものともせずに、燈にダメージを叩き込み……ノックダウンさせる。
     そして……。
    『ふぅん……こんなにも強いとはね。なら、私達が最後の相手よ!」
     と理彩が宣言、傍らに居た悟も頷き。
    「そうだな……無手の刃が、お前を切り裂いてやる」
    「この私をリングに引き出した事、後悔するがいいわ!」
     悟と理彩の宣言。
     ……流石に、アンブレイカブルレスラーは、まっすぐに立てなくなっている。その状況に、僅かに眉を顰めるケツァールマスク。
    『これで本丸が出てきた、って事かしら? ……名実ともに最終戦って訳ね』
    「そうだ。さぁ……お互い、死力を尽くしての最終戦を開催するとしよう」
     悟の言葉に、ケツァールマスクはそうね、と腕を組み、そしてアンブレイカブルレスラーへ。
    『苦しい時こそ、真価が輝くとき……頑張りなさい!』
     と、威声を掛ける。
     そして……アンブレイカブルレスラーは、自分に気合いを入れるように声を張り上げる。
     力強い声に、僅かに圧倒されそうになるが……悟は。
    「最後の本気、見せて貰おう……こっちも、手加減はしない」
     と、じっと見据える。
     ……そしてアンブレイカブルに対し、理彩のレーヴァテインと悟のトラウナックル。
     次にはトラウナックルと、居合斬り。
     連携しての攻撃を、アンブレイカブルレスラーの前と後ろに配置し、次々と攻撃。
     疲労困憊のアンブレイカブルレスラーは、流石に動きにも精彩を欠き、攻撃もかなりの大振りになっており……効率的にダメージを与えることは出来ない状態。
     そして……1時間を軽く超えた頃。
    『っ……クゥ……』
     唇を噛みしめたアンブレイカブルレスラーに、悟が。
    「……もう、限界の様だな。ならば、これで終わりにしよう」
     と、最後通牒を突きつける……そして、理彩が。
    「脇が甘い!」
     と、トラウナックルを込めたボディーブローをたたきつけ、そして悟が間合いを詰めて……地獄投げ。
     頭からたたきつけられたアンブレイカブルレスラーは、そのまま動けなくなるのであった。

    ●戦跡に残る
    『そこまで!! ふふ、中々面白い戦いね!』
     パチパチパチ、と、勝者を称える拍手を送りながら、戦いの終わりを告げるレオン。
     その言葉に従い、理彩が目の前に倒れたアンブレイカブルレスラーに手を差し出し、引き起こす。
     流石に6連戦をこなしたアンブレイカブルレスラーは、心身困憊、傷だらけになっている。
     そんな彼の健闘を称えると、ケツァールマスクも満足気に頷いていると、それにレオンがマスクを脱ぎつつ。
    「いやぁ、やっぱり強いわ。次はもっとスマートに勝ちたいもんだね」
     とケツァールマスクに手を差し出す。
     それにケツァールマスクはがしっ、と手を握る……かなり握力が強くて、少し顔が引きつるが、すぐ平静の顔にする。
     そして、蒼一郎、八雲も。
    「よう、ケツァールマスクさんよ。楽しんで貰えたかい?」
    『ああ、楽しめた。こういう1対多数の戦いっていうのも、面白いもんだね』
    「そうかい。なら良かったさ」
    「そう、アンブレイカブルレスラーさんもありがと。すっきりしたわ」
     更にクリミネルも。
    「中々手強い相手やったわ。こっちもホンマ楽しめたで!」
     と、ケツァールマスクに頷き、手を差し出し、握り合う。
     ……そして、ケツァールマスクは、つれられてきたアンブレイカブルレスラーの肩を抱えて。
    『それじゃ、今日はここで失礼するよ』
     と帰ろうとするのに、レオンが。
    「そういや……ケツァールマスクさんは、今度の獄魔覇獄だかいうのは出るのかい? シン・ライリーだかと一緒に叶うことなら、そこでリベンジマッチと行きたいところだけどね」
     と問いかける。
     ケツァールマスクは。
    『ま、どうだろうねぇ……ま、いつか解るさ、ははは』
     と、笑いながら、その場から帰って行く。
     その後ろ姿は、とても悠々としていたのであった。

    作者:幾夜緋琉 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年11月8日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 7/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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