全て定めた礎に崇めよ心を!

    作者:幾夜緋琉

    ●全て定めた礎に崇めよ心を!
    『ふーははは。よーしよし、集まった集まった。これだけいればいいだろうー!』
     腰に手を当て、声高らかに笑うのは、ペナント怪人。
     そんな彼の目の前には、後ろ手に縄手錠をかけられ、転がされているスーツ姿の一般人が10人ほど。
     転がされてる場所は、深夜のとあるオフィス街のビルの入口。
     ……人が居ない時間を選んだのは、ペナント怪人達も、邪魔されない事を望んだからなのだろうが……。
     そして、別のペナント怪人が。
    『まったく、こんだけ集めるのも結構骨が折れたよなぁー。まぁ、この中から何人か出てくれればいいんだけどなぁ』
    『そうだよなぁ。まぁいい、早速だが儀式を始めるとしよう』
     そう言い、転がされた一般人達を前に、何かぶつぶつと呪文のような事を呟くペナント怪人……そして、一寸後。
    『『『さぁ……現れよ、定礎怪人!!』』』
     ペナント怪人達が声を合わせ、そして……次の瞬間。
     転がされていた一般人の内一人が、その姿を大きく変えていく。
     頭に『定礎』と書かれた……定礎怪人に。
    『おおお! やった、やったぞ!! 定礎怪人が、生まれた!!』
     その生誕に、大変喜ぶペナント怪人達なのであった。
     
    「さて……皆々様、お集まり頂けたようですね? それでは早速ではありますが、この私からご説明させて頂きましょう」
     執事服に身を包んだ野々宮・迷宵は、集まった灼滅者達に深々とお辞儀しながら、早速説明を初めていく。
    「先日行われた琵琶湖大橋の戦、皆様のおかげで未然に防がれた事は記憶に新しいと思います。しかし……安土城怪人の勢力が新たな作戦を開始した模様なのです」
    「その儀式の為、安土城怪人配下のペナント怪人は、一般人達を誘拐しては、深夜に怪しげな儀式を行っている模様なのです」
    「このまま、このような事態を放置しておく事は出来ません。一般人を前に儀式を為ようとしているペナント怪人を灼滅為てきて欲しいのです」
     そして迷宵は、詳しいこのペナント怪人達の情報について説明を加える。
    「このペナント怪人は、皆様が到着する頃には儀式を始めているようです。数は3体、実力としては、皆様とほぼ同程度の戦闘能力と言えますので、油断をしなければ負けることはありません」
    「ただ……先ほども言った通り、周りには集められた一般人達が10人ほど転がされています。彼らは最初は眠らされている状態ですが、周囲で戦いが行われればその騒がしさで起きてしまう事でしょう。当然起きた瞬間に、周りで戦闘が始まっているのに混乱し、常軌を逸した行動も取りかねませんので、注意が必要でしょう」
    「ペナント怪人達は一般人が逃げ出した場合は、逃げ出した一般人を優先して攻撃しますので、一般人を先に避難させる、というのは難しいと思います。逃げ出さなければ一般人に攻撃することはありませんが……」
    「何にせよ、敵はペナント怪人が3体です。それに加えて……ペナント怪人の儀式は、暫くすれば効果を現してしまいます。時間が掛かれば、集められた一般人の中から何かを産み出してしまうかもしれません」
    「つまり、早く、ペナント怪人を打ち砕きながらも、一般人が逃げないように注意する、というのが今回のポイントになります」
     そして、最後に迷宵は。
    「ともあれ、ペナント怪人達の野望をこのまま放置しておく事は出来ません。どうか、皆様のお力をお貸し下さい。宜しくお願いいたします」
     と、静かに頭を下げるのであった。


    参加者
    神田・熱志(ガッテンレッド・d01376)
    八嶋・源一郎(颶風扇・d03269)
    神宮時・蒼(大地に咲く旋律・d03337)
    桐屋・綾鷹(紅華月麗・d10144)
    逆神・冥(復讐者は何を語る・d10857)
    楠木・朱音(勲の詠手・d15137)
    高沢・麦(とちのきゆるヒーロー・d20857)
    天城・カナデ(中学生人狼・d27883)

    ■リプレイ

    ●定礎!!
     迷宵に話を聞いた灼滅者達。
     彼らが向かうは、町の傍らにある、とあるビルの入口。
     そこにあるのは、ビルの礎、定礎石……定礎式の日付新聞や出資者名簿などが納められた、よく見る定礎石。
    「俺もようやく定礎怪人絡みの事件に関わるときが来たか。何かこれ、日本のご当地幹部、グレート定礎に関わりがありそうだよな」
    「……グレート定礎と、今回の件は、何か、繋がっている、のでしょうか……? それに、定礎怪人……ペナント怪人の、目的は、一体、何でしょう……?」
    「そうですね……ペナント怪人……戦争以外で初めてお目に掛かりますが……彼らの連携には特に気をつけないといけませんね」
    「うむ。何にせよ、今回のもこのペナント怪人達が一般人達を連れてきた様じゃ。定礎怪人化の儀式なのじゃろう……多くなってきたのう。グレートなる親玉と会える日もそう遠くは無いのじゃろうな……」
     神田・熱志(ガッテンレッド・d01376)、神宮時・蒼(大地に咲く旋律・d03337)に、桐屋・綾鷹(紅華月麗・d10144)と八嶋・源一郎(颶風扇・d03269)の会話。
     定礎石の前に集めた一般人……その者達を相手に儀式を経て、何者かを生まれさせようとしているペナント怪人達。
    「……またこいつらと戦うことになるとはな……そういえば、以前アメリカンコンドルがグレート定礎の復活がどうかとか言っていたしな。やつらの目的は、それなのか?」
     軽く首を傾げた逆神・冥(復讐者は何を語る・d10857)に、天城・カナデ(中学生人狼・d27883)と、高沢・麦(とちのきゆるヒーロー・d20857)、楠木・朱音(勲の詠手・d15137)。
    「ったく……またこいつらか。相変わらずよく解んねえことやってんな。そういう事は誰にも迷惑を掛けねぇとこでやれよ、ってな。一般人巻き込ってんなら、こっちだって力尽くで止めるしかねぇぜ?」
    「そうだよ。一般人を巻き込むなんて許さないーっ! ヒーローの名において、! 絶対に守るよ!!」
    「ああ……人間を易々と怪人にさせない……速攻で決めてやる……!」
     そんな仲間達の言葉に、冥と源一郎が。
    「何にせよ、とりあえずまずは、目の前の敵を殺すことから始めようか」
    「うむ。悪いがグレートなる親玉と会えるとしても一人で現れて欲しいものよ。一般人を巻き込むこの儀式……させはせぬ」
     と頷き合う……という間にも、灼滅者達は、ビルに到着。
     ……聞えてきたのは、儀式を始めようとしているペナント怪人達の会話。
    「……時間がねぇな……さっさと仕掛けるぜ?」
    「ああ……!」
     カナデに朱音は頷き、すぐにサウンドシャッターを使用……そして、スレイヤーカードを一挙に解放し、突撃していくのであった。

    ●定めし礎の上に
    「まったく、本当こんだけ集めるのは骨が折れたよなぁ……まぁ、この中から何人か出てくれればそれはそれでいいんだがなぁ」
    「そうだよなぁ。まぁ、でも出てくれれば苦労も報われるんだし、早速だが始めるとしようか」
    「ああ……」
    「「「……さぁ、現れよ、定礎怪人……!!」」」」
     声を合わせ、呪文のような言葉を、声を合わせて叫んだ……その瞬間。
    「させないぞーっ!!」
     突撃してきた麦をはじめとした灼滅者達……現れるなり、フォースブレイクの一撃を叩き込む。
    『ぐはっ!?』
     儀式を行う中の、一人のペナント怪人が吹っ飛ばされる……そして、その間に、他の灼滅者達が、次々と一般人とペナント怪人の間に割り込む。
    『な、なんなんだてめーらは!!』
    「俺達かい? ふふ」
     軽く笑みを浮かべつつ……熱志はポーズを決めて。
    「火事と喧嘩は江戸の華、ガッテンレッド、ここに参上!!」
     スレイヤーカードと共に変身……そして、その後ろで蒼と綾鷹が一般人の方へ。
    「……危ないので、此処を、絶対に、動かないで、ください」
    「そう。大丈夫、私達が命に代えてもお守りしますからお任せ下さい」
     そんな言葉を告げて多摩源一郎が魂鎮めの風、、王者の風、サウンドシャッターを源一郎、冥、麦が使用。
     その場に眠り、崩れ落ちていく一般人達。それを守るように、灼滅者達は半扇の形で対峙態勢をとる。
    「さて、と……余り時間を掛けるわけにはいかないみたいだからな。グレート定礎とやらの復活阻止が可能なのかは知らないが……お前達の隙にさせる言われもないんでな!」
     と言いながら朱音は腕時計をセット。そしてカナデが。
    「よし。じゃ、始めさせて貰うぜ」
     とカナデが宣言して螺旋槍で自分に壊アップを付与すると、綾鷹も螺旋槍。
     蒼と冥、源一郎は。
    「さぁ……奈落へ、墜ちろ……」
    「その頭のペナントごと、灰に還って下さいな!」
     と鬼神変に、グラインドファイアを、同じペナント怪人へと集中攻撃。
     その間に冥の霊犬、鬼茂と、綾鷹のナノナノ、櫻も召喚され、そして六文銭射撃とたつまきでそれぞれ攻撃。
     そして朱音、熱志、麦に源一郎も。
    「白棍の舞、少々おつきあい願おうか」
    「これでも喰らえ! 秋葉原ビーム!!」
    「正義の鉄拳だーっ!」
     と、パッショネイトダンス、ご当地ビーム、閃光百列拳に抗雷撃、とダメージ中心の攻撃で、これも同じペナント怪人を攻撃。
    『く……つええ。大丈夫かよぉ……!』
     ちょっと不安を叫ぶペナント怪人だが、それに他のペナント怪人は。
    『弱気になんなよ!! 儀式はもう始まってるんだ! 復活の時が来るまで耐えれば、きっと!!』
    『そうだそうだ!! どうにか耐えきれば俺達の勝利だ!!』
     と、励まし合う。
     ……そして2ターン目。
    「そのペナント、破り捨ててやるぜ!」
     とカナデの閃光百列拳を先陣として、同じディフェンダーの蒼、冥、鬼茂が続き。
    「……影の花弁よ、呑み込め……」
     と、影喰らいに黒死斬、六文銭射撃。
     更にスナイパーの源一郎、綾鷹は。
    「……手加減はせんぞ」
    「ここからは通しませんよ! 飛刃十字!」
     と、神薙刃とギルティクロス。
     対しペナント怪人……かなり押されている状況ではあるが、それに負けないよう、三体協力しての反撃。
     確かに攻撃力は中々で、ガリガリ体力が削られていく。
     それに対するはサクラ……少しでも怪我をしている仲間をふわふわハートで癒やす。
     そして、更に朱音が鬼神変を喰らわせる一方。
    「よし、今だ、麦先輩!」
    「うん!!」
     声を合わせる熱志に麦……前に近接すると共に。
    「ここぞ!」
    「おれらの!」
    「「ご当地の友、ダブルダイナミック!!」」
     と連携してのダブルご当地ダイナミック。
     クラッシャーの一撃が、ガッツリとペナント怪人にダメージ……一匹目は。
    『う、うぁあああ……!!』
     と、崩れ落ちてしまう。
    『っ……!! あああ!!』
    『し、しっかりしろっ!! まだ、もうちょっとだ!!』
     絶叫するペナント怪人と、冷静に声を上げるペナント怪人。
     ……そんなペナント怪人の会話に、蒼が。
    「……定礎怪人を集めて、どうするの……グレート定礎、と……」
     と訪ねるが。
    『くっそ、うるせええ!!』
     と威勢良い声と友に反撃を継続。
     後ろに居る一般人へ攻撃を通そうにも、灼滅者達が確りと立ち塞がっている為に攻撃は通すことは出来ない。
     だから、どうにか前に立つ灼滅者へ、全力全開の攻撃を続けて行った。

    『ピピ……!』
     と、朱音の最初のアラームが鳴り響き……8分経過の時を告げる。
     残るペナント怪人は後1人……それも、かなりボロボロの状態。
    「さぁ……どうした? 定礎怪人、現れないよな?」
     ニッ、と笑みを浮かべる熱志……ぐぬぬぬ、と唇を噛みしめるペナント怪人。
    『畜生ー! こなりゃやけだぁああ!!』
     と発憤し、全力全開の勢いのままに攻撃をするが……ペナント怪人の動きはもう、ほぼ見切れている。
    「ふん……その攻撃、止まって見えるぜ?」
     とカナデがにやりと笑みを浮かべ……そして軽快なステップでカウンター。
    「今日は特に冷えるらしいぜ!!」
     と妖冷弾で氷を付与。
     ピキピキッ、と氷のバッドステータスがその身体を蝕んでいき、動きも鈍り始めると。
    「……これが俺の全力だ……喰らい、やがれぇっ……!」
     と朱音のフォースブレイクが大きくその身体を傷つけて。
    「熱志くん、もういっちょ行くよ!」
    「OK!」
     と、再度連携してのダブルダイナミック。
    「これでトドメだっ!」
     熱志の叫びに、最後のペナント怪人も叫びと友に崩れ落ちるのであった。

    ●終焉
    「……もう、大丈夫、です……ね?」
     ほっと一息吐いて……微笑む蒼、そして麦と熱志が。
    「熱志くん、ナイスだったよ!」
    「ああ、麦先輩もナイスだったぜ!」
     とハイタッチ……そして、蒼の下に鬼茂が近づいてきて、彼女を見上げてくる。
    『……ワゥ……?』
     心配そうな視線を向ける鬼茂に、蒼は跪いて、視線を合わせて。
    「……心配、してくれてる……です?」
    『ワウウ……』
     こく、こくっ、と頷いてそっと身体を擦り寄せてくる……それに蒼は、身体をもふもふ、と撫でて微笑む。
     ……そんな蒼に、冥が幾分優しい表情を蒼に見せる。
     ともあれ……どうにか無事に定礎怪人の発生を止めることが出来た。
     そして倒れていた一般人達の縄をほどいて……一人ずつ傷が無いか、意識を確認。
     ……更に朱音は、倒れていた人達一人一人、出身地と現住所を確認。
     すると……現住所は皆、滋賀県。
     勿論、滋賀県の中でも東西南北、様々あるけれど……不思議と現在地は滋賀県ばかり。
    「……これは何か、ありそうだな……」
     と朱音は顎に手を当てて考える。
     そして綾鷹も、それと平行してビルの床周りや周辺を確認する。
     だが……こちらは思ったほどの成果は上げられる事は無い。
    「まぁ……滋賀県に集中しているという事が解っただけ、良しとするかの」
    「そうだね! 迷宵ちゃんにいえば、何か解るかもしれないしね」
     源一郎に頷く麦。
     そしてここに連れてこられた一般人達に、猛大丈夫、後は気をつけて帰ってね……と送り出し、そして灼滅者達も帰路へとつくのであった。

    作者:幾夜緋琉 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年11月14日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
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