福岡市の中心部に位置する、とある公園で。
こんな都市伝説の噂が囁かれているのだという。
夜、着ぐるみを纏ってその公園に入ると、もふもふの恐怖に襲われる――と。
「なんそれ、すぐそこの公園やん。そんなの初めて聞いたし」
「都市伝説とかちょっと怖くね? てか、もふもふの恐怖って何」
「じゃあ……ちょうど夜やし、折角やけん、試してみらん?」
そう言って3人の大学生達は、イベントのバイトで使用したタカとトラとバッタの着ぐるみをそれぞれ纏うと。よちよちと、都市伝説の噂があるという、福岡市民の憩いのスポットであるその大きな公園に足を踏み入れてみるも。
「何も出らんね……」
「やっぱり単なる噂やったとかいな? それよりも、おまえのバッタの着ぐるみ、ばりきしょいし!」
「きしょい!? むしろレアやろ!」
着ぐるみ大学生は、そんなことを言い合いつつ、たまに通りかかる人達の写真撮影に何気に応じたりしながら、大きな公園の池の周りをぐるり回って歩いて。休憩がてら、ふと遊具が置いてある広場にやってくる。
そして3人並んで、ギコギコとブランコを漕いでいた――その時であった。
『……らん。もう、いらん……』
「今……なんか変な声聞こえんかった?」
「き、聞こえた……」
『もう……着ぐるみは、いらーーん!!』
「えっ、ちょっ!?」
妙な声が聞こえたかと思った瞬間。
着ぐるみ大学生達の目の前に、突如現われたのは。
「も、もふもふひよこーー!?」
「まさかこれが、もふもふ都市伝説の恐怖……だあああぁぁッ!?」
「なんというもふもふ……ぶほおぉぉっ!!」
もふもふひよこの大群であった!
『福岡、やたらゆるキャラ多すぎやろ!』
『ていうか私達はね、もふもふやけどチャックはないとよ!』
『ヒヨコといえば、なんかやっぱ福岡やろ!』
そんなことを言いながらも大学生達に押し寄せるのは、もふもふひよこの大群。
そして着ぐるみを纏った大学生達は。
あっという間に、もふもふの恐怖に埋もれたのだった。
●
「なんという、魅惑の……いや、恐ろしいもふもふ都市伝説なの、これ……」
何故か無駄にキツネの着ぐるみを纏っている飛鳥井・遥河(中学生エクスブレイン・dn0040)は、そう驚愕しながらも。集まった皆をぐるりと見回して。
「レミの予想した通り、福岡市の公園でね、都市伝説の存在が察知できたんだよ」
「え、まさかレミちゃんが予想した、着ぐるみを敵対視する都市伝説が本当に現れたんっすか?」
今日も探偵の装いの鈴木・レミ(データマイナー・d12371)はそう声を上げて。
面白そうな匂いをかぎ分けてはトラブルに巻き込まれるといういつものパターンを予感しつつも、着ぐるみエクスブレインの説明に耳を傾ける。
「夜に着ぐるみを着てこの公園内の遊具が置いてある広場に足を踏み入れると、着ぐるみを敵対視するもふもふひよこの大群に襲われちゃうんだ。この都市伝説は着ぐるみを着てる人の前にしか現われないから、忘れずにみんな全員何らかの着ぐるみを着て行ってね!」
「ああ。その点、もう抜かりはない」
「って、紗矢さん、着ぐるみ着るの早くないっすか? そもそも、遥河さんは着る必要ないっすよね!?」
もうばっちりとシャム猫の着ぐるみを装着している綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)やキツネぐるみエクスブレインに、レミはそう一応ツッこむも。
備えあれば憂いなしだよね! と、どや顔で遥河は説明を続ける。
「この都市伝説はね、見上げるくらいの大型もふもふひよこが1体と。あとは両手でぎゅっと抱きしめられるくらいのサイズの配下がわらわらたくさんいるよ。大きいひよこも配下ひよこも、戦闘能力はかなり低くて、攻撃方法も突進してくるくらいだから、数は多いけど倒すのはそんなに難しくはないんだけどね……そのボディーは、すっごくもっふもふなんだよ!」
「もっふもふ!」
なんというもふもふの恐怖!!
これはもう埋もれるしか……いえ、もふもふの魅力による被害が出る前に、きっちり退治しなければいけませんね!
「時間は夜だけど、周囲にはジョギングとか散歩とかしてる人も結構いるし、何も対策しなかったら、タカとトラとバッタな着ぐるみ大学生もそのうちきちゃうから。そのあたりも、対応お願いするね」
それから遥河は、ふと表情を変えて。
「それで、この事件なんだけど……何だか嫌な予感がするからさ。もふもふも魅力的だけど、事件解決後はなるべく早く学園に帰ってきてね」
着ぐるみ灼滅者達に、そうお願いを。
「これまでも報告書にあがっているのを見ても、嫌な予感に対しても十分に気をつけないといけないが。まずは速やかに、全員着ぐるみを着て、都市伝説を倒さないとな」
「そうっすね、着ぐるみを撲滅させるわけにはいかないっすから。まずは都市伝説をもふもふ退治しないとっすね」
そして遥河は、レミや紗矢の言葉に、こくりと頷いてから。
「普段そんな着ぐるみキャラじゃないし! っていう人も、「これは依頼だから!」って言い訳できるからさ。これを機に、着ぐるみにチャレンジしてみるのもいいんじゃないかな!」
そうへらりと笑みながらも、気をつけていってらっしゃい、と。
灼滅者達を見送るのだった。
参加者 | |
---|---|
椿森・郁(カメリア・d00466) |
狐雅原・あきら(アポリア・d00502) |
仙道・司(羽毛布団・d00813) |
アイレイン・リムフロー(スイートスローター・d02212) |
日野森・沙希(劫火の巫女・d03306) |
文月・咲哉(ある雨の日の殺人鬼・d05076) |
鈴木・レミ(データマイナー・d12371) |
蓬莱・金糸雀(陽だまりマジカル・d17806) |
●着ぐるみ愛好会福岡オフ
福岡の憩いの場である、この公園は今夜も。
散歩やジョギングをする人々や、着ぐるみ達で賑やかだ。
……って、着ぐるみ!?
「夜の暗がりにいる着ぐるみ……よくよく考えたら怖い」
そう言う狐雅原・あきら(アポリア・d00502)の姿は、おおかみさんデス!
そしてその隣には、ペンギンとモモンガ!?
「夜の公園にたむろする着ぐるみの集団……『着ぐるみ愛好会福岡オフ会』とかか」
「これがもふもふ大戦……! 『着ぐるみ愛好会福岡オフ』開始……えっ違う?」
そう、これはペンギンさんこと椿森・郁(カメリア・d00466)の言うように。
『着ぐるみ愛好会福岡オフ』! ……もう、それでいいんじゃないかと。
それにしてもペンギンって雛も可愛いですよね!
そして、普段は変装が得意な情報屋であるが。
「この飛膜の感じが白衣とよく似た感じで良いっすね!」
モモンガさんこと鈴木・レミ(データマイナー・d12371)は、そう腕をひらひら。
いえ、レミが何故今回モモンガになったかというと。
「それにしても、まさか本当に着ぐるみを倒しに来るヤツがいるなんて……!」
そう、着ぐるみを敵視するヒヨコな都市伝説を退治する為なのです!
その都市伝説を発生させるべく、着ぐるみで公園をとことこ歩く灼滅者達。
「もっふもふ♪ ヒヨコさんもっふもふ♪」
アイレイン・リムフロー(スイートスローター・d02212)の頭の中は、もうもふもふでいっぱい。そんな彼女も勿論、着ぐるみ!
ビハインドのハールと並んで、がおー♪ と現場へ向かいつつ。
「ううん、前が見えにくい……」
柔らかもっふりな恐竜さんのお口を、パカッ!
ディノ介をイメージした、リボンを付けたこぢんまりなティラノサウルスさんです。
そして口から顔を出したアイレイン介は周囲を見回して。
「あら、みんな可愛い!」
目の前のふわもこ達に興奮!
クラスメイトで猫な綺月・紗矢(小学生シャドウハンター・dn0017)をもふもふ!
そして同じ猫でも、日野森・沙希(劫火の巫女・d03306)は白猫さん!
「もふもふ大合戦! いい響きなのです。いっぱいもふもふして楽しみますですよー」
手作りの着ぐるみの下は、やっぱり巫女服です!
「うふふ、ふかふかもふもふ大好き人間には天国みたいな空間ですね」
仙道・司(羽毛布団・d00813)も、梟の着ぐるみを纏って。
あかいくまぐるみをぎゅっと抱き締め「くまー!」と鳴かせつつ、もふパラに心躍らせて。
そんな司と級友のあきらも。
「ふふふっ、いいデスねえ。みなさんもっふもふデスねえ!」
あらあらあらら、これはこれは! と。
「いやあ、ひよこさんたちとたくさんたくさん戯れるのは楽しそうなのでワクワクしマスネ!」
キグルミなんて普段着ないデスからねーと改めて、着ぐるみな仲間達を見回す。
そして皆と共に現場に向かうのは。
「あたしのバードフォームの出番ね……」
その名の通り、鮮やかな黄色い鳥さんな蓬莱・金糸雀(陽だまりマジカル・d17806)。
「可愛らしいひよこに会えるの、敵とはいえ楽しみね。だから倒さないといけないのが実はすごく残念……なんて思ってるわけじゃないから」
金糸雀はそうツンデレながらも。今日はサニーとお揃いのふわもこ!
そして抱きついてきたアイレインや皆に、もふもふされつつ。
「その代わりあたしももふ……いや、何でも無いわ」
ちょっぴり遠慮気味に、もふもふ返し!
そんな様子を微笑ましく眺めながらも。
「着ぐるみは自分じゃ着ない主義だったんだがな……」
これも運命。この期にトラウマ克服をと、遂に着ぐるみを着る決意をする文月・咲哉(ある雨の日の殺人鬼・d05076)。
彼のファースト着ぐるみは、マニアな弟の直哉に押し付けられた、犬着ぐるみ!
ピンと立った三角の耳、キリリとクールな目。その毛並は柔らかく、くるりと巻いた尻尾は、ふっかふかのもっふもふ!
そして首に靡くのは藍色のスカーフ。これぞ、ヒーローの証!!
「……いや俺ご当地ヒーローじゃないから!」
あ、福岡のご当地ヒーローではなく、殺人鬼でした!
そんな咲哉と同じく、今まで着ぐるみを着なかったレミも、これがファースト着ぐるみ。
「本当は私も着ぐるみ倒したかっ……げふんげふん」
都市伝説事件の解決、頑張るっす!
そしてそんな二人の着ぐるみ姿に。
「遂に、遂にレミっちが着ぐるみを着るだとぉ!? 都市伝説ぐっじょぶだぜ!!!」
「おやー、咲哉がわんこ着てるー。へえぇー?」
「二人ともよく似合ってるんだよー」
直哉やミカエラや毬衣や藍、【文月探偵倶楽部】の皆は、にまにまもふもふ、笑顔でサムズアップ!
「はーい、ひよモフに来ましたーっ!」
「着ぐるみ着用が必須な都市伝説と聞いて、出てこないわけには行かなかったんだよ!」
うん、分かってた! 来ると思っていました、ええ!
流石は着ぐるみクラブ、着ぐるみの手入れももっふりバッチリです!
むしろこの状態が何か別の都市伝説のような。
いや、まさにこれは……着ぐるみの百鬼夜行!? 夜だし!
そして皆と百鬼夜行しながらも。
「ひよこさんどこなんだよー?」
そう、もふリートな毬衣は公園内をきょろきょろ。
あ、そういえば、ヒヨコ都市伝説でした。
この都市伝説を退治しないと、善良な市民がもふもふの恐怖の餌食に……!
「もふもふの恐怖かー。一般人の人だと最終的にどうなるんだろ」
もふもふに埋もれて死亡――略して、もふ死?
そう首を傾げたペンギンな郁も、実は初の着ぐるみ。
「初着ぐるみですか。あったかいでしょ」
郁に誘われ愛用の寒ブリ着ぐるみを着てきた修太郎は、そうぬくぬくな彼女に声を掛けつつ。
「福岡久々ー。この辺は変わらんごたーね。相変わらず人走っとるし」
大きな池の周囲を走る博多っこランナー達を眺める。
だが少しの間、ここで走るのは遠慮して貰わねばならない。
それに、予知されたタカトラバッタな一般人への対策も必要だ。
タトバも良いが、今は車のキグルミの時代! ……のハズ!?
そしてそう呟いたあきらの隣で。すかさず殺気を放つのはペンギンさん! 白猫巫女さんな沙希もサウンドシャッターを展開して。
この場にいるのが着ぐるみのみになった事を確認すると。
「ついにご対面ね♪」
アイレインは皆と、現場の遊具公園へと足を踏み入れる。
●もふもふ、ひよこ!
着ぐるみ集団が遊具公園内に入った――その時だった。
『私達はもふもふやけどチャックはないとよ!』
早速現われました、もふもふ都市伝説!!
そして。
「うにょらー!」
「もふもふはっけーん!」
今こそ好機、なうざたいむ♪ 空中2段ジャンプでヒヨコの群れに突っ込む司と。
出現した瞬間に突進!! 一番槍を勤める沙希。
可愛いものを愛でる気持ちは人として当然!
「着ぐるみだって良いものなのですよ。それを否定する悪い都市伝説はおしおきなのですっ」
だから、ひよこ達もたっぷり愛でてあげないとですよね!
そして続くのは狼さんなあきら。
「ワールドにイクサあるところ、慈眼衆マストシュツゲン!」
……アレ? 違う?
フクオカにモフモフあるところ、着ぐるみモーストシュツゲン??
というか。
「……ちょっとひよこさん多くないデス?」
あっという間にまっ黄色になった公園に思わず呟くも。
狼だから、ひよこ食べちゃいます!?
さらにもふもふを、ゲシュタルト崩壊という名のブレイクする為に。
「私は鈴木レミ! ここにいるひよこ全てをもふる女っす!」
高らかに名乗り、両手を広げたモモンガなレミとキャリバーも、とっつげきーぃ!
このもふもふ大合戦、負けるわけにはいかない……!!
「体温とかあるのかな……突撃されたら痛い? そうでもない?」
ピヨッと体当たりするひよこ達の毛並みと温もりを確かめながら。
郁は、よく喋るふわもこ達に相槌打ちつつも、もふもふふるもっふ!
そんなペンギン郁に、ぎゅーされながらも。
『ヒヨコといえば、なんかやっぱ福岡やろ!』
そう言ったひよこにアイレインも頷いて。
「そうよねヒヨコと言えば福岡よね着ぐるみなんかいらないわよねうふふもうふわふわ~」
埋もれるのも気にせず、ひよこをいっぱい抱きしめ、もふもふもふ!
でもやっぱり、じかにもふもふしたいから。
「……あ、某梨の妖精さんみたいに、イリュージョンからひよこさんを入れたら、直接もふもふできるかも……!」
恐竜さんイリュージョン!?
そしてひよこ達の言葉を聞いた郁は、ふと呟く。
「そーいえば、なんでヒヨコといえば福岡なのかなーって思ったけど」
何がとは言いませんが……「東京土産かと思った」は福岡では禁句です!!
寒ブリな修太郎は、そんな郁と一緒にひよこに埋もれつつ。
「懐かしかー。ばーちゃんが好きでよう食べよった」
博多っこエピソードを語った後、わらわら溢れるひよこ達へと、ビシイッ!
「何で人を襲うとかって。認められたいけん? もっとアピールすればいいやん。で、噂になって朝のローカル番組のまずは準レギュラーをとるったい」
もしくは、夕方の各百貨店前あたりで中継とかも、いけるかもしれません??
そして郁は、言いたいこと言っているそんな修太郎を見ながら。
「そっか博多弁かー」
なんだか不思議な感じがして……そして、得した気分になるのだった。
それにしても、一体何匹いるのだろうか。
「わぁ……手触りとてもいいのね……」
ぴよーっと鳴く無数のひよこ達のふわもこ感触に、金糸雀は思わず瞳をキラキラ!
サニーも隣でキャッキャもふもふされて、とても嬉しそう!
でも、ふと我に返った金糸雀は、いつものクールな表情に。
もふもふの魅力に完全に屈しない様に。でも、クールにもふもふしますけどね!
そして何だか完全に、もふもふに屈している人達が。
「あー、もふもふで戦いのこととか忘れちゃいそうですねー。いやぁ実際忘れてたんデスケドねさっきまでー」
忘れないでください!?
でも、何とか本来の目的を思い出したっぽいあきらは、おのれダークネス! と。
「もふもふには、ヒトをダメにするなんとやら、そんな魔力が……くぅ、そんなひよこさんたちを倒さないとイケナイだなんて!」
全力でもふもふ天国を、ごろごろーごろごろー。
「ふふふ、もふもふ気持ちいいのです」
沙希も、本当はお姉ちゃんにももふもふして貰いたいのです、と思いながらも。
「ひよこさん達気持ちいのです。もっともっと来るのですよ」
紗矢と一緒に、もふもふもふ! もう、もふもふすることしか目がありません!?
さらに、もふもふ達を挑発するのは、司。
「かもーん! おーるひよこさんかもーん!」
埋もれ上等、蹂躙上等!!
いえ、むしろ――。
「か・い・か・ん♪」
そして紗矢はもふもふを堪能しつつも。
ゴゴゴ……とひよこへと若干威圧感を発しているクマさんな牡丹に、こう訊ねてしまう。
「牡丹のその着ぐるみはもしかして、くまモ……」
「く……ぼたもんばい」
ぼたもん! ぼたもんです!!
「黄色い鷹さんとも仲が良かとよー。コラボグッズもあるけんねー」
菊と一緒に、故郷と福岡のコラボアピール!
そして牡丹……いえ、ぼたもんは、ひよこをもふもふしつつも。
近づいてきた一般人を見つけ、無言の猛ダッシュ!
一般人の避難誘導です!
そんなぼたもんと一緒に、もふもふを満喫する文具の着ぐるみは、ふんわりともふもふがハーフアンドハーフな兎さん!
例えるなら、洗い立ての毛布、干したばかりの布団。どことなく感じる、お日様のような香り!
そんな都市伝説を元に作られた兎さん・ルビーの姿で。
「もふもふです。どのくらいもふもふかと言うと――今までのもふもふがもふもふじゃないくらいにもっふもふです!」
存分に、もふもふの海を揺蕩っています。
そして一面の黄色な中、一際目立つ自然カラー。
「配下なのですか、この子たち配下なのですか? もっふもふしてますよかわいいです」
カエルさん着ぐるみな柚羽は、捕まえた1体のひよこをもっふんしつつも。
「もふもふは天からのお恵みです。もふもふすることで癒されるのがその証拠だと思います。ああ、この子たちが消えゆく運命にある事がとても惜しいです」
でもだからこそ! 思う存分! もふりまくるのです!!
いっそ何羽かお持ち帰りしたいくらい。もふもふもふもふ。
そしてそっとひよこをもふもふし、密かに感動する咲哉は。
「もふもふされるのも構わんが……う、埋もれる!」
ぐえ、と、もふもふの洪水に流されました!?
思えば着ぐるみを着たあの日、危うく灼滅されそうになった過去。
でも今日こそ、そのトラウマを克服する時……!
「生きてるって素晴らしいよな」
このもふもふ感触が、生きている証!?
そんな埋もれつつも生きている実感を多分感じている咲哉や、皆に。
「うふふ……でももっふもふにされるだけじゃ……ちゅまんにゃい!」
――味方も、もふもふじゃぁああ!!
敵も味方ももふり倒す、それがジャスティス!
司のごーるどふぃんがーが、わきわき光って唸りを上げる! もふり倒せと轟き叫ぶ!?
そして最初の標的は。
「わっ!?」
シャム猫な紗矢! ですが。
「うふふ、かわいいのうかわいいのう! ……あ、あれ、紗矢さんのがボクよりでっかい?」
小学生に身長で負けている事に気付き、がーん!?
でもこの悲しみを解消する為に! さらに激しくもふりまくりです!!
さらに、そんな司と金糸雀の『鳥'sもふもふ』へと。
こうしてやるー! とふるもっふしまくるのは、レミ!
でも倍返し! 覚悟! と。
悪戯っこ面で手を伸ばした司が、レミへと反撃のこしょこしょ♪
アイレインも、金糸雀や紗矢や咲哉達へと、勢いのままに、ぎゅーっ!
「とっても幸せ!」
金糸雀もおずおずと、皆をもふり返して。
「一緒にもふもふさせてくださいねー」
ひよこ達が怯える程の気魄でもふるのは、白犬!?
「うふふふこんなひよこ達に着ぐるみは撲滅できませんですよー。むしろ着ぐるみの魅力の虜にしてあげるのです」
そんな白犬さんこと藍も、ひよこをもふりたおしまくりです!
そしてお馴染み、目つきの悪いクロネコぐるみ姿な直哉は。
秘蔵コレクションに加えるべく皆の姿を写真に撮った後。
「レミっち行くぜ、もふもふ!」
レミへと突撃! ……するも。
「ぐふぅ!?」
10秒越えたあたりで、レミの迎撃が!?
でも、照れて視線そらすクーデレな兄と一緒にひよこに埋もれつつも、めげません!
そして……ひよこの海に咲いたひまわり!? いえ、ひまわりぐるみなミカエラです!
「頭とお尻に殻が付いてる、ぴよぴよだよーっ♪」
しかも何故か殻をかぶってひよこのフリをするも。その身体は緑です!
そんなひまわりがごろんごろん転げまわり、もふもふの海で泳いでいる最中。
「ふわふわ気持ちいいんだよー……」
もふリートな毬衣も、全力でふるもっふ!!
そして。
『ぎゃぴ!?』
「……がぅー?」
もふもふの勢い余って。ひよこさんに、がぶー。
●さらば、もふもふ!
そんな楽しいもふもふタイムも、そろそろ終わり。
「この都市伝説持ち帰っちゃ駄目ですかです」
「わたしも名残惜しいが……都市伝説だしな」
「都市伝説を研究する……もといもふもふするのに持ち帰りたいのです」
紗矢や皆へとそう言う沙希のもふもふ愛は、本当によーく分かるけれど。
「……まあ、倒さなきゃならんよな」
咲哉の言う様に、倒さなくてはいけません。
「悲しいけど、私達は相容れないのですよ……」
だからせめてと、沙希は弔いの火を戦場に生み出して。
「ヒヨコさんたちありがとう♪」
アイの殺気が満ち、顔を晒すハール。
「あたしと貴方は争う宿命だったのよ」
もっともふりたかったわ、と。金糸雀もサニーと共にひよこの数を減らして。
「ひよこさーんいっぱいいっぱい楽しみましょうねえ」
「またいつかゆっくりできる機会があるといいねー」
あきらのチェロ型ガトリングガン『PSYCHIC HURTS』から衝撃が撃ち出され、赤い瞳輝く郁の郁子の影が公園に伸びれば。
レミと共に動き、ひよこサッカーという名の突撃やひよこ射撃するキャリバー。
それから……感謝を込めて。
「ありがとう、ございました」
撃ち出した司の氷の魔法が、残りのひよこ達を灼滅したのだった。
今度はもっと幸せなもふもふっこに生まれ変わってくれますように♪ ――と。
そして、もふもふが消えちゃいました……! と項垂れる文具の隣で。
(「都市伝説を通してリアルタイムに現場を見ているのか?」)
【十六夜】を収めた咲哉はふと『嫌な予感』を思い出し、周囲を見回しつつも。
着ぐるみも悪くはないか、と――そう思うのだった。
「情報不足で迂闊な動きは死を招きかねないっすからね!」
「HKTや『うずめ様』と刃を交えるのは、また今度ね」
今回は、レミやアイレインの言うように、即時撤退。
ヒヨコ型饅頭を土産に買おうと思いながらも公園を去る郁に続いて。
カマをかけてみたい気持ちはあったけれど。
「HKTさーんボク達は帰りますーウズメサンとシシドサンにヨロシクデスー」
それではさよならーさよならーと。
あきらは最後にもう一度、誰もいない夜の公園を振り返ったのだった。
作者:志稲愛海 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
|
種類:
公開:2014年11月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 5
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|