テディベアの大好きな10歳の少女は、父の交際相手といつまでも打ち解けようとしなかった。
女は、最初こそ過剰に気遣い接していたが、家に入ってからはそれもなくなった。
そんなささくれだった環境に置かれた少女を癒すのは、部屋を埋めるクマの縫いぐるみ達。
暁、テッド、あまちゃ、ふわり……1匹1匹に名前をつけてた彼らは、手縫いもあればママが買ってくれた、テディベアの老舗ブランドの子だっている。
でもみんなみんな、分け隔てなく愛を注いでいる。
(「今日は、一番新入りのメイリの番」)
メイリは父が先日の誕生日にくれたグレーの子。タグからどこの子か調べてごらん、なんて……そんな会話が嬉しかった。
カチャリ。
でも、ノブを回して開いた先に、少女を包む優しきクマ達は1匹もいなくなっていた。
がらんとあいた虚ろな空間に、
とさり、
と、まるで他人事のようにモノが落ちた音、少女が膝を折ったのだ。
「あの、女だ」
折れた膝の先はクマ達とお揃い、ふわふわの毛に包まれる。
でも、その先についてる蹄はまったく異形の代物。つり上がった両腕は歪み、やはり蹄。
「赦さない……パパとママとあたしの間に入り込んできた異物の分際で……絶対に、赦さない!」
ふわふわのお城、ここだけはあたしの領域。何人たりとも侵すことは赦されない場所だったのに!
●
「無念だったとは思うけど、もう灼滅するしかないんだ……」
灯道・標(小学生エクスブレイン・dn0085)は深いため息を落とす。
一般人が眷属ブエル兵に変じる事件、今回は10歳の少女、三郷・ちやが化け物に成り果ててしまった。
眷属になった人間を戻す術はない、だから罪を犯す前に灼滅して欲しい。
舞台は高級住宅地の一軒家。
一階のリビングとダイニングキッチンは一続き、戦う広さは確保できる。
ちやがブエル兵に変じたのは二階の自室。
ちやの狙いはテディベア達を始末した義母。彼女は一階のキッチンで夕食の準備をしている。
ちなみに階段は玄関の真正面に位置する。
「下手に義母をキッチンから動かすと、階段から下りてきたブエル兵と鉢合わせするかもしれない」
ちやは真っ直ぐに義母を狙う。そしてもし殺せたらすぐに撤退してしまうのだ。逆にそれ以外では決して撤退しない。
ちなみに、リビングには庭に面した大きな窓がある。また玄関戸もキミ達の力を持ってすれば破るのは容易いだろう。
「今回のブエル兵は、以前のモノより強いから油断は絶対しないでね」
「なんでテディベア達を始末したんだと思う?」
厭世的な瞳で標は『嫉妬』と単語を落とす。
「――彼女の父親が新しいクマを娘に贈ったから、だってさ」
ちやの敵愾心はあながち間違ってはいなかった。けれど、それも後の祭りでしかない。
参加者 | |
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駿河・香(ルバート・d00237) |
二夕月・海月(くらげ娘・d01805) |
千条・サイ(ネクロフィリア・d02467) |
小柳・深槻(ミツキツツキ・d12723) |
大鷹・メロ(メロウビート・d21564) |
翠川・夜(神薙使いの夜・d25083) |
鳴海・歩実(人好き一匹狼・d28296) |
亜苦・良子(いいこ・d30549) |
●
到着直後、駿河・香(ルバート・d00237)は偵察している暇はないと気付く。故に即座に菫の瞳を仲間へ、其れを突入の合図とす。
玄関、庭に面したリビングの大窓、ほぼ同時に少女の影が張り付いた。亜苦・良子(いいこ・d30549)と二夕月・海月(くらげ娘・d01805)だ。
玄関破りなんていい子の境界線を越える行為だが、その禁を犯しても年の近い少女の凶行を止めたい。
ぱきり。
白き手で斃れるようにドアが開くのと同時に、小柳・深槻(ミツキツツキ・d12723)は突入した。
10歳の少女が憐れだとは思うが討つしかないと、どこか澄んだ気持ちを抱き階段直下で断罪輪を構える。
周囲を警戒しガムテープで音消しを施した海月は玄関に一歩遅れ、割れたガラスに腕を通し解錠、素早く窓をあけ放つ。
「先に」
「はい」
鳴海・歩実(人好き一匹狼・d28296)に促され、翠川・夜(神薙使いの夜・d25083)が室内へ、ポチも遅れずついて行く。
暖色纏められた寛ぎのリビングがむしろ家族の実情と逆さまで、横切る夜の胸を苛む。
「な……ッ」
真正面、まん丸に瞳を見開く30前の女性が白昼堂々の侵入者に息を呑む。口元が悲鳴の形に歪んだ所で切り取られるように固まった。
かくり。
夜の招いた風で眠りに落ちた義母がカウンターの前で崩れ落ちたのとほぼ同時に、大鷹・メロ(メロウビート・d21564)と霊犬フラム、鞄を背負った千条・サイ(ネクロフィリア・d02467)と歩実が並び立つ。
「降りてきてる、かーなっ?」
階段を塞ぐように回る車輪めいた黄金の獅子が、メロの視界の端にちらついた。
「ああ……殺界形成」
瞼下ろした闇の中で練り上げた殺意は、無辜の人を近づけぬ護りの願い。
(「ちやが憎しみを抱くのも仕方が無いとは思う」)
されどその命消させるわけにはいかないと、握った拳を下ろす。
『どいてよっ!』
五つ足の獣に似つかわしくないあどけない声が、嫌でも元は少女だったのだと知らしめる。
(「俺らみたいな化けもんでも生きてけるんに、ちょっとした仲違いで眷属化て……」)
サイはぎゅうと唇を噛む。
予知の後、エクスブレインから得た「戻らない」という返答……哀しげに翳る面差しは、サイと同じく叶わぬ願いを灯していた。
『どいてったらっ、あの女を殺すのっ』
臙脂のクマをふわり浮かべ深槻を突き飛ばすのを前に、メロは音封じの結界を広げた。
●
全てが唐突だった。
少女の大切なテディベア達が全て消えてしまったのも。
少女が醜い獣の眷属に変じてしまったのも。
……いや、
そもそも母が死んでしまったのも、その後父が裏切るように義母を家に上げたのも……全てが唐突に降りかかった不幸だった。
――なんでこうなったのかはわからない。
玄関侵入組をフォローすべく進み出て、海月は真っ直ぐな眼差しでブエル兵、いやちやという少女を見据える。
答えは示してあげられない、だからせめて手を汚さずすむように。
差し伸べた指先へ肩口のクーが力を貸すように寄り添った。変じた刃はちやの頬を掠める。
クーの刃を躱すのに集中するちや、その隙に歩実は義母を抱え上げる。
「こっちこっち」
カウンターの奥へメロが手招く。
コンロの真向かいが玄関からは一番遠い。細長い調理スペースの入り口を護り手で塞げば当面の安全は確保できるだろう――もちろん、義母への攻撃は身を挺して庇う前提ではあるが。
義母の躰を下ろした歩実は、握りしめた拳を頬の隣に掲げる。浮かぶ盾は彼女の誓いに同じ。護る、絶対に。
「ポチ、お母さんを守ってあげて下さいです」
「わん」
力強い返事にほわり笑み、夜はポチの額をてんてんと撫でる。そして縛霊手に癒しを灯せば、今は不要との鳴き声。
「わん!」
はたはたと尻尾を振るフラムがカウンターに飛び乗り、深槻の被った痛みを和らげたのだ。
軽く手を挙げ礼を返した深槻は、ブエル兵の進路を塞ぐべく更に距離を詰める。
「よー、お嬢さん。其処で何をしようと?」
『じゃましないで』
ヒステリックな声と共に回転を増す獣の車輪、蹴り止めようとする深槻の脇を、呪いが通過した。
『んあっ』
びくりっ。
元々は肩だった……はずの部分を蝕むように広がる痛みに、ちやは悲鳴をあげる。
『痛い、痛い痛い痛いーー』
それは少女が人生で初めて経験する痛烈な痛み。灼滅者から滅せられるという、恐怖の洗礼。
「ちやさんには同情出来るけど」
指輪を翳したままで、
「欲望に飲まれた以上はそんなの関係無いわ」
香は先程見舞った痛みと同じだけの痛烈な言葉を唇にのせる。硬質的であるが故に輝く瞳はどこまでも真っ直ぐだ。
『アイツがキッチンにいるのはわかってるんだからっ!』
深槻の蹴りを喰らったちやは勢いのままに壁をぶち抜いた。
バリンッ。
まるでベニヤ板を割るように壁から生える歪な蹄。蹂躙するように回転し躍り出た先、目にしたのは……ふかふかのテディベア。
はたと止まるブエル兵へ、掲げ持つサイは望みを賭けるように呼びかける。
「まだわかるんか?」
『それ、違うもん! テッドじゃない! あまちゃじゃない! 違うもん』
「そやな、ちゃうな」
反応があった嬉しさと義母へ向く夥しい殺気、後者を捨て置けぬと伸ばした指で足を断つように裂く。
「ちやちゃん」
フローリングを滑り回り込んで背中から蹴り上げる夜。獣毛の焦げる臭いと降る灰に瞳眇め、夜はそれでも目を逸らさない。
「母親殺しには絶対にさせないですよ」
例え居場所を奪う敵だったとしても、殺させない。
「…………あ」
怒り煽る一撃は当てるには時期尚早と畏れで斬り込む歩実と、より護りを固めるべくシールドを展開するメロ。
目まぐるしく流れ行く戦いに良子は、黒曜の瞳をぱちりと瞬かせる。
『のいてよっ! その女を殺すのっ!』
蹴り壊された冷蔵庫から飛び出た調味料が床に当たり、ガシャンと割れた。
日常に近い音。
でも、目の前の獣は非日常。
ゆらり、真白を掲げあげて良子は狙いを研ぎ澄ます。
『あの子達を奪った異物を殺して、せめて、パパとの生活取り戻すんだからあっ!』
バン!
耳輪劈く破砕音。
確かな手応えと共にひしゃげた獣の頭部、泣き叫び縋るような悲鳴。
「正直、私も義母さんのやったことは許せません」
それでも、と良子は大きく息を吐いた。
それでも、存在を消してしまわねばならない――それが、それこそが灼滅者の戦いなのだ。
●
憐れみ濃い気配の中で一人、香は嫌悪露わに眉を寄せる。
「嫉妬ってのは、愛故にじゃなくて、欲望の結果」
人差し指を天井に向け純粋なる魔力が極限まで至った所で、狙い……、
「bang!」
『やぁ、痛いい』
香は存在消去の手順を滞りなく進める。
『死んじゃえ死んじゃええ!』
一方ちやの攻撃はその怒りを現すように執拗に義母を狙う。
ふっかりとしたクマの双眸が輝き光をチャージ。
「きゅん! ふかふかで可愛い」
バシュッ!
射出された先へメロは躊躇わず身を躍らせて、
「でも、お母さん、傷つけたくないと思うのーよっ」
仲間が攻撃するのを前に自分の疵を塞ぐ。
『赦さないんだからぁ』
眉釣り上げたテッドがにくきゅう縫い付けた掌を義母へ叩き下ろす。
「させるか!」
編み上げ槍の柄で止めるも歩実の肩口が裂け血を吹いた。だが怯まず裏拳を叩き込み、怒りで気を惹かんと試みる。
――義母を戦場に置いた事により、奇しくもダメージコントロールめいた状況を作り出せていた。
が。
(「それもいつまで持つかなのですよ」)
ポチ含め、護り手は既に一度は義母を庇っている。祭壇の中巡る光を歩実へ注ぎ、夜は焦燥で唇を噛みしめた。
「こっちだ」
それを察して更に海月は突出する。
かける言葉を見つけられぬ海月の拳を包むクーの漆黒。哀しげに睫を揺らすは刹那、渾身の力を籠めた拳を獣の額へ捻り込む。
(「君を汚させはしない」)
リビングへ引きずり出すように振り切れば、獣の車輪はカウンターを砕き壊しキッチンから転がり出た。
すかさず駆け込む良子は、義母の元へ戻るのを阻むように腕を広げた。
「私もぬいぐるみは好きなので、ちやさんの気持ちはわかります……」
『うるさいっ、だったらどいてよどいてよっ』
唇は震えるだけで言葉が続かない、代わりに撓る白はちやを刻む。
……色とりどりのクマの攻撃ターゲットは灼滅者へ移りはじめる。
『テディを返して、パパを返して! あたしのお家から、でてけええ!』
血を吐くような叫びに、深槻は胸で手を握った。
「……可哀想だが」
例えば左腕の時計、これを理不尽に奪われたら? やりきれなさが胸をつく。
けれど、
重力を支配下に星を連れて床を蹴るつま先に惑いは一切、ない。
『きゃああ! こっのッ、あまちゃあああ!』
ぐおおおおおお!
呼び出されたのは一際大きなクマ。鬼神のような吠え猛りは天井に跳ね返り、護り手と攻め手の灼滅者達の身をズタズタに斬り裂いた。
「小柳さんっ?!」
どおっと斃れる深槻へ胸ざわつかせながらも、夜はすぐに清浄なる風を解き放った。
「強烈な歌声、だよーねっ」
「ああ。でも、まだッ……だ」
盾を招聘し傷を塞ぐメロ、フラムの眼差しで力を得た歩実は組んだ掌を叩き込む。
「な」
戦いの最中ずっと語りかけていたサイは、願うように最後の言葉を紡ぎはじめる。
「お前死んでもーたら何よりおとんが悲しいやんか」
優しい言葉。
苛烈な拳。
因果で皮肉な話だけれど、それでも……まだ諦めたくなくて。
『…………パパ』
「人に戻りたい……おとんの娘のまんまでいたいて……」
『パパが先にあたしのパパをやめたの! 全部全部あの女のせいっ!』
遮り泣き叫ぶ子供の声は確かに『人』なのに……。
「叶ったりせえへんのかな」
無理なのだと見えてしまった、人の壊し方がわかるように――。
(「もう、こんなんしかしてやれへん……」)
せめてと抱きしめて血にまみれた指で背中を探り、割った。
ああ、終わりは近い。
彼女にしてやれる唯一、終わりが。
「クー」
疵の深さ躊躇わず、海月は獣の肉を裂いた。
『あっ、ああああ! テッド、あまちゃ、ふわり、暁、メイリ……みんなぁ……』
嘆き、哀しみ。
どんなに叫ぼうが家からは漏れない悲鳴。
「あなたも欲望に堕ちた以上」
身じろぎする義母に肩を竦め、香は改めてブエル兵へと向き合う。その瞳は最初と同じ硬質的な光を帯びていた。
「……死んでもらいましょうか」
翳した指輪から放出される死への誘い、呪いは少女だったモノを蝕み跡形もなくこの世から消し去った。
●
「死体も残らへんなんて、なぁ」
ちやだったモノがいた虚空を掬い取りサイは首を振る。掌にはのらない、なにも、なにも。
せめて走馬灯で日常に還してやりたかった、それが例え感傷なのだとしても。
「……」
長い黙祷から瞼をあげて、海月はやるせなさを噛みしめぽつり。
「せめて一体ぐらい彼女のくまを取り戻せればよかったんだけど」
深槻の手当をするメロとフラム。
「あ、あぁ……」
義母の認識は、窓と玄関を破壊して少年少女の泥棒が入ってきた――で、あるはずなのに、未だ騒ごうとしない。
「やっぱり、最後の方は、めざめてたんだーねっ」
責める気など欠片もない朗らかなメロの声に身を竦める。
一方で、キッチンの床を片付けていた良子が物言いたげに振り返った。
義母を護りながらもずっと胸に渦巻いていた負の感情。けれど『良くないことだ』と押さえ込めば、心が反駁するように雑巾を握る指が震える。
「これでここの家族はみんな何かを失ったのね」
終わってしまったモノへの関心は稀い。香は伽羅髪をかき上げると、義母を見もせず背を向ける。
「ちやさんはテディベア。父親さんはちやさん」
貫くように鮮やかに、香から紡がれる言葉を追うように義母は顔をあげる。
「義母さんは……父親さんが帰ってきた頃には、何を失ったか気付くんじゃない?」
「! 私だって辛かったのよっ! いつまでも懐いてくれないあの子、味方ばかりする彼……」
ちやの非業の死を薄々勘づいているだろうに、この期に及んで未だ詫びすら口にせぬ義母。怒りめいた空気が満ちるも誰も口にはしなかった。
「さーて、さっさと帰りましょ」
この家族は宿敵が介在しなくても壊れていたのだろう。今度こそ完全に興味を失って、香は部屋を出る。
「あの……」
微妙な空気の中進み出た夜は義母へ真っ直ぐな眼差しをあわせた。
「捨てたぬいぐるみの場所、教えてもらえないでしょうか?」
――義母が口にしたのは、とあるリサイクルショップだった。
「よかった、取り戻せた」
海月がスコップを土に突き立てたのを皮切りに、灼滅者達は黙々と土を返しはじめた。
「きゅん……」
身を寄せ合うテディに頬を染めて、メロはひとつひとつ見栄えがいいように整えてやる――これからお姫様の元に行くのだ、綺麗でないと。それは昔仲間の死化粧を施すのと、少しだけ似ていた。
「寂しくないように……ですよ」
躰はないけれど、哀しみに満ちて砕け散った心が慰められますように――願いながら、夜はテディ達を土へと置いていく。
「チャーリーって言うんだ。可愛がってくれると嬉しいな」
ふわふわの中、新しい仲間と歩実は真っ直ぐな瞳のテディベアも添える。
サイも考えた末、ちやへ見せたクマ達を入れた。
「亜苦さんも」
「あ……はい」
控えめな気配で迷う良子を歩実は穏やかな笑みで促す。籠めた気持ち、ちやからの声は返らないのだとしても、伝えずいるよりは余程いいはずだから。
「仲良くしてくださいね……」
義母の様子に人の心は難しいと感じつつ、良子はちやへの想いをクマへと託す。
「…………」
灼滅者達は一心に祈る。
――どうか、失った絶望に染まった心へテディベア達が辿り着きますように。
――どうかどうか、終わりの果てでは優しい世界に在れますように……。
作者:一縷野望 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年11月20日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 10/キャラが大事にされていた 2
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