獄魔覇獄前哨戦～１人の少女を救出せよ

■リプレイ

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「もうすぐ横須賀中央部に辿り着きますね……気合いれないと」
　源野・晶子（うっかりライダー・d00352）はそう呟き、ぎゅっと拳を握りしめる。
　８人の灼滅者達はラグナロク捜索の為、横須賀中央部へと向かっていた。
「横須賀中央……主に住宅街がある場所ね。エクスブレインの話からすると、ブエル兵が出張ってくるかもしれないわね」
　竜胆・山吹（緋牡丹・d08810）がそう仲間に投げかけた。
「かもしれませんね。ブエル兵と戦闘することを選んだ班もいくつかありますし、俺らは出来るだけ捜索に集中したいところです」
　丹下・小次郎（神算鬼謀のうっかり軍師・d15614）が山吹の言葉に応えた。
「暗くなってきたし寒くなってきたし、女の子をいつまでも１人にさせとくわけにはいかんからなあ……」
　橘・清十郎（不鳴蛍・d04169）はそう呟き、由井・京夜（道化の笑顔・d01650）がその言葉に続く。
「ほんと、ラグナロクも災難だよね～。どうにかして彼女を助けたい……けど、最終的に選ぶのは彼女なのかもしれない」
　京夜がそう言い終えたのとほぼ同時に、灼滅者達は横須賀中央部に辿り着いた。
　早速横須賀内各地で戦闘が起こっているようだったが、それは中央部も例外では無かった。
「あれは…………やっぱりブエル兵ですね。住宅街に集まっているというのは確かだったようです」
　そう呟いた透間・明人（カミを降ろした中学生・d28674）の視線の先には、数多くのブエル兵が散らばり、住宅街で暴れまわっていた。
　そしてブエル兵と戦闘することを選んだ他の灼滅者たちが、住宅街各地で戦いを繰り広げている。
「とりあえずは捜索しながら、神社等のパワースポット的な場所に向かいましょうか」
　望月・小鳥（せんこうはなび・d06205）の言葉に、仲間たちが頷く。
「よし……行こう。ブエル兵なんかに遅れを取る訳にはいかないですから」
　李白・御理（玩具修理者・d02346）が駈け出し、仲間たちもそれに続く。
　灼滅者達のラグナロク捜索が始まった。

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「さて、俺の遁甲盤は向こうだと言ってるんですが……」
　小次郎は遁甲盤を手の中でクルクルと弄びながら、ラグナロクの行方を探っていく。
「こう見ると普通の町並みなんだがなー。ここに多数のダークネスが入り込んで暗躍してると思うぞぞっとするわ」
　清十郎が付近の小さな物陰を探っていくが、やはりそう簡単に見つかるものでもない。
「一応ぶらり再発見を使用してはみたんですが……まあ目に見えて効果が出るものでは無いですね」
　明人は僅かに肩をすくめ、更に探索を進めていく。
「…………」
　猫変身を使用した山吹は、小さな物陰に潜り込みながら、ラグナロクの姿を探す。
　特に夜目が効くというわけではなかったが、小さな隙間を探すには最適な姿だった。
「意外と屋根に上ってたりは…………あっ」
「ンア」
　家の上を見渡していた晶子が、１体のブエル兵と目があってしまった」
「ミツカッタカ……シネ！！」
　いくつもの手を生やし、全ての手に拳銃を持っていたブエル兵が、晶子に向けて銃を乱射する。
「クッ……どっか行って下さい！！」
　咄嗟に敵が放った銃弾を避け、晶子はライフルの銃口を向ける。
　そして引き金を引き、放たれたビームはブエル兵のいくつかの手を焼き切った。
「おっと敵さんの登場か…………周囲に味方はいないし、戦るしかないか！！」
　京夜は右手に風を纏わせながら、ブエル兵へ目を向ける。
「キサマラニ邪魔ヲサセルカ！！」
　ブエル兵は屋根から跳び上がり、京夜へときりもみ回転しながら突撃する。
「わざわざ近づいてくれてありがとね！」
　京夜は異形化させた左腕でブエル兵の身体を受け止め、右腕を振る。
　放たれた風の刃はブエル兵の身体を切り裂き、吹き飛ばした。
「中々しぶといですね……」
　指に嵌めた指輪に魔力を集中させ、小鳥は魔の弾丸を形成する。
「これは……どうですか！！」
　小鳥が魔の弾丸を撃ち放つと同時に、小鳥のビハインド『ロビン』が衝撃波を放つ。
　それら２つがほぼ同時に命中し、ブエル兵の身体が痺れあがった。
「ナイスです小鳥！」
　ブエル兵の動きが鈍ったその一瞬で、御理が追撃をしかける。
　右手に杖を構えながら、御理がブエル兵へ突撃する。
「行きますよ……僕の一撃をくらって下さい！！」
　御理ブエル兵の顔面を杖で殴り飛ばし、コンクリートの壁まで叩きつけて爆発させた。
「グヌヌヌ…………クソ！！」
　己の不利を悟ったブエル兵が踵を返し、一目散に撤退していった。
「ブエル兵に構っている暇はありませんね……捜索を続けましょう」
　御理が仲間にそう呼びかけた。
　灼滅者達の捜索は、まだ続く。

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「んー……いませんねー……あ、ゲンゾーさん、もう少しエンジン音抑え目でお願いします」
　晶子はライドキャリバーに乗りながらラグナロクを探しつつ、神社へと向かっていく。
「この戦いが終わったら、ちょっと小鳥には付き合ってもらいましょうか。ラグナロクも大事ですが、この町の皆も大事なのです。けが人を救護しますよ」
　御理が小鳥にそう言うと、小鳥はにこりと微笑み、
「はい、お供します」
　と言って、御理の手をぎゅっと握った。
「………………あ、どうやら結構神社に近づいてきたみたいだね」
　横須賀の地図を見ながら黙々と散策していた京夜が、仲間たちに呼びかける。
「パワースポット好きなラグナロクらしいですから、神社にいればいいで…………あっ」
「ンヌア？」
　路地裏をひょっこり除いた小次郎が、複数の剣を構えたブエル兵と目が合ってしまった。
「またですか……！！」
「キエウセロ！！」
　剣を構えて灼滅者達に突撃したブエル兵だったが、ブエル兵が攻撃するよりも早く、小次郎が先制攻撃を仕掛ける。
　小次郎はバベルブレイカーを稼働させ、ジェット噴射でブエル兵に急接近する。
「それは俺らの台詞ですよ」
　勢い良く杭を叩きつけ、ブエル兵の身体を弾き飛ばした。
「よっ……っと。しょうが無い。さっさと片付けましょう」
　猫変身を解いた山吹が槍を構え、その槍にオーラを集束させていく。
「ソレコソコッチノセリフダ！！」
　ブエル兵は山吹へ向けて剣の連撃を放つが、山吹は剣の軌道を読み、ひらりひらりと避けていく。
「遅い…………私達を見くびりすぎたな」
　山吹は全身に力を込め、超高速で槍を何度も突き出していく。
　その攻撃を避けられず、ブエル兵の身体が風穴だらけになった。
「グッ…………！」
　全身から血を流し呻くブエル兵に、明人が追撃を仕掛ける。
「…………早く撤退したほうがいいんじゃないですか？」
「ダマレ！！」
　明人の言葉に吠えるブエル兵をよそに、明人は槍の先端に妖気を集束させていく。
「だったらしょうが無いですね……消えてもらいますよ」
　そう言って明人が放った巨大な氷のつららが、ブエル兵の身体を貫通し、身体の一部を凍らせた。
「よし……鯖味噌、フォローを頼む！」
　清十郎は霊犬の『鯖味噌』と共に、ブエル兵へと駆け出していく。
　まず鯖味噌がブエル兵の懐へ潜り込み、腕を数本斬り落とす。
「ヌウッ！！」
　ブエル兵が鯖味噌へ反撃する前に、清十郎が攻撃を仕掛ける。
「おいおい、俺の事を忘れてもらっちゃ困るぜ……！！」
　ブエル兵へ向け、清十郎は極太のビームを発射した。
　ビームに全身を焼かれながら弾き飛ばされて壁へ衝突したブエル兵。
「ツギニアッタトキハカナラズコロシテヤル……！！」
　と捨て台詞を残し、ブエル兵はすたこらと退散していった。
「何て真っ直ぐな負け犬の遠吠えなんだ……」
　清十郎はそう呟きながら、ブエル兵の背を眺めていた。

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　ようやく神社に到着した灼滅者達は、ラグナロクが隠れていないか、隅々まで探しまわった。
「んー、いないな……もしかしたら、ラグナロクは中央にいないのかもしれないな。いや、そう決めるのはまだ早いか……」
　清十郎がそう言った時、灼滅者達の携帯がなった。
　明人は携帯を取り出し、内容を確認する。
「ふむ……なるほど、東地区でラグナロクが発見ですか……さて、ここからどう動きましょうか……」
　明人がラグナロク発見の報を読み終えた瞬間、小鳥が何かに気づいた様子で声をあげる。
「あそこに何かいます！　あれは……またブエル兵ですか」
　何本も生えた腕に銃を構えた１体のブエル兵が、神社正面にあった民家から姿を表した。
　道中でどこかの灼滅者たちと交戦したのか、それとも自分たちが最初に交戦した相手か。
　それは分からないが、かなり体力を消耗している様だ。
「東地区へ向かわれたら面倒ですし……あのブエル兵は今の内に仕留めて置きませんか？」
　御理の言葉に仲間たちは頷き、各々の殲術道具を構えて突撃する。
「ン！？　ナンダ！？」
　ブエル兵が灼滅者達に気づいて振り向くが、時すでに遅し。
「通りすがりの灼滅者ですよー」
　そう言って晶子が攻撃をしかけ、それに続いて他の灼滅者たちも攻撃を仕掛ける。
　晶子が石化の呪いをかけてブエル兵の動きを止め、
　小鳥が見えざる刃で魂を斬り裂く。
　清十郎が縛霊手で創りあげた結界で身体を痺れ上がらせ、
　小次郎が強烈に回転する杭で身体をねじ切る。
　明人が異形化させた腕で顔面を殴りつけ、
　御理が真正面から居合い斬りを放つ。
　京夜が鋼糸で全身を縛り上げ、
　山吹が槍で身体の中心を一瞬で貫いた。
「ウ、ウオオオオオオ…………！！」
　ブエル兵は呻き声をあげながら、ゆっくりと消滅していった。
「これで、とりあえず一体仕留めた…………合流できるかは微妙な所だけど、とりあえず東へ向かうとしましょうか」
　そう言って、山吹は槍をスレイヤーカードにしまった。
「さて、どうなるかね…………このまま彼女を、学園まで連れ帰ることが出来たらいいんだけど」
　京夜がそう言うと、小次郎がそれに応える。
「俺らは、出来ることをやるだけですよ……行きましょう」
　小次郎は遁甲盤を懐にしまい、東を向く。
　ラグナロクとの遭遇は上手くいったらしいが、彼女を学園まで無事に連れ帰ることは出来るか。
　他の勢力からの介入はあるのだろうか。
　各々の思いはありつつも、灼滅者達は東へ向かって駆けるのだった。

作者：のらむ	重傷：なし 死亡：なし 闇堕ち：なし
種類： 公開：2014年12月12日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 1／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 2
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