獄魔覇獄前哨戦～護りし力を掻いて

■リプレイ

●護る為に
　神奈川県南部、横須賀市へとやってきた灼滅者達。
　ラグナロクを巡り、八つの軍勢が対峙する状況……獄魔覇獄前哨戦。
「……ったく、八勢力から追われるなんて人気者だな、ラグナロクさんはよ」
「ええ……ラグナロクさん……ダークネスがこんなに居る中で一人きりなんて、きっと、心細い、よね……？」
「ああ。つってもなぁ……ここは俺達にとっても譲れねぇんだけどな」
　藤堂・恒佑（夢追い殺人鬼・d30967）と正陽・清和（小学生・d28201）の会話。
　既に八軍勢が、この横須賀の地に集まり……探索を始めているのだ。
「そうね。主催がダークネスとはいえ、人を景品扱い……ほんといただけないわね。私達にも含むところがあるとはいえ、彼女が彼女らしく在れる様に、一刻も早く保護しないと」
「そうだな。とはいえ彼女もいきなり狙われているって言って、信じてくれるかなぁ……？」
「……まぁ、少なくともオレなら疑うな。突然遭った、見ず知らずの集団に『襲われているから保護する』なんて言われてもな」
「全くだ。でもそんな悠長なことも言ってられないな……早急に保護しなければ、ライバル達に奪われちまう訳だしよ」
「まぁ、何にしても、彼女を護らねえとな……オレ達で無いにしても、オレ達の軍勢で彼女を確保出来れば良い訳だしな」
　神薙・弥影（月喰み・d00714）に、東方・亮太郎（ドライヴ・d03229）、神代・煉（紅と黒の境界を揺蕩うモノ・d04756）、そしてマオ・イェンフー（その漢トゥーハンド・d20624）と北斎院・既濁（彷徨い人・d04036）らの言葉に、そうだな、と恒佑が頷き。
「ま、オレもヒーローなんて柄じゃねぇけど、ここはマジでやらせてもらうぜ」
「そうですね。みんなで力を合わせて、ラグナロクさんを保護しましょう」
「（こくこく）……ダークネスはこわい、けど、早く……早く助けてあげられるように、がんばらなきゃ……！」
　桜庭・遥（名誉図書委員・d17900）と恒佑も頷き、そして。
「よーし、んじゃ行くぜ！」
　亮太郎が気合いを込める。
　そしてマオが。
「ああ、これ先に渡しておくぜ？」
　と、持ってきたトランシーバーをみんなに配布。そしてこの作戦に参加する仲間達と同じ地図を用意し……そして彼らは、横須賀市中央部へと向かうのであった。

●力の矛先
　そして横須賀市内、中央地域。
　人の多い住宅地……ぱっと見では、何の変哲も無い、街角の光景が広がっているようにも見える。
　しかし……明らかに違う気配を、灼滅者達は感じ取る事が出来る。
　それが今の時点では、何者かは解らない……少なくとも、この場に住まう人達では無い事は確かだろうが……。
「ともあれ、まずは情報収集ですね。ラグナロクさんを見かけなかったか、通りがかった人に声を掛けてみましょうか」
「う、うん……」
　遥に清和が頷き、遥はラブフェロモンを使用……一般人を見つけたら、姫子から聞いたラグナロクの特徴を元に聞き込みを行う。
　更に弥影と煉は壁歩きで建物の壁を登り、屋上からの捜索を実施……亮太郎もライドキャリバーにのり、ハイパーライダーで高所からの捜索を実施。
　……また、マオ、既濁、恒佑の三人も、それぞれ視界に入る所に分散しながら、町中を捜索していく。
　と、捜索を開始し、暫し……住宅街を捜索していたマオ。
『……ウ、ウゥゥ……』
「……ん……？」
　突如聞こえた、唸り声。
　その方へ視線を向けると……様々な獣のパーツをつなぎ合わせたような姿形をしたモノが居る。
　更にその目の前には、気を失った青年の姿も……。
「プエル兵か……」
　と恒佑が呟く。
　それと共に、プエル兵は灼滅者達をロックオン。
『ウゥゥ……！！』
　唸り声を上げながら、灼滅者達の方に突撃を仕掛けてくる。
「ちっ……来たか」
「仕方ねぇ……皆、集まってくれ！」
　既濁に続き、マオがトランシーバーを介して、仲間達に連絡。
「可能なら敵と遭遇は避けるに越したことは無いんだけど……襲われたんじゃ、仕方ないな」
「そうね。急ぎましょう」
　煉と弥影は頷き合い、壁伝いに走り、仲間の元へ……勿論、他の仲間達も、三人の元へ急行する。
　とは言え、仲間達が集結するまでには、多少時間が掛かる……それまでの間、三人で戦わざるを得ない。
「……ダチは護る。それだけだ」
　と、短い言葉と共に、毅然と既濁、恒佑の前に立ちはだかるマオ。
　……突撃してくるプエル兵の勢いを、両手をクロス。
　マオの体力は大きく削られるものの……吹き飛ばされないように、どうにか耐えきる。
　そして耐えきれば、プエル兵の顔は間近……その口元めがけて、抗雷撃の一撃を叩き込む。
　口元を貫くガンナイフの一撃に、プエル兵の絶叫が響く……が、その程度では倒れない。
　……プエル兵という事は、長引けば、目の前で倒れている一般人をも被害に遭わせる事になる。
「まったく、面倒な奴らが相手になったもんだぜ……だが、させねぇ……よっ！」
「そうだな。これ以上ここで好き勝手させる訳にはいかねえぜ」
　と恒佑が螺旋槍、既濁も黒死斬で以て攻撃し、更にプエル兵を傷つける。
　……しかし、流石に１ターンだけでは倒しきることは出来ない。
　続くターン……弥影、煉、亮太郎の天井組が合流……更に次ぎのターンに、清和、遥の二人も合流。
　灼滅者八人、全員揃ったところで、プエル兵に対しての反撃開始。
　動き回るプエル兵に対し、瞬時に包囲網を築くと。
「余り時間を掛けると、他勢力に感づかれるかもしれないしね……喰らい尽くそう……かげろう」
　と弥影がクラッシャーでの鬼神変で大ダメージを叩き込むと、亮太郎がご当地ビーム、煉が影業、大太刀での畏れ斬りの一撃を叩き込む。
　……そして、遥は除霊結界、清和が縛霊撃……と、バッドステータスを多重に重ねていく。
　プエル兵の反撃は、ディフェンダーの亮太郎が、ライドキャリバーと共にカバーリング……そしてそのダメージを、清和が祭霊光での回復。
　灼滅者達の猛攻に、プエル兵の身体は数ターンの内にボロボロ……獣をつなぎ合わせたような身体は、ボロボロと崩れ落ちていってしまう。
　……５ターン目。
「さぁ、これでトドメにしてやるぜ！！」
　亮太郎が威勢の良い言葉でシールドバッシュ……その一撃で、プエル兵の身体は地面へとたたきつけられると。
「喰らい尽くせ……！」
　と弥影が閃光百列拳を、顔の部分に叩き込み……プエル兵は灼滅される。
　そして……プエル兵に襲われた一般人の呼吸を確認。
「……大丈夫そうだな」
　と煉が頷き、安堵の溜息を吐きつつ。
「さて、と……それじゃ捜索再開、だな……どうやらこの辺りはプエル兵が多数潜んでいるらしい。その辺り、注意して行く必要がありそうだな」
「ああ……下手に戦えば、奴らも集まってくるだろう……とは言えこの住宅街……ラグナロクが隠れられそうな場所も結構ありそうだが……」
「プエル兵もラグナロクを探しているのよね？　……となれば、競合せざるを得ないわね……」
　既濁に弥影が溜息。
「……これがクロキバやナミダ姫の勢力だったら、共闘も出来たかもしれないが……ここまでプエル兵が蔓延っているとなると、彼らは他の地域かもしれないか……」
「そうだな……とは言えオレ達の目的はラグナロクの保護だ。細かいところも、一つ一つ、くまなく探していこう」
　亮太郎に煉が頷き、そして……灼滅者達は、更なる捜索を始めた。

　そして……中央部の捜索を開始して、暫し時が経過。
　天井から、そして地上から捜索する灼滅者達の目に映るは、多くのプエル兵達。
　流石に異質な光景……プエル勢力をターゲットにした戦闘班３班とも連絡を取りながら、プエル兵を確実に、住宅街から排除していく。
　勿論、プエル兵が一般人を襲うようであれば、戦闘班が来るのを待たずして、捜索班が戦い、一般人を救出。
　もしくは、プエル兵によって、新たに産み出されたプエル兵を……唇を噛みしめながら灼滅。
　プエル兵の脅威を出来る限り排除しつつ、捜索を進める中央地域捜索班……他３班とも相互に連絡を取り合いつつ、ラグナロクの姿を探し続ける。
　……そして、捜索を開始し、かなりの時間が経過した頃。
「……ん」
　携帯に舞い込む、一通のメール。
『ラグナロクを東地域にて発見』
「えと……ラグナロク……見つかった、みたい……？」
　と清和が遥に携帯を見せる。
「……そのようですね。うん……どうやら私達、灼滅者の軍勢が、無事発見出来たみたいですね」
　遥がほっと一息吐き……そしてその胸を、トランシーバーを通して他の仲間達にも連絡。
「そっか……ちと残念だが、まぁ無事に見つかった様なら何よりか」
「ああ、そうだな……よし、オレ達も東へと向かおう」
　亮太郎に煉が頷き……そして灼滅者達は、ラグナロクの居る東地域へと向かうのであった。

作者：幾夜緋琉	重傷：なし 死亡：なし 闇堕ち：なし
種類： 公開：2014年12月12日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 4／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 1
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