やよいひめ怪人は、キングダムを作らない。

    ●ダークネス
     イチゴはバラ科の植物である。
     さまざまな品種が存在するが、その中に、やよいひめという品種がある。群馬県によって作られたもので、品種登録されたのは2005年。比較的新しいイチゴだ。
     とねほっぺ(群馬のイチゴ)にとちおとめ(栃木のイチゴ)をかけ合わせたものに再びとねほっぺをかけ合わせて、やよいひめは生まれた。
     やよいひめは、果実が大きく、果肉はしっかりとしている。甘みと酸味のバランスがいい品種で、日持ちもいい。切ってみると、中も赤く色付いているのがわかるだろう。
     栽培する地域や栽培方法によって収穫の時期は少し変動するのだが、群馬の平坦地であれば、12月から6月が収穫時期となるようだ。
     弥生と言うと3月のことだが、イチゴは3月に品質が低下しやすい。ところが、やよいひめはこの弱点を克服していた。
     そんなやよいひめだが、美味しいものがあれば、当然のようにこんなのもいるのが日本である。
    「このやよいひめ怪人、天才としか言いようがありませんね」
     ご当地怪人──やよいひめ怪人が言った。名前に「ひめ」とあるが、やよいひめ怪人は男だった。
     ご当地怪人だが、外見は人間と大差ない。見た目は20代半ばくらいで、眼鏡をかけている。あまり、ご当地怪人っぽい見た目ではないかもしれない。
     ただし、その額にはイチゴのような紋様がある。やよいひめ怪人と名乗る以上、そのイチゴはやよいひめなのだろう。
     白衣には、やよいひめらしき無数のイチゴが描かれていた。イチゴで埋め尽くされて白い部分がほとんどないため、それを白衣と呼ぶのかは疑問だが。
     その白衣の下には、パティシエっぽい服。こっちもイチゴ(多分、やよいひめ)が描かれている。もちろん、たくさん。
     研究者なんだかパティシエなんだかよくわからない見た目だが、ご当地怪人は変な見た目のが多いので仕方ないのかもしれない。
    「う~ん。素晴らしい出来です。さすがは天才の僕だ」
     やよいひめ怪人が、眼鏡をくいくいっと上げて言った。
     彼は今、やよいひめ(自家製)を使ったお菓子の試食をしていたのだ。
    「やよいひめは、お菓子にも向いているイチゴ。素晴らしい。もっと研究をしなくては」
     ここは、彼の研究所。
     何を研究しているのかと言うと、まずは、やよいひめの栽培方法である。温度がどうとか水をどうしろとか土の性質がうんたらかんたら……そんな研究である。
     次に、やよいひめを使ったお菓子の研究。砂糖を使った方がいいとか蜂蜜の方がいいとか隠し味がうんぬんかんぬん……そんな感じ。
     やよいひめの苗は合法的に入手したものだが、それ以外のものは、非合法的に手に入れたものがほとんどだ。
    「いつか、グローバルジャスティス様にお会いした時、美味しい物を食べてもらうのです。ふふふ……グローバルジャスティス様を喜ばせることができれば、僕は幹部になれるはずです。ふふふ……ははははは!」

    「やよいひめ食べたい」
     玖律・千架(エトワールの謳・d14098)は、霊犬の栄養食(通称・えいくん)とアイスを食べながらテレビを見ていた。すると、やよいひめが紹介されていたのだ。
    「やよいひめのご当地怪人とかいたら食べさせてくれ……るのかな?」
     彼女が戦った賀茂ナス田楽怪人(通称・ダークナス)は、賀茂ナス田楽を食べさせてくれなかったのだ。賀茂ナスがない以上、賀茂ナスの田楽も作りようがないとのことだった。
    「そもそも、やよいひめのご当地怪人っているの?」
     この後、なんやかんやがあって、千架がやよいひめ怪人の情報を学園にもたらすことになるのだった。

    ●教室にて
    「千架ちゃんのおかげで、やよいひめ怪人が群馬県にいることがわかったウマー」
     馬っぽい(?)語尾で言ったのは、馬の着ぐるみを着た野々宮・迷宵(中学生エクスブレイン・dn0203)だ。馬な迷宵……ウマヨイ?
    「群馬県はここウマー」
     ウマヨイ……もとい迷宵が、指示棒で群馬県を示した。
    「こっちは栃木県だウマウマ」
     栃木はイチゴの名産地として有名だが、今回は群馬に行くことになる。
    「ここに、やよいひめ怪人の研究所があるウマ」
     と、指示棒で研究所がある場所を示す。研究所は、人里離れたところにあった。
    「研究所に行けば、やよいひめ怪人がいるはずウマウマ」
     そこで戦闘というわけである。
    「やよいひめ怪人は、ご当地キックとご当地ビームの他に、封縛糸と結界糸も使えるウマ」
     ご当地ダイナミックは使えない様子。苦手なのかもしれない。
    「みんな、やよいひめ怪人の灼滅を頼むウマー」


    参加者
    空井・玉(野良猫・d03686)
    玖律・千架(エトワールの謳・d14098)
    有栖川・萌(オルタナティヴヒロイン・d16747)
    鈴木・昭子(金平糖花・d17176)
    六条・深々見(螺旋意識・d21623)
    御納方・靱(茅野ノ雨・d23297)
    ガーゼ・ハーコート(よくキャラがブレる変人・d26990)
    柊・玲奈(カミサマを喪した少女・d30607)

    ■リプレイ

    ●やよいひめ怪人の研究所の前にて
    「怪人さーん! やよいひめ食べに来ましたーっ!」
     やよいひめ怪人の背に向けて、有栖川・萌(オルタナティヴヒロイン・d16747)が声をかけた。
    「食・べ・さ・せ・て?」
    「お菓子作りに必要な材料を強奪しに行こうと思ったのですが……こんな所に人が訪れるとは思いませんでしたよ。ん……?」
     やよいひめ怪人がサーヴァントの存在に気付く。それにより、自分の目の前にいるのが灼滅者なのだということにも気付く。
    「なぜ、灼滅者にここが知られて……エクスブレインの仕業ですか。それにしても、灼滅者には美少女が多いのでしょうか。少年達もイケメンですね」
     男性は御納方・靱(茅野ノ雨・d23297)のみだ。やよいひめ怪人は、ガーゼ・ハーコート(よくキャラがブレる変人・d26990)の性別には気付いていないようだった。
    「やよいひめ、食べたことないなー」
     ガーゼもまた、男性と間違われることを(多分)気にしていない。移動のために乗っていた箒から降り、着地する。
    「やよいひめを食べたことがないとは、哀れですね。雨の日に不良に拾ってもらえない捨て猫並みに哀れです」
    「頭、いちごじゃないんだ。おでこにいちごが描いてあるけど。ダークナスとは違うみたいだね」
    「ダークナス?」
     かつて柊・玲奈(カミサマを喪した少女・d30607)が戦ったご当地怪人──越の丸ナス怪人(通称・ダークナス)は、顔が越の丸ナスの形だった。
    「てか、服装の趣味悪っ! ださっ!」
    「やれやれ。凡人には、天才な僕の天才的なセンスが理解できないようですね」
    「てんさいてきなせんす……?」
     やよいひめ怪人の服装は、たくさんのイチゴが描かれている白衣(白くない)に同様のパティシエ服。ちなみに、イチゴは手描きである。
    「人里離れた場所で、人知れずやよいひめの研究とは! おのれ、そのイチゴを食べさせろー! しかしその白衣、センス皆無ですね」
     玖律・千架(エトワールの謳・d14098)が言うと、霊犬のえいくんこと栄養食も「食べさせろー。その白衣、センスないですね」と言わんばかりに鳴いた。
    「この白衣は天才的なセンスとやよいひめへの愛の結晶です。やよいひめは、敵なんかに食べさせません」
    「むー。食べさせてくれないなら、ダークナスといっしょじゃん」
    「またしてもダークナス?」
     千架が戦った賀茂ナス田楽怪人(こっちの通称もダークナス)は、賀茂ナス田楽を食べさせてくれなかった。越の丸ナス怪人もご馳走してくれなかった。
     他にも、ナス怪人や水ナス怪人、ついでに鹿ヶ谷カボチャ怪人といったご当地怪人(いずれも、キングダムを作ろうとしていた)は、ご馳走してくれなかったのだ。
    「天才の僕に言わせれば、敵である灼滅者に美味しい物を食べさせる方がおかしいのです」
    「そう言わずに。灼滅者すら満足させられないなら、グローバルジャスティスを喜ばせるなんて夢のまた夢だと思うの」
     六条・深々見(螺旋意識・d21623)が言った。
     白衣らしきものを着たナノナノ──きゅーちーは「ナノナノ」と言った。何と言いたかったのか、やよいひめ怪人にはわからなかった。
    「そんなわけで、私たちが堪能……もとい、味見をしてあげるから! さぁ、お菓子を! やよいひめを! さぁ! さぁっ!!」
    「そんな手に引っかかりませんよ、白衣が似合いそうなお嬢さん。そっちのナノナノは、地味な白衣を着ていますね」
     むしろ、派手な白衣の方がおかしい。
    「たとえ、やよいひめ100%なイチゴパンツの美少女が色仕掛けをしてこようが、天才の僕には通用しません。そういうわけなので、君達は返り討ちにしてあげましょう」
     言って、鋼糸(やよいひめ怪人専用)を手にする。
    「Release」
     後で食べようと持ってきていたイチゴを飲み込んで、空井・玉(野良猫・d03686)がスレイヤーカードの封印を解く。イチゴは半分くらいなくなっていた。
     靱もまた、武器を構えていた。
    「研究熱心なのは良いことだけど、灼滅させてもらうよ」
    「灼滅者の分際で、天才の僕に勝てるとでも思っているのですか?」
     やよいひめ怪人は眼鏡をくいくいっと上げ、口の端を吊り上げていた。

    ●天才?
    「まとめて片付けてしまいましょう」
     やよいひめ怪人が糸を操り、結界の構築を試みる。
    「やよいひめを食べさせなさいよ!」
     仲間を守るため、千架がその身を盾とする。ガーゼとライドキャリバーのクオリアも前に出る。
    「怪我はない?」
     ガーゼが振り返りつつ問いかけた。
    「1度の攻撃では不十分でしたか。それならば、もう1度攻撃すればいいだけのことです」
    「皆様が攻撃に集中出来るよう、回復します」
     鈴木・昭子(金平糖花・d17176)が、浄化をもたらす風を呼ぶ。ちりんと音を鳴らしたのは、彼女が身に着けた鈴だった。
    「いちごは好きですが、非合法は、良くないです」
    「やよいひめの苗は、合法的に手に入れた物です」
    「イチゴって美味しいよね~。そのまんまでも美味しいし、ムースやジャムにしてもやっぱり美味しいし」
     萌が「イチゴはお菓子やスイーツの定番だもんね」と言いつつ、刃と化した影で攻撃を仕掛ける。
    「やよいひめ以上に美味しいイチゴはありません。食べさせてはあげませんけどね」
     ドヤ顔のやよいひめ怪人に、クオリアが突撃。
    「うん。サーヴァントが沢山いるけど、ウチの子が1番かわいい。クオリア、最高」
     そう言って、今度は玉が敵へと迫る。
     彼女の腕を覆うのは、黄金の鉤爪を有する縛霊手──Code:Vesuvius。
    「悪いイチゴは潰すに限る。君みたいなのも潰すに限る」
     殴りかかり、霊力の網を放った。
    「この僕を潰す? そんなこと、させませんよ」
    「ご当地の皆さんも、特産品を生かしたお菓子作りは喜んでくれると思うよ。でもね──」
     螺旋状の回転を纏わせつつ、靱が槍を突き出す。
    「イチゴの苗以外はほとんど非合法的に入手って、それ駄目でしょ!」
    「正論ですね。正論ですが、天才ダークネスである僕には、正論なんて物は通用しません」
    「こんな人里はなれた場所まで来るの面倒だったから、とりあえず殴る」
     縛霊手に包まれた千架の拳が、やよいひめ怪人へと迫る。
    「その眼鏡、割ってあげる!」
     殴ると同時、網と化した霊力が放出された。
    「残念ですが、この眼鏡は天才の僕が開発したものです。やよいひめの研究には、やよいひめの研究に相応しい眼鏡が必要ですからね。頑丈なので割れませんよ」
     そう言って、頑丈な眼鏡をくいくいっと上げた。
    「えいくんは昭子ちゃんのお手伝いしてね」
    「えいくん、よろしくね。です」
     えいくん、張り切って浄霊眼。
    「……いつもより、やる気があるような気がする……」
    「ちょっと見た目はアレな感じだけど、美味しいお菓子を作るならば良し!」
     深々見が縛霊手を装着した腕を振りかぶる。
    「アレって何ですか、アレって」
    「殴ったら、どんな感じになるのかなー♪」
    「……こんな感じです。灼滅者には縛霊撃が流行っているのでしょうか」
     今のが、本日3回めの縛霊撃だった。さらに、きゅーちーのしゃぼん玉が襲いかかった。
    「……こんな感じです」
    「メモメモ♪」
    「砂糖とか他の物は非合法的に手に入れたのかー。んー……やよいひめの苗を合法的に手に入れる方が難しいような気がするなー……」
     ガーゼが言った。気だるげだった。
    「やよいひめの苗は、普通に買いました」
    「そっかー」
     やはり気だるげに言うガーゼの瞳に、バベルの鎖が集束する。
    「さて、面倒事はさっさと片付けよう」
    「……いきなりキリッとしましたね……」
    「さっさと片付けて、さっさとやよいひめを食べよう」
    「食べさせませんよ」
    「なんていうかさ……これで苗以外も合法的に手に入れてたら、倒さなくても良かったのかもね?」
     玲奈の足元で、エアシューズが炎を帯びる。
    「天才である僕が、やよいひめの苗以外を合法的に手に入れるはずがないでしょう?」
    「……なんで?」
     首を傾げつつ、炎の蹴りを繰り出した。スカートの下にはスパッツを着用しているので、キックをしても大丈夫。
    「天才である僕は気付いてしまいましたよ──灼滅者は予想以上の脅威なのだとね」
     真剣な表情で、眼鏡を上げた──。

    ●やよいひめ怪人の結末
    「灼滅者を倒すこともまた、幹部になるためには必要でしょう」
     真面目な顔で言うやよいひめ怪人の額が、やよいひめ色の光を放っている。正確には、額にあるやよいひめのマークが輝いているのだ。
     灼滅者たちが「まさか……」と思っていると、想像通りにビーム(やよいひめカラー)が発射された。おでこから。
     おでこビー……ご当地ビームが、空中を駆け抜ける。狙いは萌。しかし、その攻撃を受けたのはクオリアだった。
    「邪魔なライドキャリバーですね……!」
     クオリアは自己修復を開始し、玉は敵へと肉迫する。
    「武器の実戦テストに付き合ってもらうよ」
     玉が装備しているバベルブレイカーは、名をS-M-E Protoと言う。
     Protoとあるように、それは未完成の武器である。
    「幹部になるのは厳しいんじゃないかな」
     高速回転する杭が、敵に襲いかかった。
    「天才である僕が、幹部に相応しくないと?」
    「才能なんかもそうだけど、特にビジュアル面が、うん。厳しいと思う」
    「君も、凡人の1人だったようですね」
    「群馬県の特産品は、こんにゃくとか達磨とか……良いものなんだけれど、今一つ地味だったりするんだよね」
     靱の言葉に、やよいひめ怪人がうなずく。
    「やよいひめと違って地味です」
    「イチゴなら、ご当地の特産品の目玉になるかもしれない。だけど──」
     マテリアルロッドを振り抜き、敵の体に魔力を流し込む。
    「非合法は駄目だよ。合法的に、お菓子作りをするべきだったんだ」
    「僕はご当地ヒーローではありません。ご当地怪人なんですよ」
    「イチゴって彩りも綺麗で可愛いし、デザートに出るだけで食卓が華やかになっちゃう。納豆とは違うよね~」
    「納豆?」
     とあるガイアパワー研究所で納豆責めされていたことがある萌の足元から、敵に向かって影が走る。
    「がじがじしちゃうよ☆」
    「これは……!」
     やよいひめ怪人が、影に飲み込まれた。
    「試食役なら引き受けたのに」
     千架のエアシューズが炎を纏い、その炎が敵を焼く。
    「やよいひめ食べたい!」
    「……食べるだけですか」
    「うん」
     栄養食は、張り切って浄霊眼。
    「おいしいものをおいしくいただく。その才能を、平和に使って頂ければ良かったのです、が」
     鈴を鳴らしながら、昭子が敵に接近。縛霊撃を繰り出す。
    「く……! まさか、4度目があるとは……!」
    「きゅーちー」
    「ナノナノ」
     たつまきが敵を襲う。その様子を見て、深々見がメモした。
    「うぐ……!」
    「続けていくよー。胴廻し回転蹴りー!」
     深々見の蹴りは、流星のような煌めきと重力を宿したものだった。
    「この僕が……負ける……!?」
    「私の戦いは、つづく。あなたの野望は、今日で終わる!」
     裂帛の気合とともに、玲奈が上段に構えた刀を振り下ろす。
    「ぐうっ! 僕の野望も、ここまでですか……!」
    「やよいひめの資料は、どうして欲しい?」
     バベルブレイカーの杭を突き付け、ガーゼが訊いた。
    「せっかく纏めた資料をそのままにしておくのは、少し勿体無い気がするからねー。農業の技術開発局にでも寄付したら良さそうだけど……どうしたい?」
    「君達に任せましょう」
    「そっか。わかった」
     杭を高速回転させ、ガーゼが攻撃する。
    「ぐわあああああァァァァァァッッッッ!!! ぐ……僕の負けですか……仕方がありませんね。僕に勝った君達に、ご褒美をあげますよ」
     そう言って、ポケットから取り出したものを放り投げた。それは、鍵の束だった。
    「研究所の中に、やよいひめがあります。お菓子もあります。僕は罪深い存在ですが、やよいひめやお菓子に罪はありません。どうか、食べてあげて下さい」
    「怪人さんのやろうとしてた事は悪くないんだよね。その為の手段が間違ってただけで。だからせめて、怪人さんが育ててたやよいひめは、メイ達でおいしく食べてあげるね」
    「お菓子達のレシピは、観光協会にでも送っておくよ。君の愛したやよいひめは、ご当地の皆さんの役に立って、暮らしの中に生きて行くんだ」
     萌と靱が言うと、やよいひめ怪人が安堵の表情を浮かべた。
    「ありがとうございます。それなら僕は、こう言っておきましょう──『召し上がれ』と」
     ──やよいひめ怪人は消滅した。

    ●やよいひめ
     灼滅者たちはやよいひめを収穫し、お菓子を見つけた。
    「あ、いちごのタルト発見! 美味しそー! いちごいちご♪」
     玲奈が見つけたタルトの他にも、いろんなお菓子があった。
     せっかくなので、お茶会を開くことに。
     準備のいいことに、いろんなものを持ち寄っていた。
    「皆でいただこうか」
     紅茶を持参した靱は、これまた持参した紙コップに紅茶を注いでいく。
    「食べるよ食べるよ、甘いものならいくらでも! あ、きゅーちーは怪人についてのレポートまとめてからねー」
    「ナノッ!?」
    「あっまいものー♪ あっまいものー♪」
    「ナ……ナノナノ……」
    「これが念願のやよいひめ! いただきます!」
     思えば、灼滅者たちがここに来たのも、千架がテレビでやよいひめを見たのがきっかけだった。
    「えいくんにもあげるね。はい、あーん」
     もぐもぐ。
    「これがやよいひめかー。食べたことないから楽しみだなー」
     ガーゼが、やよいひめを口に運ぶ。戦って疲れた体に、やよいひめの美味しさが染み渡るようだった。
    「良いイチゴは、そのまま食べるのが1番好みかな」
     玉は、持参したイチゴと食べ比べをしていた。玲奈はタルトを食べる。
    「普通に食べるのもいいよね、牛乳とお砂糖かけて食べるのも美味しいよねぇ♪ うん、タルトも美味しい♪」
    「いただきま~す☆」
     萌は、やよいひめをホイップクリームと一緒にパンに挟んで、イチゴサンドを作った。
    「うん、おいしー☆ イチゴミルクもおいしー☆」
    「ナノナノ、ナノナノナノッ」
    「まとめたの?」
    「ナノ!」
    「そのまま食べるのも好きですが、いちごみるくは、やはり王道なのです。おいしいです」
     昭子は、無表情ながらも、幸せそうにしていた。目がキラキラしてる。
    「昭子ちゃん、これも美味しいよ」
    「……は。このお菓子、おいしい。おいしいです。えいくんも食べますか?」
     もぐもぐ。
    「手段こそ褒められた物ではありませんが、やよいひめにかける熱意は本物だったと思うのです。こうして満喫するのは、供養になるでしょうか」

    作者:Kirariha 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年12月12日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
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