今年も、学園の敷地内にある伝説の木が、美しい輝きのドレスを纏う夜がやってくる。
ふわりふわりと舞う白雪は、祝福の花の様に、世界を優しく覆ってゆくのだろう。
趣向凝らしたパーティーは、毎年のことながら沢山企画されていて――その中のひとつに、去年、一昨年同様、ライブハウス利用したパーティーが企画があるわけで。
「ライブハウスで大乱闘なクリスマス……相変わらずですね」
お誘いのプリントをじーっと見ながら、レキ・アヌン(冥府の髭・dn0073)はぼそっと呟いた。
今回は、聖夜の奉納舞闘の一点張りときたもので。
聖夜に赤い雪降らせてどうするんだろう!
というかピース&ハッピーなんて言葉の欠片もないパーティー開催が決定しちゃう時点で、武蔵坂学園ってやっぱり特殊なんだなと思っちゃったわけですよ、レキさんは。
「ぜんっぜん色気が無いですよね……」
「そんなに色気ない? 結構頑張ったつもりなんだけどね……」
「ふおっ!?」
振り返ればそこに、ヴィジュアル系、もとい仙景・沙汰(高校生エクスブレイン・dn0101)がいた。
このクッソ寒い12月に、露出の高いステージ衣装を着たまま教室に赴いても恥かしくない程度には慣れていた。
というか、慣れというものは非常に恐ろしい。そしてそんな格好してても誰も気にならない、武蔵坂学園の異端率は素晴らしい。
「いや、そういう色気ではなく……」
というか衣装モロモロにいちゃもん付けたわけじゃないんですと、一生懸命プリント突き出しアピール。
「わかってるよ。クリスマス企画がでしょ?」
あ、軽くからかわれたぞ、と思ったレキだけど。気をとりなおして。
「沙汰さんは、今年何かに参加するんですか?」
「あ、うん。後楽園行くつもりだよ?」
「えええぇぇぇぇぇぇー!?」
突如背後に稲妻走らせ、白目を剥くレキさん。
例年の如く、後楽園会場での殴り愛。
相手は灼滅者である。
いくら不良がいきがったところで、死ぬのが目に見えている。
「ライブハウスって、ステージやフロアー以外にも、キャットウォークとかドリンクコーナー、PAブースとか色々あって……って、レキちゃんなんでまたそんなにオソロシイ目で俺を見ているわけ? 去年となんかデジャヴっているんだけど、まさかまた命知らずな事するかと思っているわけじゃないよね?」
「……え、じゃ他に何をなさろうと?」
「さっきの話の続きだけど、もともとあのライブハウスって、裏社会のものだから、観戦ブースは頑丈だったりするんだよね。で、観戦したいなって思ってるよ。みんなどうやって戦っているのか、興味あるんだよね」
「まあ、普段は見れませんからね」
わからなくもないですその気持ち、とレキ。
「あ、勿論救護室で手が足りない様だったら、手伝いとかするよ? 白衣でも用意しておいた方がいいだろうか……」
「いえ、ぜんぜんいらないと思います……」
ともあれ、メインはライブハウスで乱闘である。
けれどそういうのが得意ではない人のため。
例えば。
キャットウォークやドリンクコーナーやその他もろもろのブースで観戦したり、タオルを投げる人になる。
戦いに敗れ、ドリンクコーナーで飲み物頂きつつ慰めてもらう。
ストレッチャーという名のソリを転がしながら、ぶっ倒れた人を救護する人になる。その後ネタ的に雪に埋めるとか、救護室で介護する。
今年は、クリスマスらしい装いは、別に義務じゃなくなったけれど。ただ、好きにコスプレとか設定とか組み込んでも面白いとは思われる。
「まぁ色気は確かにないし、クリスマスって雰囲気とは程遠いけどさ」
みんなで楽しもうぜっていう趣旨からは外れていないし、普段のライブハウスでの緊迫感とはまた違う雰囲気の中、年に一度だけだから、はっちゃけようじゃないと、ちょっぴり楽しげに笑う沙汰。
粉雪の祝福が降る夜に、ロマンチックで優しい時間を過ごすのも勿論。はじけるパーティーだって楽しいはず。
みんなで盛大に無礼講という言葉に乗っかって、楽しい時間を過ごしませんか?
●開幕
「……まあ、今年の喧嘩納めってヤツっすかね」
昌利は指貫グローブをはめながら、横へ視線送れば。輝き薄い瞳合わせてきたのは榮太郎。
「今年も気が済むまで快く殴り合いましょうかね」
目が合えばそれがゴング。漆黒唸れば、瞬く拳に火の粉散る。
「ヨォ、オレと相手しろよってな!」
キャットウォークから、乱戦の中へと飛び込んで来たのは烏衣。逆方向からも、ミニスカサンタの鈿女も乱入。
「歌って踊れる可憐なヒーロー! 志羽・鈿女……いっき、まぁぁぁす!!」
喧嘩上等、乱闘結構、乱痴気騒ぎってのがここの秩序。
「さあさあ、今宵も血湧き肉踊る闘いを……!」
「存分にやらせてもらうッ!」
紅蓮振るう榮太郎。昌利の鋼鉄拳、烏衣との間に鈍色の閃光弾け。
「ひぃぃぃっさぁぁぁっつぅぅ! ヒィィィロォォォ、キィィィック!」
「先輩方の技術、体当たりで勉強させてもらいます!!」
鈿女のしなやかな足と、雄哉の拳ぶつかり合う。普段は感情の起伏少ない雄哉ですら、微かな笑み滲んじゃうくらいで。
逆に、紗矢は打ちひしがれそうになっていた。クリスマスに誘われ連れられてきたのが此処って、どういうことだってば。しかも矧ときから罪のない顔して首傾げ。
罰ゲームの提案には柔らかく笑んだ後、人差し指を自分の口元にもってきて。
「さ、ここから先は言葉以外で語りましょう?」
膨れ上がる炎。果敢に懐へ飛び込む紗矢。
カミの風が突き抜けた瞬間、矧は微妙に表情曇らせ。そして紗矢もその変化に気づいたけれど今は心に止め。只管打つ、倒れる瞬間まで。
「テメェが初めましてだろうがそうでなかろうが容赦しねぇのがオレ!」
嬉々としながら烏衣が雄哉を叩きのめした瞬間、
「見知った顔がいるじゃん」
そうでなかろうがの方。物騒に笑う治胡さんとご対面。
「あろあろー。仙景、見ておいでな、あたしの勇姿。ほら、よそ見してたら蜂の巣になっちゃうぞ」
沙汰に手を振りながらイイ笑顔で乱射している七さんも増えたー!
「そうだな、連中の戦い方もよく知っている(クラブ的に)」
烏衣はクールな顔付きの詞貴に狙撃されてしまわれ。
「2対1が卑怯ならコンビ組んでかかって来いよ」
突撃仕掛ける治胡。今コンビ組めそうな人が撃沈したがな!
「聖夜の聖は聖戦の聖だ! つまり戦う事こそ定め!」
なら三つ巴はどうだーと、バニシングフレアをぶっ放しながら揚々と迫る周。ではもっと戦華を広げ舞いましょうかと、典雅に舞い降りるのは静香と桜。
「咲き誇る宴の花、八重沢・桜。どのようなお方でもお相手いたします……!」
「可憐な黄昏の花たる六乃宮・静香。挑むものはどなたですかっ」
サンタカラーの和ロリを纏い、淑やかに礼を添えると、聖夜に舞い散る天華のように得物躍らせれば。いやいやもっと火に油を注ごうよ。明慧黒曜に炎纏わせ、慧樹が周を叩き落さんばかりに降ってきて。
「今年も盛り上がっていこうぜっ!」
「かき回すだけかき回してやろうか」
聖太が薙ぐように乱れ手裏剣解き放つ。
熱すぎる皆さんへ、エクルは空飛ぶ箒を使いミネラルウォーター投下。若干消し炭にされているが気にしない方向で。
「誰が味方だとか関係ない! 好き勝手にやってやろうさ!」
「年に一度のクリスマス喧嘩だものー」
周のレーヴァテンが弧を描く。影色リュウグウノツカイを愛しげな視線と共に送り出す七。
「そのユメに、散りゆく柊を添えましょう。微笑みの花は、わたし達に……っ」
「赤い花に見取られ、包まれ送られ、眠ってくださいね? クリスマスに楽しい騒ぎ(ユメ)を見ながら」
桜は八重に咲き誇る光を下ろし。静香の紅蓮の刃が、慧樹と交差する。
「お望みなら手加減しねー」
「次から次へと食い散らかすように煽るな。だが、まぁ、フォローはしてやる、好きに暴れろ」
ブレイズと交差しながらレーヴァテインを放つ治胡。詞貴が撃ちだす弾丸、自由軌道に乗って。
「くれぐれも俺の背中に手裏剣、当てるなよ!」
軽口叩きつつ混沌の中を駆け抜ける慧樹。何の得にもならないのに何故戦うのか。聖太は、炎に紛れながら思う。
「こういう熱さを求めてるから、かもしれないな」
慧樹と、倒れたままハイタッチ。
「去年のリベンジになるが……幸せボケとかで鈍ってねぇだろな?」
やっと出会えたな。響は構え直し。
「まさかとは思うが……つまらない手加減などしてくれるなよ、響さん?」
里桜は強気な微笑みを浮かべて。地蹴りあげるのは同時。
緋桜たなびき星散るような輝き一つ。彼岸の紅が死線を引く様に一閃。矛先と爪先の応酬に、はらり一片赤が舞い。崩れる里桜だけど、満足げに。
「図体のデカい奴が居ると思ったらお主か仁王」
「よもやクリスマスになっても貴様と相見えることになろうとはな、倉丈ぉお!!」
黒い笑み浮かべながら睨みあっている仁王と姫月。何やら因縁があるようで。
「今日こそは我が斬艦刀の錆にしてくれる」
「はッ! 良く吠えるのじゃデカ物!!」
手が六つに見えるくらい高速で打ち合う二人。
「疾風怒涛ぉおおおおおっ!!」
「粗大ゴミに出してくれるわぁああアーレー!?」
今回は仁王に軍配。
「決して食料を食い荒らされた恨みじゃないからな」
黒い笑み浮かべ指鳴らす蒼騎。ビビるナノナノの白豚は、くわっとしながら閃光百裂拳をぶち込んでくる蒼騎へ、必死にしゃぼん玉を。
「さすがは俺のサーヴァントだやればできるじゃねえか……」
しゃぼん玉で頭泡だらけのまま、蒼騎はフッと潔い笑み浮かべ。タルトの奢り決定。
「無事ですか?」
水分投下から戻ってきたエクルが二人を心配して。
「即席タッグでもやれるもんだよ」
微笑むヘイズ。思ったよりもねと呟く結乃は、クラスに入って最初に声をかけてくれたのがヘイズが、長く戦場に立っていて欲しいという気持ちもあって。
「三人ともご無事でしたか」
彼等を見つけた瑞穂が、柔らかに微笑んで。此処で会ったのも運命。対決は避けられないのがルール。
「襲ってくるなら返り討ちにするまでだ!」
「稗田さん以外の全参加者をトラウマまみれにしてあげましょう」
構える望とヘイズ、楽しげなのは瑞穂も同じで。
「さぁさ、最後の最後の一瞬まで楽しみましょう」
葡萄の蔦の様な影をしならせ、望もうねる影業から大量の人影を生成しながら。ガンナイフの刃先が影を裂き、飲み込む漆黒ぶつかり合う。
去年に続き殴り合い。銀は、巷でもこんなもんかと疑問は沸くものの。
「今年は共闘だからな共闘」
「きょーとーね、きょーとー」
「あっはい共闘、共闘。共闘ですよね!」
釘刺しに対して、千巻と十重が得物ブンブンしながらにぱっ。
「仲間踏み台にして勝とうなんて、そんなことちーーーっとも思ってないから! ぎんちゃんそこどいて!」
声掛けしてますよアピールしつつ、壱は笑いながらドグマスパイクをヘイズへ。
「何故俺達のクリスマスってこうなるんだろうか……」
摩擦に消えていった前髪を見つめ、貫は遠い目。去年は焼き肉。今年はらいもんと一緒に焼き肉にされそうになっているなんてまさかそんな。
らいもんの安否が気になって、チラ見している銀の裏拳が漣香の鼻っ面に。
「わざとじゃねーからマジだって」
謝る銀。ふわふわハート受け取ったら、更に強力な何かがグサッ。
「わざとじゃないよ、マジでマジで」
びんじょ……ではなく間違えちゃったと千巻。
「でもやっぱトールさんの方が女子りょアイッター!?」
「俺の女子力がどうこう聞こえた気がしたけど気のせいか」
救助に入った貫が傷を冷やしてあげる為、シェイク済みの極冷え炭酸ジュースをザバー♪
「共闘と言いつつ、ピラミッドの一番下に城君がいる安定感がすごいですね?」
十重は思わずポツリ。
「流石は灼滅者の戦闘、そこらへんの下手なファンダジーより見ごたえがある」
共闘の新しい形を見てしまった翔也は、何かを握ると人が変わるの典型を後ろに見て。
「ゆっくりと眠らせてやるのがせめてもの慈悲ってやつか」
瑞穂と銀を斬り伏せておられる流希さん、まるで別人。
「あ~……アンタ本当に紅羽か?」
「気にするな。それよりも、今はどれだけの人数を倒せるか。記録に挑戦してみようぜ」
目の前に揃ってピンクのサンタ服を纏ったチセと十織。九紡とシキテもサンタ仕様。
「ミニスカ? 気にしたら負けだ」
二人へ、まがおでそんな事を言い放たれた十織さん。
「さぁ、次の良いコ達かかってこい」
「夢と拳をプレゼントやよ」
元気いっぱい、チセはシキテと一緒に飛び込んで。お星様プレゼントは、十織と一緒。
●決戦中
「これでイルルさんたちとは3かいめでしたねっ」
「いい加減白黒付けたいモノよのぅ」
静香とイルルは輝かんばかりの顔で向かい合い。
「イッツ、ショーターイム!!」
「うぅ……少し恥ずかしいですけれど折角のクリスマスですし、盛り上がっていきましょう」
コセイと連携アタック狙う悠花はミニスカサンタひらりしながら。一方セカイは衣装にもじもじ。
「みんな、がんばろー」
「ほらほら、燃やされなくなければおどきなさいなーうふふ」
あるなは快活にリップルバスター。仲次郎はゲシュタルトバスターでメリー燃やします!
「はがねのこぶしをくらうのですっ!」
弾丸舞う中であろうとも、鈴乃&悠花サンタさんはプレゼントを差し上げることをやめたりはせんよ。
いい音を立てて星になる仮・轟天号。光刃に崩れるあるな。
「名付けて、狐鈴花(コレイカ)の舞!」
コセイと連携がかっこよく決まって、フッと零す悠花――へ忍び寄る刃。
「頂きますね」
カティアはくーるびゅーてぃーに仕留めてみせた。
「相手が女だって構わない。強い奴なら大歓迎だぜ!」
そんな激動のフィールドをへ、更なるカミカゼ巻き起こしちゃう武流は、ダブルジャンプからの後方かかえ込み2回宙返り1回ひねりを繰り出しながら、
「必殺ッ!」
手加減攻撃☆
セカイ、女の子だしな。仇討はコセイが斬魔刀サクッ♪
「リーダー同士の一騎打ち申し込みますわ!」
りんご、抜き身の刀身でビシィッと宣言。言いつつ、カティアを吹っ飛ばしながら。
「一度ガチでやりあってみたかったのよね!」
ギガ・マグロ・ブレイカー(以下GMB)を構えるなり突撃するまぐろはコセイをぶっ飛ばし。
まぐろの進路を守るティアマット、しかし止めるのは藍の地獄投げ。
「いっけぇー!」
「たやすく墜とせはせんぞよ、静香殿♪」
フレーズと打ちまくる静香へ、イルルのシールドが炸裂。
「さて。狙うは首魁! 首置いて……じゃなかった。大将を落とす誉れとなってもらおうか!!」
守咲・神楽こと別府のご当地ヒーローケルベロスの身体が朱く輝く時ィ! ――以下に続く台詞と共にお約束のヒーロー煙幕ちゅどーん。但し間髪いれず、ご当地キックを耐え抜いた鈴乃に倒された。
「セクハラにならなければいいんですけどねー」
仲次郎にとどめを喰らった鈴乃が、服破り的な意味で大変!
「岩永さんフレーズを貸していただきますね」
藍が突如フレーズをだきゅ。主地に伏せ返事はないただの以下略。しかし危機はそこにあるのだ友よ!
「これぞフレーズロケット砲!」
「わふうぅぅっ!?」
モフっと炸裂、仲次郎は夢の中へと旅立たれ。
「うなれGMB! いくわよ!!!」
鋭く空を劈く刃。りんごは一重でかわし。突き上げる一撃に、まぐろは頬に朱を浮かべようとも。
二人笑って。いつも仲良くしてくれて有難う、そんな心と一緒に。
まぐろは渾身の力を込めて。りんごの胸に、真一文字の紅浮かんだけど。
人波という名の大海へと投げ出されるまぐろ。
勝利はりんご達に!
「一度、本気で戦ってみたかったんですよ……君と」
想希はにっこりとしながら眼鏡外し。相変わらずの悟は、緊張を感じられないけれど。
「さぁどっからでもかかって来いや!」
影を抜き、想希の死角狙う黒き斬撃は鋭く。それを紅蓮が止める。
鍔迫り合う刃、弾いたのは閃光。かき消さんばかりに悟の炎が吠える。
渾身の愛の深さ、負けたくないのはどちらも同じ。
「想希」
手を差し出す悟へと、想希は微笑みながら。
「最強決定戦開幕じゃゴラァ!!」
開幕一発、葉は見知らぬ誰かを星にする暴挙。
「全力でブッ潰してやらァ!」
「お望み通り、テメェから真っ先にミンチに変えてやらァ」
錠が踊る様に足技を繰り出せば、響く音は重低音。葉の一撃、音そのものを破壊するかのよう。
相変わらずな奴らに香艶は溜息漏らし。エルメンガルトは、男はいいとしてもユノちゃんだけはちょっと……なんて考えていたら、踏み入れた時点で覚悟しやがれというものですよと言わんばかりに弾丸発射してくる由乃は容赦ねぇ。
「勝ちを譲ってくれてイイんだよ!」
「譲り合う勝ちなどないわ!」
「白線の内側でお止まりください!」
「白線などない! ほら余所見してんじゃないですよピンクにつくしィ!」
不意打ちカーン。ピンクとつくし離脱。容赦ねぇ。
「……で、樹は何、ヒトを盾にしちゃってくれてるの?」
遮蔽物にしてやりたい放題しているから、香艶は頭を掴んで立ち位置逆転。そうしてエルメンガルトは、由乃に華麗なる蹴りを入れてしまったがこれも愛だよ。
「気魄特化の哀しみを全力で受け止めるがいい!!」
そんなエルメンガルトへ容赦ない追い打ちを仕掛ける香艶、ミニスカサンタ回避に成功。
「オレが勝ったらこの巫女服……じゃないサンタ服を着てもらうぞ!」
熾は妹に宣戦布告。巫女服への愛を燃やし、果敢に飛びかかる。
「フリルとリボンとレースのない服なんて着ません」
きぱっと拒絶の舞依。しかし、今年こそ自慢の鳥料理を食べてもらうため、愛用のチェーンソー剣はいつもより高く唸るってモノですよ。
無残な巫女服を前に打ちひしがれる熾。これから鳥肉タイムも待っているぜ。
「今年もムード無い、クリスマス」
「僕たちの間にムードとか求めちゃダメだよ」
相棒を前に頷く時兎は一変して、凛と鋭く。人前で奏でた事の無い唄を、この瞬間だけに紡ぐ。聡士はナイフ一本で応えてゆく。
「それとも今、聡士を……食べちゃおーか」
「食べられるもんなら食べてみなよ」
骸骨サンタの闇の牙、ナイフでいなして抗雷撃を解き放つ。
斬弦糸一閃、聡士の首へ。
「メリー、クリスマス……相棒」
「メリークリスマス。またやろうねぇ」
「今年の総決算! クラス最強の座、今こそ決めるぞっ!」
「スカっと暴れてやるっすよ」
徒は拳を平に打ち。からり笑う天摩、相棒を抜いて。
「たった3人の最強決定戦……ちと寂しいけど、やるからには勝たんとな」
啓太郎がブースター付きのツルハシが、大地へ激しい震動を。
華麗にバックフリップで舞う天摩の銃口、破弾撒いて。徒がその雨の中を駆ける。ナイフ鋭く振るう――と見せかけ、低度から爪先が紅描き。更に宙返りからの踵落とし。
「忍法・天地開闢」
紙一重にかわし。暴風の如く啓太郎が薙ぐ。
吹き飛ぶ徒。そして死角を狙うのは。
「今年の鬱憤は今年のうちにっす」
毒弾が真っ直ぐ突き抜けて。天摩が差し伸べる両手、みんなお疲れさん、と。
●乱闘中
「お相手願うわ」
贔屓の得物を携えて。凛と願い出る千歳と、ガンナイフ指で弄びながら視線送るキィン。
「背中預けるかんなっ」
身構えるイオへ、しっかり守るよと無駄にキラキラを振りまいちゃうレビ。子供扱いすんなとイオは言い捨てたあと、小柄さとスピード生かしてトリッキーに振るう拳が、千歳の放つ氷結天華の波動と弾け合う。
「俺の大事な子に手を出す人は、許さないからね?」
「かっくいーね。だが派手に散らすぜ?」
笑顔のレビと、挑発的な顔のキィンが交差して。
「体当たりタイプに見えて案外色々考えてるんだねぇ?」
「お前絶対俺のこと馬鹿にしてんだろ!」
テクニック駆使するイオに、何か感動しているレビ。
千歳が掌滑らせ氷の花咲かせた矢先、螺旋の穂先と毒弾が混戦して。
「さぁーて、派手に舞い踊ろうか!」
千尋とライラに狙い付けられた奏哉が混じる。
戦場が膨らむ。元より乱闘。四組入り乱れる中、ライラの指先から巻き起こる風を背にしながら、千尋が華麗なるサイドエアリアルで翻弄するようにしながら毒の弾丸撃ち放って。
「土星を水に浮かべることが出来たら、浮いてしまうくらい軽い星なんだ……って、いけない。のんびり天体談義をしている場合じゃないね」
「夜空は見えねども、こちらでご満足いただける?」
現れた奏哉に、千歳は朧の様な表情向けて。撃ちだす流星と重なる、キィンの裁きの光、レビを貫きながら。破壊の星が、イオを弾いて。
「まだまだ膝を折る気は無いんだな」
「……当然ね」
嬉々とするキィンへ、ライラはクールに視線送り。
「潔く散りゆくのも聖なる夜の素敵な思い出だよ」
千歳に膝を付かせた奏哉は、ほんのり楽しげに。
「……千尋、そちらは任せる」
「フフッ、背中を預けられる戦友がいると安心だ」
二人頷きあって。ぶつかり合う力は、壁が震動するほどに。
「しかし……聖なる夜だと言うのに、皆思い思いに暴れているね」
緩いテンションで、雛姫は飲み物片手に沙汰たちと観戦中。
「……超気合いが入りまくっているな」
沙汰は瞳孔イッちゃってる錠に手を振りつつつ。
「あ、沙汰おにーちゃんとこに何か飛んできて危なかったら、ちゃーんとディフェンスするよ」
にぱっとわらう陽桜は、頼もしい!
そんな雛姫へ恨めしげな視線を送っている十四行は、ええーいままよ精神で。感じ取ったのか、無理のない程度に全力を出すんだよ。雛姫は、そんな視線をふんわり送って。
「神様仏様プロレスの女神様! 俺に、そして俺を見てくれてるあの娘に、燃えるあの感覚を一瞬だけでも与えてくれぇ!」
とにかく雛姫の心を沸かせたい一心で、華麗な投げ技決めてみせて。
「えへへ、こーゆーのもおもしろいの♪」
陽桜とレキはポップコーン片手に、手に汗握って。
「あの、おひさしぶりです。先月はCDありがとうございました!」
今日はおけがしないように、気をつけてくださいねと微笑む桃。沙汰も笑顔返しながら、隣の席勧めてみたり。
「最近全く体動かしてねぇからな……特訓にちょうどいいや!」
ホーミングバレットをばら撒いて、手当たりしだい挑んでゆく焔へ、名乗りを上げながら立ち向かってゆくのは、宝石戦士ジュエリア・アメジストこと朱香&装甲闘士レインディアこと巧!
「ゆくぞ、天地矢弾嵐震陣」
「空と地の弾幕から逃げられるかな?」
隙間なく埋め尽くす、まさに弾道の雨あられ。フッと笑み零しながらぶっ倒れてゆく焔と弾道隠れ蓑にして、隙を狙ってゆくのは絹代だ。
「真正面から挑む? 脳筋はこれだから……」
ドヤ顔でウロボロスブレイド振り回し、隠れていた紅葉を狙い撃ち!
「この嵐、止めれるもんなら止めてみやがれってんだ!!」
「きしゃーっ!!」
見つかった事に気づき、紅葉はタスマニアデビルもビックリな威嚇を繰り出してみるが、それで止まるような参加者はここにはおらぬ!
「必殺、レインディアキィィィック!」
巧が鋭い機動力で、逆に絹代を狙うその時に!
「聞けやおまえら! ここに貴様らの憎むべきリア充がいるぞぉ! ついさっき恋人とキスした正真正銘のリア充がなぁ!!」
びしーっ。テキトーに指差しおった三成さん。私の事じゃないですからと、ちゃっかり物影に引っ込んでみる紅葉さんは、ちゃっかり朱香を狙撃して。
「「メリーデストロイ☆」」
遥か下手から、アルニカ御一考の怒涛の乱射!
「ち、ちょっとタンマっす。リア充でもなければ一人の少女に寄っ、ぐはっ!」
「ふ、恨みっこなしじゃて……」
リア充じゃなくて姉弟なのに誤爆を喰らった巧と、ぶっ飛ぶ絹代の向こうで、アーマーボロッボロになるほどの砲弾を浴びた優奈は吐血を拭いながら。
「一人でも多く地獄に引きずり込んでやるわー」
零距離フォースブレイクで、鈿女をばこーんっ♪
「ヒャッハー!! 燃えろ燃えろぉ!!」
皆さんへ火炎放射しつつ、本物のリア充こそこの俺よォ! なんて三成思わず口走っちゃったら。
「メリーコワシマスですわ!」
アルニカさん、民族大移動で乱入!
ピンクウィッグに猫耳、青いカラコンピンクの衣装の玲璃さん、ライブハウスっぽく歌声で勝負。
「おるぁああああ!! クリスマスなんてぶっ壊す!!」
「……私のコイビトはガトちゃんネ……! 文句ある奴は片っ端から撃ってやるわ!」
梓は血走った目で、彼女イナイ怨念という名の閃光百裂拳で三成を成敗。物理的愛を優奈へと炸裂させてたつぐみ。
「イエス大乱闘! え、彼氏? 小学生に何期待してるんですかー!!」
「オルゥア! 大人しく氷漬けになりな! ヒャッハー!」
ライフル二丁構え、今夜は両手に花だぜと言わんばかりにガンガン撃ちまくりながら特攻の詩稲さん。四季彩メンバーで突撃の黒武のテンションは間違いなく突き抜けていた。そんな彼の後ろで、蔵人さんは黙々と白銀の焔とオーラを放ちまくっている。
「斬り伏せてくれる」
間合いへと入りこんで、目を血走らせている梓の視界を更に赤く染め上げる。
「ねえ知ってる? サンタの服が赤いのって、返り血を目立たせない為らしいわ」
赤を映えさせうっとり顔のくるみは、今年も可愛いミニスカサンタ。
「ふええ?! ってことは本当のサンタさんもメリーデストロイなのっ?!」
今まで考えてたサンタさんのイメージとは全然違うよぉと、慄くめいこもミニスカサンタのまま、フォースブレイクいっぱーつ☆
「サンタは返り血浴びるようなことはしないと思います」
間違いを正す敬厳もサンタ衣装で、クリスマスらしく紅蓮斬で赤色をプラス。
「確かに赤でも黒でも返り血目立たないよねー」
千鶴は冗談に乗りつつ。今年もたいちゃんと一緒に、トラウマのプレゼントフォーユー☆
「……あ、千鶴先輩のトラウマプレゼントも面白そうっすね」
俺も俺も。トラウマ撒きに乗じる律。心身ともにですとろーい☆
「預言者の瞳を使いつつ動けば勝てる見込みがある……! チョッ?! マッテェリァアアアアル!?」
ガンガン予言していたら見えたのは自分の倒れる瞬間だなんてそんな。黒武はトラウマ貰って吐血。
「クリスマスプレゼントとちょっと早いがサイキック弾のお年玉だー!」
詩稲は無茶苦茶にリップルバスター。バンバン穴開けられても、くるみさんの精神はこの程度で折れたりはせんよ。
「多分めーこちゃん辺りが何とかするでしょ……ってめいこちゃぁぁーん!?」
「はわーっ」
詩稲の乱射にめいこもばたんきゅー。嗚呼、赤色の増加が止まらない☆
「ああ! 寝ちゃ! 寝ちゃダメですの!!」
玲璃はめいこをがくがくゆさゆさ。
「やっぱりクリスマスはお祭りしないとね!」
千鶴とつぐみ、キャッキャしながらデストローイ☆
「……ダン君、それ去年から恐ろしくなってるんすけど」
律がクリスマスらしくクランプスに扮している檀、横目で見つつ。
「良い子にはお菓子をあげる風習があるそうです」
今年こそクリスマスらしさを醸し出しているはずですと、檀は可愛い飴を袋から。
「なんだか、なまはげみたいですね!」
悪意ない敬厳の素直な感想に、
「……これも駄目ですか、そうですか」
軽く遠い目の檀さんは、唯一乱闘にマッチしている扮装と攻撃をなさって。
「今宵のライブハウスは血に飢えておる……」
そんな檀の血祭りを間近に見ながら、サーニャは思わずぽつりと。
「一つ、斬り合って行かないか……?」
何時もなら死角からバッサリ行くような宗嗣も、相手によっては礼節を重んじ。
「望むところ。いざ尋常にお相手願おう!」
申し出受けるサーニャ。二人の間に火花散る。
そんな両者の瞬きが、宗嗣の一戦で途絶えた時。新たな一筋は、誰のもの?
「探したよ、香流」
ようやくたどり着いた半身に、留香は獣の手を具現化させながら。
「学園に来る前の決着をつけようよ。だって今、五分じゃない?」
香流は冷気纏わせつつ対照的に無邪気に笑って。
「ただ、本能のままに打ち合おう!」
唸る獣の刃が白炎描き。鋼の一筋、数多舞う。
笑む顔の向こう、紅散らすのは留香だけど。魂震わすひとときに、二人手を結んで。
――最後まで残っているのは、チセと壱。
踏み台にした以上は勝てよという漣香のおんね……ではなく祈りと、楽しんでこいという親のような視線の十織と。
「勝負やね」
「最後の最後はりきってこー」
ドグマスパイクを構え跳躍する壱と、ピンク色の星を連れて走るチセ。
ぶつかり合う輝きと歓喜、聖夜に響いて。
打撃に転がり、大の字になる壱だけど、顔は清々しげ。そんな彼女へと、チセは手を伸ばし。起こしてあげて。
「お疲れさん」
屈む十織と笑顔でハイタッチして。
「みんな、メリークリスマス!」
ピンク色のお菓子袋。聖夜の健闘をたたえる様に、降り注いだ。
作者:那珂川未来 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年12月24日
難度:簡単
参加:96人
結果:成功!
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得票:格好よかった 11/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 3
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