クリスマス2014~クリスマスケーキパーティー♪

    作者:朝比奈万理

     たくさんのベリーがどっさり乗ったショートケーキ。
     ビタースウィートなチョコレートケーキ。
     色とりどりのフルーツが山盛りのフルーツタルト。
     そして、切り株を模したブッシュ・ド・ノエルや、バウム・ド・ノエル……。
     どのケーキにも共通しているのは、『Merry Chistmas』の文字のピンと、小さいヒイラギやリース、砂糖細工のサンタクロースなどの飾りがちょこんと飾ってあること。
    「……どれもこれも美味しそうー♪」
     クリスマスケーキのカタログを前に頬に手を当ててうっとりしているのは、千曲・花近(高校生ご当地ヒーロー・dn0217)。
    「これ、買ってきて食べるのもいいけど、手作りのケーキって、もっともーっと美味しいんだよねぇー♪」

     と、いうことで。
    「みんなでクリスマスケーキ作ろうよ♪」
     着物の袖に襷をかけて腰に前掛けを装着した花近の前にズラリと並んだのは、お菓子作りに必要な調理器具。
     それと、ケーキの材料になる小麦粉、バター、牛乳に卵、生クリームに香り付けのいろいろな洋酒にフルーツ。
     デコレーションのココアパウダーや粉糖。イチゴやマンゴーなどのフルーツソースに、色とりどりのチョコペン。
     さらに、飾りつけのチョコプレートに、砂糖細工のサンタさんや雪だるま。それにクリスマス用のピックに飾り……。
     和風ケーキ用の材料として、抹茶や小豆、白玉団子や黒ゴマソースまで揃っている。
    「ここにない材料の持ち込みは歓迎だよ。んで、みんなでケーキを作った後には、みんなで食べよう♪ 愛情こもった手作りケーキだもん、きっと美味しいよ♪」
     ケーキの材料の隣には各種飲み物。
     コーヒーや紅茶、ジュースなどのソフトドリンクのケーキのお供が揃っている。
    「友達や恋人、仲良しグループで楽しくケーキ作って、その出来上がったケーキを美味しく食べるなんて、素敵……♪」
     想像するだけで美味しそうで、幸せで。
     楽しいケーキ作りと、後の美味しい時間に想いを馳せた花近は、ほっぺたがとろけちゃうとばかりに頬に手を当てて、ふんわり笑んだ。
    「もちろん、ひとりでケーキ作って独り占めするのもありだよね! 誰にも邪魔されずにケーキ満喫、甘党さんには至極の時間だと思うんだ!」
     美味しく作ったケーキをまるまる独り占め。こういうケーキパーティーも、もちろん有り。
    「だから、クリスマスにみんなでケーキパーティーやろうよ♪ きっと楽しいし美味しいよ!」
     と花近は、満面の笑みを見せた。

     さぁ、楽しいケーキパーティーのはじまりはじまり♪


    ■リプレイ

    ●作ってー♪
    「ここから離れるなよ」
     調理台にちょこんと顔を乗せたクッキーの目に飛び込んでくるのは楽しそうにケーキを作るみんなの笑顔。
     そして鼻をくすぐるのはヴォルフが混ぜる生地の甘い甘い練乳と牛乳の香り。

     千波耶と真珠はブッシュドノエルに挑戦。厚いスポンジを焼こうなんて賭けはしないのだ。
     スポンジに載せるのは用意されてる果物を全種類。チョコクリームの上に乗せて巻いていけば、土台の出来上がり。
    「この歪みがいい味出してますね、完璧です」

     料理は得意だけどケーキ作りは初めて。イリスが作ったのは焼きケーキという名のカステラ。
     漂うのはふんわりと甘い香り。

     【蝉時雨】は大きなケーキの飾りつけ。
     理一が果物を切っていけば海月も型抜きを使って飾りを作り、クリームの上にチョコスプレーを降らせる。
     その隣では想希が器用に苺と桃でサンタとひよこを生み出す。
     ホナミがシュークリームを並べてチョコペンで耳とハートを描いて小さな羽根を付けたら、可愛いナノナノの出来上がり♪
    「懐かしいなぁ」
     二年前を思い出す嘉市が飾ったのはメレンゲで作った理一の人形。
    「きーちくん、ホント僕のこと好きだね」
     理一の一言に、嘉市の拳が鳴る。
    「カカオ99%?」
    「ダメなのですか?」
     甘いチョコを飾るミケの苦い顔が、苦いチョコを忍ばせた竜鬼に刺さる。

     ほうじ茶生地のふくれ菓子を作る悟がふと顔を上げると、恋人の姿が目にとまる。
     飾りを作る手際のよさもいつも通り。恋人の様子に思わず笑顔になる。
     蒸しあがったら、気付かれないうちに撤収。
     ケーキパーティーはふたりの部屋で。
    (「想希、喜んでくれたらえぇな!」)

     【Gemelli】が作るのは苺メインのフルーツケーキ。
     朱里が焼き上げたスポンジに飾りつけ。
     果物を飾っていく結奈の隣で愛奈も楽しそう。
    「やっべ盛りすぎたわ」
     絣の手元でぽろぽろと零れる果物たち。
     料理好きのジェラルドはガトーショコラをはじめ様々なケーキを生み出す。
    「恋羽、最後のチョコペンで『Gemelli』って書くといいよ」
    「いいんですか? ちょっと緊張しますね」
     仕上げは仲間を集めた恋羽の手書きの文字。

    「先輩、包丁はこう持つと切りやすいよ」
     奏哉に手解きをしながら与四郎は手際よくクリームを泡立てていく。
    「よっちゃんが教えてくれるから心強いよ」
     先輩後輩の立場が逆で少し不思議な感じ。
     つまみ食いしながら作るのはクリームたっぷりのケーキ。

     スポンジにクリームを塗って苺を乗せるだけの簡単な作業のはずなのに。
     クリームにまみれながら裕也は思う。
    (「ちっとも簡単な気がしませんがっ!」)

     しづこが作るのは小さなブッシュドノエル。慣れた手つきで飾りつけを施していく。
     壱が任されたのはクロカンブッシュ。転がるプチシューに苦戦しながらもツリー状に重ねて苺やホワイトチョコで飾りつけ。
     最後はシュクレフィレ。高温の飴を糸のように垂らしていくが、しづこは気が気ではない。
    「大丈夫よ」
    「しづが心配なの!」

    『味見お願いします』
     スケッチブックを当麻に見せた音々は苺に泡立たクリームをつけて『あーんです』と差し出せば、
    「あーんって!」
     当麻は真っ赤になりながら差し出された苺をぱくり。
    「美味しい」
     その言葉ににっこり笑う音々。そんな彼女がとても可愛い。
     ふたりで作ったフルーツケーキもきっと美味しい。

     【愉快な仲間たち】が作るのは苺メインの大きなケーキ。
    「こんなもんでいいわよね?」
     御凛は泡立てたクリームをスポンジに塗っていく。
     ケーキを甘くしたい蓮。それを止めるのはアレクセイが差し出す苺とクリーム。
    「出来るまでこれ食べて大人しくしててください」
    「んぅ」
     メインの飾りつけは藍蘭の仕事。果物を盛り付けてビターチョコプレートを乗せれば。
    「こんな感じでどうでしょうか?」

     各々ケーキを作る【つきゆめ】。
    「抹茶苦手な方います?」
     彩歌が作るのは抹茶ケーキ。材料をそろえながら声をかけると、
    「大丈夫だよ」
     答える輝乃はレシピを見ながら袋に入れたビスケットを砕いていく。
    「わたしも好きですよー」
     セレスティも丁寧に量った材料をしっかりと混ぜてチョコの生地を作る。
    「クリスマス、こんなに賑やかなのはひょっとしたら初めて、かも」
     レシピとにらめっこの依織が作るのは苺のショートケーキ。
    「出来あがったケーキを並べてみるのも楽しみだね」
     ざっくり混ぜた生地にドライフルーツを入れて混ぜるのはティオ。ケーキ型に流した生地をオーブンに入れる。
    「彩歌おねえちゃん、おてつだいしてくれる?」
     クリームを入れた絞り袋が上手く扱えない小麦。
    「はい、お手伝いしますよー」

     クリームを混ぜる空の目の前には、果物、クッキーやビスケット、そしてパイにプリンやチョコプレート。
     スポンジが焼ければ三枚に切って自分だけのケーキを作っていく。

    「大切な人に贈るって話だっけ?」
    「私からのありがとう、を伝えられたら、って」
     治胡の問いかけに結は少し照れる。
     ケーキ作りの練習を重ねてきたふたりは手際よく、失敗しないように慎重に材料を混ぜていく。
    「似合わねーだろ」
     自分のエプロン姿に少し照れくさい治胡。結は少し首をかしげて。
    「そんなことないですよ。夜鷹先輩のエプロン姿、素敵ですよ?」
     憧れの先輩の意外な一面がなんだか嬉しい。

     【刺繍倶楽部】はココアと抹茶のブッシュドノエルの完成を目指す。
    「ホットケーキミックスで手軽に作れますから大丈夫」
     依子がベースの生地を混ぜて希沙と煉火に手渡す。
     受け取った生地にココアを混ぜる希沙の隣で、煉火も抹茶を混ぜるが、もくもくと上がるのは抹茶の粉。
     何とか出来た二種類の生地を香乃果が卵焼き用のフライパンでじっくりと焼いていく。
     その隣では健がココアクリームと抹茶クリームを泡立て。
     藤乃は抹茶チョコを作るが、抹茶がダマになってしまってホワイトチョコと混ざらない惨事。
     何とか出来上がった抹茶チョコは冷蔵庫で固められて柊の形に抜いていく。
     ケーキにクリームを塗って筋を入れていくのは健。切り株にナッツを飾って抹茶チョコの柊をつければ最後の仕上げはチョコペンを握った希沙による文字入れ。

    「きつかったら言えよ?」
     生地やクリームを混ぜる里桜を気遣いながら勇騎は飾りつけの材料を仕込んでいく。
    「大丈夫、これもいい修行になるからさ」
     重労働な混ぜる作業。だけど勇騎と一緒にケーキを作るのは楽しいし嬉しい。

     【SG】は、それぞれ別のケーキを作る。
     ウルスラが作るのはクリスマスプディング。型に生地とおみくじを入れて蒸し揚げた三つの山にホワイトチョコとホイップクリームでトッピング。
     たくさんの材料の中からユウが選び取ったのはブッシュドノエルの材料。ケーキ作りの経験がないので失敗しそうだけど、何とかなるとクリームを泡立てていく。
     榛名が作るのはたくさん用意された果物を使ってのフルーツタルト。
    「スポンジさえ上手くできれば後はどうとでもなりますよ」
     苦戦気味のユウにアドバイスを送り、
    「綺麗な飾り付けですね。賑やかですしとても美味しそう」
     見慣れないケーキに目を細めながら果物を飾っていく。

     手作りケーキの醍醐味は好きなものをたくさん入れられる事!
     叶世とウィナリアの『大好き』をたくさん挟んで盛り付け。
     クリーム山盛り、たくさんベリーも乗せて。
     二つのチョコプレートには、
    「かなちゃん大好きって書こう」
    「私もウィナちゃんだいすきって書くもの!」

    「皆さん、お集まりいただき感謝っす」
     【天剣絶刀】の部長・ギィはケーキ製作の音頭をとった。彼が作るのは葡萄ジュースのソルベ。ジュースを凍らせている間は手伝いに。
    「美味しく作るわよ」
     明日等はスポンジにクリームを塗ってメレンゲのナノナノを飾りつけ。猫の形のクッキーを添えて。
     架乃はチョコクリームとバナナをスポンジの間にたくさん敷き詰めて、一番上には苺を飾る。
     モカがフライパンで焼いていくのは小さいスポンジ。焼けたらクリームや果物を盛り付けて、お好みの具材をどうぞなオムレットの完成。
    「皆に美味い! って言われるモン作りてぇな♪」
     三角巾と割烹着でばっちり決めたさやかは和風の創作ケーキに挑む。
     タルト生地にこし餡、クリーム、抹茶の餡子の層を重ねて軽く焼き上げ。最後に白玉団子を飾ったら和風パフェケーキの出来上がり。

    「桜子にゃんと一緒に過ごせてうれしいですよ」
    「まじめに作ってよ? せめて食べられるものね?」
     張り切るイオノに桜子は釘を刺す。
     二人はケーキを作りあうことに。
    「桜子にゃんはいもけんぴが好きですからねー」
     ショートケーキの仕上げは芋けんぴ。ぷすぷすとぶっ刺していく。
     桜子が作るのはチョコケーキだけど好みの甘さがよくわからない。
    「まぁ控えめにしよ」
     
     【五日市街道キャンパス高校1年3組】は各々違うケーキを作る。
     料理は作れるがケーキ作りは初めての淳士。レシピ本片手にショートケーキに挑戦。
    「さっくり混ぜる、ってなんだ。クリームもなかなか泡立たないし」
     憤慨寸前で差し出されたのはハンドミキサー。
    「クリームは冷やしながら混ぜるといいよ」
     苦戦するヘイルズにアドバイスを送りながら作るのはチョコケーキ。手際もよく後は飾りつけのみ。

    「ガトーショコラ作りたい」
    「いいね、コーヒーに合う」
     沙花の提案で作り始めたガトーショコラ。観月はざっくりした説明をしながら沙花の無言のチラ見を受けながら作り進める。
    「ドライラズベリー入れたいです」
    「いいよ、入れたい量入れて」
     ドライラズベリーを適量入れながら、
    「にしても女子力高いよね、君」
     沙花の褒め言葉は観月の顔を歪ませる。

    「さっくん、フルーツケーキ作ろ?」
     英と音羽もフルーツケーキを作る。
     飾りつけをする音羽は英の大好物の桃をたくさん乗せて、所々鮮やかな果物でアクセント。
     それに比べて英のケーキは白い。なぜなら桃ばかりを乗せているから。
    「顔にクリームついてるなの」
     ナプキンで拭ってくれた音羽の顔が近くて、ぽぽぽと英の顔は赤くなっていく。
    「熱あるの!?」

     珈薫は猫柄のエプロンを、郎は黒のエプロンを付けて髪を結んで準備万端。
    「泡立てよろしくね」
     チョコクリームを郎に任せて細かい作業をこなしていく珈薫だが、郎が心配になってちょっと覗き見。
    「失敗はしてねぇ! 味見してみるか?」
     郎がスプーンにチョコクリームを掬うと珈薫がぱくりと味見。
     失敗はしていないはずだけど、郎の尻尾は素直にそわそわ。
    「うん、上出来!」
     珈薫の笑顔に郎の尻尾がぱたぱたと揺れる。

     冬人が指揮を取って作ったケーキにマジパンで自分達の人形を作って飾り付けるのは【Little Slayers】。
     氷雪は出来上がったケーキの上に丁寧にお菓子の家を組んでいく。
    「マジパンってパンだと思ってたんですよ」
    「え、マジパンってパンじゃ、ない、のか?」
     ペーストに食紅を入れて練りながら照れるリオンの隣で、センリが驚愕の声をあげた。更にその隣の春人が目を逸らす。自分も右に同じだったのは内緒だ。
     楽しく作ったマジパン人形は五人そっくり。それをお菓子の家の前に飾って粉糖を散らせば、【Little Slayers】特製ケーキの完成。

     果物たっぷりケーキを作ろうと考えているアルメリア。
    「美味しいもの全部入れたら、きっと美味しくなるわ!」
    「その理論で何とかなるのはカレーくらいなものだから!」
     スポンジの材料が入ったボウルに豪快に果物を入れようとするが、チョコケーキを作っていたジリアスがその凶行を止める。
    「飾り付ける時には好きなだけ乗せていいから!」
     なだめながらのケーキ作りはまだ続く。

     【アーデルグランツ】兄妹も、各々ケーキを作っていく。
     フェルディナントはビター風味の切り株型ブッシュドノエルを。その脇には甘めの生クリーム。
     フィオレンツァもブッシュドノエル。こちらも切り株だけどチョコと相性のよいベリーソースがアクセント。皿には鮮やかなソースの薔薇と蝶。
     相棒のラルムを模したレモンケーキを作るベアトリーチェ。眉と目はチョコソース、くちばしはマンゴー、苺ソースで帽子を描いて、仕上げは皿にキウイソースのクリスマスツリーを描いて。

     【古ノルド語研究会】も各々違うケーキを作った。
     翔汰はシンプルなショートケーキ。
     琥珀は段々ケーキ。
     透流が作ったのは、ブルーベリーのケーキ。
     アルディマはラム酒を利かせたレアチーズケーキ。
     四人は出来上がったケーキをテーブルに置くと、どこかに消えてしまう。

     【文月探偵倶楽部】のケーキのお題は『クロネコレッド』。
    「綺麗なケーキを作ろうなんだよー」
     毬衣はサポート役。チョコの湯煎を頑張る。
     シュークリームで再現するのはミカエラ。栗の甘露煮を貼り付けようと、ぐりぐり。
     レミはケーキの上にマジパンで作った様々なクロネコレッドを飾りつけ。
     藍の作るケーキは大作・等身大のクロネコレッド。
    「直哉さん、ケーキの横でポーズを取ってくださいね」
    「こんな感じか?」
     皆の手伝いをしていた直哉はピシッと決めポーズを取る。

     【あかいくま】はファームの果物を使ってのフルーツケーキ。
    「かっ、飾り付けていいの?」
    「天辺にいくらか隙間を残しておいてくださいね」
     絞り袋に追加でクリームをつめながら嘉月が翠と月夜に指示。
    「はいっ。翠君、どのくらい残しましょうか?」
     配色鮮やかに果物が飾られていく。
     残すは真ん中の飾りクリーム。

    「今日は最初から作ります。もちろん僕が」
    「大條くん、ケーキ作れるんだー」
     決意の表情の修太郎を、郁は尊敬のまなざしで見つめる。
     作るのはフルーツケーキ。修太郎は作り方のメモを見ながら生地を仕込んでいく。
     隣で郁が初心者向けのケーキ本を見ながらクリームを泡立てて、果物を仕込む。
     スポンジが焼きあがったら丁寧に切られた果物を自由に飾りつけ。

     【糖分は神】はクリームたっぷりのケーキを作る。
     愛情を込めた分だけ料理は美味しくなる。
    「美味しくなぁれ♪」
     歌いながら材料を混ぜるましろの隣で苺を切るのは嵐。
    「花守が言うとホントに美味くなりそうだカラ、不思議」
     ケーキの淵を苺で囲ったら、クッキーやチョコ、マジパンの動物を置いて、粉糖を降らせれば雪の動物園。
    「うわぁ、可愛い」
     通りかかった花近を誘って、ましろと嵐はケーキを囲んで記念撮影。

     ケイトと三樹は親子水入らずでケーキ作り。
     甘い香り漂うスポンジ作りから仲良く手を取って混ぜていく。
    「こう? うーん」
    「その調子よ、上手に出来てるわよぉ」
     焼きあがったスポンジに薄くクリームを塗るのは三樹。残りの飾りつけはケイト。
     仕上げは砂糖菓子のサンタさん。

     【虹喫茶】の三人も楽しくケーキ作り。
    「ケーキ作りってやったことなかったけど楽しいね」
     食べる前にカロリー消費を消費するため、樹咲楽はぐにぐにと飴で虹を作り、泡だて器を握ってホイップ。
     ビアンカも丁寧に砂糖細工でお花を作っていく。
    「カフェ店長の腕を見せてあげるわ!」
     エリスティアが焼き上げたのは三十人前のスポンジ。
    「なんか大きくなりすぎちゃったかも?」
     これにはビアンカもびっくり。でもクリームとお花の砂糖細工そして虹の飴細工を飾っていく。
     
     花近の手伝いにと参加した鸞だったが、
    「鸞ちゃんもケーキ作って?」
     と花近に促され開いている調理台でケーキを作り始める。
     サボテンペーストを少量生地に混ぜて三角のクッキーを焼いていく。
    (「どうか皆様が楽しめます様」)

    「ケーキ作りはどうだった?」
     チョコケーキの焼き上がりを待つ碧衣と曜灯。
    「少し不安でしたが、楽しかったです」
     誰かと一緒に作るお菓子はそれだけで美味しい。大切な人と過ごす時間はそれだけでも幸せ。
    「また一緒に作ろうね」
    「はい、是非とも!」

     花近はステラに捕まっていた。
     果実を生地に練りこみながら、すばやい動きを見せるステラ。
    「すっごい器用」
     花近、突っ込むところが違う。
     生地が焼きあがったところで、交響曲第九番の話になり、
    「ネイティブが歌うとこんな感じです」
     澄んだ歌声は会場中に響き渡り、気がつけば花近も釣られて唄う。
     飾り付けが終わるタイミングと歌が終わるタイミングはほぼ同時。
    「いかがでしたか?」
     何が!? と突っ込んではいけない。

    ●食べよう!
     ミルクケーキを器に貰って美味しそうに食べるクッキーを見張りながら、ヴォルフも出来上がったミルクケーキを頬張る。
     
     ブッシュドノエルの切れ端と果物、そして飲み物で千波耶と真珠は一足早いメリークリスマス!
     本番はシェアハウスのみんなと一緒に。

     【蝉時雨】のケーキの真ん中には、想希が飾ったハートの苺。
     写真を撮って思い出を残したらみんなでケーキ入刀。
     さて、苦いチョコは誰が引き当てる?
     
     紅茶が並んだテーブルの上には【Gemelli】の文字入りフルーツケーキをはじめ、様々なケーキが並ぶ。
     写真を撮ったら五等分になるように分度器で量ってケーキを切り分けていく。
    「大切なのは譲り合いの精神だと、おにーさん思うわけですよ」

     ケーキを真ん中に奏哉と与四郎は笑顔。
    「お味はどうですか、先輩?」
    「とても美味しいよ。ありがとう、よっちゃん」

     その隣では裕也がホールのショートケーキをひたすらもぐもぐしている。
     甘党には至福のひとときを満喫中。

    「できたっ」
     ハイタッチで完成を喜ぶのは、しづこと壱。
     頑張って作ったケーキのお供は美味しい紅茶。
     美味しい笑顔に、しづこもにっこり。
    「しづはね、今とっても幸せな気持ち!」
    「ん、アタシも幸せ!」

     藍蘭が紅茶を入れたら、お待ちかねの美味しい時間。
     ちょっと甘すぎたかもしれない【愉快な仲間たち】のケーキは紅茶によく合う。
    「はい、あーん」
    「それはナシですって!」
     それでも蓮に押し切られてフォークの上のケーキを食べるアレクセイ。
     楽しそうな雰囲気はテーブルを和ませていく。

     六つの個性豊かなケーキが並ぶのは【つきゆめ】のテーブル。
     囲むのは、六人の幸せの笑顔。
    「それでは皆さんで食べ比べと参りましょう!」
     
     大きな特製ホールケーキ独り占め。大食いさんには至福のひととき。
     口の周りをクリームだらけにして空は心底幸せそう。

     治胡と結が作ったのはブッシュドノエル。
    「志那都も呼んでくりゃ良かったかもな」
     共通の知人の名を出しつつ小さく切り分けた分を皿に乗せ、残りは友達にと箱にしまった治胡。
    「今日は本当にありがとうございました。来年もよろしくお願いします、です」
     笑う結。先輩と後輩のささやかなお茶会が始まる。

     【刺繍倶楽部】の二種類のブッシュドノエルには豪快に「メリクリ!」の文字。
     ハプニングもあったけど出来上がったのは美味しいケーキ。
     飲み物もみんなの手に渡り、ケーキパーティが始まる。

     皿の上にはサンタとウサギが乗ったブッシュドノエル。
     出来上がったケーキに目を輝かせていた里桜はフォークにケーキを取って勇騎へ。
     照れくさそうにそれを食べた勇騎。里桜も一口ケーキをほおばり。
    「やっぱり勇騎の作るケーキが一番好き」
    「好きなだけ作ってやるよ。お前が望むなら、いつだってな」
     
     【SG】のテーブルにはクリスマスプディングにフルーツタルト、そしてブッシュドノエルが並んだ。
    「では、聖夜とケーキの恵みに感謝!Merry Christmas!」
     ウルスラの音頭で三種類のケーキを頬張っていく。
    「ん、おふたりの、とっても美味しいです」
     榛名が笑顔になれば隣ではユウも美味しそうに口元を綻ばせる。
    「楽しいクリスマスを、ありがとう、ね?」

     出来上がった大きなケーキに笑顔なのは叶世とウィナリア。
    「ね、此処にいつかの半分こ同盟を結成しませんか」
     我らの歩みは今日に終わらず放課後おやつを求める旅は続く。そんな約束。
    「はい! 半分こ同盟結成します!」
     ティーカップを掲げて宣誓は姉妹の契りのようで。二人の声が重なる。
    「今日の誓いと美味しいケーキに、かんぱーい!」

     【天剣絶刀】のテーブルに並んだのは四種類のケーキ。そして隠し味のレモンが香る葡萄のソルベ。
     ケーキを切り分ければ仲間とわいわい楽しむケーキパーティの始まり。

    「なんで芋けんぴ刺さってんのよ」
     桜子の抗議もイオノはどこ吹く風。
    「我ながらいい出来なのです」
     美味しい食べさせあいっこも漫才のようで、幸せそうなイオノの笑顔に桜子も口元を緩ませる。
    「誘ってくれてありがとね、イオノ」

     【五日市街道キャンパス高校1年3組】のテーブルに三種類のケーキが並ぶ。
    「どちらも美味しいな」
    「うん、美味しい」
     ヴェルナリアとヘイルズが舌鼓を打つと、淳士もケーキをほおばり。
    「クリスマスって効果もあって、最高に美味しいな」
     それぞれを口に運べば自然と笑顔になれる。

    「あ、ちゃんと出来てる」
    「普通に作れば普通の味にはなる」
     沙花と観月はガトーショコラを切り分け食べる。
    「今回はお世話になったから、今度はちゃんと自力で作ったケーキをご馳走するよ」
    「あー、うん、期待しないで待ってるよ」
     ケーキのお供はもちろんコーヒー。

    「さっくん、あーん♪」
     音羽がフォークにケーキを掬い取って差し出すと、英の挙動はさらに不振。
    「さっくん、また顔赤い?」
     純粋な瞳で英を覗き込む音羽。
     桃のケーキをほおばりながら英は思う。
    (「好きだ、の一言も言えないなんて、俺まじチキン」)

    「これは美味しい」
     出来上がったブッシュドノエルを挟んで珈薫と郎は舌鼓。
    (「珈薫と作ったからか?」)
     美味しかった理由にふっと笑って、もう一口。
     
     【Little Slayers】も記念撮影。等分したケーキにはそれぞれの人形が乗っている。
    「食べるのがもったいない気がしちゃうわ」
     そういいながら氷雪も、自分の人形が乗ったケーキをひと掬い。
     冬人もケーキを頬張る。
    「美味しい。みんなで作れて楽しかったな」
     
    「んー、美味しい! あたし才能あるんじゃないの?」
     アルメリアはフルーツケーキを自画自賛。しかし目に飛び込んできたのはジリアスのチョコケーキ。
    「ちょ、アルの分も切り分けるから!」
     ジリアスが言い終わらないうちに呻るのは、アルメリアのフォーク。
     
     シェリネージュが用意していたのは、クレープシュゼット。
     テーブルの脇にはコンロ。上にはプライパンに入ったクレープがスタンバイ。
     グラスに入ったグランマニエがフライパンに注がれると、立ち上るのは心躍る美しい青い炎。
     これで兄弟全員のケーキが揃い、美味しい時間がはじまる。

     戻ってきた四人のいるその空間は、武蔵坂学園のクリスマスケーキパーティーの会場ではなかった。
     燕尾服とドレスに身を包んだ【古ノルド語研究会】の優雅なお茶会は、どこかのお城か宮殿の様。
     四人の前には切り分けられたケーキと紅茶が並ぶ。
    「こっちもなかなかいけるのよ」
     水色のドレスを着た琥珀の手と口は、ケーキを食べつくすまで止まらない。
    「それぞれの個性が出てるよな」
     着慣れない服で落ち着かない様子だった翔汰は笑顔。
     可愛らしい青のドレスに身を包んだ透流も美味しそうに頬張る。
     せっかくの正装なのだからと優雅にケーキを頂くのはアルディマ。
     先の戦争も終わり一休み。これからも頑張ろうと誓う。

     【文月探偵倶楽部】のテーブルには、多数のクロネコレッドが揃った。
    「すげー! 食べるのがもったいくらいだぜ」
     感嘆の声をあげる直哉。
    「それではケーキカットです」
     藍がプラスチックのナイフを直哉に向ければ、
    「こっちがケーキっすか」
    「きっと美味しいぞー♪」
     とレミとミカエラがフォークを突き立て、あーんと毬衣が齧り付く。
    「って俺、ケーキじゃないから!」

     【あかいくま】のテーブルに並ぶのはフルーツケーキと、嘉月が追加で作ったフルーツタルト。
    「りんごさん、好き」
     ふんわり笑んだ翠の隣で、果物を頬張る月夜。
     ファームの恵みはとても美味しい。

     紅茶をケーキのお供にして、修太郎と郁はケーキを頂く。
    「クリーム上手くできてる?」
    「勿論」
     ケーキは素朴な味。
    「後で本格的なケーキ、食べに行こうか」
     修太郎の誘いに、郁は満面の笑み。

    「嵐ちゃん、何飲む?」
    「リンゴジュースがいい」
     【糖分は神】のケーキのお供がコップに注がれる。
     乾杯したら頂きますとメリークリスマス。
     
    「のわわー、おっきいねぇ」
     花近も驚愕の【虹喫茶】のケーキは見た目はキラキラ。でもでかい。
    「あの飴は……」
    「持ち込んでないわよ」
     ビアンカの笑顔に花近はちょっとだけ疑心暗鬼。
     記念撮影をしたらフレーバーティーで乾杯。
    「Buon Natale! よき聖夜を!」

     美味しい笑顔に、聖夜の祝福がありますように♪

    作者:朝比奈万理 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年12月24日
    難度:簡単
    参加:103人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 1/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 13
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