ビキニでスキー!

     百瀬・莉奈(ローズドロップ・d00286)は、こんな噂を耳にした。
     『ビキニ姿の都市伝説が、スキー場に現れた』と……。
     この都市伝説はどんなに寒くてもビキニ姿でいるらしく、心配した一般人が『そんな恰好で、寒くない?』といった感じで近づき、上着を着せてくる事もあるようだ。
     しかし、都市伝説はお礼を言う代わりに、凍えるように冷たい息を吐いて来るらしく、身の危険を感じた一般人が逃げ惑い、大怪我を負う事もあるようである。
     そのため、地元の人間から雪女と呼ばれており、『ビキニ姿の女を見たら、すぐに逃げろ!』と言われ、恐れられているらしい。
     それが原因で都市伝説も強硬手段に出てており、刃物の如く鋭い手刀で服を切り裂き、凍えるように冷たい息を吐いて、一般人を追いかけまわしているようだ。
     都市伝説自体は大して強くないものの、近づけば確実に服を切り裂かれてしまうため、ある程度の覚悟をしておく必要があるだろう。
     場合によっては寒空の中、全裸で都市伝説と戦う必要があるので、色々な意味で注意が必要である。


    参加者
    百瀬・莉奈(ローズドロップ・d00286)
    土御門・璃理(真剣狩る☆土星♪・d01097)
    字宮・望(穿つ黒の血潮・d02787)
    不知火・読魅(永遠に幼き吸血姫・d04452)
    夜舞・悠(影触手の姫・d21826)
    河野・美冬(あとからあとからふる雪は・d22520)
    明鶴・一羽(朱に染めし鶴一羽・d25116)
    エフティヒア・タラントン(護宝の聖者の血族・d25576)

    ■リプレイ

    ●冬のスキー場
    「……むっちゃ寒か!」
     夜舞・悠(影触手の姫・d21826)は仲間達と共に、都市伝説が確認された場所に向かっていた。
     都市伝説はどんなに寒くてもビキニ姿でスキーをしており、心配して近寄ってくる一般人に冷たい息を吐いて、追いかけまわしているようである。
    「こんな中、ビキニで居るとか想像しただけで、ぶるぶる震えちゃうの……」
     百瀬・莉奈(ローズドロップ・d00286)が、カタカタと体を震わせた。
     とにかく、寒い。寒すぎる!
     にもかかわらず、都市伝説はビキニ姿。
     あり得ない、信じられない、どうかしている。
     そんな言葉が脳裏を過ぎる中で思うのは、早く都市伝説を倒して、温まりたいという事だった。
    「女の子はね、冷やしちゃいけないのよ!」
     河野・美冬(あとからあとからふる雪は・d22520)が、キッパリと言い放つ。
     一体、どんな噂が元になったのか分からないが、こんな寒空の中でビキニ姿という時点でマトモではない。
    「この寒いのに、何故ビキニ。……色気以前に寒気を覚えますね」
     明鶴・一羽(朱に染めし鶴一羽・d25116)が、気まずい様子で汗を流す。
     おそらく、雪女という設定になっているため、寒さを感じないのだろう。
    「もしかして、対人コミュニケーション能力が、ちょっと残念な都市伝説なのかしら……?」
     エフティヒア・タラントン(護宝の聖者の血族・d25576)が、不思議そうに首を傾げた。
     色々と思う事はあるのだが、考えるだけ無駄そうである。
    「どちらにしても、色々な意味で恐ろしい雪女なのですね! その恐怖……、魔砲少女が狩り獲りましょう」
     土御門・璃理(真剣狩る☆土星♪・d01097)が、ビシィッとポーズを決めた。
    「……とは言え、水着姿の雪女とか斬新だな。いっそ、夏に出ればいいのに……」
     字宮・望(穿つ黒の血潮・d02787)が、深い溜息を漏らす。
     このまま都市伝説を放っておけば夏場にも現れそうだが、そんな事をすれば犠牲者が増えていくだけだろう。
    「先ずは都市伝説を見つけぬとな。……と言っても、スキー場にビキニで来る馬鹿など都市伝説位しかおらぬ故、すぐ見つかるじゃろ」
     不知火・読魅(永遠に幼き吸血姫・d04452)が、ゆっくりと辺りを見回した。
    「あ、あの……、よく見た事のある人が、ビキニ姿でスキーをしているんですが……都市伝説ですかねぇ……?」
     大豪院・麗華(大学生神薙使い・dn0029)が、不安げな表情を浮かべる。
    「わ、わたくしは都市伝説ではありませんわ~」
     それに気づいた鈴鹿・幽魅(百合籠の君・d04365)が、ビキニ姿でツッコミを入れつつ、麗華達の横を滑り降りていく。
     そして、そのままビハインドの霊魅が仕掛けたロープに引っ掛かり、雪玉になりながら遠くまで転がって行った。
    「……もう一人おったのう。ビキニでスキー場に来る馬鹿が……」
     読魅がどこか遠くを見つめる。
     とりあえず、何も見なかった。
     そう思った方が色々な意味で幸せかも知れない。

    ●雪山の中で
    「それにしても、一体どこにいるのやら……。まぁ、なぜか服だけを破る性質はあるし、なんとかしないと……」
     望が自分自身に言い聞かせながら、ゆっくりと辺りを見回した。
     その途端、何処からで悲鳴が上がり、あられもない女性達が逃げるようにして、望達の真横を通り過ぎて行く。
    「ひょっとして、あなた達も裸になりたいの?」
     都市伝説はその後を追うようにして現れ、決めつけるような口調で吐き捨てた。
    「みふゆ、つるぺただから脱いでも良いことないのよ!!」
     そう美冬が強がったものの、あっという間に手刀で、ずんばらりん。
     スキーウェアの下に着込んでいたサーカス用のレオタードまで布切れと化す。
     すぐさま、読魅が霊魅と一緒に一羽の前に立ち、美冬の裸が見えないようにビキニ姿のムキムキマッチョなアニキが描かれたプラカードを掲げた。
    「ふふっ……、だったら、あなたも剥いてあげる!」
     それと同時に都市伝説が一気に間合いを詰め、読魅に対して手刀を放つ。
    「たわけ! この程度で妾が怯むと思うたか!」
     その一撃を食らってあられもない姿になった読魅が、躊躇う事なく都市伝説をジロリと睨む。
     だが、丸見え。これでは、一羽の視界を遮った意味がない。
    「ところで、なんでそんな恰好なの? 趣味なの?」
     エフティヒアが都市伝説に問いかけた。
    「何を言っているのか分からないけど、これはあたしの普段着よ」
     都市伝説がさらりと答えを返す。
    「でも、ビキニを着るくらいだから、スタイルいいんだよね?」
     莉奈が都市伝説の体をマジマジと見る。
     思わず溜息が漏れてしまうほど、スタイル抜群。
     念のため、ビキニを着ておいたが、戦う前から白旗状態。
     例え、この場で服を脱いだとしても、ションボリとする結果に終わるだろう。
    「大豪院さんも、ビキニ姿で対抗だよっ!」
     莉奈が握り拳で麗華を煽る。
    「さ、さすがにそれは……」
     麗華が苦笑いを浮かべた。
    「……却下!」
     都市伝説が問答無用で手刀を放つ。
     その途端、麗華の服が布切れと化し、辺りに悲鳴が響き渡った。
    「……遅かったか」
     すぐさま、望がタオルを投げる。
     だが、タオルは悪戯な風に乗って舞い上がり、空に向こうに飛んでいった。
    「ここから先は18禁なので、見せられないにゃ!」
     雪が慌てた様子で、麗華のきわどい部分を隠していく。
     霊犬のバクゥも体を張って、ガード!
    「はぅあ!? 麗華……スタイル良すぎなのですよ、エロイ。ちょっと拝見」
     璃理が感心した様子で、麗華の胸を揉み始めた。
     ま、負けた。完敗である。
     だが、触り心地は病みつきレベル。
    「とりあえず、着替えを……って、サイズが合わないか」
     実が着替えの下着を持ったまま、申し訳なさそうにした。
     事前に仲間達のサイズを聞いていなかったため、ぶかぶかだったり、ぱっつんぱっつんしているようだ。
    「ふふっ……、いいザマね。まあ、服を着たところで、あたしが切り裂いちゃうけど」
     都市伝説がクスクスと笑う。
    「だったら、そっちは脱がしてほしいって事ね? いいわ、私がなぶってあげる」
     悠が含みのある笑みを浮かべて、スレイヤーカードを構える。
    「な、なにそれ。訳が分からない!」
     都市伝説も納得がいかない様子で言い返す。
    「さぁ、鮮血の結末を」
     一羽はそんな事など気にせず眼鏡を外すと、そのままスレイヤーカードを解除した。

    ●麗しき雪女
    「呼ばれなくても、即参上! 魔砲少女・真剣狩る☆土星、土星に代わって灼滅DEATH♪」
     そこですかさず璃理が、ビシィッとポーズを決める。
    「他人を巻き込むの反対! 普通の雪女より、たちが悪いよっ」
     莉奈が嫌悪感をあらわにした。
     その言葉にムッとしたのか、都市伝説が問答無用で手刀を放つ。
     次の瞬間、服が布切れと化して、莉奈の肌がいい感じに露出した。
    「的確に服だけを……。ある意味、達人技だな、これ。全然、尊敬したくないが……」
     望が深い溜息を漏らす。
     おそらく、そう言った噂が流れていたためだろう。
    「にゃー! お気に入りの服だったのに……寒いーっ」
     莉奈が恥ずかしそうにして、その場に座り込む。
     しかも、刺すような寒さが全身を襲っているため、立ち上がる事さえ出来なくなった。
    「ふふふっ……、恥ずかし過ぎて動けないようね。そのまま、みんな凍死しちゃいなさい!」
     都市伝説が高笑いを響かせ、再び手刀を放っていく。
    「せめて、パンツだけは死守しなきゃ」
     エフティヒアが身の危険を感じて、後ろに飛び退いた。
     だが、都市伝説の手刀がカマイタチの如く服を切り裂いてくるため、上着がボロボロになっている。
    「そんな事をしても、全然恥ずかしくないにゃ!」
     それと同時に雪が全裸になる事も恐れず、都市伝説に攻撃を仕掛けていった。
    「……大豪院は男物で我慢できるか?」
     その後ろで実が麗華の前に陣取りながら、男物のジャケットを放り投げる。
     麗華も『この際、文句を言っていられない』とばかりに、放り投げられた上着を羽織った。
    「ほらほら、早く逃げないと、みんな裸になっちゃうわよ」
     都市伝説がさらにテンションをあげて、狂ったように手刀を放っていく。
    「……させるか!」
     一羽もティアーズリッパーで対抗するが、切り裂いたのは、都市伝説の身体。
     それに対して一羽は、無謀にも突っ込んでいったせいで、全裸状態。
     すぐさま、霊魅がプラカードで、一羽の股間を隠す。
    「きゃーきゃー」
     それを目の当たりにした美冬が、両手で顔を隠して指の隙間からチラ見した。
    「このまま、みんな裸に……きゃあ!?」
     都市伝説が驚いた様子で悲鳴を上げる。
    「……目には目をってな」
     その隙をつくようにして、望がヴォルテックスを使い、都市伝説のビキニを斬り裂いていく。
    「う、嘘っ! 信じられない!」
     都市伝説が青ざめた表情を浮かべた。
    「……自業自得ね」
     悠が含みのある笑みを浮かべて、都市伝説に影縛りを仕掛ける。
    「さぁ、貴方の服を完全にブレイクです! マジカル・クルエル・スラッシャー。逝くよ、斬殺・ティアァァァッズ・リッパァァァァ!!」
     次の瞬間、璃理がティアーズリッパーを放ち、都市伝説にトドメをさした。
    「うー……、寒い! 麗華よ、その服を寄こすのじゃ! どうせその下に、『皮下脂肪』という名の服を着ておるから、構わぬじゃろうが!」
     読魅が殺気立った様子で麗華に迫る。
     それに驚いた麗華が男物のジャケットを羽織ったまま、雪の中を走っていくのであった。

    作者:ゆうきつかさ 重傷:なし
    死亡:なし
    闇堕ち:なし
    種類:
    公開:2014年12月12日
    難度:普通
    参加:8人
    結果:成功!
    得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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