12月に入り、クリスマスソングやイルミネーションが街を賑わせている。誰もが少なからずうきうきしてしまう季節が今年もやってきたのだ。
「12月24日、武蔵坂学園では盛大なクリスマスパーティーが開催されます」
黒のタキシードに身を包んだ野々宮・迷宵(中学生エクスブレイン・dn0203)が、初めて参加の生徒にもわかるように丁寧に説明を始める。
「また、その日は学園の外へ出かけて楽しむこともできます。どなたでも自分の好きなことをして楽しむことができるのです」
参考までに、と昨年の様子を伝える迷宵。多くの生徒が今年のクリスマスのことを想像してはわくわくと目を輝かせていた。
「学園内にある伝説の木は、クリスマス前に生徒達が電飾やオーナメントを飾り付け、クリスマスツリーに変わります。大きさは10メートルくらいでしょうか。このツリーの前がメイン会場となり、生徒なら誰でも参加できるクリスマスパーティーが開かれます」
そこで迷宵がすっと手を胸に当て、一礼する。
「そこで皆様にお願いがあります。楽しいパーティーにはごちそうが欠かせません。よろしければパーティーを盛り上げるためにも、皆様にもお料理をお持ちよりいただけないでしょうか?」
クリスマスと言えば、チキンやケーキがぱっと思いつく。けれど、それにこだわることはないと迷宵は言う。
「武蔵坂学園は、さまざまな地域出身の生徒が集う場所。せっかくですから、それぞれの郷土料理を持ち寄るのも楽しいと思います。たくさんのごちそうが並べばより楽しいパーティーになると思いますので。もちろん、必ずお料理を持参しなくてはいけないわけではありません。美味しいお料理をたくさん食べるのも楽しいパーティーの過ごし方ですから」
さっそく生徒達は目の前に迫ったパーティーの計画を立て始める。それをほほえましく見守りながら、迷宵は最後にこう付け足す。
「大切な人や友人と、あるいはお一人でも、素敵な時間をお過ごしください。長い人生の中、この一瞬をこの学園で過ごせる奇跡に感謝しつつ……素敵なクリスマスを」
●パーティーの始まり
いつも利用する商店街で買い物を済ませ、メイン会場へと向かうグラン・スターライト(この男社長でヒーロー・d28548)。
熱々の揚げ物類にビーフシチュー、その匂いを嗅ぐだけで……。
「……お腹が減った」
足が止まってしまいそうになるので気持ちを切り替え、早歩きで会場へと向かう。
さぁ、みんなで楽しい食事を始めよう。
●ツリーの下でごちそうを!
12月24日。この日のために生徒達が飾り付けをした伝説の木は、今年は和風テイストも取り入れた賑やかなツリーになっていた。そしてツリーの下、メイン会場では生徒達が持ち寄った料理をはじめ、たくさんのごちそうが所狭しとテーブルの上に並んでいたのだった。
「ヒャッハー! ごちそうだぁ!」
メイン会場にずらっと並んだごちそうを見て、天鈴・ウルスラ(踊る朔月・d00165)ははしゃいだ声を上げた。
「へへー。今年最後のイベントにみんなと一緒とかうれしいな!」
同じ寮の仲間を見回し、雪片・羽衣(朱音の巫・d03814)は満面の笑顔。
パーティーには生徒達が持ち寄った料理もテーブルにたくさん並んでいる。美しく盛りつけられたごちそうたちは、各国・各地方の特産品などもあり郷土色で溢れていた。
「私はローストターキーを持参。英国育ちですから」
空井・玉(野良猫・d03686)が持参したごちそうを皆に見せる。
「おれは、肉じゃが持ってきた。ちなみに手作り」
お皿によそった肉じゃがを差し出す花月・鏡(蒼黒の猟犬・d00323)。
ひとまずそれぞれが持ち寄った料理を食べる四人。
「皆、料理上手だね」
「うむ、結構なオテマエでゴザッタ。御馳走こそクリスマスの華……ってうおおお、ウイ、何処へ行くデース!?」
羽衣はウルスラと玉の手を引いて会場を歩いていく。
「他になにがあるかな、おいしいものあるかな!」
「はい、あーん」
両手にお皿を持った羽衣のため、鏡がチキンをその口に放り込む。
いつものごはんと、ちょっぴり違うごはん。
こういうクリスマスも、素敵。
「わぁ……た、沢山!」
会場に並ぶごちそうを見渡し、莫原・想々(幽遠おにごっこ・d23600)は感嘆の声を上げる。これだけあれば赤城・扶桑(扶桑樹に見る胡蝶の夢は・d23635)もお腹いっぱいになるかな、と思って振り返ると、扶桑は自分用にホールケーキとチキンを持ち込んでいた。
「たくさん、食べてしまう……ので、その分……」
「食事なんていつも最低限だけど、今日は、とっても楽しい、なぁ」
扶桑の食べっぷりを見ては、いつもは小食の想々が幸せそうに微笑んだ。
「はいは~い、皆、シャンメリーの蓋開けるよ!」
武野・織姫(桃色織女星・d02912)の掛け声でポンっと小気味よい音を立て、蓋が飛ぶ。
「かんぱ~い、メリークリスマス~♪」
「手軽に作れるから沢山作って来たな。どんどん食べてくれな」
手作りのサンドイッチを【武蔵坂HC】の仲間に手渡す保科・飛将(スノーライト・d02264)。それを美味しそうに頬張りながら由津里・好弥(ギフテッド・d01879)は代わりにトマトを差し出した。
「サンドイッチにはトマトですよね。赤と緑でクリスマスカラーですよ」
「トマトもクリスマスにピッタリだったんだね~!」
蒼井・夏奈(小学生ファイアブラッド・d06596)もにっこり笑顔。炭酸入りのフルーツゼリーをみんなにふるまう。
「クリスマスを迎えたが、欲しい物とかあるか? 俺は、新しい自転車かな」
飛将の言葉に、それぞれがうーんと思案する。
「そうだな~新しいスマホとか?」
「猫飼いたいです」
「んー新しいエプロンとか!」
今年も一年いろいろあったから、それに見合うご褒美があってもいいはずだ。また来年もみんなで元気に過ごせるように、もう一度乾杯。
「今年もあと少しだけど来年もよろしく~♪」
「美味しそうな料理がたくさんでとっても賑やかだね」
赤池・和弘(高校生魔法使い・d31450)は親友の山吹・哲郎(サイプレスの盾・d18650)に話しかける。ブログの書きがいがあると判断すると、不意打ちで哲郎の口に料理をあーん。驚きつつもぐもぐした表情を写メでぱしゃり。
「仕返しさせろー!」
哲郎も料理を差し出し返し、写メもばっちり……のはずがブレていた。
こんな風に笑いあえる時間が、お互いの元気な様子が、とても嬉しく思えるのだった。
【井の頭小学1年梅組】のメンバーは学園で初のクリスマス。
「みんなでパーティーたのしみでちーっ!」
焼杉・ひよ(飛べない鶏の子・d28160)は鳥飼・砂羽(サンクトゥス・d29667)がくれたサンタ帽をかぶっては嬉しくなって会場を駆け回っていた。
「うわー、おいしそーなりょーりばっかり! みんなと遊びにこれたの、ほんとにうれしーな!」
元気いっぱいの神崎・紅葉(災いに向かって全力疾走・d28268)がテーブルの料理を前に目をきらきらさせている。
「しかしまあ、皆元気だな。まあ元気な事は良い事だ」
もみじ饅頭を持ち込んだヴァーリ・マニャーキン(本人は崇田愛莉と自称・d27995)は、クラスメイトの様子に表情を和らげる。
「それにしても……うん。愛莉さんのその恰好、凄く似合ってるよ」
愛莉ことヴァーリはフリル付きスカートという普段着ない服を兄に着せられたのだが、榊原・結慰(四劫の翼・d28565)がそう誉めてくれた。
「すごい……こんなにたくさんの料理見たことない。知らない料理もいっぱい」
リコリス・ユースティティア(正義の魔法使いアストライア・d31802)はたくさんの料理に興味津々。来年は弟に作ってあげようと心で決意する。
「猫丸さんとひよさんはちゃんと料理とれる? 届かなかったら言ってね」
「やはり魚料理をたっぷり堪能したいところで御座るなぁ。玉ねぎと熱すぎる料理は勘弁で御座るよ」
今日の日のために念入りにブラッシングをした多々楽・猫丸(ご当地にゃんこ・d26352)に、リコリスは魚料理を取り分けて渡す。
そしてみんなで用意したプレゼントを交換。
「きょうの、思い出、さわの中で、あったかい。ひよも、あったかい」
外は寒いので、みんなで順番にひよをぎゅっとする。
「皆、一緒に記念写真撮らない?」
結慰の提案にみんな頷き、素敵なクリスマスの思い出が形になった。
「くりすますですねぇ。勿論、判っておりますよ。サンタを名乗る物好きが靴下に贈り物を入れにくる祭で御座いましょう?」
半分予想はしていたが、橘名・九里(喪失の太刀花・d02006)の知識は至極偏っていると詩夜・華月(白花護る紅影・d03148)は思った。
九里が用意したのはケーキ代わりの饅頭と泡が出る飲み物という事で抹茶。
「あんたの中のクリスマスってなんなのかしら……」
そう言いつつも九里のため、自分で用意したチキンとケーキ以外のごちそうも見繕いに行く華月だった。
「メリークリスマース!」
海堂・月子(ディープブラッド・d06929)がクラッカーを弾けさせ、【神木霊碑】のみんなで集まれたことにお祝いと感謝の気持ちを表現する。
「クリスマスだ! 飯だ!! パーティだ!!!」
クリスマスはこうでなきゃとばかりに、秋篠・誠士郎(夜蒼鬼・d00236)が作ったグラタンをがっつりいただく遠野森・信彦(蒼狼・d18583)。
「誠士郎の飯はいつも食ってるけど、今日は一段と美味いな」
「このチキンは朱梨ちゃんが? 遠慮なく頂くわ」
「そだよ、朱梨のお手製です! いっぱい食べてね!」
月子の言葉ににっこり応える篠原・朱梨(夜茨・d01868)。フライドチキンに香草焼きなど様々なバリエーションがそろっている。
「今度レシピを教えてもらえるか?」
誠士郎の問いかけに朱梨が笑顔で頷く。
「葎ちゃんもちゃんと食べてる? はい、あーん♪」
「はい、先輩。ちゃんと頂戴しておりますよ。ん……ですが、あ、あーん……」
神音・葎(月黄泉の姫君・d16902)が気恥ずかしそうにしながらも、月子が苦心の末作り上げたブッシュ・ド・ノエルをいただく。
「今年も色々あったけど平和にパーティやれんのは良いことだ」
「こうして沢山で集まって過ごすの、やっぱり楽しいです」
大切な仲間と美味しい料理を囲んでのクリスマス。かけがえのない思い出になることは間違いない。
ライオンのぬいぐるみを隣に置いて、せっせと料理を口に運ぶペルメル・ペトルーシュカ(鬼骨変の黒衣少女・d25224)の様子を少し離れたところで、飲み物片手に見守る黒嘴・緋鷺(伽藍の洞に浮かぶ緋色・d23518)。以前は無表情だったペルメルが元気な様子に無意識に笑みが浮かぶ。
「……にいさん、楽しそうだね。……図星だった?」
「何でお前は、そう変な所で察しが良いんだよ」
ちょっと気恥ずかしく、わざと鬱陶しそうに溜息をついてみせるのだった。
「メリクリのカンパーイ!!」
桜森・紅子(ワイルドフラワー・d01792)の乾杯の音頭で【Red Queen】のパーティーが始まる。
「ターキーだ、詠美さんすごい! これ……獲ってきたの?」
立派な七面鳥を切り分けている柏木・詠美(匙加減・d31021)に八京・未晴(東の茜空・d23089)が訊ねる。それに詠美はフフフ、と不敵な笑みを浮かべるにとどめる。
「テスト勉強お世話になったわね。お礼にどうぞ!」
七面鳥を取り分け、祖母直伝肉ご飯おにぎりを、狼久保・惟元(白の守人・d27459)に差し出す。
「ふふ、美味しいです……七面鳥なんて滅多に食べられませんからね」
惟元はほうれん草とベーコンとチーズのキッシュを用意していた。
「ウチの男子、女子力高すぎぃ……」
フルーツをチョコにフォンデュしつつ鷺乃宮・隣(霊性フェティシズム・d20702)は唸った。そんな隣は徹夜で焼き上げたプチシューを、クリームでクロカンブッシュに仕上げていく。
未晴が手伝いながらも、つまみ食いをしようと手を伸ばすと、紅子がさらにそれを華麗な手さばきで奪い去った。
「油断大敵やよ☆」
「僕は手作りのクッキーを持ってきたよ」
バスケットいっぱいに入ったクッキーを見せる文月・綾乃(紅く染まった紫苑・d31827)。様々な形の、デコレーションされたクッキーはクリスマスにぴったりだ。
「で? 皆は気になる人とかおらんの?」
突然の恋バナに、時坂・綾子(黒百合の誓・d15852)は、顔を赤面させ咳き込む。
「い、いないわよ、いるけど、いないわよ、気になる人なんて!」
「気になる人? 居たら2人きりでパーティしとるがな」
隣はそう言って苦笑い。
気になる人と聞き、綾乃はちらっと後ろのビハインドに目をやる。そうして、皆を見渡し、またこうやって皆で騒げたらいいな、と思うのだった。
「ひらり先輩あ~ん!」
間乃中・爽太(バーニングハート・d02221)は持ち寄った特製たこ焼きを天瀬・ひらり(怪人ミルクタンク・d05851)の口へ。ひらりのほっぺにソースがついているのを見て、思わずぺろり。
「ひゃわあああ!!?」
「あ、いや! ごめんなさい! あまりにも美味しそうだったから……じゃなくて! いや、美味しかったっすけど! いや違くて!」
心臓をばくばくさせているのが自分だけでないと気づいたひらりは爽太の顔を引き寄せてそっとキスする。
「これでおあいこですね?」
「……男だけでのクリスマス……だね」
雪下・藍凛(ずっと迷子・d28619)は、【千川キャンパス1-3】として集まったメンバーを見渡して、あははと笑う。
「アレですよ……「女子会」ならぬ「男子会」と言えば多少は気が紛れるのではないでしょうか……?」
「寂しいような、いや、ここは盛り上がって色々忘れようぜ!」
ヒノエ・シルヴィアーナ(忠魂義胆・d28602)の言葉に、御剣・菖蒲(殺戮の福音・d24357)も現実を振り払うように明るく言ったが、湍水・れん夏(まさかかみさまさかさままさか・d29496)だけは冷静だった。
「みんな、現実見よ……? おれたちはクリスマスに女の子も誘えず、ふらふら飯だけ食いに来ちゃったって認めよ?」
そうとわかれば美味しいごちそうをいただくのみ!
「これは……寂しい男子に乾杯……でしょうか?」
シャンメリーで乾杯して、持ち寄った料理や会場のごちそうを食べて盛り上がる。
「ん、おいしいし楽しいし、男だけでもしあわせだね。そだ、アルバム用に写真も撮らなきゃ」
口いっぱいにごちそうを詰め込んだまま、ピースサイン。
これもきっと素敵なクリスマスの思い出に♪
「さぁさぁ、リュウちゃんたんと召し上がれ~♪」
お手製の丸鶏のクリームソース煮込みとニシンパイをリュウール・エリュテイア(鮮血の茨姫・d06611)に勧める二階堂・冰雨(~ミゼリコルド~・d01671)。
「相変わらず芸達者だね、僕は料理とか細かいことは不得手なんだ」
美味しくいただきながら、リュウールは冰雨の口にもチキンを運ぶ。嬉しそうに口を動かしつつもその横からぴったりと離れない冰雨。
「あ、もちろん来年のクリスマスも一緒に過ごしてくださいませね♪」
「わーい! おいしそうなのいっぱい!!」
立花・花火(誰が為に花は咲く・d00190)は、とにかくお肉ばかりをお皿に乗せて【MZD】のメンバーの元へ帰ってきた。
「やー、やっぱクリスマスは美味いモン食わな始まりまへんなァ」
刻んだ果物を生地に混ぜて焼いたお好み焼き風ホットケーキを持参した銀夜目・右九兵衛(ミッドナイトアイ・d02632)は集まった料理を見て目を細めた。
「私は自作のガトーショコラを」
みんなとパーティーするのは初めての七識・蓮花(人間失格・d30311)は、コーヒーとともにケーキを勧める。
「俺はミンス・パイだ」
「私はちょっと珍しい苺のシュトーレンです」
芥生・優生(探シ人来タラズ・d30127)と木須賀・美希(キミガスキ・d25700)のデザートを前に、狩嶋・眞榎(焔猟・d27426)は感嘆の声を上げる。
「うわぁ、どれもこれも凄いなぁ。映画みたいな豪華さですやん」
「目で見て楽しんだ後はがっつりいただこうか!」
浅沼・日照(音の悪魔・d20674)は行きつけの喫茶店の新作のブッシュ・ド・ノエルを持参。
「あ、誰かサンタのマジパンいる?」
「サンタの欲しがるんはお子様っちゅーのが相場決まってますな。花火ちゃんとかにあげといたらええんちゃいます?」
その言葉に、笑いをこらえきれず吹き出す美希に蓮花が囁く。
「ここはこらえる所ですよ」
右九兵衛の助言通り、花火にサンタつきケーキを渡すと、交換とばかりに皿の肉を奪う日照。
「ああああー! ぶちょー、それボクのお肉!」
「……立花さんはまたえろう躊躇なく食いよりますねぇ……」
眞榎は花火の食べっぷりを見ているだけでお腹いっぱいなようだった。
「やっぱよ、全員でこうやって食べると格別美味いな! 今日はホントありがとよ!」
日照の言葉に、全員笑顔で頷いた。
「ご馳走揃いのなかに日常料理が並ぶのも、寛容な日本風ではないかな?」
クリフォード・エース(セイクリッドセイバー・d19583)は以前立ち寄った大阪で感動したというお好み焼きを持ち寄っていた。
「ソースの香り……それにかつお節の風味が食欲を誘います」
塔・静架(からっぽのうつわ・d20436)はエースおすすめのソースとマヨネーズの組み合わせを堪能。
「おっと、失礼。じっとしていてくれたまえよ」
口元についたソースをそっとハンカチで拭き取るエースに、静架は気恥ずかしく思いながらも感謝してにっこりと微笑むのだった。
「今日は楽しいクリスマス! お腹空いたよ~っ」
ごちそうをいっぱい食べられると聞いては、朝から何も食べずにパーティーに臨む花守・ましろ(ましゅまろぱんだ・d01240)。
「ましろ……逆にそれ、量食えないって知ってた?」
ちょっと呆れ顔の斉藤・キリカ(闇色子守唄・d04749)だが、早速ごちそうを見つけては半分こしようねと笑顔を向けてくるましろに応える。
「勿論! 美味しそうなのは分けっこしよーね!」
ましろの勧めで苺ケーキを手に取った加賀谷・彩雪(小さき六花・d04786)は、赤と白の組み合わせに、心をうきうきさせていた。
「えへへ、どれも美味しくて、目移りしちゃいます」
「鏡水も駿河もちゃんと食ってるか? 良かったら食えよ?」
女子会的ノリな女性陣たちを眺めつつ、自身もしっかりごちそうを確保しつつも迫水・優志(秋霜烈日・d01249)は周りへの気遣いも忘れない。
「わ、迫水先輩、その……有難うございます。フルーツ美味しそうです、頂きますね」
いつもは小食の鏡水・織歌(エヴェイユの翅・d01662)もごちそうを前に食欲がわいて、いろいろなものをつまんでいく。
「駿河先輩も斉藤先輩も一口いかがですか?」
織歌にチョコケーキを勧められ、カロリーの高そうなものを控えていた駿河・香(ルバート・d00237)も今日ばかりはと美味しくいただく。
「あっちから美味しそうなチキンの香りが! キースくん、取ってきてほしいなぁ……」
ましろのお願いにキース・アシュクロフト(氷華繚乱・d03557)がすぐさま動く。自分が食べるのそっちのけで、甲斐甲斐しく給仕を務める様は彩雪の目にお母さんのように映った。
「……ご馳走を食べに来たのに、いつの間にか給仕に回っている……だと……」
そんなこんな賑やかなのも自分たちらしいとみんなで笑い、そして一斉に声を上げる。
「メリークリスマス!」
「ごちそうと言えばチキン! チキンと言えばごちそう!」
両手にチキンを握りしめ夜乃・空(帰ってきたはらぺこかいじゅう・d29768)は、びしっとポーズを決める。
「食べきれなくなったごちそうはぼくがいただいちゃうよ! はらぺこかいじゅうにお任せだよ!」
【糸括】のメンバーが集うテーブルにはブッシュ・ド・ノエルが四つ。
「なんかな、野菜ケーキがブームって話を聞いたのじゃよ」
望月・心桜(桜舞・d02434)がうきうきと説明する。木元・明莉(楽天日和・d14267)が持ち込んだもの以外は野菜で出来ているらしい。
「ほらほら、見分けつかないでしょー?」
ミカエラ・アプリコット(弾ける柘榴・d03125)がドヤ顔で胸を張る。この中にミカエラ作のゴボウで出来ているものがあるのだ。
「並べて置いて、ロシアンノエルに……あ」
鈍・脇差(ある雨の日の暗殺者・d17382)が切り分けようと一刀両断すると、断面からゴボウがこんにちはと姿を現した。
「あー、この方が食べやすいよね! はい、どぞー!!」
「はい、鈍殿、明莉先輩♪」
心桜は人参ケーキを笑顔で差し出す。
「ほら木元、沢山食っていいんだぜ?」
「一蓮托生って言葉知ってっか?」
人参嫌いの脇差はそっと明莉に押しつけにかかるが、明莉も脇差の首根っこを捕まえて逃がさない。
「明莉先ぱい、脇差くん、遠慮せずどうぞー!」
大根と南瓜の煮物風ケーキを萩沢・和奏(夢の地図・d03706)が笑顔で差し出す。久成・杏子(いっぱいがんばるっ・d17363)がトナカイの砂糖菓子を飾ってくれたのだが、やはり中身は野菜ケーキなのだ。
「蒸し鶏とトマトリゾットもあるよ」
琶咲・輝乃(夜空の星光の下で過去を想う者・d24803)が明るく声をかける。
「わあっ、てるのちゃんの蒸し鶏おいしそうっ!」
「琶咲、来年もそのままの君でいて」
杏子が目を輝かせ、明莉は感涙しつつ、琶咲の肩をたたいて労った。
心桜はリゾットをナノナノのここあと半分こ。
こんなカオスも糸括ならではとみんな思いつつ、今年最後の大騒ぎ。
「ヘルシークリスマス~♪ かんぱ~い♪」
作者:湊ゆうき |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年12月24日
難度:簡単
参加:68人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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