
●
某日、某所、某廃村!
廃墟マニアの男達が一眼レフ片手に立っていた。
立ってる理由なんてそりゃ写真撮る以外にないのだが、それだけだと無言で寂しいってんで男達は噂話に花を咲かせていた。
最初は『お前誰が好きなんだよー言えよー』みたいな修学旅行ノリだったが、引き出しのネタが偏ってるからか次第に彼らの話題はアヤシい噂話へと移るのだった。
「知ってるか同志よ」
「この村にまつわる都市伝説……だな?」
「そうだとも。この廃村はかつて屈強なガトリング職人(通称ガトリングマン)がトチ狂ってがガトリングを乱射し全ての村人をジェノサァイドしてしまったという……」
「どう考えても嘘だが」
「どう考えても嘘だが……だがどうだろう? この村の写真にあるやけにぶち壊されまくりの家屋や、ネットに上げられたやけにリアルな体験談。もしかしたらそのガトリングマンの存在だけはガチなんじゃあないだろうか!?」
「いやあまさか……」
などと言いながら男は振り向き……そしてピキーンと固まった。
おいどうしたトイレかとか言いながら他の男達も振り向き、やっぱりピキーンと固まる。
そこにはなんと、身の丈3mはあろうかという屈強活ダイナマイトな半裸の男が立っていたのだ。しかもなんでか知らんが両腕がガトリングになっているではないか!
こんなのがいたら、そりゃこう叫ぶしかない。
「ガトリングマンだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
無論、この後彼らは血煙と化すのであった。
●
「ガトリングガンが腕についてたらガトリングマンでしょう? そうでしょ!?」
須藤・まりん(中学生エクスブレイン・dn0003)ことマリリンはいつもの『左手をご覧ください』みたいなポーズでそんなことを言い始めた。
別にガトリングマンの名前に不満があるとか、そういうワケではない。
某廃村に『実体化した都市伝説』が出現したという話である。
実体化した都市伝説とは!
幽霊や妖怪とは違って、人々の噂話がぎゅぎゅっと集まり現実に現れちゃった存在である!
実体化したことで噂話の内容とはビミョーに違ったりするので、まあ元の噂話はスルーしておいた方が良いだろう。混乱するかもしれないし。
そんなことより今回の『都市伝説』、ガトリングマンである。
彼は村に入り込んだ人間を襲うのだとされ、実際入り込んで暫くしたらいきなりずずんと出てくるので、戦いたいこっちとしては非常にやりやすい『都市伝説』だった。
数は1体のみ。しかしやけにパワフルで、両腕がガトリングってだけあって弾幕パワーも凄いらしい。
もっと言うと、殲術道具(スレイヤーのみんなが持ってる武器とかのことである)のガトリングとは根本的に違って、もっとどわーっとしたモノなんだという。
実際マリリンが『どわーっとしてるの!』と説明したんだから間違いない。
「シンプルな戦いとは言っても油断は禁物だよ。頑張ってね!」
| 参加者 | |
|---|---|
![]() 志村・健(ご当地が迷子・d00875) |
![]() 早鞍・清純(全力少年・d01135) |
![]() 卯道・楼沙(脱兎之勢・d01194) |
![]() アドニス・アトランダム(エースブラッド・d01501) |
![]() 結城・星空(トイソルジャー・d02244) |
朝霞・薫(ダイナマイト仔猫・d02263) |
![]() 蒼間・舜(脱力系殺人鬼・d04381) |
![]() 綾木・祇翠(紅焔の風雲・d05886) |
●豆知識。銃機関砲を発明したリチャード・J・ガトリングさんは医者。
「ガトリングマーン、どこにいるのだぁー?」
某廃村。結城・星空(トイソルジャー・d02244)は額に手を翳してきょろきょろしていた。
同じようにきょろきょろする志村・健(ご当地が迷子・d00875)。
「なあオレ思ったんだけど、ガトリングマンって休みの日とか何してんのかな」
「……え?」
「あとトイレとかさ。こうガトリングにトイレットペーパーとか接続してくるくる拭いてんのかな」
「……し、しらないのだぁ」
「そもそも都市伝説に私生活があるか」
無駄に腕組みして背伸びをして見せる卯道・楼沙(脱兎之勢・d01194)。
「所で、ガトリングマンの出現条件て何だったのだ? 『村に入ったら出る』というやたらあやふやなことをいわれたぞ……」
「まーいいじゃんいいじゃんそのウチ来るってー! な、舜!」
「さりげなく俺を友達みたいに扱わないでくれる?」
早鞍・清純(全力少年・d01135)が蒼間・舜(脱力系殺人鬼・d04381)の肩をガシッと抱いたが、一瞬で払いのけられた。めげずにリトライする清純。
「フ、いつものツンにはめげないぜ。友情努力勝利は男の子の三原則だから……な、舜!」
「暑苦しいっつーの。べたべたするなよな。ホント、参るよ」
「ほんとね参っちゃう。へ、へへ、清純×舜……いや逆に……」
にちゃあっと笑いながら二人を見つめる朝霞・薫(ダイナマイト仔猫・d02263)。
「おいやめろ掛け算で並べるな」
「今俺けがされてる!? 脳内でけがされてるの!?」
口元を拭う薫。
「フフ、まあこれは後で楽しむとして」
「後でも楽しむな」
「ガトリングマンね。ここで倒しておかないと都市伝説が肥大化してガトリングが三本になったりするものね。危険だわ、色んな意味で……フ、フフ」
「けがされてる!? ガトリングマンまでけがされてる!?」
「まあまあ、ここはお約束のアレやろうぜ。皆一斉に振り返ってうわーってやつだよ」
綾木・祇翠(紅焔の風雲・d05886)が謎の余裕を見せながら両手をぱたぱたやった。
途端、額にピキーンと走る謎のプレッシャー。
彼は素早く振り向き、目をカッと開けて叫んだ。
はい皆さんご一緒に。
「ガトリングマンだぁー!!」
「…………」
「…………」
「…………」
「……くっ」
祇翠は目尻に光る雫をぐっと拭った。
遅れてゆっくりと振り向く一同。
するとそこには、屈強なガトリングマンが沈黙のまま立っていた。
半裸の両腕ガトリングってぇ化物である。
「ハッ!」
鼻頭を拳で撫でるアドニス・アトランダム(エースブラッド・d01501)。
「ステイツにもあんなイカレた野郎はいなかったぜ? これが都市伝説ってやつか……面白ぇ!」
胸ポケットからスレイヤーカードを抜き出すと、アドニスはにやりと笑った。
「Ready to rock!」
●ガトリングさんが発明した主なものは自転車。だからペダル手で回してガトリングごっこするのは間違ってない。
カードがチェンソー剣へと変貌したのと、ガトリングマンの両腕が重々しい唸りを上げたのはほぼ同時だった。
両腕を前へ突き出すガトリングマン。
両目を大きく開き、肌蹴た胸にスペードマークを光らせるアドニス。
「カモン、トリガーハッピー! ごきげんな花火を見せてくれよ!」
飛来する大量の弾丸をブレード部分で受けつつ突撃。
豪快に飛び掛るとズタズタスラッシュを叩き込んだ。
「私達もいくわよ!」
薫は顔の前へカードを翳し、なんかやたらとシャープなポーズをキメた。
「拳に闘気、唇に戦のルージュ。キリングツゥゥゥル――」
ばばっと頭上にカードを翳す薫。
「セッタァップ!」
途端、キラキラシャランラな光と共にギリギリシルエットが見える程度に服が脱げたり着たりを繰り返し最終的には元の状態とそんな変わらない薫がそこにいた。
数段階レベルアップした胸のサイズを除いて。
「ん、え、あれ……?」
二度見してから目を擦る健。
「戦場にダイナマイトな存在は一人で充分。来いよガトリングマン、銃なんか捨てて素手でかかって来い!」
「ダイナマイト薫、それ素手っていうか腕取れてる。っていうか何その唐突に出現したダイナマイトさ」
「第二形態よ」
「嘘だ! そんなフリーザみたいな変身あってたまるか! あとあの弾当たりたくないんであとよろしくお願いします!」
「あっ、ちょっと私を盾にしないでよ! だだだ弾幕薄いぞ、何やってんの!」
ごちゃごちゃやってる間にガトリングマンの弾幕が浴びせられる。慌てて夜夜霧を発生させるが、めっさ突き破って面破壊をくらった。
モルスァとか言いながら激しいきりもみ回転をかましながら吹っ飛んでいく薫と健(巻き添え)。
「ふ、二人ともー! 怖すぎる、あんなのに当たったらタダじゃすまないのだ!」
古民家の影に隠れてぷるぷる震える楼沙。
「まずはここからチラチラ顔を出しながら影喰らいで攻撃し……あ」
『…………』
楼沙とガトリングマンの目が合った。
ようしょとガトリングを構えるガトっさん。
慌てて古民家の裏へ引っ込む楼沙。
その次の瞬間!
(ビフォーとアフターを比較する時のBGMを脳内再生して下さい)
楼沙さんが隠れていたあの古民家が。
……なんということでしょう。まるで更地のようなすっきりとした庭に。もうこれで隠れる場所はありませんね。
楼沙さんもあまりの破壊力に空を縦横に回転しながら舞っています。
「ローゥサァー!」
劇画調で振り返る清純。その後ろでジト目になってる舜。
「くっ、お前の犠牲は無駄にはしないぜ!」
「死んでないけど」
「いくぜ、武蔵野スレイヤーズ!」
「それ俺も入ってるの? 付き合う気ないっつーの」
「出撃!」
「聞いてる?」
ある意味で舜を無視して箒で飛んでいく清純。ガンナイフを翳すと薙ぎ払うようにばらばらと乱射した。
「早鞍くん派手な技いっきまーす! どっかーん!」
弾丸が自動でホーミングし、ガトリングマンへと殺到する。
反撃の為に腕を掲げるガトリングマン……だが。
「そんなの当たって肉片化とかごめんだっつの」
二段ジャンプで清純の高さまで上がってきた舜が、反転ムーンサルトの態勢から鏖殺領域を展開した。
がしっと肩を抱く清純。
「ナイスコンビネーション!」
「やめて、暑苦しいから」
大丈夫俺ツンとか平気だからとか言いながらじーわじーわ落ちていく清純たち。
その一方で。
「フフ、カップリングの臭いがするわ」
口元(血とその他)を拭いながら瓦礫を振り払う薫。
胸元が派手に爆砕していた。というかメロンパンが爆砕していた(この後スタッフが美味しくいただきましたということにしておきます)。
後ろの瓦礫から顔だけ出した健と楼沙が彼女を見てどこまでも納得した目をした。
「ふう……パンが無ければ即死だった」
「もしかしてそれが言いたかっただけじゃね?」
「というか、胸元ちゃんと隠しておいた方が良いと思うのだ……」
などと言ってると、隣の瓦礫がばかっと開いた。
中から這い出てくる祇翠。いつのまに吹っ飛ばされていたのか。
「さぁて、一気に行くぜ?」
瓦礫を蹴って駆け出す祇翠。
彼に並んで星空も一緒に走りだす。
「そのガトリングかっこいいな、どこで買ったんだぁー!?」
「作ったんだろ!」
ガトリングの雨が降る中、二人は巧みに回避しながら突っ込んで行く。
「戦いの基本は格闘だぜ」
両サイドから龍骨斬りと抗雷撃を叩き込み、体勢が崩れた所に星空がすかさず雲耀剣を叩き込んだ。
『ぐうっ……!』
腹を押さえて後じさりするガトリングマン。
祇翠はニヤリと笑って斧を構えた。
「どかどか吹っ飛ばしてくれたな。さ、反撃パートと行こうぜ」
●自転車が走る原理とガトリング砲がずっと撃てる原理は基本的に一緒。
「くらえこの豆鉄砲野郎!」
健はガトリングマンの周りをぐるぐる回りながらビームを連射。
うまく背後を取った所でチェンソー剣に炎を纏わせて飛び掛った。
「反撃パートのオレは一味違……あ」
顔にごつんと突きつけられるガトリングの銃口。
そして始まる大連射。
「イテテテテテ痛い痛い痛いマジ痛ぇよこのやろやめてーキャー!」
反撃パートでも(別の意味で)手を抜かない男、健である。
その後ろからデッドブラスターをちまちま撃つ楼沙。
「うう、痛そうなのだ……できるだけ物陰に隠れて出て撃って引っ込んでを繰り返してヒットアンド――はう!?」
隠れてた塀ごとガトリング弾幕で吹っ飛び、楼沙は帽子を押さえつつぐるんぐるんと空中大回転した。
「わーーーーーーー!」
「ロ、ローサァー! 意外と痛くなさそうな飛び方を!」
天を仰ぐ清純。
彼をぐいっと押し退けて薫がバトルオーラをわなわなさせた。ちなみに胸は影業で隠れている。都合よく隠れている。
「言ってる場合じゃないでしょ! それにしてもあのガトリングマン許せない……絶対に許せない! てめぇのガンオイルは何色だぁー!」
「薫色々混じってる、さっきからどこへ行こうとしてるの薫!?」
「うるさいわね親友攻め!」
「属性で呼ぶのやめて!? あと違うからね!?」
影業を無数のナイフの形にして悠々と構える舜。
「そういうのいいから、さっさと畳み掛けようぜ」
「良く言ったわクール受け」
「それ俺? 違うよな?」
などと言いつつもしっかり攻撃は始める三人。
清純は箒で上昇しながらオーラキヤノンを乱射。
ガード態勢を徐々に崩されてるガトリングマンめがけて薫と舜が飛び掛り、抗雷撃とティアーズリッパーを連続で叩き込んだ。
ガトリングマンも彼らを薙ぎ払おうと滅茶苦茶に乱射するが。
「Dance jackass!」
身体に弾を受けながらアドニスが正面から突撃し、ガトリングマンの腕をぶった切って見せた。
「Show down!」
振り上げるように繰り出されるチェンソー剣。
回転しながら飛んでいくガトリングアーム。
『ぐ、ううおおおおおおお!』
ガトリングマンは必死にアドニスを引き剥がそうと額に銃口を突きつける。
だがその瞬間には腕を打ち上げられていた。
「派手に倒れな、ガトリング野郎!」
いつのまにか懐に潜り込んでいた祇翠が、身体を無理やり持ち上げ、大回転をかけて放り投げた。
空中で待ってましたとばかりに両腕を振り上げる星空。
「これでおわりだー!」
両膝で逆肩車をするようにガトリングマンの頭を挟むと、マウント体勢から閃光百裂拳を叩き込む。
最後に思いっきり拳を叩きつけ、ガトリングマンと一緒に地面へと激突。
それが、都市伝説を葬るさいごの一撃となった。
ボロボロに崩れた廃村。
そこにはもう、戦いの空気は存在しなかった。
都市伝説ガトリングマンは消滅。もう人が襲われることもないだろう。
「終わったわね……何かが……」
「しかし滅茶苦茶な敵だったな。ゾンビゲーか何かかっつーの」
「名前はカッコよかったんだけどな。そしてそれを倒す俺達!」
「あーもー突かれたうごけなーい。はこんでー」
「も、もうひっとあんどあうぇいはやめるのだ……割に合わないのだ……」
灼滅者たちも三々五々にくつろいでいる。
そんな中、地面に転がったガトリングマンの腕(消えかけ)を拾い上げるアドニス。
「記念にコレでも持って帰るか?」
「あ、それなら」
ヒュン、と僅かな音をたてて光の粒へ変わるガトリングアーム。
それらはなんやかんやどーのこーのあって磯臭い剣へと変わった。ホント何がどうなったのか分からないが。
「おお、これこれ。そろそろ具現化できる気がしてたんだよなー」
健がいそいそと地面から剣を引っこ抜く。
その様子を首を傾げて見つめるアドニスに、祇翠が肩ポンした。
「同じようなことがしたかったら、追加の★半個を支払って特別報酬をだな」
「どこ次元の話をしてるのよ?」
そんな祇翠に肩ポンする薫。
「うん……」
皆のそんな様子を傍目に、星空は腕組みして空を見上げた。
「これからもがんばって戦わなければ」
どこからか、風が吹いた。
| 作者:空白革命 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
![]() 公開:2012年9月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 8/感動した 3/素敵だった 5/キャラが大事にされていた 10
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