●甘く囁く小さな唇
街外れの瀟洒な洋館。その屋敷の主はマダム蘭と呼ばれる未亡人だ。足首まで埋もれそうなふかふかの絨毯が敷かれた部屋、大きなソファに座ったマダムの膝に頭を預けているのは、一人の少年。透き通るような水色の髪と悪戯っぽい濃い青の瞳。彼の仕草はなんだか母性本能をくすぐる。
「ああ……あなたの言う通り子どもの血を毎日飲んでいるのだけれど、わたくし少しは若さを取り戻せたかしら?」
マダムがさらりと少年の髪を撫でる。燕尾服にも似た紺色の、フリルで装飾された衣に身を包んだ少年は、濡れた小さな唇を開いた。
「うん、前よりずっと綺麗になったよ、蘭。でももっともっと若く綺麗になれると思うんだ」
「もっともっとたくさんの血が必要ということ? でも、そんなに沢山の子どもをこの館に集めるの、難しいわ」
マダムは50代後半には見えぬその美肌を撫でてため息を付いた。
「蘭には力を与えたよね? 使用人達も協力してくれるはずだよ。そうだ、クリスマスパーティを開いて子どもを招待すればいいよ。一階のホール、長いこと使っていないんでしょ? たまには使ってあげないと」
「まぁ、それはいい考えだわ。早速招待状を作らないと」
少年は起き上がり、髪を手櫛で整える。立ち上がって早速机に向かったマダムを無邪気な瞳で見つめながら、帽子をかぶる。
「蘭の花が散らされないことを祈ってるよ」
●
「やあ、年の瀬の忙しい時に来てくれて有難う」
教室に足を踏み入れると、神童・瀞真(大学生エクスブレイン・dn0069)は穏やかな表情で微笑んでみせた。
「ダークネスの動きを察知した。ソロモンの悪魔に力を与えられた一般人が事件を起こすよ」
力を与えられているのはマダム蘭と呼ばれる50代の女性だ。若かりし頃の美しさを保持しようと様々な手段を用いていたが、若さと美しさに執着するあまり、ソロモンの悪魔の声に耳を傾けてしまった。
「子どもの血が若返りに効くと聞いたマダムは、手下にした使用人に子どもをさらってこさせて血を抜いて始末していた。けれどついに一度に大量の血を集めようと動き出す」
子ども向けのクリスマスパーティを自宅のホールで開き、そこに集った少年少女達の血を集めて若返りに使おうと考えているのだ。勿論、そんな方法で若返ることはない。だが彼女はそれで若返ることが出来ると信じて疑っていない。
「パーティに招待されるのは12歳までの少年少女とその付き人だよ。今回は招待状を貰った者以外にも友達を連れてきて良いということになっているから、12歳までの者ならば招待状がなくても『友達に誘われて』ということで入れるよ」
招待客として入る者がいるのならば、13歳以上の者もその付き人として入ることが出来るだろう。また、当日はケータリング業者が出入りしているので、業者に扮するのも悪くない。
「マダムはパーティが終わる前に子ども達をホールに飾られたクリスマスツリーの下に集めるよ。クリスマスプレゼントを配るという名目でね。同時に付き人達とケータリング業者達は、ねぎらいとしてお茶と軽食を提供すると使用人達に言われて別室へと誘導される。子ども達はマダムが見ていますから、と言われてね」
そしてホールの扉には鍵がかけられ、子ども達を待っているのは惨劇。
「マダムは魔法使い相当のサイキックと契約の指輪相当のサイキックを使用するよ。その他に強化一般人となった使用人が5人ほど。彼らも魔法使い相当のサイキックを使用する」
5人の強化一般人の使用人はKOすることで正気に戻るだろう。灼滅者数名分の力を持つマダムはもう取り返しがつかない。倒すしかない。
「マダムに力を与えたソロモンの悪魔については今回接触することは出来ない。今回は悲劇を防いでマダムを倒すことに集中して欲しい。よろしく頼むよ」
パタン、と瀞真は和綴じのノートを閉じた。
参加者 | |
---|---|
花蕾・恋羽(スリジエ・d00383) |
十七夜・狭霧(ロルフフィーダー・d00576) |
マギサ・マギカ(青の魔王・d06840) |
王・龍(瑠架さんに踏まれたい・d14969) |
茂多・静穂(千荊万棘・d17863) |
平鹿・アソギ(彷徨う青薔薇・d19563) |
天堂・リン(町はずれの神父さんと・d21382) |
竜胆・幸斗(凍牙・d27866) |
●宴
ホールへと続く廊下には子ども達の目を引きそうなクリスマスの装飾がなされている。メインであるホール内には大きなツリーが飾られていて、入室した子ども達の注目を集めていた。壁際には色とりどりの料理やスイーツが並べられていて、好きな物を好きなだけ食べていいのだと告げられれば、いやが上にも子どもたちのテンションが上がるというもの。
「この料理とその料理を――」
「違うの。ケーキ食べるの」
「しかし……」
向日葵色のドレスを纏った小さな子が付き人を困らせている。ケータリング業者のアルバイトとしてプラチナチケットを使って紛れ込んだ仲間と共に料理の提供をしていた花蕾・恋羽(スリジエ・d00383)は思わず笑んだ。
「せっかくのクリスマスパーティですからね」
小皿に小さなケーキを数種類乗せて差し出せば少女は喜び、付き人はそうですね、と皿を受け取っていった。
(「自分が若返りたいからって、人の血を飲もうなんて、馬鹿げた話です。若返れるわけないのに……」)
このままではあの向日葵色のドレスの少女にも魔の手が伸びてしまう。恋羽はホール中央で挨拶を受けているマダムに視線をやった。美しく着飾ってはいるが――。
(「若返るなど決してできはしないのに……!」)
料理をサーブしているとちらちらと視界に入るマダムのドレス。嬉しそうに料理を受け取っていく子ども達が狙われているのかと思うと、茂多・静穂(千荊万棘・d17863)の手は怒りで震えそうになる。落ち着けとすっと息を吸い、吐いた。視線はホールの出入口の確認。今出入りに使われている入口の他に左右に二つ。ホールを囲むように廊下があるのだろうと推測できた。
(「若さを保ちたいという理由だけで人を殺していいはずがありませんよね」)
ブースの後ろから新しいグラスをいくつか取り出し、平鹿・アソギ(彷徨う青薔薇・d19563)は銀のトレイの上に置く。りんごジュースください、差し出された小さな少年の手にも持ちやすいよう、小さめのグラスに入れて渡してやる。
「ありがとうっ」
(「マダムを唆したソロモンの悪魔も気になりますが、ここはしっかり灼滅しないとですねっ」)
きちんとお礼の言える未来のある子ども達の命を刈り取るなど、許しがたい。最初に通されたケータリング業者の控室からホールまでの道筋、説明されたトイレからホールまでの道筋を思い出し、休憩のために案内されるだろう場所を予測。最短経路を考える。
「自分で持てるよ!」
「分かりました。2皿になってしまいましたから、片方だけお付きの方にお渡ししますね」
バイキング形式の場合、冷たいものと暖かいものは一緒の皿には盛らないもの。なんでもお付きの人にやってもらうのが恥ずかしい年頃なのだろうか、そんな少年に笑顔を向けながら、天堂・リン(町はずれの神父さんと・d21382)はそれぞれに皿を渡した。顔を上げると嫌でも大きなツリーが目に入る。ツリーは入り口からホールを覗くと一番に目に入るように設置されている。開放されている入り口よりも左右の、関係者が使用するときだけ開けられる扉からのほうが距離が近い。
(「どうせなら蛇とかスッポンとか、爬虫類の血の方が若返りの効果がありそうに見えますけどね」)
心の中で呟いて、王・龍(瑠架さんに踏まれたい・d14969)はテーブルの上に置かれていたベルを鳴らした。新しい料理が出た合図らしい。走ってはダメです、そう言われても新しい料理が楽しみで、子ども達が駆けて来る。
「美味しい、ギリシャお菓子、バクラヴァ、カタイフィ、どぞー」
龍の隣でエイティーンを使ったマギサ・マギカ(青の魔王・d06840)が集まった子ども達に声をかけた。
「これお姉さんが作ったの? 甘くて美味しい!」
「初めて食べたよ! 珍しいお菓子作れるなんてすごいね、お姉さんの手は魔法の手だね!」
評判は上々。微笑んでこっそりと告げる。
「料理人、皆、魔法使い、内緒、だよ?」
クリスマスに舞い降りた魔法使い。子ども達は嬉しそうに頷いた。
●入
「友達に誘われて来たんだ。彼は付き人。一緒でもいいよね?」
「彼一人では心配だったんで」
竜胆・幸斗(凍牙・d27866)と十七夜・狭霧(ロルフフィーダー・d00576)を出迎えた使用人は幸斗を値踏みするように見て年齢を問うた。11だと答えれば失礼しましたとホールへと導かれる。
本物のパーティならば招待状を持たぬ者はホールに入れぬのだろう。けれども今日は友だちだと言っただけで、その友達の名を問われることなく入ることができた。それだけ子どもの血がほしいということだろうか。
(「人間じゃなくてヴァンパイアみたいだよね、このオバサン」)
会場で思い思いに楽しんでいる子ども達を見るマダムは表情こそ柔らかいが、瞳の奥にはギラギラしたものが感じられて。
(「……まっ、反吐が出るのには変わらないけどさ」)
これ以上被害は増やしたくないので早く灼滅したい、そう思わせる。
「不自然にならないように何か食べ物を取ってくるっすよ」
幸斗を壁際に並んだ椅子に座らせて、狭霧はケータリングスペースへと向かった。子ども達に対応している仲間達の様子を見て、うまく潜入できたのだと胸を撫で下ろす。
「これとこれとこれを少しずつお願い」
「はい」
静穂に料理を取り分けてもらっている間、狭霧はケータリング業者の背後に視線を移す。業者の一人が扉を開けて、使用済みの皿を乗せたワゴンを押して出て行った。思ったとおりこの扉は業者や使用人が行き交うキッチンなどに近いのだろう。休憩に案内される部屋からも、この扉が一番近くなる可能性がある。
「お待たせ」
料理とジュースを持って狭霧は幸斗の元へ戻り、小声で推測を告げる。子ども達の高い声に紛れてしまえば、囁きは広まらない。
「分かった」
パーティで何も口にしていなければ目立ってしまう。幸斗は持ってきてもらった料理とジュースに少しずつ口をつけて頷いた。出来るだけ目立たぬよう、あとは時を待つ。マダムも知っている子どもや挨拶に来る子どもとは言葉をかわしているようだが、友達を連れてきてもいいというパーティ故に知らない子どもが混ざってても気にした様子はなかった。
子ども達がお腹いっぱいになった頃合いに、業者達はスイーツとドリンク以外の片付けを始めた。子ども達は簡単なゲームやクイズに参加を求められたので、幸斗は参加している風を装いながらあまり目立たないように務める。その間に狭霧はマダムの使用人達の動きを注視していた。
「お疲れ様です。残りの片付けは私共の方でやりますので、皆さまは別室へどうぞ。軽食をご用意しております」
「マダムがプレゼントを配る僅かな間ですが、お付きの皆様にも軽食をご用意いたしました。お子様方はマダムと使用人で応対いたしますのでぜひこちらへ」
業者と付き人に使用人達から声がかけられる。マダムの好意を無碍にするわけにはいかないと判断したのか、大人たちは次々とホールの外へと出て行った。子ども達は楽しそうに、そして夢中になっている。心配だから付き添い続けると告げれば、マダムに礼を欠いてしまう事にもなるからだ。
幸斗と狭霧は視線を合わせて頷き合い、狭霧は他の付き人たちと共にホールを出て行く。
「さあ、この後は何をしましょうか」
微笑むマダム。ツリーの周りに集められた子ども達。彼らはホールの扉全てに鍵がかけられたことを、この後に自分達の身に起こる事を知らない。
●始
「では最後に、今日来てくれた皆さんにプレゼントが有ります」
その声に合わせて使用人達が豪華な包みのプレゼントを幾つも運んでくると、子ども達の目が一際輝いた。
「順番ですよ、並んでね」
プレゼント配布が始まる。幸斗はそっとハンドフォンで狭霧の携帯を鳴らし、すぐに切った。
その頃ホールの外では、龍とアソギが案内された部屋で魂鎮めの風を使って一般人の使用人や業者を眠らせ終え、七人はホールへと続く扉の前に集合していた。
「連絡が来たっすよ」
狭霧と静穂で武器を鍵穴に何度も突き立てる。具体的に鍵を破壊する手段を決めてはいなかったが、なんとかこれで壊せるだろう。ただ不自然な音はホール内へ聞こえているはず。もし扉に体当りして鍵を壊そうとしても音は隠し通せる物では無いだろうから、鍵を使うのでなければどちらにしろ素早く壊して中に入る必要がある。
「……折角の楽しい時間を邪魔する者が居るようね」
(「まずいな」)
ガッガッと鍵を壊す音にマダムが反応した。幸斗はいつでも動けるように緊張を募らせる。
「お出迎えして差し上げて」
マダムの指示で5人の使用人が扉へと向かう。扉が開いてすぐに迎え撃つつもりだ。
「マダム、怖いよぅ」
「大丈夫よ。離れないでね」
バンッ! 扉が開かれた。ほぼ同時に使用人達が次々と魔法の矢を放つ。扉を開けた静穂と狭霧に矢が、集中する。
逃げて――子ども達に声をかけて誘導しようとするものの、現在の唯一の出口の前には使用人達が居る。
「この人達は抑えておくから、ホールから出て下さい! 逃げて!」
子ども達が逃げる道を創りだそうと動きながら、龍が叫ぶ。狭霧の発生させた殺界形成のお陰で子ども達はこの場から離れる気にはなっているようだが、戸惑っているようだ。
「右側抑えて道を作ります。早く逃げて!」
恋羽の最初の言葉は仲間へ。右端の使用人を抑えてその後ろを通り抜けてもらおうと声を上げる。霊犬の豆大福も彼女に倣って同じ敵に攻撃。
「氷結注意に落石注意、痺れ……もとい雷注意、っと!」
同じく右端の敵を抑えるように立った静穂は、黄色の標識を立てて前衛を強化する。
「逃げる、一緒、早く」
作られた道を通って子ども達に近づいたマギサはマントを揺らして小さな子を抱き上げた。そして他の子供達を誘導する。
「せっかく集めた子ども達を逃してなるものですか!」
だがマダムが黙ってそれを見ているはずはない。マダムが一番近くに居る少年を抱えようとしたその時、その手は阻まれた。寸での所で幸斗が割って入ったのだ。
「あの魔法使いのお姉さんについて逃げて。できるね?」
幸斗が絵本から出てきたかのような青色の魔法使い、マギサを指すと、少年は震えながら頷いて動き始めた。ビハインドの魔王殺しが子ども達を守る盾となる。
「邪魔するんじゃない――」
「目の前に活きの良さそうな獲物がいるのに、余所見してていいわけ?」
子ども達を追おうとするマダムに幸斗の挑発が飛ぶ。
「ああ、若そうなのは見た目だけで中身はそうでもないから……耳、遠いのかな?」
「なっ……失礼な!」
石化の呪いが幸斗を襲う。子ども達でなくこちらを狙ってくれればそれでいい。呪いの不快感に耐えながら、幸斗は結界でマダムを囲む。
「内面にふさわしい外見にしましょう?」
幸斗に気を取られていたマダムの顎を打ち上げたのは、リンの拳。パーティ中とは違う冷めた嘲笑が彼の顔に張り付いている。このての手合は反吐が出るほど嫌いだ。
「回復しますね。ナユタもお願いっ」
アソギとナノナノのナユタが傷を追った静穂と狭霧を癒やす。
「まず一人目っす」
狭霧の『星葬』が振り下ろされて、使用人一人が倒れた。
●終宴
子ども達を安全な場所へ誘導したマギサが戻ってきてから数分後。マギサの帯が使用人を貫いた。彼が倒れた付近には、すでに4人の使用人が倒れ伏している。ダークネスに比べれば強化一般人は弱い。数が多いのが問題であったが、攻撃を集中させて数を減らす戦法がうまく働いた。
「後はマダムだけですね」
恋羽の、炎を纏った『花嵐』による蹴撃が、躊躇いなくマダムを襲う。合わせるように豆大福もマダムを狙った。
「女としては若々しくありたいとは思いますよ。ただ、やってることは理解できませんから、その愚行を許すことはできません」
龍の魔法弾がマダムの腰に埋まりゆく。静穂が赤く染まった標識を振りかざした。
「時の流れは一方通行。逆に行くなど、『通行止め』も良い所です」
「若さ、切望、ちょっとだけ、同情。でも、幼い子供、狙う、許せない」
標識に殴打されるマダムの周りから、マギサは熱を奪う。静穂と入れ替わるようにして魔王殺しが迫る。
「顔はやめて、やめてぇ」
身体中に傷を負いながらもまだ美貌に執着するマダムには冷たい視線しか向けることができない。
「そんなに若くて綺麗になりたいって思うのは自分の為? それとも、誰かの為?」
「若くならないと、綺麗でいないと、愛されないのよ……釣り合うように……」
醜く年老いた自分は愛されない、そう思っているのだろう。外見に気を使っても中身がこんなに醜ければ無駄だろうに、幸斗は槍を振り下ろす。
「てかあんたの美しさなんてどうでも良いんすよ。そんなんの為に若い命を奪わないでくれます?」
跳ねるように距離を詰めた狭霧は、情け容赦なく『星葬』を振るう。マダム一人の妄想のために何人もの子ども達が犠牲になっていいはずがない。
さり気なくマダムに掴みかかったリンは乱れ汚れたドレス姿のマダムを投げ飛ばした。その衝撃でマダムが体勢の立て直しに難儀している間にアソギは前衛を清らかな風で癒やす。
「青い胡蝶蘭の花言葉は『尊敬』……残念ながらマダム蘭は尊敬に値する人物とは言い難いのですね」
その行いも許しがたければ、執着も醜く思えて。ナユタは指示を受けてシャボン玉を飛ばした。
「血を……若い血を……」
まだ若返ると信じているのだろうか。その手から飛んだ魔法弾は幸斗を狙ったが、彼が少し顔を逸らしただけで避けられる程度の精度だった。使用人達より強いとはいえマダムは強化一般人だ。ダークネス程の強さはない。すでにうまく立ち上がれなくなっている今の状態が、それを如実に表していた。
「己の内の醜さを地獄の底で嘆きなさい。或いは、主の耳に届くやもしれません」
リンが『シェオルの十字架』を振り下ろす。触れた所から流れこむ魔力が、マダムの体内で暴れまわる。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
その内面と同じく醜い悲鳴を上げて、体内を蹂躙されたマダムはホールの冷たい床に倒れ伏して動かなくなった。
「存在しない、青い薔薇、探す、マダム蘭、哀れ」
マギサが小さく呟いた。彼女を唆した存在は何だったのか尋ねることはできなかったが、もし尋ねても彼女が正直に話すとも思えなかった。
かくして子ども達は守られ、聖夜の宴は幕を閉じる。
この館で陰惨なパーティが開かれることは、恐らくもうないだろう。
作者:篁みゆ |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2015年1月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 10/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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