「はぁい、メリぃークリスマスぅぅぅぅぅっ!」
「んぼっ」
それはあまりにも唐突すぎた。寝ているはずなのに意識がある時点で、少年はそれを夢だと知覚していた。
「ん゛んぅ」
と言うか、サンタ服を着たやたら胸の大きな少女が部屋に侵入してきていきなり寝ている人の口にちくわをねじ込んでくるなんて展開、夢でしかあり得ないだろう。
「うふふふふ、どう? 私のクリスマスプレゼントは? そうよ、そうよね、クリスマスプレゼントなんてみんなちくわでいいのよ! 去年の私みたいに」
少女は、泣きながら笑っていた。背中に担いだ袋の口から何本ものちくわをはみ出させて。
「一般人が闇堕ちしてダークネスになる事件が起ころうとしているようだな」
腕を組んだ座本・はるひ(高校生エクスブレイン・dn0088)の説明によると、闇堕ちしかけているのは一人の少女で、同じ年頃の少年少女のソウルボードにお邪魔しては、クリスマスプレゼントと称して口にちくわをねじ込まれる悪夢を見せているのだとか。
「ただ、この少女は人の意識を残していてね、ダークネスの力を持ちながらもダークネスになりきっていないようなのだよ」
通常ならば、闇堕ちした時点で生じたダークネスの意識に人間の意識はかき消されてしまうので、珍しいケースではある。
「とはいえ、このまま放置してしまえば完全なシャドウとなってしまうことだろう」
故に、もし少女が灼滅者の素質を持つのであれば闇堕ちから救い出して欲しいと言うのが、はるひの依頼であった。
「もし、完全なダークネスになってしまうようであればその前に灼滅をお願いしたい」
もちろん前者の方が良いのは言うまでもない。
「それで問題の少女との接触だが、学校からの帰路を待ち受け現実で接触する形を推奨する」
ソウルボード内に行くにはシャドウハンターの協力が必須と言うこともあるが、少女の持つバベルの鎖に引っかからず、人避けも必要ない接触タイミングのあることが一番の理由なのだよ、とはるひは言った。
「ソウルアクセスの手間も必要ないのでね」
ちなみに、はるひが指定したのは夕暮れの路地。
「少女の名は楠鞠・鈴(くすまり・すず)。中学一年の女子生徒で、問題の場所にさしかかるのは塾からの帰り道になる」
他に人が通ることはないので人違いの可能性もないらしく、接触後は戦ってKOすればよいとのこと。
「鈴を救うには戦闘は避けられないのでね」
闇堕ち一般人を救うには戦ってKOする必要があるのだ、故にこればかりはどうにもならない。
「鈴が闇堕ちした理由は日頃の嫌なことが積み重なった結果のようだが、根底にあるのはクリスマスに何故かちくわをプレゼントされたことであるらしい」
朝起きたら枕元にあったのは、欲しがっていたモノではなく、ちくわ。おそらくは両親とか家族の悪戯だったのではないかと思うがね、などと推論を述べると、さらにはるひは言葉を続ける。
「彼女と接触し、少女の意識に呼びかけ説得することが出来れば、ダークネスの力を弱めることが出来るかも知れない」
プレゼントした人にもきっと悪気があった訳ではないと解って貰えれば、戦闘も有利に運ぶことだろう。
「ちなみに、戦闘になれば少女はシャドウハンターのサイキックで応戦してくる」
単体向けの攻撃ばかりだが、その分威力が高いので集中攻撃されることには気をつけねばならない。
「私からは以上だ。それと、これは餞別だが。説得に使ってくれても構わない」
説明を終えたはるひは脇に置いていたプレゼントの箱を君達の前に押し出すと、クリスマスケーキだと中身を明かした。
「説得に使わない場合も考慮して失せモノにした。では、少女のこと宜しく頼むよ」
雪が降ってもおかしくないような外気に曇った窓を背にはるひは頭を下げたのだった。
参加者 | |
---|---|
鬼城・蒼香(青にして蒼雷・d00932) |
由井・京夜(道化の笑顔・d01650) |
メルフェス・シンジリム(魔の王を名乗る者・d09004) |
ゼノス・アークレイド(フルメタルリッパー・d13119) |
靴司田・蕪郎(靴下大好き・d14752) |
綺羅星・ひかり(はぴはぴひかりん・d17930) |
獅子鳳・天摩(謎のゴーグルさん・d25098) |
吉国・高斗(小樽の怪傑赤マフラー・d28262) |
●待ち伏せ
「とりあえず、予約の方は俺と蕪郎センパイで何とかなったぜ」
「はい。準備は万端、調いましてございマァス」
「靴司田くん達はお疲れさまだよ」
吐息も白く曇る季節の路上、ゼノス・アークレイド(フルメタルリッパー・d13119)と靴司田・蕪郎(靴下大好き・d14752)の報告に応じつつも、由井・京夜(道化の笑顔・d01650)は顔の向きを戻すと何処か遠くを見ていた。
(「ちくわ、ちくわは無いわ~……。流石に泣くよねソレは」)
闇堕ちしダークネスになりかけているという少女の心境を察するにあまりあったのかも知れない。
「ちくわ……去年のクリスマス、もしかしてこれは……」
「どうかしたのかにぃ?」
「いや、何でもないわ」
呟きを拾われ、向けられた問いかけに首を横に振ったメルフェス・シンジリム(魔の王を名乗る者・d09004)が考え込んでいた理由は、京夜とは別の理由であったようだが、どちらかと言えば、鬼城・蒼香(青にして蒼雷・d00932)が胸中で冷や汗を流す理由に近いか。
(「……まさか去年のクリスマスの娘じゃないですよね?」)
詰まるところ、両者には心当たりがあったのである。メルフェスはこの経緯に至った理由である人物に、蒼香は被害者の方にという差異はあったとしても。
「何にしても、楠鞠はちくわを始め色々あったようだが、きっちり助けてやらないとな!」
幾人かの内心を知ってか知らずか、吉国・高斗(小樽の怪傑赤マフラー・d28262)は赤いマフラーを揺らしながら頷くと、視線を路地の向こうにやった。
「んー、それにしても冬休みなのに部活の練習に出かけた上そのまま塾に行くとか、割と多忙っすね鈴ちゃんって」
待ち受ける獅子鳳・天摩(謎のゴーグルさん・d25098)達の場所を通りかかるのは、学校の帰りでもあり、塾の帰りでもある。
「あ、あれじゃないかにぃ?」
通行人が訪れたのは、それからいくらかしてのこと。綺羅星・ひかり(はぴはぴひかりん・d17930)の指さす先からこちらに向かってくる少女が、おそらくは問題の少女なのだろう。はるひは人避け不要と言っていたのだから。
「MerryChristmas!」
「えっ」
「小樽の怪傑赤マフサンタがお前を悪夢から救いに来たぜ!」
ただし、待ち伏せられた少女からすれば、出会いは何もかもが唐突すぎた。クラッカーが鳴って紙吹雪やらテープが降ってきたかと思えば、高斗による唐突な名乗り。
「メリークリスマス♪あなたにプレゼントです!」
「え? え?」
きょとんとした少女は、たっぷり数秒ほど蒼香の差し出したプレゼントにも、反応出来ず立ちつくし。
「其処で立ちつくすキョトン顔のお嬢ちゃん。良ければ、クッキーをどうぞ~。作り過ぎちゃってね、良ければ貰ってくれると嬉しいんだけど」
「あ、ええと、それはありがとう……じゃなくて、これってどういうことなの?」
京夜の差し出したクッキーを受け取りかけたところで、ようやく我に返って質問する。
「さっきまでドンヨリ顔してただろう? ってか年の瀬にそんな暗い顔してたら、幸せが見えなくなっちゃうよ? 何があったのかは詳しくは判らないけどさ」
「っ、そんな顔してたかしら?」
「良かったら事情を話してくれないかしら?」
思わず頬に手を当てた少女へ、メルフェスは促し。
「……じゃあ、一つだけ約束してくれる? 笑ったり嘘つき呼ばわりしないって」
躊躇った後、付けた条件に一行が承諾してから少女は語り始めた。
●まずは言葉で
「楽しみにしてたモンがちくわってのはつれぇよな。荒れる気持ちもわかるぜ」
エクスブレインの情報通りの経緯を聞かされて、ゼノスが最初に口にしたのは同情の言葉だった。
「……きっとちくわをくれた人は悪気はなくて単なる受け狙いだったんじゃないかにぃ?」
「受け狙い……」
「差出人のわからないプレゼントで悩む必要なんてないっすよ。ネガティブに考えすぎっす」
同じく少女の話を聞いていたひかりの言葉を反芻し始めた少女へ、天摩はダメ出ししつつ言葉を続ける。
「子供が自分のおもちゃを、ペットが自分の好物を渡すような感じでちくわだってその人にとって特別なものだったかもしんないじゃないっすか」
「相手が良いと思ったものでも、本人が好むとは限らないからな」
「ね」
「……あ、そうですね」
頷く高斗を挟む形で、話が振られれば、蒼香はワンテンポ遅れて首を縦に振り。
「楠鞠さんがちくわを贈られて落ち込んだのは、クリスマスを楽しみにしていたからでございましょう?」
「えっ」
「本当はクリスマスが大好きだったのではないでございますか」
「あ、えっと……」
はっと顔を上げた少女は全力で自分の靴下をガン見する蕪郎を見つけ、おそらく図星であった以外の理由で目を逸らした。
「過去に起こっちまった事はもう変えられない。だから、それを上書いちまう程の楽しい思い出を作っていけば良いんだぜ」
たまたま視線を逸らした先に高斗がいたのは、偶然か。
「そうだにぃ! これからいいことあるにぃ、絶望するのは早いんだにぃ!」
「クリスマスプレゼントに裏切られたかもしれませんが去年は去年、今年は今年です!」
高斗に向けた言葉を遮ってひかりが割り込めば、これにが続く。
「落ち込んでる鈴ちゃんのためにひかりん達もプレゼント持ってきたにぃ!」
「え? あれ、けどさっきそっちの人は『何があったのかは詳しくは判らない』って言ってなかった?」
差し出されたプレゼントに目を見開いた少女は、それでも引っかかるところがあったのか、首を傾げ。
「これは、説明した方が良さそうね」
嘆息したメルフェスはフォローしがてら語る、ダークネスと闇オチについてを。
「元凶はイタズラか何かは知らないけど、それを気にし過ぎて闇に飲まれれば同じ様なことをするダークネスになるのよね」
「ダークネス……それじゃ、私っ」
「常にちくわを食べてる様な存在になるか、常にちくわを滅ぼすことしか考えない存在になるか、どちらもイヤなら抗うしかないわ」
戸惑う少女を前にして、メルフェスはスレイヤーカードの封印を解く。
「ちなみに、私だけど……サンタじゃなくて魔王よ」
少なくともサンタであれば殲術道具など取り出して、構えはしない。
「あ」
「……そう言う訳なので、あなたのクリスマスに対する怒りは引き取らせていただきます!」
「そう言うことだ。荒れる気持ちもわかるけどな、それと同じことを誰かに強要しちゃいけねぇ」
蒼香、ゼノスと灼滅者達が次々少女の戦いに備え姿を変えて行く中。
「ソォォォックス、ダイナマイツッ!」
蕪郎がサンタコスチュームをはじけ飛ばし変じたのは、頭と足に靴下が装着されたことを除けば全裸にムタンガと言う姿。
「いやぁぁぁぁぁっ、変態ぃぃぃぃっ」
「おぶっ」
胸が大きかろうと中学一年生の少女には色々早すぎたらしい。どこからか取り出して投げたちくわは蕪郎の顔面に命中したのだった。
「チーチク大好きなんだにぃ!」
ちなみに、跳ね返ったちくわはひかりがキャッチしてチーズを入れ、美味しく頂いたそうです。
●ちくわ
「靴下が無ければ危なかったでありマァス」
「そ、そうか」
仰け反ったまま何故かブリッジ体勢に移行した蕪郎に短く応じ、ゼノスは視線を少女に戻す。
「なぁ、誰かに当たるより俺たちと一緒に楽しい思い出を作らねーか? 嫌な気持ちが消し飛んじまうくらいのな!」
「っ、だ、だって私……」
「ちくわ大明神」
「誰っすか、今の」
真摯な言葉に、条件反射でちくわを生成して投げてしまった少女は怯み、聞き覚えのない声に天摩が周囲を見回す。
「もう少しだったのに、酷いじゃない。邪魔するなんて」
ただ、二度目の発言の内容から、再度問いかけずとも正体は知れた。
「楠鞠の中のシャドウか」
「はぁい、ご名答ぅ」
高斗の言葉へ妖艶に笑んだ少女の服がサンタ服に変わり、年の割には過剰なくらいの大きさだった胸が更に大きくなる。
「胸が大きくなるのが、鈴ちゃんの願いだったの。だから、叶えてあげたのよ。身体を譲って貰うんだもの、それぐらいはしてあげてもいいでしょ? んー、これじゃ、まだ小さいかしら?」
「それじゃ、やっぱり」
シャドウの告白に蒼香は息を呑み。
「生憎と、私は幼い子が好みなのよ」
メルフェスは首を横に振って言い切った。
「一番重要なのは靴下でございマァス」
あ、蕪郎も。
「いやぁぁぁ、変態ぃぃぃっ」
ただ、蕪郎への認識はダークネスも元の少女と変わらなかったらしい。虚空から生成したちくわをどす黒く変色させると、何の躊躇いもなく蕪郎目掛けて撃ち出したのだ。
「させないよ。うっ」
そこに京夜が割り込んで盾となり。
「不幸な事も幸せな事も人生同じぐらい起こるって……誰かが言ってた訳で,今嫌な事ばかりなら、今度はきっと良い事ばかり起こるって、ね?」
微かに顔をしかめつつも操るは鋼糸。
「よっしゃぁっ、赤マフラーキぃぃぃック!」
鈴という名の元少女へ巻き付こうとするそれの動きにあわせるように、いつの間にか肉薄していた高斗がローラーの摩擦熱で生じた炎で包んだ蹴りを繰り出す。
「な」
「自分の中の闇を覗きこみ、身をまかせる事なく、理解し制御し力に変える」
慌てて振り向く元少女の視界に飛び込んできたのは、かわせぬ距離にまで達した蹴撃と、その奥でガンナイフの銃口に漆黒の弾丸を形成しつつある天摩。
「それがオレ達シャドウハンターの戦い方っすよ」
「かはっ」
弾丸が撃ち出されると同時に発せられた声を知覚した時、鈴の身体は蹴りによって宙を舞っていた。
「あのときはすみませんでした。その分もわたしは――」
だが、織り込み済みだったのだろう。ガンナイフだけでなく、蒼香の向けたバスターライフルの銃口までもが放物線を描き墜ちて行く元幼女の身体を追っていた。たゆんと弾んでいた大きく豊かな胸を銃身に押しつけて変形させながら、蒼香はトリガーを引く。
「くっ、きゃあっ」
重力に引かれて落ちて行く鈴の身体は都合二度ほど方向を変え。
「今の内に回復致しましょう、みずむしちゃん」
「ナノっ」
お腹に乗せたままのナノナノにブリッジの姿勢のまま呼びかけると、蕪郎は靴下をつなぎ合わせたような物体を伸ばし、京夜の身体を覆う。多分回復行為だった。
「あ、ありがとうでいいのかな、これは?」
「クリパの準備もしてるんだにぃ! 立ち直ってにぃ!」
戸惑いがちに感謝の言葉を贈るを横目に踏み込んだひかりは、ライドキャリバーのミドガルドによる機銃の掃射へ晒される鈴目掛けて帯を射出し、呼びかける。
「クリ……パ……うっ」
「抗いなさい、救い出してあげるから」
何だかんだ言っても、蕪郎が指摘したように何処かにクリスマスを期待する自分が存在していたのだろう。動きが止まったところに、流星の煌めきで足を輝かせたメルフェスが空から強襲する。
「きゃぁぁぁぁっ」
「おし、任せとけっ」
吹っ飛んだ元少女と併走するように死角に回り込みつつ、ゼノスは地面を蹴った。ちょうどナノナノの飛ばしたしょぼん玉とで挟み撃ち出来る様に。
「うくっ」
説得による弱体化故か、かわすことも出来ず足の腱を斬られ片膝をついた鈴が顔を上げれば。
「それじゃ、このまま畳みかけちゃおうか」
「そうだな。プレゼントやパーティの準備も出来てるんだから、そろそろケリを着けようぜ!」
この機に乗じてとばかりに攻撃を繰り出す灼滅者達で。
「も、もう少しだった……のに」
集中攻撃に晒された元少女は、恨めしげに漏らすと倒れ伏し、出会った姿の少女へと戻ったのだった。
●れっつぱーりー
「さ、それじゃ始めるとしようぜ」
無事救出した少女を助け出してから数十分後、一行は少女と共に飾り付けられたカラオケBOXの一室にいた。
「料理とか適当に頼んじゃおうか? 何か食べたい物はある?」
「そうね、何にしようかしら……とりあえずまぁ、お金はある方だから奢るわよ」
テーブルの上に重なったメニュー表を手にとって京夜が周囲を見回せば、二冊目のメニューを広げたメルフェスが器の広いところを見せ。
「けど、持ち込み出来るお店で良かったですね」
用意してきたケーキを取り出し、テーブルにのせながら蒼香が微笑む。
「おし、じゃ今の内に曲を入れておくぜ」
「あ、では次は私が入れさせて頂きマァス」
サンタコスプレのゼノスとこちらもサンタコスの蕪郎は並んでカラオケの端末を覗き込み、曲番号を入力して行く。
「これがひかりんからのプレゼントだにぃ」
そんな感じに各々がクリスマスパーティーをお楽しみ始めた中、ひかりは説得の流れで渡しそびれたプレゼントを鈴へと差し出した。
「あ、ありがとう」
「中身はゲームだから良かったら後で一緒に遊ぶにぃ」
「おっ、そっかプレゼントか」
ただ、その光景を見ていた者も居て。
「俺は当然マフラーだ、まだ寒い時期だしな」
「オレからはこれっす。こういうの部屋にあるとちょっと大人って感じだし、リラックスできて嫌な気持ちも薄れていくと思うっすよ」
「わたくしめからは、このサンタの絵柄の毛糸の靴下でございます」
「これでいいかな。そう言えば、皆何を歌うんだろう……あ」
なし崩しにプレゼントを渡す時間になりつつある中、嬉々として演歌や歌謡曲をリクエストしていた京夜が声を上げる。
「蕪朗くん達、入力した曲が始まるよ?」
「おっと、それは失敬」
「あ、ありが……ありがとう」
慌てて元居た場所に戻って行く背へ鈴は感謝の言葉をかけ。
「あ、そうそう。今の君の方が断然魅力的っすよ。同年代くらいの男子は胸ばかりに目がいきがちかもしんないけど、それは一時の病っす。だいたい好きなになるタイプって別だしね」
「あ、ありがとう……それでも、ね」
残る形になった天摩の言葉へ曖昧に微笑むと、ちょうどこちらにやって来ようとしている蒼香の胸で大きく弾むメロン(比喩表現)を見てそれを苦笑に変える。
「どうかしましたか?」
「ううん、こっちの話よ」
きょとんとした蒼香に鈴はプレゼントのアロマ加湿器を脇に置くと頭を振って見せ。
「そうですか。あの、先程の話の続きですけど」
スピーカーの方からイントロが聞こえ始める中、二人は短いやりとりをかわせば。
「あなたもわたしと同じようにシャドウハンターの素質がありますし学園にきませんか?」
「学園ならきっと楽しく過ごせると思うぜ」
付け加える形で申し出た勧誘にいつの間にか来たらしい料理を食べつつ高斗が加わる。
「おぉい、料理来てるぞ、食べないのか?」
「こんな風に愉快で分かり合える方々が一杯いますよ」
まだ終わる様子など見せないパーティーの中、呼びかけられた方をちらりと振り返ってから視線を戻した蒼香に少女は――。
「そうね、それじゃ」
ゆっくりと頷いたのだった。
作者:聖山葵 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年12月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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