「うふっ、日本風のお・も・て・な・し(はぁと)はどうでしたかぁ?」
「イエース、実に素晴らしかったよ」
「うむ、ジャパニーズガールはセクシーね」
ここは群馬県某所、ひなびた温泉旅館の露天風呂。
湯船に浸かりながら談笑しているのは、赤毛をサイドテールに結んだ少女と、青い目をした白人男性2人。
「じゃ、約束通りラブリンスター様の仲間になってくれるんだよね?」
「イエースイエース。もちろんだ。アメリカン嘘つかない」
男達に交互に身体を密着させながら問い掛ける少女に、男達は鼻の下を伸ばしつつ頷く。
どうやら、少女はラブリンスター派の淫魔であり、ダークネス2人を仲間に招く約束を取り付けているらしい。
「では、乾杯と行こうじゃないか」
湯船に浮かせた盆の上から瓶を手に取ると、コーラらしき黒い炭酸飲料をガラス製の杯に注ぐ男達。
「じゃあ私もー」
「ウェイトウェイト。ユー、一体何を飲むつもり?」
「フルーツ・オ・レだけど? やっぱりお風呂と言ったらこれかなって。コーヒー牛乳と迷ったんだけどねー」
一方、少女が手に取ったのは牛乳にフルーツを混ぜた瓶詰めの乳飲料。
――ざばっ。
「ちょっ、な、なに?」
「ドリンクと言えばコレ! 乾杯と言ったらコレ以外有り得ないよ!」
「は、はぁ? あのね、日本のお風呂と言ったら昔から牛乳って相場が決まってるのよ」
日本の文化とも言える組み合わせを真っ向から否定され、さすがに反論を禁じ得ない少女。
「オーケィ、こうなったら戦争よ」
「ジャパニーズホットスプリング諸共、アメリカンに染めてやるね!」
だが、男達も全く引くつもりは無いらしい。グラスの中の炭酸飲料を一気に飲み干し、どこからともなく巨大なアサルトライフルを取り出す。
「え、ちょっと待って。何も私はそんな……きゃあぁーっ!!?」
そして彼らは、先ほどまで仲睦まじく接していた少女を、不倶戴天の敵と見做し襲い懸かったのである。
「ラブリンスター派の淫魔が、また交渉に失敗してダークネスに殺されてしまいそうですわ」
と、説明を始めたのは有朱・絵梨佳(小学生エクスブレイン・dn0043)。
「例によって、彼女らは戦力回復の為に残党ダークネスの糾合を図っていますわ。その交渉が決裂し、説得にあたっていた淫魔が殺害されてしまうと言うパターンですわね」
「成功する事もあるのか? どうも失敗ばかりのイメージが強いが」
「えぇまぁ、成功してたら予知には引っかかりませんしね」
「それもそうか」
ふむふむと納得した様子で頷いているのは三笠・舞以(鬼才・dn0074)。
「まぁ、ラブリンスター勢力への借りを返し、こちらの恩を売っておくのも何かの得になるかも知れませんし、何より残党ダークネスが事件を起こす前に倒しておくのは必要な事ですわ」
放置すれば、残党ダークネスは一般人に危害を及ぼす危険性がある。そうなる前に叩いておきたい所だ。
「淫魔とダークネスは、交渉決裂の瞬間まで露天風呂に浸かっていますわ。戦闘開始のタイミングとしては『淫魔が攻撃を受ける寸前』か『淫魔が襲われ、倒された後』になりますわ」
前者のタイミングで仕掛ける場合、淫魔に「武蔵坂が交渉を妨害した」と思われない様に説明をする必要があるだろう。
後者の場合は、戦闘に勝利してもラブリンスター派との友好度を高める事は出来ない。(友好度が下がる事も無いが)
「それと、説明が成功した場合でも淫魔は戦闘には参加しませんので、いずれにしてもダークネス討伐は私達の戦力だけで、と言う事になりますわ」
残党ダークネスは、アメリカン四万温泉怪人が2体。
鋼のような筋骨隆々の肉体を持つマッチョ怪人で、ヘビー級ボクサーを彷彿とさせる拳……ではなく、アサルトライフル風の水鉄砲を武器として用いる様だ。
「作戦の純粋な成功条件は、怪人2体の灼滅のみですわ。淫魔の生死は問いません。……それはそれとして、戦闘を終えたら少し温泉で温まってくるのも良いかも知れませんわね。では、凱旋をお待ちしておりますわ」
そう言うと、絵梨佳は灼滅者達を送り出すのだった。
参加者 | |
---|---|
織凪・柚姫(甘やかな声色を紡ぎ微笑む織姫・d01913) |
リーファ・エア(夢追い人・d07755) |
巳越・愛華(ピンクブーケ・d15290) |
東雲・菜々乃(お散歩大好き・d18427) |
氷灯・咲姫(月下氷人・d25031) |
千条院・海母(黒き海神の子・d25957) |
八千草・保(天澄風光・d26173) |
居待月・三樹(蝙蝠・d30985) |
●
群馬県と言えば温泉と言う程に、全国有数の温泉地を抱える県である。
冬に温泉と言う、いかにも日本情緒溢れる休暇を過ごす者も多いだろうが、この古めかしく小さな旅館には、わずか三人の男女グループが存在するばかり。
湯煙のもうもうと立ち上る中、初めは和気藹々と入浴していた様子の彼らだが、次第にその雰囲気は変容しつつあるらしく……。
「ちょっ、な、なに?」
灼滅者一行がその混浴露天風呂に到着した時、既に彼達の言い争いは始まっていた。
「ドリンクと言えばコレ! 乾杯と言ったらコレ以外有り得ないよ!」
コーラの瓶を手に、声高に主張するマッチョな男。アメリカン四万温泉怪人である。
「は、はぁ? あのね、日本のお風呂と言ったら昔から牛乳って相場が決まってるのよ」
一方反論するのは、牛乳瓶を手にした赤毛の少女。ラブリンスター派の淫魔、あずみ。
この温泉に合うのはどの様な飲み物か、それが彼らの論点の様である。
(「その通り。温泉にはやっぱり牛乳! 栄養的にもきっといいのですよ」)
あずみに限らず、やはり温泉と牛乳と言う組み合わせに賛同する者は灼滅者側にも存在する。東雲・菜々乃(お散歩大好き・d18427)もその一人だ。
(「オーケイ、売られた戦争は買うしかないですね! 絶対に譲れない戦い……いや、これはもう聖戦と言うべきでしょう!」)
氷灯・咲姫(月下氷人・d25031)に至っては、自らの信奉する神を否定された敬虔な信徒の如く、熱く闘志を燃え上がらせている。
(「風呂上りには炭酸飲料派の私的には、今回の敵には地味に同意できるのよねぇ。まぁ、殺すけど」)
他方、居待月・三樹(蝙蝠・d30985)の様にアメリカン怪人らの言い分に一理を見出す者も居る訳で……。
(「……美味しければ何でも良いじゃない、と思うのは駄目なんですかね」)
結論から言えば、リーファ・エア(夢追い人・d07755)の発想が最も無難で正解に近いものなのかも知れない。
「オーケィ、こうなったら戦争ヨ」
「ジャパニーズホットスプリング諸共、アメリカンに染めてやるネ!」
しかし、彼らの争いは既に論争の次元を超え、武力行使の段階へと移ろうとしていた。
「あらあら、大の男二人が可愛い幼気な女の子を寄って集っていけませんわ」
「WHO?!」
今にもあずみに飛びかかろうとする怪人に、織凪・柚姫(甘やかな声色を紡ぎ微笑む織姫・d01913)の声が待ったを掛ける。
「牛乳は美容にも良いからのう!」
「ノーゥ!! コークイズナンバーワン! ファッ○ンジャップ!」
淫魔の説に全面同意を唱えつつ、怪人らの気を引きにかかる千条院・海母(黒き海神の子・d25957)と、唾を飛ばしながら激しく反論する怪人達。
「残念ですけど、話が通じる相手じゃないみたいです……! ここは同じ牛乳派のわたし達に任せてくださいっ」
「え、あ、待って! この人達は私達の仲間になってくれるはずでっ」
一方、巳越・愛華(ピンクブーケ・d15290)の申し出に対し、あずみも食い下がる。彼女にしてみれば、一晩の交渉(意味深)を経てようやく自軍に引き込む手応えを得た戦力。この場で破談にしたくはないと言う想いが強いのだろう。
「あずみさん、交渉失敗してるよ。そちらのお人らは、郷土(アメリカン)愛が人一倍やからねぇ……ここは任せて、早うお逃げ」
「で、でもっ!」
「HAHAHA! 今後全ての温泉と風呂から、ミルク飲料は撤去デース! 全てコーラ一色にしてやるデース!」
どう言う訳か女子ばかりの一行において、唯一の男子である八千草・保(天澄風光・d26173)。彼が重ねて告げようとも、あずみは未練を断ち切れない様子。しかし当の怪人らは、もはや譲歩する気は無く日本のお風呂を全てアメリカン化する気満々である。
「貴女も日本人なら分かるんじゃないですか? 食の恨みは何よりも恐ろしいって事を……もう、もう彼らと道が交わる事は無いんですよ……残念ながら」
「むぅぅ……」
頭を抱えるあずみに、あきらめを促すリーファ。キャリバーを怪人とあずみの射線上に入れていざと言う事態に備えるのも忘れない。
「怪人さん、これ上げる」
「ホワッツ? オーゥ、ユーは解ってるね。温泉と言ったらコレ! 我々の手下になる権利をやるヨ!」
そんな緊張状態の中、菜々乃が怪人に投げ渡したのはよく冷えた缶コーラ。貢ぎ物か降伏の白旗の様に理解したのか、怪人らは上機嫌でフタを開ける……が。
――ぶしゅーっ。
その刹那、勢いよく噴き出す炭酸水。缶は今の今まで、良く振り続けられていたのである。
「シィーット!?」
「スニークアタックとは卑怯ヨ! 全員まとめてコーラ漬けにしてやるネ!」
菜々乃はしてやったりの表情だが、怪人らは完全にブチギレ状態。あずみだけでなく、灼滅者も全員まとめてコーラ漬け(詳細不明)にする気満々だ。
「わ、解ったわ。じゃ後はあなた達に任せるから!」
事ここに至って、状況の収拾は不可能だと判断せざるを得なくなったあずみも、灼滅者を盾にするように内湯の方へと逃げてゆく。
「それにしても、温泉だけあって」
「……うむ、湯気に感謝するとしよう」
緋祢の言葉に頷きつつ言う三笠・舞以(鬼才・dn0074)。繰り返しになるが、露天風呂は湯気が立ちこめており、怪人もあずみも湯気を纏っている為、絵的に大変な事になったりは一切しないのである。
「ミルク派どもめ、覚悟しいや!」
大事な前置きも済んだところで、そろそろ戦いの火ぶたが切って落とされる。
●
「悪い大人は私たちがお仕置きをいたします。癒して藍、護れし星」
「HAHAHA! 出来るものならやってみるがイイヨ!」
マカロンやキャンディー等のお菓子に、蝶などのアクセサリーがデコレートされた龍砕斧より龍因子を解放しつつ、びしっと言い放つ柚姫。一方の怪人らは、豪快に笑い飛ばして自信満々と言った様子だ。
「では、そうさせて頂きます」
ライドキャリバーの機銃掃射によって口火を切ると、リーファ自身も弾幕に紛れて間合いを詰める。
――ドスッ。
「はぐっ?!」
縛霊手を身につけた彼女の拳が、慢心していた怪人の腹部にめり込む。と同時、霊力によって構成された網がその巨体を拘束する。
「ハナの下伸ばしてたのに、飲み物の趣味の違いで殺そうとしちゃうんだ! やっぱご当地怪人ってちょっと変なの……!」
怪人に対してもさほどの嫌悪感を抱いていない愛華。とは言え、率直な感想を口にしつつ間合いへと躍り込むと、閃光の如く闘気を纏わせた拳の雨を降らせる。
「ぐはぁぁっ!」
「ジョン!? アーユーオッケー?!」
「お、オーケィ……ちょっとばかり、このお嬢ちゃん達を甘くみてたみたいネ」
仲間の問い掛けに対し、口元を拭いつつ笑みを浮かべる怪人。
「えい」
――ドスッ。
「ノォォーウ!!?」
そんな怪人の脇腹に、菜々乃の槍が深々と突き立てられる。
「ファーック!! ちょっと甘い顔をしてりゃ付け上がりヤガッテ! ジャップイズスニーク!」
「ヘイ、アメリカンマッチョーズ! アイムジャパニーズご当地ヒーロー! ホットスプリング&ミルクイズジャスティス! アンダスタン!?」
勝手に油断して攻撃を受け、勝手に激昂し始めた怪人に対し、油を注ぐ様に言うのは咲姫。
「ノーゥ! ノットジャスティス!!」
さすがにブチギレ気味になった怪人は、どこからとも無く大型の水鉄砲を取り出す。
「ファイヤー!」
――バシュッ!
凄まじい水圧で放たれる水。反動で怪人の巨体が大きく揺れる程、かなりの水圧である事が窺える。
「おっと……!」
とっさに身をかがめてこれを回避する海母。彼女の背後にあった石灯籠の上半分が、綺麗に切断されてゴトリと転がる。
「お返しですっ!」
体勢を立て直すと、すぐさま咲姫は禁呪を詠唱。
――バッ!
「ぬうっ!?」
炎の華が怪人達を包み、激しく炸裂する。
「隙有り、じゃ!」
海母もまた、この爆炎に乗じて一気に間合いを詰めると、槍の穂先をメスの様に精密に扱って怪人の急所を切り刻む。
「お、おのれィ……」
「温泉を壊すんはあかんねぇ」
流れる様な波状攻撃に、圧倒されつつある怪人達。保は水の弾幕によって手傷を負った仲間達を癒やしつつ、落ちた石灯籠を元の位置に乗せる。
「シャラーップ! この温泉もアメリカンに造り替えてやるヨ! でも混浴はナイスね。ユー達も今すぐギブアップするなら、ミー達と一緒に入らせてやってもいいネ! HAHAHA!」
相変わらずのハイテンションさで、高笑いを響かせる怪人。
「やっぱ人型をざくざく切り刻むのがいいよねぇ~、綺麗に斬ってあげるからあんまり動かないように固定してあげるねぇ~」
「ホワッ?! シ、シリアルキラー!?」
高笑いの怪人とは逆に、ニヤリと笑みを浮かべつつ言う三樹。邪悪な触手の如く無数の帯を伸ばし、怪人らに絡みつかせてゆく。
かくして、絵面のせいか何なのか、今ひとつ緊張感に欠ける露天風呂での死闘は、なんだかんだと言いながらも灼滅者達主導で推移してゆく。
●
「ぬうう……ダニー……このままじゃまずいヨ」
「ジョン、アメリカンに敗北は許されないヨ! ステイツは独立以来勝ち続ける事によって存在してきたヨ!」
戦争映画で傷ついた同胞を助け起こす兵士の様に、仲間の腕を引っ張り上げて立ち上がらせる怪人。
さしもの怪人達も、灼滅者の揺るぎない連携と絶え間ない攻撃によって満身創痍。いわば追い込まれた状態となっていた。
「ふふっ、その程度で日本の誇る温泉文化をアメリカナイズしようなど、片腹痛いわ。ひれ伏し靴を舐めながら許しを乞うなら考えてやらんでもないがな?」
相手を見下しながら、勝ち誇った笑みで告げる舞以。ちなみに特に働いてはいない。
「シャラップ!」
――バシュッ!
「ぐっは!?」
しかし、怪人達とて戦意を失ったわけではない。水鉄砲を激しく噴射しながら抵抗の意思を示す。
「あら、舞以さんが。……それにしても、高性能な水鉄砲ですねぇ」
「まだ抵抗するのなら……筋肉達磨なんか、この槍でブスリですよ!」
菜々乃は、怪人らの水鉄砲にやや興味を示しつつ、再び妖の槍を構えて間合いを詰める。これに呼応し、咲姫もカスタマイズされた荊棘槍を腰だめに構えて飛びかかる。
――ドシュッ!
「アーウチ!!」
左右の胸板を穂先に貫かれ、絶叫を響かせる怪人。噴き出した血が足場を汚す。
「まだ、抵抗するよねぇ~それが良い! そそるんだけどさぁ、でも綺麗に斬れないのは嫌だからさらに足止めさせてもらうよぉ」
――ズンッ。
音も無く死角から忍び寄った三樹は、高周波ブレードの刃を手負い怪人の大腿部へと突き立てる。
「ノオォーッ! アメリカンに敗北など許されヌ……!」
「ジョーン!!」
巨体をぐらりと揺るがせ、耐えかねた様にがくりと膝をつく怪人。
「そちらさんの郷土愛も見上げたもんやねぇ。けど、そろそろ仕舞いやろか」
「うむ、一気にトドメと行くぞ!」
保の手から、無数の風刃がひらめいて怪人へ襲い懸かる。時を同じくし、海母も怪人の心臓目掛けて鋭利な氷柱を放つ。
「ステイツ、イズ……ナンバー……ワン……!」
鎌鼬と氷の杭によって、最後の体力も削り取られた怪人は、水鉄砲とコーラの瓶を握りしめたままドサリと倒れ伏した。
「ゆ、許さないヨ……良くもミーのフレンドを」
「仮にもアメリカンともあろう者が、女の子ひとり相手にムキになったのが原因じゃない?」
「はぐっ?!」
自業自得を指摘され、ぐうの音も出ない怪人。愛華はそんな隙を突く様に、膨大な魔力を秘めたマテリアルロッドを振り下ろす。
――バシュンッ!
「GYAAA!」
激しい魔力のスパークに、怪人の絶叫が響く。彼もまた、体力的には限界に来つつある事は間違いない。
「では、終わらせましょうか。……柚姫さん」
「これまでです……來れり紅、踊り散れ華」
――バッ!
「ヌウッ?!」
リーファは天高く跳躍。湯煙越しでさえ眩いばかりの閃光を放ち、地上へ降る流星と化す。柚姫もまた、彼女の呼びかけに頷くと、龍砕斧を身体の前に祈りを捧げる。
「ば、馬鹿な……こんなの認めないヨ……アンビリーバボー!!」
スターゲイザーによって吹き飛ばされた怪人の身体は、宙に浮かぶ紅の逆十字によって、千々に引き裂かれる。
瞬間的に湯煙が朱に染まるが、ほどなく怪人達の名残は消え失せ、露天風呂は静けさを取り戻した。
●
「ここはやっぱり牛乳で。皆さんはどうしますか?」
お盆の上から牛乳瓶を手に取った柚姫は、皆の希望を聞いてそれぞれ飲み物を手渡してゆく。
「私も牛乳頂きます。それにしても、疲れた体は、温泉で癒すに限ります!」
当初より牛乳を強く推していた咲姫は、やはり王道である牛乳をチョイス。
戦いを終えた一向は、水鉄砲やら何やらで冷えた身体を、しばし温泉で温める事にしたのだった。
「んー、美味しい!」
愛華が選んだのはフルーツ・オレ。なじみ深かったフルーツ牛乳の名は今は残っていない(今は生乳100%の飲料のみ、牛乳の名を冠することが出来る為)が、美味しさはそのままである。
「温まりますね~」
リラックスしつつ菜々乃が飲んでいるのは、いちごミルク。こちらも古くから愛される乳飲料のロングセラーだ。
「炭酸飲料もあるんですね。それこそコーラも」
汗を掻いた瓶を手に取りつつ緋祢。
「牛乳とコーラ……なんならミックスしてみます?」
「コーラ・オレとか言う飲み方は実在するらしいが……」
真顔で言うリーファと、うーんと難色を示しつつ答える舞以。
「では、普通に飲み比べてみましょうか」
結局、別々に楽しむのが一番という無難な結論に落ち着く。
「はふぅ、やっぱ人を斬るのは気持ちいいやぁ……私は上がってからジンジャーエールかなぁ」
危険な呟きをしつつ、ゆったりと湯船につかるのは三樹。黙っていれば湯けむり美人という風情なのだが……。
「……」
さて、女性陣から離れた温泉の隅では、滝行で纏うような装束を纏った保が、一人静かに緑茶を啜っている。
黙って混ざっていれば気付かれない可能性も高そうだが、その辺は彼の生真面目な所である。
「あずみと言うたか、一晩閨を共にせぬか? 淫魔の手管、この身で確かめてみたいでのぉ」
「ふふっ、それは楽しそう……けど、知っての通り勧誘に失敗しちゃったからね。すぐに次を当たらないと」
海母の誘いににこりと微笑んだあずみだったが、すぐに肩を竦めて深いため息をつく。
かくして、露天風呂においてアメリカン残党怪人を灼滅する事に成功した一行は、今暫く身体を温めた後、凱旋の途につくのであった。
作者:小茄 |
重傷:なし 死亡:なし 闇堕ち:なし |
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種類:
公開:2014年12月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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